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豊川市下水道事業経営戦略(案)

 

令和3年度から令和12年度まで

からいつまでも、清潔、安心、快適な暮らしを支えますから

 

 

目次

 

1章 はじめに 1ページ

1 策定の趣旨 1ページ

2 対象事業 1ページ

3 計画期間 2ページ

4 位置づけ 2ページ

 

2章 現状と課題、見通し 3ページ

1 事業の沿革 3ページ

2 現状と課題、見通し 5ページ

整備(接続)の状況 5ページ

施設の状況 10ページ

財政の状況(見通し) 19ページ

組織・人員の状況 65ページ

その他の状況 68ページ

 

3章 基本理念、施策の体系及び取組方針 72ページ

1 基本理念及び基本方針 72ページ

2 施策の体系 73ページ

3 投資と財源の均衡 74ページ

4 期別の取組方針 74ページ

 

4章 具体的な取組 75ページ

基本方針1 良好な環境を整えます 75ページ

施策1 未普及の解消 75ページ

施策2 下水道の強靱化 77ページ

施策3 維持管理の強化 79ページ

基本方針2 持続的な経営を行います 82ページ

施策1 投資の合理化・経費の削減 82ページ

施策2 財源の確保 85ページ

基本方針3 質の高いサービスを提供します 89ページ

施策1 サービスの向上 89ページ

施策2 組織強化・人材育成の推進 90ページ

施策3 情報発信の充実化 92ページ

 

5章 目標管理及び推進方法 94ページ

1 目標指標 94ページ

2 収支ギャップの解消 95ページ

3 進捗管理と評価方法 96ページ

4 達成状況の公表 97ページ

 

参考資料 98ページ

1 投資計画 98ページ

2 事業別収支計画 102ページ

3 用語解説 112ページ

 

 

注記

1 略称

次のとおり略称を用いる場合があります。

「下水道事業経営戦略」を「本経営戦略」

「公共下水道事業」を「公共」

「特定環境保全公共下水道事業」を「特環」

「農業集落排水事業」を「農集」

「豊川市」を「本市」

「愛知県」を「県」

「豊川流域下水道」を「流域」

2 年度及び年号表記

元号については次のとおり略称を用いる場合があります。

「昭和」を「S」 「平成」を「H」 「令和」を「R

令和12年度(2030年度)以降は、主に西暦表記とします。

3 消費税及び地方消費税の表記

消費税及び地方消費税が含まれない場合は「税抜」と表記します。

 

 


1章 はじめに

 

 

1 策定の趣旨

本市では、生活環境の快適性や利便性の向上及び都市の健全な発達とともに、公共用水域の水質保全を目的に、雨水では昭和30年代から都市下水路の建設を開始し、汚水では昭和47年度から公共下水道築造工事に着手して以来、順次対象区域を拡張して下水道の整備を進めています。

しかし、今後は建設から50年以上経過する施設が増加し、老朽化に伴う改築更新費用が増大することに加え、人口減少や節水機器の普及等による使用水量の減少が懸念される大変厳しい経営環境となっています。他方で、発生が危惧される南海トラフ地震だけでなく、令和元年の房総半島台風や東日本台風、令和27月豪雨にあったような局地的な大雨による河川や内水の氾濫等、頻発化・激甚化する自然災害への備えが求められています。

また、新型コロナウイルス感染症の蔓延による経済への影響等の先行きが不透明な状況の中で、下水道事業に取り巻く多くの課題を克服し、市民生活に欠くことのできない重要なライフラインである下水道事業を持続的・安定的に供給していく必要があります。

そこで、本市では、中長期的な視点で経営基盤の強化や財政運営の強化を図るため、下水道事業の経営に必要な理念や方針、具体的な取組や目標を示す「豊川市下水道事業経営戦略」を、国が要請する趣旨を踏まえ初めて策定しました。

平成27年に国連サミットにて示された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、「安全な水とトイレを世界中に」や「海の豊かさを守ろう」などの目標が掲げられています。国際的にも大変重要な取組である下水道の供給が持続的・安定的に果たせるように、今後は本経営戦略に基軸を置いて下水道事業を運営していきます。

 

2 対象事業

本経営戦略は、「公共下水道事業(特定環境保全公共下水道事業を含む。)」及び「農業集落排水事業」を対象とします。

なお、公共下水道事業は、内容により特定環境保全公共下水道事業を除くことがあります。(この場合はその旨を明記します。)

 

3 計画期間

本経営戦略は、中長期的な下水道事業の経営を展望し、その見通しを明確にするため、計画期間を令和3年度から令和12年度までの10年間とします。

なお、今後の社会経済情勢の変化に適切に対応するため、本経営戦略の評価や達成状況を踏まえ、本市第6次総合計画の計画期間の最終年となる令和7年度に合わせ本経営戦略の見直しを行います。

 

4 位置づけ

本経営戦略は、国連が示すSDGsの理念とともに、本市の総合計画等や国・県の各種計画等の上位計画の内容を反映し、その実現を図ります。また、既存の下水道関連計画や各種施策の計画等とも整合を図り、下水道事業の中心的・基本的な計画として位置付けるものです。

 

PDF形式の資料では、【図1 位置づけイメージ】を示していますが、ここでは省略します。

 


2章 現状と課題、見通し

 

 

1 事業の沿革

本市の下水道事業は、昭和30年代に都市下水路の整備から始まり、当初は平井ポンプ場の整備をはじめ雨水事業を進めていました。汚水事業については、昭和46年度に下水道基本計画を策定した後、翌昭和47年度から公共下水道事業として工事に着手し、現在まで拡張整備を行っています。昭和55年度には豊川浄化センターの稼働に合わせ汚水処理を開始し、同時に使用料の徴収も始め、以後5回の料金改定を行っています。

農業集落排水事業は、正岡地区で平成4年度に事業採択を受けて整備を進め、平成7年度に供用を開始し、一宮東部が平成12年度、千両が平成14年度、一宮西部が平成16年度に供用を開始しています。

近年では、管路の長寿命化を図るストックマネジメント事業や施設の耐震化を図る下水道総合地震対策事業を行うとともに、経営健全化を図るため、地方公営企業法の財務規定等の適用を受け、複式簿記・発生主義といった企業会計方式による経理事務を開始しています。

 

整備関係

S30年代 都市下水路整備開始

S43 平井ポンプ場稼働

S46 下水道基本計画策定

S47 下水道事業計画認可(第1次拡張事業)【豊川市】 公共下水道整備開始【豊川市】

S50 公共下水道整備開始【旧音羽町・御津町】

S52 下水道事業計画変更(第2次拡張事業)【豊川市】

S53 公共下水道整備開始【旧小坂井町】

S55 下水道事業計画変更(第3次拡張事業)【豊川市】

S57 公共下水道整備開始【旧一宮町】

S58 正岡樋管稼働

S59 下水道事業計画変更(第4次拡張事業)【豊川市】

S63 下水道事業計画変更(第5次拡張事業)【豊川市】

H2 橋尾樋管稼働

H3 特定環境保全公共下水道整備開始【旧御津町】

H4 正岡農業集落排水事業採択

H5 下水道事業計画変更(第6次拡張事業)【豊川市】

H7 一宮東部(江島)農業集落排水事業採択

H10 下水道事業計画変更(第7次拡張事業)【豊川市】 千両農業集落排水事業採択

H11 特定環境保全公共下水道整備開始【豊川市】

H12 一宮西部農業集落排水事業採択

H14 下水道事業計画変更(第8次拡張事業)【豊川市】

H20 下水道事業計画変更(第9次拡張事業)【豊川市】 都市下水路が全て変更区域に移行

H28 ストックマネジメント事業開始

H29 下水道事業計画変更(第10次拡張事業) 下水道総合地震対策計画策定

 

経営・その他関係

S47 下水道課設置

S48 受益者負担金条例制定

S49 下水道事業特別会計設置

S54 下水道条例制定

S55 供用開始【豊川市】 

S56 下水道建設事務所設置

S58 供用開始【旧御津町】

S61 下水道使用料改定(平均改定率31.8パーセント) 供用開始【旧一宮町・小坂井町】

S63 供用開始【旧音羽町】

H1 下水道使用料改定(平均改定率29.6パーセント) 消費税導入(3パーセント)

H4 農業集落排水事業特別会計設置

H5 下水道使用料改定(平均改定率7.3パーセント)

H7 正岡農業集落排水施設供用開始

H8 下水道使用料改定(平均改定率5.8パーセント)

H9 消費税率改定(5パーセント)

H10 農業集落排水事業が下水道部門へ移管

H12 江島農業集落排水施設供用開始

H13 上下水道部設置

H14 千両農業集落排水施設供用開始

H16 一宮西部農業集落排水施設供用開始

H17 一宮町合併

H19 音羽町・御津町合併

H20 水道料金等業務包括委託開始

H21 小坂井町合併

H23 下水道使用料改定(平均改定率7.3パーセント)

H26 消費税率改定(8パーセント)

H30 下水道事業特別会計・農業集落排水事業特別会計廃止

R1 地方公営企業法財務規定等適用開始 消費税率改定(10パーセント)

R2 下水道事業経営戦略策定予定

 

2 現状と課題、見通し

本市の下水道事業に現状と課題について、「整備(接続)」、「施設」、「財政」、「組織・人員」という下水道の経営資源に着目し、経営分析も含めて各分野別に状況を整理するとともに、「財政」については今後の見通しについて整理します。また、各分野に共通する「民間活用」、「広域化・共同化」、「災害対策」の状況についても後段にて整理します。

 

 

整備(接続)の状況

 

現 状

 

1 汚水施設の状況

公共下水道は、昭和47年度から整備に着手して以来、順次事業を拡大し、令和元年度末で処理区域面積が3,362ヘクタール、布設延長は906キロメートルとなり、下水道普及率は83.6パーセントで、県内平均値(79.3パーセント)より高くなっています。現在は、令和7年度末までを事業計画期間とし、第10次拡張事業(約130.6ヘクタール)等を進めています。また、農業集落排水事業は整備済であり、処理区域面積が163ヘクタール、布設延長が31キロメートルとなっています。なお、単独処理浄化槽や汲み取り式便所以外で汚水処理をしている人口(汚水処理人口)の普及率は、平成30年度末現在で98.1パーセントとなっており、県内平均値(91.0パーセント)より高くなっています。

 

2 雨水施設の状況

昭和30年代から都市下水路やポンプ場の整備を進め、令和元年度末で布設延長は92キロメートルに達しています。現在は、第10次拡張事業として雨水管や調整池等をはじめ、雨水浸透トレンチ等の雨水浸透施設の設置を進めています。また、市民による雨水貯留や浸透を促進するため、雨水貯留タンクや雨水浸透ますの設置等に補助金を交付しています。

 

PDF形式の資料では、 【グラフ1 公共下水道の処理区域面積及び布設延長の推移】及び【グラフ2 普及率の推移(パーセント)】を示していますが、ここでは省略します。

 

3 水洗化の状況

公共下水道事業への接続(水洗化)は、昭和55年の供用開始以来、整備の拡張に伴い順次増加し、令和元年度末の水洗化人口は144,212人、水洗化率は92.4パーセントとなっています。ただし、水洗化人口は毎年増加していますが、水洗化率は近年横ばいの状況にあります。また、農業集落排水事業では、水洗化人口が2,793人で、水洗化率は97.1パーセントであり、転出・転居により水洗化人口・率とも減少しています。

水洗化の促進に関する主な取組としては、接続啓発プランを毎年更新し、未接続者への通知、電話及び訪問による接続勧奨や、融資あっせん及び利子補給制度による接続補助を行っています。

 

PDF形式の資料では、 【グラフ3 公共下水道事業の水洗化人口及び水洗化率の推移】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

課 題

 

1 未普及の解消

汚水処理概成への対応

平成25年度に、農林水産省、国土交通省及び環境省の3省から令和8年度末に汚水処理の概成を目指すように通知がありました。現在の事業計画の予定処理区域3,971ヘクタールのうち、令和元年度末で609ヘクタールの未供用地区が残っているうえ、基盤整備が行われていないため整備が困難な市街化区域内の区域が複数あり、計画的・効率的な整備が必要となります。

雨水管の整備

現在の事業計画の予定処理区域2,655ヘクタールのうち、令和元年度末で646ヘクタールの未事業計画区域が残っているうえ、基盤整備が行われていないため道路が脆弱で雨水管整備が困難な市街化区域内の区域が複数あります。

汚水管の整備を先行し、雨水管が未整備の地区があり、汚水管が支障になる等の理由により、一般的な雨水整備費よりも費用が高くなる可能性があります。

水洗化の促進

特定環境保全公共下水道を除く公共下水道では、比較が可能な平成30年度末において、水洗化率が県内平均と比較し高くなっていますが、全国平均や類型団体平均と比較して低い状況にあります。

 

【表1 水洗化率の比較(特環除く。平成30年度末現在)】

出典:経営比較分析表(総務省 県内市平均は豊川市集計)

豊川市 91.8パーセント

全国平均 95.2パーセント

類型団体平均 94.0パーセント

県内市平均 83.7パーセント

 

未接続戸数が増加傾向にあり、特に単身高齢者世帯等の接続困難な世帯が増加しています。

比較的使用量の多い事業所や集合住宅で長期未接続があります。

接続啓発プランでの各種啓発による効果が限定的なものにとどまっています。

 

2 未事業計画区域の対応

平成27年度に策定した「豊川市汚水適正処理構想」では、下水道の全体計画面積を4,203ヘクタールとしていますが、現在の事業計画区域を完了しても約232ヘクタールの未事業計画区域が残るため、この区域における今後の計画等の取り扱いについて検討する必要があります。

県の定める全県域汚水適正処理構想の見直しに関する基本方針では、広域化・共同化の積極的な推進とともに、未事業計画区域における汚水処理の早期概成も踏まえた区域の徹底的な見直しにより構想の見直しを行う方針としており、市汚水適正処理構想でも連動して見直しが求められています。

 

3 浸水対策

調整池の整備

雨水の放流先となる河川が未整備の排水区では、雨水管の整備が完了しても排水できず冠水する地区があるため、流量調整施設として調整池の設置が必要となりますが、事業費が高いうえ、事業用地が必要となります。

雨水浸透施設の整備

平成29年度に策定した雨水浸透施設設置計画に基づき、令和6年度までに7地区において整備を進めていますが、計画期間後に整備地区を拡大するか検討が必要です。

雨水貯留浸透施設設置支援事業の推進

補助制度について広報やSNS、説明会で周知していますが、申請件数が計画値を下回っており、制度の利用促進が必要です。

内水ハザードマップの作成・公表

近年の台風や豪雨による内水氾濫(市街地等に降った雨が排水路や下水道の処理能力を超える、または川の水位が上昇して排出できない場合に、市街地等に水が溢れる状況)による浸水被害を受け、国では住民へ浸水情報を事前に提供するための「内水ハザードマップ」の作成・公表を求めています。

 

 

施設の状況

 

現 状

 

1 概要

令和元年度末における公共下水道事業及び農業集落排水事業における施設の概要(受贈含む。)は次のとおりです。

 

公共下水道事業【汚水管路】

管渠 923キロメートル

マンホール 26,610

マンホールポンプ 68か所

通報装置 68

 

公共下水道事業【雨水管路】

管渠 163キロメートル

浸透トレンチ 13キロメートル

浸透ます 95か所

マンホール 3,450

樋門 3か所(橋尾、正岡第2、安原)

