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豊川市 きらっと☆とよかわっ!
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パブリックコメント「豊川市緑の基本計画(案)」テキスト版資料

更新日:2013年1月4日

※このページは、視覚障害のある方などで、音声読み上げソフトを使ってホームページを閲覧されている方のために作成したページです。そのためレイアウトの崩れた部分などがありますが、ご了承ください。

序章 計画の策定にあたって

序-1 緑の基本計画とは
 緑の基本計画とは、都市緑地法第4条に基づき策定する「市町村の緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画」です。
 緑の現状やニーズを踏まえ、「緑地の保全及び緑化の目標」や「緑地の保全及び緑化の推進のための施策に関する事項」を示すとともに、都市公園の整備、緑地の保全や緑化の推進方策について、総合的に進めていくものです。
 平成18年、20年、22年に合併した旧宝飯郡4町を含む豊川市(以下「本市」といいます。)の緑の基本計画は平成7年度に策定され、策定当時とは社会的諸条件などが変化し、現実との相違が生じてきています。また、目標年次を平成22年としており、計画の更新・改訂の時期を迎えています。
 さらに、平成17年に景観緑三法として、都市緑地法(旧都市緑地保全法)、都市公園法などの大幅な見直しが行われ、以下のような具体の課題に対する制度の創設・拡充が図られ、適切な対応が求められています。
(1)緑の基本計画の充実による、都市公園の整備及び緑地の保全・緑化の総合的な推進
(2)都心部などにおいて、民有地を含めた都市緑化を強力に推進するための緑化地域制度などの創設
(3)里山など、都市近郊に残された比較的広範囲な緑地や地区レベルでの緑地について、緑地保全地域制度の創設など保全策の充実
(4)借地や土地の重層的利用による、効率的な都市公園の整備の推進
(5)多様な主体による都市公園の整備・管理のための仕組みの整備など

序-2 豊川市緑の基本計画の位置づけ
(1)計画の目標年次
豊川市緑の基本計画(以下、「本計画」といいます。)の目標年次は、豊川市都市計画マスタープランとの整合を図り、平成32年度(2020年度)とします。
(2)計画の対象区域
 本計画の対象区域は、全市域とします。
(3)計画の位置づけ
 本計画は、国の政策を踏まえ「第5次豊川市総合計画」に即し、「豊川市都市計画マスタープラン」などと適合するとともに、「愛知県広域緑地計画」との連携を図りながら策定します。
(4)対象とする緑地
 本計画において対象とする緑地は、施設緑地と地域制緑地の2つに大別されます。施設緑地とは、都市公園と公共施設緑地(学校・公共施設の植栽地など)や民間施設緑地(寺社系台地など)といった都市公園以外のものであり、地域制緑地は、河川区域など法、協定、条例等によるものを指します。

序-3 本計画の策定にあたって踏まえるべき事項
(1)「緑」の一般的な機能
「緑」には、私たちの生活において、様々な効果があります。
(1)人と自然が共生する都市環境を確保することができる。
・樹木などの植物は、二酸化炭素の吸収、大気の浄化、ヒートアイランド現象などにより悪化する都市気象や騒音、振動の緩和などの機能を有し、また、都市内の樹林地や河川などの水辺地は、野生生物の生育地・生息地として生態系を構成し、郊外から清涼な風を都市に送りこむ風の道を形成するなど、緑の機能の適切な配置により、人と自然が共生する都市環境を形成することができます。
(2)災害防止、避難地、救援活動拠点などの機能により、都市の安全性を確保できる。
・大地震や大災害の発生時において、人々の避難地や避難路、火災の延焼防止帯、消防活動やボランティアなどの救援活動拠点、復旧活動拠点、仮設住宅地、広域防災拠点などとして多様な機能をもつことから、緑を適切に確保することにより都市の安全性・防災性を高めることができます。
(3)多様性や四季の変化が心を育み、潤いのある美しい景観を形成する。
・緑は地域の気候、風土に応じて特徴ある多様性を有しており、四季の変化を実感できる快適な生活環境や美しい景観を創出することにより、次代を担う子供達の感受性を育み、国民生活にゆとりと潤いをもたらすことができます。
・緑は我が国の固有の文化や歴史などと深く関わっており、緑を適切にいかすことにより個性と魅力ある地域づくりを進めることができます。
(4)緑の持つ多様な機能の活用により、変化に対応した余暇時間を確保できる。
・自由時間の増大、価値観の多様化、交通体系の発展などに伴い、国民の余暇活動は多様化、高度化、広域化しています。また、都市化の進展、少子・高齢化に伴い、自然とのふれあい志向、健康への関心、コミュニティ意識が高まるなど余暇需要は変化しつつあります。
・緑の持つ多様な機能を活用することにより、経済社会や国民の余暇需要の変化に対応した緑豊かで質の高い余暇空間を確保することができます。

(2)「緑」を取り巻く社会的ニーズ
 都市における緑は、我が国の高度経済成長期以降、市街地の外延的拡大などにより大きく後退してきましたが、人口減少・超高齢社会を迎えている現在、安定的で持続的な発展が求められる中、緑とオープンスペースの確保が、様々な面から重要視されています。
(1)持続可能な循環型社会の構築への対応
 都市における土地利用は、住宅地・商業地・工業地など都市的土地利用が主体であり、特に中心(既成)市街地においては建築密度も高く、緑とオープンスペースの確保が困難となっています。このことに対して、緑は様々な環境負荷を軽減し環境を改善する機能を有し、持続可能な循環型社会を構築する上で大きな役割を担っています。
 都市の人口が減少に転じることが明らかとなっている現在、コンパクトな都市づくりが志向されるなかで、多くの都市では中心(既成)市街地に人口を呼び戻し、市街地の活性化を図るための緑の確保が求められています。
(2)多様化、広域化する余暇活動への対応
 自由時間の増大、価値観の多様化、交通体系の発展などに伴い、市民の余暇活動は多様化、広域化しています。また、都市化の進展、少子・高齢化に伴い、自然とのふれあい志向、健康への関心、コミュニティ意識の高まりなど、余暇需要が変化しています。
 将来を担う子どもたち、青壮年層や今後益々増加する高年層にとっての健康づくりやスポーツ・レクリエーション、教養・文化活動などの様々な余暇活動の場として、また、身近な自然とのふれあいの場としての緑の確保が求められています。
(3)地球規模での環境保全への対応
 地球規模での二酸化炭素排出量の増大、温暖化が進行しており、国内でもヒートアイランド現象など都市環境への影響が生じ、局所的な集中豪雨による水害など自然災害が頻発しています。
 二酸化炭素の吸収源としての効果に加え、緑の回復などの活動を通じた地球温暖化対策の普及・啓発、地表面を被覆する緑の蒸散作用などによる地表面の高温化の防止・改善(ヒートアイランド現象の緩和)などに資する緑の確保が求められています。

(4)生物多様性の保全・再生への対応
 自然の緑地は、野生生物の生息・生育環境、生態系の基盤を形成し、生物多様性を確保するうえで重要な役割を果たしており、地域の自然環境を保全・再生する機能を有するとともに、将来世代の財産となる生物資源などを保全し、野生生物を育む機能を有しています。
 野生生物の生息・生育環境の確保を目指し、里地里山や河川環境の保全、自然の生態系と調和した公園緑地の整備などとともに、環境教育・環境学習の場として活用できる緑の確保が求められています。
(5)安全・安心な都市形成への対応
 高度経済成長期などに形成された市街地では密集的市街地もあり、大震火災時の防災性に問題があるうえ、東海地域などにおいては大規模地震の発生が想定されており、災害に脆弱な都市構造の改善が求められています。
 都市内の公園などの緑は、オープンスペースとして、大震火災時の延焼を防ぎ、避難地・避難路となり、また、救助、復旧活動の拠点となるなど、都市の防災性や安全性を高めることから、防災機能を併せ持つ都市公園などの緑の確保が求められています。
(6)香り高い地域形成への対応
 少子・高齢化が進展するなか、持続的に発展する地域社会の構築とともに、地域固有の風土・歴史・文化などが尊重され、それらを活かした個性豊かな地域づくりが求められています。
 都市や地域固有の美しい景観の基盤となる、人間の生活、気候や歴史・風土などが一体となって形成される緑、豊かな感受性や美的情緒を育み、地域固有の文化の形成と保持に寄与する、四季の変化に富んだ多様な緑の確保が求められています。さらに、地域の活性化、観光、地域間の交流・連携のための資源としての役割を併せ持つため、地域の文化などと一体となった緑の確保が求められています。

(7)多様な主体による緑のまちづくりへの参画の促進
 近年、自然環境の保全や花と緑にあふれる都市環境の創出などの分野で、地域住民やNPOの活動、民間企業の社会貢献活動など、多様な主体の参画による取り組みが展開されており、こうした多様な主体の参画と連携による協働の取り組みには、地域への誇りと愛着のある緑豊かなまちづくりを進めるための重要な役割が期待されています。
 こうした活動を拡大・充実するため、緑とオープンスペースの保全、創出、管理のそれぞれの段階で、協働の取り組みを進めるための場や仕組みづくりの拡充が必要であり、参画機会拡大のための自治体などによる支援及び情報の提供が求められています。
(3)上位・関連計画におけるまちづくりの方向性
 本計画に関わる上位・関連計画において、まちづくりの方向性が下記のとおり示されています。

第5次豊川市総合計画
【豊川市の将来像】光と緑に映え、ゆたかで、住みよい、夢のあるまち
・「光」:平和で希望あふれる未来に向けての限りない発展を表す
・「緑」:あたたかい心に満ちた美しいふるさとを表す
・「ゆたか」:市民生活のなかで多様な選択が可能な、いきいきとしたまちを表す
・「住」:生活のすべての面で、より良く暮らすことのできるまちを表す
・「夢」:市民の夢を集め描く、創造性豊かなまちを表す

都市計画マスタープラン
【都市の将来像】歴史・文化が息づく自然豊かで快適な持続発展都市とよかわ
・自然・歴史と共生するコンパクトで相互に連携したにぎわい生活圏の構築
・集積と連携による、にぎわい・活力・利便性の創出
・地域の特性に合わせた環境と調和する土地利用の推進
・快適で安心できる生活基盤の整備

豊川市環境基本計画
【豊川市の環境像】
・地球にやさしいまちをつくる・自然にやさしいまちをつくる
・資源にやさしいまちをつくる・人にやさしいまちをつくる
・みんなで取り組むやさしいまちをつくる

愛知県広域緑地計画
【基本方針】
〔環境〕都市と自然が調和した環境先進県あいちを支える水と緑のネットワーク形成
〔安全〕東海・東南海地震等の自然災害による被害を軽減する緑の確保
〔活力〕愛・地球博記念公園などの緑の交流の場づくりやあいちの歴史・景観資源を活
かした緑の確保
〔生活〕少子高齢社会に対応し健康長寿あいちを目指す公園づくり

第3次愛知県環境基本計画
【施策展開の方向】
・温室効果ガスの排出を抑制し、濃度を安定化させる愛知づくり
・資源の循環による環境負荷の少ない愛知づくり
・自然との共生を次の世代に継承する愛知づくり
・公害のない安全で安心できる愛知づくり
・地球と地域を視野に入れた参加・協働の進む愛知づくり

第1章 豊川市の緑の現況

1-1 自然的条件
(1)位置・地勢
 本市は、愛知県南東部に位置し、市域面積は160.63平方キロメートル(平成22年4月1日現在)です。周囲は、蒲郡市、岡崎市、新城市、豊橋市と隣接し、市域南部の一部が三河湾に面しています。市域北部には木曽山系の本宮山(標高789.2m)をはじめとする山々が連なり、中央部から南部にかけて平野が広がり、一級河川豊川や二級河川佐奈川、音羽川などの自然豊かな河川が平野を貫いています。
 北部に連なる山地のうち、中央より西側は比較的起伏が緩やかで、都市公園やゴルフ場などのレクリエーションの場としての活用もなされています。平野部は、市街地が広がる台地と、豊川により形成された扇状地に大別され、その境界部には河岸段丘が連なっています。
(2)気象
 本市の天候は、平成16年から20年の5年間の平均では、快晴及び晴の日数が年間約219日で約60%、曇りが約109日で約30%、雨及び雪が約38日で約10%と、天候に恵まれています。年間降水量と年平均気温は、平成16~20年の平均では約1,550mm、約16.6度であり、月別平均気温の最高は8月の約28.0度、最低は1月の約5.5度となっています。
 昭和52年(1977年)から平成20年(2008年)の約30年間で各年の平均気温の変化を見ると、約1.5℃上昇しており、地球温暖化の影響が顕在化しています。
図では、地球観測衛星ランドサットの熱バンドデータをもとに、1985年(昭和60年)と2001年(平成13年)の地表面温度を示しています。
 愛知県全般に見られる状況と同様に、豊川市域においても市街地を中心として高温域が拡大している様子が見られます。

