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豊川市公共施設適正配置計画 案

 

豊川市公共施設適正配置計画 目次

1章 公共施設マネジメントを進める背景 1ページ

1 豊川市の公共施設の現状と課題 1ページ

2 公共施設マネジメントの必要性 4ページ

2章 公共施設適正配置の目標値、基本方針及び目指す将来像 5ページ

1 豊川市における公共施設マネジメントへの取り組み 5ページ

2 公共施設の縮減目標 6ページ

3 公共施設適正配置計画基本方針 8ページ

4 実現を目指す将来像 10ページ

3章 適正配置計画での取り組み 11ページ

1 計画の期間と「3つの重点取組と2つの横断戦略」 11ページ

2 モデルエリアの選定 28ページ

3 モデルエリアと重点取組に基づく施設評価 31ページ

4 施設用途別における施設の方向性 50ページ

4章 適正配置計画のリーディング事業 55ページ

1 リーディング事業の考え方 55ページ

2 リーディング事業1

「庁舎機能の集約化・再配置による市民サービスの充実と行政機能の強化」 56ページ

3 リーディング事業2

「地域特性や住民ニーズにあった魅力あるコミュニティ施設複合拠点の形成」 59ページ

4 リーディング事業3

「小中学校の地域開放・多機能化による学校を中心とした地域の拠点づくり」 62ページ

5 リーディング事業4 小坂井エリアの施設再編プロジェクト 65ページ

6 リーディング事業5 音羽エリアの施設再編プロジェクト 69ページ

7 リーディング事業6 御津エリアの施設再編プロジェクト 73ページ

5章 計画推進の課題 76ページ

1 計画の進行管理 76ページ

2 計画の推進体制 78ページ

 

1章 公共施設マネジメントを進める背景

1 豊川市の公共施設の現状と課題

1)現状

1 施設の保有状況

本市が保有している施設(建物)には、市役所や支所のように市の事務所として使用されているものや、学校や保育園、体育館、文化会館、公民館、図書館等広く市民に利用されている施設があります。また、コミュニティセンター国府市民館のように高齢者相談センター、児童クラブ室等いくつかの施設が一つの建物にあるものもあります。

平成2641日現在、全施設を合わせると526施設、1,292棟、延床面積659,400.60平方メートルとなっています。

施設分類別の面積割合では、学校教育施設が最も多く、全公共施設のうち38.1パーセントを占めています。以下、公営住宅施設が13.2パーセント、病院施設が10.0パーセント、駐車場:駐輪場施設が6.1パーセントと多くなっています。

 

図表 本市の公共施設保有状況

 

2 施設建築数の推移

本市が保有する公共施設(病院、職員宿舎は除く。)は、平成2641日現在、522施設、延床面積約592千平方メートルを保有し、その多くは第二次高度経済成長期後半から昭和50年代後半にかけて建築された建物が多くを占めています。多くの自治体は高度経済成長の急激な人口増加を背景に拡大する行政需要に対応するため、さまざまな公共施設を整備してきました。本市も学校、保育園、公民館、高齢者福祉施設など、その時代の行政需要に対応してきたが、これらの建物は老朽化が著しく進行しており、平成26年度現在、約53パーセントの施設が築30年以上を経過し、10年後の平成36年度には約73パーセントが築30年以上となり、15年後の平成41年度には約80パーセントの施設が築30年以上経過しています。

 

図表 年度別延床面積、累計延床面積

2)課題

1 人口減少・少子高齢化への対応

本市の人口は、平成32年(西暦2020年)には178,343人(出典:国立社会保障・人口問題研究所による本市の将来人口推計平成263月)に減少し、65歳以上の人口割合が25パーセントを超え、平成42年(西暦2030年)には人口が17万人を割り、本格的な人口減少・少子高齢化を迎えることが想定されます。

こうした状況から、今後、施設利用者の総数自体の減少による余剰施設(空きスペース)の発生が懸念されるとともに、未利用・低稼働の施設が増加するものと見られます。今後、多くの類似施設を保有しながら適正な維持管理を継続することは、厳しい財政状況や市民1人当たりの施設維持費負担の増大などから相当困難になると予想されます。

 

2 厳しい財政状況への対応

本市の財政状況において、平成25年度決算における道路・橋りょうなどのインフラを含めた公共施設の整備にかかる普通建設事業費は64.1億円であり、平成7年度ピーク時(167.2億円)の約38.3パーセントまで縮小しています。一方、社会保障関係経費である扶助費は126.4億円であり、平成13年度から12年間で約2.6倍まで増加し、今後も増加していくものと予想されます。

今後も、公共施設の整備に多くの予算を振り分けることは困難であり、生産年齢人口の減少がますます進むことにより、税負担力が低下し、より一層の公共施設の維持更新経費に充てられる財源の不足も想定されます。

したがって、健全な財政運営を図っていくためには、できる限り経費の削減を図るとともに、適切な施設の維持管理を図ることが重要となります。

 

3 施設老朽化への対応

本市が保有する公共施設は、第二次高度経済成長期後半から昭和50年代後半にかけて建築された建物が多く、こうした建物は老朽化が著しく進行しています。

今後、建替えや大規模改修などに多額の維持更新経費が必要になることに加え、一斉に耐用年数を超えて設備投資を集中的に行わなければならない時期を迎えることが危惧されます。

このような状況のもと、今後の多額の維持更新経費に対応するためには、住民にとって必要な施設で、行政が供給しなければならない施設であるかを見極めて、適正配置を進めるとともに、維持更新経費の平準化を図るなど、適切な設備投資を行っていくことが課題となります。

 

2 公共施設マネジメントの必要性

公共施設を取り巻く課題から、将来にわたり公共施設の適切な維持保全を図るため、持続可能な公共施設マネジメントを行う必要があります。

平成2541日現在、本市が保有する526施設、延床面積約592千平方メートルの公共施設(病院及び職員宿舎は除く。)については、平成25年度から平成74年度までの50年間における建替え・修繕・大規模改修にかかる費用は、総額2,667億円、平均すると1年間に533千万円の事業費が必要となると試算します。これは、現状の公共施設にかかる改修・改築等経費(平成23年度決算:21.5億円)の約2.5倍となり、毎年約318千万円の財源が不足する結果となります。

内訳では、建替えにかかる経費は、50年間の総額で1,794億円、1年平均は359千万円、修繕・大規模改修にかかる経費は、50年間の総額で873億円、1年平均は174千万円となる試算結果となります。特に、建替えのピークを迎える平成41年度から平成52年度までの12年間では、年間約81億円(うち建替え分約65億円)の経費が必要となります。したがって、現在と同じ施設数を今後も維持していくことは、現実的に不可能な状況であることがわかります。

 

図表 公共施設における将来費用予測(建替え周期60年)

 

現状の公共施設をこのまま維持し、また現在の人口(平成22年:185,785人)が将来的に維持されたと仮定した場合、市民1人当たりの負担額(維持更新費用)が1.1万円から2.9万円と年間1.8万円(2.6倍)も負担が増えることになります。また、現状の維持更新費用(21.5億円)では現状の公共施設を維持することは不可能であり、現在の592千平方メートルから239千平方メートルまで353千平方メートル(60パーセント)も削減しなければならないことになります。どちらも現状の財政状況や市民に対する行政サービスの提供に大きな影響を与えるため不可能といえます。

そのため、「公共施設マネジメント」を行い、今ある資源・資産を最大限に有効活用するとともに、実現可能な公共施設の保有総量の見直しを行い、行政サービスの維持・向上を図る必要があります。

2章 公共施設適正配置の目標値、基本方針及び目指す将来像

1 豊川市における公共施設マネジメントへの取り組み

本市では、平成24年度に「豊川市公共施設白書」を策定し、そこから見えてくる課題や公共施設の利用状況等の分析及び住民アンケート調査から、施設評価を実施し、公共施設全体の適正配置に向けた目標等を定めた基本方針「公共施設の削減目標及び用途別における施設の方向性」を平成25年度に策定しました。

今年度は、本方針に基づいて、老朽化施設の統廃合、機能や利用圏域の重複する施設の多機能化・複合化等への実施プランとなる「豊川市公共施設適正配置計画(以下、「適正配置計画」とする。)」を策定するものです。

 

図表 公共施設マネジメントへの取り組み

 

2 公共施設の縮減目標

現状の維持・更新費用(平成23年度決算21.5億円)を今後も維持した場合は、更新できる保有面積が23.9万平方メートル(一人当たり1.3平方メートル)まで減少し、約35.3万平方メートルの施設が維持できなくなり、現状の施設の60パーセントの施設を減らさなければいけないことになります。

「豊川市公共施設の削減目標及び用途別における施設の方向性(平成25年度策定)」での目標値を踏まえ、適正配置計画での再配置に向け、以下の目標値を定めます。

 

1)目標の対象施設

公共施設の縮減目標の対象とする施設は、庁舎、学校、保育園などの一般施設とし、一般施設以外の施設(プラント系、インフラ系及びその他施設)について、今回、縮減目標値は設定せず、一般施設と同様に各施設所管課において公共施設マネジメントに取り組むものとしています。

 

図表 対象施設

2)縮減目標

一般施設の将来50年間のトータルコスト(建替え:建設後60年、大規模改修:建設後30年、修繕:建設後15年、45年)は、総額2,215億円、年平均44.3億円となります。これを縮減するために、以下の改善項目を実施することとしています。

 

改善項目1 長寿命化・維持管理コストの見直し

長寿命化(建替え時期70年、大規模改修時期35年)及び維持管理コストの見直し(事後保全から予防保全へ)により50年間トータルコストが1,756億円、年平均35.1億円となり、約20パーセント縮減可能

改善項目2 複合化・集約化

施設・機能の複合化・集約化により20パーセントの面積縮減を見込むことにより、今後の施設の更新コスト総額1,488億円、年平均29.7億円となる。また、建替時に建替単価を1割抑制することで、さらに年平均2億円縮減する。これにより、年平均44.3億円を27.7億円に縮減可能

改善項目3 さらに集約化・複合化と施設の統廃合推進

縮減面積を30パーセントとすることで、年平均44.3億円を25.3億に縮減可能

 

縮減目標

今後50年間の一般施設の年平均トータルコストの縮減目標を43パーセント、市の保有面積の縮減目標を50年間で30パーセントと設定します。

 

3 公共施設適正配置計画基本方針

公共施設適正配置計画基本方針として、「豊川市公共施設の削減目標及び用途別における施設の方向性」を踏まえ、以下の2つの方針を掲げます。

方針1 保有総量の縮減

方針2 計画的な維持保全による長寿命化等

 

方針1 保有総量の縮減

一定の前提条件のもとでの今後の更新等費用の試算では、公共施設の更新等可能な割合は、事業費ベースで約40パーセントとなり、今後50年間に耐用年数を迎える公共施設は、事業費ベースで約6割の削減が必要ということになります。この削減を実施すれば、市民に対する行政サービスの提供に大きな影響を与えます。

また、現実的には、生産年齢人口の減少により市税収入の増加が見込めず、少子高齢化による扶助費等の社会保障経費の増加などの要因により、財源確保の見通しが立ちません。そのため、試算結果のとおり耐用年数を迎えた公共施設の全ての更新を実施することは不可能です。

そのため、「豊川市公共施設の削減目標及び用途別における施設の方向性」において、保有総量の縮減に向けて以下を実行することとしています。

 

人口減少と少子高齢化の進行に対応するため、老朽化施設の統廃合等による保有総量の縮減を行う。

現在、既に整備に向け計画的な取り組みが進められているものを除き、新規の公共施設の建設事業はできる限り抑制する。

施設の更新時期には、施設の配置状況・利用実態等を踏まえ、必ず複合化、機能転換、統廃合等の可能性を検討する。

公共施設の約41パーセントを占める学校教育施設を地域ニーズに応じて複合化等有効活用する。

 

また、上記を推進するための考え方として以下の2点を掲げます。

 

1 施設重視から機能優先への転換と多機能化・複合化の推進

公共施設の適正配置にあたっては、「施設ありき」の考え方ではなく、施設の「機能」を重視し、「機能」はできる限り維持しつつ「施設」は縮減していくという考え方を基本として検討します。

また、機能や利用圏域の重複する施設については、その稼働率や空きスペースの状況を検証しつつ整理統合を含めて検討し、用途の異なる施設についても、機能面からの多機能化・複合化を視野に、効率的な機能配置を検討し、先導的事業につなげます。

すなわち、一つの施設が一つの機能を果たすという考え方を改め、多機能化・複合化を進めることにより、延床面積の縮小を図ることを検討します。

2 総量縮減に向けた優先順位の整理

公共施設の総量縮減にあたっては、今後の高齢者人口の増加、児童生徒数の推移、生産年齢人口の減少に伴う税収入の影響、さらには、中学校区別による施設バランス、行政需要や市民ニーズの量と質の変化の動向を把握し、社会環境の変化に応じた公共施設再配置の優先順位づけを行い、公共施設の保有総量の縮減を推進します。

その際、既存の施設については、時代の変化によって当初の設置目的と現状とのかい離が発生している場合や類似する施設においては、機能の見直し、廃止を推進します。

 