 

公共下水道事業【雨水ポンプ場】

施設数 1か所(平井)

建物 105立法メートル

電気設備 4

機械設備 14

 

農業集落排水事業【管路】

管渠 31キロメートル

マンホール 1,060

マンホールポンプ 27か所

通報装置 25

 

農業集落排水事業【処理場】

施設数 4か所(正岡、千両、江島、一宮西部)

建物 597立法メートル(管理棟)

電気設備 96

機械設備 277

 

2 整備状況(取得金額ベース)

下水道施設の整備は、昭和50年代から工事が本格化し、平成に入り農業集落排水事業も加わり増高していきます。取得金額(受贈を含む 税抜)ベースで平成11年度にはピークとなる年間約45億円、平成8から12年度の5年間では約200億円となりました。その後は金額が減少し、近年では年間約20億円未満にとどまっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ4 施設の取得金額(受贈を含む)の推移(百万円 税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

3 老朽化状況

令和元年度末で耐用年数を超過した施設は、更新状況を反映した取得金額ベースで約4.3億円となり、全体の約0.4パーセントとなっています。超過した施設は、雨水施設では初期に整備された雨水管(都市下水路)や樋門、平井ポンプ場の一部構築物となっています。汚水施設では、マンホールポンプに加え、農場集落排水施設処理場の機器となっています。

なお、管路においては、令和元年度末で耐用年数を超えた雨水管が1.4キロメートル(0.1パーセント)、汚水では耐用年数を経過したものはありません。また、決算状況調査における直近で比較が可能な平成30年度末の状況では、全国平均(5.64パーセント)、類型団体平均(5.04パーセント)及び県内平均(4.64パーセント)となっており、本市は比較的老朽化が進んでいない状況にあります。

 

PDF形式の資料では、【グラフ5 耐用年数超過事業等別金額(受贈を含む)(千円)】及び【グラフ6 取得年度別管延長(受贈を含む)(メートル)】を示していますが、ここでは省略します。

 

4 更新状況

公共下水道事業

汚水施設は、整備を開始してから令和4年度には管渠の耐用年数となる50年を迎えます。現在、平成28年度に策定した第1期ストックマネジメント計画に基づき、令和元年度末までに、牛久保処理分区において損傷の激しい管渠の更生工事2.6キロメートル、管渠の部分内面補強20か所、マンホール蓋の取替工事321か所を行いました。令和2年度には第2期ストックマネジメント計画を策定し、牛久保、御津西部第1、小坂井西部処理分区において更生等工事を進めていく予定です。このほか、音羽処理分区のうち赤坂台地区では管渠の取替工事を平成3年度から進めており、小坂井北部処理分区の一部においても管渠の更新を行っています。

雨水施設のうち管渠は、すでに耐用年数となる50年を経過したものもあるため、令和元年度に点検調査を実施し、その状況を踏まえ第2期ストックマネジメント計画にて位置づけし、更生等工事を進めていく予定です。平井ポンプ場は、老朽化が著しかったため、平成24年度に建物等を大幅にリニューアルしました。電気設備や機械設備については、毎年点検調査を実施し、不具合があったものについて更新しています。

なお、総務省の経営比較分析表における管渠の改善率は、特定環境保全公共下水道を除く公共下水道で汚水・雨水管含めて、令和元年度末で0.09パーセントとなっており、直近で比較が可能な平成30年度末の全国平均(0.23パーセント)、類型団体平均(0.25パーセント)及び県内平均(0.14パーセント)と比べ低くなっています。これは、汚水管については事業着工から耐用年数となる50年が経過していないため、点検調査の結果を踏まえても比較的老朽化が進んでいないこと、雨水管は経過したものがありますが、点検調査結果においても更新を要するまでの状態になっていないことによります。

 

農業集落排水事業

最も年数の古い正岡処理場で、平成4年度の建設開始から約30年となります。これまでマンホールポンプや処理場の機器については、一定の年数の経過、あるいは不具合の状況に応じて更新や修繕を行ってきています。令和元年度に行った機能診断の結果では、比較的老朽化していない状況が確認されています。

 

5 耐震・耐水化状況

耐震化状況

阪神淡路大震災や東日本大震災等の大規模な地震による被害状況を受け、防災や国土強靱化関連の計画のもと、下水道施設の耐震化が進められています。本市の公共下水道については、平成29年度に策定した「総合地震対策計画」に基づき、令和元年度末までに、重要な幹線等のうち、特に優先度の高い箇所において、管渠更生工事0.3キロメートル、マンホール管口可とう継手の設置工事44か所を行い、管渠の耐震化率は38パーセントとなりました。農業集落排水施設については、特別な地震対策は行っていません。

 

【重要な幹線等の定義】

下水道施設の機能として重要なもの

下水を流したり、集めたりする機能面からみて重要な管路

防災対策上必要と定められた施設等からの排水を受ける管路

被災により二次災害の影響が大きい箇所に埋設されたもの

1次及び第2次緊急輸送道路、市が防災対策上で重要と指定した道路の車道下に埋設された管路

軌道や河川等を横断する管路

 

耐水化状況

近年の頻発化・激甚化する豪雨等により洪水等が発生し、下水道施設が浸水して機能が停止するという事態が各地で生じたことを受け、国では下水道施設の浸水を防止する「耐水化」を推進するように求めています。本市では、平成24年に平井ポンプ場を大規模更新した際に、防水板の設置や機器のかさ上げを行い、浸水深で1メートルに耐えられるようにしています。農業集落排水施設については、特別な浸水対策は行っていません。

 

6 不明水・誤接続対策の状況

施設の老朽化等により、破損した部分から管渠等へ浸入する雨水や地下水を「不明水」といいます。一方で、下水道使用料の算出基礎となる水道の使用量等を「有収水量」といい、この有収水量と処理場にて受け入れられる排水量との割合を「有収水率」といいます。この有収水率が低い場合は、不明水が多い可能性があり、特に本市では、排水量に応じて処理にかかる負担金を愛知県に支払っていることから、不明水の抑制(有収水率の向上)が経費節減につながることとなります。この不明水の抑制対策としては、平成23から27年度に不明水の多い地区で浸入箇所を特定するために詳細な調査を行い、改築・修繕を施しているほか、排水設備の確認申請時において、図面や現地検査により雨水管の誤接続の状況を確認しています。なお、令和元年度における不明水の割合は6.6パーセントとなっており、管路計画上考慮される不明水の割合15パーセントと比較して大きく下回っています。

 

【表2 直近5年間の有収水率及び不明水割合の推移】

出典:市町村公営企業のあらまし(発行:愛知県市町村振興協会)加工集計及び決算状況調査(令和元年度)

有収水率 H27 90.3パーセント H28 92.9パーセント H29 93.7パーセント H30 91.6パーセント R1 93.4パーセント

不明水割合 H27 9.7パーセント  H28 7.1パーセント H29 6.3パーセント H30 8.4パーセント R1 6.6パーセント

 

7 その他の状況

 

閉塞対策の状況

下水道は、老朽化等に伴う管渠の破損等や固形物の堆積により排水の流れが止まり、上流部で排水が噴き出すという閉塞事故が起こります。この閉塞を未然に防止するため、本市では上述した管渠の改築・更新工事を進めるほか、過去に閉塞した箇所や、閉塞の主な要因となるオイルボール(油と他の固形物が混ざり固形化したもの)が生成する可能性の高い箇所について、マンホール内の堆積状況調査(閉塞予防調査)を年3回行い、その結果により清掃を行っています。なお、閉塞しやすい伏せ越し管路については、2年に1回の清掃を行っています。また、市民等に対して下水道の正しい使い方について広報等で周知しています。

 

水質対策の状況

下水道は何でも排水できるわけではなく、施設の機能を妨げ、施設を損傷するおそれのある下水を排除する使用者に対し、施設を保護するために、法令により除害施設の設置等の必要な措置を講じることを義務付けています。また、水質汚濁防止法等に規定する特定施設の届出のある特定事業場においては、下水の水質が基準に適合しない場合は、下水道への排水が禁止されています。

こうした水質規制について順守されているか確認するため、本市では1か月あるいは3か月に1回、令和元年度末現在で市内に27か所ある特定事業場から計量証明書による水質報告を受けています。また、全特定事業場において2年に1回の頻度で採水と水質検査を行うとともに、水質管理状況に関する確認と聞き取りを毎年行っています。

 

 

課 題

 

1 長寿命化対策

今後50年間において、各施設の耐用年数をもとに、取得金額により更新費用を算出すると、雨水施設では令和13から17年度に約43億円、汚水施設では令和28から32年度にピークの約165億円、全体でも同期間に約197億円で年間平均約40億円となり、多額の更新費用が特定の期間で集中的に必要となります。また、管延長ベースでは、令和12年度末(2030年度)に約1割、2040年度には3割、2050年度には5割を超える管が耐用年数を超過する見込みです。

農業集落排水事業では、管渠の大半が標準耐用年数の半分にも達していませんが、一宮東部と一宮西部処理区は強度が比較的弱いとされている陶管(セラミック管)が使用され、早期の破損が生じてきています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ7 取得金額ベースの更新費用見込み(百万円)】及び【グラフ8 公共下水道事業における耐用年数超過管延長と割合】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 耐震・耐水化対策

耐震化対策

現在の計画以降の具体的な計画がありません。

公共下水道施設では、重要な幹線等の中でも、優先順位の高いものにとどまり、すべての幹線等の耐震診断が実施できていません。

農業集落排水施設では、処理場の構造物等における耐震について十分に確認できていません。

耐水化対策

国では施設の浸水対策を進めるため、令和3年度までに「耐水化計画」を策定する等の対策を講じるように求めています。

河川氾濫の影響を受ける可能性がある施設の耐水化を今後検討する必要があります。

 

3 不明水・誤接続防止対策

広域的な不明水調査を行う場合は、従来の調査方法ではコストや日数が多くなり、データの精度が劣ることから、より適正な調査方法を選択する必要があります。

排水設備の確認申請時に行う雨水管への誤接続検査は、図面ではすべて確認しているものの、現地検査は可能な範囲での確認にとどまっています。また、古い排水設備については把握できていない状況です。

 

4 その他

閉塞対策

閉塞により汚水が逆流した場合は、補償問題となるうえ、原因者が特定された場合でも費用を請求することが困難なため、適切な予防対策が必要となります。

水質規制の保持

特定施設の届出がない事業場があるため、水質異常の発生原因が特定できず、継続的に水質異常が発生する事態となっています。

事故直後に下水道管理者へ報告されない等、報告が徹底されていないため、排除基準の順守が適切かつ継続的に行われていません。

 

 

財政の状況(見通し)

 

収入の状況

 

現 状

 

全体額の状況

 

1 公共下水道事業

昭和48年度に豊川市で公共下水道事業特別会計を設置してからの状況を収益的収入と資本的収入で区分して推移をみると、当初から平成10年度までは整備の拡張とともに借入金や国庫補助金等の資本的収入が増加します。一方で収益的収入は、昭和55年度から豊川市で下水道が供用開始され下水道使用料の徴収が始まった後、整備の拡大に合わせて増加していきます。平成10年度には資本的収入が最高額の約50億円、合わせて764千万円に達しますが、その後は整備規模の縮小によりいずれも減少します。平成19年度には補償金免除による借入金の繰上返済の影響により収益的収入が最高額の約40億円と一時増加し、合わせて約773千万円となりますが、その後は減少し、直近では50億円前後で推移しています。なお、平成30年度が大きく減少しているのは、企業会計への移行による打切決算を行ったためです。令和元年度は企業会計へ移行し、長期前受金戻入額等従来にない収入が加わったり、収益的収入が税抜となったりしたため比較が困難となりましたが、全体で約574千万円となりました。

 

PDF形式の資料では、【グラフ9 公共下水道事業全体額の推移(千円:R1の収益的収入のみ税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 農業集落排水事業

平成4年度に豊川市で農業集落排水業特別会計を設置してからの状況を収益的収入と資本的収入で区分して推移をみると、当初から平成16年度までは4か所の施設整備のため、資本的収入が多くなっており、平成11年度には約67千万円となりましたが、平成17年度以降は一般会計繰入金のみとなったため大幅に減少しています。一方で収益的収入は、平成7年度から正岡地区の供用開始に伴い農業集落排水施設使用料の徴収を開始して以来、新たな施設の供用開始や水洗化率の向上により使用料が増加しましたが、一般会計繰入金により推移は増減し、平成28年度には最高額となる約9,500万円となりました。令和元年度は、公共下水道事業と同様に企業会計へ移行したため比較が困難となりましたが、全体で約22千万円となりました。

 

PDF形式の資料では、【グラフ10 農業集落排水事業全体額の推移(千円:R1の収益的収入のみ税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

各収入の状況

 

1 下水道使用料

有収水量の状況

下水道使用料は、水道や井戸水の使用水量によって金額が決定されます。このため、メーター等にて計測された「有収水量」の増減が、下水道使用料に大きく影響します。この有収水量は、供用を開始した昭和55年度から、整備の拡張に伴い一貫して増加し、平成12年度に1,000万立法メートル、平成29年度に1,500万立法メートルを超え、令和元年度では1,572万立法メートルとなっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ11 有収水量の推移(千立法メートル)】を示していますが、ここでは省略します。

 

調定額の推移

下水道使用料の調定額は、昭和55年度の徴収開始から、整備の拡張に伴い平成21年度と平成25年度を除いて対前年度で増加し、平成8年度に年間10億円、平成28年度に20億円を超え、令和元年度では約212千万円となっています。対前年度の増加額は使用料の改定等に伴い大きくなり、過去最大は平成元年度の改定時に約13,500万円、近年では平成23年度の改定時に約9,300万円の増額となりましたが、直近では整備規模の縮小や平均使用量の減少もあって伸びが鈍化しています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ12 下水道使用料の推移(調定額ベース 千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

料金体系と改定の状況

下水道使用料の料金体系は、徴収を開始した昭和55年度から現在まで、10立法メートルまでを使用量の有無にかかわらず定額とする基本使用料と、それを超えた場合に使用量に応じて算定する従量使用料を組み合わせた基本水量制とし、従量使用料では使用料の増加に応じて単価が増加する累進使用料制を採用し、その使用者群を6段階に区分しています。

下水道使用料の増額改定は、過去に5回(昭和61年度(平均改定率31.8パーセント)、平成元年度(29.6パーセント)、平成5年度(7.3パーセント)、平成8年度(5.8パーセント)、平成23年度(7.3パーセント))行っています。また、旧町では、一宮町1回(平成10年度)、音羽町1回(平成8年度)、御津町2回(平成元年度・18年度)、小坂井町1回(平成元年度)の増額の改定を行っています。なお、使用者群は、昭和61年度に一部見直しを行い、平成8年度に現在の7段階制(基本使用料含む。)となりました。消費税については、平成元年度の消費税導入に伴い内税方式にて始め、平成5年度に外税方式を採用し、以降平成9年度(5パーセント)、平成26年度(8パーセント)、令和元年度(10パーセント)の税率改正に伴い改定しています。

なお、下水道使用料については、3から4年間隔で改定にかかる見直しを行ってきています。直近では令和元年度に令和2から5年度までの4年間にかかる見直しを行い、試算の結果により改定を行わないこととしました。

 