(3)農業環境
 市街地周辺に広がる農地の緑は、都市環境に潤いと安らぎを与える重要な要素です。
 本市は、奥三河を源とする清流豊川によって堆積された肥沃な耕地と、1年を通して温暖かつ適量の降雨に恵まれた気候という自然地理的好条件の環境にあり、田原市、豊橋市に次ぐ県内第3位の農業産出額を誇っています。主な品目として、大葉、菊、バラなどの施設園芸が挙げられるほか、水稲、畜産など多様な農業が営まれています。
 しかしながら、経営耕地面積は年々減少しており、昭和55年の3,472ヘクタールに比べ、平成17年では2,064ヘクタールと約6割の規模になっています。農業の課題として、後継者の不足や耕作放棄地の増加などが挙げられますが、特に耕作放棄地対策として、国、県、市において施策を講じており、耕作放棄地に景観作物を栽培するなどの取り組みを行っている地域もあります。
(4)森林環境
 本市の北部から西部にかけては山地が連なり、森林が多く分布しています。森林は水源の涵養機能を有するほか、土砂流出の抑制など防災機能を有し、また、多くの動植物が生息・生育していることから生物多様性の観点からも重要な資源といえます。
 しかしながら、本市の森林面積は住宅地の開発などにより減少傾向にあります。平成15年から平成21年の6年間においては43ヘクタールが減少しています。
(5)貴重な動植物
 貴重な動植物の生息・生育環境として、天然記念物に指定されている“宮路山コアブラツツジ自生地”や“冨士神社のコバノミツバツツジ自生地”“財賀寺のヒメハルゼミと生息地”などが代表的に挙げられます。
 このほかに、愛知県が調査した「レッドデータブックあいち2009」によると、本市及び周辺地域において、絶滅危惧1A類が植物28種、動物4種、絶滅危惧1B類が植物51種、動物12種など、数多くの貴重な動植物が分布しています。
 多様な動植物とその生息・生育地である貴重な自然環境を保全するため、本市では環境基本計画に基づき、動植物の総合的な調査を行って現状を把握するとともに、希少動植物について保護に努めることとしています。

1-2 社会的条件
 国勢調査による本市の人口は、平成17年で181,444人となっており、年々増加しています。調査時点ごとの増加率を見ると、平成7年までは伸びが鈍化する傾向にありましたが、それ以後は増加率の上昇が見られます。
 一方、全国的に人口減少社会の到来を迎える中で、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、本市の人口は平成27年の183,912人をピークに、その後減少していくことが想定されており、おおむね20年後の平成42年には177,304人になるものと推計されています。
(2)土地利用規制
 各種の法律に基づく規制により保全が図られている緑は、次のとおりです。
(1)農業振興地域農用地区域
 市街化区域内を除き、農地の大半が農業振興地域の整備に関する法律に基づく農用地区域に指定され、他用途への転用を制限するなどの保全が図られています。
(2)地域森林計画対象民有林・保安林など
 森林は、森林法に基づき、本宮山山頂付近及び陸上自衛隊演習場(日吉原、千両)が国有林となっているほかは、大半が地域森林計画対象民有林に指定され、さらに、水源の涵養や土砂流出の防備など、特に保全が重要な森林については保安林として、木竹の伐採なども厳しく制限されています。
(3)自然公園
 自然公園法に基づく自然公園として、御津山の一帯が三河湾国定公園に、本宮山の一帯が本宮山県立自然公園に、それぞれ指定されています。
(4)河川区域
 河川法の適用を受ける一・二級河川及び準用河川は下表のとおりで、一級河川豊川をはじめ、二級河川佐奈川、音羽川、御津川など多くの河川が市域を流れています。
(3)観光レクリエーション
 本市には、毎年300~400万人が訪れる豊川稲荷をはじめ、数多くの観光レクリエーション資源があります。特に訪れる人の多い資源として、神社仏閣では豊川稲荷のほか砥鹿神社や三明寺などが、都市公園では赤塚山公園、東三河ふるさと公園などが挙げられます。

(4)水道
 本市の水道は、自己水源と県水からの浄水受水により給水を行っており、自己水源と県水の取水割合はほぼ半々となっています。
 取水施設は、自己水源として表流水1ヶ所、伏流水1ヶ所、深井戸18ヶ所(予備2ヶ所含む)、浅井戸1ヶ所があり、取水能力は29,980立方メートル/日を有していますが、このうち表流水は100立方メートル/日とごく僅かで、大半を地下水に依存している状況です。
 こうしたことからも、北部の山地をはじめ水源涵養機能を有する森林が、市民の快適な暮らしに重要な役割を果たしていることが分かります。
(5)主な景観資源
 本市の景観資源のうち、「美しい愛知づくり景観資源(愛知県)」において、次の10点が選定されています。
・音羽川に架かる旧御油橋と満開の桜
・県立公園(東三河ふるさと公園)
・国分尼寺
・御油のマツ並木
・笹踊り・七福神踊り
・佐奈川桜並木
・獅子舞神楽
・豊川稲荷門前町
・宮路山のコアブラツツジ自生地
・伊奈城趾公園

1-3 緑地の現況
(1)都市公園の概況
 都市公園は、都市公園法に規定される公園で、地域住民の身近なレクリエーションや憩いの場などとなる住区基幹公園や、比較的規模の大きな都市基幹公園などがあります。本市の代表的な都市公園としては、赤塚山公園、豊川公園、東三河ふるさと公園などが挙げられます。
 “赤塚山公園(ぎょぎょランド)”は本市唯一の総合公園で、淡水魚博物館や水遊びのできる流水広場などもあり四季を通じて楽しめ、市民の人気も高く、年間30万人程度の来園者数を誇ります。また、“豊川公園”は市の中心部に位置する運動公園で、桜トンネルをはじめ桜の名所として広く知られており、4月の「さくらまつり」、5月の「おいでん祭」、8月の「手筒まつり」など年間を通じて多様なイベントの会場としても親しまれています。“東三河ふるさと公園”は県が設置する広域公園で、計画面積174.8haのうち現在124.35haが供用されており、広大な丘陵地の自然の中に展望ツツジ園や憩いの広場、ピクニック園地などが配置されています。
 住区基幹公園については、地域に最も身近な街区公園は市内に74ヶ所配置されていますが、その多くは土地区画整理事業などの面的基盤整備に伴い設置されたものです。
(2)都市公園の整備状況
 平成22年4月1日現在での都市公園の整備状況は以下のとおりであり、供用面積は214.54ヘクタール、市民一人当たりの整備水準は11.75平方メートル/人となっています。
(3)公共施設緑地の整備状況
(1)児童遊園、ちびっこ広場、緑地・広場
 児童遊園やちびっこ広場、緑地・広場が市内各所に設置されており、これらは街区公園の機能を補完する施設として、身近なレクリエーションの場となっています。
(2)史跡公園の整備状況
 本市には、文化財を活用した「史跡公園」として、三河国分尼寺跡史跡公園、伊奈城趾公園、花ヶ池公園の3ヶ所が所在しています。
(3)その他広場などの整備状況
 (1)、(2)以外の公共施設緑地として、体育施設・運動広場、市民小菜園、市営墓園、公立教育施設、公共公益施設が設置されています。

(4)民間施設緑地の状況
 民間施設緑地として、豊川稲荷や砥鹿神社をはじめとする社寺境内地などが挙げられます。これらでは、古来の祭りが催され、その土地固有の景観を形づくるなど、地域に親しまれる緑地であるとともに、市街地にあっては貴重なまとまりある緑地となっています。
(5)地域制緑地の状況
 地域制緑地は法や条例により担保される緑地であり、本市においては、農振法に基づく農用地区域や、森林法に基づく地域森林計画対象民有林、保安林、河川法に基づく河川区域、及び自然公園法に基づく自然公園として三河湾国定公園や本宮山県立自然公園などが挙げられます。これらは、本市の骨格となる緑地であり、地域の環境や景観を形成しています。
(6)緑地現況量の計量
 以上に挙げた緑地について、現況量を整理すると下表のとおりとなります。都市計画区域全域では、施設緑地と地域制緑地を合わせ、担保された緑地が約9,454ヘクタール存在し、都市計画区域(16,063ヘクタール)に対して約59%を占めています。これらの緑地の大半は地域制緑地の地域森林計画対象民有林や農振農用地区域となっています。市街化区域における緑地は施設緑地が多くを占めており、都市計画区域全域の緑地に占める市街化区域内の緑地(約295ヘクタール)の割合は約3%に留まっています。
(7)道路緑化の状況
 街路樹などにより緑化された道路は下の図のとおりであり、市の中心部では緑化区間が多くなっています。特に、佐奈川沿いをはじめとして桜並木が多く、本市の特徴的な市街地景観を演出しています。
(8)緑化及び環境活動に関連する市民活動(アダプトプログラム)
 アダプトプログラムとは、市民と市が協力し合い、まちの環境の美化などを推進していくため、市が管理する道路、公園、河川などの公共施設を市民が美化ボランティアとなって管理する制度です。本市においては平成20年1月15日から導入を始め、平成22年4月1日現在、61の個人や団体が登録し、延べ1,200人以上の市民が活動を行っています。

1-4 市民の意向
(1)豊川市緑の基本計画市民意向調査の概要
 本計画の策定にあたって、市民の意向を反映するため、「豊川市緑の基本計画市民意向調査」を実施しました。調査の概要は次の通りです。
・調査対象者:豊川市民、合併を予定している小坂井町民(調査時点)
・調査期間:平成21年11月26日【発送】~平成21年12月11日【投函期限】
・抽出方法:多段抽出法(年齢、学区)により、20歳以上の豊川市民1,500人、小坂井町民200人の計1,700人を抽出。
・調査方法:郵送配布・郵送回収
・回収状況:配布票数1,700、宛先不明5、回収票数786、回収率46.4%

・設問の内容
1 あなたの性別は。
2 あなたの年齢は。
3 あなたの主たる職業は。
4 小学生以下のお子さんがいますか。
5 あなたが住んでいる「小学校区」は。
6 豊川市または小坂井町に住んで何年になりますか。
7 緑の役割として、大切なものは何だと思いますか。
8 豊川市と小坂井町を合わせた区域の「緑」について、特徴的な場所や施設はどこ(何だ)と思いますか。
9 豊川市内または小坂井町内の「緑」の様子について、どのように感じていますか。
10 豊川市内または小坂井町内の「緑の量」について、どのように感じていますか。
11 概ね過去10年を考えて、豊川市または小坂井町の「緑の量」は、どのように変化した
と思いますか。
12 豊川市と小坂井町を合わせた区域の「緑」を守り増やすために、今後行うべきことは何だと思いますか。
13 現在どのような緑化の活動を実施していますか。あるいは、今後どのような緑化の活
動であれば参加しようと思いますか。
14 豊川市と小坂井町を合わせた区域の「緑」を市民との協働によって守り増やすため
に、行政の施策として重要なことは何だと思いますか。
15 「公園・広場の数」に対する満足度をお聞かせください。
16 どのような機能をもった公園・広場が増えていけばよいと思いますか。
17 どの程度の距離や大きさの公園・広場が増えていけばよいと思いますか。
18 今後の公園・広場の整備を考える場合の視点についての重要度をお聞かせください。
19 「豊川市公共施設アダプトプログラム」制度についての認知度をお聞かせください。
20 身近な公園・広場などの日常管理(除草、清掃など)について、今後はどのように行うのが良いと思いますか。
21 (1)豊川市または小坂井町における緑化や緑の保全、公園の整備に対しての提案、意見

(2)豊川市内または小坂井町内の好きな緑(場所や花木など)
(2)調査の結果(抜粋)
(1)概ね過去10年間の豊川市の「緑の量」の変化について
 概ね過去10年間の豊川市全域における「緑の量」については、「減ったと思う」と回答した人が45%と最も多く、次いで「変わらないと思う」と回答した人が34%となっています。
(2)「緑」を守り増やすために、今後行うべきことについての意向(2つまで回答)
 本市の「緑」を守り増やすために今後行うべきことについては、「河川沿いなどの自然豊かな緑の保全」と回答した人が最も多く、次いで「公園や広場の整備」と回答した人が多くなっています。
(3)「公園・広場の数」に対する満足度
 本市の「公園・広場の数」に対する満足度については、「普通」と回答した人が最も多く、次いで「やや不満」と回答した人が多くなっています。
(4)身近な公園・広場などの日常管理(除草、清掃など)の方法についての意向
 身近な公園・広場などの日常管理については「行政支援のもと、地元が行うのが良い」と回答した人が最も多く、次いで「行政支援のもと、ボランティアが行うのが良い」と回答した人が多くなっています。
(5)「豊川市公共施設アダプトプログラム」制度の認知度について
 「豊川市公共施設アダプトプログラム」制度の認知度について「まったく知らない」と回答した方が83%と最も多く、次いで「制度の内容を知っている」と回答した方が10%となっています。

