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豊川市立小中学校の規模に関する基本方針(案)(平成30年12月26日現在)

目次

1　基本方針策定の趣旨

2　学校規模や学級編制の標準

(1)学校規模の標準

(2)学級編制の標準

(3)学級編制の仕方

(4)学校規模に関する考え方

(5)学校規模に関する課題

3　学校規模に関する現状と見通し

(1)総人口と年齢3区分別人口の推移

(2)小中学校区別人口の推移

(3)児童生徒数と学級数の全体的推移

(4)小学校別の入学児童数の見通し

(5)小中学校別の児童生徒数と学級数の見通し

(6)学校規模の見通し

(7)学校規模と通学距離・時間の状況

(8)学校教育施設の現況

4　豊川市としての基本的な考え方

(1)市立小中学校規模の標準

(2)課題検討を行う学校規模

(3)小規模校と準小規模校におけるメリットの最大化等

(4)複式編制の回避

(5)学校教育施設の適正管理

5　課題解決に向けた対応方針

(1)学校規模の見通しの把握

(2)小学校に関する対応

(3)中学校に関する対応

(4)地域から申し出があった場合の対応

(5)具体的な取組の実施に係る計画の策定

(6)各種手続き等

(7)課題解決に向けた対応の手順

6　留意すべき事項

(1)教育上、学校運営上の最適化

(2)通学距離・時間への配慮

(3)保護者や地域住民との連携

(4)将来見通しを踏まえた学校教育施設の改修

(5)行政内の連携

(6)個別の学校の状況把握

参考資料

1　豊川市の未来を拓く教育推進懇談会

2　基本方針の策定経過

3　小規模校に関して国が示す課題と対応

4　複式編制の回避に向けて想定される取組の整理事項

5　全小中学校に関する各種データ

PDF形式の資料では、参考資料を掲載していますが、この資料では省略します。

以下、本文

1　基本方針策定の趣旨

日本では、出生率の低下により少子化が進み、総人口は2005(平成17)年に初めて前年を下回ってから減少の局面を迎えています。本市の総人口については、宝飯郡4町との合併前の人口を含め、2008(平成20)年12月をピークに減少傾向に転じましたが、近年は横ばいの状況です。市立小中学校の児童生徒数については、全国的な少子化の動向と同様に、1983(昭和58)年をピークに減少に転じています。一部の地域における住宅開発などを背景とし、児童生徒数が一時的に増加している校区があるものの、市全体としては今後も減少していくものと見込まれています。

こうした少子化や人口減少が進行する中、本市では、豊川市教育大綱に基づき、「ともに学び　生きる力を育み　未来を拓く豊川の人づくり」を基本理念とする様々な教育施策を展開しており、子どもたちの成長を支える学校教育についても多くの取組を進めています。中でも学校教育施設については、少子化の動向を捉えた管理が求められており、市公共施設全体の適正配置や長寿命化の方針を踏まえた老朽校舎の改修などに取り組んでいます。

引き続き、子どもたちの健やかな成長を支えていくためには、児童生徒が安全な環境の中で、安心して学校生活を送ることができるような小中学校の環境整備が必要です。また、児童生徒が集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨しながら、思考力や表現力、判断力などを育んでいけるような学校規模を維持していく視点も重要です。

そこで、将来にわたって子どもたちの「生きる力」を育む学校教育環境を維持・向上させていくため、本市における小中学校の規模に着目した課題整理を行うとともに、その解決に向けた基本的な考え方や対応方針などを明らかにする「豊川市立小中学校の規模に関する基本方針」を策定します。

2　学校規模や学級編制の標準

本市における学校規模に関する課題整理にあたって、その前提となる制度をあらかじめ把握するため、国や県が示す学校規模や学級編制の標準に関することを整理します。

(1)学校規模の標準

国は、小中学校の規模の標準について、学級数により次のとおり設定しています。(学校教育法施行規則第41条及び第79条。昭和33年省令改正により条文化。)

12学級以上18学級以下を標準とする。

ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。

この学校規模の標準は、通常学級の数について定めるものです。特別支援学級の数の標準については、特に定めはありません。

(2)学級編制の標準

一つの学級を編制する際の児童生徒数の基準について、国及び県が「学級編制の標準」として示しています。(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律第3条)

愛知県の小中学校においては、愛知県の基準に基づいて、単式学級や複式学級、特別支援学級が編制されています。

学級編制の標準(基準)一覧

単式学級

国(法令)の基準　小学校40人、1年生は35人　中学校40人

愛知県の基準　小学校40人、1年生は35人　中学校40人

愛知県の加配 小学校2年生は35人　中学校1年生は35人

複式学級

国(法令)の基準　小学校16人、1年生を含む場合は8人　中学校8人

愛知県の基準 小学校14人、1年生を含む場合は7人　中学校8人

特別支援学級

国(法令)の基準　8人

愛知県の基準　8人

参考　学級編制標準の変遷

国が定める学級編制の標準は、1947(昭和22)年施行の「学校教育法施行規則」において初めて示されたものでした。その際には、小中学校は50人以下という標準は示されていましたが、複式編制の標準は示されていませんでした。

1959(昭和34)年に施行された「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(以下「義務標準法」という。)においては、小中学校の複式編制の場合の標準が初めて示され、学年数により20人から35人とされていました。

その後、7次にわたる「公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」を踏まえた義務標準法改正により学級編制の標準の引下げ等が実施され、現在、40人とする単式学級の標準は、1980(昭和55)年度からの第5次計画を受けて実現されました。また、複式編制については、その解消に向けた改正が順次行われ、1993(平成5)年度からの第6次計画により現行の標準となっています。