PDF形式の資料では、【表3 下水道使用料改定(豊川市)の状況】及び【表4 月額下水道使用料の変遷(円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

他市との比較状況

20立法メートルの下水道使用料(税込)は、令和241日現在で、愛知県内38市の中で19番目に高く中位に位置し、県内平均金額(2,095円)より低く、東三河地方の5市では田原市に次ぎ低くなっています。また、全国の類型団体53市では、全体で2番目に低い状況にあります。

 

PDF形式の資料では、【グラフ13 愛知県内各市の20立法メートルの下水道使用料(1か月あたり 円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 農業集落排水施設使用料

接続戸数及び水洗化人口の状況

農業集落排水施設使用料は、接続している世帯等に等しく一定額とする均等割額と、世帯員等の数に応じて算定する人員割額で構成されています。このため、対象地域の接続戸数や水洗化人口(世帯人員数)の増減が使用料収入に影響してきます。接続戸数の状況は、正岡地区の供用が開始された平成7年度から、各処理場の供用開始とともに一貫して増加し、令和元年度には853戸となっていますが、水洗化人口は、平成24年度の3,103人をピークとして、その後は死亡や転居・転出により減少し、令和元年度は2,793人となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ14 農業集落排水施設の接続戸数及び水洗化人口の推移(毎年41日現在)】を示していますが、ここでは省略します。

 

調定額の推移

農業集落排水施設使用料の調定額は、平成7年度の徴収開始から、処理場の供用開始に伴い対前年度で増加し、平成14年度には1千万円を、平成17年度には3千万円を超え、平成26年度に消費税率の改定の影響もありピークとなる34,928千円となりました。その後、接続戸数は増加しているものの、水洗化人口の減少が影響して減少に転じ、令和元年度の消費税改定でもピークに及ばず34,635千円となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ15 農業集落排水施設使用料調定額の推移(調定額ベース 千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

料金の算定方法と改定の状況

農業集落排水施設使用料は、徴収を開始した平成7年度から均等割額と人員割額にて算出しており、各地区の単価は供用開始時の金額から変更がありません。また、消費税については、下水道使用料と同様に税率改正に伴い改定しています。

なお、農業集落排水施設使用料については、4から5年間隔で改定にかかる見直しを行ってきています。直近では令和元年度に令和2から5年度までの4年間にかかる見直しを行い、試算の結果により改定を行わないこととしました。

 

【表5 各地区別月額農業集落排水施設使用料】

正岡地区 均等割額 2,440円 人員割額 250

千両地区 均等割額 2,370円 人員割額 300

江島地区 均等割額 2,090円 人員割額 300

一宮西部地区 均等割額 2,090円 人員割額 300

 

3 一般会計繰入金

公共下水道事業

一般会計からの繰入金は、総務省から発出される繰出基準により、雨水処理のほか、汚水処理に係る分流式や水質規制、水洗化促進等、対象となる経費が定められており、その多くを元利償還金が占めています。ただし、その基準内の金額だけでは建設改良費等の支出を補えないため、基準外の繰入を行っており、令和元年度では繰入金全体の約5割を占めています。金額の推移は、整備の状況とともにも増減し、平成5年から16年度にかけては約25億円となりました。その後は、平成19年度に補償金免除による借入金の繰上返済を行うために一時的に増額したことを除き、整備規模の縮小や元利償還金の減額に伴い減少し、令和元年度では約76千万円となっています。なお、地方公営企業法を適用した令和元年度からは、新たに策定した豊川市一般会計繰出基準に基づき、繰入金額を計上することとしています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ16 公共下水道事業の一般会計繰入金額の推移(平成21年度以降は総務省繰出基準内・外状況)(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

農業集落排水事業の繰入金は、公共下水道事業と同様に、平成4年度からの整備とともに繰入金額が増加し、平成13年度には約9千万円に達しました。近年では、元利償還金は減少しているものの、施設の老朽化等に伴い維持管理費が増加していることにより、繰入金額が年々増加し、令和元年度は約6,800万円となるとともに、基準外の繰入の割合も増加しています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ17 農業集落排水事業の一般会計繰入金額の推移(平成21年度以降は総務省繰出基準内・外状況)(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

4 借入金

借入金は、国・県補助金とともに整備の主たる財源として充てられるもので、世代間の公平な負担という役割も担っています。借入金額は、整備の状況に応じて基本的には増減しますが、国・県補助金や受益者負担金・分担金の状況によっても左右されます。金額の推移は、整備の状況とともに増減し、平成4年度からは15から20億円、平成1011年度には約24億円の借入金額となりました。その後は借入金の繰上償還や借り換えにより一時増加した時期もありましたが、整備規模の縮小に伴い減少に転じ、直近では10億円前後で推移し、令和元年度は約112千万円となりました。なお、農業集落排水事業においては、近年建設改良費にかかる借入金はありません。

 

PDF形式の資料では、【グラフ18 借入金の推移(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

5 国・県補助金

国庫補助金は、現在では国土交通省が示す一定の要件を満たした事業を対象に社会資本整備総合交付金として交付を受けることができるもので、整備の財源として充てられます。県費補助は、整備当初からありましたが、平成22年度以降は令和元年度(ストックマネジメント事業)を除き交付を受けていません。また、農業集落排水事業については、整備の期間(平成4から16年度)しか交付されていません。金額の推移は、整備の状況とともに増減し、平成10年度には約15億円に達しました。その後は整備規模の縮小に伴い減少し、直近では4から6億円で推移して令和元年度は約61千万円となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ19 国・県補助金の推移(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

6 受益者負担金・分担金

受益者負担金・分担金は、汚水に係る下水道事業に要する費用の一部に充てるため、関連法令に基づき対象者に一定の負担を求めるものです。受益者負担金は都市計画法に基づくもので、都市計画決定された公共下水道事業の区域を対象とし、その金額は、負担区ごとに定めた単価に土地の面積を乗じて算出されます。分担金は、地方自治法に基づくもので、公共下水道事業では、都市計画決定がされていない区域を対象とし、その金額は、排水施設ごとに定めた単価に公共汚水ますの数を乗じて算出され、農業集落排水事業では施設ごとに1戸あたりの金額が定められ、施設の整備終了とともに平成16年度に徴収を終えています。金額の推移は、豊川市で昭和49年度から受益者負担金の徴収を開始し、平成2年度には最高となる約48千万円となりました。その後は2から4億の間で推移しましたが、直近では整備規模の縮小により1億円前後となり、令和元年度は約8,500万円となりました。

 

PDF形式の資料では、【グラフ20 受益者負担金・分担金の推移(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

見通し

 

今後の見通しについて、中期的な期間(経営戦略の計画期間)となる令和3から12年度の10年間(年度ごと)と、その後の長期的な期間となる2060年までの30年間(5年ごと)に区別して整理します。

 

1 収益的収入

公共下水道事業

中期的(10年間)見通し

全体額は下水道使用料等の減少により徐々に減少し、令和12年度は令和3年度と比較して約41千万円減少し、約364千万円となると見込みます。主なポイントは次のとおりです。

【下水道使用料】 下水道の拡張整備が続くことにより、使用者は増加しますが、近年の節水傾向を反映し、20立法メートル以下の小口使用者は増加するものの、中口や大口使用者は減少して全体額は横ばいで推移し、令和12年度は令和3年度と比較して700万円減少すると見込みます。

【その他営業収益】 一般会計からの繰入金となる他会計負担金が元利償還金の減少により減少し、令和12年度は令和3年度と比較して約9千万円減少すると見込みます。

【長期前受金戻入額】 拡張整備が続くため令和7年度までは増加しますが、その後は汚水管の整備が始まった当初の財源が償却を終えるため減少し、令和12年度は令和3年度と比較して約5,200万円が減少すると見込みます。

【特別利益】 県流域下水道維持管理費負担金返還金が減少し、令和5年度に約26千万円減少すると見込みます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ21 公共下水道事業収益的収入の中期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

国立社会保障・人口問題研究所の発表した「日本の地域別将来推計人口(平成302018)年推計)」や令和23月に改訂された豊川市人口ビジョンをもとに長期的な収益的収入の全体額を高位・中位・低位に区分して試算した結果、いずれの場合も減少の一途をたどり、令和12年度(2030年)と比較して、高位で約106千万円減の約258千万円、低位では約136千万円減の約228千万円となりました。人口の減少により大幅に下水道使用料が減少するほか、投資額の減少により長期前受金戻入額が減るとともに、低位では、他会計負担金や補助金の減少も見込んでいます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ22 公共下水道事業収益的収入の長期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

中期的(10年間)見通し

全体額はその他営業収益等の減少により徐々に減少し、令和12年度は令和3年度と比較して約5,200万円減少し、約11,600万円となると見込みます。主なポイントは次のとおりです。

【農業集落排水施設使用料】 世帯分離等により接続戸数は微増となるものの、転出・転居や自然減により水洗化人口が減少するため、令和12年度は令和3年度と比較して約60万円減少すると見込みます。

【その他営業収益】 一般会計からの繰入金となる他会計負担金が元利償還金の減少により減少し、令和12年度は令和3年度と比較して約2,600万円減少すると見込みます。

【補助金】 一般会計からの補助金が約1,800から1,900万円で推移すると見込みます。

【長期前受金戻入額】 当初に設置した設備の償却が進み、令和12年度は令和3年度と比較して約2,100万円減少すると見込みます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ23 農業集落排水事業収益的収入の中期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

公共下水道事業と同様に、日本の地域別将来推計人口(平成302018)年推計)や豊川市人口ビジョンをもとに長期的な収益的収入の全体額を高位・中位・低位に区分して試算した結果、いずれの場合も減少の一途をたどり、令和12年度(2030年)と比較して、高位で約6,200万円減の約5,400万円、低位では約7,200万円減の約4,300万円となりました。人口・世帯数の減少により農業集落排水施設使用料が減少するほか、当初に整備した施設の長期前受金戻入額や他会計負担金が大幅に減るとともに、低位では他会計補助金が減少することを見込んでいます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ24 農業集落排水事業収益的収入の長期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 資本的収入

中期的(10年間)見通し

公共下水道事業

全体額は、第10次拡張整備の状況とともに増減し、令和3から8年度は約20から23億円、その後は整備規模の縮小に伴い減少し、令和12年度は約14億円となる見込みです。主なポイントは次のとおりです。

【企業債】 令和3から8年度までは第10次拡張整備が集中的に行われることにより約14から17億で推移し、令和9年度以降は規模が縮小するため、約10から11億となる見込みです。

【他会計出資金】 企業債償還金が減少することから、令和12年度は令和3年度と比較して約1,600万円減となります。

【国庫補助金】 整備の状況により増減し、約3から6億で推移すると見込みます。

【受益者負担金等】 第10次拡張整備の進展に伴い増加し、令和7年度には約12千万円を見込みますが、期間の後半は整備規模の縮小に伴い減少する見込みです。

 

PDF形式の資料では、【グラフ25 公共下水道事業資本的収入の中期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

全体額のほとんどが他会計出資金を財源とし、管渠の改築や処理場等の機器の更新に合わせて大きく増減しています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ26 農業集落排水事業資本的収入の中期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

下水道事業全体の見通しとしては、2030年(令和12年度)以降に大規模な拡張整備がなく、部分的な未普及整備となる一方で、改築・更新に係る費用が増額すると見込みます。全体額は、投資の平準化により約125から6千万円で推移し、主な経費の内訳としては企業債が10億円、他会計補助金が5千万円、国庫補助金が2億円と見込み、受益者負担金等は減少していく見込みです。

 

PDF形式の資料では、【グラフ27 下水道事業資本的収入の長期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

課 題

 

1 使用料の見直し

現在の下水道使用料の料金体系(基本水量制)では、10立法メートルまで一律の料金となるため、節水による恩恵を受けづらくなっています。

都市計画税を財源とする一般会計からの繰入れを維持管理費や資本費に充てている一方で、下水道使用料では市街化区域と市街化調整区域の料金が一律となっており、不均衡な状況となっています。

農集落排水施設使用料では、多くの維持管理業務を共同で実施していますが、処理区域により料金が異なっています。

 

2 経費回収率の向上

令和元年度末の特定環境保全公共下水道を除く公共下水道事業の経費回収率(汚水処理費に占める下水道使用料の割合)は89.3パーセントとなり、直近で比較が可能な平成30年度末で県内市の平均よりは高いものの、全国平均や類型団体平均と比較して低いうえ、経営の健全性の基準となる100パーセントを下回っています。

 

【表6 公共下水道事業経費回収率の比較(特環除く。豊川市は令和元年度、その他は平成30年度末現在)】

出典:経営比較分析表(総務省 県内市平均は豊川市集計)

豊川市 89.3パーセント

全国平均 100.9パーセント

類型団体平均 99.8パーセント

県内市平均 79.1パーセント

令和元年度末の農業集落排水事業の経費回収率は73.5パーセントとなり、直近で比較が可能な平成30年度末の全国平均や類型団体平均と比較して高くなっていますが、100パーセントを大幅に下回っています。

 

【表7 農業集落排水事業経費回収率の比較(豊川市は令和元年度、その他は平成30年度末現在)】

出典:経営比較分析表(総務省)

豊川市 73.5パーセント

全国平均 59.5パーセント

類型団体平均 65.4パーセント

 

いずれの事業においても、経費回収率の向上を図るため、経費の削減とともに、適正な使用料による収入の確保が必要となっています。

 

3 一般会計繰入金の見直し

令和元年度からは、令和5年度までを期限とした新たな一般会計繰出基準に基づき、繰入金額を計上しています。この基準は総務省の定める基準と異なる部分があるため、令和6年度以降は見直され、総務省の基準外にあたる繰入金が大幅に減額される可能性があります。

農業集落排水事業においては、資本的収入においてこれまで以上に基準外の繰入が必要となり、一般会計の負担が増加することが見込まれます。

 

4 滞納整理の推進

令和元年度の下水道使用料等の収納率(現年分)は、いずれも95パーセントを超え、比較的高い数値となっていますが、過年度未収金の収納率は現年度分と比べて低く、特に受益者負担金や分担金は3割に満たない状況です。未収金の中には高額なものもあるため、適切な滞納整理が必要となっています。

 

8 各収入の収納率(令和25月末現在)

出典:豊川市上下水道部下水管理課独自集計資料

令和元年度分 下水道使用料 99.3パーセント 農集使用料 99.2パーセント 受益者負担金 95.8パーセント 分担金 99.3パーセント

過年度分 下水道使用料 95.5パーセント 農集使用料 94.9パーセント 受益者負担金 25.1パーセント 分担金 22.6パーセント

 

9各収入の不納欠損額

出典:豊川市上下水道部下水管理課独自集計資料

令和元年度 下水道使用料 1,096,358円 農集使用料 10,659円 受益者負担金 378,990円 分担金 72,400

平成30年度 下水道使用料 1,702,746円 農集使用料 29,484円 受益者負担金 235,680円 分担金 110,800

 

5 国庫補助金の確保

汚水処理施設の概成(95パーセント)に伴う未普及整備の非重点化や、改築・更新費用の受益者負担の原則による国費支援の縮小・廃止といった動きがあり、今後は投資経費の大きな財源を失う可能性があります。

令和23月に国から発出された通知により、少なくとも5年に1回下水道使用料の改定の必要性を検証し、経費回収率の向上に向けたロードマップを経営戦略に記載することが、令和7年度以降の社会資本整備総合交付金等の要件となっています。