1-5 地区別緑の現況
 地区ごとの市民の暮らしや自然の風土が育んできた緑を把握し、本計画の策定に活かすため、地区を区分した上で現況を整理します。
 地区の区分は、市民の暮らしとの結びつきに着目し、日常生活圏を基本として区分します。具体的には、小学校区を基本単位とし、豊川市の地勢を象徴する河川(河川流域)や土地利用の特性により、市域を6地区に区分します。

中部東地区
●地勢の概況
・豊川市の中心に位置し、地区の大半が市街化区域に指定されています。
・地区の中央を佐奈川が縦断しています。
・地区の緑は、公園や社寺の緑、民間・公共施設内の緑、さらに、北部に広がる農用地によって構成されています。
・地区全域が標高50メートル以下の平坦な地形であり、住宅や商業用地として土地利用されています。
・愛知県や豊川市が管理する幹線的な道路は、街路樹により緑化されています。
●特徴的な緑
・佐奈川は、水際に植物が繁り、生物の生息・生育地となっているほか、遊歩道が整備されており、桜を見ながら散策を楽しむことができます。
・豊川稲荷は、春季・秋季大祭などに年間340万人が訪れます(平成20年実績)。また、境内地及びその周辺にまとまった緑地があり、市街地の気象緩和にも貢献しています。
・三明寺には国・県の文化財に指定された建造物が複数存在します。
・進雄神社は、奉納綱火が県指定の無形民俗文化財に指定され、豊川夏祭りの拠点にもなっています。
・桜ヶ丘公園及び豊川高等学校グラウンドが市街地におけるまとまったオープンスペースとなっており、広域避難場所に指定されています。
●市民意向調査結果
・概ね10年間の「緑の量」の変化については、「減ったと思う」と回答した人が最も多く、47%となっています。
・「緑」を守り増やすために、今後行うべきこととして、「公園や広場の整備」に対する意向が最も高く、20%となっています。
・公園・広場の数について、55%の人が満足していない状況にあります。
・身近な公園・広場などの日常管理の方法について、74%の人が「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」と回答しています。

東部地区
●地勢の概況
・地区東部を南北に豊川が流れ、河川に沿って自然堤防が形成されています。
・地区北部に木曽山系の本宮山(標高789.2メートル)が位置し、帯川(佐奈川の支川)が流れています。
・河川に沿った平地部の広範の区域は、農用地としての土地利用されています。
・地区中央から北東方向にかけて市街地が形成されています。
●特徴的な緑
・本宮山一帯は、自然の景勝地として自然公園に指定されるとともに、ハイキングなどの自然とふれあう場として利用されています。
・豊川は、淵や瀬、河畔林がある豊かな自然景観を形成しています。
・砥鹿神社には年間約40万人が訪れ、本宮山ウォーキングセンターは年間約3万人の利用があります(平成20年実績)。
・宝円寺のシダレザクラ、砥鹿神社奥宮(本宮山)の社叢、砥鹿神社のケヤキは、県の天然記念物に指定されています。
・市指定の名勝としては「牛の滝とその付近の自然」が、史跡としては「一宮砦跡」などがあります。また、帯川のホタルなどの資源が市の天然記念物に指定されています。
・いこいの広場は、身近な健康づくりやスポーツ・レクリエーションの拠点として利用されています。
●市民意向調査結果
・概ね10年間の「緑の量」の変化については、「減ったと思う」と回答した人が最も多く、44%となっています。
・「緑」を守り増やすために、今後行うべきこととして、「河川沿いなどの自然豊かな緑の保全」に対する意向が最も高く、21%となっています。
・公園・広場の数について、54%の人が満足していない状況にあります。
・身近な公園・広場などの日常管理の方法について、72%の人が「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」と回答しています。

北部地区
●地勢の概況
・市街化区域は、音羽川、国道1号の沿線と音羽蒲郡IC周辺の一部地区に限られ、大半が市街化調整区域となっています。
・地区の中央から西部には音羽川と山陰川(音羽川支流)が流れています。
・北部の観音山や西部の宮路山などに広範に分布する緑、山腹に位置する財賀寺や冨士神社周辺の拠点的な緑が当地区の特徴として挙げられます。
・山間を流れる音羽川、山陰川の沿川に、農用地が形成されています。
●特徴的な緑
・観音山(財賀寺)には年間約3万人が訪れています。その他、コバノミツバツツジまつり(冨士神社)には約2万人、宮路山のもみじまつりには約2千人が訪れています(平成20年実績)。
・財賀寺仁王門と本堂内厨子が国の重要文化財に指定されています。
・宮路山コアブラツツジ自生地、冨士神社のコバノミツバツツジ自生地、財賀寺のヒメハルゼミと生息地、財賀寺のツガなどが市の天然記念物に指定されています。
・音羽運動公園は、身近な健康づくりやスポーツ・レクリエーションの拠点として利用されています。
●市民意向調査結果
・概ね10年間の「緑の量」の変化については、「変わらないと思う」と回答した人が最も多く、51%となっています。
・「緑」を守り増やすために、今後行うべきこととして、「河川沿いなどの自然豊かな緑の保全」に対する意向が最も高く、24%となっています。
・公園・広場の数について、56%の人が満足していない状況にあります。
・身近な公園・広場などの日常管理の方法について、74%の人が「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」と回答しています。

西部地区
●地勢の概況
・県営公園である東三河ふるさと公園が位置し、本市のみならず東三河地域の重要な緑の拠点となっています。
・臨海部には、三河港港湾計画に基づき、日本最大の臨海緑地である三河臨海緑地が位置しており、地区の緑の拠点となっています。
・本地区は音羽川や御津川の河口があり、三河湾を臨む臨海地区となっています。
・音羽川が地区を南北に縦断し、川沿いは市街化区域に指定されています。大半の区域は、市街化調整区域となっています。
・地区西部の五井山から御津山などに連なる山地の山間や音羽川・御津川の川沿いに農用地が形成されています。
●特徴的な緑
・東三河ふるさと公園は、広域的なレクリエーションの拠点であり、自然とふれあうイベントが開催されるなど、年間約20万人が訪れています。他に、御津山園地は約2万人の年間利用があります(平成20年実績)。
・御油のマツ並木が、国の天然記念物に指定されています。
・御津山のヒメハルゼミの棲息地が、市の天然記念物に指定されています。
・音羽川は、遊歩道が整備されており、桜を見ながら散策を楽しむことができます。
・三河臨海緑地は、散策や軽スポーツや、海の眺めを楽しむ場として利用されています。
●市民意向調査結果
・概ね10年間の「緑の量」の変化については、「減ったと思う」と回答した人が最も多く、44%となっています。
・「緑」を守り増やすために、今後行うべきこととして、「河川沿いなどの自然豊かな緑の保全」に対する意向が最も高く、21%となっています。
・公園・広場の数について、54%の人が満足していない状況にあります。
・身近な公園・広場などの日常管理の方法について、76%の人が「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」と回答しています。

南部地区
●地勢の概況
・地区南部を豊川放水路、西部を佐奈川が流れ、概ね平坦な地形において、耕地整理が行われた優良な農地と市街地により構成されています。
・市街化区域では、住居系を中心として、商業系、工業系の用途地域が指定されています。
・主に地区東部に位置する、愛知県や豊川市が管理する幹線的な道路は、街路樹により緑化されています。
●特徴的な緑
・牛久保のナギが、国の天然記念物に指定されています。
・五社稲荷社の五社稲荷古墳、糟塚古墳などが市の史跡に指定されています。・徳川家の家紋「葵の紋」発祥ゆかりの地である伊奈城趾が公園として整備されており、土塁や本丸の郭跡が保存されています。
●市民意向調査結果
・概ね10年間の「緑の量」の変化については、「減ったと思う」と回答した人が最も多く、46%となっています。
・「緑」を守り増やすために、今後行うべきこととして、「河川沿いなどの自然豊かな緑の保全」に対する意向が最も高く、22%となっています。
・公園・広場の数について、59%の人が満足していない状況にあります。
・身近な公園・広場などの日常管理の方法について、65%の人が「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」と回答しています。

中部西地区
●地勢の概況
・地区の東部を佐奈川、中央部を白川、西部を西古瀬川が流れています。
・豊川公園や赤塚山公園が当地区の緑の拠点となっています。
・豊川市役所が立地する地区であり、大半が市街化区域に指定されていますが、地区北部から西部にかけて、農用地が形成されています。
・地形は概ね平坦であり、市街化区域では、住居系、商業系、工業系の用途地域が指定されています。
・愛知県や豊川市が管理する幹線的な道路は、街路樹により緑化されています。
●特徴的な緑
・豊川公園は、おいでん祭や手筒まつり、桜まつりなどの祭りの会場に利用されています。また、災害時の広域避難場所、身近なレクリエーションの場など多様な機能を有しています。
・三河国分寺跡が、国の史跡に指定されています。また、三河国分尼寺跡史跡公園は、中門と回廊の一部が復元されています。
・八幡宮の本殿が、国の重要文化財に指定されています。
・赤塚山公園は、淡水魚水族館や小動物園などがあり、多様なレクリエーションを楽しむことができます。
●市民意向調査結果
・概ね10年間の「緑の量」の変化については、「変わらないと思う」と回答した人が最も多く、51%となっています。
・「緑」を守り増やすために、今後行うべきこととして、「河川沿いなどの自然豊かな緑の保全」に対する意向が最も高く、25%となっています。
・公園・広場の数について、69%の人が満足していない状況にあります。
・身近な公園・広場などの日常管理の方法について、70%の人が「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」と回答しています。

第2章 現況の緑の分析・評価及び緑づくりの課題

 本市の現況の緑の分析・評価を行う視点を以下に示します。
・市民の意向(豊川市緑の基本計画市民意向調査など)の分析・評価
・平成7年度策定の計画の検証からの分析・評価
・本市の緑の特徴の分析・評価
(1)市民意向調査の分析・評価
 「豊川市緑の基本計画市民意向調査」、「第8回豊川市市民意識調査」及び「平成18年度豊川市市民活動意識調査」の結果から、市民の現在の本市の緑についての印象、今後10年間の緑のまちづくりに対する意向などを分析・評価します。
(1)豊川市緑の基本計画市民意向調査(平成21年11月)
●緑に対する認識
Q:緑の役割として大切なことは。
A:【1位】地球温暖化の防止(53%)
【2位】生物多様性(29%)
【3位】自然とのふれあい・学習(24%)
 緑の役割として「地球温暖化の防止」「生物多様性」などが重視されており、これらは緑のまちづくりを進める上でのキーワードとなります。
Q:豊川市を印象づける緑は。
A:【1位】赤塚山公園(35%)
【2位】佐奈川(堤のサクラ)(34%)、
【3位】東三河ふるさと公園(22%)
【4位】本宮山・砥鹿神社(22%)
 豊川市を印象づける緑として「赤塚山公園」などの主要な公園や「佐奈川」「本宮山・砥鹿神社」などが挙げられており、これらが本市の重要な緑の資源として認識されています。
Q:市内の緑の様子
A:【1位】寺社境内林が多い(37%)
【2位】河川空間に緑が多い(15%)
Q:市内の緑の量
A:【1位】多くも少なくもない(50%)
Q:概ね10年前と比べて市内の緑の量の変化
A:【1位】減った(45%)
【2位】変わらない(34%)
 豊川市の緑の現状として「寺社の緑や河川の緑が豊富」で「緑の量は多くも少なくもない」が、概ね10年前に比べ「緑は減った」と認識されています。

