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豊川市建築物耐震改修促進計画(改定版)(案)
第1章 はじめに
1. 計画策定の背景
我が国では、大きな被害をもたらした阪神淡路大震災(平成7年1月発生)以降、近年も新潟県中越地震(平成16年10月発生)、福岡県西方沖地震(平成17年3月発生)、能登半島地震(平成19年3月発生)、中越沖地震(平成19年7月発生)、東北地方太平洋沖地震(平成23年3月発生)、平成28年熊本地震(平成28年4月発生)、北海道胆振東部地震(平成30年9月発生)など大地震が頻発しており、大地震はいつどこで発生してもおかしくない状況にあるとの認識が広がっています。
また、中央防災会議では、東海・東南海・南海地震が同時に発生する場合の三連動地震について、東北地方太平洋沖地震の教訓を踏まえ、これまでの被害想定を見直すなど、今後大規模地震の発生に備えた広域的防災対策が検討されています。加えて、国土交通省中部地方整備局では、宮崎県沖の日向灘、海溝「南海トラフ」沿いの海溝軸を震源域に加えた五連動地震の想定を公表しているなど、これまで想定していた東海・東南海地震を上回る規模の連動地震の想定が各種関係機関で検討されています。
建築物耐震改修促進計画は、平成17年11月に改正された建築物の耐震改修の促進に関する法律(以下、耐震改修促進法または法という)に基づいて、計画的な耐震化を進めるために各公共団体が策定する計画です。
豊川市では、愛知県が定めた「愛知県建築物耐震改修促進計画(あいち建築耐震プラン2015)」の内容を踏まえ、平成19年度に具体的な耐震化の目標及び目標達成のために必要な施策を定める「豊川市建築物耐震改修促進計画」を策定しました。また、豊川市と合併する前の旧小坂井町においても同様に平成19年度に「小坂井町建築物耐震改修促進計画」を策定しました。その後、平成23年3月には、東北地方太平洋沖地震が発生し、改めて防災の重要性が認識された他、災害時の被害を最小化する「減災」の重要性も指摘され、その考え方のもと、国や愛知県では地震対策に関する計画等の見直しが行われ、本市においても、その見直しにあわせた「豊川市建築物耐震改修促進計画(改訂版)」を平成25年3月に策定しています。
その後、国は、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、平成25年に「耐震改修促進法」を改正した他、平成31年には避難路沿道の一定規模以上のブロック塀等について、より安全性を高めるための「耐震改修促進法」の改正を行っています。また、平成28年熊本地震では、建築物被害の原因分析に基づく、新たな災害からの教訓が示されています。
こうした中、耐震化の目標の達成状況や、目標達成のために行うとした施策の実施状況等を検証するとともに、愛知県が新たに策定した「愛知県建築物耐震改修促進計画(あいち建築減災プラン2030)」との整合を図りながら、更なる耐震化・減災化を促進するための「豊川市建築物耐震改修促進計画(改定版)」(以下、本計画という)を策定します。
2. 見直しの概要
(1)耐震化に加え減災化の促進
平成23年3月に東北地方太平洋沖地震、平成28年4月に熊本地震が発生し、改めて自然災害の大きさ、防災の重要性が認識され、国や愛知県でも耐震化に関する計画等を見直し、減災を含めた計画を検討するなど、地震対策に関する環境が変化しつつあります。
愛知県においても減災化施策として、段階的耐震改修の促進、耐震シェルター等整備の促進、家具の転倒防止の促進が取り入れられました。
このような国や愛知県の動向や、地震につよいまちをつくっていくためには、地震が発生した際に、少しでも被害を抑えるための準備を行うこと、つまり減災のための取組をあらかじめ行うことが最も重要であることを踏まえ、本計画は建築物の耐震化を進めるとともに、市民が取り組みやすい減災化の取組の支援や、地域での耐震化・減災化の取組を支援することで本市を地震に強いまちとするための計画とします。
参考「東日本大震災から「減災」という考え方の必要性」
「「減災」という考え方」
今回の津波は、これまでの災害に対する考え方を大きく変えた。今回の津波の浸水域は極めて広範囲であり、その勢いは信じ難いほどに巨大であった。それは、物理的に防御できない津波が存在することをわれわれに教えた。この規模の津波を防波堤・防潮堤を中心とする最前線のみで防御することは、もはやできないということが明らかとなった。今後の復興にあたっては、大自然災害を完全に封ずることができるとの思想ではなく、災害時の被害を最小化する「減災」の考え方が重要である。この考え方に立って、たとえ被災したとしても人命が失われないことを最重視し、また経済的被害ができるだけ少なくなるような観点から、災害に備えなければならない。
