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豊川市平和公園(仮称)基本計画(案)

パブリックコメント資料

テキスト版

平成2612

豊川市

 

目次

1 はじめに

2 基本構想の概要

1)豊川市平和公園(仮称)を取り巻く現状

2)豊川市平和公園(仮称)の候補地

3)基本コンセプトと基本方針

4)整備の内容

5)ゾーニング図及び整備イメージ図

3 公園基本計画

1)基本計画の目的

2)公園の区域設定

3)公園計画地の現状

4)公園に必要な機能

5)ゾーニングに関する方針

6)人と車両の公園内の移動に関する方針

7)公園に設置する施設の方針

8)基本計画平面図

9)公園利活用のあり方

10)整備スケジュール

参考資料 豊川海軍工廠関連施設位置図

 

1 はじめに

豊川市では、名古屋大学太陽地球環境研究所豊川分室の敷地内において現在も残る、豊川海軍工廠の遺構の保存・活用を核とした豊川市平和公園(仮称)の整備について検討を進めています。

豊川海軍工廠は、海軍兵器の生産を目的として昭和13年に旧宝飯郡豊川町、牛久保町及び八幡村に跨って建設することが決定され、昭和141215日に開庁しました。機銃及び弾丸や艦船で使用する測距儀、双眼鏡、射撃装置などを生産し、機銃の生産に関しては日本最大規模で、東洋一の兵器工場と言われました。

豊川海軍工廠の発展は、人口増加や各町村の結びつきを強めることになり、昭和1861日、旧宝飯郡豊川町、牛久保町、八幡村に国府町を加えた31村が合併し、県内で8番目の都市として人口約74千人の豊川市が誕生しました。豊川市の誕生・発展に大きな影響を与えた豊川海軍工廠でしたが、大規模な軍需工場に発展したことで攻撃の的となり、昭和2087日、アメリカ軍のB29爆撃機などによる空襲にさらされ、工廠施設は壊滅的な被害を受け、2,500名以上の尊い命が失われるという、悲しい歴史を刻むことになりました。改めて、被爆によって犠牲となり亡くなられた方々への哀悼の意を表します。

豊川市では、豊川海軍工廠の被爆から50年を経過した平成787日に平和都市宣言をしました。そして、特定の主義・主張に偏らず中立的な立場で平和都市推進に係わる各種事業を遂行し、平和都市宣言の理念を実現することを目的として、同年9月に豊川市平和都市推進協議会が結成されています。

平和都市宣言には、「戦争の惨禍を防止し、恒久平和を実現することが、私たち市民の願い」であり、「歴史上かつてないほど多くの犠牲者を出したこうしたことが、なぜ起きたのか、ともに考え、子孫に語り継いでいかなければならない」とあります。この想いのもと豊川海軍工廠跡地という、まさに惨禍の現場であった場所に、豊川市平和公園(仮称)を開設することで、戦争の悲惨さと平和の尊さを市民の皆様並びに後世に伝えることが、豊川市平和公園(仮称)の整備目的となります。

豊川市では平成25年度、豊川市平和公園(仮称)の基本構想を策定するにあたり、市民の皆様の意見をお聞きするため、11月に学識経験者2名、各種団体の代表者11名、公募2名の合計15名の外部委員で構成する「豊川市平和公園(仮称)整備検討委員会」を設置し、翌年3月には基本構想案をとりまとめ、委員会からの提言として市長に提出していただきました。この提言を受け豊川市では、平成265月に公園整備の基本方針を示した「豊川市平和公園(仮称)基本構想」を策定、公表するに至りました。

引き続き豊川市では、市役所内の関係部署で構成する、庁内検討会及び検討部会を設置し、基本構想でまとめた基本方針のもとに検討を重ね、基本構想の内容をより具現化するための整備方針を示した「豊川市平和公園(仮称)基本計画」を策定しました。

 

2 基本構想の概要

基本計画の背景となる基本構想の概要を説明します。

 