●緑を守り増やすために
Q:緑を守り増やすために行うべきことは。
A:【1位】河川沿いの緑の保全(42%)
【2位】公園・広場の整備(34%)
【3位】道路・まちかどの緑化(27%)
【4位】農地の保全(24%)
 緑に関する取組みとして「河川沿いの緑」や「農地」を守り、「公園・広場」や「道路・まちかどの緑」を増やすことなどが重視されています。
Q:緑化活動で現在行っていること、今後参加しようと思うことは。
A:【1位】自宅の緑化(61%)
【2位】公園、河川等の清掃活動(33%)
【3位】花植えなどの美化活動(26%)
 緑を守り増やすため“市民”としては「自宅の緑化」や「公園等の清掃活動」「花植えなどの美化活動」などへの参加意志が示されています。
Q:市民と協働で緑を守り増やすため、行政がすべきことは。
A:【1位】緑に関するイベントの開催(31%)
【2位】市民による花や緑づくりの好例・助成制度の提示(30%)
【3位】花の種や苗木の配布(30%)
 市民と協働で緑を守り増やすため“行政”としては「緑に関するイベントの開催」や「市民による花や緑づくりの好例・助成制度の提示」など知識や情報を広めていくことが求められています。

●公園・広場について
Q:公園・広場の数に対する満足度
A:【1位】普通(33%)
【2位】やや不満(17%)
【3位】満足(15%)
 公園・広場の数の満足度としては「普通」という認識が示されています。
Q:今後増えると良い公園・広場
A:【1位】ウォーキングなどが楽しめる遊歩道(34%)、
【2位】木や花を鑑賞できる公園・広場(29%)
【3位】幼児や児童向けの遊具のある公園・広場(26%)
【4位】防災機能が充実した公園・広場(23%)
 今後増えると良い公園・広場として「ウォーキングなどが楽しめる遊歩道」や「木や花を鑑賞できる公園」「幼児や児童向けの遊具のある公園」といった多様なレクリエーション機能とともに「防災機能が充実した公園」なども求められています。
Q:今後増えると良い公園・広場(距離・大きさ)
A:【1位】徒歩や自転車で行ける距離にあり、学校のグラウンドほどの広さ(49%)
【2位】徒歩で行ける距離にあり、保育園ほどの広さ(21%)
 今後増えると良い公園・広場の規模として、近隣公園や街区公園程度の大きさの公園が求められています。
Q:公園・広場の整備にあたって重視すべき内容
A:【1位】利用者のマナー(74%)
【2位】公園の清掃、美化(74%)
【3位】公園施設の安全性(71%)
【4位】バリアフリー(68%)
【5位】広域避難場所としての機能(62%)
 公園・広場の整備にあたって重視すべき内容として「利用者のマナー」「清掃・美化」「公園施設の安全性」といった維持・管理に関する意見のほか、「バリアフリー」や「広域避難場所としての機能」などが求められています。
Q:身近な公園・広場などの日常管理の方法
A:【1位】行政支援のもと、地元が行うのが良い(44%)
【2位】行政支援のもと、ボランティアが行うのが良い(28%)
 身近な公園・広場などの日常管理について「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」との意見が多くなっています。

●その他
Q:豊川市公共施設アダプトプログラムの認知度
A:【1位】全く知らない(83%)
【2位】制度の内容を知っている(10%)
 豊川市公共施設アダプトプログラムについては認知度が低く、8割以上の方が知らない状況です。
(2)第8回豊川市市民意識調査(平成21年5月)
【調査結果の概要】
・市政に対する満足度と重要度を並べてみると、「緑・自然の豊かさ」や「地球環境の保全」、「地震などに対する防災対策」などへの期待が大きくなっています。
・公園の整備や緑地の保全に関しては、「維持管理の徹底」や「身近な公園」が上位を占め、「防災」や「緑の保全」が続く結果となっています。
(3)平成18年度豊川市市民活動意識調査(平成18年10月)
【調査結果の概要】
・市民活動に参加している人に対して活動している分野を尋ねた設問では、「自然環境保護改善」との回答が6.6%となっており、前回(平成13年度)の調査結果に対して2.7ポイント上昇しています。
・市民活動に参加したいと思っている人に興味のある分野を尋ねた設問では、「自然環境保護改善」が10.6%と「高齢者・障害者福祉」に次いで高くなっています。なお、性別では男性が、年代別では60歳代がそれぞれ高くなっており、特に退職時期を迎えた団塊世代の男性の新たな参加が期待されます。

(2)平成7年度策定の計画検証からの分析・評価
(1)緑地の確保目標水準の達成率
 緑地の確保目標水準の達成率は、市街化区域面積に対する割合Aの達成率は106%、都市計画区域面積に対する割合Bに対する達成率は103%となっていることから、概ね目標を達成できているといえます。
(2)都市公園などの施設として整備すべき緑地の目標水準の達成率(一人当たり面積)
 都市公園などの施設として整備すべき緑地の目標水準の達成率は、都市公園が59%、都市公園及び公共施設緑地が76%となっており、目標を達成できていません。
 しかしながら、平成22年4月1日時点の市民一人当りの都市公園面積は11.75平方メートル/人で、平成20年3月末現在の愛知県平均の7.02平方メートル/人、全国平均の9.40平方メートル/人を上回る状況となっており、他市町村に比べ、市民一人当たりの公園の充足率は高いといえます。
 ただし、面積増加分の多くを、部分供用された東三河ふるさと公園が占めていることから、身近な公園などの整備は遅れている状況にあるといえます。
(3)都市公園などの施設として整備すべき緑地の目標水準の達成率(箇所数・面積)
 箇所数・面積では、都市公園は目標の203箇所、406.5ヘクタールに対して、平成22年時点では103箇所・214.5ヘクタールとなっており、平成7年以降の整備によって箇所数、面積は増加していますが、達成率は、箇所数については51%、面積については53%に留まっています。
(4)都市公園などの施設として整備すべき緑地の目標水準の未達成について
 都市公園などの整備目標水準が達成されていない要因の一つとして、平成7年度策定の計画において、目標年次(平成22年)までに完成を見込んでいた東三河ふるさと公園(部分供用)や豊川市スポーツ公園といった大規模な公園が、未完成となっていることが挙げられます。
 また、平成7年度策定の計画は合併以前の計画であり、旧市町それぞれで、区画整理を契機とした公園の整備による目標を設定していたことや、公園の誘致圏や一人当たりの都市公園面積の確保を念頭に置いた積上げ式の目標を設定していました。結果として、計画通りに区画整理が実施されなかったこと、財政的な観点から過大な目標となっていたことが整備目標水準未達成の直接的な要因になったと考えられます。

(3)本市の緑の特徴の分析・評価
 樹林地や農地、都市公園などの緑がどのような機能や役割を果たす緑であるかを示し、その必要性や重要性を明らかにするとともに、それらの分布状況などを分析して、本市の緑の特徴などを整理します。
(1)分析評価の視点
 豊川市の緑の特徴の分析のために区分する視点は、都市の緑がもつ基本的な機能である4つの視点(「都市環境の保全」、「緑とのふれあい」、「安全な暮らし」、「美しい景観形成」)に、多様な主体による地域経営や、地域課題解決システムの構築が求められる時代になっていることを踏まえ、「市民との協働」の視点を加えた5つの視点とします。
●都市の環境保全の視点
・緑の拠点・骨格を形成し、良好な都市環境を保全する緑
・いろいろな生き物の生息地となり、生物多様性を育む緑
・雨水を蓄えて浄化し、水源を確保する緑
●緑とのふれあいの視点
・散策や休憩、スポーツやレクリエーションを楽しむ緑
・自然とふれあう場、自然を学ぶ場となる緑
・コミュニティや交流を育む緑
●安全な暮らしの視点
・延焼防止や土砂災害の防止などの防災に役立つ緑
・防災活動の拠点、避難場所などとして機能する緑
●美しい景観形成の視点
・歴史、文化の資源として後世に継承する緑
・美しい自然景観を形成する緑
・潤いや風格のある都市景観を形成する緑
●市民との協働の視点
・市民への緑に関する情報提供や普及啓発
・市民による緑の管理・育成の活動

(2)各視点での分析評価
●都市の環境保全の視点
○緑の拠点・骨格を形成し、良好な都市環境を保全する緑
・本市の緑は、大きくは、本宮山から宮路山にかけて連なる三河山地の森林、豊川、佐奈川、音羽川などの河川、平野部に広がる農地、海(三河湾)により構成されています。緑は空気の冷却効果が認められており、森林などは二酸化炭素の吸収源としての役割も担っていることなどから、市街地を取り囲むこれらの大きな自然の緑は、良好な都市環境を形成する上で重要な要素となっています。
・市街地では地表面温度の高温域の広がりが見られます。豊川公園、佐奈川、豊川稲荷周辺など、市街地内の公園や樹林地、水辺などの緑地は、このような都市型気象を緩和する効果があり、積極的に保全・創出を図っていく必要があります。特に、佐奈川などの河川は、海上などからの冷涼な空気を市街地内に導く“風の道”としても機能しています。
・県内屈指の農業産出額を誇る本市において、平野部の農地は農産物の生産基盤として重要な役割を担っています。しなしながら、経営耕地面積の減少や耕作放棄地の増加により、地域の農作物の生産基盤が損なわれつつあります。

○いろいろな生き物の生息地となり、生物多様性を育む緑
・市街地を取り囲む豊かな自然の緑は、“宮路山コアブラツツジ自生地”や“帯川のホタル”、“御津山のヒメハルゼミの棲息地”などの天然記念物に指定された貴重な動植物、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地となっています。
・三河山地の山麓部などに分布する二次林は、生活様式の変化に伴い樹木の管理が行なわれなくなったことが影響し、竹林となっている箇所が見受けられ、生物多様性の基盤は損なわれつつあります。近年、このような二次林は、地域の身近な自然とふれあえる緑として見直されつつあり、このような利用的価値を高めながら、適切な管理を行うことで、生物多様性を確保していくことが求められています。
・豊川や佐奈川にはオギ・ハギなどの植物が繁った場所が連続的にあり、カモ類、シギ類などの水鳥が生息する環境となっています。河川の水質をみると、豊川は清浄な状態が保たれていますが、他の河川は、生活排水対策の取組みなどにより改善されつつあるものの、引き続き改善に向けた取組みが必要な状況となっています。
・里山(里地)に分布するため池は、自然性の高い水辺であり、鳥類、魚類、昆虫といった様々な生物が生息・生育する場として重要です。しかし、管理が不十分な場合、富栄養化が進行し、生物多様性の基盤としての機能が低下する懸念があります。
・市街地内では、都市公園や社寺境内地など一団の緑や、河川、街路樹など、線としてつながる緑が多様な生物の生息・移動空間となることが期待できますが、部分的に途切れた区間も存在し、広範には連続性が確保できていない状況となっています。
○雨水を蓄えて浄化し、水源を確保する緑
・豊川や佐奈川などの上流部に位置する本市北部の森林は、雨水を貯留し、水源を確保する機能があります。特に、本市の水道は、深井戸や伏流水に多くを依存しており、これら森林が、市民生活にとって重要な役目を果たしています。
・市街地近郊の樹林は、ため池群の水源を確保する機能があり、健全な状態に保つことが重要です。

●緑とのふれあいの視点
○散策や休憩、スポーツ・レクリエーションを楽しむ緑
・広域公園である東三河ふるさと公園は、本市以外からの広域的な利用もさることながら、近隣住民の日常的な散策や休憩、ウォーキングなど、健康増進のためのレクリエーションの場として機能しています。
・赤塚山公園は、淡水魚水族館や小動物園なども併設されており、年間を通じて多様なレクリエーションを楽しむことができる本市を代表する都市公園として位置づけられます。
・豊川公園や音羽運動公園、いこいの広場などは、身近な健康づくりやスポーツ・レクリエーションの拠点として機能しています。
・佐奈川や音羽川などは、桜や水辺の自然と親しみながら、散策が楽しめる空間として、また、街路樹なども散策やウォーキングの楽しさを演出する緑として役割を果たしています。
・「日本列島」を代表とする三河臨海緑地は、散策や軽スポーツ、三河湾の眺望などが楽しめ、海辺の自然と親しめる主要な緑地として機能しています。
○自然とふれあう場、自然を学ぶ場となる緑
・東三河地域のふるさとの自然をテーマに整備された東三河ふるさと公園は、東三河地域の自然とふれあい、自然を学ぶ場として、広く親しまれています。
・三河湾国定公園や本宮山県立自然公園は、豊川自然遊歩道などが整備されており、登山やハイキングなどを通じて自然とふれあい、自然を体感する場として、市民に親しまれています。
・市民小菜園は、野菜作りなどを通じて、土とふれあい、自然の恵みを感じる「食育」の場として、市民に親しまれています。