小学校1年生の単式学級の標準については、義務標準法改正により、2011(平成23)年度から35人となっています。

(3)学級編制の仕方

愛知県の基準による学級編制は、具体的には次のように行われます。

1　単式学級

単式学級は、一つの学年の在学者で構成されている学級のことで、次のように編制します。

ア小学校1、2年生・中学校1年生

1学級を35人以下で編制します。当該学年の児童生徒数が35人以下の場合は、1学級のみで編制します。

イその他の学年

1学級を40人以下で編制します。当該学年の児童生徒数が40人以下の場合は、1学級のみで編制します。

2　複式学級

複式学級は、二つ以上の学年の在学者で構成されている学級のことで、次のように編制します。なお、本市では現在のところ、複式学級を編制する学校はありません。

ア小学校1年生を含む場合

小学校1年生を含め、引き続く複数学年の児童数の合計が7人以下で推移し続ける場合は、複式学級を編制します。

イ小学校2年生以上

小学校2年生以上で引き続く複数学年の児童数の合計が14人以下で推移し続ける場合は、複式学級を編制します。

なお、複式学級は、原則として低学年(1、2年生)、中学年(3、4年生)、高学年(5、6年生)の区分により2学年ずつで編制します。また、児童への学習指導上の配慮から、年度ごとに複式学級と単式学級が交互に発生しないよう配慮し、複式編制となる人数構成に初めて該当する学年についてのみ単式学級を保障することとなっています。こうした配慮により、引き続く2学年の児童数の合計が14人以下で推移し続ける場合、最初に14人以下となる組み合わせの2学年うち、上の学年については複式編制が適用されず、下の学年から適用されることとなります。ただし、1・2年生の複式編制の基準は7人以下となっているため、実際には、この下の学年が4年生になる年度において、初めて複式学級が編制されることとなります。

ウ中学校1から3年生

中学校で引き続く複数学年の生徒数の合計が8人以下で推移し続ける場合は、複式学級を編制します。

3　特別支援学級

特別支援学級は、児童生徒の実態に応じたきめ細かな指導を行うため、少人数で学級を編制します。

ア小学校、中学校

1学級を8人以下で編制します。

(4)学校規模に関する考え方

国は、2015(平成27)年1月に策定した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」(以下「手引」という。)において、学級数等に着目した課題整理を行うとともに、学校規模に関する課題解決に向けた基本的な考え方や望ましい学級数の考え方を次のとおり示しています。

1　教育的な観点

学校規模に関する課題解決に向けた基本的な考え方として、教育的な観点の重要性を示しています。(手引2から3ページ)

学校規模の適正化を図る上では、第一に学校の果たす役割を再確認する必要があります。義務教育段階の学校は、児童生徒の能力を伸ばしつつ、社会的自立の基礎、国家・社会の形成者としての基本的資質を養うことを目的としています。

このため、学校では、単に教科等の知識や技能を習得させるだけではなく、児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて思考力や表現力、判断力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身に付けさせることが重要になります。

そうした教育を十全に行うためには、一定の規模の児童生徒集団が確保されていることや、経験年数、専門性、男女比等についてバランスのとれた教職員集団が配置されていることが望ましいものと考えられます。このようなことから、一定の学校規模を確保することが重要となります。

2　望ましい学級数の考え方

こうした教育的な観点などを踏まえ、小中学校における望ましい学級数の考え方を示しています。(手引9ページ)

小学校では、まず複式学級を解消するためには少なくとも1学年1学級以上(6学級以上)であることが必要となります。また、全学年でクラス替えを可能としたり、学習活動の特質に応じて学級を超えた集団を編成したり、同学年に複数教員を配置するためには1学年2学級以上(12学級以上)あることが望ましいものと考えられます。

中学校についても、全学年でクラス替えを可能としたり、学級を超えた集団編成を可能としたり、同学年に複数教員を配置するためには、少なくとも1学年2学級以上(6学級以上)が必要となります。また、免許外指導をなくしたり、全ての授業で教科担任による学習指導を行ったりするためには、少なくとも9学級以上を確保することが望ましいものと考えられます。

(5)学校規模に関する課題

一般的に、国が示す学校規模の標準に比べて学級数が少ない場合は小規模校や過小規模校、多い場合は大規模校や過大規模校として整理され、それぞれに課題があるとされています。

本市においても、義務教育の機会均等や水準の維持・向上の観点を踏まえ、地域の実情に応じた学校規模に関する課題を捉えていく必要があります。

国の手引を参考に、小中学校の規模に関する主な課題を整理すると、次のとおりとなります。

1　小規模校等の課題(手引6から9ページ)

クラス替えが全部又は一部の学年でできない。

クラス同士が切磋琢磨する教育活動ができない。

クラブ活動や部活動の種類が限定される。

体育科の球技や音楽科の合唱・合奏のような集団学習の実施に制約が生じる。

経験年数、専門性、男女比等バランスのとれた教職員配置やそれらを生かした指導の充実が困難となる。

免許外指導の教科が生まれる可能性がある。(中学校)

児童生徒の人間関係や相互の評価が固定化しやすい。など

2　大規模校等の課題(手引14ページ)

学校行事等において、係や役割分担のない子どもが現れる可能性があるなど、一人一人が活躍する場や機会が少なくなる場合がある。

集団生活においても同学年の結び付きが中心となり、異学年交流の機会が設定しにくくなる場合がある。

同学年でもお互いの顔や名前を知らないなど、児童生徒間の人間関係が希薄化する場合がある。

教職員集団として、児童生徒一人一人の個性や行動を把握し、きめ細かな指導を行うことが困難であり、問題行動が発生しやすい場合がある。

児童生徒一人当たりの校舎面積、運動場面積等が著しく狭くなった場合、教育活動の展開に支障が生じる場合がある。

特別教室や体育館、プール等の利用に当たって授業の割当てや調整が難しくなる場合がある。など

3　学校規模に関する現状と見通し

本市には、小学校が26校、中学校が10校あります。これらの学校規模に関する現状や見通しを捉えるため、人口や児童生徒数の推移などを整理します。

(1)総人口と年齢3区分別人口の推移

本市の総人口は、まちの発展とともに増加を続けてきましたが、合併前の宝飯郡4町の人口を含め、2008(平成20)年12月の183,259人をピークに減少傾向にあります。

2015(平成27)年の国勢調査では182,436人で、2045(平成57)年には、163,019人まで減少すると予測されています。

年齢3区分別の人口は、2005(平成17)年の国勢調査で、65歳以上の老年人口が、14歳以下の年少人口を上回りました。今後も、老年人口が増加する一方で、年少人口と15歳から64歳までの生産年齢人口が減少していくものと予測されています。

PDF形式の資料では、総人口と年齢3区分別人口の推移に関する折れ線グラフを掲載していますが、ここでは省略します。

(2)小中学校区別人口の推移

2015(平成27)年から2045(平成57)年までに、大半の小学校区で人口が減少していくものと予測されます。

中でも、30％以上減少する予測となっている小学校区は、千両小学校区の54．7％減少を始め、7小学校区に及んでいます。

PDF形式の資料では、小中学校区別人口の推移に関する表を掲載していますが、ここでは省略します。

(3)児童生徒数と学級数の全体的推移

戦後における本市の児童生徒数は、小学校では1958(昭和33)年度、中学校では1961(昭和36)年度に最初のピークを迎えました。これは、団塊世代が小中学校に在籍した時期に当たります。