方針2 計画的な維持保全による長寿命化等

平成27年度策定予定の公共施設長寿命化のための中長期保全計画(以下、中長期保全計画策定)にあたっては、施設の適正配置にかかる方針、計画を踏まえ、適切な手法による建物評価を行い、計画的な保全・建物の長寿命化を実行し、工事コスト、運営コストの最適化による財政負担の縮減と平準化を図ります。

 

4 実現を目指す将来像

少子高齢化への的確な対応に加え、人口減少の抑制や来訪者の増加を図るため、「定住」や「交流」を促進する取組みが重要となっております。

この視点を強く意識し、今後の公共施設適正配置の取り組みによって実現を目指す将来像を「公共施設の新たな価値の創出 人が集い 市民交流を促す場を創造する」と掲げます。

 

3章 適正配置計画での取り組み

1 計画の期間と 3つの重点取組と2つの横断戦略

1)基本的な考え方

適正配置計画は、長期的な公共施設縮減目標の達成及び、将来像「公共施設の新たな価値の創出 人が集い 市民交流を促す場を創造する」の実現に向けた公共施設適正配置の実施プランに位置付けるもので、平成27年度から平成37年度までの今後およそ10年間における取り組みを定めます。

適正配置計画での取り組みについては、今後およそ10年間での重点度・緊急度が高いものを「重点取組」とします。

 

計画期間の考え方

2段階 平成25年度から平成27年度 公共施設適正配置計画 公共施設中長期保全計画 公共施設等総合管理計画

3段階 平成27年度から平成37年度 再配置事業(モデル事業) 今後10年間の重点取組と横断戦略

4段階 平成38年度から平成47年度 再配置事業

以降、第8段階 平成78年度から平成87年度 再配置事業 までつづく 

 

重点的な取り組みを定めるにあたっては、「老朽化した施設が多い」、「ニーズに対して施設数が多い」、「余剰スペースが認められる」など、公共施設総量の縮減に向けて重点的に取り組むべき施設について、施設用途単位に選定します。また、各重点取組を推進するための横断的な戦略を横断戦略とし、重点的な取り組み及び横断戦略は以下の考え方で選定します。

 

重点取組

概ね10年から15年の内に、建替え又は大規模改修時期を迎える施設がある。

現在の利用実態において余剰スペースが多いなど有効活用されていない施設、あるいは今後の人口動向等を見据えた利用想定において有効活用がされないことが見込まれる施設がある。

 

公共施設適正配置基本方針に基づいて、施設用途別に優先度を判定し、「重点取組」を選定

施設重視から機能優先への転換と多機能化・複合化の推進(公共施設の約41パーセントを占める学校教育施設を地域ニーズに応じて複合化等有効活用する等)

総量縮減に向けた優先順位の整理 など

 

横断戦略

公共施設適正配置を進めるためには、市民の間に公共施設の現状及び共通理解が必要です。また、公共施設適正化の事業の推進は、市民や民間事業者との連携が必要です。横断戦略についてはこの視点を重視し設定します。

2)「重点的な取組」選定にあたっての検証

1 公共施設適正配置計画基本方針に基づく検証

公共施設適正配置計画基本方針を踏まえた、施設用途別の評価と、さらに地域コミュニティの単位となる中学校区別に以下のとおり整理します。

 

公共施設適正配置計画基本方針

保有総量の縮減

老朽化施設の根本的な保有総量を削減する。

新規の公共施設の建設事業はできる限り抑制する。

施設の更新時期には、複合化、機能転換、統廃合等の可能性を検討する。

学校教育施設を地域ニーズに応じて複合化等有効活用する。

 

施設重視から機能優先への転換と多機能化・複合化の推進

「機能」はできる限り維持しつつ「施設」は削減する。

機能や利用圏域の重複する施設は、稼働状況、空きスペースを検証して整理統合する。

用途の異なる施設も機能面から多機能化・複合化を進め、延べ床面積の縮小を図る。

 

総量縮減に向けた優先順位の整理

優先順位の視点

人口動向(高齢者人口増加、児童生徒数の推移、生産年齢人口減少)

中校区別の施設バランス

行政需要や市民ニーズの量と質の変化

 

 

市民ニーズ

アンケートの結果・主な意見

公共施設の建替えや維持管理費軽減の手法としては、「施設の量を減らし、維持管理や改修・建替えの費用を削減すること」が43.0パーセントと最も多い。

公共施設の統廃合には57.2パーセントが賛成

どのように減らすかではなく、どのように活かすかに視点を当てるべき。

本市の場合は、まず施設数を適正な数にすることが必要

経費削減ばかりに気を取られないで、よく考えた上で公共施設を減らしてほしい。

将来の少子化を考慮し、維持できる施設に整理すべき。

 

公共施設の複合化には63.9パーセントが賛成。

14町の垣根を取り除き、重複施設の統廃合を進めるべき。

高齢者施設と保育施設を一緒にすることで双方にプラスに働く。

高齢の方でも近くで手続きができるよう1施設に多機能性を持たせる。

少子化で学校の空き教室などが利用可能

健康福祉施設と集会施設で共通性のある施設は、統廃合、複合化を進めるべき。

交通利便の良いところに集会施設、福祉、障がい、学習施設など多目的に使える大きな施設を作り、地域の施設を減らす。

 

公共施設を減らしていく基準は、利用者が少ない施設67.6パーセント、利用されてない空間を放置している施設57.9パーセント、同じような用途が重複している施設55.9パーセント、一部の個人・団体にしか使われない施設55.6パーセント

市民の利用状況、市内の配置のバランスを考慮してほしい。

子どものための施設は大事にしてほしい。

万人の憩の場所になりえる物を優先し特定の個人、趣味等でしか使われないものは公共性の観点からも統廃合が望まれる時代になっている。

 

公共施設適正配置に向けた課題

施設用途別

支所、勤労福祉会館は、総合的なあり方検討が必要

公立保育所は、民営化の促進と施設の統廃合の検討が必要

老人憩の家は、地元町内会への無償貸付や譲渡、施設廃止を含めた検討が必要

公営住宅は、住宅マスタープランとの整合性を図りつつ総量縮減の検討が必要

小学校は、長寿命化、必要に応じた他の公共施設との複合化の検討が必要。中学校は、更新時に適正規模とし、総量の縮減の検討が必要

生涯学習施設は、複合化や他施設への機能集中による総量縮減の検討が必要

体育施設は、地域体育館と近隣学校体育館との共有化、一般開放の拡大による総量縮減の検討が必要

 

支所については、庁舎維持の是非も含め、他施設との複合化や周辺公共施設への機能移転の検討が必要

文化施設について、ホールとして重複する機能の集約化の検討が必要

健康福祉センター、福祉保健センターについては、他用途への機能転換、施設の複合化の検討が必要

児童施設については、学校を含む他施設の余剰スペース活用など、単独施設としてのあり方の見直し検討が必要

公民館、地区市民館等については、同一利用圏域単位で集約化、多機能化の検討が必要

 

高齢者福祉施設については、高齢化の進行を踏まえつつ、提供すべきサービスについての再検証、機能転換、用途廃止を踏まえた施設のあり方の検討が必要

保育園、公民館等については、地域バランスに配慮した施設配置の検討が必要

学校教育施設ついては、児童・生徒数の動向等を踏まえながら、学校の適正規模、適正配置の検討が必要

 

中学校区別

音羽、御津、一宮中学校区は、旧町時代のセンター的機能を担っていた施設の本市中心拠点への移転・集約の検討が必要

小坂井中学校区は、支所庁舎の適正な規模、配置の検証が必要

音羽、御津、一宮中学校区は、保育施設が老朽化しているため、学区の保育需要を踏まえた対応の検討が必要

 

東部、南部、中部、西部中学校区に立地する公民館等の施設について、機能や利用圏域の重複の検証、行政分野を超えた複合化、多機能化の検討が必要

代田、音羽、御津、小坂井中学校区に立地する文化施設や生涯学習施設などの大型施設について、施設のあり方や複合化、多機能化の検討が必要

金屋中学校区は、地区市民館、地域福祉センターなど実質的に機能重複施設が近接しているため、機能集約や複合化の可能性について検討が必要

 

中心拠点への行政のセンター的機能を持つ施設の集約化と適切な長寿命化対応の検討が必要

地域生活拠点の位置付けや区画整理事業の進捗を踏まえ、地域ニーズや地域特性に即した適正な施設配置の検討が必要

東部、南部、西部、小坂井中学校区は、重点的に耐震化・減災化を進める区域に指定されているため、公共施設においても対策の検討が必要

本市では、児童数が減少することが予想されるため学校施設について、人口動向を踏まえた適正規模等の検証が必要

 

公共施設の適正配置に向けた課題図

 

2 今後およそ10年間に建替え及び大規模改修の検討を要する主な公共施設

今後およそ10年間を見ると、図のとおり、学校教育施設や市営住宅が建替えを検討すべき時期に来ているほか、多くの施設で大規模改修の実施を検討する必要が出てきます。

平成26年度から平成37年度までに建築後60年を経過し、建替え検討の対象となる施設は、用途別には、小中学校が13施設、市営住宅が3施設です。

平成25年度時点で建築後30年を経過し、早期の大規模改修実施を検討すべき施設は、庁舎が4施設、小中学校が4施設、公民館等のコミュニティ施設(地域福祉センターを含む)が10施設、保育園が5施設、保健・福祉施設が1施設、文化施設、体育施設が各1施設となっています。さらに平成37年度中までに広げると、大規模改修候補の76施設中、小中学校が27施設、児童館・児童クラブ室が3施設、コミュニティ施設が16施設、市営住宅が9施設となっており、以上の施設が全体の約72パーセントを占めます。

以上から、今後およそ10年間で、計画的な配置・保全を優先すべき施設に、庁舎、小中学校の学校教育施設、地区市民館等のコミュニティ施設があげられます。

また、複合化・多機能化の推進等の公共施設適正配置基本方針に照らしても、地域単位で再編・保全に取り組むのに適した施設群といえます。

 

まとめ

庁舎は施設数こそ少ないものの、ほぼ全ての施設が早急な老朽化対策が必要とされます。また、地域の行政サービスの拠点であることから、地域単位での施設再編の中心に位置付けられます。

小中学校の学校教育施設は、公共施設全体に占める数も多く、今後10年間においても対策を講じていくべき施設も多く、重要度が大変高い施設です。また地域コミュニティにとっても重要な施設資源です。

コミュニティ施設も小中学校同様、施設数が多いこともありますが、老朽化の進行が懸念される施設が多い結果となりました。地域単位での施設の再編を通じて、施設間の機能重複の解消などの期待が大きい施設です。

 

図表 今後およそ10年間に建替え・大規模改修の検討を要する主な公共施設

 

33つの重点取組と個別方針

今後10年間に重点的に取り組み、展開する施設用途に、「庁舎等」、「コミュニティ施設」、「学校教育施設」を選定し、適正配置に向けた取組内容及び個別方針を以下に示します。

 

重点取組1 市全体の行政サービスの見直しと庁舎等の機能集約・施設転用

対象施設 本庁(本庁舎・北庁舎)、一宮庁舎、音羽庁舎、御津庁舎、小坂井庁舎

本庁は、市行政のセンター機能を担うもので、行政組織の集約・統合を図る必要があります。特に、本庁舎は築40年以上が経過しており老朽化が進んでいます。

音羽庁舎は、施設の状態は良いものの施設利用が低い状況にあります。

一宮庁舎、御津庁舎、小坂井庁舎は、築30年が経過しており老朽化が進んでいます。また、旧議場や委員会室等は利活用が困難なため空きスペースとなっており、余剰施設となっています。

重点取組1 基本的な考え方

支所庁舎は、当該地区の市民が利用している施設であるため、現在支所で提供している行政サービス機能(窓口機能)は他施設への集約等により維持しつつ、施設総量を縮小します。

建物が継続利用できる支所については、他用途への転用や多機能化・複合化の拠点として活用することを検討します。

 

重点取組1を進めるにあたっての個別方針を以下のとおり定めます。

 

方針1 本庁への機能集約と各支所庁舎に配置すべき機能の明確化

現在の本庁、各支所庁舎に分散している行政サービス機能について、体制・組織のあり方を含め適切な機能配置に全庁的に検討し、本庁に集約すべき機能、支所単位に配置すべき機能を明確にします。

音羽支所、一宮支所等に分散している行政機能など、センター機能を担うべき機能(集約・統括)については、本庁及び本庁舎周辺への移転を検討します。

支所機能については、現在の支所機能にとらわれることなく地域づくりや地域住民の利便性、福祉向上、市全体の防災対策などの観点から行政サービスの優先度、体制・組織のあり方、サービス提供の方法を検討し、必要な行政サービス機能を検討します。

 

方針2 支所庁舎は、余剰スペースの活用、複合化、施設転用、廃止を推進

支所庁舎は、現在、国等への一時的に貸付している空間を含め、余剰スペースが多くあります。余剰スペースは、適切な維持管理・保全、長寿命化を推進する上でも課題となるため、積極的な活用が必要です。

余剰スペースについては、コミュニティ施設等の移転による複合化や転用の可能性について改修費用を含めた費用対効果等の検討を行い施設の複合化や転用を推進します。

各支所単位で必要な行政サービス機能の配置の必要がなく、コミュニティ施設以外の用途(官民問わず)による活用を見いだせない支所庁舎については、廃止します。

 