○コミュニティや交流を育む緑
・児童遊園やちびっこ広場などは、住区基幹公園を補完する、身近なレクリエーションの場として機能しており、各地域に配置されています。
・都市公園の整備水準は、平成22年4月1日時点で一人当たり11.75平方メートル/人と、愛知県平均(7.02平方メートル/人)、全国平均(9.40平方メートル/人)を上回る状況にあるものの、住区基幹公園の配置では、合併前の各町中心部など旧来からの既成市街地で不足しているなど、地域によって偏りが見られます。
・住区基幹公園は、目標年次の平成32年時点では、開設後30年以上を経過する公園が約6割を占めることとなり、施設・遊具などの老朽化による安全性の低下が懸念されます。
・桜まつりの舞台となる桜トンネル、佐奈川、音羽川などの緑や、うなごうじまつり(若葉祭)、風まつりなど地域の伝統的な祭りが行われる神社やその周辺の緑は、市内外の人の交流を支える緑として機能しています。
●安全な暮らしの視点
○延焼防止や災害防止などの防災に役立つ緑
・市街地内の佐奈川などの河川、緑化された道路、公園などのオープンスペースは火災時に延焼防止帯となるなど、災害の防止、軽減などの効果が期待できます。
・三河山地の森林は、雨水を地中に浸透させ、ゆっくりと川に流れ出させることにより、洪水などの水害の発生を抑制する役割を果たしています。
・豊川沿いなど市街地周辺の水田は、雨水を一時的に貯水する機能を持ち、水害を抑制する役割を果たしています。
○防災活動の拠点・避難場所などとして機能する緑
・街区公園などの身近な公園は、災害発生直後に地域住民の一時的な避難場所となるとともに、災害復旧・復興時にはボランティアなどの活動拠点、救援物資や廃材などの集積場所になります。
・本市では、「広域避難場所」として豊川公園、桜ヶ丘公園及び豊川高等学校グラウンドの2ヶ所が、「一時避難場所(拠点避難地)」として萩山防災広場、曙グラウンドの2ヶ所がそれぞれ指定されています。また、「避難地」として都市公園や児童遊園など157ヶ所が指定されています。しかし、「避難地」については、地域ごとで都市公園(住区基幹公園)の配置に偏りが見られます。

●美しい景観形成の視点
○歴史、文化の資源として構成に継承する緑
・国指定の史跡である三河国分寺跡、三河国分尼寺跡や、天然記念物である牛久保のナギ、御油のマツ並木などの、緑と一体となった数多くの文化財が分布しています。
・文化財を地域の貴重な財産として一層親しんでもらうため、三河国分尼寺跡史跡公園や伊奈城趾公園など、文化財を活用した公園の整備と管理が行われています。
・市街地内に分布する社寺林などの緑は、市民一人ひとりの記憶に残る緑の風景を構成する重要な要素となっています。しかしながら、社寺の境内地における駐車場や墓地の整備などの土地利用への改変が進んだ場合、良好な社寺林や名木などの消失が懸念されます。
○美しい自然景観を形成する緑
・山地、河川、丘陵地、平野、海といった多様な地形変化を伴う豊かな自然の緑は、本市の景観の骨格を構成する要素となっています。
・市域北部は本宮山などの三河山地の山並みなどの自然の景勝地があります。また、宮地山や東三河ふるさと公園、御津山園地、三河臨海緑地「日本列島」は三河湾を臨む名所となっています。
・市街地の北側や豊川右岸に広がる農地では、穏やかな田園景観を眺めることができます。しかしながら、農業を取り巻く環境の変化に伴い耕作放棄地が増えつつあるなど、景観の悪化などが懸念されます。これに対して、耕作放棄地に景観作物を栽培するなどの取組みを行っている地域もあります。
・市街地を南北に貫く豊川や佐奈川は、川幅も広く、淵や瀬があり、河畔林が形成されるなど、豊かな自然景観を形成しています。
○潤いや風格のある都市景観を形成する緑
・主要地方道国府馬場線などの幹線道路では、連続した街路樹の植栽により、市街地に潤いを与えています。特に、市中心部などに見られる桜並木は、本市を特徴づける市街地景観を演出しています。
・諏訪駅周辺では市街地再開発事業により、本市の新しい顔づくりが進められており、まちづくりと連携した緑豊かな景観の創出が期待できます。
・豊川稲荷とその周辺には、歴史・風格のあるまとまった緑地が形成されており、本市の緑を象徴する要素の一つになっています。
・佐奈川の桜づつみや赤塚山公園・東三河ふるさと公園などは、本市を代表する公園緑地であり、ふるさとの緑の景観要素の一つに捉えられます。

●市民との協働の視点
○市民への緑に関する情報提供や普及啓発
・東三河ふるさと公園では、郷土の自然や地域の伝統・文化などに気軽に親しむことができるイベントなどを通じて、緑を学び、ふれあうことができる場となっており、市民への緑に関する情報提供や普及啓発などに貢献しています。
○市民による緑の管理・育成の活動
・市民などが育てる身近な花や緑は、市街地に安らぎや潤いを与えます。まちなかでは、これらの個人の取組みがなされています。
・本市には、地域住民が一体となって緑化を進めている地区があります。
・本市には、町内会での活動に加え、緑の保全に関係する市民活動団体が存在します。また、アダプトプログラムについては、道路、公園、河川の美化活動などに多くの市民が参加しています。

2-2 緑づくりの課題
 本市の緑の特徴、平成7年度策定の計画の検証、市民の意向の分析・評価の結果を踏まえここから示すように、「守る」、「創る」、「育てる」の3つの視点から、緑づくりの課題を整理します。なお、課題の整理においては、社会的ニーズや上位・関連計画におけるまちづくりの方向性を踏まえます。

緑を「守る」ための課題
●市民意向の把握
・緑・自然の豊かさに対する評価が高い。
・緑の役割として「地球温暖化防止」が最も期待されている。
・豊川市を印象づける緑として「本宮山・砥鹿神社」などが挙げられており、本市の緑の資源として認識されている。
・緑を増やすために今後行うべきこととして、自然豊かな緑の保全が求められている。
・「河川沿いの緑」や「農地」を守る緑の取組みが重視されている。
●現況の緑の分析・評価
・本市の緑は、本宮山から宮路山にかけて連なる三河山地の森林、河川、農地、海(三河湾)により大きくは構成されている。市街地を取り囲むこれらの大きな自然の緑は、豊かな都市環境を形成する上で重要な要素となっている。
・本市の水道は井戸水や伏流水に多くを依存しており、森林の涵養機能が市民生活にとって重要な役割を果たしている。しかしながら、市街地周辺や郊外の森林は住宅地などの開発行為により減少傾向にあり、その保全が求められている。
・社寺林などの緑は、市民一人ひとりの記憶に残る緑の風景を構成する重要な要素となっているが、社寺の境内地における駐車場や墓地の整備などの土地利用への改変が進んだ場合、良好な社寺林や名木などの消失が懸念される。
・市街地の北側や豊川右岸に広がる農地は、穏やかな田園景観を眺めることができるが、耕作放棄地が増加し、景観の悪化などが懸念される。
・豊川稲荷とその周辺には、歴史・風格のあるまとまった緑地が形成されており、本市の緑を象徴する要素の一つになっている。
■以上を踏まえた緑を「守る」ための課題
・緑の骨格をなす山、川、海、農地の量的な保全とともに、質的な維持・改善により豊かな都市環境を形成し、良好な形で後世に継承する必要があります。
・歴史ある緑は地域のシンボルとして保全が必要です。
・市民一人ひとりが郷土の自然や歴史を学び、ふるさとの緑に理解を深める取組みが必要です。

緑を「創る」ための課題
●市民意向の把握
・緑に関する取組みとして「公園・広場」や「道路・まちかどの緑」を増やすことなどが重視されている。
・今後増えると良い公園・広場として、「ウォーキングなどが楽しめる遊歩道」や「木や花を鑑賞できる公園」「幼児や児童向けの遊具のある公園」などの多様なレクリエーション機能とともに「防災機能が充実した公園」なども求められている。
・今後増えると良い公園・広場の規模として、近隣公園や街区公園程度の身近なものが求められている。
・公園・広場の整備にあたって重視すべき内容として「バリアフリー」や「広域避難場所としての機能」などが求められている。
●現行計画の評価・検証
・現行計画で位置づけられた住区基幹公園などの整備や緑化重点地区の計画などはあまり進んでおらず、「公園・公共施設緑地」の整備目標に対する達成率は箇所数、面積ともに50%程度となっている。
●現況の緑の分析・評価
・都市公園や社寺境内地など一団の緑や、河川、街路樹など、線としてつながる緑は、多様な生物の生息・移動空間の確保や散策・ウォーキングなどの市民の健康増進などが期待できるが、部分的に途切れた区間も存在し、広範には連続性が確保できていない状況となっている。
・コミュニティ形成や防災の面で重要な住区基幹公園の配置は、合併前の旧4町の中心部など旧来からの既成市街地で不足しているなど、地域ごとでの偏りが見られる。
・住区基幹公園には、目標年次の平成32年時点では、開設後30年以上を経過する公園が全体の約6割を占め、施設の老朽化による安全性の低下が懸念される。
・東三河ふるさと公園は、自然とのふれあいや自然を学ぶ場として、また、様々な人との交流拠点として重要な役割を果たしている。
・桜まつりの舞台となる桜トンネルや佐奈川などの緑、地域の伝統的な祭りが行われる神社周辺の緑は、市内外の人の交流を支える緑として機能している。

■以上を踏まえた緑を「育てる」ための課題
・都市基幹公園などは、レクリエーションニーズの変化などに対応した整備・充実が必要です。
・身近な公園(住区基幹公園など)は、潤いのある暮らしの創造、防災性の確保などに配慮しつつ、不足する地区への対応が必要です。
・緑の多様な機能を高めるために、河川や幹線道路などを活用した緑のネットワークの形成が必要です。
・市民一人ひとりが身の回りの自然に関心を抱き、関わることができる取組みが必要です。

緑を「育てる」ための課題
●市民意向の把握
・公園緑地の維持管理の徹底が求められている。
・自然環境保護活動への参加意欲の高まりが見られる。
・緑を守り増やすため“市民”としては「自宅の緑化」や「公園等の清掃活動」「花植えなどの美化活動」などへの参加意思が示されている。
・市民と協働で緑を守り増やすため“行政”としては「緑に関するイベントの開催」や「市民による花や緑づくりの好例・助成制度の提示」など知識や情報を広めていくことが求められている。
・公園・広場の整備にあたって重視すべき内容として「利用者のマナー」「清掃・美化」「公園施設の安全性」などが求められている。
・身近な公園・広場などの日常管理について「行政支援のもと、地元やボランティアが行うのが良い」との意見が多くなっている。
・豊川市公共施設アダプトプログラムについては認知度が低く、8割以上の方が知らない状況である。
●現行計画の評価・検証
・平成7年度に策定された旧1市4町の「緑の基本計画」により、住民に対して緑の普及・啓発を進めるための施策展開を図ってきたが、合併による事業の集約やさらなる工夫が求められる。
●現況の緑の分析・評価
・市民などが育てる身近な花や緑は、市街地に安らぎや潤いを与える。まちなかでは、これらの個人の取組みを目にすることができる。
・本市には、地域住民が一体となって緑化を進めている地区がある。
・本市には、自然環境保全に関係する市民活動団体が多く存在する。また、アダプトプログラムについては、道路、公園、河川の美化などに多くの市民が参加している。
■以上を踏まえた緑を「創る」ための課題
・地域に根ざした緑の維持・保全や育成活動に対する支援・育成が必要です。
・緑のまちづくりに対する市民の参加意欲の高まりを踏まえ、豊川らしいふるさとの緑を継続的に育てていくための市民協働の仕組みや、緑に関する知識や情報の普及が必要です。