1)豊川市平和公園(仮称)を取り巻く現状

豊川市平和公園(仮称)を取り巻く現状について、上位計画・関連計画、工廠跡地の状況を以下に示します。

 

上位計画・関連計画からの課題

 

豊川市都市計画マスタープラン

当該対象施設について、保存・公開の在り方を検討すべきである。

 

豊川市緑の基本計画

歴史的遺産や緑が残されている当該対象地域について、名古屋大学と調整を行い、効果的な保存、活用方法を検討すべきである。

 

豊川市教育振興基本計画

戦争遺跡を含め、地域の歴史や文化を大切に思う心を育成する必要がある。

 

豊川市シティセールス戦略プラン

平和公園の整備を行い、平和都市宣言の主旨に沿って平和を愛する心を育てる。

 

旧豊川海軍工廠近代遺跡調査事業

当該対象地域を近代遺跡として保護する必要性がある。

 

平和教育推進事業

平和の語り部の活動により平和の尊さを学ぶ機会を増やす。

 

工廠跡地の状況

 

土地利用

名古屋大学太陽地球環境研究所豊川分室の敷地内には、工廠稼動当時から生育する樹木を含め、多くの植生が生育し、市街地内の緑地として重要な役割を果たしている。

同敷地内では、現在も太陽風を観測するアンテナ施設が稼働している。

 

歴史

昭和14年に開庁した豊川海軍工廠は、空襲により壊滅的な打撃を受けたが、名古屋大学太陽地球環境研究所豊川分室の敷地内には空襲を免れた建物等が多く残されており、近代遺跡としての保護の必要性がクローズアップされている。

軍需工場で使用していた重金属や化学薬品等による土壌汚染、不発弾の存在が懸念される。


2)豊川市平和公園(仮称)の候補地

基本構想において、以下に示す、「現地確認アンケートの公園化すべき範囲」、「名古屋大学アンテナ施設の影響範囲」、「現地確認アンケートの印象に残った施設」を考慮した候補地選定の考え方により、豊川市平和公園(仮称)の候補地として、名古屋大学太陽地球環境研究所豊川分室の敷地(約18ヘクタール)の内、第一火薬庫等を含む約3ヘクタールの範囲を選定しました。(候補地の位置は豊川市役所から北北東に1.5キロメートルほどの所です。)

 

 

現地確認アンケートの公園化すべき範囲

平成25年度に開催された第1回豊川市平和公園(仮称)整備検討委員会における現地確認後に、委員の皆様にご回答いただいたアンケートで「最優先で公園化すべきと思われる範囲」として、意見の多かった範囲を考慮する。

 

名古屋大学アンテナ施設の影響範囲

名古屋大学太陽地球環境研究所豊川分室の敷地西部には、太陽風を観測するアンテナ施設が立地しており、現在も観測が継続されているため、このアンテナ施設の影響範囲は、候補地を検討する際の制限要素として考慮する。

 

現地確認アンケートの印象に残った施設

アンケートで「特に印象に残ったもの(構造物、空襲の痕跡など)」として、意見の多かった遺構(第一火薬庫、第三信管置場など)を考慮する。

 

3)基本コンセプトと基本方針

基本コンセプトと基本方針、それらに基づく本公園の機能の構成は以下のとおりです。

 

基本コンセプト

豊川海軍工廠の歴史を語り継ぐ緑豊かな集いの広場

 

基本方針設定の考え方

豊川海軍工廠の戦争遺跡を保存していくため、歴史的遺産として保護し、後世に伝えるためにも歴史を学ぶ場として活用します。

平和公園(仮称)から平和の尊さを次世代へ語り継いでいくため、象徴的な場づくりを行うとともに、戦争の風化を防ぐ活動拠点として活用します。

工廠稼働当時から存在する敷地内の豊かな樹林を保全していくため、市民の憩いの場として保全・活用します。

 

 上記の基本方針の考え方に基づき、公園の基本方針と、その方針を実現するために必要な機能構成を設定します。

 

