宮路山
更新日:2024年3月5日
宮路山について
春、可憐なコアブラツツジの白い花を楽しみ、新緑の森の息吹を身体中に感じて森林浴をする人。夏、冷たく澄んだ沢の水と戯れる子どもたち。秋、燃えるような紅葉の中でアサギマダラに遇う楽しみ。そして冬、はりつめた空気の中、宮道天神社本殿(奥の院)は初日の出を拝む人々で賑わう。
穏やかな表情の山は、そこを訪れる人に季節とともに移り変わる自然の素暗らしさを教えてくれる。
山頂に近い駐車場に車を停め、ここから宮路山へ登る。
日頃の運動不足の心配も取り越し苦労になるほど、山を知らない者にもその道はやさしい。
疲れを感じることなくスムーズに登ることができるのは、愛情のこもった手があちらこちらに入れられているから。
下草が刈られ、ゆるやかな階段状に整備されている山道。歩いていくうちに、無理なく登り足がかわるその道を通ると、山を守り、愛おしむ人々の心が伝わってくる。
しばらく行くと、木製の案内標識が。ドウダントンネルコース、ドウダン展望コース、森林浴コースの表示があり、山頂までの時問も添えられていて、初めての人も選びやすい。
展望コースを選び、左手に山肌を感じながら沢すじを登る。中腹にある木造の休憩所のデッキから眺める新緑の海は最高。これが晩秋にはコアブラツツジ(ドウダン)の紅の海になる。休憩所に置かれている一冊のノートは、訪れた人たちが思い思いに筆を走らせたもの。みな一様に手つかずの自然に出会った感動と、その素晴らしさを実感したこと、もう一度ここを訪れたいことなどを記している。
やがて大正六年(1917年)に建立された「宮路山聖跡」の碑が立つ山頂に。遠くに三河湾と東三河平野を望む。その眺望の素晴らしさに、夜景の美しさを想像する。山頂から少し下った所に元日の朝、多くの人がご来光を仰ぎに登山する、宮道天神社の本殿(奥の院)がある。
ヒノキ並木が続く森林浴コースで下山。むせかえるような緑の匂いと、生まれたての新鮮な空気が心地よい。ちょっと脇道に入ると清水が湧き出る場所があります。生い茂るヒノキの葉に覆われ昼でも暗いこの道は、登山時のそれとまったく違った表情を持つ。
駐車場に戻り長沢町方面へ。車窓から澄んだ渓流の音と緑の木漏れ日を楽しみながら鎌倉街道をゆく。ここは伝説の道。義経の後を追ってきた浄瑠璃姫をさとした猿が現れた洞穴、猿岩。姫が休んだ浄瑠璃姫腰掛け岩、聖徳太子命名の小渡井の枡井戸などが残る。
「誰かわからんがこうして花を作っとるんだ。」奥の院近くに作られた花壇で、そんな話しを聞いたのを思い出した。
宮路山を知り、宮路山を愛する人たちが、この豊かな自然の楽園を守っている。
宮路山の春に可憐な白い花を咲かせるコアブラツツジ。秋には紅葉で目を楽しませてくれます。
※登山には十分ご注意願います。登山における負傷等には責任を負いかねます。