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豊川市 きらっと☆とよかわっ!
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パブリックコメント「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画(案)」テキスト版資料

更新日:2013年1月4日




※このページは、視覚障害のある方などで、音声読み上げソフトを使ってホームページの閲覧をされている方のために、PDF形式ではなく、極力、図の使用を控えて作成したページです。そのため、レイアウトの崩れた部分などがありますが、ご了承ください。


人権教育・啓発に関する豊川市行動計画(案)テキスト版用


第1章 人権施策をめぐる背景
1-1 国際的動向及び我が国の動向
(1)国際的動向
第二次世界大戦後に設立された国際連合は、その憲章において前文で基本的人権と人間の尊厳などを確認するとして、第1条で「人種、性、言語または宗教による差別なく、すべての者のために人権及び基本的自由を尊重」することを示しました(昭和20年(1945年))。
主な人権に関する国際連合の動向・条約等
昭和20年(1945年)国際連合成立。国際連合憲章調印
昭和23年 (1948年) 国際連合人権委員会が人権規約を具体化した「世界人権宣言」採択
昭和24年(1949年)「人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約」採択
昭和34年(1959年)「児童の権利に関する宣言」採択
昭和40年(1965年)「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)」採択
昭和41年(1966年)「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」及び「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」の二つの国際人権規約採択
昭和42年(1967年)「婦人に対する差別撤廃宣言」採択
昭和43年(1968年)「国際人権年」
昭和50年(1975年)「国際婦人年」(「国際婦人の10年」:昭和51年(1976年)から昭和60年 (1985年))
昭和54年(1979年)「国際児童年」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」採択
昭和56年(1981年)「国際障害者年」
平成元年 (1989年)「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」採択
平成6年 (1994年)「人権教育のための国連10年」(平成7年(1995年)~平成16年(2004年))決議
平成11年(1999年)「国際高齢者年」
平成13年(2001年)「人種主義、人種差別、排外主義、不寛容に反対する動員の国際年」
平成18年(2006年)「障害のある人の権利に関する条約」採択
平成19年(2007年)「先住民の権利に関する国際連合宣言」採択
平成20年(2008年)国連人権理事会「アイヌ民族との対話」勧告、国連人権理事会「ハンセン病差別撤廃決議」採択
(資料)外務省資料、長崎人権研究所資料など
昭和20年(1945年)に国際連合憲章で示された人権尊重の考え方は、国際連合設立の目的の一つとされました。昭和23年(1948年)には、国際連合人権委員会が人権規約を具体化した「世界人権宣言」が採択されました。
これをスタートにして、国際連合においては相次いで人権にかかわる条約とともに、2つの国際人権規約、すなわち「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」、「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」を採択してきました。
また、「国際婦人年」、「国際障害者年」、「国際高齢者年」など重要なテーマごとに国際年が定められてきました。
平成6年(1994年)には、「人権教育のための国連10年」とする決議とその行動計画が採択され、人権教育は国際社会が協力して進めるべき基本的課題であるとされ、「国内行動計画」を策定することなど世界中が人権教育・啓発に積極的に取り組むことを強く求めています。
(2)国及び愛知県の動向
(2)-1我が国の動向
我が国においては、昭和22年(1947年)に「日本国憲法」が施行され、基本的人権の尊重と保障がうたわれました。また、国際連合に加入後には、我が国は人権に関する数々の条約を締結してきており、平成7年(1995年)には「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)」を批准しました。
平成6年(1994年)の「人権教育のための国連10年」の決議を受け、平成7年(1995年)には、内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連10年推進本部」が設置され、平成9年(1997年)に「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」が策定されました。
国内行動計画においては、人権教育の積極的推進を図り、国際的視野に立って、一人一人の人権が尊重される真に豊かでゆとりのある人権国家の実現を目指すとしています。その基本的な考え方において地方自治体、民間団体等が、この行動計画の趣旨に沿ったさまざまな取り組みを展開することを期待するものとされ、あらゆる場を通じた人権教育の推進や、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者等、それぞれの重要課題への対処の方向などが示されています。
我が国の人権に関する主な動向
昭和21年(1946年)「日本国憲法」公布
昭和22年(1947年)「教育基本法」施行、「日本国憲法」施行、「労働基準法」施行
昭和23年(1948年)「児童福祉法」施行、「優生保護法」施行、「民法」改正
昭和25年(1950年)「身体障害者福祉法」施行、「生活保護法」施行
昭和26年(1951年)「児童憲章」制定
昭和27年(1952年)「外国人登録法」施行
昭和30年(1955年)「婦人の参政権に関する条約」批准
昭和31年(1956年)「国際連合」加入
昭和33年(1958年)「人身売買及び他人の売春からの搾取に関する条約」批准
昭和35年(1960年)「障害者の雇用の促進等に関する法律」施行、「同和対策審議会」設置
昭和40年(1965年)「同和対策審議会」答申、「保育所保育指針」制定
昭和44年(1969年)「同和対策事業特別措置法」施行
昭和45年(1970年)「心身障害者対策基本法」施行
昭和53年(1978年)「同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律」施行
昭和54年(1979年)「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際条約」「市民的及び政治的権利に関する国際規約」批准
昭和56年(1981年)「障害者の日」設定、「難民の地位に関する条約」批准、「今後における同和関係施策について」(同和対策協議会意見具申)
昭和57年(1982年)「難民の地位に関する議定書」批准、「地域改善対策特別措置法」施行
昭和59年(1984年)「今後における啓発活動のあり方について」(地域改善対策協議会意見具申)
昭和60年(1985年)「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」批准
昭和61年(1986年)「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律(男女雇用機会均等法)」施行
平成元年(1989年)「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(エイズ予防法)」施行
平成2年(1990年)「保育所保育指針」改定
平成5年(1993年)障害者対策推進本部「障害者対策に関する新長期計画」策定
平成6年(1994年)「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」批准、「学校における同和教育指導資料」(文部省)発行、「新ゴールドプラン(高齢者保健福祉計画)」策定
平成7年(1995年)「ILO第156号条約」、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」批准、「高齢社会対策基本法」施行、障害者対策推進本部「障害者プラン(ノーマライゼーション7ケ年戦略)」策定
平成8年(1996年)「地域改善対策協議会意見具申」、「らい予防法の廃止に関する法律」施行、「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」(閣議決定)、男女共同参画推進本部「男女共同参画2000年プラン」策定
平成9年(1997年)「人権擁護施策推進法」施行、「人権教育のための国連10年に関する国内行動計画」とりまとめ
平成10年(1998年)障害者雇用率(1.8%)の設定(「障害者の雇用の促進等に関する法律」一部改正
平成11年(1999年)「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症新法)」施行、「男女共同参画社会基本法」施行
平成12年(2000年)「児童虐待の防止等に関する法律」施行、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」施行、「男女共同参画計画」策定
平成14年(2002年)「人権教育・啓発に関する基本計画」閣議決定、「障害者基本計画」策定
平成15年(2003年)「次世代育成支援対策推進法」施行
平成17年(2005年)「障害者自立支援法」公布
平成20年(2008年)「アイヌ民族は先住民族」国会決議、「人権教育の指導方法等の在り方について(第3次とりまとめ)」
平成21年(2009年)「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」施行
平成23年(2011年)「新たな人権救済機関の設置について(基本方針)」法務省
(資料)(財)人権教育啓発推進センター、外務省資料、長崎人権研究所資料など
さらに、国の地域改善対策協議会は平成8年(1996年)の意見具申において、我が国固有の同和問題の早期解決に向けたこれまでの同和教育や啓発活動の評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきであると提言しました。
「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画 平成9年(1997年)7月
の計画より一部抜粋
○目的等
人権教育の積極的推進を図り、国際的視野に立って、一人一人の人権が尊重される真に豊かでゆとりのある人権国家の実現
人権教育とは:知識と技術の伝達及び態度の形成を通じ、人権という普遍的文化を構築するために行う研修、普及及び広報努力
1 基本的考え方
(1)人権の擁護・促進のためには、そもそも人権とは何かということを各人が理解し、人権尊重の意識を高めることが重要であり、人権教育は、国際社会が進めるべき基本的課題
(2)世界各国との連携・協力の下に、全ての人権が尊重され、あらゆる差別の解消を目指す国際社会の一員として、その役割を果たしていくことは我が国の枢要な責務
(3) 略
(4)人権教育を進めるに当っては、人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する取組を強化するとともに、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、外国人、HIV感染者・ハンセン病等、刑を終えて出所した人などの重要課題に積極的に取り組むこととする。
(5) 略
(6)地方公共団体、民間団体等が、この行動計画の趣旨に沿った様々な取組を展開することを期待