その後、児童生徒数は一旦減少しましたが、高度経済成長を背景としながら増加に転じ、団塊ジュニア世代が小中学校に在籍した時期には、小学校では1981(昭和56)年度、中学校では1986(昭和61)年度に、2度目のピークを迎えました。

このピークを最後に、本市における児童生徒数は、少子化の進行に伴い減少傾向が続いています。

学級数については、戦後の児童生徒数と連動しながら増減してきましたが、近年では、児童生徒数が減少傾向にある中で、2011(平成23)年度以降は小学校1・2年生や中学校1年生において35人学級が編制されていること、また、特別支援学級の児童生徒数が増加傾向にあることから、横ばいの状況となっています。

今後は、児童生徒数が引き続き減少していく見込みですが、学級数については、児童生徒数の減少に比較し、緩やかな減少で推移していくものと予測されます。

PDF形式の資料では、児童生徒数と学級数の全体的推移に関する棒グラフ・折れ線グラフを掲載していますが、ここでは省略します。

(4)小学校別の入学児童数の見通し

入学児童数の増減率については、学校によって差異が見られ、今後の20年間で50％以上減少する予測となっている小学校が8校あります。

愛知県では、引き続く複数学年の児童数が14人以下(1年生を含む場合は7人以下)で推移し続ける場合に複式学級となるため、それに該当する学校と時期を予測しながら、学校規模を見通していく必要があります。

引き続く2学年の児童数の合計が14人以下となり、それ以降も14人以下で推移し続けることが見込まれる小学校については、2038(平成50)年度までの間に2校該当してくるものと予測されます。

引き続く2学年の児童数の合計が最初に14人以下となる組み合わせのうち、下の学年が4年生になる年度に初めて複式編制が適用されることを踏まえ、今後における学校規模を見通します。

PDF形式の資料では、小学校別の入学児童数の見通しに関する表を掲載していますが、ここでは省略します。

(5)小中学校別の児童生徒数と学級数の見通し

1　小学校

児童数については、2018(平成30)年度は10，675人ですが、2038(平成50)年度は8，147人となり、20年間に2，528人(23．7％)減少すると予測されます。

児童数に応じた通常学級の数については、小学校1・2年生は35人学級、その他の学年は40人学級を基準とすると、2018(平成30)年度は344学級であるのに対し、2038(平成50)年度は284学級となり、20年間に60学級(17．4％)減少するものと予測されます。

複式学級を編制する規模の5学級以下の小学校は、2018(平成30)年度現在ではありませんが、2026(平成38)年度に1校、2038(平成50)年度には2校となる予測となっています。

全学年でクラス替えができない規模の6学級の小学校は、2018(平成30)年度は5校ですが、2038(平成50)年度には8校となる予測となっています。

2　中学校

生徒数については、2018(平成30)年度が5，127人であるのに対し、20年後の2038(平成50)年度は4，157人となり、970人(18．9％)減少すると予測されます。

生徒数に応じた通常学級の数については、中学校1年生は35人学級を基準とし、その他の学年は40人学級を基準とすると、2018(平成30)年度が147学級であるのに対し、2038(平成50)年度は122学級となり、20年間に25学級(17．0％)減少するものと予測されます。

2038(平成50)年度までの20年間に、全学年でクラス替えができない規模に該当する中学校はありませんが、1校について、2037(平成49)年度に5学級、2038(平成50)年度に4学級となり、一部の学年でクラス替えができない規模になると予測されます。

PDF形式の資料では、小中学校別の児童生徒数と学級数の見通しに関する表を掲載していますが、ここでは省略します。

(6)学校規模の見通し

市内小中学校の規模の全体的な推移を見通すため、2018(平成30)年度から2038(平成50)年度までを10年間隔で、学級数による区分ごとに学校数の見込みを整理します。

ここでは、国が定める学校規模の標準を軸に市内小中学校の規模の推移を把握するため、特別支援学級を除いた学級数で整理します。

学級数による区分については、国が示す学校規模の標準や国庫負担等に関する基準などを参考に、「過小規模」「小規模」「標準規模」「大規模」「過大規模」の五つの区分で整理します。なお、一般的には、国が示す学校規模の標準と同じ規模を「適正規模」として整理する場合がありますが、ここでは、学校規模の是非を判別するものではないため、「標準規模」と表記します。

「小規模」の区分については、国の手引における「学校規模の標準を下回る場合の対応の目安」(手引11ページ)の区分を参考に、次のとおり細区分します。

小学校

「6学級」(クラス替えができない規模)

「7から8学級」(全学年ではクラス替えができない規模)

「9から11学級」(半分以上の学年でクラス替えができる規模)

中学校

「3学級」(クラス替えができない規模)

「4から5学級」(全学年ではクラス替えができる学年が少ない規模)

「6から8学級」(全学年でクラス替えができ、同学年に複数教員を配置できる規模)

「9から11学級」(全学年でクラス替えができ、同学年での複数教員配置や免許外指導の解消が可能な規模)

1　小学校

「複式学級が存在する規模」である1から5学級の過小規模の小学校は、2018(平成30)年度にはありませんが、2028(平成40)年度に1校、2038(平成50)年度に2校になると予測されます。

「クラス替えができない規模」である6学級の小規模の小学校は、2018(平成30)年度には5校ですが、2028(平成40)年度に7校、2038(平成50)年度には8校になるものと予測されます。

19から30学級の大規模の小学校の一部は、国が示す「学校規模の標準」である12から18学級の規模に移行していくと予測されます。

31学級以上の過大規模の小学校は、2018(平成30)年度には存在せず、今後においても発生しない見込みです。

以下、整理表

1から5学級　過小規模(複式学級あり)

2018年度なし

2028年度1校　萩(4学級)

2038年度2校　萩(4学級)、長沢(5学級)

6学級　小規模

2018年度5校　千両(6学級)、一宮南部(6学級)、萩(6学級)、長沢(6学級)、御津北部(6学級)　

2028年度7校　天王(6学級)、千両(6学級)、一宮東部(6学級)、一宮南部(6学級)、長沢(6学級)、赤坂(6学級)、御津北部(6学級)