個別方針を踏まえた適正配置に向けた再編イメージ

個別方針を踏まえた適正配置に向けた再編のあり方として、以下のような想定が考えられます。

支所機能の再検討により、地域へのサービスだけでなく、市の出先機関としての活用が必要な場合 機能継続・拡充

支所機能の再検討により行政サービス機能が必要であるが、規模が小さくても十分な場合 部分転用・複合化

支所機能の再検討により行政サービス機能が必要であるが、他施設での対応が可能な場合 全部転用・複合化

支所機能の再検討により行政サービス機能の必要性がない、又は行政サービス機能は必要であるが、他施設での対応が可能で、他用途としての活用可能性がない場合 廃止

 

今後10年間の取り組みの方向性

個別方針を踏まえ、各施設における今後およそ10年間の適正配置に向けた取り組みの方向性を以下のとおり整理します。

 

本庁(本庁舎・北庁舎)

行政サービス機能の強化、向上について、体制・組織も含めて全庁的な検討を早急に行い、本庁に集約・統括すべき機能については、本庁及び本庁舎周辺への移転を進めます。

上記の検討を踏まえ、本庁再整備のあり方について方向性を決めます。

一宮庁舎

分散している組織(上下水道部)の本庁への集約化又は本庁舎周辺の他の施設への移転を検討します。

分散している組織が移転した時点で、施設の構造体耐久性等を踏まえ、他用途への転用や支所庁舎内の行政サービス機能を周辺公共施設に移転を検討し、現庁舎施設は廃止を含めて検討します。

音羽庁舎

分散している組織(教育委員会)の本庁への集約化又は本庁舎周辺の他の施設への移転を検討します。

分散している組織が移転した時点で、必要な行政サービス機能を残し、空きスペースにはコミュニティ施設の集約や民間活用を検討します。

御津庁舎

国等の出先機関等の借用要望がある間は、借用を継続します。

国等の出先機関が転出した時点で、施設の構造体耐久性等を踏まえ、他用途への転用や支所庁舎内の行政サービス機能を周辺公共施設に移転を検討し、現庁舎施設は廃止を含めて検討します。

小坂井庁舎

施設の構造体耐久性等を踏まえ、他用途への転用や支所庁舎内の行政サービス機能を周辺公共施設に移転を検討し、現庁舎施設は廃止を含めて検討します。

 

重点取組2 機能重複するコミュニティ施設の集約・統廃合

主な対象施設 公民館、生涯学習会館、地区市民館等集会施設、児童館等の児童福祉施設、東部・西部地域福祉センター

対象となるコミュニティ施設については、施設用途が異なっても重複する機能を持った施設が複数あります。

 

重点取組2 基本的な考え方

機能集約にあたっては、施設用途に応じて小学校区や中学校区のコミュニティ施設の配置等の実態を踏まえつつ、施設用途を超えた機能集約を図ります。

施設利用の実態(利用者数等)や諸室単位の稼働率等を見ながら、機能集約を検討し施設の統廃合を進めます。

機能集約や施設の統廃合に伴い、複合化や多機能化を進め、市民交流を図りつつ市民のコミュニティ形成を促進するための拠点とします。

 

重点取組2を進めるにあたっての個別方針を以下のとおり定めます。

 

方針1 同一中学校区内のコミュニティ施設は機能統合による集約化の推進

コミュニティ施設として分類する公民館、地区市民館等は、同一中学校区にそれぞれ立地し、集会室、会議室など諸室の機能面で重複が多く見られます。

諸室の機能面で重複については、所管等の設置・管理上の縦割りを超えて、機能集約を図り施設の再編を進めます。

機能集約は、それぞれの施設の諸室単位の稼働率等を勘案して、住民の利用機会の維持を図りながら行います。

 

方針2 新規整備を行わず既存施設への集約化を原則

機能集約に当たっては、新規整備よりも小中学校の空きスペースの活用、支所庁舎空きスペースの活用等、既存施設の改修等による対応を優先します。

上記で対応が困難かつ新規整備の方が望ましい場合は、新複合施設を検討します。

 

方針3 稼働が低く利用者が限定される施設は、廃止又は地縁団体等へ施設譲渡を原則

老人憩の家は、利用者が少なく限定されています。地域の集会等に使われることが多いため、機能は集約し、施設の転用・譲渡を推進します。

東部・西部地域福祉センターについては、利用はあるものの提供されているサービスや施設機能は専用施設でなくても提供可能なため方針1に基づいて他施設と機能統合します。

 

個別方針を踏まえた適正配置に向けた再編イメージ

個別方針を踏まえた適正配置に向けた再編のあり方として、以下のような想定が考えられます。

老人憩の家 地域に施設を譲渡、地域に管理を移管

児童館・児童クラブ室 地域の学校に複合化

公民館、地区市民館等、生涯学習会館、東部・西部地域福祉センター 集約化・複合化により面積縮減、新複合施設整備により面積縮減

 

今後10年間の取り組みの方向性

上記の方針を踏まえ、各施設における今後10年間の適正配置に向けた取り組みの方向性を以下のとおり整理します。

公民館

施設規模の大きさから中学校区内のコミュニティの中心的役割を期待されるため、施設の複合化や多機能化により施設再編を推進します。

地区市民館

小単位での地域コミュニティの拠点となっており、地域の防災拠点としての役割も期待されています。これら期待される役割を踏まえつつ、現施設の施設・設備の状況を勘案し、施設の建替・改修だけでなく、公民館等への機能移転・集約を含めた施設再編を推進します。

生涯学習会館

施設規模の大きさから中学校区内のコミュニティの中心的役割を期待されるため、施設の複合化や多機能化により施設再編を推進します。

東部・西部地域福祉センター

機能統合して集約し、施設はコミュニティ施設への転用を検討し、施設存続の必要性が低ければ廃止も含めて施設再編を推進します。

老人憩の家

施設設置当時の目的と利用現況を踏まえ、他施設等への転用を検討するとともに、地域住民との合意形成を図りつつ、地域の組織に譲渡等を推進します。

児童館等

地域の子育ての拠点として、小学校等の機能連携や適切な運営がしやすい施設への複合化など施設再編を推進します。

 

重点取組3 人口減少に伴う学校教育施設等の総量縮減と多機能化の推進

対象施設 学校教育施設

コーホート要因法による本市の推計人口によると、平成47年には約17.2万人と平成22年の人口約18.6万人と比べ、7パーセント以上減少すると推計されます。特に音羽、御津、小坂井の中学校区については10パーセント以上減少すると推計されます。

人口減少とともに少子高齢化が進み、市全体の年少人口が平成47年には約2.3万人と平成22年に比べ約17パーセント減少します。特に中部、音羽の中学校区については20パーセント以上減少すると推計されます。そうしたことから、将来的に小中学校の校舎の余剰空間が発生します。

 

重点取組3 基本的な考え方

小学校区は、地域コミュニティの単位の1つとなっています。そのため、学校施設の余剰空間の発生に合わせて、施設の劣化状況等を踏まえつつ、重点取組2で示したようなコミュニティ施設との複合化やコミュニティ施設への転用を図ります。

また、建替えにあっては、将来人口や年齢構成等を踏まえ、機能重視とともに適正規模を徹底します。

 

重点取組3を進めるにあたっての個別方針を以下のとおり定めます。

 

方針1 学校の統廃合については、年少人口の減少を踏まえ全庁的な方針を決定し、面積の削減や施設再編を推進

学校の再編は地域住民をはじめとする広範な市民合意が必要と考えられます。また、老朽化など物理的な耐用年限の問題もあり、全庁的に方針を早急に定め、施設再編を進めるとともに、特に普通教室や特別教室及び図書室等の整備方針を明確にすることが必要です。

人口減少・少子化により今後、急速に児童・生徒数が減少し、クラス替えのできない学年1クラスの発生、部活動でのチーム維持ができないなど教育面で影響も出ます。

そのため、小学校は、複式学級の発生が予測される時点で学校の統合・転用を検討するなど、具体的な再編方針を定め施設再編を推進します。

 

方針2 児童・生徒数の減少により今後発生する空き教室は、複合や多機能スペースとして活用を原則

児童・生徒数減少から、今後空き教室の発生が懸念されます。余剰スペースについは、全庁的な検討を踏まえた上で、コミュニティ施設等の他用途による活用やフレキシブルな活用を図り、複合化、多機能化のスペースとしていきます。

複合化に当たっては、当該地域の児童館や児童クラブ、保育園の複合を優先し、子どもたちにとっては利便性が高く、保護者にとっては安心できる施設としていきます。

 

個別方針を踏まえた適正配置に向けた再編イメージ

方針を踏まえた適正配置に向けた再編のあり方として、国においても学校施設と他の地域施設との複合化の方向性が示されています。

 

学校施設を公民館・福祉施設・子育て支援施設等の複合施設として、地域のコミュニティ活動の拠点施設に

出典:学校施設老朽化対策ビジョンによる他の公共施設との複合化イメージ(文部科学省)平成253

 

今後10年間の取り組みの方向性

上記の方針を踏まえ、各施設における今後10年間の適正配置に向けた取り組みの方向性を以下のとおり整理します。

小学校

児童・生徒数の減少に応じて面積の削減を図るとともに、複式学級の発生が予測される時点で学校の統合・転用を検討するなど明確な再編ルールの策定

余剰スペースについては、他用途との複合や多目的な活用を図ります。

中学校

現状の施設数を維持するが、面積の削減を図るとともに余剰スペースは他用途との複合や多目的な活用を図ります。

 

42つの横断戦略

重点的な取組の展開を図るための戦略として、以下の2つの戦略を位置付けます。公共施設適正配置を進めるためには、市民や事業者の理解、連携が重要となります。

 

横断戦略1 見える化・見せる化による問題意識の共有

公共施設の適正化を図るためには、広く市民の理解を得ることが必要です。理解を得るためには、公共施設の現状や課題、今後取り組まなければならないことなど公共施設に対する問題意識を醸成、共有することが必要です。

問題意識を共有するためには、公共施設に関わる諸問題を分かりやすく伝える「見える化」が必要です。また、「見える化」するだけでなく、公共施設に関わる問題や適正配置に関わる話題を積極的に発信し、情報の「見せる化」により共有化を促進していくことも重要になります。

 

横断戦略1 基本的な考え方

「見える化」にあたっては、公共施設適正配置計画ニュースによる検討状況の発信、マンガによる意識啓発などを進め、世代にかかわらず公共施設の現状や課題を分かりやすく発信します。あわせて、公共施設適正配置計画策定後について、モデルエリアの検討結果などを構想図として分かりやすく示します。

「見せる化」にあたって、公共施設適正配置計画を策定し、地区毎の説明や施設利用者への説明などにより、市民と対話を通して公共施設適正化にかかる情報を共有しながら、実際の適正配置事業を推進します。

公共施設適正配置計画ニュース 市役所本庁舎・各庁舎、各公民館の9箇所に設置

マンガでわかる公共施設適正配置 広報とよかわ 全戸配布 平成26815日号

 

横断戦略2 市民・民間事業者との連携による効率的・効果的な施設管理

公共施設適正配置に関わる各種事業は、市のみの検討、判断、実行では限界があります。そのため、施設の適正配置にかかる事業においては、当該施設周辺の地域の人とのワークショップ等による協働、民間事業者が持つ施設整備や施設管理のノウハウを活用など、効率的・効果的な施設整備や施設管理を進めます。

 

横断戦略2 基本的な考え方

民間事業者のノウハウや資金の活用

施設更新にかかる整備、施設の改修等の整備にあたっては、PFI事業の導入、余剰となる公有地の売却を含めた事業、民間が整備した施設の賃貸による公共施設、公共施設の一部を民間に貸付けて賃料収入を得るなど公民連携型(PPP)の事業実施を図ります。

施設の管理手法

主に地域住民が利用するコミュニティ施設については、施設を地域に譲渡し、施設の維持管理・運営を含めて施設管理を地域に移管することを検討・推進します。

指定管理者制度等の民間主体の施設管理を拡大するとともに、利用料金の見直しや余剰床の貸付を含めた事業スキームの構築を行い、公共施設からの収入拡大を検討・推進します。

民間施設の利活用

コミュニティ施設の地域移管、スポーツ施設等について民間施設を活用し、民間施設の利用料金への補助に切り替えるなど、施設を持たずに機能を継続することも検討・推進します。

 

2 モデルエリアの選定

3つの重点取組」を中心に今後10年間の公共施設適正配置を実施していく上で、施設用途等の枠を超えて、合意形成を得ながら横断的に進めていくためには、地域コミュニティ単位での取組が有効です。市内10の中学校区を地域コミュニティの単位・エリアとし、この中から今後10年間において優先度の高いエリア「モデルエリア」を選定します。

モデルエリアは、以下の考え方から選定します。

 

1)モデルエリア設定の考え方

公共施設の適正配置に向け、「3つの重点取組」の確実な実施を視点に、地区単位あるいは施設用途単位での効果的な施設配置(施設量の縮減、複合化・多機能化)が期待できるエリアをモデルエリア候補として選定します。

 