第3章 緑地の保全及び緑化の目標

3-1 基本理念、将来像、基本方針
(1)緑の都市づくりの基本理念
 本市は、本宮山から宮路山にかけて連なる三河山地や、豊川、豊川放水路といった大きな自然の緑が市域の外周を取り囲み、その中の台地上に市街地が形成されています。また、佐奈川、音羽川などの河川が市街地内を貫流して、三河湾に注いでおり、桜並木をはじめ、広く市民に親しまれる水辺の緑を形成しています。
 さらに、豊川稲荷や御油のマツ並木などの、歴史ある緑が都市や地域の個性的な景観を形づくっており、東三河ふるさと公園、赤塚山公園、本宮山県立自然公園など、レクリエーションを楽しむ場や自然を学ぶ場としての公園も整備されています。
 これらの緑は本市固有の財産であり、後世へ着実に引き継いでいく必要がある一方、ヒートアイランド現象の緩和や災害時における火災の延焼防止のため、公園や街路樹などの公共の緑をさらに増やす取組みとともに、建築物の屋上や壁面などの民有地緑化の取組みなども重要になってきています。さらに、緑の管理を行う手法として、「新しい公」という言葉に代表されるような、行政だけではなく、地域における住民、ボランティア、緑化活動団体、企業などの多様な主体による地域経営や、地域による課題解決のシステムの構築が求められる時代になっています。
 このようなことを踏まえ、今後の10年間は、これまでに大事にしてきた緑を「守り」、緑を「創り」、そして、市民ひとりひとりが緑の大切さを知り、身近な緑に愛着を持ち、共に「育てる」仕組みを構築し、実践していくことが、本市の緑の質・魅力の向上や緑の文化を育むことに結びつくものと考えます。このことは、一足飛びで進められるものではなく、計画、行動、評価、改善の繰り返しによって、長い歳月をかけて人材が育ち、輪が広がり、成就していくものです。本計画の計画期間は、10年先に実を結ぶための「種まきから芽生え」の期間と位置づけ、市民のみなさんの多くが郷土の緑をさらによく知り、市民と行政、市民と市民とが協働して緑を育てる環境づくりと仕組みの構築を目指すものとし、基本理念を次のとおり設定します。
●豊川市の緑の都市づくりの基本理念
みんなで育み、守る 都市にやさしく、人に身近な『ふるさとの緑』
(2)緑の将来像
緑の都市づくりの基本理念を踏まえ、緑の将来像を描きます。

■守る
●まちを取り囲む自然の水や緑が良好な環境で守られ、市民の誇りと愛着により地域のシンボルとなっている緑が大切に守られています。
 北部に連なる山地や、豊川・豊川放水路の川辺、三河湾、農地など、まち(市街地)を取り囲む豊かな自然の水と緑が、多様な生態系を含めて引き続き守られています。そして、これらの豊かな自然を満喫できる場や、貴重種の保護活動などに参加する市民も増え、人と自然との距離が一層縮まっています。
 豊川稲荷や砥鹿神社などの社寺、三河国分尼寺跡や御油のマツ並木などの文化財は、地域の歴史や文化に根ざし、シンボル的な緑として、住民らに愛されながら大切に守られています。特に、史跡は市民が共有し、かつ後世に継承すべき貴重な財産と受け止められ、周辺の整備や地元ボランティアによる案内などを通じて、より多くの人々に親しまれる緑となっています。
■創る
●まちなかには、快適で安全な暮らしを支える公園などの緑が増えています。
 まちなかには、住区基幹公園や街路樹、河川沿いの桜並木などの身近な緑が増え、日々のレクリエーションやコミュニティを育む場などに利用されています。また、これらの緑が災害時の安全確保にも重要な役割を果たすなど、多様な機能を有することを多くの市民が認識しており、周辺住民らの協力と理解のもと、適切な管理がなされ、木々も大きく育っています。
■育てる
●町内会、ボランティア・市民活動団体、事業者、行政などの協働により、ふるさとの緑を育んでいます。
 自然環境保全への関心や、「地域社会に貢献したい」、「ふるさとの緑を後世へ継承したい」という意欲の高まりなどから、地域の緑づくりに参加する市民や事業者などが増えています。そうした市民などの活動により、まちなかでは手入れの行き届いた花や緑が、民有地を含めてあちらこちらで楽しめ、市街地周辺では適切な管理がなされた農地や里山が増えるなど、市民一人ひとりにとって良好で快適な生活環境が保たれています。

(3)基本方針
 緑の将来像の実現に向けた基本方針を次のように設定します。
■守る緑
●市の骨格をなす山・川・海・農地の緑を守ります
 本市を取り囲む本宮山、観音山、宮路山、御津山などの山地や、豊川、豊川放水路、三河湾、農地の緑は、本市の骨格を形成する重要な緑であり、地球温暖化の抑制などの環境保全機能や、洪水防止などの防災機能を有するほか、多様な生態系を育む場にもなっています。さらに、これらの大きな緑は、多くの市民が自然の豊かさを実感する根幹的な要素ともいえます。
 そのため、無秩序な開発を抑制する適切な土地利用の誘導や、農林業の振興などにより、豊かな自然的環境を守ります。また、こうした緑を守っていくためには、より多くの市民が自然を身近に感じ、大切にしたいと思う意識が重要であり、本宮山、宮路山などの自然公園の区域を中心に、自然の緑の拠点として多様な自然とのふれあいや学びの場づくりを進めます。
●農地や山林・里山などの多様な緑を適切に管理し、緑の“質”を高めます
 農地や里山、そこに分布するため池などは、もともと人との深い関わりを通じて良好な環境を保ってきた緑といえます。しかしながら、農業を取り巻く環境の変化に伴い耕作放棄地が増えたり、利用されなくなった里山が竹藪化して生物多様性が損なわれるなど、緑の質の低下が問題となっています。
 このため、多様な主体の参加のもと、農地、里山などの適切な管理を進め、生物多様性の確保や景観の向上を図るなど、後世により良好な形で緑を引き継ぎます。
●地域のシンボルとなる歴史の緑を守ります
 市域には、豊川稲荷をはじめ歴史に根ざした緑が数多く点在しています。これらの緑は、その土地固有の貴重な財産であり、地域のシンボルとなる重要な緑として保全・整備を図るとともに、周辺においては、その景観との調和に配慮した緑化を推進するなど、拠点としての魅力の向上を図ります。

■創る緑
●拠点となる公園緑地を創ります
 広域的なレクリエーション需要に対応する、本市の拠点となる公園緑地として、広域公園である東三河ふるさと公園や、赤塚山公園、豊川公園などが挙げられます。これらの公園緑地は、散策や休憩、スポーツなど多様なレクリエーション需要に対応するほか、豊川公園が広域避難場所に指定されるなど、防災活動の拠点にもなります。このため、レクリエーション需要の変化への対応や防災機能の強化などを含め、都市の緑の拠点として整備・拡充を図ります。
●身近な公園緑地を創ります
 街区公園をはじめとした身近な公園緑地は、日常のレクリエーションに対応するほか、地域の環境や景観を向上させ、災害時には避難地としても機能する重要な緑です。しかし、現状においては、その配置に偏りが見られることから、市街化区域全域を緑化重点地区に位置づけ、配置バランスの改善に向けた都市公園などの整備を推進します。さらに、公共施設における緑化の推進や、民有地における緑化の促進に取り組み、快適な生活空間を創ります。
 特に、都市計画マスタープランで「都市核」や「地域生活拠点」に位置づけられた市役所・諏訪町駅周辺や支所周辺、新市民病院が建設される八幡駅をはじめとした主要駅周辺などのエリアは、今後、コンパクトな市街地づくりを進める上で、生活環境の向上や賑わいの演出が重要であり、それらに寄与する緑を、まちづくりと連携しながら創ります。
●つながる緑を創ります
 公園緑地は、ネットワークすることでそれぞれの利用を高める効果があります。また、まちなかの緑の拠点と周囲の自然とを緑でつなぐことで、多様な生物の移動経路(ビオトープネットワーク)としても機能します。このため、市街地を貫流する佐奈川、音羽川などの河川や、都市計画道路姫街道線などの幹線道路を活用しながら、多様な緑の拠点を結ぶネットワークの形成を図ります。

■育てる緑
●緑に関する知識や情報を広めます
 緑に対する市民の関心の高まりが見られる中で、緑のまちづくりへの一層の理解と協力を求めるため、アダプトプログラムなど市民による緑のまちづくりを支援する制度のPRをはじめ、緑に関する様々な知識や情報を広めていきます。
●多様な主体の参画による緑のまちづくりに向けた仕組みをつくります
 緑を守り、創っていくために、市民や事業者などが積極的に参画し、協働で緑のまちを育てていくことが、ますます重要になっています。このため、緑のまちづくりを実践する人材育成など、多様な主体の参画を促進するための具体的な仕組みづくりを進めます。
3-2 緑地の保全及び緑化の目標
(1)緑地の確保目標水準
 目標年次における都市公園、公共施設緑地、民間施設緑地、地域制緑地を合わせた本市の緑地の確保目標水準については、市街地においては、公園緑地の整備、民有地の積極的な緑化などによって緑地を確保するとともに、郊外部においては、開発の抑制などにより、現状維持を図っていくことを基本とします。
(2)都市公園として整備すべき緑地の目標水準
 都市公園として整備すべき緑地の目標水準は、緑地の現況や今後予定される事業などを考慮し、以下のように設定します。
目標年次(平成32年)の市民一人当りの都市公園面積は15平方メートル/人を目標とします。
(3)都市公園等の施設として整備すべき緑地の目標水準
 都市計画区域内の市民一人あたりの都市公園等(都市公園と公共施設緑地を合わせたもの)の整備目標水準は、本市の公園緑地の現況や関連事業などを考慮し、以下のように設定します。
 目標年次(平成32年)の市民一人当りの都市公園等の面積は26平方メートル/人を目標とします。
(4)市民の緑に対する満足度の目標水準
 本計画による緑のまちづくりを推進することによって、市民がより身近に緑を感じられるまちとなることを目指します。
 本計画に掲げる取組みの成果として、豊川市緑の基本計画市民意向調査の「概ね過去10年間を考えて、豊川市の「緑の量」は、どのように変化したと思いますか。」の設問による「増えたと思う」の解答が、目標年次の平成32年には50%以上となることを目標とします。

第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策

4-1 緑地の保全及び緑化の推進のための施策の体系
 緑の将来像を実現するための「守る」「創る」「育てる」の視点に沿って、緑地の保全及び緑化の推進のための施策を設定します。次に、基本理念から将来像、施策の方向性を示す基本方針を再掲するとともに、基本施策を示します。
■基本理念
 みんなで育み、守る、都市にやさしく、人に身近な「ふるさとの緑」
■将来像
●守る
 まちを取り囲む自然の水や緑が良好な環境で守られ、市民の誇りと愛着により地域のシンボルとなっている緑が大切に守られています。
●創る
 まちなかには、快適で安全な暮らしを支える公園などの緑が増えています。
●育てる
 町内会、ボランティア・市民活動団体、事業者、行政などの協働により、ふるさとの緑を育んでいます。
■基本方針
●守る
・本市の骨格をなす山・川・海・農地の緑を守ります
・農地や山林・里山などの多様な緑を適切に管理し、緑の“質”を高めます
・地域のシンボルとなる歴史の緑を守ります
●創る
・拠点となる公園緑地を創ります
・身近な公園緑地を創ります
・つながる緑を創ります
●育てる
・緑に関する知識や情報を広めます
・多様な主体の参画による緑のまちづくりに向けた仕組みをつくります
■基本施策
●守る
・環境保全ゾーンの緑の保全
・生物多様性の保全
・農地や山林・里山の適切な管理と活用
・歴史の緑の拠点の保全と活用
・地域のシンボルとなる緑の保全
●創る
・公園緑地拠点の整備
・公園緑地拠点の活用
・緑豊かな市街地の形成
・公園の整備・再整備
●育てる
・緑に関する情報提供
・緑に関するイベントの開催
・人材の育成
・市民・行政の協働による緑づくり

4-2 「守る緑」に関わる施策

4-2-1 「守る緑」に関わる具体施策
基本方針1:本市の骨格をなす山・川・海・農地の緑を守ります
基本施策(1):環境保全ゾーンの緑の保全
個別施策:山の緑の保全
・山林や里山は、森林法で定める保安林や地域森林計画対象民有林の指定を継続し、社会情勢の変化に対応しながら、森林整備計画に基づき保全します。
・市西部の三河湾国定公園や市北部の本宮山県立自然公園は、自然公園法や県条例に基づき適正な管理に努め、自然公園の機能を保全します。
・林道の開設や整備事業を実施し、森林所有者が行う間伐などの維持管理作業を促すことにより、森林の持つ公益的機能を保全します。
・市街化調整区域における必要な開発事業について、周辺の緑への影響をできる限り少なくするように適正な指導に努めます。
個別施策:川の緑の保全
・一級河川の豊川は、「豊川水系河川整備計画」(平成18年4月6日一部変更)に基づき、河道内の樹木の治水上必要な伐採においては、治水機能を維持できる範囲で、良好な生態系や景観の形成に配慮するため、必要最小限とするよう努めます。
・河川敷や河川堤防の法面において、良好な生態系や景観の形成に配慮しつつ、緑を適正に保全します。
個別施策:海の緑の保全
・三河湾岸の海岸は、「三河湾・伊勢湾沿岸海岸保全基本計画」(平成20年11月変更)に基づき、マリンリゾートを楽しめるレクリエーションの機能の向上を図る一方、生態系や自然浄化機能の向上も図ります。
個別施策:農地の保全
・市街化調整区域の優良な農地は、農業振興地域農用地区域の指定を継続し、保全を図ります。
・市街化調整区域における必要な開発事業について、周辺の緑への影響をできる限り少なくするように適正な指導に努めます。