2038年度8校　豊川(6学級)、桜木(6学級)、天王(6学級)、千両(6学級)、一宮東部(6学級)、一宮南部(6学級)、赤坂(6学級)、御津北部(6学級)

7から8学級　小規模

2018、2028年度なし

2038年度1校　金屋(7学級)

9から11学級　小規模

2018年度3校　天王(10学級)、平尾(11学級)、一宮東部(11学級)

2028年度3校　豊川(11学級)、平尾(11学級)、金屋(11学級)

2038年度なし

12から18学級　標準規模

2018年度15校　豊川(12学級)、東部(13学級)、桜木(12学級)、豊(13学級)、牛久保(13学級)、中部(18学級)、八南(18学級)、御油(18学級)、桜町(12学級)、代田(15学級)、金屋(12学級)、一宮西部(18学級)、赤坂(12学級)、御津南部(18学級)、小坂井東(17学級)

2028年度12校　東部(12学級)、桜木(12学級)、豊(12学級)、牛久保(12学級)、中部(18学級)、御油(13学級)、桜町(12学級)、代田(14学級)、一宮西部(18学級)、御津南部(15学級)、小坂井東(15学級) 、小坂井西(12学級)

2038年度13校　東部(12学級)、豊(12学級)、牛久保(12学級)、中部(17学級)、平尾(12学級)、御油(12学級)、桜町(13学級)、代田(14学級)、三蔵子(18学級)、一宮西部(18学級)、御津南部(12学級)、小坂井東(12学級)、小坂井西(12学級)

19から30学級　大規模

2018年度3校　国府(22学級)、三蔵子(19学級)、小坂井西(20学級)

2028年度3校　八南(21学級)、国府(23学級)、三蔵子(20学級)

2038年度2校　八南(20学級)、国府(24学級)

31学級以上　過大規模

2018、2028、2038年度なし

2　中学校

「複式学級が存在する規模」である1から2学級の過小規模の中学校は、2038(平成50)年度までの間には発生しない見込みです。

「全学年ではクラス替えができる学年が少ない規模」である4から5学級の小規模の中学校は、2018(平成30)、2028(平成40)年度にはありませんが、2038(平成50)年度に1校になると予測されます。

19から30学級の大規模の中学校については、2018(平成30)、2028(平成40)年度に2校ありますが、2038(平成50)年度には、国が示す「学校規模の標準」である12から18学級の規模に移行していくと予測されます。

31学級以上の過大規模の中学校は、2018(平成30)年度には存在せず、今後においても発生しない見込みです。

以下、整理表

1から2学級　過小規模(複式学級あり)

2018、2028、2038年度なし

3学級　小規模

2018、2028、2038年度なし

4から5学級　小規模

2018、2028年度なし

2038年度1校　音羽(4学級)

6から8学級　小規模

2018年度なし

2028年度1校　音羽(6学級)

2038年度なし

9から11学級　小規模

2018年度2校　音羽(9学級)、御津(11学級)

2028年度1校　御津(9学級)

2038年度2校　一宮(10学級)、御津(9学級)

12から18学級　標準規模

2018年度6校　中部(15学級)、西部(15学級)、代田(12学級)、金屋(14学級)、一宮(13学級)、小坂井(16学級)

2028年度6校　中部(16学級)、西部(18学級)、代田(13学級)、金屋(14学級)、一宮(12学級)、小坂井(15学級)

2038年度7校　東部(16学級)、南部(15学級)、中部(15学級)、西部(16学級)、代田(12学級)、金屋(13学級)、小坂井(12学級)

19から30学級　大規模

2018年度2校　東部(23学級)、南部(19学級)

2028年度2校　東部(22学級)、南部(19学級)

2038年度なし

31学級以上　過大規模

2018、2028、2038年度なし

(7)学校規模と通学距離・時間の状況

国は、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令において、学校統合をする場合の適正な規模の条件として、「通学距離が、小学校にあっては概ね4ｋｍ以内、中学校及び義務教育学校にあっては概ね6ｋｍ以内である」との基準を示しています。

また、国の手引においては、「通学時間について、『おおむね1時間以内』を一応の目安とした上で、各市町村において、地域の実情や児童生徒の実態に応じて1時間以上や1時間以内に設定することの適否も含めた判断を行うことが適当である」としています。

こうした国の基準などを踏まえ、本市における小中学校の規模と、各校における最長の通学距離について整理すると、次のような現状を捉えることができます。　

1　小学校

小学校については、御津北部小学校を除き、国が示す通学距離の基準(概ね4ｋｍ以内)を満たしています。

学校規模の区分ごとに通学距離区分の該当校数の比率を見ると、小規模校に比べ、標準規模校や大規模学校の方が、各校における最長の通学距離が短いという状況です。

小学校の児童は、徒歩により通学をしていますが、御津北部小学校において通学距離が4ｋｍを超える児童は、コミュティバスと保護者の送迎により通学をしています。

通学時間については、大半の小学校では概ね1時間以内となっていますが、最長の通学距離が4ｋｍを超える御津北部小学校以外でも、通学区域が比較的広い小学校では、徒歩で1時間を超える地域が存在しています。こうした地域においては、学年や天候などに応じて保護者が送迎するなどし、児童の安全確保や負担軽減がなされている状況です。

以下、整理表

概ね2ｋｍ以内

小規模　2校　長沢(6学級)、天王(10学級)

標準規模　11校　豊川(12学級)、桜木(12学級)、豊(13学級)、牛久保(13学級)、中部(18学級)、八南(18学級)、御油(18学級)、桜町(12学級)、代田(15学級)、金屋(12学級)、小坂井東(17学級)

大規模　2校　三蔵子(19学級)、小坂井西(20学級)

概ね3ｋｍ以内

小規模　3校　一宮南部(6学級)、萩(6学級)、平尾(11学級)

標準規模　2校　東部(13学級)、赤坂(12学級)

大規模　1校　国府(22学級)

概ね4ｋｍ以内

小規模　2校　千両(6学級)、一宮東部(11学級)

標準規模　2校　御津南部(18学級)、一宮西部(18学級)

概ね5ｋｍ以内

小規模　1校　御津北部(6学級)

