豊川市こう契約条例(案)に対する基本的な考え方について

 

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1 こう契約条例とは

こう契約条例とは、地方自治体が発注する公共事業において、厳しい価格競争を原因とした低価格入札等が引き起こす労働者へのしわ寄せを防止し、労働者の適正な賃金水準やその他の労働環境を確保することを主な目的とする条例です。

現在、千葉県野田市(平成222月施行)を始めとして、全国で43団体(平成304月現在)がこう契約条例を制定しています。

なお、制定自治体によっては、労働者の労働環境の確保のほか、地元業者への優先発注や地元産資材等の積極的活用など、自治体の調達方針を示した条例や、条例という形態をとらず、要綱や指針により定める自治体もあります。

2 豊川市の経緯と考え方

本市では、平成292月に「豊川市のこう契約に関する基本方針」を策定し、この基本方針に基づき、平成294月から、こう契約(市が締結する工事請負、業務委託、売買などの契約をいいます。)に従事する労働者の労働環境の確認を、総合評価落札方式や予定価格1億円以上の工事請負契約について始めました。また、本年4月からは、予定価格が1千万円以上の清掃、草刈、樹木管理業務などの業務委託契約の一部についてもおこなっています。

豊川市こう契約条例(案)は、策定した基本方針を基に、市及び事業者の責務を明らかにします。また、こう契約に従事する労働者の適正な労働環境及び、入札制度の適正な活用やダンピング受注の排除などによる事業者の健全で安定した経営環境を確保するとともに、こう契約に係る事務事業及び市民サービスの質を向上させて、地域経済の健全な発展と市民の福祉の増進を図るものです。

3 豊川市の条例(案)のポイント

1) 条例であること

こう契約に携わる事業者は、本市と直接的に契約を締結する事業者のみならず、下請業者など広範囲に及び、本市のこう契約に携わる全ての労働者の労働環境の確保のためには、これらの事業者等にも広く条例によって効果を波及させる必要があります。

2) 労働報酬下限額を設定すること

労働報酬下限額の設定は、法定最低賃金以上の支払を事業者に課す自治体独自のもので、労働者の賃金確保のための有効な手法と考えられます。その設定にあたっては、それぞれの労働者の仕事の内容や、職種に見合った適正な賃金水準の設定が重要となると同時に、事業者の事務負担への影響を考慮した、適切な金額設定及び確認方法が必要となります。

条例(案)では、外部委員による審議会で調査審議して、労働報酬下限額を定めます。また、実効性のある労働環境の確認を行うために、対象案件を精査する中で、労働環境確認書を用いて、事業者と市の事務負担を軽減する予定です。

4 条例(案)の概要

市は、こう契約条例に係る施策の実施にあたり、次に掲げる事項を骨子とする条例(案)を作成しました。

1) 目的

2) 定義

3) 基本方針

4) 市及び事業者の責務

5) 労働報酬下限額

6) 労働環境の確認

7) 労働者への周知

8) 労働者の申出及び不利益な取扱いの禁止

9) 立入調査等及び是正措置

10) 不適切な労働環境等に対する措置

11) こう契約審議会の設置

12) 指定管理者との協定

 

 

豊川市こう契約条例(案)の概要

1 目的

こう契約(市が締結する工事請負、業務委託、売買などの契約をいいます。)に関して、基本方針を定め、市と事業者の責務を明らかにすることにより、こう契約の適正化を図ります。これにより、こう契約に従事する労働者の適正な労働環境及び事業者の健全で安定した経営環境を確保するとともに、こう契約に関する事務と市民サービスの質の向上を図り、地域経済の健全な発展と市民の福祉の増進に寄与することを目的とします。

2 たいしょうとなる範囲

この条例の適用の対象となる範囲は、次のとおりです。

1) 市

2) 事業者(こう契約の受注者、した請負者など)

3) 事業者に雇用される労働者

3 基本方針

こう契約に関する基本方針を次のとおり定めます。

1) こう契約の過程と内容の透明性を確保すること。

2) 不正行為の排除を徹底し、公平で公正な競争を促進すること。

3) こう契約による事業などの品質と事務の適正な履行を確保すること。

4) 労働者の適正な労働条件と労働環境を確保すること。

5) 地域経済の健全な発展の推進を図ること。

4 市の責務

市の責務として、基本方針に沿って、こう契約に関する施策を総合的に実施することとします。

5 事業者の責務

事業者の責務として、次のとおり定めます。

1) こう契約に携わる者としての社会的責任を自覚し、法令を遵守するとともに、こう契約を誠実かつ適正に履行すること。

2) こう契約に関する業務などの品質を確保するとともに、労働者の適正な労働条件と労働環境を確保するよう努めること。

3) 市が実施するこう契約に関する施策に協力すること。

6 労働報酬下限額

市は、労働者の適正な労働条件を確保するため、事業者が支払う賃金の下限額を定め、公表します。

7 労働条件と労働環境の確保のための措置

市は、一定の規模以上のこう契約について、労働者の労働条件と労働環境を確保するため、次の措置を行います。

1) 受注者に対し、適正な労働条件と労働環境が確保されているかどうかを確認します。

2) 労働者へ労働報酬下限額などを周知するように事業者に義務付けます。

3) 労働者は、適切に賃金が支払われてない場合や労働報酬下限額を下回る場合は、市や事業者へ申出をすることができます。

4) 市は、労働者からの申出があった場合には、事業所等に立入調査や報告を求めることができます。

5) 立入調査などの結果、不適切な労働環境などにある事業者に対して、是正措置を求めるとともに、悪質な事業者に対しては、内容の公表、指名停止などの措置をします。

8 豊川市こう契約審議会の設置

市長の諮問機関として、「豊川市こう契約審議会」を設置します。こう契約の実施状況、労働報酬下限額などのこう契約に関する重要事項について調査・審議して、市長に対して意見を提出します。委員は、6人以内で、事業者の代表者、労働者の代表者、学識経験者などで組織します。

9 その他

対象契約や取組事項などの詳細については、規則などで別に規定します。