テキスト版資料「東三河ごみ焼却施設広域化計画(案)概要」
更新日:2013年1月4日
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目次
第1章はじめに 1.ごみ処理広域化の背景
2.計画の目的
3.計画期間の設定
4.県広域化計画における位置づけと構成市町村
1.地域の現況
2.ごみ処理の現状
3.ごみの将来予測
1.広域化の基本的事項
2.広域化の基本方針
1.広域処理体制案ごとの焼却施設規模の算定
2.広域処理体制案の比較
3.広域処理体制案の比較総括
1.広域化の進め方
2.広域処理体制構築にあたっての課題
第1章はじめに
1.ごみ処理広域化の背景 ごみ排出量の増大等に伴う最終処分場の確保難やリサイクルの必要性の高まり、ダイオキシン対策等の高度な環境保全対策の必要性等、適正なごみ処理を推進するに当たっての課題に対応するため、国は、ごみ処理の広域化を推進するものとし、各都道府県に対して、「ごみ処理の広域化計画について」(平成9年5月28日付け衛環第173号厚生省環境整備課長通知)を通知した。
愛知県ではこれを受け、平成10年10月に平成19年度までを計画期間とする「愛知県ごみ焼却施設広域化計画」を、平成21年3月には「第2次愛知県ごみ焼却処理広域化計画(平成20年度~29年度)」(以下、「県広域化計画」という。)を策定しており、これに基づいて県内市町村のごみ処理の広域化を推進している。
2.計画の目的
県広域化計画では、焼却能力一日あたり300トン以上を基準として県内を13ブロックに区割りしており、ブロック毎に広域化ブロック会議を設置し、各ブロック内におけるごみ焼却処理の広域化を具体的に推進するための広域化実施計画を策定し、ごみ処理の広域化を目指すこととしている。
「東三河ごみ焼却施設広域化計画」(以下、「本計画」という。)は、県広域化計画を踏まえ、ごみ焼却処理の広域化を具体的に推進するために、策定するものである。
3.計画期間の設定
本計画の期間は、平成24年度~平成43年度までの20年間とする。
4.県広域化計画における位置づけと構成市町村
県広域化計画において、本地域は東三河ブロックの位置づけであり、構成市町村は、豊川市、蒲郡市、新城市、北設楽郡設楽町、同東栄町、同豊根村、長野県下伊那郡根羽村*である。
* 根羽村は北設楽郡3町村とごみ処理において広域行政を行っており、今後も継続する。
第2章ごみ処理の現状と将来予測
1.地域の現況1-1地勢
東三河ブロックの3市2町2村は、愛知県の東部に位置し、地域の総面積は、1,359.66平方キロメートル(豊川市:160.63平方キロメートル、蒲郡市:56.81平方キロメートル、新城市:499.00平方キロメートル、設楽町:273.96平方キロメートル、東栄町:123.40平方キロメートル、豊根村:155.91平方キロメートル、根羽村:89.95平方キロメートル)となっている。
1-2人口及び世帯数の推移
東三河ブロックの人口・世帯数の推移は次のとおりである。
人口については、平成17年度をピークに減少している。
世帯数については、上昇傾向が続いている。
各年度の東三河ブロックの人口と世帯数は次のとおりである。
平成13年度は338,843人、世帯数109,373世帯
平成14年度は338,649人、世帯数110,842世帯
平成15年度は339,849人、世帯数112,729世帯
平成16年度は340,266人、世帯数114,448世帯
平成17年度は340,467人、世帯数115,446世帯
平成18年度は340,043人、世帯数117,184世帯
平成19年度は340,256人、世帯数119,123世帯
平成20年度は339,988人、世帯数120,365世帯
平成21年度は338,217人、世帯数120,668世帯
平成22年度は336,069人、世帯数121,315世帯
2.ごみ処理の現状
2-1ごみ処理状況の体制
1)分別区分及び収集体制
東三河ブロックでは豊川市、蒲郡市、新城市が各市単独でごみの収集処理を行っており、設楽町、東栄町、豊根村、根羽村の2町2村*は北設広域事務組合でごみの収集処理を行っている。
各団体とも分別区分には大きな違いはなく、ごみの区分は大きくは可燃ごみ、資源ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ及び集団回収に分かれている。収集回数については、若干の違いがある。
*以下北設広域事務組合管内2町2村を「北設地区」と言う。
2-2ごみ量の状況
東三河ブロックの家庭系、事業系のごみ量を次に示す。