1 施設の視点

同一利用圏域において機能の重複が顕著な施設

概ね10年から15年のうちに建替え又は大規模改修の時期を迎える施設

現在の利用実態において有効利用がされていない(余剰空間がある)施設又は今後の人口動向等を見据えた利用想定において有効利用が図られない(余剰空間が発生する)見込みの施設

 

2 まちづくりの視点

拠点地区形成等により一層の機能集約が求められる、又は、重点的な耐震化・減災化等の対策が求められるなど、まちづくりとの一体的な取り組みとして公共施設の適正配置の推進が期待できる。

 

2)モデルエリア候補の設定

選定の考え方を踏まえ、以下の5エリアをモデルエリア候補として選定します。

1 東部・金屋エリア

選定のポイント

金屋学区では地区市民館や東部地域福祉センターなど機能重複施設が近接、東部中学校区においても、金屋中学校区と隣接する学区西側に複数の公民館等が立地(機能重複)・(コミュティ施設の集約)

東部学区では豊川駅周辺の地域生活拠点であり中心市街地の一角を形成するエリアにおいて人口動向等を見据えた施設の適正配置が課題、金屋学区では姫街道沿道の都市景観の向上が課題(まちづくりとの一体的な取り組み)

今後10年以内に建替えや大規模改修時期を迎える施設候補等

大規模改修 豊川公民館

大規模改修 東部中学校

大規模改修 睦美保育園

大規模改修 三蔵子小学校

大規模改修 東部地域福祉センター

大規模改修 金屋中学校 等

今後の人口動向

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。

東部・金屋エリアでも1割弱(約2,300人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むことと見込まれます。

 

2 一宮エリア

選定のポイント

一宮支所など旧町のセンター的機能を担っていた施設が各所に立地(市中心拠点との機能重複)

三河一宮駅周辺の地域生活拠点への区画整理事業等に合わせた必要機能の維持・集約化が課題(まちづくりとの一体的な取り組み)

学校施設や保育施設の老朽化、今後の児童・園児数の減少を見据えた適正規模の検証が必要(余剰空間活用)

今後10年以内に建替えや大規模改修時期を迎える施設候補等

建替え 一宮東部小学校

建替え 一宮西部小学校

大規模改修 一宮庁舎

大規模改修 東上保育園

大規模改修 農業者トレーニングセンター

大規模改修 一宮生涯学習会館 等

今後の人口動向

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。

一宮エリアでも1割弱(約1,400人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むことと見込まれます。

 

3 音羽エリア

選定のポイント

1人当たり施設面積は市平均を大きく上回る(総量圧縮)

音羽支所や音羽福祉保健センターなど旧町のセンター的機能を担っていた施設が各所に立地(市中心拠点との機能重複)

学校施設や保育施設の老朽化、今後の児童・園児数の減少を見据えた適正規模の検証が必要(余剰空間活用)

今後10年以内に建替えや大規模改修時期を迎える施設候補等

建替え 萩小学校

大規模改修 音羽生涯学習会館

大規模改修 萩保育園

大規模改修 赤坂保育園・長沢保育園

大規模改修 赤坂小学校

大規模改修 音羽中学校 等

今後の人口動向

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。

音羽エリアでも1割以上(約1,000人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むことと見込まれます。

 

4 御津エリア

選定のポイント

1人当たり施設面積は市平均を上回る(総量圧縮)

御津支所や御津福祉保健センター、文化会館など旧町のセンター的機能を担っていた施設が各所に立地(市中心拠点との機能重複)・(余剰空間活用)

御津駅周辺の地域生活拠点における地域コミュニティ施設の適正配置(公民館等の機能重複の適正化を含めて)が課題(コミュティ施設の集約)・(まちづくりとの一体的な取り組み)

学校施設や保育施設の老朽化、今後の児童・園児数の減少を見据えた適正規模の検証が必要(余剰空間活用)

御津体育館は、地域体育館や近隣体育館との共有化との検証が課題(機能重複)

今後10年以内に建替えや大規模改修時期を迎える施設候補等

建替え 日暮住宅

建替え 大恩寺住宅

大規模改修 御津庁舎

大規模改修 御津生涯学習会館

大規模改修 御津南部小学校

大規模改修 御津北部小学校

大規模改修 御津中学校 

大規模改修 御津文化会館 等

今後の人口動向

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。

御津エリアでも1割以上(約1,600人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むことと見込まれます。

 

5 小坂井エリア

選定のポイント

小坂井支所や小坂井文化会館など旧町のセンター的機能を担っていた施設が立地(市中心拠点との機能重複)・(余剰空間活用)

学校施設の老朽化が進行、施設の長寿命化とともに、建替えや大規模改修に合わせた地区内施設の適正配置が検討課題(建替え・大規模改修の対策)

鉄道駅周辺への地域拠点機能の集積が課題(まちづくりとの一体的な取り組み)

今後10年以内に建替えや大規模改修時期を迎える施設候補等

建替え 小坂井中学校

建替え 小坂井東小学校

建替え 小坂井西小学校

大規模改修 小坂井庁舎

大規模改修 小坂井生涯学習会館

大規模改修 小坂井北保育園 等

今後の人口動向

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。

小坂井エリアでも1割以上(約2,400人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むことと見込まれます。

 

3 モデルエリアと重点取組に基づく施設評価

1)評価の考え方

公共施設適正配置による将来像の実現に向け、今後およそ10年間における「3つの重点取組」と「2つの横断戦略」を確実に実施していくため、モデルエリア候補(5エリア)について、公共施設の多面的な評価を行い、2から3地区をモデルエリアに設定します。

また、「3つの重点取組」の対象となる施設用途を「重点取組施設」として、取組の事業化に向けた課題を抽出し、各用途内での優先度を選定するための評価を行います。

 

1モデルエリア評価の考え方

モデルエリア候補の5地区(東部・金屋エリア、一宮エリア、音羽エリア、御津エリア、小坂井エリア)については、以下の考え方に基づき評価します。

「防災力」「施設を取り巻く環境」「施設の老朽化、コスト建替え・改修等にかかるコスト」「施設利用率」の4つの視点から、モデルエリア候補内の各施設について数値化し、それらを総合的に評価することで、重点的・優先的に公共施設の適正配置に取り組むべきモデルエリアを抽出します。

 

2 重点取組施設評価の考え方

重点取組に設定した「庁舎等」、「コミュニティ施設」、「学校教育施設」の各施設用途について「施設状況(劣化度、構造体耐久性、老朽度)」「利用者数」「職員1人当たりの施設面積」「施設の近接性」「交通利便性」の観点で施設毎に施設評価を実施します。

・施設評価の結果、「庁舎等」、「コミュニティ施設」、「学校教育施設」の施設用途毎に重点的・優先的に適正配置に取り組むべき重点取組施設を抽出します。

 

2)モデルエリアの選定

1 評価の項目と方法

モデルエリア候補毎に、各評価項目に基づき評価します。公共施設の機能として横断的なものであり、地域において重要性が高い防災力の視点などを踏まえた評価項目を設定します。下記の項目について、評価・数値化を行い、項目毎に偏差値化し、その平均値により総合的な評価を行います。

 

モデルエリアの選定方法

地域の防災力

エリア評価の視点

防災力の高い市街地となっているか

安全な避難所が十分に確保されているか

評価項目

1 延焼危険性

2 災害時行動困難性評価

3 避難所収容人数割合

 

施設を取り巻く環境

エリア評価の視点

地域内の施設が利用しやすい立地にあるか、また、人口減少による施設再編の必要性が高いか

評価項目

4 駅からの徒歩圏施設数

5 人口増減

 

施設の老朽化・コスト

エリア評価の視点

地域内の施設の劣化度等が高いか、また、地域人口に対して過剰に供給されていないか

評価項目

6 施設老朽度

7 施設劣化度

8 一人当たり施設面積

9 一人当たりLCC

 

施設利用率

エリア評価の視点

地域の施設が市民に十分に利用されているか

評価項目

10 市民意向による施設利用率

 

エリアの総合評価(評価項目の平均偏差値)

 

各エリアの「庁舎等」、「コミュニティ施設」及び「学校教育施設」の3つの重点取組施設とともに、文化施設・公営住宅・体育施設等の豊川市公共施設白書に基づく施設を評価します。

 

図表 モデルエリア評価項目一覧

 

2 モデルエリアの評価

防災力にかかる評価

小坂井エリアは、いずれの評価においても偏差値が50を下回っています。

評価の平均では、御津エリア、小坂井エリアが偏差値50を下回っています。

 

図表 防災力評価

図表 防災力評価結果(偏差値評価)

図表 防災力評価結果グラフ

 

施設を取り巻く環境にかかる評価

東部・金屋エリア(東部中学校区)、一宮エリア、音羽エリア、御津エリアは、いずれの評価においても偏差値が50を下回っています。

評価の平均では、東部・金屋エリア(東部中学校区)、一宮エリア、音羽エリア、御津エリアにおいて偏差値50を下回っています。

 

図表 周辺施設環境評価

図表 周辺施設環境評価(偏差値評価)

図表 周辺施設環境評価グラフ

 

施設老朽化・コストにかかる評価

音羽エリアは、いずれの評価においても偏差値が50を下回っています。

評価の平均では、音羽エリア、小坂井エリアが偏差値50を下回っています。

 

図表 施設老朽化・コスト評価

図表 施設老朽化・コスト評価(偏差値評価)

図表 施設老朽化・コスト評価グラフ

 

施設利用率からの評価

東部・金屋エリア(東部中学校区)、小坂井エリアが偏差値50を下回っています。

 

図表 施設利用率評価

図表 施設利用率評価(偏差値評価)

図表 施設利用率評価グラフ

 

エリア評価まとめ

東部・金屋エリア、一宮エリアについては、東部中学校区で施設のアクセス性、金屋中学校区で施設の老朽度などで評価が低いものの、エリア全体の総合評価では概ね良好な地区といえます。

それ以外の音羽エリア、御津エリア、小坂井エリアは、総合評価が50を下回り、項目別に見ても50を下回る項目が多くなっています。

総合評価が最も低い小坂井エリアは、防災力を示す評価の結果が低く、あわせて施設の老朽化や劣化も進行していることから、防災力の向上と一体となった公共施設の適正な更新や再配置を重点的に進めていく必要性が高いと考えられます。

音羽エリアは、人口当たりの施設量が多く、施設の老朽化なども評価が低いため、老朽施設について計画的な施設の維持更新などを行い施設量の適正化を進めていく必要があると考えられます。

御津エリアは、人口減少の進行や施設のアクセス性の項目にかかる評価結果が低く、市街地の防災力や施設の老朽化なども評価が低いこと、人口当たりの施設量が多いことなども踏まえ、防災力の向上と一体となった公共施設の適正配置や統廃合等による施設量の適正化を重点的に進めていく必要性が高いと考えられます。

 

以上より、総合評価が低く、防災力の向上など地域単位での公共施設適正配置への取り組みにおいて緊急性、重要性が特に高いと考えられる  小坂井エリア   音羽エリア   御津エリア  をモデルエリアに選出していくことが適切であると考えられます。

 

図表 エリア評価結果一覧(偏差値評価)

3)重点取組施設評価

1 評価の項目と方法

3つの重点取組」として位置付けた、庁舎等、コミュニティ施設、学校教育施設の施設群(施設用途)について、施設評価を行い、今後、重点的に取り組んでいくべき施設を検討します。

庁舎等、コミュニティ施設、学校教育施設のそれぞれの用途について、以下の視点で施設評価を行います。なお、施設毎の値を評価項目毎に偏差値化し、その平均値を総合的な評価とします。

 

重点取組施設の評価方法

施設の防災力

施設評価の視点

施設がどれだけ傷んでいるか

施設をどれくらい使用できるか

施設がどれくらい古いか

評価項目

1 施設の劣化度

2 構造体耐久性

3 老朽度

施設の利用効率(コミュニティ施設、学校教育施設)

施設評価の視点 

施設がどれだけ利用されているか

評価項目

4 利用者数

施設の利用効率(庁舎等施設)

施設評価の視点 

施設が効率的に利用されているか

評価項目

5 職員一人当たりの施設面積

 

施設の重複性(コミュニティ施設)

施設評価の視点

同種施設が重複していないか

評価項目

6 施設の近接性

施設の利便性

施設評価の視点

施設が利用しやすい立地にあるか

評価項目

7 交通利便性

 

施設の総合評価(評価項目の平均偏差値)

 

図表 施設評価項目一覧

 

2 公共施設構造体耐久性調査結果

調査の目的

既存施設の長寿命化に向けて、この先いつまで使用することができるか、構造体の劣化の程度からその耐久性を調査することを目的に公共施設構造体耐久性調査を実施しました。

 

調査対象施設

主に、概ね築30年以上で延床面積が500平方メートル以上の鉄筋コンクリート造(以下、RC造)ものを対象に調査を行いました。調査対象施設数は、55施設73棟(内、鉄骨造(以下、S造)は、8施設8棟)。

 

調査の方法と概要

RC

RC造の構造体耐久性評価は、鉄筋腐食、コンクリート中性化による劣化度を用いて行います(コンクリート塩化物量は除外)。コンクリート圧縮強度による劣化度は、経年による劣化度とはならないため、構造体耐久性に加味しませんが、耐震性能の係わる項目であり、耐震性能の評価に用います。