 

 

支出の状況

 

現 状

 

全体額の状況

 

1 公共下水道事業

昭和48年度に豊川市で公共下水道事業特別会計を設置してからの状況を収益的収入と資本的収入で区分して推移をみると、収入と同様に当初から平成10年度までは整備の拡張とともに建設改良費等の資本的支出が増加します。一方で収益的支出は、昭和55年度から豊川市で下水道が供用開始され後、整備の拡大に合わせて維持管理費や支払利息等が増加していきます。平成10年度には資本的支出が約52億円、合わせて764千万円となり、収益的支出も支払利息の影響で平成13年度に約248千万円に達しますが、その後は整備規模の縮小や支払利息の減少によりいずれも減少します。平成19年度には補償金免除による借入金の繰上返済の影響により資本的支出が最高額の約589千万円と一時増加し、合わせて約771千万円となりますが、その後は減少し、直近では50億円前後で推移しています。なお、平成30年度が大きく減少しているのは、企業会計への移行による打切決算を行ったためです。令和元年度は、企業会計へ移行し、減価償却費等従来にない支出が加わったため比較が困難となりましたが、全体で約711千万円となりました。

 

PDF形式の資料では、【グラフ28 公共下水道事業全体支出額の推移(千円:R1の収益的支出のみ税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 農業集落排水事業

平成4年度に豊川市で農業集落排水業特別会計を設置してからの状況を収益的支出と資本的支出で区分して推移をみると、収入と同様に当初から平成16年度までは4か所の施設整備のため、資本的支出が多くなっており、平成11年度には資本的支出が約67千万円、全体で68千万円となりましたが、平成17年度以降は主に元金償還金となったため大幅に減少し、資本的支出は3千万円強で推移しています。一方で収益的収入は、平成7年度から正岡地区が供用開始して以来、新たな施設の供用開始や施設の老朽化により維持管理費が増加し、直近では約6千万円前後で推移し、平成29年度には最高額の約6,500万円となりました。なお、平成30年度の減少は公共下水道事業と同様に打切決算を行ったためです。令和元年度は、同様に企業会計へ移行したため比較が困難となりましたが、全体で約22千万円となりました。

 

PDF形式の資料では、【グラフ29 農業集落排水事業全体支出額の推移(千円:R1の収益的支出のみ税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

各支出の状況

 

1 維持管理費

施設における電気料等の動力費、修繕費、委託料等の維持管理費(職員給与費及び豊川流域下水道維持管理費負担金は除く。)について、事業別に状況を整理します。

 

公共下水道事業

豊川市で公共下水道が供用開始した昭和55年度からの推移は、整備の拡張や水洗化人口の増加、施設の老朽化とともに増減はあるものの増加傾向にあります。この維持管理費の中で最も多くを占める委託料は、平成4から21年度までは8千万円前後で推移していましたが、その後は下水道使用料等徴収の包括委託等の影響により1億円前後で推移しています。なお、平成27から29年度までが高くなっているのは、企業会計移行に係る業務委託によるものです。また、修繕費は平成13年度からベースが増加し、直近では5千万円前後で推移しています。令和元年度は、企業会計への移行により消費税が税抜表示となり、費用区分が見直されたため、比較が困難となりましたが、全体で約15千万円となり、その内訳は、費目別で委託料が約11千万円(70.8パーセント)、修繕費が約1,300万円(8.8パーセント)、動力費が約600万円(3.9パーセント)等となり、施設別では管渠費が約8,800万円(58.6パーセント)、ポンプ場費が約500万円(3.1パーセント)、その他が約5,800万円(38.3パーセント)となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ30 公共下水道事業維持管理費の推移(千円:R1のみ税抜)】及び【グラフ31 令和元年度公共下水道事業維持管理費の内訳】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

正岡地区で農業集落排水施設が供用開始した平成7年度からの推移は、供用開始や水洗化人口の増加、施設の老朽化とともに増加傾向が顕著で、平成29年度は約4,800万円となりました。内訳のうち動力費及び最も多くを占める委託料は、施設の増設とともに増加しますが、平成1617年度から動力費が約700万円、委託料が約2,000万円前後で推移しています。また、修繕費は対象となった設備等により金額は増減しますが、近年は増加傾向にあります。令和元年度は、公共下水道事業と同様に比較が困難となりましたが、全体で約3,300万円となり、その内訳は、費目別で委託料が約2,100万円(62.4パーセント)、動力費が約690万円(20.7パーセント)、修繕費が約280万円(8.4パーセント)等となり、施設別では処理場費が約2,700万円(80.6パーセント)、管渠費が約500万円(15.2パーセント)、その他が140万円(4.2パーセント)となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ32 農業集落排水事業維持管理費の推移(千円:R1のみ税抜)】及び【グラフ33 令和元年度農業集落排水事業維持管理費の内訳】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 流域下水道維持管理費負担金・建設費負担金

維持管理費負担金

豊川市内の公共下水道を流れる汚水は、愛知県が管理する豊川流域下水道に排出され、豊川浄化センターにて処理されています。この施設に係る維持管理費については、同じく流域下水道に排出している豊橋市、蒲郡市、新城市とともに県と覚書によって設定される負担金の単価に排出量を乗じて算定されます。

豊川市で公共下水道が供用開始された昭和55年度からの推移は、整備の拡張や水洗化率の向上による排出量の増加に合わせ増加しますが、使用料の算定基礎となる有収水量だけでなく、雨水等の浸入水(不明水)が加わるため、降水量等の影響により増減しています。また、負担金の単価は概ね3年ごとに見直され、平成元年度から平成13年度は比較的高い単価で推移したため、排出量に比べ負担金額が高い状況が続きました。平成14年度以降は維持管理費に係る単価が安くなっていく影響で、負担金額が減少した後に緩やかに増加しています。なお、負担金額の算定については、平成30年度までは維持管理費と資本費の両方で排出量に応じていましたが、県の企業会計移行により資本費の算定方法が見直され、令和元年度は排出量が約1,683万立法メートルと過去最高となった一方で、負担金額は約75,300万円にとどまっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ34 流域下水道への排出量及び維持管理費負担金の推移】及び【グラフ35 流域下水道維持管理費負担金単価の推移(円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

建設費負担金

豊川流域下水道の施設の整備や改築等については、愛知県の規定に基づきその一部は関係市の負担となり、その割合は利用申込汚水量にて決定されます。負担金額の推移は、流域下水道の整備が続く昭和の時代は15千万円を超える金額で推移していましたが、その後は焼却炉の建設や水処理施設の増設等の施設の整備・改築に合わせ増減しています。直近では、平成2728年度に一時増加しましたが、その他の年度は1億円未満で推移し、令和元年度は約6,400万円となりました。

 

PDF形式の資料では、【グラフ36 流域下水道建設費負担金の推移(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

3 建設改良費

下水管の敷設、マンホールポンプや接続ますの設置、農業集落排水処理場の建設等といった下水道施設の整備や、下水管や設備の改築・更新等に係る建設改良費の推移は、豊川市で特別会計が設置された昭和48年度からみると、昭和50年代となってから汚水管の拡張整備が進み、旧4町での整備ともあいまって昭和62年には約27億円に達しました。その後一旦は減少しますが、平成4年度からは複数の拡張事業が展開されたうえ、農業集落排水事業も加わって飛躍的に金額が増加し、約35から40億で推移し、平成10年度にはピークとなる約466千万円となりました。その後は整備規模の縮小に伴い減少し、直近では15から20億で推移して令和元年度は約193千万円となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ37 建設改良費(職員給与費及び建設利息を除く)の推移(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

4 元利償還金

公共下水道事業

建設改良費等の借入金に対する元金及び利息の償還は、定額制を採用し、返済期間が概ね28から40年、元金の返済が5年据え置きで、定期的な利率の見直しが行われています。その推移は、特別会計が設置された昭和48年度からみると、元金は借入金のピークとなる平成1011年度を過ぎても据え置きの関係で増加したうえ、利息は当初、比較的高い利率となっていたため、平成17年度まで元利償還金は増加を続けました。平成19年度は元金の繰上返済や借り換えを実施した結果、元利償還金で約40億と大きく増加しましたが、平成22年度以降は、借入額の減少とともに、借り換えによる利率の見直しや利率の低下により、約20億円と大幅に減少し、その後も減少を続けています。令和元年度は元金が約148千万円、利息が約21千万円で合わせて約17億円となっています。なお、地方債現在高(元金の残高)の直近10年間の推移は、借入額が元金償還額を超えないように抑制したことにより減少が続き、令和元年度は約2187千万円となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ38 公共下水道事業の元利償還金の推移(千円)】及び【グラフ39 公共下水道事業の地方債現在高の推移(直近10年間)(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

元金及び利息の償還は、定額制を採用し、返済期間が一律30年、元金の返済が5年据え置きで、定期的な利率の見直しはありません。その推移は、借入が行われた翌年となる平成5年度から借入額の増加とともに増加し、借入が終了した16年度以降も据え置きにより平成21年度まで増加を続けました。平成22年度は借り換えを行ったことにより元利償還金が減少し、直近では約4,200万円前後で推移しています。なお、地方債現在高(元金の残高)の直近10年間の推移は、企業会計移行にかかるもの以外に借入を行っていないため減少が続き、令和元年度は約33千万円となっています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ40 農業集落排水事業の元利償還金の推移(千円)】及び【グラフ41 農業集落排水事業の地方債現在高の推移(直近10年間)(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

見通し

 

今後の見通しについて、中期的な期間(経営戦略の計画期間)となる令和3から12年度の10年間(年度ごと)と、その後の長期的な期間となる2060年までの30年間(5年ごと)に区別して整理します。

 

1 収益的支出

公共下水道事業

中期的(10年間)見通し

全体額は今後増加傾向にあり、令和10年度に約387千万円となる見込みです。令和11年度以降は減価償却費の減少の影響により減少しますが、令和12年度は令和3年度と比較して約1億円増加して約382千万円となると見込みます。主なポイントは次のとおりです。

【職員給与費】 令和3年度から令和8年度までは約11千万円となり、横ばいで推移しますが、令和9年度以降は維持管理に係る職員数の増加により約14から5千万円となると見込みます。

【動力費】 下水道施設の整備拡張や老朽化に伴い徐々に増加すると見込みます。

【修繕費】 3,100から3,200万円で推移すると見込みます。

【その他営業費用】 その他営業費用のうち多くを占める豊川流域下水道維持管理費負担金は、有収水量の増加に伴い排出量は増加し、その他営業費用全体では令和12年度は令和3年度と比べ約3,100万円増加すると見込みます。

【減価償却費】 拡張整備の影響により令和9年度までは増加し、令和12年度は令和3年度と比較して約3,100万円増加すると見込みます。なお、令和10年度以降は汚水管の整備が始まった当初の資産が償却を終えるため減少する見込みです。

【支払利息】 令和6年度までは減少が続きますが、拡張整備の影響により、その後は上昇に転じ、令和12年度は約16千万円となると見込みます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ42 公共下水道事業収益的支出の中期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

国立社会保障・人口問題研究所の発表した「日本の地域別将来推計人口(平成302018)年推計)」や令和23月に改訂された豊川市人口ビジョンをもとに長期的な収益的支出の全体額を高位・中位・低位に区分して試算した結果、いずれの場合も減少の一途をたどり、令和12年度(2030年)と比較して、高位で約121千万円減の約261千万円、低位では約131千万円減の約251千万円となりました。人口の減少により排出量が減少して豊川流域下水道維持管理費負担金や使用料徴収委託料が減少するほか、投資額の減少により減価償却費が減少することが見込まれるほか、高位では、老朽化による動力費や修繕費の増加が見込まれています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ43 公共下水道事業収益的支出の長期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

中期的(10年間)見通し

全体額は減価償却費の減少の影響により令和4年度で大幅に減少し、その後も支払利息の減少により徐々に減少し、令和12年度は令和3年度と比較して約3,100万円減少し、約12,800万円となると見込みます。主なポイントは次のとおりです。

【職員給与費】 約1,100万円の横ばいで推移します。

【動力費】 機器の老朽化により少しずつ増加すると見込みます。

【修繕費】 老朽化への対応はありますが、経常的なものにとどまると見込み、横ばいとします。

【その他営業費用】 その他営業費用のうち多くを占める委託料は、令和3年度は特別な委託があるため上昇しますが、その後は、水洗化人口の減少はあるものの、単価の上昇を見込み、横ばいとします。

【減価償却費】 当初の機器に係る資産の償却が完了する影響から令和4年度に約1,300万円減少し、その後は改築による資産減耗の影響で令和5年度に一時増加するものの少しずつ減少する見込みです。

【支払利息】 令和6年度に正岡地区、令和11年度に江島地区の支払いが完了するとともに、全体的に利息額が減少することにより、令和12年度は令和3年度と比較して約500万円減少する見込みです。

 

PDF形式の資料では、【グラフ44 農業集落排水事業収益的支出の中期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

公共下水道事業と同様に日本の地域別将来推計人口(平成302018)年推計)や豊川市人口ビジョンをもとに長期的な収益的支出の全体額を高位・中位・低位に区分して試算した結果、いずれの場合も減少傾向にあり、2030年(令和12年度)と比較して、高位で約5,200万円減の約7,700万円、低位では約7千万円減の約5,900万円となりました。投資額の減少により減価償却費が減少することが見込まれますが、一方で施設の改築や改修に伴う借入金の利息が見込まれること、高位・中位では老朽化による動力費や修繕費の増加が見込まれています。

 

PDF形式の資料では、【グラフ45 農業集落排水事業収益的支出の長期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 資本的支出

中期的(10年間)見通し

公共下水道事業)

全体額は、拡張整備の状況とともに増減し、令和3から8年度は約34から37億円、その後は整備規模の縮小に伴い減少し、令和12年度には約258千万円となる見込みです。主なポイントは次のとおりです。

【建設改良費】 令和3から8年度までは第10次拡張整備が集中的に行われることにより約21から24億で推移し、令和9年度以降は規模が縮小するため、約15億円前後となる見込みです。

【企業債償還金】 昭和や平成初期の企業債(30年償還)が終了することから減少を続け、令和12年度は令和3年度と比較して約32千万円の減少となります。

 

PDF形式の資料では、【グラフ46 公共下水道事業資本的支出の中期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

全体額は、建設改良費や企業債償還金の減少とともに減少傾向にあります。建設改良費は一宮西部農業集落排水施設における管渠の改築により令和3年度から大幅に増加しますが、機器等の更新需要の減少とともに減少すると見込んでいます。また、企業債償還金については、令和12年度が令和3年度と比較して約2,100万円減少し、令和12年度の全体額は約6,900万円となると見込みます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ47 農業集落排水事業資本的支出の中期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

下水道事業全体では、2030年(令和12年度)以降に大規模な拡張整備がなく、部分的な未普及整備となる一方で、改築・更新に係る費用が増額すると見込み、建設改良費は、投資の平準化により約12億円前後、企業債償還金は約11億円、全体額は約23億で推移すると見込みます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ48 下水道事業資本的支出の長期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

課 題

 

1 経費の抑制

維持管理費は近年増加傾向にあり、今後も施設の老朽化等により増加することが見込まれます。老朽化対策とともに民間委託等を含め、経費の抑制を図る取組が必要となっています。

 