平成18年度の家庭系の可燃ごみは68,154トン、不燃ごみが3,306トン、粗大ごみが4,447トン、資源ごみが25,715トン、事業系の可燃ごみは32,635トン、不燃ごみが1,359トン、粗大ごみが604トン、資源ごみが463トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは100,789トン、不燃ごみが4,665トン、粗大ごみが5,051トン、資源ごみが26,178トン、合計が136,682トン。
平成19年度の家庭系の可燃ごみは67,656トン、不燃ごみが2,962トン、粗大ごみが4,411トン、資源ごみが26,524トン、事業系の可燃ごみは29,472トン、不燃ごみが1,020トン、粗大ごみが530トン、資源ごみが527トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは97,128トン、不燃ごみが3,982トン、粗大ごみが4,941トン、資源ごみが27,051トン、合計が133,102トン。
平成20年度の家庭系の可燃ごみは66,793トン、不燃ごみが2,981トン、粗大ごみが4,541トン、資源ごみが25,499トン、事業系の可燃ごみは28,435トン、不燃ごみが2,358トン、粗大ごみが505トン、資源ごみが408トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは95,228トン、不燃ごみが5,338トン、粗大ごみが5,046トン、資源ごみが25,907トン、合計が131,519トン。
平成21年度の家庭系の可燃ごみは65,185トン、不燃ごみが2,725トン、粗大ごみが4,686トン、資源ごみが25,067トン、事業系の可燃ごみは28,102トン、不燃ごみが2,004トン、粗大ごみが530トン、資源ごみが464トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは93,287トン、不燃ごみが4,729トン、粗大ごみが5,216トン、資源ごみが25,532トン、合計が128,764トン。
平成22年度の家庭系の可燃ごみは63,173トン、不燃ごみが2,626トン、粗大ごみが4,462トン、資源ごみが22,750トン、事業系の可燃ごみは31,307トン、不燃ごみが1,070トン、粗大ごみが454トン、資源ごみが616トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは94,480トン、不燃ごみが3,697トン、粗大ごみが4,916トン、資源ごみが23,366トン、合計が126,459トン。
2-3ごみ処理施設の状況
各団体の焼却施設の稼動年数は、次に示すとおりである。
平成3、4年に稼働した豊川市清掃工場1・3号炉は、平成23年度時点で稼働から20年、平成34年度時点で稼働から31年、平成44年度時点で稼働から41年経過することとなる。
平成15年に稼働した豊川市清掃工場5・6号炉は、平成23年度時点で稼働から9年、平成34年度時点で稼働から20年、平成44年度時点で稼働から30年経過したこととなる。
平成9年に稼働した蒲郡市クリーンセンターは、平成23年度時点で稼働から15年、平成34年度時点で稼働から26年、平成44年度時点で稼働から36年経過したこととなる。
平成11年に稼働した新城市クリーンセンターは、平成23年度時点で稼働から12年、平成34年度時点で稼働から23年、平成44年度時点で稼働から33年経過したこととなる。
平成4年に稼働した中田市クリーンセンターは、平成23年度時点で稼働から20年、平成34年度時点で稼働から31年、平成44年度時点で稼働から41年経過したこととなる。
3.ごみの将来予測
3-2将来人口
平成23年度は、豊川市が181,331人、蒲郡市が82,957人、新城市が51,524人、北設地区が12,504人であり、合計で328,316人である。
平成28年度は、豊川市が180,856人、蒲郡市が81,277人、新城市が50,000人、北設地区が11,650人であり、合計で323,783人である。
平成33年度は、豊川市が180,487人、蒲郡市が79,375人、新城市が50,000人、北設地区が11,037人であり、合計で320,899人である。
平成38年度は、豊川市が178,719人、蒲郡市が76,155人、新城市が50,000人、北設地区が10,532人であり、合計で315,406人である。