基本方針1 歴史に学ぶ

 戦争遺跡である豊川海軍工廠を活用し、歴史的遺産として残存遺構の保護に努めるとともに、歴史を学習する場として整備する。

 

機能構成1 学習機能(対象ゾーン:学びのゾーン、屋外学習ゾーン、遺跡ゾーン)

豊川海軍工廠の資料や収蔵品を展示し、建造物などの戦争遺跡と併せて平和の尊さを学べる施設(仮称 平和資料館)を整備する。

敷地内に点在する残存遺構を巡る散策路を整備する。

遺構の脇に説明サインを設置する。

 

基本方針2 未来へ語り継ぐ

 悲惨な戦争の風化を防ぎ、平和の尊さを次世代へ語り継ぐ場・祈念の場を創出する。

 

機能構成2 継承機能(対象ゾーン:学びのゾーン、屋外学習ゾーン)

平和の語り部として、訪れた人に戦争遺跡を語り継ぐ、地域のボランティアガイドを育成する。

平和を祈念する象徴的なモニュメントなどを整備する。

 

基本方針3 緑をまもる

敷地内の豊かな樹林を保全・活用し、市民に親しまれる緑の空間を整備する。

 

機能構成3 緑あふれる憩いの拠点機能(対象ゾーン:屋外学習ゾーン、憩いのゾーン)

工廠稼働当時の樹木を保全するとともに、敷地内の豊かな樹林の定期的な維持管理を行い、魅力ある緑の空間を整備する。

家族連れで気軽に訪れることができるような、親しみのある緑の空間を整備する。

 

4)整備の内容

豊川市平和公園(仮称)の整備の内容は、基本方針、機能構成などから、公園内を機能や役割によって区分(ゾーンの設定。ゾーニング)します。

 

学びのゾーンの概要

仮称 平和資料館の立地

語り部(ボランテイアガイド)の待機場所

 

学びのゾーンの整備内容

 平和の尊さを学べる施設(仮称 平和資料館)に、豊川海軍工廠の資料等を展示する「展示室」等を設置する。

 平和学習支援として、「ガイダンスルーム」を設置し、来館者の学びをサポートする。

 平和の語り部として地域のボランティアのメンバーが常駐(「待機スペース」を設置)して、訪れた人に戦争遺跡を語り継ぐ。

 

遺跡ゾーンの概要

 第一火薬庫、第三信管置場、防空壕の保存・活用

 

遺跡ゾーンの整備内容

 「第一火薬庫」、「第三信管置場」、「防空壕」は、残存する遺構の中で存在感があり、屋外の見学施設の拠点として整備する。

「第一火薬庫」、「第三信管置場」は、法的制約の確認を行った上で、内部の構造や当時の利用状況を再現するなどの整備を検討する。

 「説明パネル」や「誘導サイン(標識)」により、見学者へ分かりやすい説明を行う。

 

屋外学習ゾーンの概要

 残存遺構(街路灯、貯水槽、樹木)の保存・活用

 その他残存遺構の展示

 

屋外学習ゾーンの整備内容

当時の「街路灯」、「貯水槽」、「樹木」を保存・活用し、「その他の残存遺構」の展示とあわせて、屋外での学習施設として整備する。

大規模な「第一火薬庫」等の遺構や「街路灯」「貯水槽」等の残存遺構を巡る散策路を敷地内に整備する。

 「説明サイン」を設置し、見学者へ分かりやすい説明を行う。

 

憩いのゾーンの概要

 散策や憩いの場

 自然の保全区域

 

憩いのゾーンの整備内容

 散策中に休憩できる「芝生広場」等を整備し、屋外学習を行う際のレクチャースペースとしても活用する。

 敷地内の豊かな「樹林」を保全・活用して、魅力ある緑の空間を整備する。

 家族連れで気軽に訪れることができるような、親しみのある緑の空間を整備する。

 

アクセスゾーンの概要

 緑豊かな駐車場

 大型バスも駐車可能

 