判定基準は以下のとおりであり、「鉄筋腐食による劣化度」と「コンクリート中性化による劣化度」をそれぞれ4段階で評価し、区分1から33ランクとして判定します。

 

図表 構造体耐久性評価(RC造)

図表 鉄筋腐食による劣化度(RC造)

 

S

S造の構造体耐久性調査は、鉄骨腐食、座屈状況、接合状況・方式等による劣化度を用いて行います。

判定基準は次頁のとおりであり、「鉄骨腐食、座屈状況、柱の傾斜状況、不同沈下量、接合状況・方式、火災による疲弊度」の点数化と、さらに「断面欠損柱存在率」用いて評価し、区分1から44ランクとして判定します。

 

図表 構造体耐久性評価(S造)

 

調査結果

調査の結果、12施設(内、S造の2施設含む)が「改築あるいは全面的な補修の検討が必要である」区分3に該当し、構造体の耐久性に関して残存耐用年数が20年程度未満であると判定されました。

また、区分3に該当する施設については、今後再調査を検討いたします。

 

図表 構造体耐久性調査結果一覧

区分3に該当する施設

豊川市役所 本庁舎

勤労福祉会館

文化会館

音羽生涯学習会館

西方地区市民館

中部小学校 昭和36年建築校舎

国府小学校 昭和47年建築校舎

御津南部小学校 校舎

小坂井西小学校 管理棟・南校舎

御津中学校管理教室棟

小坂井中保育園

小坂井北保育園

 

構造体耐久性調査(RC造)のイメージ

RC造の建物は、アルカリ性のコンクリートに保護されていることで鉄筋の腐食(さび)を防ぎ、コンクリートの中性化が進行することで(アルカリ性⇒酸性)、鉄筋が腐食する可能性があります。

コア抜き作業とともに、はつり作業から鉄筋の腐食を目視で確認します。

 

構造体耐久性調査(S造)のイメージ

防錆措置(塗膜処理)が施されている場合でも、防錆塗膜が劣化し錆が生じ始めると、劣化した塗膜の存在により局部的な腐食が進行します。裸の鉄骨より早い。

3 重点取組施設の評価結果

庁舎等施設

施設評価の結果について、評価の低い順に整理すると下図のグラフのようになります。

センター施設である豊川市役所(本庁舎等)は、施設ハード面での評価が低いほか、行政機能集約化に当たっても、スペース確保が困難です。

旧町の庁舎等施設のうち、施設評価が偏差値50を下回るのは一宮庁舎、小坂井庁舎であり、今後10年間に重点的に取り組むべき施設であると考えられます。

図表 庁舎等施設評価結果グラフ

 

コミュニティ施設

施設評価の結果について、コミュニティ施設全体で比較すると老人憩の家、地区市民館が、偏差値50を下回る施設が多く、施設評価が低いことがわかります。

中学校区別に見ると地区市民館、老人憩の家が多い、東部中学校区、御津中学校区、音羽中学校区、金屋中学校区は偏差値が低く、施設評価が低いことがわかります。

そのため、地区市民館、老人憩の家については、多数の中学校区にあり、施設数も多いため今後10年間に重点的に取り組むべき施設であると考えられます。

施設の小分類で見るとそれぞれ以下の施設の評価が低く(偏差値50以下)、施設の適正配置を検討する際に、重点的な取り組みを要すると考えられます。

 

図表 偏差値50以下のコミュニティ施設一覧

図表 コミュニティ施設評価結果グラフ

 

学校教育施設

建替え・改修の行政決定には、施設ハード面の評価が重要です。「劣化度」では、三蔵子小学校、小坂井中学校、音羽中学校、萩小学校、「老朽度(築年数)」等では、小坂井中学校、一宮東部小学校、国府小学校、小坂井西小学校等が低いものとなっており、保全方法や建替え等の工程を検証していく必要があります。

施設評価結果(全体)では、校区内人口が比較的少ないことに加え、施設の老朽度から、萩小学校、代田中学校、小坂井中学校、千両小学校などの評価が低くなっています。また、中学校区別では、代田中学校区、音羽中学校区、西部中学校区、小坂井中学校区の順に低いものとなっています。

 

図表 学校教育施設評価結果グラフ

 

4 施設用途別における施設の方向性

3つの重点取組」として位置付け、評価を行った庁舎等、コミュニティ施設、学校教育施設のほか、各施設用途別の保全・適正化の方向性について、「公共施設の削減目標及び用途別の施設の方向性(平成25年度策定)」を改訂し、現状と課題を踏まえた施設用途毎のおよそ10年間の方向性を示します。

施設用途の区分は、豊川市公共施設白書(平成24年度策定)によるもので、重点取組施設も再掲します。

 

1)庁舎等

本庁舎については、支所庁舎に分散している行政サービス等を踏まえ、本庁舎に集約すべき機能を明確にするとともに、センター機能強化を図るものとする。また、建物の老朽化や福祉部門等の部局横断による業務間連携及びバリアフリー対応、会議室用の共用スペース不足の課題を踏まえ、センター機能の強化に向け、全庁にかかる短・中・長期のロードマップ策定とこれに基づく保守・保全・改修の実施を図るものとする。

現状の支所機能における適正規模をも鑑みても、現配置と施設全体の規模・機能とでアンバランスな状況が生じており、過剰なスペースは、今後の施設の保守・保全・改修に影響を与える。したがって、適正配置について厳格な検証を進めるとともに、周辺施設との複合化・多機能化による拠点形成を図りながら総量の縮減を行うものとする。

 

2)文化施設

桜ヶ丘ミュージアムは、平成271月のリニューアルオープンにより、今後は、市民にとってより利便性の高い、魅力ある施設として長寿命化対策を図るものとする。

文化会館、音羽文化ホール、御津文化会館及び小坂井文化会館については、平成243月策定の「とよかわ文化芸術創造プラン」に基づき、様々な事業を実施しているところではあるが、その評価を見ながらホールとして重複機能については、集約する等の方向で推進するものとする。その際、あわせて施設の機能強化や構造体耐久性調査を踏まえ長寿命化対策に取り組むものとする。

勤労福祉会館については、大研修ホールのみならず様々な機能を兼ね備えている施設のため、構造体耐久性調査を踏まえつつ、総合的に施設のあり方について検討を行うものとする。

 

3)保健・福祉施設

31 保健施設

保健センター(萩山町)については、休日夜間急病診療所を備えた市の中核となる施設のため、今後は構造体耐久性調査を踏まえ早急に施設の長寿命化を含めた老朽化対策への取り組みを図り、あわせて利用者ニーズに適合した市民サービスの向上を図るものとする。

健康福祉センター(上長山町)、音羽福祉保健センター及び御津福祉保健センターについては、保健センター機能の見直しを図るとともに、他の用途に機能転換や余剰スペースの活用から施設の複合化を進めるものとする。

 

32 高齢者福祉施設

高齢者入浴施設を備えた施設については、今後の高齢化の進行を踏まえつつ、行政として提供すべきサービスについて再検証の上、施設の機能転換や用途廃止を含めて今後のあり方を検討するものとする。

高齢者交流施設については、シルバー人材センター事務局を施設内に設置し、公共スペースはシルバー人材センター会員の利用が主となっているため、シルバー人材センター事務局の設置場所に応じて今後のあり方を検討するものとする。

高齢者相談センターについては、介護保険法に基づく必置の施設であり、日常生活圏域毎に置かれていることから、現在の施設の状況によっては、配置場所の検討を行っていくものとする。

 

33 障害児者福祉施設

利用者ニーズに即した障害児者福祉の拠点として維持していくとともに、効率的かつ適切な管理運営を図るものとする。

 

34 その他福祉施設

東部地域福祉センターは構造体耐久性の評価が低く、廃止を含めた建替え・改修のロードマップ策定を行うものとする。また、西部地域福祉センターや社会福祉会館においては、今後構造体耐久性調査等を踏まえ長寿命化を行うものとする。

指定管理所制度導入等の民間活力を導入し、導入効果の明確化とともに他の関連事業との相乗効果を図りながら、将来的な施設のあり方についても検討するものとする。

 

4)児童福祉施設(児童館・児童クラブ室、交通児童遊園)

豊川市次世代育成支援対策地域行動計画(後期計画)に配慮しつつ、地域バランスを是正するとともに、老朽化対策の検討にあたっては、学校、他の公共施設の余剰スペース等の活用を推進し、単独施設としてのあり方を見直すものとする。

 

5)保育園

健全な財政運営に向けて(平成253月第5次改訂版)の取り組みにあわせ、公立保育所について、民営化を促進するとともに、建物の老朽化や地域バランス及び入所児童数に配慮しながら施設の統廃合を進め、保育面積の削減を図るものとする。

 

6)観光施設

豊川市観光基本計画を踏まえつつ、今後はビーワングランプリの経験を基に市民、経済界、行政等観光に関する全ての関係者が連携・協働し、多様化する利用者ニーズへ柔軟に対応し、利用向上に向けた施設のあり方を検討するものとする。

直営施設にあっては、管理費の精査を行い、より効率的な管理運営を行うものとともに、指定管理者制度導入施設は、より効率的で効果的に観光振興を図るため、指定管理者との協議・調整を積極的に行うものとする。

 

7)公民館等

71 公民館

今後10年間に取り組むべき施設の一つとして、公民館は、社会教育法に基づき整備された施設ではあるものの、実際の運営・利用実態は地域コミュニティ施設的な要素が大きく、同一利用圏域の他施設の集会室や会議室等諸室との機能面重複が多く見られる。したがって、新規整備を行わず既存施設の集約化を原則とし、指定管理者制度の導入等運営方法の見直しを検討するものとする。

 

72 地区市民館等

今後10年間に取り組むべき施設の一つとして、地区市民館等は、地域コミュニティの拠点及び災害時の指定避難所として地域住民に欠かせないものであるため、適切な長寿命化を図るものとする。また、同一利用圏域において諸室の機能面が重複する地区市民館等については、施設の劣化や老朽化の進行及び利用者数を踏まえつつ、所管等の設置・管理上の縦割りを超えて、機能集約を図り施設の再編を図るものとする。

小坂井文化センターは、隣保館として、他の社会福祉施設等との機能連携を図りつつ、長寿命化対策に取り組むものとする。

73 老人憩の家

今後10年間に取り組むべき施設の一つとして、集会施設としての機能の重複等から、他施設による機能代替、複合化について、同一利用圏域単位での検証を早急に行うものとする。

老人福祉施設ではあるが、地域の集会等に使われることが多く、地域の集会施設である側面が強い。市全体のバランスから、施設の転用・複合化・譲渡等を推進するものとする。

 

8)公営住宅

公営住宅は、公共施設の約15パーセントと学校教育施設についで多くの面積を占めており、財政に与える影響が大きいため、今後は構造体耐久性調査等を踏まえ長寿命化を進めるものとする。また、木造やコンクリートブロック造及びプレキャストコンクリート造の公営住宅では、耐用年数を過ぎた公営住宅から順次用途廃止を含め総量の削減を図るものとする。

 

9)消防施設

消防力適正配置検討委員会の意見を踏まえつつ、変化する消防環境と増大多様化する消防需要に対応した効率的かつ効果的な消防体制の構築を図るとともに、南海トラフ巨大地震等大規模災害に備えた防災体制と連携した施設のあり方を検討するものとする。

10)学校教育施設

101 小学校

今後10年間に取り組むべき施設の一つとして、人口減少に伴う総量削減と多機能化の推進を図るものする。また、全庁的な施設再編を進める整備方針を明確化するとともに、複式学級の発生が予想される時点で学校の統合・転用を検討するものとする。

構造体耐久性調査等を踏まえ、長寿命化対策を図るとともに、複合化にあたっては児童クラブ・児童館を優先し、子どもたちにとって利便性が高く、保護者にとって安心できる施設を図るものとする。

 

102 中学校

今後10年間に取り組むべき施設の一つとして、生徒数の推移や構造体耐久性調査等を踏まえながら、校舎の長寿命化対策に取り組むとともに、校舎更新する際には、適正な規模とし、全体として保有面積の縮減を図るものとする。

 

11)生涯学習施設(中央図書館、各生涯学習会館等)

今後10年間に取り組むべき施設の一つとして、他施設との複合化や他施設への機能集約を図るとともに、コミュニティ施設の集約を積極的に推進し全体としての総量の縮減を図るものとする。

 

12)体育施設

市全体としての適正規模の体育施設や多面的な利用及び利用時間の拡大等を踏まえつつ、今後は構造体耐久性調査等を踏まえ長寿命化対策を図るものとする。

体育館と近隣学校体育館との連携強化から、一般開放サービスの拡充等により総量縮減を図るものとする。

4章 適正配置計画のリーディング事業

1 リーディング事業の考え方

公共施設の適正配置に向け、優先的な取り組みを実施していく重点取組を通じて全市的な対策を進めていく一方、地域単位で重点取組にかかる施設を中心とした公共施設再編を進めていく上で、重点度・緊急度が高い3地区での取り組み・事業をリーディング事業に位置付けます。

 

2 リーディング事業1

庁舎機能の集約化・再配置による市民サービスの充実と行政機能の強化

 