平成43年度は、豊川市が176,463人、蒲郡市が72,557人、新城市が50,000人、北設地区が10,102人であり、合計で309,122人である。
3-3将来ごみ排出量
東三河ブロックの家庭系、事業系の将来ごみ排出量推計値は、次に示すとおりである。
平成23年度の家庭系の可燃ごみは60,682トン、不燃ごみが2,486トン、粗大ごみが4,505トン、資源ごみが24,384トン、事業系の可燃ごみは30,410トン、不燃ごみが1,979トン、粗大ごみが454トン、資源ごみが571トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは91,092トン、不燃ごみが4,465トン、粗大ごみが4,959トン、資源ごみが24,955トン、合計が125,471トン。
平成28年度の家庭系の可燃ごみは52,907トン、不燃ごみが2,101トン、粗大ごみが4,401トン、資源ごみが27,498トン、事業系の可燃ごみは25,286トン、不燃ごみが2,169トン、粗大ごみが434トン、資源ごみが4,164トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは78,193トン、不燃ごみが4,270トン、粗大ごみが4,835トン、資源ごみが31,662トン、合計が118,960トン。
平成33年度の家庭系の可燃ごみは47,659トン、不燃ごみが1,811トン、粗大ごみが4,201トン、資源ごみが29,455トン、事業系の可燃ごみは23,632トン、不燃ごみが2,178トン、粗大ごみが416トン、資源ごみが4,229トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは71,291トン、不燃ごみが3,989トン、粗大ごみが4,617トン、資源ごみが33,684トン、合計が113,581トン。
平成38年度の家庭系の可燃ごみは45,331トン、不燃ごみが1,729トン、粗大ごみが3,979トン、資源ごみが27,937トン、事業系の可燃ごみは22,588トン、不燃ごみが2,046トン、粗大ごみが400トン、資源ごみが3,962トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは67,919トン、不燃ごみが3,775トン、粗大ごみが4,379トン、資源ごみが31,899トン、合計が107,972トン。
平成43年度の家庭系の可燃ごみは43,162トン、不燃ごみが1,649トン、粗大ごみが3,772トン、資源ごみが26,527トン、事業系の可燃ごみは21,679トン、不燃ごみが1,938トン、粗大ごみが385トン、資源ごみが3,745トン、家庭系事業系合わせた可燃ごみは64,841トン、不燃ごみが3,587トン、粗大ごみが4,157トン、資源ごみが30,272トン、合計が102,857トン。
第3章広域化の基本方針
1.広域化の基本的事項1-1目標年次の設定
広域処理体制の計画目標年次は20年後の平成43年度とし、広域処理体制の検討における比較評価の実施年次は平成33年度とする。
1-2広域処理の対象とする施設
可燃ごみ処理施設(焼却施設等)は広域化の主施設として検討対象とする。
粗大ごみ処理施設は、収集運搬効率を考慮すると、各自治体において確保することが有利であることから、現段階では広域処理の対象とはしない。
資源ごみ処理施設は、資源ごみは現状で自治体ごとに分別収集体制が確立されており、広域化による一元化は不要であり、広域処理の対象とはしない。
最終処分場は、現状の最終処分体制を今後も存続するものとして最終処分の広域処理については検討対象としない。
可燃ごみ中継施設は、可燃ごみ中継施設を1施設とする場合は北設地区を対象、2施設の場合は新城市、北設地区を対象区域とする。
1-3広域処理体制案
県広域化計画では、ごみ焼却施設の新設については焼却能力一日あたり300トン以上の全連続炉への集約化を目指しているが、東三河ブロックにおいては、山間部という地理的な条件から、新城、北設地区については例外的に一日あたり100トン未満の施設(全連続炉)を設置することも可能としており、その結果、県広域化計画の計画期間内においては東三河ブロック内は豊川市・蒲郡市と、新城市・北設地区の2施設への集約を目指すとされている。
したがって、県広域化計画の計画期間外になる平成30年度以降の東三河ブロック内のごみ焼却施設数については位置づけがなく、1施設にするか2施設にするかの選択が可能な状況にある。
そこで、広域処理体制案を次の様に設定する。