上記の整理表について、PDF形式の資料では、比率や合計も併記していますが、ここでは省略します。

2　中学校

中学校については、全ての学校で概ね6ｋｍ以内となっており、国が示す通学距離の基準(概ね6ｋｍ以内)を満たしています。

学校規模の区分ごとに通学距離区分の該当校数の比率を見ると、小規模校に比べて、標準規模校や大規模学校の方が、各校における最長の通学距離が短いという状況です。

中学校では、各校で定めるルールに基づき、比較的長い距離を通学する生徒が自転車で通学をしています。

通学時間については、自転車通学を含め、概ね1時間以内となっています。

以下、整理表

概ね3ｋｍ以内

標準規模　3校　西部(15学級)、代田(12学級)、小坂井(16学級)

概ね4ｋｍ以内

標準規模　1校　金屋(14学級)

大規模　1校　南部(19学級)

概ね5ｋｍ以内

標準規模　1校　一宮(13学級)

大規模　1校　東部(23学級)

概ね6ｋｍ以内

小規模　2校　音羽(9学級)、御津(11学級)

標準規模　1校　中部(15学級)

上記の整理表について、PDF形式の資料では、比率や合計も併記していますが、ここでは省略します。

(8)学校教育施設の現況

本市の公共施設は、その多くが昭和40年代中頃から昭和60年代前半までの期間に建築されており、公共施設全体の延床面積については、学校教育施設が4割以上を占めています。

校舎、体育館、武道場といった主な学校教育施設の延床面積は、2017(平成29)年度末現在で231，092�uとなっており、そのうち78．2％は建築後30年を経過していることから、その老朽化対策を計画的に進め、安全で安心な学校教育環境を維持・向上させていくことが重要となっています。

PDF形式の資料では、学校教育施設の延床面積の状況に関する棒グラフを掲載していますが、ここでは省略します。

4　豊川市としての基本的な考え方

本市における学校規模に関する課題解決にあたっては、「(1)市立小中学校規模の標準」「(2)課題検討を行う学校規模」「(3)小規模校と準小規模校におけるメリットの最大化等」「(4)複式編制の回避」「(5)学校教育施設の適正管理」といった五つの事項に関する基本的な考え方を前提とし、具体的な対応を進めていきます。

(1)市立小中学校規模の標準

国が示す学校規模の標準については、「地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。」(学校教育法施行規則第41条)とされています。

本市においては、次のような観点や推移、状況を踏まえ、市立小中学校の学校規模の標準を設定します。

1　教育活動に配慮する観点

全学年でクラス替えを可能としたり、学習活動の特質に応じて学級を超えた集団を編成したり、同学年に複数の教職員を配置するためには、1学年2学級以上であることが望まれます。

中学校については、専任の教科担任(正規教職員)を配置しやすい12学級以上であることが望まれます。

2　児童生徒数の推移

本市における人口は減少傾向にあり、各校の児童生徒数も減少していくことが予測されます。

近年、一部の学校においては、小学校への入学児童数が増加していますが、将来的には減少に転じていく可能性も予測されます。

3　学校規模の推移

市立小中学校の規模については、国が示す標準規模(12から18学級)に該当する学校の割合が最も高くなっています。

児童生徒数の減少に伴い、小中学校は小規模化していくことが予測されます。

大規模校については、標準規模校に移行していくことも予測されます。

4　通学距離の状況

市立小中学校における通学距離については、御津北部小学校を除き、国が示す基準(小学校は概ね4ｋｍ以内、中学校は6ｋｍ以内)を満たしています。

国が示す標準規模の学校については、各校における最長の通学距離が短い学校の割合が高くなっています。

以上の4点を踏まえ、本市における小中学校の標準規模については、国と同様、小中学校ともに「12から18学級」とします。

また、国庫負担等に関する基準などで区分される小規模校のうち、クラス替えができない学級数(小学校は6学級、中学校は3学級)以外の規模の学校(小学校は7から11学級、中学校は4から11学級)については、実際に望まれる対応方法に差異が生じることが見込まれるため、準小規模として分類します。

この標準規模と準小規模を含め、学級数に応じた学校規模の区分を、次のとおり設定します。

市立小中学校規模の区分

1　小学校

区分　過小規模　学級数1から5　特性　複式学級が存在する規模

区分　小規模　学級数6　特性　クラス替えができない規模

区分　準小規模　学級数7から8　特性　全学年ではクラス替えができない規模

区分　準小規模　学級数9から11　特性　半分以上の学年でクラス替えができる規模

区分　標準規模　学級数12から18　特性　全学年で2クラス以上の学級編制ができ、クラス替えができる規模

区分　大規模　学級数19から30　特性　校舎面積、運動場面積等が充足されている場合は、標準規模と遜色のない教育活動を展開できる規模

区分　過大規模　学級数31学級以上　特性　児童一人当たりの校舎面積、運動場面積等が著しく狭くなった場合、教育活動の展開に支障が生じる可能性がある規模

2　中学校

区分　過小規模　学級数1から2　特性　複式学級が存在する規模

区分　小規模　学級数3　特性　クラス替えができない規模

区分　準小規模　学級数4から5　特性　全学年ではクラス替えができる学年が少ない規模

区分　準小規模　学級数6から8　特性　全学年でクラス替えができ、同学年に複数教員を配置できる規模

区分　準小規模　学級数9から11　特性　全学年でクラス替えができ、同学年での複数教員配置や、免許外指導の解消が可能な規模

区分　標準規模　学級数12から18　特性　専任の教科担任(正規教職員)を配置しやすい規模

区分　大規模　学級数19から30　特性　校舎面積、運動場面積等が充足されている場合は、標準規模と遜色のない教育活動を展開できる規模

過大規模　学級数31以上　特性　生徒一人当たりの校舎面積、運動場面積等が著しく狭くなった場合、教育活動の展開に支障が生じる可能性がある規模

市の区分による整理

市として設定する市立小中学校規模の区分により、各小中学校の現状と見通しに基づいて分類すると、次のとおり整理することができます。

以下、整理表

整理表においては、学校名に続いて、学級数と、1学級当たりの児童生徒数を併記しています。

小学校については、学級数に続いて、「1、2年生の1学級当たりの児童数」、「3から6年生の1学級当たりの児童数」、の順番で記載しています。

中学校については、学級数に続いて、「1年生の1学級当たりの生徒数」、「2、3年生の1学級当たりの生徒数」、の順番で記載しています。

1　小学校

1から5学級　過小規模(複式学級あり)

2018年度なし

2028年度1校　萩(4学級　6人、7人)

2038年度2校　萩(4学級　4人、5人)、長沢(5学級　7人、7人)

