豊川市汚水適正処理構想(案)
下水道、農業集落排水及び合併処理浄化槽等の汚水処理施設は、公共用水域の水質保全を主な目的として、水道や電気等と同様に、都市、農山村を問わず、早期の普及が求められています。また、汚水処理施設は、市民の環境意識が高まる中で、健全な水循環、良好な水環境の形成や安全、快適なまちづくりを行う上で不可欠な施設としての役割をもっています。
汚水適正処理構想には、県が策定する全県域汚水適正処理構想(以下「全県構想」といいます。)と市が策定する豊川市汚水適正処理構想(以下「市構想」といいます。全県構想と兼ねる場合は「構想」といいます。)があります。全県構想は、市街地や農山村地域を含めた県下全域の汚水処理施設の整備を計画的、効率的に実施することを目的とし、市町村が作成した市構想を県が取りまとめ公表することになっています。
汚水処理施設の整備手法の選定は、経済比較を基本としつつ、整備や運営を含め、時間軸の観点、水質保全効果や地域住民の意向、整備に要する期間等を考慮し、効率的かつ適正に設定する必要があります。
構想は、経済比較や時間軸等を基に汚水処理施設の位置づけ及び整備方針を定めるものであり、汚水処理施設の普及目標を指し示すものです。
全県構想の履歴を次に示します。
現在、豊川市では平成23年度に策定した構想に基づき、汚水処理施設の整備を進めています。
平成23年の市構想では、費用比較により集合処理と個別処理の仕分けをしました。
日本の下水道は、長年にわたって整備を行い、公共用水域の水質改善、地元住民の生活環境の向上に寄与してきましたが、初期に施工された管渠が耐用年数を迎え、10年後にはこれらの管渠の改築更新が不可欠になることから、管渠の新設に使うことのできる予算が激減することが予想されます。
この状況を踏まえ、国土交通省では、10年程度で早期整備を行い、汚水処理人口普及率を95%以上にする「コスト縮減、10年概成」をスローガンに、各市町村の下水道計画の見直しを指示しています。
これに伴い、本市においても、「コスト縮減、10年概成」を目標に早期に整備が可能な合併処理浄化槽の採用を広げるべく市構想を見直すものです。
豊川市の汚水処理人口普及率は、平成25年度末時点で88%であり、整備手法別では、流域関連公共下水道72%、流域関連特定環境保全公共下水道2%、農業集落排水2%及び合併処理浄化槽12%となっています。なお、残りの12%には、汲み取りのほか、単独処理浄化槽の利用人口も含みます。
全県構想は、県レベルで汚水処理施設の整備方針を明確にすべきものであることから、市構想を基に、県が市町村と協力して取りまとめるものです。
したがって、愛知県の方針に準じ、市構想は、国土交通省策定の「持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル 平成26年1月」(以下「マニュアル」といいます。)に準拠して見直しを行います。
市構想では、マニュアルに従い、次に示す将来フレーム想定年度及び人口を設定します。なお、将来フレーム想定年度とは、集合処理と個別処理の経済比較をする際に用いる人口等をどの時点に設定するかを示すものであり、汚水処理施設の完成年度とは異なるものです。
なお、構想策定後に定期的な点検を行うものとし、その期間は概ね5年とします。
県は、構想策定後の時間経過に伴う社会情勢の変化、都市計画など上位計画の大幅な見直しや各種事業の採択条件、事業種別間の調整方法の基本的変更、関連技術の大幅な進展等があった場合、構想の見直しを行います。市は、地域の社会情勢の変化等に応じ、適宜、適切に構想の見直しを行います。
構想は、策定フローにしたがって作成します。
検討単位区域とは、集合処理か個別処理かを検討する上での、一定の家屋の集合体です。集合処理と個別処理の比較を行うための検討単位区域の設定作業は、以下の流れで行います。