(出典 東日本大震災復興構想会議「復興への提言 悲惨のなかの希望」(平成23年6月))
(2)耐震化率の設定
住宅の耐震化の目標設定については、国土交通省の「住宅・建築物の耐震化率のフォローアップのあり方に関する研究会(令和2年5月)」や「愛知県建築物耐震改修促進計画(あいち建築減災プラン2030)」をうけ、令和7年までに住宅の耐震化率95パーセント、令和12年までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消としました。また、建築物の耐震化については、住宅と同じく、国の研究会と県の計画をうけ、耐震診断義務付け対象建築物を対象として、令和7年までに概ね解消することを目標としました。
3. 計画の位置づけ
本計画は、「豊川市第6次総合計画」、「豊川市地域強靱化計画」、「豊川市都市計画マスタープラン(改訂版)」、「豊川市住宅マスタープラン(住生活基本計画)(改訂版)」、「豊川市地域防災計画(地震・津波災害対策計画)」を上位計画とし、耐震改修促進法、「愛知県建築物耐震改修促進計画(あいち建築減災プラン2030)」に基づき、本市における住宅・建築物の耐震診断・耐震改修を促進することに加え、各種減災化対策も促進することを目的として策定するものです。
4. 本市における地震被害の想定
平成26年5月に愛知県防災会議地震部会により東海地震・東南海地震・南海地震の発生により生じる地震被害が想定されています。以下に、その想定結果を示します。
(1)想定される地震の規模及び被害の状況(東海・東南海・南海地震)
東海・東南海・南海地震の発生により生じる地震の規模及び被害の状況については、平成26年5月に愛知県防災会議地震部会により、被害想定が示されています。
その被害想定によると、東海・東南海・南海地震が連動して発生した場合の地震の規模は過去地震最大でマグニチュード8.6、理論上最大でマグニチュード9.0と想定されています。震度については、知多半島、渥美半島、愛知県東部及び濃尾平野など広い範囲で、過去地震最大モデルの条件下で震度6強以上(一部で震度7)、理論上最大モデルで震度6強から震度7になると想定されています。
本市においては、過去地震最大モデル・理論上最大モデルともに震度5弱から震度7が発生すると想定しています。揺れやすさの分布をみると北部や西部の山地に近い部分については過去地震最大モデルで震度5弱、理論上最大モデルで震度6弱と比較的揺れが小さくなっています。また、人口が集中している中心部や、名鉄・JRの沿線、豊橋市との境界周辺などの平地部において過去地震最大モデルで震度6弱、理論上最大モデルで震度6強から震度7が想定されています。上記の2つのモデルでいずれも震度6強以上の揺れが想定されている地域は、豊川沿岸の沖積低地や海岸線周辺の平野部であり、人的・物的被害が懸念されます。
「過去地震最大モデル」
・南海トラフで繰り返し発生している地震・津波のうち、発生したことが明らかで規模の大きいもの(宝永、安政東海、安政南海、昭和東南海、昭和南海の5地震)を重ね合わせたモデルである。
・本県の地震・津波対策を進める上で軸となる想定として位置付けられるものであり、「B 理論上最大想定モデル」の対策にも資するものである。
「理論上最大想定モデル」
・南海トラフで発生する恐れのある地震・津波のうち、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波を想定。千年に一度あるいはそれよりもっと発生頻度が低いものである。(注記 国が平成24年8月29日に公表した「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波モデル」。)
・本県の地震・津波対策を検討する上で、主として「命を守る」という観点で補足的に参照するものである。
(出典 愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査結果)
東海・東南海・南海地震連動の場合において、本市の人的被害や建物の被害については、最大で死者数約1,400人、揺れ・液状化による建物被害は全半壊・焼失合わせて約25,000棟と想定されています。これらの大きな被害に対し、各種施策によって被害の軽減を図る必要があります。
(2)想定される液状化の状況(東海・東南海・南海地震)
平成26年5月に、愛知県防災会議地震部会が液状化危険度を想定しています。それによると、愛知県では、海部地域及び三河湾沿岸等が液状化の危険度が高いものと想定されています。