6学級　小規模

2018年度5校　千両(6学級　21人、19人)、一宮南部(6学級　22人、26人)、萩(6学級　12人、15人)、長沢(6学級　25人、30人)、御津北部(6学級　28人、29人)

2028年度7校　天王(6学級　31人、33人)、千両(6学級　11人、13人)、一宮東部(6学級　19人、20人)、一宮南部(6学級　15人、17人)、長沢(6学級　9人、10人)、赤坂(6学級　28人、29人)、御津北部(6学級　23人、24人)

2038年度8校　豊川(6学級　34人、35人)、桜木(6学級　34人、36人)、天王(6学級　27人、27人)、千両(6学級　8人、9人)、一宮東部(6学級　14人、14人)、一宮南部(6学級　13人、13人)、赤坂(6学級　23人、24人)、御津北部(6学級　21人、19人)

7から8学級　準小規模

2018、2028年度なし

2038年度1校　金屋(7学級　24人、38人)

9から11学級　準小規模

2018年度3校　天王(10学級　23人、27人)、平尾(11学級　27人、26人)、一宮東部(11学級　21人、25人)

2028年度3校　豊川(11学級　22人、25人)、平尾(11学級　22人、24人)、金屋(11学級　23人、28人)

2038年度なし

12から18学級　標準規模

2018年度15校　豊川(12学級　29人、28人)、東部(13学級　28人、34人)、桜木(12学級　32人、32人)、豊(13学級　33人、32人)、牛久保(13学級　26人、30人)、中部(18学級　33人、38人)、八南(18学級　34人、38人)、御油(18学級　25人、29人)、桜町(12学級　24人、25人)、代田(15学級　31人、35人)、金屋(12学級　28人、25人)、一宮西部(18学級　30、33人)、赤坂(12学級　24人、26人)、御津南部(18学級　27人、32人)、小坂井東(17学級　32人、31人)

2028年度12校　東部(12学級　32人、32人)、桜木(12学級　22人、24人)、豊(12学級　30人、29人)、牛久保(12学級　29人、30人)、中部(18学級　32人、33人)、御油(13学級　34人、34人)、桜町(12学級　32人、32人)、代田(14学級　25人、38人)、一宮西部(18学級　28人、30人)、御津南部(15学級　24人、34人)、小坂井東(15学級　25人、35人) 、小坂井西(12学級　33人、36人)

2038年度13校　東部(12学級　28人、28人)、豊(12学級　28人、27人)、牛久保(12学級　24人、25人)、中部(17学級　26人、30人)、平尾(12学級　21人、21人)、御油(12学級　28人、29人)、桜町(13学級　28人、34人)、代田(14学級　24人、35人)、三蔵子(18学級　32人、33人)、一宮西部(18学級　28人、28人)、御津南部(12学級　31人、32人)、小坂井東(12学級　34人、34人)、小坂井西(12学級　26人、28人)

19から30学級　大規模

2018年度3校　国府(22学級　32人、35人)、三蔵子(19学級　30人、37人)、小坂井西(20学級　30人、34人)

2028年度3校　八南(21学級　29人、36人)、国府(23学級　31人、33人)、三蔵子(20学級　29人、39人)

2038年度2校　八南(20学級　30人、39人)、国府(24学級　33人、32人)

31学級以上　過大規模

2018、2028、2038年度なし

2　中学校

1から2学級　過小規模(複式学級あり)

2018、2028、2038年度なし

3学級　小規模

2018、2028、2038年度なし

4から5学級　準小規模

2018、2028なし

2038年度1校　音羽(4学級　20人、40人)

6から8学級　準小規模

2018年度なし

2028年度1校　音羽(6学級　26人、29人)

2038年度なし

9から11学級　準小規模

2018年度2校　音羽(9学級　29人、37人)、御津(11学級　33人、34人)

2028年度1校　御津(9学級　35人、34人)

2038年度2校　一宮(10学級　27人、37人)、御津(9学級　29人、29人)

12から18学級　標準規模

2018年度6校　中部(15学級　32人、35人)、西部(15学級　32人、38人)、代田(12学級　29人、31人)、金屋(14学級　29人、35人)、一宮(13学級　34人、37人)、小坂井(16学級　31人、35人)

2028年度6校　中部(16学級　35人、34人)、西部(18学級　33人、37人)、代田(13学級　29人、35人)、金屋(14学級　31人、33人)、一宮(12学級　31人、38人)、小坂井(15学級　32人、34人)

2038年度7校　東部(16学級　31人、38人)、南部(15学級　32人、33人)、中部(15学級　33人、33人)、西部(16学級　30人、36人)、代田(12学級　34人、34人)、金屋(13学級　28人、37人)、小坂井(12学級　32人、32人)

19から30学級　大規模

2018年度2校　東部(23学級　32人、36人)、南部(19学級　31人、37人)

2028年度2校　東部(22学級　31人、36人)、南部(19学級　34人、35人)

2038年度なし

31学級以上　過大規模

2018、2028、2038年度なし

(2)課題検討を行う学校規模

学校規模に関する課題については、小規模校のみならず、児童生徒の急激な増加等により発生する過大規模校の課題も全国的には見られます。しかし、引き続き少子化の進行が予測される中、本市においては、今後も過大規模となる小中学校は発生しないものと見込んでいます。

こうした状況を踏まえ、市として設定する標準規模に満たない小規模校や準小規模校に関する課題に着目し、課題解決に向けた対応方針や手順などを明らかにします。

PDF形式の資料では、小規模化の推移に関する位置図(小学校)を掲載していますが、ここでは省略します。

(3)小規模校と準小規模校におけるメリットの最大化等

一般的に、規模の小さい学校については、一人一人の学習状況や学習内容の定着状況を的確に把握でき、補充指導や個別指導を含めたきめ細かな指導を行いやすく、また、意見や感想を発表できる機会が多くなるなどのメリットがあると言われています。

一方で、クラス替えが全部又は一部の学年でできない場合には、クラス同士が切磋琢磨する教育活動の機会が少なかったり、経験年数、専門性、男女比等バランスのとれた教職員配置やそれらを生かした指導の充実が困難となったりするなど、デメリットもあるとされています。

小規模校と準小規模校については、一層きめ細かな指導や児童生徒が活躍できる機会を充実させて学校規模によるメリットを最大化していくこと、また、児童生徒が多様な考えに触れたり、切磋琢磨したりする機会を充実させて学校規模によるデメリットを緩和していくことが重要です。