アクセスゾーンの整備内容

 近隣の市民の利用にとどまらず、遠方からの利用者や小中学校の野外学習で活用できるよう、大型バスも駐車できる「駐車場」を整備する。

 駐車場は樹木や草花の植栽による緑化に配慮し、緑豊かな環境と調和する計画とする。

 公園内へのアクセスは、主要地方道東三河環状線からとし、極力、アンテナの観測影響範囲から離れた位置に計画する。

 

3 公園基本計画

 

1)基本計画の目的

平成265月に策定した豊川市平和公園(仮称)基本構想を受け、遺構の保存公開、公園に配置する施設、建物の利用、公園と周辺施設との連携・アクセスを考慮し、公園をどのように整備し、完成後の運営・管理をどのように行っていくかについて、基本構想より一歩踏み込んだ検討を加え、基本的な計画とするものです。

 

2)公園の区域設定

基本構想では、名古屋大学太陽地球環境研究所豊川分室の敷地北部に約3.0ヘクタールの公園を整備することにしており、名古屋大学が所有するアンテナ施設等現在使われている施設の影響範囲や遺構を壊さないよう配慮した上で、名古屋大学と調整を行ない、公園区域を決めています。(公園の位置は豊川市役所から北北東に1.5キロメートルほどの所です。)

公園区域の大きさ

東西約210メートル

南北約140メートル

面積約3.0ヘクタール

 

3)公園計画地の現状

基本計画を策定するにあたって、計画地の現在の状態を詳細に確認するため、測量調査と樹木調査を行いました。

計画地の敷地は約3.0ヘクタールで、5メートル程度の高さがある土塁の部分以外は概ね平坦な地形となっています。また、敷地は全体的に西側が低く、北東部と南西部では約2メートルの高低差があり、計画地の北側には水路が整備されています。

現在、計画地は草木の生い茂った未利用地となっており、豊川海軍工廠の遺構として、第一火薬庫や第三信管置場などが残されています。

樹林の中には工廠稼働当時からあると推定されるイチョウやプラタナスなどの大きな木があり、今回実施した樹木調査では、それらを公園整備の中で活かすため、形が整ったものを選び出し、位置を把握しました。

以下に、公園区域内にある施設の状況を説明します。

 

第一火薬庫

当時の先端技術を駆使した鉄筋コンクリート造の建築物です

通路北側に火薬庫の部屋があり、通路の部屋入口部には搬入出用の木製デッキが残っています。

 

第三信管置場

建物の周囲は樹木等が茂り荒れた状態ですが、当時の状況を偲ばせます。

建物内部も放置され荒れた状態となっていますが、その形を留めています。

 

防空壕、街路灯

計画地内には、3箇所の防空壕が確認されていますが、現状は、土や落葉等に埋もれた状態です。

当時の街路灯も9基残っています。

 

大木

計画地の樹林地には、存在感ある樹木が多く生い茂り、当時、工廠の街路沿いに並木として植えられたイチョウやプラタナスといった大木が数多く残っています。

 

4)公園に必要な機能

基本構想で示している公園整備の基本方針や機能構成をもとに、区域内の測量調査、樹木調査を踏まえ、公園に取り入れる機能について具体的に設定しました。

 

学習機能について、基本構想では以下のように設定しました。

豊川海軍工廠の資料や収蔵品を展示し、建造物などの戦争遺跡と併せて平和の尊さを学べる施設(仮称 平和資料館)を整備する。

敷地内に点在する残存遺構を巡る散策路を整備する。

遺構の脇に説明サインを設置する。

(対象ゾーン:学びのゾーン、屋外学習ゾーン、遺跡ゾーン)

 

基本構想で設定した学習機能に対する、基本計画の策定に向けた調査・検討の結果は以下のとおりです。

 