本市については、東部を流下する豊川の周辺と南西部の海岸部や埋立地を中心に液状化の危険性が高いとされる地域が集中しており、甚大な被害が想定されます。また、東名高速道路や国道1号線、名鉄名古屋本線・豊川線、JR飯田線といった交通網が配置されている地域において一部液状化の危険性が高いとされているため、交通機能の被害が懸念されます。
第2章 計画の基本的事項
1. 基本的な考え方
本計画は、建築物の耐震化の実施に関する目標を定め、耐震化や減災化に取り組むことにより、本市における地震による建築物の被害や人命・財産の損失の軽減を図ることを目的とします。
当初、国が定めた「建築物の耐震化を図るための基本的な方針(平成18年1月25日国土交通省告示)では、10年後に、東海、東南海・南海地震における死者数及び経済被害額を被害想定から半減させるため、住宅の耐震化率及び多数の者が利用する建築物の耐震化率について、当時の75パーセントを、平成27年度までに少なくとも90パーセントにすることを目標としていました。
その後、国は「新成長戦略」(平成22年6月閣議決定)において、「平成32年度までに住宅の耐震化率を95パーセントにする」ことを目標とし、愛知県においても「愛知県建築物耐震改修促進計画(あいち建築減災プラン2020)」により、平成32年度までに住宅の耐震化率を95パーセントにする等の目標を定めています。
しかし、今般、国土交通省の「住宅・建築物の耐震化率のフォローアップのあり方に関する研究会(令和2年5月)」においては、平成30年の住宅の耐震化率は約87パーセントであり、これまでの目標の達成が困難であることを踏まえ、「1 令和2年までに住宅の耐震化率95パーセント」「2 令和7年までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消」としていたこれまでの目標を、「令和7年までに住宅の耐震化率95パーセント」「令和12年までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消」とする目標が示されました。愛知県においても令和2年度策定の「愛知県建築物耐震改修促進計画(あいち建築減災プラン2030)」において、国と同様の考え方で住宅等の耐震化や減災化について定めています。
本計画は、国や愛知県が示す減災目標の実現に向けて計画的な耐震化を促進するため、耐震改修促進法に基づき、愛知県の定める耐震化の目標や、本市において想定される地震の規模・被害状況等及び市内の耐震化の現状及び関連計画における減災目標を考慮し、具体的な目標と耐震化や減災化を促進するために取り組むべき施策を定めます。
2. 対象となる区域、計画期間、対象建築物
(1)対象区域
本計画の対象区域は、本市全域とします。
(2)計画期間
本計画の計画期間は令和12年度までとします。また、計画及び事業の進捗状況や社会情勢を勘案し、耐震化及び減災化の進捗状況の確認を行うとともに、計画内容を検証し必要に応じ適宜、計画内容や目標を見直します。
(3)対象建築物
本計画が対象とする建築物は、「住宅」及び特定既存耐震不適格建築物・耐震診断義務付け対象建築物を含む「建築物」とします。
「住宅」とは、戸建て住宅、長屋、共同住宅(賃貸・分譲)を含む全ての住宅です。また、「特定既存耐震不適格建築物」とは、耐震改修促進法第14条に示される建築物のことで、第1号「多数の者が利用する建築物」、第2号「危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物」、第3号「地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがある建築物(以下「通行障害既存耐震不適格建築物」という。)」の建築物のうち、政令で定める規模以上で、建築基準法の耐震関係規定に適合せず、建築基準法第3条第2項(既存不適格)の適用を受けている建築物です。
「耐震診断義務付け対象建築物」とは、法附則第3条「要緊急安全確認大規模建築物」、法第7条「要安全確認計画記載建築物(「都道府県又は市町村が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物」、「都道府県が指定する避難所等の防災拠点建築物」)」の一定の要件に該当する既存耐震不適格建築物であり、その所有者は、耐震診断とその結果を所管行政庁に報告することが、耐震改修促進法(平成25年改正)で義務付けられています。
1) 多数の者が利用する建築物(法第14条第1号)