2 あらゆる場を通じた人権教育の推進
(1)学校教育(2)社会教育(3)企業その他一般社会
(4)特定の職業に従事する者:教員・社会教育関係職員、医療関係者、福祉関係職員、消防職員、公務員など
3 重要課題への対応
女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、刑を終えて出所した人等の重要課題に関して固有の問題点のアプローチとともに、法の下の平等、個人の尊重という普遍的な視点からのアプローチにも留意
平成9年(1997年)には「人権擁護施策推進法」が施行され、人権擁護推進審議会が設置されました。同審議会の答申においては、地方自治体は人権教育・啓発の実施主体として積極的な役割を果たすことが求められています。
平成12年(2000年)には「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行されました。この法律に基づいて、「人権教育・啓発に関する基本計画」が平成14年(2002年)に策定されるとともに、人権教育・啓発に関する施策の推進のための地方自治体の役割についても求められています。
1-2 愛知県及び豊川市の動向
(1)愛知県の動向
愛知県は、平成7年(1995年)に県議会において「あらゆる差別の撤廃に関する請願」についての採択の後、平成9年(1997年)に、「人権尊重の愛知県を目指して」の宣言を、全国の自治体に先駆けて行いました。
平成11年(1999年)には「愛知県人権施策推進本部」を設置し、平成13年(2001年)には「人権教育・啓発に関する愛知県行動計画」を策定しています。
その他の愛知県における取り組み
県政モニターアンケート(平成12年(2000年)6月)
平成14年度(2002年度)人権に関する県民意識調査
平成19年度(2007年度)人権に関する県民意識調査
予定:平成24年度(2012年度)意識調査
(2)豊川市の動向
旧小坂井町においては「人権教育・啓発に関する小坂井町行動計画」(平成18年(2006年)6月改訂)を策定していました。
豊川市は、旧宝飯郡4町との合併に伴い、新市の規模、地勢、地域資源等も大きく様変わりしたため、市民憲章を見直し、平成23年(2011年)4月に新市民憲章を制定しました。この、市民憲章の中でも「次代へつなぐ共生のまち」として人権の尊さがうたわれています。
市民一人ひとりの人権が保護され、人権の尊重されるまちづくりを目指して、「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画」を策定します。
関連計画としては、「地域福祉計画」、「障害者福祉計画」、「男女共同参画基本計画」などもすでに策定しており、高齢者、障害者、女性等の人権の尊重・保護についても更に取り組んでまいります。
豊川市には、第5次総合計画を始め、次のとおり関連計画があります。
豊川市の関連計画
第2次豊川市障害者福祉計画(平成18年(2006年)3月)
第2次豊川市生涯学習推進計画(平成19年(2007年)3月)
豊川市地域福祉計画(平成20年(2008年)3月)
とよかわ市民活動活性化基本方針(平成20(2008年)年3月)
豊川市次世代育成支援対策地域行動計画(後期計画)(平成22年(2010年)3月)
豊川市多文化共生推進プラン(平成22年(2010年)3月)
豊川市男女共同参画基本計画(平成23年(2011年)3月)
豊川市バリアフリー基本構想(平成23年(2011年)3月)
〇第3期豊川市障害福祉計画(平成24年(2012年)3月)
豊川市保育所人権保育指針(平成24年(2012年)3月)
第5期豊川市高齢者福祉計画・介護保険事業計画(平成24年(2012年)3月)
豊川市住宅マスタープラン(平成24年(2012年)3月)
教育振興基本計画(平成24年(2012年)3月)


第2章 人権施策推進の目標と考え方
2-1 計画策定の目的
本計画は、人権が尊重され、一人ひとりの市民が明るく豊かな生活を営むことができることを目標として、国及び県の行動計画等の枠組みを踏まえて、人権施策の総合的な展開の方向と、普遍的に人権にかかわる課題及び特に重要な課題とされている施策分野についての指針を明らかにすることを目的としています。
また、市民活動が盛んになっていることから、市民との協働によるまちづくりが重要であるという考え方を根底に据えます。
つまり、市民、事業者、行政が一体となって、家庭、地域、学校、職場などの市民がかかわるあらゆる場において、人権教育・啓発を進めます。
2-2 計画の期間
本計画は、平成24年度(2012年度)を初年度として、平成33年度(2021年度)までの10年間を目標期間とします。
また、施策の進捗状況や国・県の施策の動向、社会構造の変化を踏まえて、必要に応じて計画を見直します。
2-3 計画の基本理念
第5次豊川市総合計画でうたっている豊川市の将来像
『光と緑に映え、ゆたかで、住みよい、夢のあるまち』を目指します。
特に本計画においては、生活を送る「市民みんなの人権が尊重され、差別・偏見がなく暮らしやすい明るい豊川市」を目指すものとします。
2-4 基本的な考え方と姿勢
本計画においては次のような基本的な考え方と姿勢を持って、総合的に人権施策の推進に取り組みます。
(1)人権を尊重する意識の向上
人権の大切さとそれを尊重すること、人権の意義や重要性について、市民一人ひとりの心や考え方に定着するよう、人権を尊重する意識を高めるための啓発を行います。
市民が日常生活において、人権問題について常に捉える感性を養うとともに、人権に配慮する姿勢を持ち行動するような人権感覚を身につけることを目指します。
(2)個人の尊厳の確保と共生社会の形成
市民一人ひとりが自立した人間として尊厳が保たれ、個人個人が自由な意思と社会的責任を担って能力を発揮することができる社会を目指します。
社会は、性別、年齢、考え方、習慣が異なり、国籍、文化などの背景が異なる一人ひとりにより構成されており、互いに人権を尊重して支え合う共生社会の形成を目指します。
(3)多様な価値観を持つ社会づくりと少数意見の尊重
社会の持続性を高めるためには、多様な価値観を持つ市民が協力して、少子高齢化の進展をはじめ予想が困難な社会構造の変化に対応することが求められます。
このため、地域や行政においては、日ごろから地域住民に対してコミュニティへの参加を強力に呼びかけるとともに、少数意見などにも十分な配慮をしていかなければなりません。
(4)協働による意識改革と社会づくりの推進
人権尊重は一人ひとりの意識改革と日常生活のすごし方というように個人の意識と行動に帰結することであり、さらに、地域、職場、学校などの集団の取り組みによって、時間をかけて達成されていくものです。
このため、市民の人権が尊重される社会を形成するためには、行政のみが大きな役割を果たすのではなく、市民、事業者、行政が協働により取り組みます。
計画の構成
基本理念
◆豊川市の将来像『光と緑に映え、ゆたかで、住みよい、夢のあるまち』の実現
◆市民みんなの人権が尊重され、差別・偏見がなく、暮らしやすく明るい豊川市
基本的考え方・姿勢
○人権を尊重する意識の向上
○個人の尊厳の確保と共生社会の形成
○多様な価値観を持つ社会づくりと少数意見の尊重
○協働による意識改革と社会づくりの推進
取り組み
あらゆる場を通じた人権教育・啓発の推進(第3章)
○家庭・地域社会における人権教育・啓発の推進
○学校等における人権教育の推進
○職場における人権教育・啓発の推進
○行政における人権啓発活動の推進
重要課題への対応(第4章)
○女性
○子ども
○高齢者
○障害者
○同和問題
○外国人
○HIV感染者・ハンセン病患者等
○さまざまな人権


第3章 あらゆる場を通じた人権教育・啓発の推進
【現状と課題】
人権が尊重され、差別や偏見のない社会をつくっていくためには、行政をはじめ市民一人ひとりが正しい認識を持ち、努力を続けていく必要があります。
現代的な学習課題とも言える人権について、人権尊重の社会づくりの担い手である市民の積極的な取り組みが促進されるよう、学習の振興、教育・啓発が必要です。
このため、人権に関する学習、教育・啓発について、家庭、地域、学校、職場のあらゆる場において進めることが不可欠です。
豊川市人権に関する市民意識調査結果(以下、アンケート調査結果と記述)においては、今の日本は基本的人権が尊重されているのかについて「そう思う」と回答した人は40.1%ですが、「どちらともいえない」は35.7%、「そう思わない」は14.7%になっています。人権が尊重されているという感覚は必ずしも強くなく、今後も社会のあらゆる場や機会を通じた人権教育・啓発が必要と考えられます。
近年、家庭や地域においては教育力の低下が懸念されています。学校や職場等で人権に対する意識を高めることや、さまざまな場の相互の連携により人権に対する学習や教育を深めていくことが課題です。


 豊川市人権に関する市民意識調査の概要
 調査対象 豊川市在住の20歳以上の男女
 抽出方法 無作為抽出
 調査方法 郵送配布・郵送回収
 調査時期 平成23年7月
 配布数 4,000票
 回収数 1,513票(有効回収数 1,503票)
 回収率 37.8%(有効回収率 37.6%)
3-1 家庭・地域社会における人権教育・啓発の推進
【現状と課題】
人権が尊重され、差別や偏見のない社会をつくっていくためには、人権尊重の担い手である市民一人ひとりが、積極的に人権について学ぶことができる環境づくりが必要です。また、人権に関する学習、教育・啓発は、家庭や地域、学校、職場といった、あらゆる生活場面において取り組まれることと、関係する場が学習機会の提供について協力することが必要です。
アンケート調査結果では、市民一人ひとりの人権意識が10年前に比べて「高くなっている」と感じている人は36.3%となっていますが、「どちらともいえない」と答えた人も34.8%います。このため、今後もあらゆる場を通じた人権教育・啓発を進めていく必要があります。
豊川市では、少子高齢化がますます進むことが予想され、地域の連帯意識が薄れることが懸念されますが、日常生活や地域社会の健全な発展のためにも、あらゆる場において人権尊重を推進することが必要です。
このための出発点として、一人ひとりが、家庭や地域から、人権を大切にして暮らしていくことを促します。
【取り組みの方向】
(1)家庭における教育力の向上
○家庭の絆や地域における連帯意識を高めるとともに、人権について学び合う教育力を高めることを支援します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1家庭における教育力を高めるための支援をします
○家庭における人権に関する啓発と教育力の向上を支援するために、子育て支援に関する各種事業の充実を図ります。また、子を持つ親を対象とした人権に関する学習機会や、父親の家庭教育参加の支援などを工夫します。
○家庭での男女共同参画を進めるために、家庭や地域、市民活動団体向けジェンダー研修プログラムを作成し、出前講座、情報提供などを行います。
【主な担当課】
子ども課/生活活性課/地域安心課/生涯学習課
(1)-2家族がふれあう機会を充実します
○家族の絆を深めるとともに心が通う地域づくりのために、「家庭の日」の周知・啓発を図ります。
○地域における町内会行事、スポーツ行事等への参加を促して、家族がふれあう機会の提供に努めます。
【主な担当課】
生活活性課/生涯学習課/市民体育課
(2)地域社会における人権尊重の環境づくり
○市民が地域でのふれあいと支え合いについて学ぶ意識を高め、地域、家庭、学校、行政などが連携して人権擁護を進めます。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1みんなでふれあい、地域福祉を学びます
○市民が地域でのふれあいと福祉を推進する担い手となるために、地域での支え合い意識の向上や、地域活動者の意識改革の推進を図ります。
○子どもの時からの助け合いの意識を持つように福祉教育を進めるとともに、地域における世代間交流を促すことにより地域全体で人権尊重や子育て、支え合いの意識の向上を図ります。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/学校教育課
(2)-2地域社会、家庭、学校、行政などの連携・協力の強化を図ります