1)庁舎施設の現状と庁舎機能集約化・再配置に向けた課題

庁舎施設の現状

行政センター機能・部局を分散配置した主なものは、一宮庁舎における上下水道部、音羽庁舎における教育委員会です。両部局等を各支所に分散配置することにより、本庁舎・北庁舎での不足スペースを補完しています。

出先となる一宮庁舎、音羽庁舎内には会議室等の共用スペースも含め十分な執務スペースが確保されており、円滑な業務遂行に一定の寄与を果たしています。

ワンストップサービス面での来庁舎の利便性や、部局間連携の面で課題になっています。

庁舎機能集約に向けた課題

センター機能を担う中核となるべき本庁舎・北庁舎については、執務スペースをはじめとした環境整備が現時点での課題です。

福祉・医療・介護・子育ての部門は、制度変更や権限移譲等が今後も想定され、行政ニーズへの的確かつ丁寧な対応がますます求められ、集約化と適切かつ効率的な部署配置により各業務部門の緊密な連携を進め、マンパワーを最大限に発揮していく必要があります。

行政機能が集約することは、災害時にセンターとして機能を発揮するなど意義があります。しかし、センター的機能を担う本庁舎・北庁舎は、将来に向けた執務スペース並びに行政計画等への市民参加に不可欠な会議室等の共用スペース確保の余地がないのが現状です。

各支所庁舎は、余剰スペースを抱えており、支所庁舎の適正規模への対応が必要です。

 

2)市民サービスの充実と行政機能の強化に向けた基本的な考え方

プロジェクトの考え方

1 センター機能と支所機能のあり方について検討を行い、今後の行政需要を見据えた庁舎施設の再編を行う。

センター機能として本庁舎への機能集約の程度、支所機能として必要なサービス内容、施設規模を検討した上で、庁舎機能を集約し、センター機能の拡充を図ります。

本庁舎をはじめ、各庁舎の躯体、設備の老朽度について詳細な調査、検証を行った上で、今後の行政需要や施設規模を見据えた、庁舎施設の再編を図ります。

2 支所庁舎は、支所機能のあり方を踏まえ、他の機能を複合したり施設全体の転用、廃止を進める。

支所庁舎は、センター機能の本庁舎周辺の集約、一時的な貸付事業が終了すれば大きな余剰床を抱えるため、余剰スペースを活用した他施設の機能の統合(複合化)や施設の用途転用等を図ります。

 

3)市民サービスの充実と行政機能の強化の具体的な内容と施設再編イメージ

センター機能及び支所機能のあり方検討を踏まえ、本庁舎・北庁舎周辺に庁舎機能を集約し、センター機能の拡充を図ります。

各支所庁舎施設は、支所機能のあり方に応じた機能導入を検討するとともに、余剰スペースの活用、用途転用を含めた施設の再編を進めます。

他施設に支所機能を移転する場合は、支所施設の廃止も含めて検討を行います。

 

4)庁舎機能の集約化・再配置による効果

センター機能・支所機能を明確化にすることによって本市全体における行政機能が強化されます。

支所機能を明確化した施設再編を行うことにより、各地区の特性やニーズに対応した市民サービスが提供でき、利用者のサービス向上につながります。

本庁舎・北庁舎は災害対策本部としての機能を担う一方、支所機能とコミュニティ機能の複合化により、災害時の対応拠点としての活用ができるとともに、地区の災害時対応能力の向上にもつながります。

5)ロードマップ

事業 庁舎機能の集約化・再配置による市民サービスの充実と行政機能の強化

当初5年間 老朽度等詳細調査、短期計画に基づく再編整備、具体的な再編計画の検討・検証、合意形成

6から10年間 中期計画に基づく再編整備

11年目以降 長期計画に基づく再編整備

3 リーディング事業2

地域特性や住民ニーズにあった魅力あるコミュニティ施設複合拠点の形成

 

1)コミュニティ施設の現状とコミュニティ施設複合拠点の形成に向けた課題

コミュニティ施設の現状

施設評価の結果について、コミュニティ施設全体で比較すると老人憩の家、地区市民館の施設評価が低いことが分かります。

地区市民館、老人憩の家については、多数の中学校区にあり、施設数も多いため、今後10年間に重点的に取り組むべき施設であると考えられます。

コミュニティ機能集約に向けた課題

機能集約にあたっては、施設用途に応じて、小学校区や中学校区のコミュニティ施設の配置等の実態を踏まえつつ、施設用途を超えた機能集約が必要です。

施設利用の実態(利用者数等)や諸室単位の稼働率等を踏まえた機能集約の検討が必要です。

地域の活動に密着した施設であるため、十分な合意形成を図った上での事業実施が必要です。

 

2)コミュニティ施設複合拠点の形成に向けた基本的な考え方

プロジェクトの考え方

1 施設の集約は、市民の利用圏域を考慮し、中学校区内の施設同士で実施を基本とする。

コミュニティ施設は、地域の住民が利用する施設であるため、利用実態を踏まえつつ、同一中学校区内での重複機能(諸室)を再編し効率化を図ります。

中学校区コミュニティ施設、小学校区コミュニティ施設に機能集約を図ります。

2 老人憩の家は、団体等地域への施設譲渡を進める。

老人憩の家は、地域住民と合意形成を図りつつ、地域の組織に施設を譲渡します。譲渡できない施設については施設の廃止も含めて検討します。

3 新規整備は行わず、小中学校、庁舎施設等の施設再編に合わせて、コミュニティ施設を複合化・多機能化することを原則とする。

老人憩の家、地区市民館以外のコミュニティ施設については、小中学校、庁舎施設の余剰スペースの活用、施設転用により複合化することを原則とします。

3)コミュニティ施設複合拠点の形成に向けた具体的な内容と施設再編イメージ

コミュニティ施設として位置付けた児童福祉施設、公民館等、生涯学習施設、東部・西部地域福祉センターは、それぞれ、以下のような対応を図ります。

老人憩の家

地域が譲渡に合意の場合は、地域の地縁団体等

地域が譲渡に合意しない場合は、廃止を検討

 

児童館・児童クラブ

学校建替・改修に合わせて複合

既存の空き教室を活用

 

公民館、地区市民館、生涯学習会館、東部・西部地域福祉センター

建替・改修に合わせて学校施設・庁舎施設と複合(機能重複を解消し、最低30%の面積圧縮を原則)またはコミュニティ施設同士で複合

 

4)コミュニティ施設複合拠点の形成による効果

様々なコミュニティ機能が統合されることにより管理・運営面での効率化が図られるとともに、各地区の特性やニーズに対応したコミュニティサービスが提供でき(機能統合による相乗効果)、利用者の利便性の向上につながります。

児童館、児童クラブなどの子育て支援施設・機能が集約されることにより、機能統合による相乗効果が期待でき、園児・児童、保護者の利便性の向上につながります。

子育て支援、高齢者・障害者福祉、生涯学習などの各種機能・サービスが一体的・複合的に提供されることにより、子どもや若者から高齢者まで地域での多世代の交流が促進されます。

施設の複合化等による適正配置が進むことで、保全・維持管理費用の縮減が図られます。

 

5)ロードマップ

事業 地域特性や住民ニーズにあった魅力あるコミュニティ複合拠点の形成

当初10年間 モデルエリアにおける施設再編を中心にしたコミュニティ施設の整備・再編

当初5年間 老朽度等調査、中長期保全計画、コミュニティ施設再編・再配置計画、合意形成、再編・整備、移譲

6から10年間 合意形成、再編・整備、移譲

当初5年間から11年目以降 モデルエリア以外における計画的なコミュニティ施設の整備・再編、計画的な改修・保全、移譲

 

4 リーディング事業3

小中学校の地域開放・多機能化による学校を中心とした地域の拠点づくり

 

1)学校教育施設の現状と学校教育施設を中心とした地域の拠点づくりに向けた課題

学校教育施設の現状

施設評価により、劣化度では、三蔵子小学校、小坂井中学校、音羽中学校、萩小学校が、老朽度(築年数)等では、小坂井中学校、一宮東部小学校、国府小学校、小坂井西小学校等が低いなど、耐震性は確保されているものの劣化の進んでいる施設があります。

少子化により、今後、児童・生徒数が減少することが予想され、学校施設も空き教室の発生など余剰な床の発生が予想されます。

学校教育施設の多機能化に向けた課題

少子化により今後児童・生徒数が減少するため、効率的な学校施設の活用が求められます。

コミュニティ施設との複合化や特別教室を夕方以降コミュニティ施設として活用するなど、多機能化への対応による効率化が求められます。

建替する場合、将来人口や年齢構成等を踏まえ、機能重視とともに適正規模の徹底が求められます。

学校施設のなかでプール及びそのポンプ設備は、電気代を含む維持管理費が必要な割に稼働が非常に低く、効率化が求められます。

 

2)学校教育施設を中心とした地域の拠点づくりに向けた基本的な考え方

プロジェクトの考え方

1 児童・生徒数の減少により今後発生する空き教室は、コミュニティ施設を導入するなど複合化を推進する。

今後児童・生徒数は減少していくので、空き教室の発生が予想されます。これらの余剰教室については、学校の改修に合わせて、コミュニティ施設への転用のスペースとして活用します。

2 既存の特別教室等の学校施設をコミュニティ施設として地域に開放し、多機能化する。

音楽室や家庭科室(調理室)などは、地域住民が利用するコミュニティ施設の機能としても活用できます。そのため、コミュニティ施設の再編に合わせて、既存の特別教室を改修の上、地域開放し多機能化することも検討します。

3 学校施設の統廃合は、年少人口の減少を踏まえた全庁的な方針(ルール)を決定し、一定条件を満たす場合は、面積削減や施設再編の検討を行う。

一定クラス数を下回る場合等には複式化や統廃合を検討するなどの方針(ルール)を検討・設定します。

4 プール、体育館、特別教室などは、学校の改修・改築に合わせて近隣の小中学校同士で共用したり、複合するコミュニティ施設と共用したりするなど、導入機能の効率的な利用を推進する。

学校施設の中でプールや体育館、特別教室等では、条件が整えば小中学校や複合化するコミュニティ施設とでの共用等が可能です。特にプール等はコストの係る設備のため共用化による効率化を図ります。

 

3)学校教育施設を中心とした地域の拠点づくりに向けた具体的な内容と施設再編

イメージ

学校施設内の余剰スペースを活用して、コミュニティ機能を複合します。

学校施設の改修に合わせて特別教室等を多機能化し、コミュニティ施設と共用化し地域へ開放します。

学校のプール等の設備は、近隣にある小中学校と共用化し維持管理費の削減等効率化を図ります。

 

4)学校教育施設を中心とした地域の拠点づくりによる効果

児童・生徒数の減少に伴う空き教室などの余剰スペースを有効活用し、コミュニティ機能として地域に解放することで、学校を中心とした地域拠点が形成され、新たな地域内交流や地域活動の促進につながります。

児童館、児童クラブなどの子育て支援施設・機能が学校教育機能と集約されることにより、機能統合による相乗効果が期待でき、園児・児童・生徒、保護者の利便性の向上につながります。

プール・体育館等の地域との共用化により、同一地域での重複施設の解消と、維持管理費の削減など効率化が図られます。

 

5)ロードマップ

事業 小中学校の地域開放・多機能化による学校を中心とした地域の拠点づくり

当初10年間 モデルエリアにおける施設再編を中心にした学校教育施設の整備・再編

当初5年間 老朽度等調査、中長期保全計画、学校教育施設再編・再配置計画、合意形成、再編・整備

6から10年間 合意形成、再編・整備

当初5年間から11年目以降 モデルエリア以外における計画的な学校教育施設の整備・再編、計画的な改修・保全

 

5 リーディング事業4 小坂井エリアの施設再編プロジェクト

1)エリアの状況と施設の適正配置及び保全に向けた課題

エリアの現状

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。

小坂井エリアでも1割以上(約2,400人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むと見込まれます。

適正配置及び施設保全に向けた課題

エリア内3つ全ての小中学校において、劣化度、老朽度及び耐久性評価が低く、改築、改修に向けたロードマップの早期策定が求められます。また、小中学校の改築・改修に合わせて、地域開放・世代間交流や、地域内防災力強化に向けた機能向上に向け周辺施設を含めた再編整備を進めることが求められます。

小坂井庁舎の余剰スペースは、他庁舎と比較して特に大きく、小坂井庁舎における行政機能の適正配置について厳格な検証を進めるとともに、地域コミュニティ機能、生涯学習機能等との複合化・多機能化による拠点形成を図っていくことが求められます。

 

2)小坂井エリア施設再編の基本的な考え方

施設再編の基本的な考え方

1 庁舎周辺施設を機能統合し、(仮称)小坂井コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

小坂井庁舎、小坂井文化会館、小坂井生涯学習会館等の施設再編により、支所機能とともに小坂井地区の文化・生涯学習機能が複合する「コミュニティネットワーク構想」を実現します。