広域処理体制案の比較基準として現状の可燃ごみ処理施設と同じ体制を設定する。焼却施設は豊川市、蒲郡市、新城市、北設地区それぞれ1施設ずつ4施設設け、中継施設は設置しない。
案1として地域を位置関係から南部、北部に2分割するケースを設定する。焼却施設は豊川市と蒲郡市で1施設、新城市と北設地区で1施設、計2施設設け、中継施設は北設地区に1施設設ける。
案2として位置関係から地域を全て統合するケースを設定する。焼却施設は1施設設け、設置場所は豊川市か蒲郡市を想定する。中継施設は北設地区に1施設ける。
案3として位置関係から地域を全て統合するケースで新城市にも中継施設を設けるケースを設定する。焼却施設は1施設設け、設置場所は豊川市か蒲郡市を想定する。中継施設は新城市と北設地区に1施設ずつ設ける。
2.広域化の基本方針
広域化の前提となる基本方針として次の5つの基本方針を設定する。
基本方針1 ごみ発生抑制・減量化、リサイクルの推進
基本方針2 ごみ焼却処理の費用負担軽減
基本方針3 環境保全型の施設整備
基本方針4 効率的な収集体制の確立
基本方針5 過渡期の相互支援
第4章広域処理体制の比較検討
1.広域処理体制案ごとの焼却施設規模の算定1-1施設規模算定年次
施設規模は平成33年度のごみ排出量(推計)に基づき算定する。
1-2排出量及び施設規模
1)処理対象物量
豊川市の推計人口は180,487人、可燃ごみ量は家庭系が26,058トン、事業系が9,658トン、合計は35,716トン、粗大ごみ量は家庭系が2,697トン、事業系が92トン、合計は2,789トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内377トン、不燃ごみ量は家庭系が771トン、事業系が1,858トン、合計は2,629トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内989トン、焼却対象物量は合計で37,082トンである。
蒲郡市の推計人口は79,375人、可燃ごみ量は家庭系が12,503トン、事業系が11,794トン、合計は24,297トン、粗大ごみ量は家庭系が1,246トン、事業系が272トン、合計は1,518トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内923トン、不燃ごみ量は家庭系が699トン、事業系が309トン、合計は1,008トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内613トン、焼却対象物量は合計で25,833トンである。
新城市の推計人口は50,000人、可燃ごみ量は家庭系が7,216トン、事業系が1,866トン、合計は9,082トン、粗大ごみ量は家庭系が183トン、事業系が42トン、合計は225トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内64トン、不燃ごみ量は家庭系が322トン、事業系が0トン、合計は322トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内92トン、焼却対象物量は合計で9,238トンである。
設楽町の推計人口は5,086人、可燃ごみ量は家庭系が846トン、事業系が204トン、合計は1,050トン、粗大ごみ量は家庭系が51トン、事業系が6トン、合計は57トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内57トン、不燃ごみ量は家庭系が8トン、事業系が8トン、合計は16トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内0トン、焼却対象物量は合計で1,107トンである。
東栄町の推計人口は3,625人、可燃ごみ量は家庭系が681トン、事業系が51トン、合計は732トン、粗大ごみ量は家庭系が11トン、事業系が4トン、合計は15トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内15トン、不燃ごみ量は家庭系が6トン、事業系が2トン、合計は8トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内0トン、焼却対象物量は合計で747トンである。