○人権擁護委員の活動支援や関係団体の連携を図ります。
○PTA、町内会役員、民生委員・児童委員、地域、家庭、学校、行政が連携・協力して、人権擁護を進めます。
【主な担当課】
福祉課/生活活性課/地域安心課/学校教育課/生涯学習課
(2)-3誰もが安心・安全、快適なまちづくりを進めます
○バリアフリー新法に基づく重点整備地区として八幡駅周辺、国府駅周辺の整備を図ります。また、誰もが外出しやすいように、歩道や道路照明灯等の整備、公共交通機関の充実を図るとともに、市内全体での安全で快適に生活できる建物や屋外の環境づくりを促します。
○市民で人にやさしいまちづくりを進めることを目指して、心のバリアフリーへの意識向上について啓発を強化します。
○高齢者、障害者をはじめ誰もが住みなれた地域で快適に暮らせるよう、住宅改修支援などの施策を展開します。
【主な担当課】
福祉課/介護高齢課/地域安心課/道路維持課/道路建設課/建築課/都市計画課(3)学習機会の提供
○基本的人権の尊重についての考え方の周知を図るとともに、虐待防止、男女共同参画などの人権にかかわる今日的な問題を学ぶ機会を提供するとともに、市民の自主的な学習を支援します。
○人権に対して正しく普及啓発を図るために、指導者の養成を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)人権に関する基本的な知識や考え方の浸透を図ります
○人権に関する基本的な知識や考え方の浸透を図るために、基本的人権の尊重について理解促進を啓発するとともに、世界人権宣言、子どもの権利条約など国際的な人権基準の周知を図ります。
【主な担当課】
子ども課/地域安心課/国際課/生涯学習課
(2)身近で参加しやすい学習環境づくりに努めます
○人権尊重や明るい家庭・地域づくりについて学ぶ機会として、生涯学習ガイドブックなどにより地域・学習活動の情報を提供するとともに、公民館などにおける各種学習・交流活動の充実を図ります。
○市の施設において、人権の啓発資料や生涯学習情報などについて情報提供を充実します。
【主な担当課】
地域安心課/生涯学習課
(3)人権に関する多様な学習機会を提供します
○市民が人権について理解するために、啓発用パンフレットの提供や、講演会、体系的な学習講座、出前講座や参加・体験型学習など、人権について学ぶことができる幅広い機会を充実します。
○子ども、高齢者などの虐待防止、男女共同参画の推進、在日外国人との共生など人権にかかわる今日的な問題も学習のテーマとして、とりあげます。
○効果的な学習方法についての情報収集・研究を進めます。
【主な担当課】
子ども課/介護高齢課/保健センター/生活活性課/地域安心課/国際課/学校教育課
(4)市民や団体の自主的な学習活動を支援します
○市民同士がふれあう機会を増やすために、人権に関する学習資材の提供や、コミュニティ、市民団体などへの人権に関する研修実施機会を充実します。また、団体の自主的な学習活動を支援します。
○人権尊重について地域や市内で学びやすい機会を充実するために、ボランティア・市民活動団体に参加するための情報の提供、防災についての学習、地域のネットワークづくり、伝統文化の継承・学習を通じた世代間交流などを充実します。
【主な担当課】
生活活性課/地域安心課/防災対策課/生涯学習課
(5)人権教育・啓発を推進する指導者の養成を図ります
○人権に関する正しい学習や教育を行うことができるように、指導者養成のための学習機会を設けます。
【主な担当課】
地域安心課/学校教育課
3-2 学校等における人権教育の推進
【現状と課題】
学校・幼稚園・保育所は、将来の豊川市を担う子どもを育成する場であり、子ども同士が相手を大切にして、違いを認め合い、信頼感のある温かい人間関係をつくる教育が必要です。
また、児童生徒や幼児は、感受性が強い時期であり、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、外国人、HIV感染者などに対するあらゆる差別や偏見をなくすために、基本的人権に対する意識を養っていく必要があります。
アンケート調査結果において、人権が尊重される社会を実現するために必要なことは何かとの問に対して「幼稚園、学校などにおいて人権教育を充実させる」と答えた方が48.4%と最も多く、子どもの頃から人権教育を行うことが重要です。
これまで豊川市は、基本的人権を重視した教育を行ってきましたが、いじめや不登校をはじめとするさまざまな課題において、学校と家庭、地域などが連携して取り組むことや、国際化、情報化、少子高齢化など近年の子どもを取り巻く環境が大きく変化していく中で、人権について正しく判断して、行動することができる子どもを育てていくことが課題です。
【取り組みの方向】
(1)あらゆる教育活動を通じた人権尊重の教育の充実
○学校教育においてはもちろん、就学前も含めて子どもや親を対象として、人権尊重意識を高める機会を提供します。
○学校等が、人権教育について情報収集を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1就学前も含めて人権尊重の教育を推進します
○就学前も含めて子どもや親が人権尊重意識を高めるようにするために、交流や体験を通じた人権尊重精神の基礎を築く教育や保育を進めます。
○学校教育などにおいては、各教科、道徳など全教育活動を通じて、人権尊重の意識を高めるための教育を充実します。
【主な担当課】
子ども課/学校教育課
(1)-2人権尊重教育の内容・方法などを充実します
○子どもの感性を大切にしながら豊かな心を育むために、学校教育においてボランティア活動や地域などとの交流の機会や、総合的な学習などを通じた体験学習を充実します。
○子どもが人権を自分で考えるための機会を充実していきます。また、職場体験学習、福祉実践教室なども人権を考える機会として、活用します。
【主な担当課】
学校教育課
(1)-3人権尊重教育についての情報を提供します
○豊川市小中学校人権教育研究会において、各学校での取り組みを研究紀要にまとめ、情報提供を図ります。
【主な担当課】
学校教育課
(2)教職員・保育士の指導力の向上
○教職員・保育士が子どもに人権教育を行うことができるように、情報収集や研修等の機会を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1教職員・保育士の指導力の向上を図ります
○人権にかかわる的確な教育を行うことができるように、教職員・保育士の研修や学習機会の充実を図ります。
○就学前から人権意識を養うために、人権保育について保育士と関係機関が十分に情報収集を行い学ぶように努めます。
○小中学校教職員は豊川市小中学校人権教育研究会を活用し、教職員の人権尊重の意識を高めます。
【主な担当課】
子ども課/地域安心課/学校教育課
(3)安心して楽しく学ぶための環境づくり
○子どもが安心して学校で学ぶことができるように、人権に配慮した教育指導を行うとともに、保護者なども含めて対象にした相談の充実を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(3)-1人権に配慮した教育指導と学校づくりを進めます
○子どもの人間性を育むために子どもに対する人権に配慮した教育指導を徹底します。
○人権尊重及び男女共同参画の推進を図るために、保育及び学校教育において男女混合名簿の導入など多様な方策の導入を図ります。
【主な担当課】
子ども課/学校教育課
(3)-2児童・生徒に対する相談体制を整備します
○児童・生徒が心身ともに健やかに学校生活をすごし育つように、スクールカウンセラーやハートフル相談員の設置など相談体制の充実を図ります。
○保護者、児童・生徒、学校関係者に対する心理教育相談「ゆずりは」の活動を充実します。
【主な担当課】
学校教育課
(4)家庭・地域社会・行政との連携強化
○保育所や学校と家庭・地域・行政との連携を強化して、人権にかかわる問題の解決と、人権教育・保育を進めます。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(4)-1家庭・地域社会・行政との連携・協力の強化を図ります
○保育や学校教育について家庭・地域への情報提供を充実するとともに、民生委員・児童委員、学校評議員との連携を強化して、いじめなどの人権にかかわる問題を話し合う機会の充実に努めます。
○保育所や学校と家庭・地域・行政との連携を強化して人権保育・教育に取り組むために、子ども会への支援や、地域活動の充実を図ります。
【主な担当課】
子ども課/学校教育課/生涯学習課
3-3 職場における人権教育・啓発の推進
【現状と課題】
企業等は、地域に雇用を創出し、地域経済を支えるために大きな役割を担っており、就労者が快適に働き続けることができる環境づくりが重要です。
同時に、企業は社会に貢献して、市民とともに豊かな地域の創造を目指していく責務があります。
世界的な金融危機や東日本大震災の影響で、企業の経営環境は厳しくなっていますが、男女の賃金等の処遇の格差是正の問題、仕事と家庭の両立を可能とする環境整備の問題、高齢者の継続雇用の問題、障害者の法定雇用率達成の問題、セクシュアル・ハラスメントの問題など、取り組むべき課題が山積しています。
アンケート調査結果によると、人権を侵害されたと思った場面では、「地域や職場などにおいて仲間はずれやいじめなど不当な扱いを受けた」や「パワー・ハラスメント行為を受けた」など、職場にかかわることが目立っています。
こうした中で、豊川商工会議所など経済界においても男女雇用機会均等の確保をはじめ、人権を尊重する企業経営などについて啓発を行ってきましたが、今後も企業が主体的に人権教育・啓発に取り組むことが求められます。
【取り組みの方向】
(1)市の職場における人権教育・啓発の充実
○市は全庁的に人権尊重を基本として、職務を遂行します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1人権尊重を基本とした職務を遂行するための教育・啓発を充実します
○市職員が市民の人権を守り人間尊重を基本として職務を遂行するために、職員研修を実施します。また、講演会などへの職員の参加促進や、研修指導者の養成を図ります。
○市民が安心して行政サービスを利用することができるように、職務や事務において人権尊重を基本とする接遇、各種申請書類などの点検、個人情報の保護についての徹底を図ります。
【主な担当課】
人事課/地域安心課
(2)特定の職業に従事する者に対する人権教育・啓発の充実
○人権教育・啓発の推進にあたっては、とりわけ人権にかかわりが深く、より高い人権意識を持って職務に従事することが求められる特定の職業に従事する者に対して、研修等による人権教育・啓発を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1教職員に対する人権教育・啓発を充実します
○学校は、児童生徒の人格形成に大きな影響を与える場であり、教育内容や学校運営などにおいて広く人権の視点が重視されなければなりません。このためには、まず、教職員自身が人権に対する正しい認識と意識を持つことが必要です。
○学校においては、教師と児童生徒の信頼関係に立って、子ども一人ひとりの人権を大切にした教育活動の徹底を図るとともに、教職員の人権意識の高揚や人権教育を実施する指導者として必要な知識や指導力を高めるために、研修の充実を図ります。
○子どもたちへの指導においては、発達段階に応じた指導内容を設定するとともに、指導方法に工夫を凝らし、人権教育の充実に努めます。
【主な担当課】
地域安心課/学校教育課
(2)-2消防職員に対する人権教育・啓発を充実します
○消防職員は、その職務が住民の生命、身体及び財産を守るという地域住民の暮らしと密接に関係することから、人権問題を正しく理解し人権を尊重した行動を取ることが必要です。
○消防職員に対しては、消防学校において初任者の人権教育を受けるとともに、各職場において人権教育が継続的に実施されるように努めます。
【主な担当課】
地域安心課/消防本部
(2)-3医療、保健関係者に対する人権教育・啓発を充実します
○医療・保健関係業務に従事する者は、疾病の予防や治療、保健指導など人の命と健康を守ることを使命としています。高齢化の進展や慢性疾患を中心とした疾病構造の変化の中で、医療の質の向上に対する国民の要望はますます高まっています。