多数の者が利用する建築物の用途及び規模は、耐震改修促進法に基づき、以下の用途及び規模とされています。
PDF形式の資料では、「多数の者が利用する建築物」の表を示していますが、ここでは省略します。
2) 危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物(法第14条第2号)
危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物の危険物の種類及び数量は、耐震改修促進法に基づき、以下のとおりとされています。
PDF形式の資料では、「危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物」の表を示していますが、ここでは省略します。
3) 通行障害既存耐震不適格建築物(法第14条第3号)
地震発生時に通行を確保すべき道路沿道の建築物は、「地震発生時に通行を確保すべき道路」沿道の建築物で、そのいずれかの部分の高さが、当該部分から前面道路の境界線までの水平距離に、当該前面道路の幅員に応じて定められる距離(前面道路幅員が12メートルを超える場合は幅員の1/2、前面道路幅員が12メートル以下の場合は6メートル)を加えたものを超える建築物が対象とされています。
PDF形式の資料では、「地震発生時に通行を確保すべき道路沿道の建築物」を図示していますが、ここでは省略します。
「地震発生時に通行を確保すべき道路(通行障害既存耐震不適格建築物の敷地に接する道路)の設定方針」
法第6条第3項第2号に基づく「地震発生時に通行を確保すべき道路(通行障害既存耐震不適格建築物の敷地に接する道路)」は、豊川市地域防災計画で下記の定義で定められている路線を、本計画においても同様に指定します。具体的には、地震発生時に、救援・復旧の基幹的な役割と、市民の避難場所としての機能を担う広域避難場所の機能を維持することが重要な路線を設定します。
また、本市には、太平洋側の広域交通の中心となる東名高速道路のインターチェンジ(以下、I.C.とする)が2箇所(豊川I.C.、音羽蒲郡I.C.)整備されており、東三河地域全体の広域交通を担っていることから、東名高速道路と周辺市町の連絡機能を補完する道路についても設定します。
「地震発生時に通行を確保すべき道路」
・県指定の緊急輸送道路と広域避難場所をネットワークする路線
・人口が集積する地域において県指定の緊急輸送道路の機能を補完するとともに市民が避難する際の幹線となる路線
・東名高速道路I.C.と周辺市町を連絡する緊急輸送道路の機能を補完する路線
PDF形式の資料では、「地震発生時に通行を確保すべき道路」の図と表を示していますが、ここでは省略します。
4) 要緊急安全確認大規模建築物(法附則第3条)
要緊急安全確認大規模建築物の用途及び規模は、耐震改修促進法に基づき、以下とされています。
PDF形式の資料では、「要緊急安全確認大規模建築物」の表を示していますが、ここでは省略します。
5) 要安全確認計画記載建築物(法第7条)
・都道府県又は市町村が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物
「避難路沿道建築物」
法第5条第3項第2号の規定に基づき、県では耐震診断義務付け路線を指定しており、本市内の路線は、国道1号線(弥富市から豊橋市)、国道23号(弥富市から豊橋市)、国道151号線・国道247号線(豊橋市から新城市)、(主)長沢蒲郡線(豊川市内)になります。この路線の沿道建築物で、倒壊した場合において前面道路の過半を閉塞する恐れのある高さが6メートルを越える建築物が避難路沿道建築物となります。
「避難路沿道の組積造の塀」
また、倒壊した場合において、前面道路の過半を閉塞する恐れのある長さが25メートルを越える組積造の塀も義務付けの対象となります。
PDF形式の資料では、「耐震診断義務付け対象の避難路沿道建築物」と「耐震診断義務付け対象の避難路沿道の組積造の塀」を図示していますが、ここでは省略します。
・都道府県が指定する避難所等の防災拠点建築物
法第5条第3項第1号の規定に基づき、県では要緊急安全確認大規模建築物を除く次の建築物について、防災拠点建築物として指定しています。
ア. 愛知県地域防災計画附属資料に記載された指定避難所(想定される災害に地震を含むものに限り、指定緊急避難場所と重複するものを除く。)で被災した住民が滞在することとなる建築物のうち、既存耐震不適格建築物(耐震不明建築物に限る。)であるもの。
イ. 愛知県地域防災計画附属資料に記載された災害拠点病院及び愛知県医療圏保健医療計画別表の「救急医療」の体系図に記載されている病院群輪番制参加病院で、診療機能を有する建築物のうち、既存耐震不適格建築物(耐震不明建築物に限る。)であるもの。