仮称 平和資料館について

桜ヶ丘公園内にある「桜ヶ丘ミュージアム」で豊川海軍工廠に関する資料を常設展示しており、基本構想で示した「仮称 平和資料館での資料展示」の機能を持っている。

資料展示については、これまで通り「桜ヶ丘ミュージアム」で行い、平和公園(仮称)内の施設では、展示パネルや映像による解説を行う。

豊川海軍工廠の歴史や遺構について世代と地域を越えて多くの方に学んでもらうための「交流施設」と位置づける。

 

遺構について

本公園の主役となる施設は、第一火薬庫と第三信管置場などの遺構であり、それらを来園者に公開し、歴史を学んでもらうことが重要である。

遺構の修復方法は今後の調査を経て具体的に検討するが、遺構の保存のあり方として、現状の位置での保存公開を基本とする。

遺構等には説明板を設置するが、それ以外にも子どもや家族連れが集まる場所に豊川海軍工廠に関連するパネルを展示するなど、学ぶ機会を増やす工夫をする。

 

以上の調査・検討の結果から、基本計画では学習機能を以下のように設定します。

 豊川海軍工廠の歴史や遺構などについての学びの場となる交流施設の新設

第一火薬庫、第三信管置場などの遺構の保存公開と説明板の整備

敷地内に点在する遺構を巡る園路の整備

(対象ゾーン:学びのゾーン、屋外学習ゾーン、遺跡ゾーン)

 

継承機能について、基本構想では以下のように設定しました。

「平和の語り部」として、訪れた人に戦争遺跡を語り継ぐ、地域のボランティアガイドを育成する。

平和を祈念する象徴的なモニュメントなどを整備する。

(対象ゾーン:学びのゾーン、屋外学習ゾーン)

 

基本構想で設定した継承機能に対する、基本計画の策定に向けた調査・検討の結果は以下のとおりです。

 

ボランティアガイドの育成と活動拠点について

交流施設でボランティアガイドの育成を行う。

ボランティアガイドにより、交流施設の展示パネルや公園内の遺構を用いて、豊川海軍工廠の歴史の語り継ぎを行う。

 

屋外施設について

遺構等には説明板を設置するほか、子どもや家族連れの目にふれやすい場所には、工廠について分かりやすく説明したパネル展示等を行う。

公園の中心付近に、桜の木を植えるなど、公園のシンボルとなるものを配置する。

シンボルの周りには、休憩施設を兼ねたベンチを配置し、遺構を眺めるなどして豊川海軍工廠の歴史を感じながら語り合うことのできる場所とする。

 

パラボラアンテナについて

公園計画地内に名古屋大学空電研究所時代のパラボラアンテナが残されており、工廠跡地の戦後の平和利用の実例として展示公開をすることも考えられるが、遺構との混同を避けるため、公園内での展示はしない。

 

以上の調査・検討の結果から、基本計画では学習機能を以下のように設定します。

ボランティアガイドの育成や語り継ぎの場としての交流施設の整備

ボランティアガイドによる豊川海軍工廠の歴史や遺構についての説明

遺構等の説明板の設置やその他パネル等による展示

(対象ゾーン:学びのゾーン、屋外学習ゾーン、遺跡ゾーン)

 

緑あふれる憩いの拠点機能について、基本構想では以下のように設定しました。

工廠稼働当時の樹木を保全するとともに、敷地内の豊かな樹林の定期的な維持管理を行い、魅力ある緑の空間を整備する。

家族連れで気軽に訪れることができるような、親しみのある緑の空間を整備する。

(対象ゾーン:屋外学習ゾーン、憩いのゾーン)

 

基本構想で設定した緑あふれる憩いの拠点機能に対する、基本計画の策定に向けた調査・検討の結果は以下のとおりです。

 

緑の空間の整備の方針について

本公園の主役となる施設は、第一火薬庫と第三信管置場などの遺構であり、景観としてそれらが引き立つような緑の空間を創出する。

 

樹木の保全活用について

工廠稼働当時からの街路沿いに植えられているイチョウ並木やプラタナス並木は、できる限り保全活用を図ることを基本とする。

ただし、プラタナス並木は、名古屋大学との用地交渉の結果、今後、市が管理していく上で樹木の枝が公園区域外に大きくはみ出してしまうなどの課題があるため、やむを得ず伐採するものとする。