豊川市教育大綱においては、「ともに学び　生きる力を育み　未来を拓く豊川の人づくり」を基本理念としています。市としては、この基本理念に基づく教育施策を展開する中で、小規模校と準小規模校におけるメリットを最大化し、デメリットを緩和できるよう、各校における教育活動などを支援していきます。

(4)複式編制の回避

本市においては、将来的に、一部の小学校について、複式学級が編制される過小規模校への移行が見込まれます。

小学校で複式学級を編制する場合には、教職員が複数学年を行き来しながら直接指導と間接指導を組み合わせて授業を行う際に、児童の集中力が途切れやすくなったり、単式学級の場合と比較して直接指導の時間が少なくなったりすることが想定されます。また、単式学級と異なる指導順になる場合、単式学級の学校への転校時に未習事項が生じることも考えられます。こうした児童への影響に加え、教職員への影響としては、特別な指導技術が求められるとともに、複数学年分の教材研究・指導準備に伴う負担増加といった課題も想定されます。

一方で、教職員が複数学年を行き来する間、児童生徒が相互に学び合う活動を充実させたり、異年齢の学習活動を組んだりしやすいといったメリットもありますが、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律が制定されて以来、数回にわたる法改正により、複式学級の解消が進められてきました。

こうした状況を踏まえ、市としては、市内の児童生徒を対象とする学校教育の機会均等やその水準の維持・向上の観点から、複式編制を回避するという方向性の中で、小規模の小学校に関する課題解決に向けた対応を進めていきます。

なお、その対応においては、次のようないくつかの具体的な取組を想定し、複数の取組を段階的に実施することも念頭に、地域住民の十分な理解と協力を得ながら協議していきます。

1　学校統合

児童生徒数が減少している学校を隣接する学校と統合し、学校規模を維持するための取組です。

2　通学区域の見直し

通学区域の一部について、隣接する学校の通学区域に編入させる取組です。

3　学校選択制の導入

市町村教育委員会が、就学校の指定を行う際に、事前に保護者の意見を聞き、入学する学校を選べるようにする制度です。

就学する側が学校を選択する制度ですが、小中学校の規模に関する課題解決を目的に導入されることがあります。

4　関連する取組としての小中一貫教育

小中学校段階の教職員が目指す子ども像を共有し、9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な教育を目指す教育です。

小中一貫教育は、小中学校段階を一体的に捉えて、一定の児童生徒数を確保できる取組でもあることから、小規模校の課題解決に関連する取組として捉えることができます。

(5)学校教育施設の適正管理

本市では、人口動態や財政状況等を踏まえた長期的な視点をもって、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化を総合的かつ計画的に行うための全体計画である豊川市公共施設等総合管理計画(2016(平成28)年8月策定)(以下「総合管理計画」という。)を定めています。

この総合管理計画においては、学校教育施設に関する方針についても明らかにしており、「校舎を更新する際には、適正な規模とし、全体として保有面積の縮減を図る」ことや、小学校について「複式学級の発生が予想される時点で学校の統合・転用を検討する」といった方向性などを示しています。

市立小中学校の規模に関する課題解決にあたっては、教育活動に配慮する観点に加え、児童生徒が過ごす学校教育施設の安全性や機能を、将来にわたって持続的に確保していく適正管理の観点も重要と捉え、具体的な対応を進めていきます。

5　課題解決に向けた対応方針

市立小中学校の規模に関する課題解決に向けた対応などを円滑に進めていくため、教育委員会としての対応方針や手順を明らかにします。

(1)学校規模の見通しの把握

毎年度、小学校区別に未就学年齢の人口(前年度末現在)を把握し、年度当初の実績と連動させた児童生徒数の推計を行うことで、次年度以降6年間における学校規模の見通しを把握します。

その結果に基づき、市長部局と連携・協議しながら、小規模校や準小規模校に関する対応を進めていきます。

(2)小学校に関する対応

小学校については、複式編制を回避するという方向性の中で対応していきます。

1　複式編制が見込まれる小規模の小学校

毎年度把握する学校規模の見通しの中で、引き続く2学年の児童数の合計が14人以下となり、それ以降も14人以下で推移し続けることが見込まれる小学校については、将来的に複式編制が必要となり、過小規模校へ移行する可能性が高いため、当該小学校の教職員や保護者、地域住民(以下「関係者」という。)に対する説明会を開催するなどし、児童数の将来見通しや小規模化に関する課題などを説明します。

その上で、関係者と行政がともに議論する場を設けることを提案し、合意が得られた場合には、当該校区の住民や保護者などで構成する学校運営協議会又は同協議会が別に設置する検討組織と協議しながら、学校統合のみならず学校選択制などを含む取組について検討を行います。

その検討過程においては、必要に応じて意見聴取やアンケートを実施するなどし、当該小学校の教職員や児童、保護者、地域住民の意向の把握も行います。

また、当該小学校における検討状況や選択しようとする取組の内容によっては、同一中学校区内の小学校又は中学校の関係者に伝達すべき情報を提供し、協議するなどの対応を行います。

2　6学級で推移する小規模の小学校

毎年度把握する学校規模の見通しの中で、クラス替えができない6学級で推移する小規模の小学校については、学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援していきます。

また、当該校の1学級当たりの児童数にも着目した学校規模の推移と更なる小規模化の動向を把握し、複式編制の可能性について注視していきます。

3　7から11学級で推移する準小規模の小学校

毎年度把握する学校規模の見通しの中で、全学年ではクラス替えができない規模の7から11学級で推移する準小規模の小学校については、学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援していきます。

また、当該校の児童数の推移と更なる小規模化の動向を把握していきます。

(3)中学校に関する対応

中学校については、現時点における見通しの中では、複式学級を編制する過小規模校への移行が見込まれる中学校はありませんが、専任の教科担任(正規教職員)の配置における課題など、生徒の学習活動に与える影響も想定されます。中学校の通学区域は小学校に比べて広域であり、学校統合を行うことが困難であるため、小学校の場合とは異なる視点により対応していきます。

1　3学級となることが見込まれる小規模の中学校

毎年度把握する学校規模の見通しの中で、クラス替えができない規模の3学級となることが見込まれる中学校については、学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援していきます。