第3章 耐震化・減災化の現状と目標
建築物の構造耐力に関しては、建築基準法及び建築基準法施行令で定められており、この法令が昭和56年6月に大きく改正されました。この基準(以下、「新耐震基準」という)によって建築された建築物は、阪神淡路大震災等その後の大きな地震でも概ね耐震性を有するとされています。
一方、この改正の前に(以下、「旧耐震基準」という)建築された建築物は阪神淡路大震災等の地震で大きな被害を受けたものが多く耐震性に疑問があるとされています。
1. 住宅の耐震化の現状と目標
(1)住宅の耐震化の現状
本市内における令和2年現在の住宅の耐震化の状況は、居住世帯のある住宅総数54,605戸のうち、耐震性があると判断されるものは、44,318戸となっており、81.2パーセントの住宅で耐震性があると推計されます。耐震性がないと判断される住宅は10,287戸(18.8パーセント)であり、これらの住宅の耐震化を促進することが市民の生命・財産の保護に重要です。
(2)住宅の耐震化の目標
住宅については、国土交通省の「住宅・建築物の耐震化率のフォローアップのあり方に関する研究会(令和2年5月)」の示す目標や愛知県の耐震化目標を踏まえ、令和7年度までの耐震化の目標を95パーセント、令和12年度までの耐震化の目標を「耐震性が不十分な住宅を概ね解消する」ことを目標とします。
「令和7年度の目標について」
住宅は、戸建て住宅、長屋、共同住宅(賃貸・分譲)を含み全ての住宅を対象とします。耐震化率の目標を達成するためには、これまでの実績等を踏まえると、今後新たに5,800戸ほどの住宅に対して施策を講じる必要性があります。
「令和12年度の目標について」
令和12年度時点の目標である「耐震性が不十分な住宅の概ね解消」とは、耐震性が不十分な住宅が、概ね耐震化対策等が実施されたことを示します。
2. 特定既存耐震不適格建築物・耐震診断義務付け対象建築物の耐震化の現状と目標
(1)特定既存耐震不適格建築物の耐震化の現状と目標
1) 特定既存耐震不適格建築物の耐震化の現状
a. 多数の者が利用する建築物の耐震化の現状
本市における、令和2年現在の多数の者が利用する建築物(耐震改修促進法第14条第1号に規定する建築物)の耐震化の現状について、耐震性が確認されていない建築物の棟数は60棟となっています。
b. 危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物の耐震化の現状
危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物(耐震改修促進法第14条第2号に規定する建築物)のうち、旧耐震の建築物で耐震性のないものは、本市内に1棟残っています。これは石油類を貯蔵又は処理する大規模な工場です。
c. 通行障害既存耐震不適格建築物の耐震化の現状
地震発生時に通行を確保すべき道路沿道の建築物(通行障害既存耐震不適格建築物 耐震改修促進法第14条第3号に規定する建築物)のうち、耐震性を有していない可能性がある旧耐震の建築物は44棟残っています。なお、これらの建築物は、いずれも耐震診断が義務付けられている要安全確認計画記載建築物(避難路沿道建築物)には該当していません。
2)特定既存耐震不適格建築物の耐震化の目標
耐震性がない特定既存耐震不適格建築物については、数値目標は定めませんが、今後も耐震化が進むように、状況・件数の把握と啓発に努めていきます。
(2)耐震診断義務付け対象建築物の耐震化の現状と目標
1) 耐震診断義務付け対象建築物の耐震化の現状
a. 要緊急安全確認大規模建築物の耐震化の現状
要緊急安全確認大規模建築物(耐震改修促進法附則第3条に規定する用途の建築物)のうち、旧耐震の建築物で耐震性がなく、耐震改修や解体の見込みのないものは、本市内に1棟残っています。
b. 要安全確認計画記載建築物の耐震化の現状
要安全確認計画記載建築物(耐震改修促進法第7条に規定する用途の建築物)については、避難路沿道建築物、避難路沿道の組積造の塀、防災拠点建築物ともに、本市では該当する建築物はありません。
2) 耐震診断義務付け対象建築物の耐震化の目標
数値目標の対象とするのは、耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物とし、耐震性が不十分な「要緊急安全確認大規模建築物」と、「要安全確認計画記載建築物」を分けて目標を設定します。要緊急安全確認大規模建築物においては、令和7年度までに耐震性が不十分な対象建築物を概ね解消することを目標とします。また、要安全確認計画記載建築物においては、今後、県が追加設定した場合は、県と連携を図り、耐震化の推進に努めます。