○業務の遂行にあたっては、インフォームドコンセント(患者に対する十分な説明と同意)の徹底やプライバシーへの配慮、病歴等診療情報の保護に努めるなど、高い職業的倫理と人権意識に基づいた行動が求められています。
○病院施設などにおける人権教育・啓発の充実を働きかけるとともに、医療、保健関係団体に対しても人権教育・啓発への積極的な取組が行われるよう促します。
【主な担当課】
保健センター/地域安心課/市民病院
(2)-4福祉関係者に対する人権教育・啓発を充実します
○福祉関係の業務に従事する者は、高齢者、障害者、子どもなどに対する生活相談や介護などの業務に直接携わる立場にあります。
○そのため、個人のプライバシーや人間の尊厳に対する認識など、高い職業的倫理と人権意識を持ち、社会的・経済的にハンディキャップを負った人々の自立と自己実現を援助するという役割を果たしていかなければなりません。
○これら福祉関係従事者の人権意識の普及・高揚を図るため、人権教育・啓発の充実や、福祉関係団体等に対する人権教育・啓発への積極的な取り組みの促進などの働きかけを行っていきます。
【主な担当課】
福祉課/こども課/介護高齢課/地域安心課
(3)企業等への啓発の充実
○職場における人権の尊重や男女共同参画を進めることについて、企業等の社会的責任として啓発していきます。
○企業の責任として、個人のプライバシーの保護と情報管理の徹底について啓発します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(3)-1雇用や職場における均等な機会と待遇の確保を推進します
○誰もがいきいきと働くことができる環境づくりを目指して、事業所に対して男女雇用機会均等法や労働基準法などの周知と、男女の均等な雇用機会と待遇の確保を図るため啓発を実施します。
○職場におけるセクシュアル・ハラスメントを始めとするさまざまなハラスメントや待遇等に関する相談を実施します。
○男女同一待遇、正規・非正規労働者の格差解消の啓発など、事業所の社会的責任についての意識の向上を図ります。
【主な担当課】
生活活性課/商工観光課
(3)-2就労の場における男女共同参画を推進します
○事業所における男女共同参画を推進するために、性差別のない職場づくりを啓発するとともに、事業所への出前講座、積極的改善措置のための情報提供を充実します。
○自営業における男女共同参画の普及啓発を行います。
○農家における家族経営協定の普及啓発を行います。
○農家における男女共同参画を推進するため、農村生活アドバイザーの活用を図ります。
【主な担当課】
生活活性課/農務課/商工観光課
(3)-3個人のプライバシーに対する正しい理解を啓発します
○人権尊重の立場から、事業所や市民に対して、プライバシーの保護や個人情報保護などに関する啓発を行います。
【主な担当課】
地域安心課
3-4 行政における人権啓発活動の推進
【現状と課題】
人権とは、「私たちが人間らしく生きるための権利で、人種や民族、性別などの違いを超えて、万人に共通した一人ひとりに備わった権利」、「社会において幸福な生活を営むために必要な人間として当然に持っている固有の権利」などと言えますが、人権尊重の理念に関する市民の理解を深めて、明るい社会を築くためには、啓発が重要です。
我が国では、世界人権宣言が採択された12月10日が「人権デー」として定められ、12月10日を最終日とする一週間を「人権週間」と定めて啓発活動を行っています。
また、全国人権擁護委員連合会では、6月1日を「人権擁護委員の日」と定め,全国一斉「人権擁護委員の日」特設人権相談所を開設するなど、啓発活動を行っています。
豊川市においても、「人権週間」などを生かして、人権尊重についての啓発活動を行うとともに、広報紙、ホームページなどにより、継続的に啓発を行っています。また、各種相談窓口においても、人権にかかわる相談と支援体制を整えています。
アンケート調査結果によると、人権が尊重される社会を実現するために必要なことでは、「幼稚園・学校などにおいて人権教育を充実させる」と答えた人が48.4%に達しており、次いで、「一人ひとりが自分の人権意識を高めるように努める」、「社会的に弱い立場にある人を救済、支援していく」、「人権にかかわりがある職場に勤める人の人権意識を高める」が多くなっています。特に、子育て世代を中心として、「幼稚園・学校などにおいて人権教育を充実させる」という割合が高くなっています。
このように、市民も人権尊重に向けて、啓発や教育の重要性を認識しており、国による救済機関についての検討の動きなどを踏まえながら、人権教育・啓発の促進と相談機能を充実することが必要です。
【取り組みの方向】
(1)啓発活動の充実
○人権を尊重することの大切さについて市民全体の理解を深めるために、広報紙などの媒体を活用するとともに、人権週間などの機会を生かして、啓発や情報発信を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1広報紙・ホームページ等を活用します
○人権尊重の大切さについて広く市民の理解を促進するために、市の広報紙・ホームページによる啓発を進めます。
○CATVなどのメディアを活用して、人権尊重の考え方や取り組みなどを情報発信します。
○人権啓発用パンフレットやチラシを作成し、さまざまな人権に対する偏見や差別について、正しい知識の普及を図ります。
【主な担当課】
地域安心課
(1)-2人権週間などの機会を捉えて啓発します
○人権週間、男女共同参画週間、児童福祉週間、児童虐待防止推進月間、老人週間、障害者週間などの機会を捉えて、人権尊重について広報紙などへの記事掲載、街頭PRを行うなど、啓発活動を充実します。
○図書館、児童館、保健センター、文化センターなどの施設を利用し、啓発資料の掲示、配布を行うなど、啓発活動を充実します。
○おいでん祭など市のイベントに参加し、多くの市民に人権尊重についての啓発活動を充実します。
○人権講演会をホールや学校などで開催し、基本的人権の尊重や男女共同参画などについて広く市民への啓発活動を充実します。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/介護高齢課/保健センター/生活活性課/国際課/地域安心課/生涯学習課
(2)人権侵害に対する相談・支援体制などの充実
○人権に関する情報収集を行い、市民が問題を抱えた時には適切・迅速に相談ができる体制を整えます。
○市民が互いに人権を尊重して、地域や事業所において支え合うことを促すとともに、ボランティア・市民活動団体と連携して支援を行う体制を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1人権に関する情報収集と意識調査などを充実します
○人権に関する市民意識の把握に努めます。
○市民意識、人権に関する国・県や他の市町村の施策動向、市民・事業者の取り組みについて把握して、今後の啓発や取り組みの推進のために生かします。
【主な担当課】
秘書課/地域安心課
(2)-2人権侵害に対する相談・支援体制などを充実します
○人権侵害についての不安の解消や人権を侵害されたことに対して問題解決できるように、市民にとって身近で相談しやすい窓口づくりに努めます。
○いじめや不登校、児童虐待、ドメスティック・バイオレンス(DV)、暴力を受けた人の支援のためのカウンセリングやシェルター、外国人の生活支援、福祉サービス利用者等の権利擁護などについて関係機関や市民活動団体などと連携して対策を講じます。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/介護高齢課/生活活性課/地域安心課/国際課/学校教育課
(2)-3みんなで助け合い支え合うしくみをつくります
○市民が互いに人権を尊重して、助け合い、支え合う明るい地域社会を築くために、地域組織の育成を図ります。
○市民活動、地域福祉活動の活性化や、地域組織と民生委員・児童委員や福祉委員等との連携を強化し、支え合いのための支援を充実します。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/介護高齢課/生活活性課
(2)-4高齢者、障害者やその家族に対する各種相談を充実します
○高齢者、障害者やその家族に対する支援と人権の擁護を図るために、障害者相談、成年後見制度の利用などの支援を行います。
○障害者地域自立支援協議会、民生委員・児童委員などの活動の充実や、巡回訪問、介護・保健・福祉の相談窓口の充実など、相談・支援体制を整えます。
【主な担当課】
福祉課/介護高齢課/保健センター
(2)-5子育て・介護など家庭への支援を充実します
○明るい家庭を築くために、悩み事を家庭で抱えすぎないように、子育て・介護・福祉などに関する相談体制の充実と、その利用促進のための周知を図ります。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/介護高齢課/保健センター
(2)-6協働で明るいまちづくりを進めます
○市民が、人権尊重のための活動に、市や事業所と協働して取り組むことを促し、明るいまちづくりを進めます。
○明るいまちづくりを進めるため、ボランティア活動の人材発掘や育成、支援を実施します。
○人権尊重のための施策を推進するため、関係各課が連携するとともに、市民と市が協働して取り組む体制づくりを充実します。
【主な担当課】
生活活性課/地域安心課


第4章 重要課題への対応
【現状と課題】
国や愛知県等においては、人権にかかわる重要課題として、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者等を対象とした人権尊重のための施策を示しています。
アンケート調査結果で質問した、人権侵害にかかわる重要な問題については、「障害のある人の人権」と回答した人が52.8%、次いで「高齢者の人権」、「子どもの人権」、「インターネットによる人権侵害」、「女性の人権」の回答割合が高くなっています。
市民意識を踏まえながら、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者等やそのほかの多様な、あるいは新たな人権問題に対処していくことが必要です。
4-1 女性
【現状と課題】
国際連合は創設当初から女性の地位向上に取り組み、我が国においても、昭和60年(1985年)に「女子差別撤廃条約」を批准し、平成8年(1996年)には「男女共同参画2000年プラン」の策定、平成11年(1999年)には「男女共同参画社会基本法」の制定を行うなど、総合的な取り組みを進めてきました。また、愛知県など地方自治体においても、男女共同参画に向けた取り組みを充実してきました。
豊川市においては、平成13年(2001年)に「とよかわ男女共同参画プラン」を策定し、平成21年(2009年)には男女共同参画の推進に関する基本理念や市と市民、教育に携わる者、市民活動団体、事業者の役割を明記した「豊川市男女共同参画推進条例」を制定しました。
さらに、平成23年(2011年)には、豊川市の指針として男女共同参画施策を推進するための行動計画「豊川市男女共同参画基本計画」を策定しました。
アンケート調査結果によると、女性の人権については、「結婚・出産などにより女性が仕事を続けにくい社会環境」が56.9%、「働く場における差別待遇」が50.1%と、いずれも半数を超え、女性の社会進出を支援する仕組みが求められています。次いで「強姦、強制わいせつ等の性犯罪や売買春」が33.9%、「セクシュアル・ハラスメント」が31.5%と、高くなっており、女性に対する暴力の根絶に向けた対策が必要となっています。
アンケート調査結果を性別・年齢別でみても、すべての階層で「結婚・出産などにより女性が仕事を続けにくい社会環境」の割合が高く、女性が能力を発揮できる働きやすい環境づくりが課題となっています。
また、国においては、平成19年(2007年)に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と、これに基づく「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されました。男女共同参画の視点からも、男女が共にそれぞれの生き方を尊重し、仕事や家庭生活、地域生活などにバランスよく参加できる、ワーク・ライフ・バランスの実現が望まれており、男女の意識の改革、事業所に対する取り組みへの理解、社会環境の整備を図る必要があります。