豊根村の推計人口は1,400人、可燃ごみ量は家庭系が228トン、事業系が51トン、合計は279トン、粗大ごみ量は家庭系が9トン、事業系が0トン、合計は9トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内9トン、不燃ごみ量は家庭系が3トン、事業系が0トン、合計は3トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内0トン、焼却対象物量は合計で288トンである。
根羽村の推計人口は926人、可燃ごみ量は家庭系が127トン、事業系が8トン、合計は135トン、粗大ごみ量は家庭系が4トン、事業系が0トン、合計は4トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内4トン、不燃ごみ量は家庭系が2トン、事業系が1トン、合計は3トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内0トン、焼却対象物量は合計で139トンである。
東三河ブロック全域で合計すると、推計人口は320,899人、可燃ごみ量は家庭系が47,659トン、事業系が23,632トン、合計は71,291トン、粗大ごみ量は家庭系が4,201トン、事業系が416トン、合計は4,617トン、粗大ごみ選別後の可燃物量はその内1,449トン、不燃ごみ量は家庭系が1,811トン、事業系が2,178トン、合計は3,989トン、不燃ごみ選別後の可燃物量はその内1,694トン、焼却対象物量は合計で74,434トンである。
2)処理施設規模
(1)焼却施設
現状の体制案における施設規模は、豊川市で一日あたり140トン、蒲郡市で一日あたり100トン、新城市で一日あたり35トン、北設地区で一日あたり10トン、合計で一日あたり285トンとなる。
案1での施設規模は、豊川市・蒲郡市で一日あたり235トン、新城市・北設地区で一日あたり45トン、合計で一日あたり280トンとなる。
案2、3での施設規模は、東三河ブロック全域で一日あたり280トンとなる。
(2)可燃ごみ中継施設
現状の体制案では中継施設は設けない。
案1、2では北設地区の施設規模が一日あたり10トンとなる。
案3では新城市の施設規模が一日あたり40トン、北設地区の施設規模が一日あたり10トンで合計一日あたり50トンとなる。
なお、将来のごみ量が減少する推計となったことから、平成33年度における焼却施設の必要規模推計結果は東三河ブロック1施設化としても一日あたり300トンに満たない結果となったが、県広域化計画におけるブロック割りに変更がない限り、現行の東三河ブロック内において焼却施設の整備が必要となるため、本計画においては一日あたり300トン以下でも施設整備を行う前提で比較評価を行う。
2.広域処理体制案の比較
2-1広域処理体制案の比較項目
比較検討項目は、次のとおりとした。
経済的比較として、施設建設費、収集運搬費、維持管理費、売電による収入の比較を行う。
エネルギー利用として、発電利用の比較を行う。
環境負荷として、温室効果ガス(二酸化炭素排出量)、ダイオキシン類の比較を行う。
資源化・減量化効果として、焼却後の資源化率、減量化率の比較を行う。
その他の項目として、用地確保、災害時のリスク、交付金等財源、整備スケジュールなどの比較を行う。
2-3経済的比較
経済比較のうち、施設建設費、収集運搬費、維持管理費の前提条件を以下のとおりとする。
焼却施設の処理方式:ごみ焼却処理施設+灰溶融設備
可燃ごみ中継施設:コンパクタコンテナ式
施設建設費:施設建設費総額
収集運搬費:15年間の収集運搬費
維持管理費:15年間の売電収入を加味しない維持管理費*
* 余熱利用方法が確定していないため売電収入については余熱利用による経済性向上の可能性を評価するものとし、総コストとしては評価しない。
2-7広域処理体制案の比較結果一覧
広域処理体制案の各比較結果を以下にまとめて示す。
1)施設建設費
最も施設建設費が高くなるのは、現状(4施設)で設置した場合で約214億円、次いで案1(2施設、中継:北設地区のみ)で設置した場合の約168億円、案3(1施設、中継:新城市、北設地区)で設置した場合の約142億円、最も低くなるのが、案2(1施設、中継:北設地区のみ)で設置した場合で約129億円となり、施設建設費総額では現状で設置した場合に比べて広域化すると約30%程度のスケールメリットが期待できる。
2)収集運搬費
最も収集運搬費が高くなるのは、案2(1施設、中継:北設地区)で一年あたり約7.3億円、次いで案3(1施設、中継:新城市、北設地区)の一年あたり約7.1億円、案1(2施設、中継:北設地区)の一年あたり約6.9億円、最も低くなるのが、現状(4施設)で設置した場合で、一年あたり約6.1億円となる。
3)維持管理費