計画地にて樹木調査を実施した結果、形の整った大きな木が多く確認できたため、それらを活かした計画とする。

 

憩いの空間について

子どもや家族連れがいつでも楽しむことができるように、公園内に遊具広場を設置する。

 

以上の調査・検討の結果から、基本計画では緑あふれる憩いの拠点機能を以下のように設定します。

工廠当時からの樹木をできる限り保全活用した修景

戦後の歳月を物語る大木と芝生広場による緑の空間を整備

家族連れなどの利用を促進する芝生広場や遊具広場の配置

(対象ゾーン:屋外学習ゾーン、憩いのゾーン、遊びのゾーン)

 

5)ゾーニングに関する方針

計画地は、東西約210メートル、南北約140メートル、広さ約3.0ヘクタールの長方形で、現状は樹林や草が生い茂る平坦な地形となっています。

第一火薬庫や第三信管置場などの遺構は位置を変えません。また、計画地への主なアクセスとしては、北側に隣接する主要地方道東三河環状線からの車での利用が想定されます。さらに、名古屋大学が観測に使用しているアンテナへの影響も考慮する必要があります。

これらの条件を踏まえ、公園内を機能や役割によって区分(ゾーンの設定。ゾーニング)します。

 

a 遺跡ゾーン

遺跡ゾーンでは、第一火薬庫及び第三信管置場といった遺構を、本公園の中心的な施設として位置付け、現状の位置で保存公開します。また、敷地北東部に残存する3箇所の防空壕も保存公開の対象とします。

 

b 屋外学習ゾーン

計画地の南側にある2箇所の防火水槽や計画地の外周部にある9基の街路灯を保存公開の対象とし、敷地東側境界部の工廠稼働当時からあるイチョウ並木とともに、豊川海軍工廠の歴史を学ぶ屋外学習ゾーンとします。

 

c 学びのゾーン

県道や駐車場からのアクセスが良い計画地北側の中央部を学びのゾーンとします。学びのゾーンにおいては、工廠の歴史を後世に語り継ぐこと、広く市内外に発信することを目的とし、その拠点となる建物を配置します。

この施設は、戦争を知る世代と知らない世代、市民の皆様と工廠に縁のある市外在住の皆様、あるいは工廠のことを全く知らない遠方地域の皆様など、世代と地域を越えた交流を積極的に図ることで、豊川海軍工廠の歴史を多くの皆様に学んでもらうための交流施設とします。

 

d 遊びのゾーン

交流施設の西側には、子ども達の遊びやピクニックなどの家族利用を想定した遊びのゾーンを配置します。

 

e 憩いのゾーン

平坦な地形を活かして憩いのゾーンを設定し、芝生広場を計画します。公園内の人と車両の移動について計画する際には、各施設のスムーズな連絡とともに広がりのある芝生の空間を確保します。

憩いのゾーンの中央付近の、交流施設から南に延びる直線園路上に公園のシンボルとなる桜の木を植樹するなど、周囲の遺構と合わせて、公園全体で豊川海軍工廠の跡地らしさを演出します。こうすることで、来園者に、ベンチで休憩しながらも豊川海軍工廠の歴史を感じてもらえるようにします。

 

f アクセスゾーン

低速で走行する自動車から発生する電磁波が、名古屋大学のアンテナ施設の観測に与える影響を考慮し、公園の北東部、観測の影響範囲からできるだけ離れた位置に、人と車両の公園内への出入口と駐車場を配置します。また、赤塚山公園とのアクセスなど西側からの公園利用者への配慮と、学びのゾーン(交流施設)へのアクセス性から、北側中央には歩行者用の出入口を配置します。

 

6)人と車両の公園内の移動に関する方針

 