2 投資額の平準化

近年の建設改良費は20億円未満で推移していますが、過去には年間40億を超えるものもあり、今後の改築・更新において同規模の負担が求められる可能性があります。財政負担の軽減、資金の調達の面から投資の平準化を図りながら、適切な改築・更新を進めていく必要があります。

 

3 地方債残高の抑制

地方債残高は近年減少を続けていますが、令和元年度末の特定環境保全公共下水道を除く公共下水道事業の企業債残高対事業規模比率(下水道使用料等収入に対する地方債残高の割合)は806.7パーセントとなり、直近で比較が可能な平成30年度末の県内市や類型団体の平均よりは低いものの、全国平均と比較して高くなっているため、抑制が求められます。

 

【表10 公共下水道事業企業債残高対事業規模比率の比較(特環除く。豊川市は令和元年度、その他は平成30年度末現在)】

出典:経営比較分析表(総務省 県内市平均は豊川市集計)

豊川市 806.7パーセント

全国平均 682.8パーセント

類型団体平均 875.5パーセント

県内市平均 1,001.2パーセント

※県内市平均は平成29年度までに地方公営企業法を適用した14市が対象

 

 

収支等の状況

 

収入及び支出について今後の見通しを整理しましたが、その収支等について中期的な期間(経営戦略の計画期間)となる令和3から12年度の10年間(年度ごと)と、その後の長期的な期間となる2060年までの30年間(5年ごと)に区別して整理します。

 

収益的収支(当年度純利益・損失)の状況

 

1 公共下水道事業

中期的(10年間)見通し

収益的収支は、令和5年度までは利益(黒字)を確保できますが、令和5年度は県流域下水道維持管理費返還金の減少により利益額が大きく落ち込む見込みです。令和6年度になると、減価償却費の増加等により損失(赤字)に転じ、以降は維持管理費の増加もあって損失額が年々増加し、令和12年度には約18千万円の損失となる見込みです。

 

PDF形式の資料では、【グラフ49 公共下水道事業収益的収支の中期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

収益的収支の全体額を高位・中位・低位に区分して試算した結果、令和12年度(2030年)と比較して、高位・中位の場合は損失額が減少しますが、いずれも赤字が継続することが見込まれます。中位・低位の場合は、赤字が継続するうえ、令和12年度と比べさらに損失額が増加する年があることが見込まれます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ50 公共下水道事業収益的収支の長期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 農業集落排水事業

中期的(10年間)見通し

収益的収支は、管渠の改築に伴う資産減耗費の計上や長期前受金戻入額の減少が大きく影響し、令和10年度までは利益(黒字)が確保できるものの、以降は損失(赤字)に転じるとともに、繰入金の減少や維持管理費の増加等により損失額が増加し、令和12年度には、約1,200万円の損失となる見込みです。

 

PDF形式の資料では、【グラフ51 農業集落排水事業収益的収支の中期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

長期的(2030年から30年間)見通し

収益的収支の全体額を高位・中位・低位に区分して試算した結果、令和12年度(2030年)と比較して、いずれの年も損失額が大きくなることが見込まれます。高位では、使用料の減少は緩やかですが、機器の老朽化が進むことで維持管理費の増加により損失額が年々増加することが見込まれます。一方で中位や低位では、維持管理費の増加額が比較的少ないため、損失額が一定額あるいは少なくなり、2050年には高位より損失額が少なくなると見込まれます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ52 農業集落排水事業収益的収支の長期的見通し(千円:税抜)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

資本的収支及び補填財源の状況

 

1 中期的(10年間)見通し

公共下水道事業

資本的収支の不足額は、投資額の減少に伴い減少傾向にあり、令和12年度は令和3年度と比較して約34千万円減少し、約12億円となる見込みです。その補填財源としては、令和6年度までは利益剰余金処分額を計上していますが、その後は不足額の減少により損益勘定留保資金で補填できる見込みです。なお、収益的収支が令和6年度から赤字となることに伴い、繰越利益剰余金処分額で欠損金を補填することとなります。

 

PDF形式の資料では、【グラフ53 公共下水道事業資本的収支不足額の中期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

農業集落排水事業

資本的収支の不足額は、令和3年度に一時増加しますが、投資額の減少により減少傾向にあり、令和12年度は令和3年度と比較して約1,900万円減少し、約1,500万円となる見込みです。その補填財源としては、令和9年度までは利益剰余金処分額を計上していますが、その後は不足額の減少により損益勘定留保資金で補填できる見込みです。なお、収益的収支が令和11年度から赤字となることに伴い、繰越利益剰余金処分額で欠損金を補填することとなります。

 

PDF形式の資料では、【グラフ54 農業集落排水事業資本的収支不足額の中期的見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 長期的(2030年から30年間)見通し

下水道事業全体では、投資の平準化を図ることとした場合、不足額が約10から11億円となると見込みます。その補填財源としては、主として損益勘定留保資金を見込んでいます。

 

 

キャッシュフローの状況

 

1 公共下水道事業

キャッシュフローの見込みを活動別にみると、業務活動は、令和4年度までは約16億円前後のプラスとなりますが、その後当年度純利益(損失)の減少(増加)により金額は減少傾向にあります。投資活動は、令和8年度までは第10次拡張事業の影響により約14から17億円のマイナスで推移し、その後は活動の規模が縮小するため11億円前後となります。財務活動は、投資活動の財源となる企業債の借入の増減により、令和4から8年度まではプラスとなりますが、その後はマイナス傾向となる見込みです。全体では、資金増減は令和4年度までは増加となりますが、その後減少傾向に転じ、令和12年度は約64千万円となる見込みです。なお、令和12年度以降は、業務活動の金額が減少し、投資活動の国庫補助等の特定財源が減少することが見込まれるため、残高が減少すると見込んでいます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ55 公共下水道事業活動別キャッシュフローの見通し(千円)】及び【グラフ56 公共下水道事業資金増減額及び期末残高の見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 農業集落排水事業

キャッシュフローの見込みを活動別にみると、業務活動は、当年度純利益の減少により金額は減少傾向となります。投資活動と財務活動はマイナスで推移しますが、投資活動は横ばい、財務活動は元金償還額の減少により増加傾向にあります。全体では、資金増減が令和4年度までは減となりますがその後増となり、令和12年度には約3,400万円となる見込みです。なお、令和12年度以降は、業務活動の金額が赤字となるため減少することが見込まれるため、残高が減少すると見込んでいます。

PDF形式の資料では、【グラフ57 農業集落排水事業活動別キャッシュフローの見通し(千円)】及び【グラフ58 農業集落排水事業資金増減額及び期末残高の見通し(千円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

その他収支への影響

 

上述した収支には反映されていませんが、今後動向が注目されるもので、収支に大きな影響を及ぼすと考えられる事項は次のとおりです。

 

収入の増

大型商業施設の進出      

穂ノ原団地等への企業進出

八幡駅周辺地区の開発

 

収入の減

景気の悪化

国庫補助の縮小・廃止

一般会計繰入金の見直し

 

支出の減

農集の公共下水道接続      

広域化・共同化の推進

水道事業との組織統合

 

支出の増

金利の引上げ 

人件費増

流域負担金増 

緊急修繕等増

事務所移転

 

 

課 題

 

1 赤字の解消

公共下水道事業においては令和6年度以降、農業集落排水事業でも将来的には、継続的な赤字が見込まれるうえ、状況によっては赤字額が膨らむことも見込まれるため、収入の確保とともに、経費の抑制を図る抜本的な見直しが必要となります。

 

2 内部留保資金の確保

公共下水道事業においては、赤字の補填のため利益剰余金の枯渇が予測されるため、積立金の確保が困難な状況です。これにより企業債への依存が継続するだけでなく、突発的な大規模修繕への対応が困難になる等弊害が生じます。また、期間内では資金の増加が見込まれますが、将来的には減少することから、現金の確保という面でも十分でなく、運転資金に不足が生じる可能性があります。

農業集落排水事業においては、当年度の利益剰余金を補填財源とする状況が続き、内部留保資金の確保が困難な状況です。

短期的な債務に対する支払能力を表す「流動比率(流動資産/流動負債)」は、令和元年度でいずれの事業も基準となる100パーセントを大きく下回っています。また、特定環境保全公共下水道を除く公共下水道事業の流動比率は46.8パーセントとなり、直近で比較が可能な平成30年度末の各平均と比較していずれも低くなっています。

 

【表11 事業別流動比率の状況】

出典:決算状況調査

公共下水道事業 49.4パーセント

農業集落排水事業 58.8パーセント

 

【表12 公共下水道事業流動比率の比較(特環除く。豊川市は令和元年度、その他は平成30年度末現在)】

出典:経営比較分析表(総務省 県内市平均は豊川市集計)

豊川市 46.8パーセント

全国平均 69.5パーセント

類型団体平均 62.1パーセント

県内市平均 79.9パーセント

※県内市平均は平成29年度までに地方公営企業法を適用した14市が対象

 

 

組織・人員の状況

 

現 状

 

1 組織の変遷(旧町除く)

昭和46年度以前は都市計画課内に下水道係が設置されていましたが、昭和47年度には工事着手に合わせて下水道課が設置され、整備拡張が進む昭和57年度には下水道建設事務所が設置されました。整備のピークが過ぎた平成13年度には、機構改革により上下水道部が設置され、現在の下水管理課、下水整備課の2課となり、合併を経て、平成28年度の機構改革にて現在の組織(25係)となっています。なお、令和3年度からは下水管理課排水設備係を廃止する予定です。

 

S46まで 都市計画課内に下水道係設置

S47 下水道課(業務係、公共下水係、都市下水係)を設置【13係制】

S48 計画調整係を追加【14係制】

S50 計画調整係を計画係に変更

S53 部制発足により建設部下水道課に変更 排水設備係を追加【15係制】

S55 計画係を廃止し、維持係を追加

S56 建設部内に下水道建設事務所を設置し、所長職を設置 管理課(管理係 排水設備係 維持係)と建設課(公共下水道係 都市下水路係)を設置【25係制】

S61 建設課の公共下水道係を分離し、公共下水道第1係と公共下水道第2係を設置【26係制】

H10 建設部下水道事務所へ変更 建設課の係を下水第1係、下水第2係、下水第3係に変更

H13 下水道事務所を廃止し、上下水道部を設置 管理課を下水管理課、建設課を下水整備課へ変更

H17 一宮町との合併により、一宮総合支所上下水道課設置

H20 一宮総合支所上下水道課廃止

H28 下水整備課の係を整備係、計画係に再編し、下水管理課から維持係を下水整備課へ移管【25係制】

R3 排水設備係を廃止予定【24係制】

 

2 人員数の状況(旧町除く)

下水道事業を専属で行う職員の人員数は、昭和45年度の都市計画課下水道係のときは3人でしたが、昭和47年度に工事着手してからは、下水道課の設置に合わせ人員数が増加し、昭和56年度に下水道建設事務所が設置された際に35人に達しました。その後は微減して30人前後で推移し、工事のピークが過ぎた平成15年度には26人となります。その後合併で一時的に増加し、小坂井町との合併直後となる平成22年度には最高の39人となりました。その後は再任用職員やパートタイム職員の雇用を進め、近年は33から34人で推移していましたが、令和2年度は企業会計移行事務の終了等により31人となりました。なお、平成元年度からの職種別職員の内訳としては、合併の時期を除き事務職員が9から12人、技術職員が18から20人(いずれも管理職含む。)で推移し、大きな増減はありません。

 

PDF形式の資料では、 【グラフ59 人員の推移(各年41日現在 部長及び一宮総合支所上下水道課除く)】を示していますが、ここでは省略します。

 

3 人材育成の状況

豊川市人財育成基本方針に基づき、人事課等で行う基礎的な職員研修とともに、専門的な知識や技術の習得を図るため、事業の状況や職階・経験年数に合わせ計画的に外部研修に参加したり、視察や内部研修を行ったりしています。令和元年度では、41の外部研修に延べ70人が参加しています。

 

 

課 題

 

1 組織の適正化

令和3年度から排水設備係が廃止されることにより、下水管理課が11係体制となることから、より適正な組織体制の見直しが必要となります。

平成30年に策定された「豊川市水道事業経営戦略」において、上下水道事業の組織統合の検討を進めるなど組織体制の見直しを行うこととしており、これに対応した検討を進める必要があります。

 

2 地方公営企業法の全部適用

令和元年度から地方公営企業法を適用していますが、財務規定等のみの一部適用となっています。今後、より独立的、自立的な経営を目指すためには、組織や身分等の規定を加えた全部適用について検討する必要があります。

 

3 職員の定員適正化

5次豊川市定員適正化計画のもと適正化に努めてきましたが、今後の事業の動向や働き方改革等の状況を見据えて、職員の定員適正化を検討する必要があります。

 

4 人材育成・技術継承

職員の定員適正化や委託化により正規職員数が減少する中で、人材育成の重要性が増しています。

下水道の設計や維持管理等に関する専門的な技術、企業会計における専門的な経理について円滑に継承するとともに、研修への参加や第三者による適切な指導・助言が必要です。

 

 

その他の状況

 

災害対策の状況

 

現 状

 

災害により下水道施設が閉鎖すると、衛生面に重大な支障が生じ、生活環境に甚大な影響を及ぼすこととなるため、本市の下水道では、上述の耐震化対策や浸水対策に加え、災害対策として次の取組を行っています。

 

1 溢水対策

管閉塞やマンホールポンプ停止時等に、道路等への汚水の溢水範囲を最小限とすることを目的とし、自然流下の汚水管では汚水の流れの分散化を図るループ人孔を配置し、平成30年度からは近接のマンホールを接続するバイパス管を設置しています。また、マンホールポンプ停止に備え、発動発電機を1台所有し、応急的な稼働に備えています。

 

2 BCPの策定

災害時に業務の安定的な遂行を図ることを目的として、平成26年度に「簡易な下水道BCP」を、平成27年度に「豊川市下水道業務継続計画」を作成し、以後毎年度改訂しています。また、この一環として、令和元年度に「マンホール蓋開閉マニュアル」、令和2年度に「地震災害における施設対策マニュアル(点検・調査編)」を作成しました。

3 訓練の実施

災害時における役割や行動の確認、必要な実務の習得を図るため、平成22年度から下水道地震災害対策訓練を年1回実施しており、平成27年度からは、水道・下水道合同で上下水道部合同防災訓練を年1回行っています。

 

 

課 題

 

台風等による広範囲での停電の場合、迅速な対応が困難なため、復旧の優先順位等の手順を定める必要があります。

停電の場合、電力会社が現場対応等に追われるため、状況の把握が困難になることが懸念されます。

自家用発電機等の資機材が多数必要となりますが、多額の費用を要します。

BCPに対する職員への浸透や、多様な災害に対応した訓練が必要となっています。

 

 

民間活用の状況

 

現 状

 

下水道事業の運営にあたっては、開始当初から工事や維持管理における専門的な技術を要する業務を中心に民間委託を行ってきています。近年では、平成20年度に下水道使用料の徴収事務を水道料金とともに民間に委託し、その後平成27年度には農業集落排水施設使用料の徴収事務、令和2年度には受益者負担金・分担金の徴収事務と排水設備の検査業務を追加し、業務の継続性の確保や効率化を図っています。また、下水道法の改正に伴い義務付けされた排水施設の点検を民間に委託しています。

 

 

課 題

 