基本施策(2):生物多様性の保全
個別施策:自然の緑の拠点の保全
・美しい山並みを形成する地域のランドマークであり、歴史ある社寺の境内林が存在する本宮山や観音山、コアブラツツジの自生地である宮路山、ヒメハルゼミの生息地などが分布する御津山の一帯は、保全配慮地区の指定を検討し、郷土の植生としての歴史の緑の保全とともに、貴重な動植物の生息・生育環境を保全します。
個別施策:生物の生息・生育環境の配慮
・生物の生息・生育環境に配慮した空間を創出するよう努めます。
・里山における樹林地の機能を高めるため、公園区域や河川区域などの公有地において、繁茂する竹林などの伐採や広葉樹などの植栽に努め、民有地においてはその啓発に努めます。
・在来種を主とした多様な樹種を用いた森づくりを推進します。
・音羽川、白川、帯川などホタルの生息地の保全活動など、市民による生物、植物の保全、復元活動を支援します。
・環境保全型農業を推進し、食の安全・安心を高めるとともに、生物の生息・生育環境の保全に配慮します。
・教育現場などにおけるビオトープ体験などを通じて、生物多様性の保全に向けた啓発・教育活動に努めます。
基本方針2:農地や山林・里山などの多様な緑を適切に管理し、緑の“質”を高めます

基本施策(3):農地や山林・里山の適切な管理と活用
個別施策:農地の管理支援と有効活用
・耕作放棄地の増加を抑制するため、市民農園の設置、保育園などによる教育の場としての利用を推進します。また、景観形成作物の栽培を促進し、彩りある田園風景の創出を図ります。
・豊川市農業担い手育成総合支援協議会と連携し、また、農地情報バンク制度、農業人材バンク制度を活用し、耕作放棄地の解消及び農業の担い手の育成を図り、農地の有効活用を図ります。
個別施策:山林・里山などの管理支援と有効活用
・山林や里山などの適切な管理を促進するため、所有者や管理団体が行う植林、間伐などを支援するとともに、近隣市の管理団体、市民活動団体との連携を図るなどのほか、あいち森と緑づくり事業(人工林整備事業、里山林再生整備事業)」を活用することにより、森林、里山林の整備、保全を図ります。
・森林のもつ公益的機能やそれを担う林業の大切さなどについての意識啓発を行うため、体験学習講座を開催します。
・民有の山林・里山の荒廃を防ぐため、保全・管理を行う担い手創出事業を市民と協働で進めます。
・市民参加による山林・里山などの管理の仕組みを検討します。
基本方針3:地域のシンボルとなる歴史の緑を守ります

基本施策(4):歴史の緑の拠点の保全と活用
個別施策:歴史の緑の保全
・歴史や文化の趣きを醸し出す社寺境内地などの樹林や樹木について、その保全に対する所有者の意識啓発に努めます。また、市街地の貴重な緑として永続的に保全するため、特別緑地保全地区、保存樹(林)の指定などを検討します。
個別施策:歴史の緑の活用と景観形成
・三河国分寺跡は、公有化を進め、史跡公園としての保存整備を推進します。
・保存整備事業の行われた三河国分尼寺跡は、ボランティアガイドによる案内など、市民による活動を継続的に支援し、観光資源としての機能の強化を図ります。また、生涯学習や学校教育の場、市民の憩いの場、イベント広場としての活用を図ります。
・御油の松並木は、「御油のマツ並木保存管理計画」(平成18年3月)に基づいた適切な管理を進めるとともに、郷土の情景を保全・継承し、地域住民や来訪者の交流の場となる公園の整備を進め、観光資源としての機能の強化を図ります。また、三河国分尼寺跡同様、市民参加による管理、活用を検討します。
・歴史の緑を本市の景観資源として活かすため、景観計画の策定を検討し、歴史景観の維持向上を図ります。
基本施策(5) 地域のシンボルとなる緑の保全
個別施策:巨木・名木の保全
・地域のシンボルとして親しまれている巨木や名木は、将来に渡って保全していくため、分布やいわれなどを調査し、市民への周知や、保存樹(林)の選定を検討します。

4-2-2 「守る緑」に関わる目標・指標
(1)市民農園の設置
 本市では、土と緑に身近に触れ合うことのできる市民農園を市民に貸し出す取組みを行っています。本市の特徴的な景観である田園風景を守るとともに、市民の農業に対する理解を深めるため、市民農園の箇所数を14箇所に増やすことを目指します。
(2)里山林保全活動の推進
 里山林は私たちの生活を支えてくれる身近な自然であり、二酸化炭素の吸収、洪水や土砂災害の防止のほか、水源涵養など暮らしに密接した公益的機能を有しています。
 そこで、里山林を保全するため、平成21年度よりはじまった愛知県の「あいち森と緑づくり事業」の活用を検討し、体験学習の場の提供、講習会の開催などを通じて、里山林保全市民団体の設立(1団体以上)を促進します。
(3)巨木・名木の保全
 本市には、豊川稲荷や砥鹿神社などの社寺をはじめとした歴史的・文化的資源が数多く分布しており、それらの施設には古くから残る樹木が存在しています。また、まちかどの旧家などにも地域のシンボルとして親しまれている樹木が存在しています。そうした貴重な樹木を「(仮称)とよかわの巨木・名木」に選定するとともに、歴史的な背景や保全の重要性を周知することにより、市民の愛着を高め、保全を促進します。

4-3 「創る緑」に関わる施策

4-3-1 「創る緑」に関わる具体施策
基本方針1:拠点となる公園緑地を創ります
基本施策(1):公園緑地拠点の整備
個別施策:拠点都市公園などの整備
・豊川市スポーツ公園、手取山公園の建設を推進します。
・三上緑地、豊川公園、赤塚山公園などの都市公園の機能拡充を推進します。
・現在、部分供用となっている県営東三河ふるさと公園、三河臨海緑地について、公園緑地拠点としての機能をさらに高めるため、全面供用に向けた整備を愛知県に要望し、整備を促進します。
個別施策:防災機能の強化
・広域避難場所に指定されている桜ヶ丘公園や豊川公園をはじめ、一時避難場所に指定されている公園などについて、防災関連施設(防災無線、耐震性貯水槽など)の整備を推進するとともに、延焼遅延・防止や安全性確保に対する効果の高い植物の植樹・植栽に努めます。
基本施策(2):公園緑地拠点の活用
個別施策:学習の場としての活用
・自然観察や農林業体験、自然体験などの「緑の教育」における拠点として、施設の充実及び活用を図ります。
個別施策:協働の交流拠点としての活用
・町内会、ボランティア・市民活動団体、事業者などと行政が協働で緑を守り、育てるために、情報発信、情報交換、学習、交歓などを行うことができる「緑の交流拠点」として、施設の充実及び活用を図ります。
基本方針2:身近な公園緑地を創ります

基本施策(3):緑豊かな市街地の形成
個別施策:拠点エリアの緑化
・都市核緑化推進エリア・地域生活拠点緑化推進エリアでは、賑わいや華やかさの演出、歩行者のための緑陰の確保に配慮した緑化を推進します。
・拠点間をつなげる緑のネットワークの形成を目指すとともに、少量でも緑を感じられるよう、植樹桝間などに「まちかど花壇」を設置するなど、市民とともに道路の緑化を積極的に推進します。
・歴史的遺産や緑が残されている名古屋大学研究所について、所有者である名古屋大学と調整を行い、効果的な保存、活用方法を検討します。
個別施策:公共公益施設の緑化
・公共公益施設においては、屋上や壁面、駐車場などの緑化を積極的に行います。特に、市役所をはじめとした公共公益施設が集積している諏訪地区周辺は、本計画における都市核緑化推進エリアであることから、本市の施設緑化の取組みの先導役として緑化を推進します。
・保育園・小中学校においては、緑のカーテン事業などの緑化施策を拡大・推進します。園庭・校庭の芝生化については、維持管理コストなどの経済性や管理体制の構築などの課題について検証します。
個別施策:民有地の緑化
・住宅や工場、事業所などの民有地の屋上や壁面、駐車場などの緑化に対する補助制度の導入を検討します。
・地域の要望、実情などを踏まえて、緑化地域制度、地区計画による緑化率条例制度、緑地協定制度などの導入を検討します。
・開発行為を実施する際には、法に定められた基準以上の緑地を整備するよう、事業者に対する指導を継続します。また、任意の緑化協定制度創設を検討し、可能な限り緑化に努めるよう協力を依頼する体制の構築を検討します。

基本施策(4):公園の整備・再整備
個別施策:配置バランスに配慮した公園や広場の整備
・公園や広場が不足する地区において、身近な公園・広場の整備を推進します。
・土地区画整理事業に伴い創出される公園緑地の早期整備を推進します。
個別施策:多様なニーズに対応した公園施設の再整備
・既存の公園施設について、防犯性・安全性を確保するために公園内の見通しをよくする、緑陰を確保するために高木を植栽する、健康増進などのための遊具を導入するなど、市民の多様なニーズに対応するため、再整備を検討します。
個別施策:公園管理手法の検討
・既存の公園緑地については、これまでの短期的な視点での維持・管理手法から、予防や保全を目的とした維持・管理へと転換を図ります。そのため、公園施設長寿命化計画の策定を行います。また、策定した計画書に基づく公園の再整備時には、ワークショップなどの住民参加の手法を取り入れて行います。
・市の管理する既存公園の一部を、花壇や植樹などの活動スペースとして、町内会、ボランティア・市民活動団体などに提供し、公園の部分管理を行う仕組みを構築します。
基本方針3:つながる緑を創ります

基本施策(5):緑のネットワーク軸の形成
個別施策:幹線道路の緑化
・既存の街路樹を適切に維持・管理するとともに、新設・改良を行う路線については植樹帯や植樹桝の整備を積極的に推進します。
・街路樹の成長に伴い、まちなみ景観や自動車・歩行者の通行に支障をきたしている箇所について、街路樹の樹種、管理手法などを検討します。
個別施策:緑豊かで美しい河川の整備
・緑のネットワークとしての機能を高めるとともに、生物の移動空間、市民の憩いの場を創出し、また、合併後の新市の一体感を醸成するために、旧一宮町、旧小坂井町の区域へ佐奈川の桜並木の延伸を計画・推進します。
・音羽川、西古瀬川沿いの桜並木の保存、整備を促進します。
・河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境や、多様な河川環境を保全・創出することが可能な箇所について、多自然川づくりを促進します。また、水や緑とふれあえる親水機能を備えた水辺空間の保全・整備が可能な箇所について、その整備を推進します。
個別施策:市民に愛されるネットワーク軸の形成
・街路樹や桜の植樹によるネットワーク軸の形成推進にあたっては、樹木の里親制度など、市民が愛着を持って整備・管理に参加できる仕組みの構築・活用を検討します。
・樹齢60年以上が経過し、枝枯れなどの症状が現れている桜トンネルについて、良好な景観や市民の憩いと安らぎの場を次世代へ引き継ぐため、再生整備計画を策定し、桜の老木の植替えや若木の補植などを推進します。

4-3-2 「創る緑」に関わる目標・指標
(1)身近に公園がある地域の割合
 本市の市街化区域においては、身近に公園(都市公園、児童遊園・ちびっこ広場など)がない地域があります。
 将来的には、災害時における避難場所(オープンスペース)としての機能を充実させるなどのため、市街化区域内に暮らす市民の身近に公園がある状態にすることを目指し、市街化区域内において公園から250mの圏域がカバーする「身近に公園がある地域の割合」を、公園の整備などにより75%に向上させることを目指します。
(2)佐奈川の桜並木の延伸
 本市の中心部を流れる佐奈川沿いには桜並木が形成されており、本市のシンボル的な緑として市民に親しまれていますが、桜並木の整備は旧豊川市内のみとなっています。
 佐奈川を緑のネットワークとして強化するため、また、合併後の新市の一体感を醸成するため、旧一宮町、旧小坂井町の区域への桜並木の整備を推進し、佐奈川の桜並木の植樹本数を、1,000本に増やすことを目指します。