【取り組みの方向】
(1)男女が互いに人権を尊重できる人づくり
○学校や家庭、職場において男女共同参画意識の向上を図るとともに、女性などに対する暴力の根絶と防止を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1人権を尊重し男女共同参画意識の向上を図ります
○人権の尊重及び男女共同参画を着実に進めるために、男女共同参画社会基本法や豊川市男女共同参画推進条例などの周知、男女共同参画情報紙「ゆい」や各種パンフレットなどの活用、講演会・講座・研修会などにより啓発を図ります。
○メディアや広報紙などにおいて人権及び男女共同参画に配慮した表示や表現をするよう働きかけるとともに、公的出版物、ホームページなどにおいてもジェンダーの視点に配慮した取り組みを行います。
○児童・生徒が人権尊重や男女共同参画について、学び、必要な情報を主体的に選択できる能力を養います。
【主な担当課】
秘書課/生活活性課/学校教育課
(1)-2女性などに対する暴力の根絶対策を充実します
○配偶者などからの暴力の根絶、被害者保護の促進のために、啓発・研修会などを実施するとともに、関係機関やボランティア・市民活動団体とのネットワークをつくります。
○セクシュアル・ハラスメントを防止するために、事業所に対し、セクシュアル・ハラスメント対策を就業規則に設けることやガイドラインを作成することを啓発し、就業者に対しては労働相談窓口の周知を図ります。市職員については服務規程などによりセクシュアル・ハラスメントの防止対策を実施します。
【主な担当課】
人事課/福祉課/子ども課/介護高齢課/生活活性課/商工観光課/市民病院
(2)仕事と生活が調和する社会づくり
○子育て中の女性がワーク・ライフ・バランスを実現することができるように、事業所や男性に対して啓発を行います。
○子育てや介護に対しての女性の負担を軽くするために、保育や福祉サービス等の支援を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1仕事と生活の調和がとれた体制・環境をつくります
○仕事と生活の調和のとれたワーク・ライフ・バランスの実現を目指して、事業所に対してファミリー・フレンドリー企業や育児・介護休業制度、ボランティア休暇制度の導入、社会活動への参加などの啓発を図ります。
○男性の家事能力の向上と育児や介護への参加をはじめ、子ども会やPTAなど地域活動への男性の参加を促します。
【主な担当課】
子ども課/保健センター/生活活性課/商工観光課/学校教育課/生涯学習課
(2)-2子育て及び介護を支援します
○子育て中の女性の負担を軽減するために、市民ニーズに合った保育サービスや、子育て相談、子育て自主グループ、子育てボランティアの育成など子育て支援を充実します。
○子どもの居場所づくり、子育てに悩んでいる親や青少年に対する相談、医療費助成制度の充実を図るとともに、子育て中の家族が安心して利用できる公共施設の整備を図ります。また、子どもや若者を健全育成するための啓発を充実します。
○子育て中の女性や要介護者を抱えた家族を支援するために、保健・医療・福祉・介護の連携を図り、総合的な窓口の整備、誰もが介護に携わることができる体制や介護に携わる者の健康管理、支え合いのための環境整備を図ります。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/介護高齢課/保険年金課/保健センター/生涯学習課
(3)女性の参画の促進
○社会における方針決定、計画立案の場への男女の対等な参画を実現するために、女性の登用を図るとともに、女性の能力を高めるための機会を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(3)-1方針決定、計画立案等の場への女性の参画を促進します
○事業所及び団体、地域における方針決定、計画立案の場への男女の対等な参画を目指して、女性の登用を促します。
○市の審議会等委員における女性委員の登用や市民公募による登用を促進します。
○女性の能力発揮・スキルアップのため、エンパワーメント講座の開催や女性のチャレンジ、起業に関する情報提供、離職した者の能力開発などの支援を実施します。また、地域における女性リーダーを発掘・育成するとともに女性人材リストを作成し、人材を活用します。
【主な担当課】
生活活性課/商工観光課/生涯学習課
4-2 子ども
【現状と課題】
子どもたちは、豊川市の次代を担う存在であり、健やかな子育てができ、健康でたくましく、明るい子どもが成長していく地域社会の形成が必要です。
我が国においては、昭和23年(1948年)に「児童福祉法」が、昭和26年(1951年)に「児童憲章」が定められ、「子どもの権利に関する条約」が批准されるなど、子どもの権利を保障する制度が整えられてきました。
豊川市においては、「次世代育成支援対策地域行動計画」などにより、子育てや子どもの成長過程などに応じて、総合的に子育ての環境を整える中で、子どもの人権の尊重を進めてきました。
しかし、近年、全国的に出生率の低下や少子高齢化、核家族化や地域社会の希薄化が進んでいる中で、子どもや子育て世代を取り巻く環境は厳しくなっていると考えられます。たとえば、いじめの増加、少年非行の凶悪化、児童虐待の増加、性の商品化、薬物乱用の低年齢化など、子育ての上で課題が多く見受けられます。
アンケート調査結果では、子どもの人権で問題となっていることについては「保護者による子どもへの暴力や育児の放棄などの虐待」と答えた人の割合が81.0%を超えて特に高くなっています。
これらに次いで、「子ども同士による暴力、いじめ、無視などの仲間はずれ」、「インターネットを使ってのいじめ・悪口・中傷」、「大人による一方的な考えの押しつけ、自分の意思を子どもに強制すること」の割合が高く、インターネットなど近年の環境変化に伴う課題も挙げられています。特に小学生や中学生の子どもがいる年齢層の「30~39歳」では、「保護者による子どもへの暴力や育児の放棄などの虐待」が88.8%となっています。
今後も子育てを取り巻く社会環境の変化に的確に対応し、子育て・子育ちを社会全体で支える仕組みを充実することが大きな課題です。
【取り組みの方向】
(1)子どもの人権を尊重する意識づくり
○子どもが人権について理解しやすくなるように、交流や体験機会の充実を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1交流や体験を通じて子どもの人権に対する理解を促進します
○子どもが、家庭・地域や学校などにおいて人権について学び理解することができるように、参加・体験的な学習機会の提供や、世代間交流事業などふれあいの機会の充実を図ります。
【主な担当課】
子ども課/学校教育課/生涯学習課
(2)豊かな人間性を育む教育の推進
○子どもの豊かな人間性を高めるために、家庭や地域、学校などのふれあいと人権教育の機会を充実するとともに、障害児の教育・保育の支援を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1家庭教育支援を充実します
○家族の絆を深めながら、家庭や地域、学校などにおける人間関係を築き人権尊重の心を養うことができるように、家族のふれあいを啓発するとともに、機会を充実します。
○子どもに正しい人権教育を行うために、子育て中の親への情報提供や支援、就学中の子を持つ親を対象とした人権に関する学習機会の提供を図ります。
【主な担当課】
子ども課/生活活性課/学校教育課/生涯学習課
(2)-2人権尊重の教育・人間性豊かな子どもを育む教育などを推進します
○学校等において人権尊重の教育を充実するとともに、豊かな人間性を育むために生命の尊重や他人への思いやりなど「心の教育」やボランティア活動、自然体験など体験活動の充実を図ります。
【主な担当課】
生活活性課/学校教育課/生涯学習課
(2)-3障害児の教育・保育の環境づくりに努めます
○障害児を抱える家族の負担を軽減し健やかな子どもの成長を支援するために、障害児教育や保育をはじめ、子育て支援を充実します。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/保健センター/学校教育課
(3)人権保育の推進(子どもの人権を守る保育の推進)
○子どもの人権を守りながら保育を進めるために、情報収集や保育士の育成を充実します。
○家庭、地域等の連携を深めて、子どもの人権を尊重しながら子育てができる地域づくりを目指します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(3)-1保育士の育成と研修を実施します
○保育士が人権の大切さを深く理解し、人権に対する正しい認識を身につけるために、保育士の研修への参加などを図り、人権に対する基本的な考え方を保育内容や施設運営に生かすように努めます。
○人権に対する心を育てる保育の理念について、保育に携わるすべての人々、保護者や子どもにも広く浸透していくように働きかけます。
【主な担当課】
子ども課
(3)-2人権保育のための情報提供の充実と情報交換を促進します
○人権保育を進めるために、情報収集と保育所相互の情報交換を行い情報の共有を図ります。
○人権保育の取り組みについて保護者に知らせ、人権に対する意識を高めるように啓発します。
【主な担当課】
子ども課
(3)-3家庭、地域、関係機関との連携による人権保育を進めます
○子どもの人権を大切にしながら家族が意欲的に子育てできるように、地域全体で子育て支援を充実するために、地域と民生委員・児童委員、主任児童委員などとの連携に努めます。
【主な担当課】
子ども課
(4)子どもが健やかに育つ環境づくりと子どもの参画促進
○子どもへの虐待防止や、障害児を持つ家庭の支援を充実します。
○青少年の社会参加の機会などを充実して、健全育成を図ります。
○子どもの健やかな成長を支援するために、子育て支援の充実や、家庭や地域における教育力の向上を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(4)-1児童虐待防止対策の強化などきめ細かな取り組みを推進します
○要保護児童対策地域協議会とともに、児童虐待防止対策の強化を図ります。
○母子・父子家庭等の自立支援や、発達に心配のある児童への支援対策、保育や教育における障害児の支援について、ボランティアの協力を得て充実します。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/保健センター/学校教育課
(4)-2青少年の健全育成に努めます
○青少年が健全な心身を養い、日常生活を明るくすごすことができるように、ボランティア活動などへの参加を促すとともに、薬物乱用の防止の徹底を図ります。
【主な担当課】
保健センター/生活活性課/生涯学習課
(4)-3地域における子育て支援を充実します
○地域における子育て・子育ちが行いやすい環境づくりを目指して、子育て支援センター、児童クラブ、児童館、子育て相談などについて、ボランティアの協力を得て充実します。
○延長保育、一時的保育、病後児保育、休日保育など、保育サービスの充実を図ります。
○児童の健全育成のために、不登校・いじめ問題への対応、情報モラル教育や放課後子ども教室などを充実します。
【主な担当課】
子ども課/学校教育課/生涯学習課
(4)-4子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境を整備します
○次代の親の育成を図るため小学生や中学生、高校生に対して乳幼児とのふれあい体験の機会を提供して、男女が協力して家庭を築き子どもを産み育てる意識を養います。
○学校教育において子どもの生きる力を養うために、体験活動の機会や地域文化や歴史・伝統を学ぶ機会を充実するとともに、地域に信頼される学校づくりを進めます。また、家庭や地域の教育力の向上を図るための支援を充実します。
【主な担当課】
保健センター/学校教育課
4-3 高齢者
【現状と課題】