また、当該校の1学級当たりの生徒数にも着目した学校規模の推移と更なる小規模化の動向を把握し、生徒の学習活動に与える影響について注視していきます。

2　4から11学級で推移する準小規模の中学校

毎年度把握する学校規模の見通しの中で、全学年ではクラス替えができない4から5学級の規模と、全学年でクラス替えはできるが一部の教科において専任の教科担任(正規教員)を配置できない、又は配置できない可能性がある6から11学級の規模である準小規模の中学校については、学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援していきます。

また、当該校の生徒数の推移と更なる小規模化の動向を把握していきます。

(4)地域から申し出があった場合の対応

地域における学校規模に関わらず、町内会や学校運営協議会など、地域住民等で構成する組織から教育委員会に対し、学校統合などの取組に向けた検討を希望する申し出があった場合には、(2)1の「複式編制が見込まれる小規模の小学校」に関する方針に準じた対応を行います。

(5)具体的な取組の実施に係る計画の策定

関係者の合意や地域からの申し出に基づく協議を経て、課題解決に向けて選択した取組を進める場合には、その取組の実施に係る計画を策定した上で着手します。

(6)各種手続き等

上記(5)の計画に基づく具体的な取組の実施又は準備着手に向けて対応を進める場合には、次に示す各種手続き等を経ながら進めていきます。

市総合教育会議における協議

市立小・中学校通学区域審議会における審議

市教育委員会における関係規則の議決等

市議会における関係条例の議決等

その他必要な各種協議(関係者との協議など)

(7)課題解決に向けた対応の手順

上記(1)から(6)の方針を踏まえた課題解決に向けた対応については、以下の手順に沿った流れと時期の目安に基づき進めていきます。

課題解決に向けた対応の手順

教育委員会・豊川市立小中学校の規模に関する基本方針

1年度目

毎年度、小学校区別に未就学年齢の人口(前年度末現在)を把握。

児童生徒数の推計により、次年度以降6年間における学校規模の見通しを把握。

市長部局と連携・協議しながら、小規模校や準小規模校に関して対応。

小規模校

複式編制が見込まれる小学校

1年度目

児童数の将来見通しや小規模化に関する課題などを関係者へ説明。

関係者と行政がともに議論する場を設けることを提案。　　

(関係者の合意)

2から3年度目

学校運営協議会又は別に設置する検討組織と協議しながら、学校統合、学校選択制などの取組について検討。

必要に応じて意見聴取やアンケートを実施。

検討状況や選択しようとする取組の内容によっては、同一中学校区内の小学校又は中学校の関係者に伝達すべき情報を提供し、協議するなどの対応を実施。

4年度目

具体的な取組の実施に係る計画を策定

5から6年度目

各種手続き等

市総合教育会議における協議

市立小・中学校通学区域審議会における審議

市教育委員会における関係規則の議決等

市議会における関係条例の議決等

その他必要な各種協議(関係者との協議など)

7年度目以降

具体的な取組の実施又は準備着手

準備に要する期間は、具体的な取組の内容や状況により異なるものと想定しています。

6学級で推移する小学校

学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援。

1学級当たりの児童数にも着目した学校規模の推移と更なる小規模化の動向を把握し、複式編制の可能性について注視。

3学級が見込まれる中学校

学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援。

1学級当たりの生徒数にも着目した学校規模の推移と更なる小規模化の動向を把握し、生徒の学習活動に与える影響について注視。

準小規模校

7から11学級で推移する小学校

学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援。

児童数の推移と更なる小規模化の動向を把握。

4から11学級で推移する中学校

学校規模によるメリットの最大化とデメリットの緩和に寄与する学校教育活動を支援。

生徒数の推移と更なる小規模化の動向を把握。

地域住民等で構成する組織から、学校統合などの取組に向けた検討を希望する申し出があった場合には、「複式編成が見込まれる小学校」に係る方針に準じて対応。

6　留意すべき事項

小中学校の小規模化に関する課題解決にあたっては、次のような事項に留意しながら対応を進めていきます。

(1)教育上、学校運営上の最適化

少人数学級の長所も念頭に置き、学習活動や教育活動、児童生徒の精神面への影響なども考慮しながら、教育上最適な環境を維持・向上させていくことを目標とします。

教職員の配置や教育予算の有効活用といった学校運営上の最適化についても、重要な観点として位置づけます。

魅力ある学校づくりのため、学校統合のみならず、学校選択制や小中一貫教育なども含め、複数の選択肢を想定しながら対応していきます。

(2)通学距離・時間への配慮

学校の小規模化に関する課題解決の取組が、通学区域の変更などを伴う場合には、通学距離について、小学校では概ね4ｋｍ以内、中学校では概ね6ｋｍ以内となるよう配慮します。

通学時間については、概ね1時間以内で通学できるよう配慮し、特に小学校について、通学距離が概ね4ｋｍを超える地域が発生する場合には、スクールバスの運行も含めて検討するなど、児童にとっての安全確保や負担軽減に配慮します。

(3)保護者や地域住民との連携

保護者や地域住民に対しては、小中学校の小規模化に関する課題や将来見通しなどを積極的に情報提供します。

小中学校は、地域における重要かつ象徴的な存在であるため、地域住民と連携しながら、丁寧に対応していきます。

複式編制が見込まれる小学校について、学校統合などの取組の実施に向けて協議を行う場合には、地域の関係者が主体的に検討作業や発言を行うことのできるワークショップ等の手法を活用するなどし、問題意識を共有しながらきめ細かに対応していくことで、円滑な合意形成を図ります。

(4)将来見通しを踏まえた学校教育施設の改修

老朽化が進む学校教育施設については、小中学校の児童生徒数や学級数の将来見通しなどを踏まえ、適正な施設規模を捉えた長寿命化等の改修を計画的に進めていきます。

学校教育施設の改修を要する小中学校について、小規模校が隣接する場合には、当該小規模校の課題解決に向けた対応状況や将来的な規模の見通しと整合させるとともに、児童クラブや児童館などを念頭に置いた複合化も選択肢の一つとして捉えながら、改修計画を検討します。

(5)行政内の連携

小中学校は、児童生徒の教育の場であることに加え、地域におけるコミュニティや防災の拠点であること、また、児童生徒の通学時における交通安全対策が重要であることなどを踏まえ、行政内で各種分野の施策を担当する部局とも連携し、課題解決に取り組んでいきます。

(6)個別の学校の状況把握

個別の小中学校の規模に関する課題解決に向けた対応においては、同じ中学校区の隣接校や市全体の状況を把握しながら進めていきます。

以上