2 学校施設の改築・改修に合わせて、子育て支援機能を集約し地域拠点を創出する。

小坂井地区の学校施設の再編(改築又は改修)に合わせて、学校周辺の児童館、児童クラブ、保育園を複合化し、地域毎の子育て支援を中心とした地域拠点を創出します。

事業推進に当たっての基本的な考え方

機能統合においては、施設の集約の視点ではなく、施設の諸室(機能)の集約を図ることにより、重複機能の解消と施設量の縮減を図ります。

学校施設との複合となるため、施設の運営管理の視点を重視し、利用者が使いやすく、且つ管理者が管理しやすい施設となるように、施設管理者と住民が一体となった施設づくりを行います。

3)プロジェクトの具体的な内容と施設再編イメージ

1 庁舎周辺施設を機能統合し、(仮称)小坂井コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

支所機能のあり方検討を踏まえた小坂井庁舎の余剰スペースや小坂井文化会館、小坂井生涯学習会館の施設等の活用や新たな施設整備などによる複合化、機能統合を推進します。

 

2 学校施設の改築・改修に合わせて、子育て支援機能を集約し地域拠点を創出する。

エリア内の小中学校(小坂井中学校、小坂井東小学校、小坂井西小学校)の計画的な改築・改修を図ります。また、学校の改築・改修に合わせた学校施設の機能転用や多機能化を推進します。

児童クラブ、児童館等の学校施設への複合化を推進します。

 

4)プロジェクトに伴う効果

庁舎周辺施設を機能統合し、(仮称)小坂井コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

新たな支所機能と子育て支援、高齢者・障害者福祉、生涯学習などの各種機能・サービスが一体的・複合的に提供されることにより、利用者の利便性向上につながるとともに、子どもや若者から高齢者まで地域での多世代の交流が促進されます。

機能統合による効率化の実現などにより、維持管理費用の削減が図られます。

機能統合により施設の用途廃止が発生した場合は、跡地活用による財政面への貢献も期待できます。

老朽施設等の改築・改修による安全性の向上と災害時の対応能力の向上が図られます。

 

学校施設の改築・改修に合わせて、子育て支援機能を集約し地域拠点を創出する。

児童館、児童クラブなどの子育て支援施設・機能が学校教育機能と集約されることにより、機能統合による相乗効果が期待でき、園児・児童・生徒、保護者の利便性の向上につながります。

機能統合による効率化の実現などにより、維持管理費用の削減が図られます。

避難場所である学校施設の安全性向上による地域の防災機能及び災害時の対応能力の向上が図られます。

5)ロードマップ

事業1 庁舎周辺施設の機能統合による(仮称)小坂井コミュニティネットワーク構想の実現

当初5年間 老朽度詳細調査、具体的な再編計画の検討・検証、地域住民・利用者等との合意形成、再編整備

6から10年間 再編整備

11年目以降 再編整備

 

事業2 学校施設の改築・改修に合わせた子育て支援機能集約による地域拠点の創出

当初5年間 中長期保全計画に基づく改修計画の検討、再編計画検討、学校・地域住民・保護者等との合意形成、改修・改築施設の再編整備

6から10年間 改修・改築施設の再編整備

11年目以降 改修・改築施設の再編整備

 

6 リーディング事業5 音羽エリアの施設再編プロジェクト

1)エリアの状況と施設の適正配置及び保全に向けた課題

エリアの現状

人口当たり施設量が多く、施設老朽化評価も低く、計画的な施設の維持更新など施設量の適正化を進めていくことが必要です。

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。音羽エリアにおいてもエリア1割以上(約1,000人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むことと見込まれます。

適正配置及び施設保全に向けた課題

音羽庁舎・音羽文化ホールの一層の有効活用を図るため、複合化・多機能化ともに機能転用の可能性を検証し、新たな拠点形成を図っていく必要があります。

小中学校については、萩小学校については劣化度、老朽度及び耐久性評価が低く、改善措置が必要ですが、地域開放などの機能向上・拡大を念頭に置いた、周辺施設との再編整備を進めることが求められます。

 

2)音羽エリア施設再編の基本的な考え方

施設再編の基本的な考え方

1 文化・生涯学習機能を集約し、(仮称)音羽コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

音羽庁舎、音羽文化ホール、音羽生涯学習会館等の機能統合により、音羽地区全体を対象とする地区のコミュニティ拠点を形成します。

2 萩小学校の整備(改修)に合わせて施設再編を行い、地域コミュニティ機能を強化する。

萩小学校の整備(改修)に合わせて、萩小学校周辺の児童クラブ、保育園、地区市民館、老人憩の家の複合化等を推進し、萩小学校区の地域コミュニティ形成の強化に資する施設再編を推進します。

事業推進に当たっての基本的な考え方

機能統合においては、施設の集約の視点ではなく、施設の諸室(機能)の集約を図ることにより、機能重複の解消と施設量の縮減を図ります。

利用者の視点で使いやすい施設とするため、住民参加型の導入機能検討、施設づくりのプログラムを導入します。

 

3)プロジェクトの具体的な内容と施設再編イメージ

1 文化・生涯学習機能を集約し、(仮称)音羽コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

支所機能のあり方検討を踏まえ、音羽庁舎の余剰スペースを有効活用(機能転用)します。

音羽文化ホールと音羽生涯学習会館等との機能統合、多機能化による施設集約を推進します。

 

2 萩小学校の整備に合わせて施設再編を行い、地域コミュニティ機能を強化する。

萩小学校の早期改修を推進します。

萩小学校の改築・改修に合わせた学校施設の機能転用や多機能化を図り、周辺の児童クラブ、保育園等の学校施設への複合化を推進します。

地区市民館や老人憩の家(白萩荘)の学校施設への複合化や地域への譲渡を検討します。

 

4)プロジェクトによる効果

文化・生涯学習機能を集約し、(仮称)音羽コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

同種機能の統合により効率化が図られるとともに、機能統合によって利用者の利便性向上や地域での多世代の交流が促進されます。

機能統合による効率化の実現などにより、維持管理費用の削減が図られます。

機能統合により施設の用途廃止が発生した場合は、跡地活用による財政面への貢献も期待できます。

支所機能とコミュニティ機能の複合により災害時の対応拠点としての活用、地区の災害時の対応能力の向上が図られます。

 

萩小学校の整備に合わせて施設再編を行い、地域コミュニティ機能を強化する。

老朽化した学校施設の改築・改修により、安全性の向上及び教育環境の向上が図られます。

小学校へ複合化した場合は、保育園、児童クラブ等の子ども関連施設が集約され、機能統合による相乗効果が期待でき、園児・児童・生徒、保護者の利便性の向上につながります。

機能統合による効率化などにより、維持管理費用の削減が図られます。

避難場所である学校施設の安全性向上による地域の防災機能及び災害時の対応能力の向上が図られます。

 

5)ロードマップ

事業1 文化・生涯学習機能を集約し、(仮称)音羽コミュニティネットワーク構想の実現

当初5年間 庁舎再編案検討、地域住民・利用者等との合意形成

6から10年間と11年目以降 庁舎周辺施設の再編・整備

 

事業2 萩小学校の整備に合わせて施設再編を行い、地域コミュニティ機能強化

当初5年間 小学校改修計画、周辺施設再編計画、学校・地域住民・保護者等との合意形成、施設改修・再編

6から10年間と11年目以降 (施設改修・再編)

 

7 リーディング事業6 御津エリアの施設再編プロジェクト

1)エリアの状況と施設の適正配置及び施設保全に向けた課題

エリアの現状

20年後には、本市の人口は13千人以上も減少し、そのうち年少人口は5千人あまりの減少となる見込みです。

御津エリアでも1割以上(約1,600人)の人口減少となり、50年後には、さらに人口減少が進むことと見込まれます。

適正配置及び施設保全に向けた課題

地区内の小中学校の劣化度、老朽度は比較的良好です。生涯学習会館、老人憩の家をはじめとしたコミュニティ施設の劣化度、老朽度が進んでおり、交流拠点としての機能のあり方について検証することが求められます。

御津庁舎については、国機関への貸付等により一定のスペースを活用しているものの、将来においては余剰スペースを抱えることが懸念されます。周辺施設との複合化・多機能化を通じた適正配置と交流機能等の向上による拠点形成を検討していくことが求められます。

 

2)御津エリア施設再編の基本的な考え方

施設再編の基本的な考え方

1 御津地区の庁舎、文化・生涯学習、コミュニティ機能を集約し、(仮称)御津コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

御津庁舎、御津生涯学習会館、御津文化会館等の機能統合により、御津地区全体を対象とする地区のコミュニティ拠点を形成します。

地区市民会館や老人憩の家について、地域への施設譲渡、他施設との複合によりコミュニティ施設の再編を図ります。

事業推進に当たっての基本的な考え方

機能統合においては、施設の集約の視点ではなく、施設の諸室(機能)の集約を図ることにより、機能重複の解消と施設量の縮減を図ります。

利用者の視点で使いやすい施設とするため、住民参加型の導入機能検討、施設づくりのプログラムを導入します。

コミュニティ施設の地域への譲渡については、地域住民と十分な合意形成のもと実施します。

 

3)御津エリアの施設再編プロジェクトの具体的な内容と施設再編イメージ

御津地区の庁舎、文化・生涯学習、コミュニティ機能を集約し、(仮称)御津コミュニティネットワーク構想の実現を進める。

支所機能のあり方検討を踏まえた御津庁舎の余剰スペースや御津生涯学習会館、御津文化会館等の施設の活用や新たな施設整備などによる複合化、機能統合を推進します。

 

4)プロジェクトによる効果

同種機能の統合により効率化が図られるとともに、機能統合によって利用者の利便性向上や地域での多世代の交流が促進されます。

機能統合による効率化の実現などにより、維持管理費用の削減が図られます。

機能統合により施設の用途廃止が発生した場合は、跡地活用による財政面への貢献も期待できます。

支所機能とコミュニティ機能の複合により災害時の対応拠点としての活用、地区の災害時の対応能力の向上が図られます。

 

5)ロードマップ

事業 御津地区の庁舎、文化・生涯学習、コミュニティ機能を集約し、(仮称)御津コミュニティネットワーク構想の実現

当初5年間  庁舎の具体的な再編計画の検討・検証、老朽度詳細調査、中長期保全計画に基づく改修計画の検討

6から10年間 (地域住民・利用者等との合意形成)、庁舎周辺施設の再編・整備

当初5年間から11年目以降 改修・改築 地域譲渡

 

5章 計画推進の課題

1 計画の進行管理

1)施策の推進(PDCA

豊川市公共施設適正配置計画に基づく計画的なマネジメントを推進するため、施設のライフサイクルと政策立案、予算化、実施に至るプロセスを一体的に連動させ、個別の事業計画の立案、事業の実施、施設状況の評価・分析、見直しといった公共施設におけるPDCAplan計画 do実施 check検証 action改善)サイクルを機能させる仕組みやルールづくりを関連部署との連携のもとに進め、施設を最適な状態で管理・運営し続けるマネジメントサイクルを確立します。

 

図表 PDCAサイクル

 

2)リーディング事業の推進

リーディング事業については、10年間の計画期間において、前期・後期の5年毎に定めたロードマップに基づき、全庁的な連携体制のもと、地域住民や関係機関等と協働し、重点的・優先的な推進を図っていきます。

 

310年間のスケジュールと見直し期間

短期的には、適正配置計画を踏まえ、中長期保全計画及び公共施設等総合管理計画を策定するとともに、必要性を考慮した中で公共施設構造体耐久性調査を継続的に実施し、これらを踏まえた上で短中期的なスケジュールにおいてリーディング事業を推進します。

また、適正配置計画は、事業の進捗状況や社会経済情勢、地域・市民ニーズの変化などを踏まえるとともに、総合計画実施計画との連携から3年毎に見直し・更新を図り、継続的に推進していきます。

 

4)総合計画や行政経営改革との関連性

6次総合計画(現在策定中)の基本構想において、まちづくり目標や施策6(地域・行政)に公共施設の適正配置と長寿命化の推進を位置付けるとともに、行革経営改革プランと相互にリンクさせ、三位一体の計画として一層の推進を図っていきます。

 

図表 総合計画や行政経営改革との関連性

 

2 計画の推進体制

1)市民と行政が共に進める公共施設適正配置計画

公共施設適正配置を進める上で重要な点は、本計画の適正配置基本方針で定めているように「施設重視から機能優先への転換と多機能化・複合化の推進」を進めていくことです。行政においても、用途の異なる公共施設の多様な機能を見渡し、部局横断的に適正配置を進めることが重要です。

また、公共施設は、設置目的や業務内容に従って多くの方々に利用されていますが、施設における利用者をはじめとした皆さまの意見は様々です。開館時間や利用料金、設備内容など利用のし易さの点から求めがある一方、受益者負担の適正化の観点や、より効率的な管理運営を求めるご意見、地域間での施設配置のバランスなど利用者の公平性を損なわないことも大事とする意見などもあります。

また、公共施設は当初に掲げられた設置目的や業務内容に従ったサービスだけでなく、災害時の避難所指定をはじめ多様な機能を持ち、地域における市民生活を支える基盤であり、これからの市民、地域にとって本当に大切な公共施設は何かを、市民・地域と行政とが共に考えていくことが大変重要です。