既整備区域等とは、既に下水道等により建設が着手されている区域及び既整備区域と連なり拡大したDID地区等の区域で、明らかに既整備区域と一体の集合処理として設定できる区域のことです。本市の既整備区域の設定は、下水道や農業集落排水により既に集合処理で整備されている区域及び下水道法事業計画を取得している区域とします。
既整備区域等以外の区域の集落や家屋について、集合処理が適当か、個別処理が適当かを判断するため、家屋間限界距離により検討単位区域を設定します。家屋間限界距離とは、家屋一軒を既整備区域に接続した方が経済的に有利となる限界距離のことです。既整備区域等以外の区域の集落や家屋については、本市の大部分が流域関連公共下水道もしくは流域関連特定環境保全公共下水道であることから、マニュアルで提示される家屋間限界距離87m以内のまとまり毎に囲み、検討単位区域を設定します。
前項で設定した既整備区域等以外の集落については、検討単位区域とします。これらの区域を対象に、経済性等を基にして、集合処理が有利か、個別処理が有利かを検討し、最適な集合処理区域を設定します。
主な手順について以下に示します。
設定手順
人口減少がもたらす下水道等への影響は、汚水量の減少等に伴う施設効率の低下や下水道使用料の減収に伴う下水道経営の圧迫等、様々な問題があります。したがって、人口減少時代における構想の見直しでは、将来フレーム想定年次における将来人口、家屋数などを勘案し、施設規模等が過大とならないよう、適切な整備手法を選定することが重要です。
国立社会保障・人口問題研究所(以下「社人研」といいます。)による人口推計では、人口変動に係わる各種率を過去のトレンドに基づき設定し、30年後までの推計人口、世帯数を公表しており、市構想では、本市の各計画におけるフレーム値と比較した結果、この社人研推計値を採用します。
なお、将来フレーム想定年度において、検討単位区域のどの家屋が人口減少や移転等により無くなるかどうかは予測困難であるため、家屋の囲いこみについては、現状の家屋の配置を基に行います。
検討単位区域毎に経済性を基に集合処理が有利か、個別処理が有利かの判定を行います。集合処理の費用は処理場建設費、維持管理費、処理場建設に必要な用地費、マンホールポンプ、汚水管渠の建設費、維持管理費を計上します。個別処理の費用は浄化槽建設費、維持管理費を計上し、両者を比較し処理区域の判定を行います。経済比較の際に適用する費用関数及び耐用年数はマニュアルに準じます。
この検討では集合処理Aと個別処理Bについて、集合処理Aは集合処理、個別処理Bは合併処理浄化槽による整備とした方が経済的か、集合処理Aと個別処理Bを管渠で接続し、1つの集合処理として処理を行う方が経済的かを検討します。仮に、集合処理Aに個別処理Bを接続することが有利となった場合には、新たに形成された集合処理A+Bと次の個別処理について、順次同様の手法を用いて接続検討を行います。
ここでは、集合処理が有利とされた検討単位区域同士の接続検討を行います。集合処理Aと集合処理Bについて、それぞれ単独の処理区として処理を行う方が経済的か集合処理AとBを管渠で接続し、1つの処理区として処理を行う方が経済的かについて検討します。 集合処理Aに他の集合処理Bを接続することが有利となった場合、新たに形成された集合処理A+Bと次の集合処理について、順次同様の手法を用いて接続検討します。集合処理として既整備区域等も取り扱います。
ここまでに検討した結果を基に、今回見直しの目的である「人口減少等をふまえた、整備区域の適切な見直し及び10年程度での汚水処理の概成」を達成するために、長期間未整備になる集合処理区域の一部を個別処理区域にします。
優先順位の指標として、人口当たり事業費、汚水処理原価等がありますが、市構想では汚水処理人口普及率95%を達成させるため、人口当たり事業費を重視して策定します。
優先順位の低い地区は、経済比較では集合処理有利になりますが、長期間未整備になるため、市構想では、個別処理に位置づけます。
検討の結果を取りまとめた市構想の示します。
構想図については、図面ですので説明を省略します。対象の土地の汚水処理施設の位置付けについては、お問い合わせください。