最も維持管理費が高くなるのは、現状で設置した場合で一年あたり約11.5億円、次いで案1の約8.3億円、案3の約7.2億円最も低くなるのが、案2で設置した場合で一年あたり約6.9億円となる。
4)総コストのまとめ
総コストは現状が最も高く47,826百万円、次いで案1の39,636百万円、案3の35,688百万円で、最も低くなるのが案2で34,204百万円となる。
5)売電による収入
(1)発電出力
最も発電出力が高くなるのは、案2又は案3で設置した場合で約4,269キロワット、次いで案1で約3,594キロワット、最も低くなるのが、現状で設置した場合で約2,843千キロワットとなる。案1では案2又は案3に比べて発電出力は約24%程度低くなる。
(2)売電収入
売電収入が得られるのは、案2又は案3で設置した場合で一年あたり約1,600万円となり、現状又は案1での整備では売電収入は得られない。
6)環境負荷
(1)二酸化炭素排出量
最も二酸化炭素排出量が大きくなるのは、現状で設置した場合で一年あたり57千トンのCO2、次いで案1で設置した場合の一年あたり55千トンのCO2、最も低くなるのが、案2又は案3で設置した場合で、約一年あたり53千トンのCO2となる。
(2)ダイオキシン類
熱回収施設の技術水準は、全連続燃焼式焼却施設の場合、時間当たり処理能力に寄らず最も厳しい基準値(●顧客確認13●)を達成するレベルに到達している。
従って、広域処理体制の施設規模等の違いによる影響はない。
7)資源化・減量化の効果
資源化効果は、広域処理体制による違いはなく、焼却残渣の80%が溶融後の二次生成物として資源化されるため、焼却処理量に対して約4.5%の資源化が見込まれる。
減量化効果についても、広域処理体制による違いはなく、焼却残渣の20%が最終処分されるため、焼却処理量に対して約98.9%の減量化が見込まれる。
8)その他の項目
(1)用地確保
現状では可燃ごみ処理施設の必要面積合計は58,592平方メートル、その他の必要面積合計は22,230平方メートル、必要面積合計は80,822平方メートルとなる。
案1では可燃ごみ処理施設の必要面積合計は29,296平方メートル、その他の必要面積合計は12,740平方メートル、必要面積合計は42,036平方メートルとなる。
案2、3では可燃ごみ処理施設の必要面積合計は19,208平方メートル、その他の必要面積合計は7,800平方メートル、必要面積合計は27,008平方メートルとなり最も小さくなる。
(2)災害時のリスク
現状では複数の施設を設置することにより、災害により施設停止を余儀なくされた場合に、補完が可能である。ただし、4施設それぞれ施設規模に大きな差があるため、相互に補完できない場合がある。
案1では現状4施設に比べると災害により施設停止を余儀なくされた場合に、相互補完がある程度は期待できる。
案2、3では災害により施設停止を余儀なくされた場合は、他の自治体に処理を求める必要があり、災害時の速やかな廃棄物処理に対してリスクを負
うこととなる。
(3)交付金の充当
交付金の交付対象は、人口5万人以上又は面積400平方キロメートル以上とされている。豊川市、蒲郡市、新城市は人口5万人以上、北設地区は面積400平方キロメートル以上であり交付金の対象となる。
交付金の充当率については、通常は3分の1であるが、高効率発電を行う場合には、高効率発電関連設備に対して2分の1の充当率が適用される。現状(4施設)の場合の新城市、北設地区、案1(2施設)の新城市・北設地区では、発電設備設置そのものが難しく、交付金充当率の優遇を受けることができない。
(4)事業スケジュール
「愛知県環境影響評価条例 平成10年12月18日条例第47号」の適用を受ける場合、その手続きにはアセス着手から完了まで最短で約3年程度の期間を要する。本ケースでは、案1の豊川市・蒲郡市施設及び案2又は案3での施設が該当するため、あらかじめ事業期間の確保が必要である。
3.広域処理体制案の比較総括
3-1経済的項目
1)総コスト
・現状(4施設)に対して2施設化または1施設化では約17~29%程度のコスト削減が見込まれる。
・収集運搬費は広域化によって増加するものの、2施設化では、北設広域事務組合分を中継輸送することで現状との差はほとんどない。
2)売電収入
・発電については、圏域合計で見ると2施設化または1施設化で売電収入が期待できる。
3-2環境負荷
1)二酸化炭素排出量
・現状(4施設)に対して2施設化または1施設化では4~5%程度の排出量の削減効果が期待できる。
2)ダイオキシン類
・現在の技術水準ではどのケースでも最も厳しい排出基準値を達成できる。