公共施設適正配置は、人口規模等に応じた公共施設の需要と供給のアンバランス是正の問題への対応として、財政負担の縮減と支出の平準化の取組により持続可能な行財政運営を行っていくことが出発点であり、大きな目標であります。公共施設適正配置にかかる行政の責務として、限られた財源の最大限に活用させるよう、多面的な検証を重ねた上で、「選択と集中」による優先度を明確にした、適切な財源配分のプランを示していかなければなりませんが、効率性のみに固執するのではなく、社会環境の変化も踏まえて、必要な行政サービスを確実に提供していくことを念頭に置かなければなりません。行財政及び公共施設を取り巻く実情を市民に開示し、行政と市民が双方の理解を深め、より良い公共施設のあり方、適正配置を目指します。

現在も本市では、地区市民館等の運営面において、地域の自治会の方々への指定管理者制度による委託を行うなど地域が主体となった施設運営を進めているほか、公園等の維持管理におけるアダプト制度の推進など、自助・共助・公助の考えに基づく運営体制を進めています。「自助」とは、個々の力でできることは個々が行うこと、「共助」とは、皆の力を合わせればできることは皆で行うこと、この場合の皆とは、地域をはじめとした比較的小単位の集団です。そして、公助とは、皆の力を合わせてもできないことは、より大きな単位、つまり市行政などで行うというものです。公共施設適正配置を進める上でも、構想・計画づくりから運営まで見据えて、広範な合意形成を得ながら、行政と市民とがお互いの役割を適切に分担して、地域をより良いものにしていく動きを進めてまいります。

 

1 市民協働や官民連携のための情報開示と合意形成

適正配置計画の推進にあたっては、市民協働や官民連携の前提として、市民をはじめとする広範な合意形成を図ってきます。

具体的には、公共施設適正配置計画策定委員会での議論を踏まえ、多機能化・複合化を中心に今後10年以内に実施する重点取組について、ワークショップ等を通して「まちづくり」の視点からのモデル的な施設再編の検討を市民等との協働のもとで展開していくとともに、各種情報提供についても積極的に行っていきます。

 

これまでの取り組み

市民アンケートの実施(平成25年度)

計画策定経過の透明化や情報開示

マンガでわかる公共施設適正配置計画(平成268月)

 

平成27年度以降の取り組み(予定)

情報発信の強化・充実

広報紙・ホームページなどによる情報提供

公共施設マネジメントに関するニュースの作成・配布

SNS等の通信ツールを活用した情報の受発信

計画策定経過(委員会等)の透明化や情報開示

マンガでわかる公共施設適正配置計画(続編)の発行

シンポジウム・講演会の開催 など

 

幅広い市民との協議・合意形成

アンケートの実施

説明会・セミナー・意見交換会の開催

ワークショップの開催 など

 

民間の創意、活力の結集

事業提案・プロポーザルコンペの実施

公民連携(PPP)・PFI手法の活用 など

 

2 市民・事業者の役割

適正配置計画の推進にあたっては、市民、事業者、行政がそれぞれの役割と責務を果たしつつ、相互に連携・協働していくことを基本とします。

 

市民の役割

市民には、適正配置計画に基づく公共施設マネジメントに取り組む必要性や目的を共有していただき、取り組みへの理解と協力、主体的な参画をしていただくことが期待されます。

特に、地域住民が主な利用者となる施設については、「地域住民のための施設」という観点から日々の利用と合わせ、地域住民が主体的に施設の維持管理・運営を行うことで、ニーズやアイデアを直接反映させることができたり、柔軟な対応による市民サービスの向上、また地域自治の面から地域のコミュニティの促進も期待できることから、地域の市民力を活かした施設の維持管理・運営を推進していきます。

 

事業者の役割

市民のライフスタイルの多様化に伴い、市民の公共施設に対するニーズも多様化しており、それらの多様なニーズに対応する施設運営を行うには、多くの費用や様々なノウハウが必要になることから、効率よく質の高いサービスが提供できる民間事業者を活用することが求められています。

そのため、事業者には、以下のような方向性を念頭に置きつつ、適正配置計画に基づく公共施設マネジメントへの提案や主体的な事業参画が期待されます。

既存公共施設の維持管理や運営を民間事業者に委ねる

民間が持つ建物を使用し、公共サービスを展開する

施設統廃合による余剰となった土地・建物の活用を民間事業者へ委ねる

 

公民連携(PPP)の取り組みとしては、以下の手法が想定されます。

公民連携(PPP)には、PFI事業をはじめ、指定管理者制度、公設民営、包括的民間委託など様々な手法があります。また、PFI事業が停滞するなか、公共施設等運営権制度(コンセッション方式)の導入などを盛り込んだPFI法改正(平成235年)が施行されるなど、新たな公民連携事業が活性化することが予想されます。

 

2)平成27年以降の実施体制

公共施設を総合的に企画・管理・活用するための経営活動を進めるというファシリティマネジメントの本旨に基づき、公共施設マネジメントに市組織全体で有機的かつ継続的に取り組む体制づくりを進めます。

 

1 営繕部分との連携(庁内組織)

公共施設の営繕・改修、維持保全にかかるコスト予測に基づく保全計画の確実に遂行するため、企画部門での政策立案、財政部門での予算編成にあたって、公共施設ファシリティマネジメントを担う管財部門との連携を強化します。

また、同じく管財部門と、実際の改修・保全等の施工及び維持保全の業務の現場とが最適に連携する組織づくりを目指します。

 

図表 営繕部分との連携

 

2 実行体制(ワーキンググループ)の考え方

豊川市行政経営改革推進本部会議を最上位の組織とし、ファシリティマネジメント推進会議を継続的に運営するとともに、公共施設等総合管理計画及び中長期保全計画等の検討・策定に合わせた組織を適宜設置し、全庁的な連携の下で各種ワーキンググループが有機的・機動的に実行していく組織づくりを目指します。さらに、学識経験者、建築士や各種団体を代表する者等の専門家との連携からより一層のファシリティマネジメント業務の推進を図ります。

 

図表 実行体制(ワーキンググループ)

 

 

(参考)

平成26年度豊川市公共施設適正配置計画策定委員会委員名簿

委員長 阿部 聖 愛知大学教授 学識

副委員長 松島 史朗 豊橋技術科学大学教授 学識

委員 恒川 和久 名古屋大学准教授 学識

委員 松下 紀人 豊川商工会議所専務理事 各種団体

委員 早川 久代 ひまわり農業協同組合理事 各種団体

委員 小田 伊佐浩 豊川市教育委員会委員長 各種団体

委員 伊奈 克美 豊川市社会教育審議会委員 各種団体

委員 寺部 佳宏 豊川市連区長会副会長 各種団体

委員 川上 陽子 豊川市老人クラブ連合会副会長 各種団体

委員 鈴木 冷子 豊川市文化のまちづくり委員会委員長 各種団体

 

平成26年度豊川市公共施設適正配置計画策定の経緯

73日 第1回策定委員会

公共施設適正配置計画策定業務の概要及び必要性について

公共施設の配置状況について

今後10年間の建替え及大規模改修を要する施設候補について

先進事例

87日 第2回策定委員会

1回策定委員会での意見について

公共施設適正配置に向けた「3つの重点取組」と「2つの横断戦略」について

94日、11日 第3回策定委員会

市内公共施設の現地視察について

1028日 第4回策定委員会

2回策定委員会での意見について

公共施設適正配置計画の共通方針(案)について

1222日 第5回策定委員会

4回策定委員会での意見について

モデルエリア及び重点取組施設の評価について

212日 第6回策定委員会

5回策定委員会での意見について

公共施設適正配置計画のリーディング事業及び計画推進の課題について

公共施設適正配置計画報告書(案)について

 

 

用語解説

あ行

インフラ

インフラストラクチャーの略で、水道や道路網などの社会基盤のこと。

NPO

Nonprofit Organizationの略で、特定非営利活動を行うことを目的として、特定非営利活動法人特定非営利活動促進法に基づいて県などの認証を受けて設立された法人のこと。

SNS

Social Networking Serviceの略で、インターネット上の交流を通して社会的ネットワーク(ソーシャル・ネットワーク)を構築するサービスのこと。

か行

決算

4月から翌年3月までの1年間を1会計期間として損益を算出すること。

構造体

柱やはりなど建物の長寿命化に直接影響する建物自体の荷重や地震や風などの外力を支える各部材のこと。

公民連携(PPP

Public-Private Partnershipの略。公民が連携して公共サービスの提供を行うスキームをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)と呼ぶ。PFIは、PPPの代表的な手法の一つ。PPPの中には、PFI、指定管理者制度、市場化テスト、公設民営(DBO)方式、さらに包括的民間委託、自治体業務のアウトソーシング等も含まれる。

コミュニティ

地域の住民同士が相互交流して生活している場所、あるいはそのような住民の集団を指す。地域コミュニティとも言う。

公共施設等運営権制度(コンセッション方式)

利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式

公共施設等総合管理計画

地方自治体が所有する全ての公共施設等(学校、河川、道路等)を対象に、地域の実情に応じて、総合的かつ計画的に管理する計画のこと。

さ行

事業スキーム

事業が成立しうる枠組みを伴った計画のこと。

民間施設の利活用

自治体は施設を所有せずに、民間が所有する施設を借りることで代替する方法。

指定管理者制度

平成15年の地方自治法の一部改正により導入された制度のことで、民間の事業者、NPO法人などを含めた広い範囲の団体から公募し、事業計画や収支計画などの提案内容から判断して、施設の管理者を決めていくことができるようになった。官民連携手法の一つである。

設計・施行一括発注方式(デザインビルド)

設計(デザイン)と施工(ビルド)を一括して発注する方式。業務仕様の段階から民間のノウハウを反映させた企画提案を受け、より効果的で性能・品質を兼ね備えた価値ある業務や建物の実現が可能になる。

総合計画

市の最上位の計画で、本市においては第5次計画が27年度までとなっていることから、現在第6次計画を策定中。

た行

第三セクター

国や地方公共団体(第一セクター)と民間事業者(第二セクター)との共同出資で設立された法人のこと。

耐震性

建物が地震に耐えるための性能のこと。

多機能化

多機能化とは、一つの建物の中に複数の異なる機能などを持たせることで、複合化とも言う。多機能化の長所には、施設間の相乗効果を生み出すこと、施設のランニングコストの軽減を図ること、公共施設の総量を圧縮することができることがある。

長寿命化

計画的に改修することで、建物の構造体の劣化が進行を遅らせ、長期間使用すること。

定期借地活用

平成4年に施行された新借地借家法により制定され、従来の借地権と異なり、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新はない。活用として、土地は自治体が保有し、それを民間事業者が事業用定期借地し、建物を建設すること。

トータルコスト

整備コストだけでなく施設の維持等にかかる費用も含めたコストのこと。本計画では、施設の整備コスト(イニシャルコスト)に、改修コスト(ランニングコスト)を加えたコストのこと

は行

バリアフリー

施設の環境が原因となって施設を使うことができない障害を取り除いて、環境を整備するということ。具体的には段差のない出入口や通路、手すりの取付、車いす利用者のための通路幅やトイレの設置、エスカレーター、エレベータの設置などがある。

PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、計画(Plan)を、実行(Do)し、評価(Check)して、改善(Act)に結びつけ、その結果を次の計画に活かすプロセスのこと。

PFI

Private Finance Initiativeの略。公共施設などの設計、建設、維持管理・運営などに民間の資金とノウハウ(経営能力および技術的能力)を活用し、効率的かつ効果的な公共サービスを利用者に提供することを目的とした官民連携手法。また、施設所有権の移転時期による区分と支払方法による区分がある。

ファシリティマネジメント

米国で生まれた経営手法で、不動産(土地、建物、構築物、設備等)すべてを経営にとって最適な状態(コスト最小、効果最大)で保有し、運営し、維持するための総合的な管理手法」と定義される。企業や官公庁、営利・非営利を問わず、業務遂行において不動産を利用する組織を対象とした施設の管理・運用手法。自治体などの公的機関で取組むFMを「公共FM」と言う。

プロポーザルコンペ

主に業務の委託先や建築物の設計者を選定する際に、複数の者に企画を提案してもらい、その中から優れた提案を行った者を選定すること

ま行

マネジメント

本計画では、さまざまな資源や資産・リスクなどを管理し、経営上の効果を最適化しようとする手法のことで使用している。

や行

予防保全

施設を長寿命化するための保全管理の方法で、建物及び設備の異状の有無や兆候を事前に把握・予測することで計画的に改修を行い、故障による停止や事故を防ぎ、建築物の部材を適切に保全する方法のこと。

ら行

ライフサイクルコスト(LCC

建物の一生に必要な費用のことで、建物の設計・建設費などの初期投資(イニシャルコスト)、施設での事業を運営するために必要なコスト(施設運営コスト)、施設の維持管理に必要な改修から解体まで建物にかかるコスト(施設維持コスト)となる。

リニューアル

リフォームのような一般的な改修から性能・機能向上を図るリノベーションまでの幅広い改修までを含んだ施設の改善のこと。

わ行

ワーキンググループ(WG

特定の問題の調査や計画の推進のため設けられた部会のこと。本計画においては、豊川市役所内の横断的な組織として記載。

ワークショップ

それぞれのテーマについて、参加者が意見を持ち寄り、出し合って、合意形成を図りながらまとめていく会議方式。