人の移動

公園の中央部を南北方向に貫く園路を設定し、北側中央にある歩行者用の出入口から交流施設、遺跡ゾーンへと導くものとします。

この園路で、公園を第三信管置場が中心の東側のエリアと、第一火薬庫が中心の西側のエリアに二分し、それぞれに見学コースとなる園路を設定して、防空壕や防火水槽、街路灯など、園内に点在して残っている工廠の施設を効率良く巡ることができるようにします。

 

車両の移動

来園者の車両は、出入口から駐車場までの侵入とし、公園内で人との接触などが生じないようにします。

公園の管理用車両は、作業内容によって園路を使用する場合があります。

 


7)公園に設置する施設の方針

これまでの検討の結果から、各ゾーンに設置する施設の方針を次のように設定します。これらの設定においては、高齢者、障害者などの利便性にも考慮し、バリアフリーに配慮したものとします。また、各施設のデザインは公園の雰囲気に馴染むような統一的なものとします。

 

遺跡ゾーン・屋外学習ゾーン

 

遺構などの保存公開

第一火薬庫及び第三信管置場は保存公開の対象とし、本公園の中心的施設として位置付けます。現状の位置において、現況を生かし保存に配慮した必要な改修を行い、戦争遺跡の生の姿を見学できる学習施設として活用を図っていきます。また、安全管理のため遺構の周囲は柵で囲み、建物内部は限定的に公開し、建物の特徴等を解説する説明板を設置します。

防空壕は遺構保護のため現状のままでの公開とし、今後行う調査で得られる成果に基づき、説明板で解説します。防火水槽・街路灯については、安全面に配慮して公開を行い、説明板を設置します。

 

学びのゾーン

 

交流施設

交流施設では、ボランティアガイドが体験者の手記紹介などの各種展示による解説や、工廠稼働当時の様子の語り継ぎ、遺構の解説などを行います。こうした取り組みを、幅広い年齢層や市内外の多くの地域の方々を対象とする多様なニーズに対応したものとし、世代と地域を越えた交流を積極的に図ることで、豊川海軍工廠の歴史を多くの方に学んでいただくための施設とします。

工廠に関する資料については、桜ヶ丘ミュージアムで収集・展示を行っているため、工廠の歴史について資料を通して学ぶ桜ヶ丘ミュージアムと、実際に遺構を目にして「場の持つ力」を感じながら学ぶ交流施設というように、両施設の役割についてすみ分けをします。

なお、交流施設には、パネル展示や体験講座等で利用する多目的ルーム、映像による説明や各種講座等に利用するガイダンス室のほか、ロビー、ラウンジ、トイレなどの来館者の利便性向上のための機能や、事務室、倉庫などの施設管理のための機能を備えます。

 

遊びのゾーン

 

遊具広場

子どもたちや家族連れが、いつでも楽しむことができるように、遊具広場を配置します。ただし、遊具は抽象的なものやカラフルなものは避け、シンプルで公園の雰囲気に馴染むようなものとします。

 

屋外展示施設

実際に工廠で働いていた方がご自身の体験を綴った絵日記を展示するなど、来園者が興味を持って工廠の歴史に触れることができる工夫を図ります。

 

憩いのゾーン

 

芝生広場

芝生広場は、散策、ピクニック、軽運動等の日常的な公園利用ができるものとします。また、芝生広場を明るく平和な雰囲気にすることで、公園全体の雰囲気も明るいものとなります。

憩いのゾーンの中央付近の園路上に、桜の木を植樹するなど、工廠跡地の公園らしいシンボルを配置します。

 

アクセスゾーン

駐車場は、公園の規模や利用者数を考慮し、乗用車や大型バスが駐車できる広さで設定します。

また、出入口については、大型バスの利用などを考慮したうえで、出入りに支障のない構造とします。

 

その他

 

園路

公園を南北に貫く園路と、遺構などの見学コースとなる園路を設け、各施設間の移動ができるようにします。園路の傾斜などについて、バリアフリーに配慮したものとするほか、公園の雰囲気に馴染む風合いのもので舗装するなど、公園内の景観にも配慮します。