3-3資源化・減量化
・焼却残渣の資源化については、どのケースも同じ。
3-4その他
1)用地確保
・それぞれの施設に対して附帯的な用地が必要となり、現状(4施設)の場合に最も広い敷地面積を要する。
2)災害時のリスク
・1施設化での設置はリスク回避上最も不利。
・現状(4施設)の場合、施設規模の差が大きく、相互の補完が難しい。
3)交付金の充当
・いずれのケースでも人口または面積で交付金の交付要件を満たす。
4)事業スケジュール
・環境影響評価条例の手続期間について、2施設化または1施設化では条例の規模条件に該当する施設があるため、手続き期間をあらかじめ見込む必要がある。
本計画における施設整備方針
比較評価結果においては焼却施設1施設化とする案2または案3が、経済面、環境面において優位性が高いことから、最終的には東三河ブロック内1施設への統合を目指すものとする。
なお、可燃ごみ中継施設については、設置することによる建設費、維持管理費は増加するが、設置をしない場合には、ごみを直接持ち込む個人若しくは事業者が個々に遠距離を運搬することになり、その負担は大きい。
北設地区においては地理的条件からその必要性が顕著であり、設置を前提としたが、他3市においては経済性と利便性の兼ね合いがあるため、各自治体において設置を判断することとし、今回の計画では明確な位置づけを行わないものとする。
第5章広域化実施計画
1.広域化の進め方 既設焼却施設はそれぞれ建設年度が異なることから、全ての施設を同時期に廃止して1施設にする場合、一部のまだ十分使用可能な施設を廃止して新たな建設費を負担する状況が生じるため、自治体間の合意形成が困難である。従って、最終的に1施設に集約するためには各施設の耐用年数を加味したうえでの更新手順が必要である。なお、施設の耐用年数については各施設の使用状況によっても異なり、明確な設定が困難であるため、ここでは一律30年とする。
ポイントをまとめると次の通りとなる
・ 豊川市の5,6号炉(直接溶融炉)は、計画期間内は継続使用が可能である。
・ 豊川市の1,3号炉(ストーカ炉)と北設広域事務組合の焼却施設は、計画期間において比較的早期に耐用年数を超える。
・ 蒲郡市の焼却施設は計画期間の後半には耐用年数を超える。
・ 新城市の焼却施設は計画期間の終期には耐用年数を超える。
ステップ1
・ 北設広域事務組合は中継施設を設けた上で、焼却施設を廃止し、新城市の焼却施設で北設地区の可燃ごみを処理する。
(理由) 北設地区は、新城市に隣接するため、運搬のロスが少ないとともに、新城市の焼却施設の能力で北設地区分の可燃ごみ受入は可能である。
・ 一時的なごみ量の増加や施設トラブルなどで新城市の焼却施設が能力不足となり、北設地区の可燃ごみを処理できない場合には、豊川市又は蒲郡市の焼却施設において受入支援を行う。
ステップ2
・ 豊川市の1,3号炉と蒲郡市の焼却施設の更新時期を合わせ、豊川市の1,3号炉と蒲郡市の焼却施設を1焼却施設に統合し新設する。そのために、豊川市の1,3号炉は延命化の対策を施す。
(理由) 豊川市の1,3号炉を廃止した場合、東三河ブロック内では受け入れることができる焼却施設がないため、蒲郡市の焼却施設の更新時期が来るまでは使用し続ける必要がある。
ステップ3(計画目標年次における体制)
・ 計画期間終期において新城市の焼却施設は耐用年数を超えるが、延命化対策を施すことにより施設の維持を図り、本計画期間内(平成43年度まで)においては豊川市・蒲郡市と、新城市・北設地区の2体制を維持する。
・ 新城市焼却施設の処理能力低下などで、新城市・北設地区の焼却処理が滞る場合は、豊川市・蒲郡市において受け入れ支援を行う。
ステップ4(次期計画期間)
・ 豊川市の5,6号炉及び新城市焼却施設の耐用年数を勘案して、最終的に焼却施設を1施設とするための方策を決定する。
2.広域処理体制構築にあたっての課題
2-1収集運搬の課題
・焼却施設の建設場所によってはどの自治体にも中継施設設置の必要が生じる可能性があり、最終的な建設場所選定時には中継施設設置も含めた検討を行う必要がある。
2-2施設整備の課題
・粗大ごみ処理施設、資源ごみ処理施設、最終処分場の3施設も、今後、広域対応の可能性についてブロック内で検討する必要がある。
・可燃ごみ処理施設における焼却残渣の溶融の必要性について、意思決定を済ませておく必要がある。
2-3組織運営上の課題
・広域の運営体制を委託方式とするか、一部事務組合方式とするか。また、過渡期の施設整備や運営体制についても、それぞれの中で調整し、決定する必要がある。