さらなる業務の継続性の確保や効率化を図るため、近年他の自治体で取り入れられているPFI方式やコンセッション方式等の新たな手法について、調査・研究を進める必要があります。

 

 

広域化・共同化の状況

 

現 状

 

本市の下水道事業では現在、汚水処理量の約98パーセントが公共下水道に排出され、さらに豊川市・豊橋市・蒲郡市・新城市で構成する流域下水道にて処理されていることから、開始当初から広域的な汚水処理を実現していると言えます。また、一部の地区においては他市の管路を使用したり、本市の管路を使用したりしており、市域を超えた下水道の普及を図っています。

 

 

課 題

 

1 広域化・共同化計画への対応

総務省・農林水産省・国土交通省・環境省では、平成301月に「汚水処理の事業運営に係る「広域化・共同化計画」の策定について」を発出し、令和4年度までに広域化・共同化の推進とともに、都道府県にて広域化・共同化計画の策定が要請されています。この広域化・共同化計画に項目がない自治体は社会資本整備総合交付金が交付されないこととなるため、県の指導のもとソフト・ハード事業において検討を進める必要があります。

 

2 農業集落排水施設の公共下水道への接続

農業集落排水事業の経営状況を考慮し、将来的な公共下水道への接続について検討する必要があります。

 


3章 基本理念、施策の体系及び取組方針

 

1 基本理念及び基本方針

下水道事業は、市民生活における重要なライフラインとして、これまでも公衆の衛生や公共用水域の水質保全、浸水被害の防止等の目的を果たしてきました。しかし、「現状と課題」で整理しましたとおり、人口減少や施設の老朽化等が進む中で、多くの課題に対応していくことが求められています。

今後における下水道事業の最大の使命は、これらの課題を克服し、引き続き市民の皆さまの生活を支えるために、永続的に下水道の役割を果たしていくことだと考えています。

したがって、本経営戦略で目指す理想像としては、下水道の役割を簡潔にまとめて「いつまでも、清潔、安心、快適な暮らしを支えます」を基本理念とし、この理念の実現のため、「1 良好な環境を整えます」、「2 持続的な経営を行います」、「3 質の高いサービスを提供します」を基本的な取組の方向性を示す基本方針に据えて、各種施策や具体的な取組を進めていきます。

 

PDF形式の資料では、 【図2 基本理念・基本方針】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 施策の体系

基本理念・基本方針のもと、次表の「施策の体系」のとおり、取組の方向性を示す8つの施策を設け、その施策に沿い具体的な取組を整理します。

 

基本方針1 良好な環境を整えます

施策 未普及の解消

具体的な取組 1 整備の推進 2 計画の見直し 3 水洗化の促進

施策 下水道の強靱化

具体的な取組 1 耐震化の推進 2 浸水対策の推進 3 溢水対策の推進 4 BCP・訓練の充実化

施策 維持管理の強化

具体的な取組 1 長寿命化対策の推進 2 不明水対策・誤接続防止対策の推進 3 閉塞予防の充実化 4 水質規制の強化 5 指定工事店等への指導強化 6 新技術の導入推進

 

基本方針2 持続的な経営を行います

施策 投資の合理化 経費の削減

具体的な取組 1施設の統廃合の推進 2 投資の平準化・適正化 3 コストの縮減 4 民間活用の推進 5 広域化・共同化の推進 6 流域下水道負担金の適正化

施策 財源の確保

具体的な取組 1 使用料の見直し 2 収納対策の推進 3 繰入基準の見直し 4 企業債残高や利息の抑制 5 自主財源の確保 6 特定財源の確保 7 内部留保資金の確保 8 資金管理の徹底

 

基本方針3 質の高いサービスを提供します

施策 サービスの向上

具体的な取組 1 窓口サービスの充実化 2 多様な決済方法の検討 3 情報技術の活用 4 補助制度の充実化

施策 組織強化・人材育成の推進

具体的な取組 1 組織・人員の適正化 2 人材育成・技術継承 3 マネジメントの強化 4 内部統制の推進

施策 情報発信の充実化

具体的な取組 1 多様な媒体による発信 2 発信機会の充実化 3 住民説明等の充実化

 

3 投資と財源の均衡

本経営戦略では、基本理念の実現を目指すため、施策の体系にある基本方針や施策を掲げるとともに、「投資試算(施設や設備の見通し)」と「財源試算(財源の見通し)」の均衡を目指します。このため、投資・財政計画(収支計画)を策定して状況を把握するとともに、収支にギャップが生じている場合には施策の体系にて示した具体的な取組を推進して均衡を図ります。

 

PDF形式の資料では、 【図4 投資と財源の均衡のイメージ】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

4 期別の取組方針

本経営戦略では、これまでの取組状況を含めて期別に取組方針を整理し、段階的に具体的な取組を展開していきます。

 

R2まで 転換期 新たな経営手法への移行や経営計画の策定、仕組みづくりを通じて、経営の土台を形成し、次期の改革につなげます。

R3からR5 集中取組期 比較的短期的に可能な経費削減を中心とした取組を集中的に行うとともに、大規模な改革に向けた検討を進めます。

R6からR9 取組発展期 検討を進めてきた大規模な経費削減や収入の確保にかかる取組を実施し、収支ギャップの解消を図ります。

R10からR12 継続取組期 安定的な経営を図る取組を継続するとともに、次期プランの策定を見据えた新たな改善策を検討します。

 


4章 具体的な取組

 

この章では、第3章にて整理した施策ごとに、具体的な取組の内容を整理します。

 

 

基本方針1 良好な環境を整えます

 

施策1 未普及の解消

良好な環境を整えるために、下水道の着実な整備・普及が求められています。未普及となっている地区において、計画的・効率的な整備を進めていくとともに、整備した地区での下水道の接続を促進するため、次の取組を進めていきます。

 

1 整備の推進

取組方針

事業計画に基づき着実に整備を進めるとともに、市街化調整区域における布設基準の設定により効果的・効率的な整備を図ります。

取組内容

計画的な整備

現在の事業計画に基づき、整備の進捗や財源状況等を勘案して短期・中期的に整備内容を随時見直し、着実に第10次拡張事業等を進めます。

基盤整備が行われていない地区では、関係部局と調整しながら、地区全体の整備方針を検討し、整備手法を決定します。

布設基準の設定

市街化調整区域の整備では、次のとおり布設基準を適用します。

地区全体で接続希望者が少ない場合は、接続希望者が多い地区から整備することとします。

説明会等で下水道整備に関するメリット・デメリットをしっかり説明したうえで、接続希望者のみ排水できる管網とします。

 

2 計画の見直し

取組方針

汚水処理の概成(汚水処理人口普及率95パーセント以上)が達成された中で、投資効果や今後の改築・更新需要を踏まえながら、市汚水適正処理構想や事業計画の見直しを検討します。

取組内容

人口動向や下水道の希望状況、今後の改築・更新費の推移を把握し、計画の変更について検討します。

計画の変更にかかる方向性に基づき、都市計画事業の決定や廃止の手続きを進めます。

 

3 水洗化の促進

取組方針

自立した経営を行うためには、下水道使用料の確保は重要となることから、企業でいう営業と位置づけ、民間を活用しながら啓発等の各種取組を行います。

取組内容

接続啓発プランを毎年更新し、より効果的な取組を行います。

店舗・未接続台帳を整備し最新の状況を把握します。

長期未接続者に対し計画的に啓発するとともに、接続効果の高い事業所や集合住宅、または単独浄化槽の使用者へ重点的に啓発します。

民間委託によりきめ細かく未接続の原因を分析しながら、随時に効果的な接続啓発を実施します。

新たな接続補助制度の創設や補助制度の拡充を検討します。

 

 

施策2 下水道の強靱化

現在、国をあげて進められる国土強靱化では、下水道分野においても施設の耐震化・耐水化が求められています。また、本市では南海トラフ地震等だけでなく、近年では頻発化・激甚化する台風や集中豪雨の発生が危惧されることから、下水道の強靱化を図るため、次の取組を進めていきます。

 

1 耐震化の推進

取組方針

中期的な計画を定めたうえで、被災した場合の社会的影響の大きい優先度の高い管路施設を対象に、想定される地震動に対して最低限の下水道流下機能の確保及び二次災害防止を目的とした地震対策を推進します。

取組内容

総合地震対策計画に基づき、管路の耐震化を進めます。

全ての重要な幹線等について、耐震診断を実施します。

合理的な整備や投資額の平準化を図るため、ストックマネジメント計画(老朽化対策)と整合を図りながら、中期的な計画を策定します。

 

2 浸水対策の推進

取組方針

雨水施設の整備や施設の耐水化を図るとともに、雨水貯留浸透施設設置支援事業等のソフト事業による浸水対策を進めます。

取組内容

雨水施設の整備

未整備河川に放流する排水区で、放流制限が原因で冠水が発生している場合は、調整池や雨水浸透施設の整備が可能か検討します。

施設の耐水化

令和3年度までに「耐水化計画」を策定し、計画に基づく浸水対策を進めます。

雨水貯留浸透施設設置支援事業の利用促進

市民への周知を促進するほか、補助メニューの拡充を検討します。

内水ハザードマップの策定・公表の検討

住民や関連部署からの浸水情報を収集し、ハザードマップの段階的な作成・公表を検討していきます。

 

3 溢水対策の推進

取組方針

災害時の停電等によるマンホールポンプの停止や管渠閉塞によるマンホール等からの溢水を防止するため、ハード・ソフトにおける溢水対策を進めます。

取組内容

停電時のリスク回避を考え、マンホールポンプによる圧送箇所で自然流下とできる箇所を調査し、バイパス管の接続を進めます。

マンホールポンプ停止時の溢水範囲を明確にし、現場対応の迅速化を図ります。

電力会社と連携し、復旧の効率化・迅速化を図ります。

資機材の確保の図るため、豊川市建設業協会等との協定等の締結を検討します。

 

4 BCP・訓練の充実化

取組方針

日常業務と災害時業務を区別し、それぞれで実践的・効果的な計画の作成や訓練を行い、充実化を図ります。

取組内容

BCPの充実化

BCPは、年2回程度(410月頃)更新します。

職員の経験不足を補完するため、被害想定の作成を民間委託することを検討します。

訓練の充実化

各係や職員による作業部会等で訓練内容を検討し、必要な訓練を随時行います。また、水道事業等と連携した訓練を行います。

 

 

施策3 維持管理の強化

下水道の拡張整備が終盤となる中で、これまで整備してきた膨大な量の管渠やマンホール、ポンプ等の適切な維持管理が求められています。今後、整備拡張から、良質な下水道を安定的・継続的に提供する維持管理へ重点をシフトするにあたり、維持管理の強化を図るため、次の取組を進めていきます。

 

1 長寿命化対策の推進

取組方針

膨大な下水道施設を限られた資金で適切に維持管理を行うため、点検調査を進めるとともに、投資額の平準化や耐震対策とのバランスを図りながら計画的に改築・更新を行います。

取組内容

2期ストックマネジメント計画に基づく管路の改築・更新を着実に進めていきます。

ポンプ場や樋門といった雨水施設では、機器等の状況をみて更新を進めていきます。

今後5年ごとを目途として、新たな地区におけるストックマネジメント計画を策定していきます。(次期は令和7年度に策定)

農業集落排水事業では、最適化整備構想をもとに計画的な機器等の更新を進めます。また、一宮西部処理区の管渠の改築を進めます。

整備拡張にかかる投資額とのバランスや国庫補助の状況を考慮しながら、段階的に投資額を引き上げるとともに、施設の健全性や改築等の緊急性を踏まえ、改築・更新を一部前倒し・先送りして投資の集中を回避します。

 

PDF形式の資料では、【図6 長寿命化対策投資額の引き上げ及び平準化のイメージ(百万円)】を示していますが、ここでは省略します。

 

2 不明水・誤接続防止対策の推進

取組方針

現状の取組を継続的に進めるとともに、各種データを活用しながらよりきめ細かい誤接続防止対策を図ります。

取組内容

ストックマネジメント計画に基づく管路施設の点検・調査を活用し、浸入箇所の改善を行います。

令和2年度に国土交通省から発出された「雨水浸入対策ガイドライン(案)」を参考にして、対策の検討を行います。

引き続き排水設備等の確認申請の審査を通じて誤接続防止を図るとともに、現地検査の充実化や市民等への効果的な啓発について検討します。

 

3 閉塞予防の充実化

取組方針

処理費用の抑制や土砂流入の防止を図るため、費用対効果とのバランスを考えながら対策を進めます。

取組内容

閉塞予防調査を充実化するように検討します。

ストックマネジメント計画に基づく管路施設の点検・調査を活用し、適切な清掃を行います。

下水道の正しい使い方のほか、オイルトラップ等の適正な維持管理について啓発活動を強化します。

 

4 水質規制の強化

取組方針

特定事業場の実態を正確に把握し、水質事故の事前防止と事故発生時の速やかな対応を図ります。

取組内容

事業場の実態把握のため、保健衛生部局や消防部局への届出の確認、環境部局との情報共有を進めます。

 

5 指定工事店等への指導強化

取組方針

宅内の排水設備を含め、マニュアルの整備や様々な機会を活用して指定工事店等に対する市の指導を強化します。

取組内容

排水設備等の設置や接続ます設置工事の施工不良、書類提出・修正遅延等に対する指導を強化します。

 

6 新技術の導入推進

取組方針

国が推奨する「下水道革新的技術(B-DASHプロジェクト)」やICTの活用を図る「i-Gesuido」、ドローンといった新技術を利用した的確かつ効率的な施設の維持管理を図ります。

取組内容

管路施設の老朽状況を把握する点検調査において、B-DASHプロジェクトに位置付けられる「スクリーニングス調査技術(管口カメラ点検等)」を継続的に行います。

ICTを活用した雨水管内の水位情報をリアルタイムで提供できるシステムを構築します。

豊川市防災ドローン航空隊に参加し、操作技術を習得するとともに、管渠等の点検調査への活用を検討します。

 

 

基本方針2 持続的な経営を行います

 

施策1 投資の合理化・経費の削減

施設の計画的な整備や適切な維持管理を行う一方で、投資額や投資以外の経費については財源とのバランスを考慮して最適な状態にすることが求められます。使用料の減収や施設の老朽化が見込まれる中で、限りある財源により効果的な投資を図るため、次の取組を進めていきます。

 

1 施設の統廃合の推進

取組方針

整備状況や地域の住所状況を勘案し、不要な施設の廃止を進めるとともに、農業集落排水事業の公共下水道への接続統合について検討を進めていきます。

■取組内容

マンホールポンプの廃止

マンホールポンプを設置する地区について、自然流下で対応できるか検討したうえで、可能な場合は廃止していきます。

農業集落排水事業の公共下水道への接続統合

当面、正岡農業集落排水施設を対象に、地元住民や関係機関との調整を図りながら、計画の変更、財産の処分方法等の各種課題について検討を進めていきます。

 

2 投資の平準化・適正化

取組方針

管路の拡張整備や改築・更新工事だけでなく、固定資産の購入や維持管理にかかる投資額も含め、単年度における負担の増大を回避するため、予防保全の考え方も取り入れて計画的に行い、投資の平準化を図ります。

取組内容

建設改良費の上限の設定

近年、建設改良費は15から20億円で推移していますが、雨水にかかる特別な投資や豊川流域下水道建設費負担金、接続ます工事、事業計画等の策定費を除き、当面20億円以内に抑制します。