4-4 「育てる緑」に関わる施策

4-4-1 「育てる緑」に関わる具体施策
基本方針1:緑に関する知識や情報を広めます
基本施策(1):公園緑地拠点の整備
個別施策:多様な媒体による情報提供
・広報とよかわや市のホームページ、PRパンフレットなど、多様なメディアにより、緑に関する情報を市民に発信します。
個別施策:イベントを活用した情報
・市民まつりなどのイベントにおいて、花や樹木とふれあう機会の創出、種・苗の配布などを実施することにより、緑の良さ、大切さを市民に広め、緑に対する関心を高めます。
個別施策:市民活動のPR
・町内会、ボランティア・市民活動団体などが行う緑化活動を紹介し、市民の緑化活動への関心を高めます。また、市民活動が活発になった時点で、緑化や緑の保全に対する優れた活動団体を表彰する制度の創設を検討します。
基本施策(2):緑に関するイベントの開催
個別施策:緑の楽しさ・大切さを感じるイベントの開催
・子ども会、老人会やボランティア団体などが参加する花や樹木の植樹イベントの開催を推進します。
・自然観察会やフラワーアレンジメントなど緑を楽しめるイベントの開催を推進します。
・民有地緑化の促進、地球温暖化防止の推進、市民緑化活動の促進などのため、「緑のカーテン事業コンテスト」を開催します。開催にあたっては、「一般部門」「企業部門」「公共施設部門」などを設け、市民・事業者・行政一体となった緑づくりのきっかけづくりとします。
個別施策:緑に関する学習イベントの開催
・市民の緑に関する知識を深めるため、里山保全の体験学習会、樹木の勉強会、ビオトープ活動などのイベントを開催します。
基本方針2:多様な主体の参画による緑のまちづくりに向けた仕組みをつくります
基本施策(3):人材の育成
個別施策:緑に関する指導者の育成
・町内会、ボランティア・市民活動団体などによる自主的かつ活発な緑に関するイベントの開催や組織発展のため、指導者育成講習会を開催するなど、緑に関する指導者を育成する仕組みづくりを検討します。

基本施策(4):市民・行政の協働による緑づくり
個別施策:市民参加による公園づくりと管理
・公園緑地などの整備に際してはワークショップを実施し、市民のニーズの反映に努めます。ワークショップにおける、地域に愛される植栽計画や地域が管理する花壇などの緑化スペースの設置計画についての議論を通じて、整備後、地域による緑に関する活動実施の機運の高揚を図ります。
・ワークショップを通じて設置された公園緑地や既存の公園緑地において、町内会、ボランティア・市民活動団体などと行政が協働で管理する公園緑地を増やすため、積極的に参加したいと感じる管理の仕組みを検討・構築します。
個別施策:緑に関する市民活動の支援
・既存の公園緑地を活かすため、町内会、ボランティア・市民活動団体などによる植樹帯・花壇などの花の植替え、植樹、草刈、剪定などの緑に関する活動を支援します。
基本施策(4):市民参加の新たな仕組みづくり
個別施策:配置バランスに配慮した公園や広場の整備
・アダプトプログラム事業の周知・啓発を行い、登録団体数の拡大を目指します。また、アダプトプログラム事業による緑化活動への支援メニューの追加を検討します。
・先進的で、優良な緑の活動を積極的に行う団体などの活動を支援する、補助制度の創設などを検討します。

4-4-2 「育てる緑」に関わる目標・指標
(1)ワークショップを行って整備する公園緑地の数
 市民に愛される植栽計画や緑化活動スペースを設けるため、公園緑地などの設計段階で、市民が参加するワークショップを行い、公園の整備を行います。豊川市では、平成18年度に初めてワークショップ方式にて公園の設計を行い、平成22年現在、2箇所の公園を整備しています。
 ワークショップを通じて公園緑地の整備に関わることによって、その公園緑地に対する愛着を深め、整備後の管理においても、市民が積極的に管理に参加する機運の高揚を図るため、ワークショップによる整備を行った公園緑地の数を10箇所に増やすこと目指します。
(2)市民と行政が協働で管理する公園などの割合
 町内会、ボランティア・市民活動団体などと行政が協働で管理を行う公園緑地の増加を図ります。
 なお、推進にあたっては、花や緑とふれあえる場としての花壇のフリースペースを提供するなど、積極的に参加したいと感じる管理の仕組みを検討・構築し、市民と行政が協働で管理する公園などの割合が75%に増加することを目指します。
(3)アダプトプログラムの登録団体数
 市民と行政が協力し合い、まちの環境美化を推進していくため、市内の道路、公園、河川などの公共施設を市民が美化ボランティアとなって管理していく制度である、アダプトプログラム(里親制度)の登録団体の増加を図ります。
 アダプトプログラムは、市民の認知度が高くない状況にあるため、制度の積極的な周知を図り、登録・参加しやすい仕組みを検討し、市民と行政が協働で、本市の緑や環境の管理に関わる機会の増加を図り、登録団体数が159団体に増加することを目指します。

第5章 計画の実現に向けて

5-1 計画の推進方針と各主体の役割
(1)計画の推進方針
 これまでの緑のまちづくりの多くは、行政が主体となって、公園緑地の整備や公共施設の緑化、法律や制度による森林・農地の保全、維持管理活動などが行われてきました。
 しかし、社会経済情勢などが変化する中で、緑のまちづくりを進めていくためには、市民、ボランティア・市民活動団体、事業者、行政のそれぞれの主体が、共通の目標に向かってそれぞれの役割を認識し、互いに協力し合いながら、本計画を推進する必要があります。
 本計画では、緑のまちづくりに向けた「種まきから芽生え」の時期との位置づけのもと、長い年月を要する、各主体の協働による取組みの礎を築き、基本理念である“みんなで育み、守る 都市にやさしく、人に身近な『ふるさとの緑』”の実現を目指します。
(2)各主体の役割
 計画の推進方針における、各主体の役割を次に示します。
・市民、ボランティア・市民活動団体の役割
 庭やベランダなどの緑化に努めるほか、緑に関する講習会などへの参加を通じて、身近な緑などに対する理解・知識を深めるとともに、地域の緑化・維持管理活動にも積極的に関わっていきます。 など
・事業者の役割
 建物の屋上や壁面の緑化、敷地境界の生垣化、駐車場の緑化などを積極的に進めます。また、従業員などの意識啓発や、地域の緑化活動への参画を通じて、緑のまちづくりに貢献していきます。 など
・行政の役割
 公園や広場、街路樹など、公共空間の緑化などを推進します。また、緑に関する情報を市民などに広く提供し、活動に対する支援・助言を行います。さらに、計画推進のための制度・体制などの充実を図っていきます。 など

5-2 計画の推進体制と進捗管理
(1)計画の推進体制づくり
 本計画を円滑に、また効果的に推進するため、行政内部の組織体制として、本計画の策定のために設置した「豊川市緑の基本計画作業部会」の体制を基に、「豊川市緑の基本計画推進連絡会(以下、連絡会と称す。)」を組織します。
 連絡会は市民・市民活動団体や事業者などの活動支援や相談窓口となります。事務局は事業実施における行政内部の連絡・調整を行い、各施策の優先順位や実施主体を明確にするほか、施策の進捗管理などを行います。
(2)進捗管理の手法
 計画の進捗管理は、【Plan(計画の策定)】、【Do(施策の実施)】、【Check(進捗状況の把握、点検・評価)】、【Action(改善・見直し)】のPDCAサイクルの評価システムに基づいて行い、連絡会において、事業の実施状況の報告、効果の点検、施策の見直しなどを随時行います。
 また、第5次豊川市総合計画における「政策3「建設設備」施策(4):緑のまちづくりの推進」の、市民意識調査の結果から、市民満足度として本計画と類似の目標・指標が設定されています。総合計画の市民意識調査は2年ごとに行われていることから、本計画の目標・指標を進捗管理の参考とします。

用語一覧

あ行

一級河川
 国土保全上又は国民経済上特に重要な水系に係わる河川で、国土交通大臣が指定した河川。

NPO
 Non-Profit Organization(民間非営利法人組織)の略。非政府、非営利で活動を行う、組織的な実体をもった団体(政治団体、宗教団体を除く)のこと。

オープンスペース
 公園や広場などのゆとりある空間。開けた空間・場所。

温室効果ガス
 大気中に存在し、太陽からの日射をほぼ完全に透過させる一方、地表から放射される熱を吸収して地表を暖める働きを持つ二酸化炭素、メタン、フロンなどの気体。

か行

河川区域
 洪水など災害の発生を防止するために必要な区域であり、河川法が適用される区域。

河畔林
 洪水などの影響を受ける河原などに生育している水辺林。

環境基本計画
 環境への負荷の少ないライフスタイルを推進し、良好な環境の保全及び創造を実現するため、必要なビジョンや施策を定めた計画。

協働
 自発的かつ自立した市民あるいは市民団体と行政とが共通の目的を達成するために、適切な役割分担のもとで協力して行動すること。

広域避難場所
 地方自治体が指定した大人数が収容できる避難場所のこと。一時避難場所が危険になった際に避難し、その規模は火災の輻射熱から身体を守るためにおよそ10ヘクタール以上が必要とされ、大規模な広場(オープンスペース)として、大規模公園などが指定されている。

広域緑地計画
 県レベルの広域的な見地から、緑に対する考え方、骨格となる緑地、目標などを示した計画。

コミュニティ
 居住する人々が共同体としての意義を持って生活する一定の地域やその人々の集団。

さ行

市街化区域
 すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域。

指定管理者
 地方公共団体や外郭団体に限定していた公の施設の管理・運営を包括的に代行する団体のこと。株式会社をはじめとした営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなどがある。

循環型社会
 環境への負荷を減らすため、自然界から採取する資源をできるだけ少なくするとともに、それを有効に使うことによって、廃棄されるものを最小限に抑える社会。

準用河川
 一級河川および二級河川以外の河川で市町村長が指定した河川。

生物多様性
 長い時間をかけて進化しながら獲得してきた、生物が持つそれぞれの個性の多様さ。

総合計画
 市の将来都市像を実現するために、長期的な展望のもと、まちづくりの基本的な方針を定め、様々な分野にわたる市の事業を総合的かつ計画的に進めていくための計画。

た行

地域森林計画対象民有林
 森林関連施策の方向及び地域的な特性に応じた森林整備の目標等を定めた「地域森林計画」の対象となる民有林。

DID
 人口集中地区。人口密度が4,000人/平方キロメートル以上の地区が隣接し、人口5,000人以上となる地域。

都市計画区域
 健康で文化的な都市生活と機能的な都市活動を確保するために都市計画法その他の法令の規制を受けるべき土地の範囲。

都市計画マスタープラン
 都市計画法(第18条の2)に定められている「市町村の都市計画に関する基本的な方針」の呼称であり、市町村が目指すべき都市の将来像と、その実現に向けた取り組みの方向性を定めるもの。

都市公園
 都市計画施設である公園または緑地で、地方公共団体または国が設置するもの、および地方公共団体が都市計画区域において設置する公園または緑地。

都市公園法
 都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて、都市公園の健全な発達を図り、公共の福祉の増進に資することを目的として制定され、都市公園の定義や管理に係る事項等について定めた法律。

都市緑地法
 都市において緑地を保全するとともに緑化を推進することにより良好な都市環境の形成を図り、健康で文化的な都市生活の確保に寄与することを目的として制定され、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する制度等を定めた法律。

土地区画整理事業
 土地区画整理法に基づき、都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善および宅地利用の増進を図るために行われる土地の区画形質の変更や新設又は変更に関する事業。

な行

二次林
 原生林が伐採などされた後、自然に、または人為的に再生した森林。

二級河川
 一級河川以外の水系で公共の利害に重要な関係がある河川。都道府県知事が指定する。

農用地区域
 農業振興地域の中において農業基盤の整備をすすめる区域であり、農業関係の公共投資が重点的に投入される区域。

は行

バリアフリー
 障害者や高齢者が、生活するうえで支障となる物理的な障壁や意識上の障壁を取り除くこと。また障壁が取り除かれた状態。

ヒートアイランド現象
 人工排熱の増加や地表面の人工化などを主な原因として、都市の中心部の気温が郊外に比べて島状に高くなる現象。

保安林
 災害の防止、産業の保護、その他公共の福祉の増進を目的として、森林法により一定の制限や義務が課せられた森林。

や行

誘致圏
 公園の計画にあたって、その公園からどれぐらいの範囲に住む人が利用するかという距離。誘致距離を街区公園では半径250m、近隣公園では半径500mと考える。

ら行

ランドマーク
 地域の主要な目印、地域を特徴づける象徴的な景観要素(歴史的な建造物や高層ビル・橋・塔・山など)のこと。

レクリエーション
 仕事や勉強などの疲れを癒すための休養、娯楽

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