我が国においては、世界でも希なスピードで高齢化が進み、団塊の世代が高齢期を迎える平成25年(2013年)には、4人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎えることとなります。
豊川市においても、平成28年(2016年)ごろには、高齢者の割合が25%を超えるという推計を行っています。
高齢化の進行に伴い、今後、寝たきりや認知症といった介護を必要とする高齢者が急速に増加するものと見込まれ、介護保険制度が平成12年(2000年)から開始され、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護や世話の放棄・放任等に対応するため、平成18年(2006年)には「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行されました。
豊川市では、高齢者が住み慣れた地域で自立して生活することができるように、地域包括支援センターの機能を強化することや、高齢社会に対応したサービスの充実や地域の形成を目指してきました。
アンケート調査においては、高齢者の人権問題については、「詐欺や悪徳商法の被害が多いこと」が56.8%、「働きたくても働ける場が少ないこと」が55.7%、「収入が少なく、経済的に自立できないこと」が47.4%と割合が高く、消費者被害や高齢者の自立が問題となっています。
また、世代間での意識のずれが目立ちます。「高齢者の意見や行動が尊重されないこと」に、高齢者は比較的高い率を示していますが60歳未満では各年代で10%台となっています。「病院などの施設で不当な扱いや身体的・心理的な虐待がある」との問には、20歳代の方は30.3%が問題だとしていますが、70歳の以上ではわずか11.9%の方しか問題としていないようです。
世代間での交流を活発化させ、互いに理解する意識を育てることが大切です。さらに、要介護高齢者に対する介護サービスの充実、寝たきりにならないための介護予防や高齢者の権利擁護の普及などによる地域での支え合い事業の推進を図っていく必要があります。
【取り組みの方向】
(1)高齢者の人権を尊重する意識づくり
○市民が高齢者の人権について理解を深めるとともに、地域における高齢者の見守りや虐待の防止に努めます。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1高齢者の人権尊重についての理解を深めるための教育・啓発活動を推進します
○市民が高齢者の人権や高齢化について理解を深めるために、社会福祉協議会、ボランティア・市民活動団体とともにパンフレット等により啓発の充実を図ります。
○高齢者大学などにおいて、高齢者の生活や健康、高齢者にかかわる問題について学ぶ機会をつくります。
【主な担当課】
介護高齢課/ 地域安心課/生涯学習課
(1)-2高齢者虐待の予防・早期発見に努めます
○敬老の精神を養い、地域において高齢者を見守ることを促すとともに、高齢者の虐待に関する知識の普及を図り、高齢者の虐待の予防や早期発見に努めます。
○虐待防止のため、高齢者虐待防止ネットワーク運営協議会を通じて関係機関との連携を図ります。
【主な担当課】
介護高齢課
(2)安心して介護サービスを受けられる環境づくり
○安心して利用することができる介護サービスを提供するために、総合的にサービスの充実を図るとともに、介護施設の現場における人権尊重とサービスの質の向上を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-2質が高い介護サービスを提供します
○安心して介護サービスを利用することができるように、地域密着型のサービス供給や包括的支援体制の充実とともに、介護予防や介護保険以外のサービスを総合的に進めます。
○利用者の経済的負担の軽減と介護保険事業運営に必要な財源確保について適切に調整して、サービスの供給体制を維持します。
【主な担当課】
介護高齢課
(2)-2介護サービスの質の向上のために的確に評価します
○介護施設関係職員などへの人権啓発や介護相談員の派遣などを行うとともに、各地の介護施設で問題となった不要な身体拘束を行わないことを徹底します。
○介護サービス事業者の講習会などへの参加を促すとともに、サービス水準の向上のために事業者の自己評価や第三者評価事業を促します。
【主な担当課】
介護高齢課
(3)高齢者の自立と生きがいづくりへの支援
○若い世代が高齢者について理解を深め、その人権を尊重することができるように、世代間交流を図ります。
○高齢者の自立と生きがいづくりを促すために、生涯学習機会の提供と就労や社会参加の支援を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(3)-1世代間交流の機会を提供します
○子どもや若い世代が高齢者との交流や体験を通じて、高齢者に対する理解を高めます。
○高齢者が生きがいを持って経験や知識、地域文化などを若い世代に伝える機会を充実します。
【主な担当課】
介護高齢課/生涯学習課
(3)-2高齢者の学習と健康づくりを支援します
○高齢者が健康でいきいきと暮らし続けることができるように、老人クラブの活動支援や高齢者大学、ボランティア・市民活動団体による支援などを充実して、介護予防や健康づくりの自主的な取り組みを促します。
【主な担当課】
介護高齢課/保健センター/生活活性課
(3)-3高齢者の就労機会や社会参加の機会を充実します
○高齢者の能力開発を支援するとともに、高齢者の雇用促進について啓発していきます。
○シルバー人材センターの充実を図るとともに、誰もが社会の中で役割を担うように、身体などに困難を抱える高齢者の就労や社会参加の機会を充実します。
【主な担当課】
介護高齢課/商工観光課
(4)高齢者やその家族が安心して暮らすための支援・環境整備
○高齢者が自宅で安心して暮らすことができるように、地域包括支援センターの充実と地域における支え合いなどを促します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(4)-1高齢者や家族に対する各種相談を充実します
○地域包括支援センターにおける介護や高齢者福祉サービスに関する相談窓口を充実します。
○認知症の高齢者を介護する家族への相談を充実します。
○消費生活センターにおける高齢者に関する詐欺や悪徳商法関連の消費相談窓口を充実します。
【主な担当課】
介護高齢課/保健センター/商工観光課
(4)-2高齢者が住み慣れた地域で快適に暮らせることを支援します
○高齢者が住み慣れた地域で暮らすことができるように、地域包括支援センターの機能強化を図ります。
○地域ケア体制における高齢者の見守りの強化と地域での交流・支え合いの創出を図るとともに、介護予防を地域を中心にして進めることなど、高齢者向けサービスを地域や事業者とともに充実します。
○高齢者が住み慣れた地域で快適に暮らせるよう、住宅改修支援などの施策を展開します。
【主な担当課】
介護高齢課/保健センター/建築課
4-4 障害者
【現状と課題】
我が国では、「障害者基本法」(昭和45年(1970年))において、障害者の自立と社会、経済、文化、その他あらゆる分野への活動に参加する機会の享受やその尊厳にふさわしい処遇が保障される権利をうたい、障害者の完全参加と平等を目指してきました。
その後も、障害者に対する国民の理解の促進と、障害者の自立支援にかかわる取り組みが進められ、平成18年(2006年)には障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指して「障害者自立支援法」が施行され、平成23年(2011年)においても一部制度改正が行われています。
豊川市においては「豊川市障害者福祉計画」、並びに「豊川市障害福祉計画」を策定して、障害者の自立支援のための体制を充実してきました。
しかし、未だに障害のある人に対する社会的な誤解や偏見が見受けられ、障害者の社会参加が困難となる場合もあります。
アンケート調査結果では、障害者の人権問題では、「収入が少なく、経済的に自立できないこと」が54.1%、「就職や仕事の内容、待遇で不利な取扱いを受けること」が49.4%と半数前後みられ、次いで、「障害のある人に対する市民の理解が足りないこと」が38.5%となっています。
年齢別でみると、20~29歳と40~49歳で「就職や仕事の内容、待遇で不利な取扱いを受けること」、20~29歳では「結婚について周囲が反対すること」や「じろじろ見られたり避けられたりすること」が他の年齢に比べ高くなっており、比較的若い世代においても障害者を取り巻く差別意識があることなどが伺えます。
【取り組みの方向】
(1)障害者の人権を尊重する意識づくり
○障害者や障害児の人権尊重やノーマライゼーションの考え方を啓発するとともに、交流や体験機会などを充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1障害者の人権尊重について理解を深めるための教育・啓発活動を推進します
○障害者の人権尊重について理解を深めるため、広報紙などを通じて、市民への啓発を充実します。
○学校教育においては、「福祉読本」の活用などを通じて、児童生徒の障害者に対する理解を深めます。
○障害者の人権に関する学習機会の充実や、障害者が自宅や地域で普通に生活することが望ましいというノーマライゼーションの考え方の普及を図ります。
【主な担当課】
福祉課/地域安心課/学校教育課
(1)-2交流や体験を通じて障害者に対する理解を促進します
○障害者に対する市民の理解を深めるために、生涯学習や地域において、ボランティアとともに車イス体験などの体験機会を提供します。
○障害者に対する子どもの理解を深めるために、幼稚園・保育所において障害児と健常児とのふれあいや、学校教育において福祉実践教室の実施や福祉施設との交流の充実を図ります。
【主な担当課】
福祉課/子ども課/学校教育課/生涯学習課
(2)障害者の自立と社会参加への支援
○障害者の自立と社会参加を促進するために、能力開発や参加機会の充実と、就労機会の確保を支援します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
障害者の地域・学習活動への参加を支援します
○障害者の生きがいの創出と社会で活躍することができる能力開発のために、障害者サークルや支援、ボランティア・市民活動団体の紹介、さまざまな分野で活躍する障害者による講座などを充実します。
○障害者が学習機会や行事などに参加しやすくなるように、障害者団体や支援ボランティアなどとの連携を強化します。
【主な担当課】
福祉課/生活活性課/生涯学習課
(2)-2障害者が働きやすい環境づくりや就労機会の確保に努めます
○障害者が自立することができるように、障害者の雇用、個々の能力について理解することや、障害者の雇用に伴う各種制度について事業者に周知・啓発を図ります。
○障害者の能力を開発し就業の機会を得ることを支援するために、障害者施設やハローワークと連携して障害者の職業訓練や職業の斡旋を進めるとともに、職親制度の活用を図ります。
【主な担当課】
福祉課
(3)障害者や家族の生活支援
○障害者や家族が安心して暮らすことができるように、福祉サービスの充実や、地域における支援の充実を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(3)-1障害者やその家族が安心して暮らせるように支援します
○障害者やその家族の生活を支援するために、医療、保健、療育、教育、福祉の連携強化により福祉サービスなどの充実を図るとともに、的確な情報提供を充実します。
○地域の実情に応じて障害者に創作や交流などの機会を提供する地域活動の支援を充実します。さらに、障害者や地域福祉を支えるボランティアの育成を図ります。
【主な担当課】
福祉課/生活活性課
4-5 同和問題
【現状と課題】
昭和40年(1965年)に出された国の同和対策審議会の答申は、同和問題を「日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である」ことを明らかにしています。この答申を受けて昭和44年(1969年)に「同和対策事業特別措置法」が制定され、同和問題の早期解決を図るため住環境整備から啓発事業まで広範な同和対策事業が推進されることとなりました。