布設基準の設定や計画の見直し

布設基準の設定や計画の見直しにより、投資計画の規模の適正化を図ります。

設備等にかかる更新時期の設定方法の見直し

マンホールポンプ等の設備について、一律に時期を設定した更新でなく、運転時間や回数等を考慮した市独自の目標耐用年数を設定します。

固定資産の購入の平準化

車両や情報機器等にかかる固定資産の購入が一時に集中しないように、計画的に購入します。

 

3 コストの縮減

取組方針

整備や維持管理にかかるコストについて最新の動向を調査・研究し、公費負担の適正性も含めてコストの縮減を図ります。

取組内容

整備・改築等コストの縮減

下水道クイックプロジェクト等を採用します。

機器の更新時に、電力消費量等より性能が優れたものを採用します。

維持管理コストの縮減

電力使用量や料金の状況を分析し、より最適な料金プランを適用します。

接続ます設置工事の公費負担の見直し

接続ますの設置工事について、大規模な拡張整備が終了することを見据えながら、より適切な公費負担のあり方について検討します。

改善の推進

全庁的な改善運動「T1グランプリ」等を通じて、改善を推進します。

 

4 民間活用の推進

取組方針

技術的な専門性を要する分野について先進的な事例を研究するとともに、現在の委託内容の拡充を含め積極的な民間活用を図ります。

取組内容

管路包括委託の検討

管路の維持管理全般について包括的に民間委託する取組について、先進自治体の状況を研究し、近隣の動向を踏まえて検討を進めます。

包括委託の拡充

水道料金等業務包括委託の更改の時期(次回令和7年度)に合わせ業務内容を拡充できるように検討を進めます。

 

5 広域化・共同化の推進

取組方針

現在進めている広域化・共同化計画の策定に合わせ、他自治体と連携できる業務について検討を進めます。

取組内容

農業集落排水事業の公共下水道への接続統合

「施設の統廃合の推進」の項を参照

その他業務の共同化

指定工事店にかかる事務のほか、維持管理業務や管理事務等の各種業務において他自治体と連携ができるか検討します。

 

6 流域下水道負担金の適正化

取組方針

愛知県が管轄する流域下水道について、維持管理状況等を十分に確認し、負担金の適正化を図ります。

取組内容

改築・更新の状況や、排出量の分析、決算の状況等を確認し、維持管理費負担金の抑制を図ります。

計画の変更とともに、建設費負担割合の見直しを進めます。

 

 

施策2 財源の確保

投資の合理化に合わせ、受益者負担や独立採算制の原則のもと、投資額に見合う財源の確保が求められます。将来的な動向を見据え、収支ギャップの解消や適切な資金の確保を行い、健全な財政運営を図るため、次の取組を進めていきます。

 

1 使用料の見直し

取組方針

収支計画を更新し、短期・中期的な見通しをたてたうえで、より適正な使用料の設定について抜本的な検討を進めます。

取組内容

下水道使用料

赤字への転落を回避するため、次期の改定見直し(対象期間:令和6から9年度を予定)までに他市の動向や現状を分析し、改定に向けた検討を進めます。

節水型のライフスタイルに適した料金体系や、市街化区域・市街化調整区域の区分化について合わせて検討を進めます。

資産維持費の算入について検討します。

農業集落排水施設使用料

今後の繰入金の動向や施設の状況を見据え、処理区域間で異なる使用料の均一化を含めた抜本的な改定に向けて検討を進めます。

 

2 収納対策の推進

取組方針

民間のノウハウを活用するとともに、費用対効果を考慮しながら新たな取組や欠損時の対策を含めた各種取組を進めます。

取組内容

現在の水道料金等業務包括委託による徴収を継続し、随時状況を確認します。

滞納処分や民事調停等より強制力のある滞納整理方法について検討します。

受益者の公平性を確保するために、不能欠損時の対策を検討します。

賦課漏れ対策を徹底します。

 

3 繰入基準や事務負担の見直し

取組方針

下水道事業経営の継続性を考慮しながら、国の基準や現状に照らし、より適正な繰入基準や事務負担へ見直します。

取組内容

中期的な収支計画や経営改善状況を踏まえつつ、令和5年度までに現在の一般会計繰出基準を見直します。

雨水の公費負担のあり方等の事務負担の適正性について、随時検討・調整します。

 

4 企業債残高や利息の抑制

取組方針

企業債の借入れを一定の基準により行うとともに、利率の状況を勘案して利息の抑制を図ります。

取組内容

雨水にかかる特別な投資や豊川流域下水道建設費負担金、接続ます工事を除き、原則返済額を超えないように借入額を抑制します。

借入先の状況や利率の動向を勘案し、より低利率な借入を図ります。

資金状況や補償金免除の状況を勘案し、利率の高い借入れの繰上返済について検討します。

 

5 自主財源の確保

取組方針

使用料収入のほか、資産を活用した収入の確保に努め、自主財源の確保を図ります。

取組内容

マンホールを利用した広告等、あらゆる資産を活用して収入の確保を図ります。

事務手数料等の適正な徴収を検討します。

資金の留保状況を勘案し、資金活用を図ります。

 

6 特定財源の確保

取組方針

特定の使途のため使用される国庫補助金や負担金等の特定財源について、それぞれの状況に合わせた確保対策を行います。

取組内容

国庫補助金

国への要望活動を通じて国庫補助金の確保に努めます。

国庫補助金の弾力的な適用により、効果的な財源充当を図ります。

受益者負担金・分担金

猶予制度の適切な適用に努めます。

整備状況に合わせ、前納報奨金制度を見直します。

その他

工事負担金制度の導入について検討します。

 

7 内部留保資金の確保

取組方針

中期的な収支計画の見通しを踏まえ、投資計画との整合を図りながら着実に内部留保資金を確保できる取組を行います。

取組内容

収支計画を更新し、短期・中期的にキャッシュフローや補填財源の動向を把握します。

資金の状況を踏まえ、利益剰余金の積立を行います。

修繕引当金の確保を図ります。

当年度利益剰余金処分額による補填財源の削減を図ります。

 

資金管理の徹底

取組方針

資金ショートの防止を図るため計画的な資金管理を徹底して行います。

取組内容

資金計画を定め、計画的な資金管理を図ります。

大規模な減収等による資金ショートが発生する場合の対応についてあらかじめ定めます。

キャッシュフロー計算書の計算方法について、損益計算と比較検討が可能な直説法への切替えを検討します。

 

 

基本方針3 質の高いサービスを提供します

 

施策1 サービスの向上

下水道事業の経営にあたっては、整備や維持管理といったハード面だけでなく、ソフト面における質の向上が求められます。政府の第5期科学技術基本計画で提唱される「Society5.0」や、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のため求められる「新しい生活様式」の実現に寄与できる新たな手法や技術によるサービスの向上を図るため、次の取組を進めていきます。

 

1 窓口サービスの充実化

取組方針

現在の包括民間委託を通じて、水道事業とともに多様な窓口業務について集約化を図ります。

取組内容

令和3年度から排水設備業務を民間委託し、給排水業務の窓口を一本化します。

下水道管路の埋設確認業務を民間委託し、窓口の充実化を図ります。

さらに集約できる業務について検討を進めます。

 

2 多様な決済方法の検討

取組方針

使用料等の徴収について、キャッシュレスに対応した多様な決済方法を検討します。

取組内容

新たな電子決済方法の導入について検討します。

 

3 情報技術の活用

取組方針

インターネットや地図情報システム等の情報技術を活用した取組を進めます。

取組内容

情報技術を活用した行政手続や予防保全型の施設管理、情報提供等について研究・検討します。

地図情報におけるメニューの充実化を図ります。

 

4 補助制度の充実化

取組方針

社会情勢や先進地の状況を踏まえながら、現行制度の拡充とともに、新たな補助制度を検討します。

取組内容

融資制度や雨水貯留浸透施設設置支援事業等について、より充実した制度となるように検討します。

ニーズや負担とのバランスを考慮しながら、新たな補助制度を検討します。

 

 

施策2 組織強化・人材育成の推進

質の高いサービスの提供のためには、土台となる組織や職員の質の向上が求められます。より時代に適した組織の編成や適正な運営、職員の育成を図るため、次の取組を進めていきます。

 

1 組織・人員の適正化

取組方針

時代の要請や事業の進捗等を見据えながら、最適な組織・職員体制を検討します。

取組内容

組織の適正化

水道事業とともに、上下水道事業の組織統合の検討を進めます。

地方公営企業法の全部適用について検討します。

整備拡張事業の進展や、維持管理の状況を踏まえ、下水整備課の組織について見直します。

人員の適正化

新たな定員適正化計画のもと、事業の進展や、民間委託の状況等を踏まえ、随時職員数を見直します。

 

2 人材育成・技術継承

取組方針

事業に必要な基礎的、専門的知識・技術を習得できるように、研修への参加を促進するとともに、必要な人材の確保に努めます。

取組内容

下水道に関する研修について毎年度研修計画を整理し、研修への計画的な参加を図ります。

一定数の技術職員の確保に努め、技術の継承を確実に行います。

企業会計の専門的な人材の育成とともに、人材の登用、水道事業との連携や外部機関の活用により経理事務の確実性を高めます。

 

3 マネジメントの強化

取組方針

自立した経営を行うために、特に企画や財政部門を充実化して組織的なマネジメントの強化を図ります。

取組内容

重要なプランや取組にかかる内部的な調整会議を設置します。

最適な予算策定の手法について継続的に見直します。

重要課題に対し組織横断的なプロジェクトチームの設置を推進します。

 

4 内部統制の推進

取組方針

現在導入を進めている内部統制制度により、リスクに対応できる適正な経理事務等を進めます。

取組内容

豊川市内部統制導入方針等に基づき、経理事務等にかかるリスクの管理方法を設定し、適正な対応を検討します。

 

 

施策3 情報発信の充実化

下水道事業の信頼性を高めるには、市民の皆様の理解が必要であり、そのために積極的な情報発信が求められます。時代に適した多様な情報発信を図るため、次の取組を進めていきます。

 

1 多様な媒体による発信

取組方針

従来の手法とともに、時代に適したより効果的な広報媒体の使用について検討します。

取組内容

SNSを利用した情報発信を進めます。

マンホール等特徴のある媒体を利用した情報発信を進めます。

 

2 発信機会の充実化

取組方針

集客力の高いイベントでの出展や他機関と連携した取組を進めます。

取組内容

おいでん祭への出展や小学生向けの出前講座の開催を継続するとともに、県との連携や内容の見直しにより充実化を図ります。

県や豊川流域下水道推進協議会と連携した広域的な情報発信を行います。

事業の周年期を活用した情報発信を行います。

 

3 住民説明等の充実化

取組方針

説明会や窓口等でより分かりやすい情報発信を行います。

取組内容

説明会の手法や資料を見直し、より分かりやすい説明会の開催を図ります。

更新時にパンフレットの内容を見直し、充実化を図ります。

 

 


5章 目標管理及び推進方法

 

 

1 目標指標

本経営戦略における目標として、基本方針ごとに、総務省の経営比較分析表等をもとに次のとおり目標値を設定し、進捗を確かめていきます。

 

基本方針1 良好な環境を整えます

普及率【公共】 実績値R1末 83.6パーセント 目標値前期R7末 89.3パーセント 後期R12末 92.4パーセント

水洗化率【公共】 実績値R1末 92.4パーセント 目標値前期R7末 93.0パーセント 後期R12末 93.5パーセント

都市浸水対策達成率 実績値R1末 77.8パーセント 目標値前期R7末 80.4パーセント 後期R12末 81.6パーセント

耐震化率 実績値R1末 38.0パーセント 目標値前期R7末 45.0パーセント 後期R12末 50.0パーセント

管渠改善延長 実績値R1末 4.4キロメートル 目標値前期R7末 11.3キロメートル 後期R12末 18.3キロメートル

 

基本方針2 持続的な経営を行います

経常収支比率【公共】 実績値R1末 106.9パーセント 目標値前期R7末 103.0パーセント 後期R12末 100.0パーセント

累積欠損金比率 実績値R1末 0.0パーセント 目標値前期R7末 0.0パーセント 後期R12末 0.0パーセント

流動比率 実績値R1末 49.4パーセント 目標値前期R7末 60.0パーセント 後期R12末 80.0パーセント

企業債残高対事業規模比率 実績値R1末 815.2パーセント 目標値前期R7末 700.0パーセント 後期R12末 650.0パーセント

経費回収率【公共】 実績値R1末 89.6パーセント 目標値前期R7末 100.0パーセント 後期R12末 100.0パーセント

経費回収率【農集】 実績値R1末 73.5パーセント 目標値前期R7末 75.0パーセント 後期R12末 75.0パーセント

 

基本方針3 質の高いサービスを提供します

外部研修参加数 実績値R1末 70回 目標値前期R7末 70回 後期R12末 70

広報等実施回数 実績値R1末 50回 目標値前期R7末 55回 後期R12末 55

 

 

2 収支ギャップの解消

本経営戦略では、目標の一つに「投資と財源の均衡」を掲げています。しかし、現在の公共下水道事業の収支計画では、令和6年度以降、農業集落排水事業においては令和11年度以降赤字となり、いずれもその額が増加する見通しです。この「収支ギャップ」の解消を図るため、特に目標指標にある「経費回収率」の向上を重点目標に据え、各種具体的な取組を進めていきます。

 

公共下水道事業では、令和7年度収支計画上での経費回収率が93.3パーセントとなりますが、約1.8億円の収支ギャップを解消し、目標指標として100パーセント以上を目指します。

農業集落排水事業では、令和7年度収支計画上での経費回収率が64.2パーセントとなりますが、約500万円の収支ギャップを解消し、目標指標として75パーセント以上を目指します。

 

 

3 進捗管理と評価方法

進捗管理

本経営戦略は、「目標(Plan)」「取組(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」という、いわゆる「PDCAサイクル」により、効率的・効果的に進めていきます。

 

PDF形式の資料では、 【図8 進捗管理イメージ図】を示していますが、ここでは省略します。

 

評価・改善方法

本経営戦略をPDCAサイクルにより進めるには、評価及び改善が重要なポイントとなりますので、次のとおり行うこととします。

評価

本経営戦略に掲げられた目標や取組については、毎年、その状況を把握し、達成度に関する原因の分析や課題・問題点の抽出を行います。また、必要に応じて経営の専門家に分析を依頼します。

改善

評価に基づき、取組等に関する対応の検討や改善策の立案を行い、投資・財政計画を見直します。

 

 

4 達成状況の公表

本経営戦略の達成状況については、目標指標等により経営状況を定量的に示し、年1回市ホームページで公表します。

 


参考資料

 

 