公園のシンボルとなる桜の木を植樹した場所は、それを囲むようにロータリー状に園路を整備します。

 

屋外トイレ

交流施設の中にトイレを設けますが、公園の広さを考慮し、屋外にもトイレを設けます。

 

あずまや、ベンチ

来園者が屋外で休憩する場所として、園路沿いにあずまややベンチを配置します。

公園の中央付近にベンチを設け、そこに座って桜の木や周囲の遺構などを眺めてもらえるようにし、休憩しながらも豊川海軍工廠の歴史を感じてもらえるようにします。

 

その他の施設

案内板やフェンスなど、来園者の利便性の向上や公園の維持管理などに必要な施設については、今後の設計の段階において詳細を検討し、適切に配置します。

 

8)基本計画平面図

 PDF形式の資料では、(7)公園に設置する施設の方針で示した内容を平面図に表していますが、ここでは省略します。

 

9)公園利活用のあり方

公園整備の基本コンセプトである「豊川海軍工廠の歴史を語り継ぐ緑豊かな集いの広場」を進めるには、多くの方が公園を訪れ、公園に愛着を持ってもらえるようなソフト面での取り組みを実現することが大切です。

そのため、遺構が残るその場所を生かした事業やボランティアガイドによる語り継ぎなどをはじめとするソフト事業の開催を計画していきます。現在想定している主な内容は、以下のとおりです。

 

ボランティアガイドの育成と平和の語り継ぎや交流

豊川海軍工廠や遺構の説明を行うボランティアガイドを募集・育成し、来園者に対する平和の語り継ぎをしていきます。

交流施設は、こうしたボランティアガイドの活動拠点となります。

 

各種講座等の開催や情報発信

交流施設で、豊川海軍工廠や戦争・平和などについて学ぶ講座、戦時中の暮らしを体験するイベントなどを行います。また、公園内の遺構や工廠跡地全体を巡る見学会を開催し、名古屋大学の協力を得ながら太陽地球環境研究所豊川分室の敷地内の遺構の見学も計画していきます。

交流施設のホームページを設け、情報発信を行います。

 

公園を利用した催し

豊川海軍工廠被爆の日の87日における行事や公園の特徴を生かした屋外行事などを検討していきます。

 

地域ボランティアによる清掃活動

市民や周辺企業の方々による清掃活動など、日常的な公園管理の協力について検討を進めます。

 

周辺施設との連携と公園へのアクセス

平和公園(仮称)は豊川市の中心市街地である諏訪地区の北側にあり、名鉄諏訪町駅からこの公園に至る約2キロメートルの経路やその周辺には、桜ヶ丘ミュージアム、諏訪墓地、平和の像、供養塔等の豊川海軍工廠ゆかりの施設が点在しており、こうした周辺施設の散策やドライブをしながら公園を訪れることができます。

また、諏訪地区の商業施設での買い物や、赤塚山公園の利用と連携して集客力を高める工夫をしていきます。

 

10)整備スケジュール

以下に公園整備に向けたスケジュールを示します。

 

名古屋大学との協議

公園整備工事の施工条件、大学敷地内の遺構の保存活用などについて 平成26年度から平成29年度まで

 

公園整備

 用地交渉 平成26年度から平成27年度まで

 用地取得 平成28年度初め

 全体基本計画 平成26年度

 公園基本設計 平成26年度

 公園実施設計 平成27年度

公園工事 平成28年度、平成29年度

 建築物基本設計 平成27年度

 建築物実施設計 平成28年度

 建築物工事 平成29年度

遺構調査 平成26年度第4四半期

 遺構実施設計 平成28年度

 遺構工事 平成29年度

 

ボランティアガイドの育成

 検討 平成27年度から平成28年度の半ばまで

 募集及び育成 平成28年度の半ばから平成29年度まで

 

豊川市平和公園(仮称)基本計画(案)

平成2612

豊川市

 

豊川市建設部公園緑地課

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