昭和57年(1982年)には「地域改善対策特別措置法」が、昭和62年(1987年)には「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(以下「地対財特法」という。)が制定されました。
その後、平成9年(1997年)に「地対財特法」の一部改正が行われ、同和対策事業の一般対策への円滑な移行のための経過措置として、特別対策事業を限定し再度5年間延長されることとなりました。この改正に伴い、従来、差別意識の解消のための特別対策事業として行ってきた教育関係事業や各種の啓発事業についても、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発の推進事業として発展的に再構築され、その中で、同和問題を重要課題として取り組まれることになりました。
平成11年(1999年)には「人権擁護施策推進法」(平成8年(1996年)制定)に基づき国に設置された人権擁護推進審議会において「人権尊重の理念に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について」の答申が出され、同和問題をはじめさまざまな人権問題の存在が明らかにされるとともに、総合的な人権教育・啓発の推進がうたわれました。
この答申を受け、平成12年(2000年)には、同和問題をはじめさまざまな人権問題の現状にかんがみ、人権教育及び啓発に関する施策の推進について、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定め、人権擁護に資することを目的とする「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定されました。
豊川市においては、旧小坂井町において同和問題の解消に取り組んできましたが、アンケート調査結果では、同和問題、部落差別等について「知っている」と答えた人の割合は、豊川市は63.7%で、愛知県の71.0%に比べて認知度はやや低くなっています。
また、概ね年齢が高くなるほど「知っている」と答えた人の割合が高くなっており、60~69歳では75.2%となっています。
また、同和問題の解決に対する考えについては、「基本的人権にかかわる問題だから、自分も市民の一人として、この問題の解決に努力すべきだと思う」が31.7%いますが、一方で「自分ではどうしようもない問題だから、なりゆきにまかせるよりしかたがないと思う」が18.6%、「自分ではどうしようもない問題だが、誰かしかるべき人が解決してくれると思う」が10.4%、「これは、同和地区の人だけの問題だから、自分とは直接関係ない問題だと思う」が3.4%となっており、受動的でやや他人事として捉える傾向も見られます。
年齢別にみると、40歳以下の年代層で「基本的人権にかかわる問題だから、自分も市民の一人として、この問題の解決に努力すべきだと思う」の割合が他の年齢に比べ低くなっています。
このため、若い世代を中心として、同和問題を正しく理解してもらうことや、差別意識の解消に向けた教育・啓発活動の充実が必要です。
【取り組みの方向】
(1)同和・人権教育及び啓発活動の推進
○同和問題について、市民に正しく周知するために、人権教育や啓発を充実します。
○家庭、学校、企業、地域など、あらゆる場を通じて、同和・人権教育を進めるための支援を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
差別意識の解消に向け同和・人権教育及び啓発活動を一層推進します
○同和問題についての正しい認識と理解を深め、差別意識を解消することを目指して、啓発資料の作成、情報提供を充実します。
○人権週間の周知や、同和問題などについての学習機会の提供を充実します。
【主な担当課】
地域安心課
(1)-2家庭や学校などあらゆる場を通じた同和・人権教育及び啓発活動を推進します
○学校教育において同和・人権教育を進めるために、教職員等を対象とした研修を充実するとともに、子どもを持つ親を対象とした講座等の実施を図ります。
○人権尊重の教育に関する研究・指導資料や、市民向けの啓発用資料を作成して、ボランティアとともに市民や企業、団体などの学習活動の支援を図ります。
○市職員を対象とした研修を実施します。
【主な担当課】
人事課/地域安心課/学校教育課
関係機関と連携し、教育・啓発を推進します
○国や県、他市町村と連携して人権尊重や同和問題についての情報収集と正しい周知を図ります。
○学校、企業、関係団体、地域などが行う啓発活動について、関係機関と連携し、その支援を図ります。
【主な担当課】
子ども課/地域安心課/消防本部/市民病院/学校教育課
(2)小坂井文化センターの有効活用
○人権意識を高めるための学習や活動の場として、小坂井文化センターの活用を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1小坂井文化センターにおいて啓発・交流などの拠点となる取り組みを推進します
○小坂井文化センターにおいて、人権意識の高揚と啓発を図るため、人権に関する調査・研究を進めるとともに、各種講座の開催と情報発信を充実します。
○人権に関する啓発・交流や学習活動の場として、小坂井文化センターの利用促進を図ります。
【主な担当課】
地域安心課
(2)-2小坂井文化センターにおいて地域住民の福祉や文化の向上を図ります
○地域住民の福祉や地域文化の向上を図り人生の豊かさを創出するために、小坂井文化センターにおいて教養・文化講座の開催や自己学習や啓発の場の充実を図ります。
○生活相談を行う場や、地域福祉の推進を図るための催しなどの場として、小坂井文化センターの利用促進を図ります。
【主な担当課】
地域安心課
(3)自立支援による地域での生活の安定向上
○意欲がある子どもや若者が自立した生活を送ることができるように、就学・就労支援のための能力開発や、雇用の場の開拓などの支援を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(3)-1就学や就労支援などの取り組みを充実します
○学ぶ意欲のある子どもや若者に就学機会を提供することができるように、奨学金制度、通信教育や資格取得に関する情報を提供します。
○若者の就労意欲の向上や働く意欲がある女性、高齢者などの市民の能力開発や就労支援を行うために、パソコン教室を始めとした各種セミナーを開催するとともに、ハローワークなどの利用を促します。
○市内で雇用の場を開拓するために、雇用主に対して公正な採用を啓発します。あわせて、雇用主に対する経営相談等の経営基盤強化のための支援を商工会議所等と連携して充実します。
【主な担当課】
商工観光課/学校教育課
(4)えせ同和行為の排除
○同和問題に対して市民や事業者が正しく対処することができるように、えせ同和行為について排除を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(4)-1えせ同和行為排除のための啓発及び相談を推進します
○同和問題に対する誤った意識を持つことや誤った対応をなくすために、えせ同和行為についての周知を図るとともに、市民や事業者からの相談を的確に行い、えせ同和行為の排除を図ります。
【主な担当課】
地域安心課
4-6 外国人
【現状と課題】
我が国は、平成7年(1995年)に、人種・民族等を理由とするあらゆる差別の撤廃を定めた「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約(人種差別撤廃条約)」を批准しました。また近年、製造業等の労働者として日系ブラジル人などを受け入れてきたことから外国人市民が増えてきました。
外国人の増加にともない、言語、文化、習慣、価値観の違いによる誤解などから、地域の中でトラブルを起こしたり、相互理解が不十分であることから、外国人に対する差別や偏見などの問題が生じています。
製造業の集積が高い東海地域においては、日系ブラジル人などの外国人労働者を受け入れており、世界的金融危機後の景気の低迷で若干減少したものの、外国人労働者や永住を希望する外国人は、今後も増えていくと予想されます。
このため、豊川市では「豊川市多文化共生推進プラン」(平成22年(2010年))を策定して、円滑なコミュニケーション環境の実現と、みんなで進める地域社会づくりを行動目標として掲げて、多文化共生社会の実現を目指してきました。
豊川市の外国人登録者数は、5,647人で総人口の3.14%(平成22年度末(2010年度末))を占めており、全国の水準の倍近くとなっています。平成20年(2008年)4月末まで増加した登録者数が近年減りましたが、豊川市は製造業の集積が高いため、今後再び増加する可能性があります。
豊川市の外国人登録者数を国籍別に見ると、ブラジルが51%近く、次いで、韓国・朝鮮、中国、フィリピン、ペルー籍が多くなっています。
アンケート調査結果では、外国人の人権問題については、「地域社会での受入れが十分でないこと」が35.1%、「生活に必要な情報が十分に手に入れられないこと」が34.1%、次いで「就職や仕事の内容、待遇で不利な取扱いを受けること」が28.5%となっています。
今まで見てきた人権に関する他の設問に比べて、外国人の人権問題は「わからない」が24.4%と高くなっています。地域や職場において、外国人と接することが少ないことや、交流機会が少ないため、「わからない」の割合が高いと思われます。
また、豊川市内にも、韓国・朝鮮国籍等の特別永住者も生活していますが、その多くは日本で生まれ育っているのにもかかわらず、これらの人々に対する無理解や差別・偏見が未だにあります。
このような国籍や民族、文化などの差異にかかわらず、日本人市民も外国人市民も互いに理解し合い、ともに安心して生活することができる多文化共生社会を築いていくことが課題です。
【取り組みの方向】
(1)共生社会の形成
○多文化共生社会の実現を目指して、外国人の人権尊重について啓発を図るとともに、外国人が日本人とともに地域社会を支えていくことを促します。
○外国人の子どもたちが、日本や母国において自立した生活をすごすことができるように、就学の支援や日本語学習支援を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1外国人の人権尊重について理解を深めます
○外国人の人権尊重について市民の理解を深めるために、外国語版広報、ホームページ、窓口の外国語表記などにより、周知を図ります。
○国際交流協会と連携し、交流会・講座の開催、語学・教育支援などを通して相互理解を深めます。
○国際交流ボランティアと連携し、外国人を支援することで、互いが安心して暮らしやすいまちづくりを進めます。
【主な担当課】
国際課
(1)-2日本人及び外国人市民の多文化共生意識を高め社会への参加を促進します
○日本人及び外国人が互いの文化的背景や考え方を理解し、暮らせる地域社会を目指すため日本語学習機会の提供に努めます。
外国人の地域社会への参加を促すための事業を実施し、外国人を応援する市民活動団体を支援します。
○関係機関と連携して外国人の就労環境の向上を事業者に促します。また就労に必要な知識や技術の習得を支援する国などの事業に協力します。
【主な担当課】
国際課/商工観光課
(1)-3外国人が学ぶことができる教育環境を充実します
○外国人の子どもたちの就学を支援するための教室を運営します。教室では、就学前指導なども実施し対象となる子どもの幅を広げます。また、定期的に就学状況を把握し、不就学児童の解消を目指します。
【主な担当課】
国際課/学校教育課
(2)外国人の円滑なコミュニケーション環境づくり
○外国人市民の日本語学習支援を行うとともに、多言語による情報提供などコミュニケーション環境を充実します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1外国人のコミュニケーション能力を高めるとともに情報提供を充実します
○外国人市民が、日本で生活する上で必要な日本語を学習する機会を充実します。また、子どもたちに対して母国語教育や伝統文化を知るための機会の充実を図ります。
○外国人の生活がより快適になるように、多言語による情報提供を行います。