1 投資計画

全体

令和3から12年度で約193億円を投資します。

築造工事

10次拡張整備事業を中心に、事業計画に位置付けている地区において約145億円を投資し、約120キロメートルの管路等を整備します。

市街化区域においては、汚水管の整備に合わせて雨水管の整備を進めます。

令和5年度までに麻生田調整池(仮称)を整備します。

改築・更新

汚水(農集含む)・雨水施設の改築・更新に約244千万円を投資します。

ストックマネジメント計画に基づき第123期地区の管路の改築・更新を進めます。

総合地震対策計画に基づき、令和3年度まで重要な幹線管路の耐震化を進め、中期的な計画を策定します。

ポンプ場や樋門といった雨水施設では、機器等の状況をみて更新を進めていきます。

農業集落排水事業では、最適化整備構想をもとに計画的な機器等の更新を進めます。また、一宮西部処理区の管渠の改築を進めます。

その他

溢水対策として、マンホールポンプによる圧送箇所で自然流下とできる箇所を調査し、バイパス管の接続を進めます。

令和3から6年度にかけて汚水適正処理構想、基本計画、事業計画の見直しを行います。また令和11年度からも同様に行います。

流域建設費負担金は、令和7年度までは愛知県の経営戦略上の計画値です。以降は令和7年度と同値としています。

 

PDF形式の資料では、投資計画の表及び投資計画図を示していますが、ここでは省略します。

 

 

2 事業別収支計画

PDF形式の資料では、公共下水道事業(収益的収支)、農業集落排水事業(収益的収支)、公共下水道事業(資本的収支)及び農業集落排水事業(資本的収支)の表を示していますが、ここでは省略します。

 

収支計画の考え方

収支計画の主な経費にかかる算定方法は次のとおりです。

 

収益的収入 営業収入

料金収入のうち

下水道使用料 各使用者群ごとに直近の排水状況や接続状況を勘案して有収水量を算定

農業集落排水施設使用料 直近の動向を勘案して世帯数や水洗化人口を算定

その他のうち

他会計負担金 豊川市一般会計繰出基準に基づき算定

 

収益的収入 営業外収入

補助金のうち

他会計補助金 豊川市一般会計繰出基準に基づき算定

 

収益的収入 営業外収入のうち

長期前受金戻入額 減価償却費に応じ、国庫補助金等の財源の償却額を算定

 

収益的収入のうち

特別利益 県流域下水道維持管理費負担金返還額を計上

 

収益的支出 営業費用のうち

職員給与費 現状の人員をベースに、事業の状況を反映して人員数を増減

動力費 直近の動向を踏まえ、施設数の増加を考慮して算定

材料費 一定額を計上

減価償却費 建設改良費の動向を反映して算定

その他のうち

委託料 業務の追加や業務量を見込んで算定

豊川流域下水道維持管理費負担金 有収水量に一定率の不明水量を加算して排水量を算定

 

収益的支出 営業外費用のうち

支払利息 企業債の借入状況から算定

 

資本的収入のうち

企業債、国庫補助金、工事負担金 投資計画から各財源を算定

他会計補助金・出資金 豊川市一般会計繰出基準に基づき算定

 

資本的支出 建設改良費のうち

職員給与費 現状の人員をベースに、事業の状況を反映して人員数を増減

その他 投資計画等をもとに算定

 

資本的支出のうち

企業債償還金 企業債の借入状況から算定

 

 

処理区域内人口の見通し

令和3年度以降の10年間では、人口の減少が見込まれるものの、第10次拡張整備事業の進捗に合わせ増加し、令和12年度には167,887人、普及率は92.4パーセントとなると見込みます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ60 処理区域内人口と普及率の見通し】を示していますが、ここでは省略します。

 

公共下水道事業の有収水量及び排出量の見通し

令和3年度以降の10年間では、節水機器の普及や節水意識の高まりにより、20立法メートルを超える使用水量が減少する一方で、これまでの拡張整備に加え、第10次拡張整備事業により20立法メートル以下の使用水量が堅調に増加し、全体では令和11年度に有収水量が約1,637万立法メートル、排出量が約1,820立法メートルとなる見込みです。なお、令和12年度以降は、整備規模の縮小や人口の減少により、使用水量が減少していくと見込みます。

 

PDF形式の資料では、【グラフ61 有収水量及び排出量の見通し(千立法メートル)】を示していますが、ここでは省略します。

 

 

3 用語解説(あいうえお順)

 

i-Gesuido

ICTを活用して下水道事業の質・効率性の向上や情報の見える化を行い、下水道事業の「持続」と「進化」の実現するために国土交通省が推進する取組み

 

雨水浸透トレンチ

浸透管(有孔管、ポーラス管等)とその周囲の充填材(砕石等)から構成される構造物及びこれと同等のもので、雨水を導き、その側面や底面から雨水を地中に浸透させる施設

 

雨水浸透ます

降った雨水を敷地の地下に浸透させるもの

 

雨水貯留浸透施設設置支援事業

個人が雨水貯留タンク及び雨水浸透ますの設置、浄化槽を雨水タンクに転用する工事費用の一部を支援する事業

 

雨水貯留タンク

家屋の屋根に降った雨水を貯めるもの

 

SNS

ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービス

 

オイルトラップ

油水分離槽とも呼ばれる施設で、飲食店等の厨房から出る排水系統に設置され、浮上油を分離して排水管への流出を防止し、分離して冷却し固化した油分を捕集するもの

 

管渠の改善率

当該年度に更新した管渠延長の割合を表した指標

 

キャッシュフロー

会社にキャッシュ(現金等)が入ってくることを「キャッシュ・イン」、キャッシュが出ていくことを「キャッシュ・アウト」といい、「キャッシュ・フロー」とは、キャッシュ・インからキャッシュ・アウトを差し引いた収支のこと

 

経営比較分析表

各公営企業において、他自治体との比較を行えるように、統一的な様式で経営分析指標をとりまとめたもの

 

下水道革新的技術(B-DASHプロジェクト)

新技術の研究開発及び実用化を加速させ、低炭素・循環型社会の構築やライフサイクルコスト縮減、浸水対策、老朽化対策等を実現するために国土交通省が支援する取組み

 

下水道クイックプロジェクト

早急かつ効率的な下水道の未整備地域解消及び改築対策を行うための新たな整備手法のこと

 

下水道総合地震対策事業

被災した場合において、社会活動に重大な影響を及ぼす重要な下水道施設の耐震化を図る「防災」、被災を想定して被害の最小化を図る「減災」を組み合わせた総合的な地震対策

 

下水道普及率

下水道を利用できる区域である供用開始区域内の人口を行政区域内人口で除した値のことで、どのくらいの人が下水道を使えるようになったかを示す割合

 

決算状況調査

総務省が実施する統計調査の一つ。予算の執行を通じて当該団体がどのような運営を行ったかを見るための基礎となるもの。別名「決算統計」

 

減価償却費

固定資産の原価を費用として、その利用各年度に合理的かつ計画的に負担させる会計上の処理または手続きを減価償却といい、この処理または手続きによって、特定の年度の費用とされた固定資産の減価額

 

県流域下水道維持管理費負担金返還金

流域下水道を構成する各地方自治体が愛知県へと支払った維持管理負担金のうち、愛知県が繰越金として処分した金額の一部を各地方自治体へ返還する返還金

 

公共汚水ます(接続ます)

宅内から排出される全ての汚水が合流する最終ますのことで、 これより宅内側の排水管は個人管理、公共ますを含み公道側の排水管は市管理

 

工事負担金制度

利用者の申し込みにより、道路に新たに埋設または入れ替える下水管にかかる工事費の一部を利用者が負担する制度

 

国土強靱化

大規模自然災害による甚大な被害を避けるため、とにかく人命を守り、また経済社会への被害が致命的にならず、迅速に回復する「強さ」と「しなやかさ」を備えたシステムを平時から構築する継続的な取組

 

コンセッション方式

利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式

 

資産維持費

将来の更新需要が新設当時と比較し、施工環境の悪化、高機能化(耐震化等)等により増大することが見込まれる場合、使用者負担の公平性等を確保する観点から、資本を維持し、サービスを継続していくために必要な費用として、中長期の改築(更新)計画に基づいて算定するもの

 

持続可能な開発目標(SDGs

Sustainable Developメートルent Goals」の略称であり、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成

 

指定工事店

排水設備等の工事を施工するために必要な知識・技術をもった排水設備工事責任技術者が所属し、市が指定した業者

 

社会資本整備総合交付金

交通の安全の確保とその円滑化、経済基盤の強化、生活環境の保全、都市環境の改善及び国土の保全と開発並びに住生活の安定の確保及び向上を図ることを目的に地方公共団体等が行う取組に対して国から支援される交付金

 

修繕引当金

所有する設備等について、毎事業年度行われる通常の修繕が何らかの理由で行われなかった場合、その修繕に備えて引き当てていくもの

 

受益者負担金

都市計画法の規定に基づき、事業の実施により著しい利益を受けるものに対してその受ける利益の限度において事業市の一部を負担させる制度

 

分担金

特定環境保全公共下水道事業・農業集落排水事業について、地方自治法の規定に基づき、下水道整備により著しい利益を受けるものに対してその受ける利益の限度において事務費の一部を負担させる制度

 

除害施設

下水道に汚水を排出する前において、下水排除基準を超過しないように処理を行う設備

 

水質規制経費

特定施設の設置の届出の受理等、公共用水域の水質保全に資するために行う下水道に排除される下水の規制に関する事務に要する経費について繰り出すための経費

 

水洗化人口・水洗化率

水洗化人口:供用開始区域内における下水道に接続した人口

水洗化率:水洗化人口を供用開始区域内人口で除した値で、下水道を利用できる区域内において下水道に接続した人の割合

 

水洗化促進経費

水洗化促進のための啓発費等、水洗便所に係る改造命令等に関する事務に要する経費の一部について繰り出すための経費

 

水道料金等業務包括委託

水道料金の徴収業務とともに下水道使用料や受益者負担金なの徴収業務等の複数の業務を民間事業者に包括的に委託すること

 

ストックマネジメント事業

明確な目標を定めたうえで、膨大な施設の状況を客観的に把握、評価し、長期的な施設の状態を予測しながら、下水道施設を計画的かつ効率的に管理するもの

 

接続啓発プラン

下水道未接続世帯の接続向上へ向け効果的かつ実践的な啓発を行うための実施方針

 

Society5.0

内閣府の『第5期科学技術基本計画』にて定義された、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のこと

 

損益勘定留保資金

資本的収支の補填財源の一つで、当年度損益勘定留保資金と、過年度損益勘定留保資金に区分される。当年度損益勘定留保資金は、当年度収益的収支における現金の支出を必要としない費用、具体的には減価償却費、資産減耗費(現金支出を伴う除却費を除いたもの)等の計上により企業内部に留保される資金のこと。過年度損益勘定留保資金は、前年度以前に発生したもの

 

1次及び第2次緊急輸送道路

地震時に通行を確保すべきと愛知県が指定した道路

 

打切決算

地方公営企業法の適用にあたり、法適用の前日をもって従前の会計年度を終了させるための決算

 

地方公営企業法財務規定等適用

地方公営企業法を適用するにあたり、法の全部の規定を適用するのではなく財務規定等のみ適用すること

 

地方公営企業法の全部適用

地方公営企業法のすべての条項を適用すること。財務のみ適用となる一部適用と異なり、首長とは別に管理者が置かれ、一般行政の組織から切り離され独立した経営組織となるもの

 

長期前受金戻入額

現金の収入を伴わない収益であり、資産取得時に財源とした補助金等(長期前受金)を、減価償却に対応して収益化した額のこと

 

通報装置

マンホールポンプ等の施設の異常を遠方で監視するために、信号に変換し通信する装置

 

陶管(セラミック管)

焼き物の管、つまり土管のこと。 土を原料にした自然素材であり環境負荷が小さいこと、耐食性が高いことから下水道配管として従来から使用

 

当年度純利益・損失

当期純利益は、企業が一事業年度に全資産を運用して上げた収益から費用を差し引いた額がプラスの場合のこと。マイナスの場合は当期純損失

 

特定環境保全公共下水道事業

原則、市街化調整区域で行う公共下水道

 

特定施設

人の健康や環境に対し、被害を発生させるおそれのある物質を含む汚水又は廃液を排出する施設で、水質汚濁防止法及びダイオキシン類対策特別措置法で定められたもの

 

都市下水路

公共下水道の整備に先立ち雨水整備を行う場合の名称で、基本的な施設は公共下水道の雨水と同じもの

 

豊川市一般会計繰出基準

総務省が定める繰出基準をベースとして、市が独自に定めた下水道事業に関する一般会計からの繰入基準

 

豊川流域下水道維持管理費負担金

豊川流域下水道を構成する4組織(豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市)が流域下水道を維持管理していくため愛知県へと支払う維持管理負担金。各市の排水量によって金額が決定

 

豊川流域下水道推進協議会

豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市で組織され、豊川流域下水道の実施を促進するとともにこの事業のために必要な協力をし、地方産業の振興と関係住民の福祉増進に寄与することを目的とした協議会

 

内部統制制度

地方自治法等の改正により導入された、リスク(組織目的の達成を阻害する要因)を一定の水準以下に抑えることを確保するために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセス

 

内部留保資金

地方公営企業の補填財源として使用できる企業内部に留保された資金のこと。具体的には保有する現金預金等で、企業外に流出し、または固定化しても差し支えない繰越工事資金、損益勘定留保資金、利益剰余金処分額等をいう

 

排水設備の確認申請

排水設備の設置や構造の基準に適合するか確認するために必要な申請

 

働き方改革

長時間労働の解消、非正規と正社員の格差是正、高齢者の就労促進等、働く方々が、それぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための改革

 

発生主義

現金の収支の有無にかかわらず、経済活動の発生という事実に基づき記録・整理する方式

 

PFI方式

正式名称を、Private-Finance-Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)といい、公共事業を実施するための手法の一つ。民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法

 

BCP

事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字を取った言葉。企業が、テロや災害、システム障害や不祥事といった危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びることができるようにしておくための戦略を記述した計画書のこと

 

樋門

河川の水位が洪水等で高くなった時、堤内地側に水が逆流しないように、河川の堤防の中にコンクリート等の水路を通して、そこにゲートを設置したもの

 

複式簿記

経済活動を財貨等の経済価値の増加と他の経済価値の減少という二つの側面に注目してその変動を記録するもの

 

分流式経費

分流式下水道等に要する資本費等の一部について繰り出すための経費。資本費のうち、その経営に伴う収入をもって充てることができないと認められるものに相当する額が該当

 

他会計出資金

建設改良費等の資本的支出に充てる他会計(一般会計)からの繰入金

 

他会計負担金

下水道事業に係る経費のうち、一般会計(公費)が負担すべき「その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費」及び「当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費」。主として雨水処理に係る経費が該当

 

補償金免除による借入金の繰上返済

繰上返済を行う場合、返済に伴って生じる損失に対応する補償金の支払いが前提となるが、その支払いを免除したうえで繰上返済を行うこと。例外的な措置であることから法律に基づいて実施

 

補填財源

資本的収入が資本的支出に不足する場合にその不足額を補填する当該企業内部に留保された資金等の財源のこと。具体的には、消費税及び地方消費税資本的収支調整額、損益勘定留保資金、積立金等をいう

 

マンホールポンプ

下水処理場へ送る自然流下管の途中におけるマンホールの中に、ポンプ設備を組み込んで、道路の下に埋設設置したもの

 

融資あっせん及び利子補給制度

下水道の接続工事をする方に、工事費用を金融機関から借り入れ出来るようにあっせんし、完済までの利息を市が負担する制度

 

利益剰余金処分額

収益的収入が支出を超えると見込まれる額で、あらかじめ処分することを定めた金額のこと

 

流動資産

短期負債の償還に充てることができるもの。仮払い済額

 

流動負債

負債のうち事業の取引において1年以内に償還しなければならない短期の債務