○外国人の子育てと教育を支援するために、ガイドブックの作成や、外国人児童生徒の進路説明会の開催や外国人の意見を聞く機会づくりに努めます。
【主な担当課】
国際課
4-7 HIV感染者・ハンセン病患者等
【現状と課題】
エイズ(AIDS)は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によるウイルス感染症で、免疫不全を起こし、悪性腫瘍などを発症します。感染経路は、性行為、汚染された血液および血液製剤の注射、注射針の共用、母子感染であり、また、感染力は強くないため、正しい知識を持って行動すればHIVの感染を予防することが可能です。
新たにHIV感染者、あるいはエイズ患者として報告された人は、毎年増加傾向にあり、平成22年(2010年)は新規HIV感染者1,075人で過去3位、新規エイズ患者は469人で過去最多となっています。
HIV感染症の治療は進歩してきており、抗HIV薬の投与により発症を抑えることが可能ですが、ウイルスを体内から無くすことは不可能であり、薬剤を服用しなければなりません。このため、医療費が相当な負担になることから、「身体障害者福祉法施行令」の一部改正により、平成10年(1998年)4月1日からHIV感染者等が免疫機能障害として障害認定の対象となりました。
ハンセン病は、らい菌の寄生によって引き起こされる感染症であり、伝染力は非常に低く、また、発症しても適切な治療を行えば治癒が可能であり、重篤な後遺症を持つことや、感染源になることもありません。現在、日本では、新たな患者数は年間0~1人と希になりましたが、日本のハンセン病政策により患者への偏見と差別が大きな問題となっていました。
平成8年(1996年)に「らい予防法」が廃止されるまで、患者の終生隔離を中心とした政策が行われてきたために、ハンセン病は、治らない病気などと偏見や差別を生み続けました。このため、今日まで、患者本人や家族が、日常生活に支障をきたしており、ハンセン病に対する正しい理解を啓発していくことは大きな課題です。
平成11年(1999年)に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行され、過去にハンセン病、HIV感染者等に対する差別や偏見が存在したという事実を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、感染症対策を総合的に進めることが目指されています。
アンケート調査結果において、エイズ患者・HIV感染者やハンセン病患者・元患者の人権が守られるために力を入れるべきことでは、「学校におけるエイズ教育やハンセン病の正しい理解の推進」が7割弱と、理解を深めることを重要視していることが分かります。
このため、豊川市においても、発症者に対する支援を関係機関とともに進め、感染症に対する正しい理解の普及啓発を図ることが必要です。
【取り組みの方向】
(1)感染症患者などの人権を尊重する意識づくり
○感染症患者に対する正しい情報を提供するとともに、人権の尊重について啓発します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1感染症に対する正しい理解を促進し人権に配慮した対策を進めます
○感染症患者に対する偏見や差別の解消、患者などのプライバシー保護、人権に配慮した予防・まん延防止のために、各種のボランティア・市民活動団体とともにパンフレットや学習講座などによる情報提供を充実します。
○「世界エイズデー」や「ハンセン病を正しく理解する週間」などをPRして、感染症に対する意識を啓発します。
【主な担当課】
保健センター/地域安心課
(2)感染症患者などの自立と社会参加の支援
○感染症患者の自立と社会参加を進めるために、健康づくりを支援するとともに、就労機会の確保を支援します。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1心と体の健康づくりを支援します
○誰もが健やかに明るい人生を楽しむことができるように、健康づくりや感染症予防に対する意識を高めるとともに、健康相談を充実します。
【主な担当課】
保健センター
(2)-2感染症患者などが働きやすい環境づくりや就労機会の確保に努めます
○感染症や患者の働く能力についての理解を促進して就労機会を確保するために、事業所への啓発を図ります。
○働くことができる患者が就労機会を得るために、ハローワークなどの利用促進や職業や雇用についての情報提供を図ります。
【主な担当課】
商工観光課
4-8 さまざまな人権
【現状と課題】
人権に対する問題は、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者等のほかにも、アイヌの人々、犯罪被害者、刑を終えて出所した人々、同性愛者、婚外子、ホームレスなど、さまざまあります。
近年では、インターネット上の電子掲示板やホームページヘの差別的情報の掲示、個人情報の流出、プライバシーの侵害などの問題も大きくなっています。
アンケート調査においても、インターネットによる人権侵害の問題としては「他人の身元を暴いたり、誹謗中傷する表現を掲載すること」をはじめ、「出会い系サイトなど犯罪を誘発する場となっていること」、「わいせつ画像や残虐な画像など、有害な情報を掲載すること」が5割を超えて高い割合となっています。
今後の社会情勢の変化などに伴い発生する新たな問題に対しても、本計画に沿って適切に対応を進めます。
【取り組みの方向】
(1)個人情報保護の体制強化
○市民の個人情報についての保護を徹底するために、市職員の意識向上を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(1)-1市職員の個人情報取扱いに対するモラル向上に努めます
○市職員が個人情報保護のための意識を高めるとともに、職員研修などで個人情報に対するセキュリティ意識の向上を図ります。
【主な担当課】
人事課/情報システム課
(2)さまざまな人権問題に対する人権意識の高揚
○新たに発生するさまざまな人権問題について市民が理解することができるように、情報を把握するとともに、啓発等を図ります。
<基本施策(取り組みの方向)と取り組み内容>
(2)-1さまざまな人権問題に対する人権意識を高揚するための教育・啓発を推進します
○さまざまな人権問題やインターネット上の電子掲示板やホームページヘの差別的情報の掲示など新たに発生する人権問題について、市民が理解を深めるために、啓発パンフレットなどの作成や、学習機会の提供を図ります。
【主な担当課】
地域安心課
(2)-2新たな人権問題の把握に努め情報提供を充実します
○新たな人権問題やその対処について、関係機関と連携して情報収集を行います。
○市民の人権に対する感覚や意識について、調査を行い把握します。
【主な担当課】
地域安心課


第5章 計画の推進
本計画の推進にあたっては、以下の点に留意して進めます。
5-1 基本姿勢
(1)さまざまな差別意識の解消を図り、すべての人が人権尊重の意識を高めていくためには、広範な取り組みを進めることが必要です。このため、あらゆる場、あらゆる機会を捉えて、行政はもとより、教育や保育の場、地域組織、ボランティア・市民活動団体、事業者など、あらゆる組織を通じて、人権尊重の社会を実現するための取り組みを進めます。
(2)社会の複雑多様化、情報化、高度化など時代の流れの中で、人権問題も多種多様化し、新たな問題も発生しています。このため、時代の要請・ニーズに合った施策の実施に努めます。
5-2 推進体制
本計画を効果的に推進し市民の人権尊重の意識を高めるため、関係部局相互の連絡調整と連携を図るため、推進本部を設置し、総合的な施策の推進に努めます。
5-3 進行管理
このプランに掲げた内容については、適切な進行管理を行い、計画の推進を図ります。
人権を取り巻く社会情勢の変化等を踏まえ、本計画を変更する必要性が生じた場合には、その見直しを行います。


用語の解説
【あ行】
えせ同和行為とは、いかにも同和問題の解決に努力しているかのように装って、不当な寄附を募ったり、高額な書籍を売りつけたりすることをいいます。
エンパワーメントとは、一人ひとりの女性が自らの意識と能力を高め、自立した個人として社会的な責任を分担できる力をつけることをいいます。
【か行】
協働とは、異なる環境にあるものや、異なる考え方を持ったものが共通の目的に対して活動することで、今までにないものをつくりあげていくこと。また、市民や企業との協働とは、市民、企業及び行政がそれぞれの特性を生かし、共通する目的のため、対等なパートナーであることを認識しながら活動することをいいます。
【さ行】
ジェンダーとは、生まれついての生物学的性別に対し、社会通念や慣習の中にある男性像又は女性像のような、社会によって作られた社会的性別のこと。男女ともに、この社会的性別で縛られ、個性と能力が活かせない状況からの解放をジェンダー・フリーといい、世界共通のキーワードとなっています。
情報モラル教育とは、「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」を身につけさせることです。具体的には、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解することなどをいいます。
心理教育相談「ゆずりは」とは、こころの専門家、臨床心理士による「こころの相談室」です。相談対象者は、豊川市内在住の小中学生、保護者、及び市内小中学校に勤務する教師です。市内には、勤労福祉会館、音羽庁舎、小坂井庁舎にあります。
スクールカウンセラーとは、いじめや不登校などの心の悩みに専門的立場から助言・援助を行うために小・中・高の学校に配置された、臨床心理士、精神科医、大学教授などカウンセリングの専門家をいいます。
成年後見制度判断能力の不十分な成年者を保護するため、一定の場合に、本人の行為能力を制限するとともに、本人のために法律行為を行い、又は本人による法律行為を助ける者を選任する制度をいいます。
セクシュアル・ハラスメントとは、性的な言動により相手方を不快にさせたり、相手方の生活環境を害することや、性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいいます。
【た行】
地域包括支援センターとは、平成18年4月1日から介護保険法の改正に伴い創設された機関。市内在住の高齢者と家族の方が、安心して地域での生活を営めるよう、高齢者に関する虐待や権利擁護などの総合相談、介護保険及び保健福祉サービスの紹介・情報提供・利用のための連絡調整、福祉サービスの申請代行、介護方法の助言などを支援している。また、「要支援1」「要支援2」と認定された方の介護予防ケアプランを作成したり、介護状態になっていない高齢者の方に対して、健康を維持し、要支援や要介護状態にならないように介護予防事業を行っています。
ドメスティック・バイオレンス〔DV〕とは、配偶者等に対する暴力や心身に有害な影響を及ぼす言動をいいます。
【な行】
ノーマライゼーションとは、高齢者や障害者などを施設に隔離せず、健常者と一緒に助け合いながら暮らしていくのが正常な社会のあり方であるとする考え方をいいます。
【は行】
バリアフリーとは、英語の「バリア(障壁)」と「フリー(自由な・~からのがれる)」を一緒にした言葉で、障壁となるものを取り除き生活しやすくすることをいいます。
パワー・ハラスメントとは、職務上の権限や地位等を背景に、業務や指導などの適正なレベルを超えて、他の職員の人格や尊厳を傷つけるような言動のことをいいます。
ファミリー・フレンドリー企業とは、仕事と育児・介護とが両立できるような様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行う企業のことをいいます。
【わ行】
ワーク・ライフ・バランスとは、働く人が仕事とそれ以外の生活を自身が望む調和のとれた状態にできることをいいます。

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所在地:442-8601
豊川市諏訪1丁目1番地
電話:0533-89-2123 ファックス:0533-89-2125

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