3. 減災化の現状と目標
(1)減災化の現状
本市では、減災化促進のための対策として、段階的耐震改修や耐震シェルター設置、ブロック塀撤去等の補助制度を創設しており、これらの制度を活用し、減災化に取り組んでいる市民もみられている状況です。
(2)減災化の目標
本市においては、減災化の目標を「住宅・建築物の倒壊から人命と生活を守る」こととし、住宅及び建築物の倒壊等による圧迫死を限りなく「ゼロ」にするために、これまで取り組んできた減災対策の促進を、引き続き継続します。
第4章 今後の課題
耐震化・減災化により地震に強いまちづくりを推進するため、これまでの施策及び取組の評価等をふまえ、市民のニーズや課題の整理を行った上で耐震化促進の施策を検討しました。
1. 住宅・建築物の耐震化
1) 住宅の耐震化
住宅の耐震化率については、81.2パーセントであり、前回計画時の(平成24年度)70.4パーセントに対して向上しているものの、目標としていた95パーセントを下回っている状況であり、今後も継続して耐震化を促進するための施策を進める必要があります。
また、旧耐震住宅は築40年以上の建築物になっており、家計を支える者の年齢は65歳以上が7割近くなっています。
2) 建築物の耐震化
建築物については、公共施設に比べて、民間建築物での耐震化が進んでいない状況です。
3) 現状や問題点
・旧耐震住宅は、高齢世帯が多い傾向があり、このような所有者の状況に留意することも重要といえます。
・建築物について、民間建築物での耐震化が進んでいない状況ですが、これは技術的な課題や費用の面、共同住宅の場合は合意形成等が障害となっていること等が考えられます。
2. 施策評価
(1)耐震診断、耐震改修に係る補助・助成制度
1) 実施状況
耐震診断、耐震改修に係る補助・助成制度は昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅を対象に、耐震診断については平成14年度から、耐震改修については翌平成15年度から実施しています。
「a.耐震診断」
・木造住宅の耐震診断については、施策導入以降、継続的な実績が確認できるものの平成15年度の815件をピークにして、近年では100件前後で推移しています。また、前述の通り、既に耐震化率が高い非木造住宅(耐震化率97.1パーセント)の耐震診断の補助については、平成22年度以降、活用実績がない状況です。
「b.耐震改修」
・木造住宅の耐震改修については、耐震診断と同じく平成15年度をピークとして、継続的な実績が確認できますが、耐震診断の実施件数に対して耐震改修の実施件数は多くない状況が確認できます。また、既に耐震化率が高い非木造住宅の耐震改修については、補助制度を設けているものの、活用実績がない状況です。
「c.住宅の解体」
・一方、木造住宅解体工事の補助については、近年5ヶ年で増加傾向にあります。旧耐震住宅は築40年以上が経過した建築物になっており、耐震改修ではなく建替を選択される所有者が少なくない状況になることが想定されます。
「d.段階的耐震改修」
・耐震改修を一度にするのではなく、二度に分けて行うことで所有者の費用負担の軽減を図る木造住宅の段階的耐震改修費の補助を創設していますが、平成25年度に1件、平成29年度に2件の活用があった他は、利用者がみられない状況です。
「e.耐震シェルター」
・耐震シェルター(地震発生時に木造住宅が倒壊した場合でも、命を守り、救助がくるまでのスペースを確保するためのシェルター)の整備補助については、平成26年度以降、継続的な活用がみられている状況です。
「f.住宅リフォーム工事補助」
・耐震改修補助事業(木造住宅・非木造住宅耐震改修、木造住宅の段階的耐震改修、木造住宅耐震シェルター等整備)に併せてリフォーム工事を行う住宅に対して費用の一部を助成する住宅リフォーム工事費補助については、平成27年度以降、継続的な活用がみられている状況です。
住宅リフォームの工事数が多かった平成27年度と令和元年度は、耐震改修の数も多く(平成27年度 13件(リフォーム 12件)、令和元年度 10件(リフォーム 9件))、住宅の耐震化・減災化に資する制度といえます。
「g.ブロック塀等撤去」
・地震等の災害時におけるブロック塀等の倒壊による被害を防止するための補助(ブロック塀等撤去費補助金)については、平成30年度5件に対して令和元年度は18件であり、今後も制度活用による減災化が期待できる状況です。
2) 現状・問題点
・耐震診断、耐震改修ともに、平成15年をピークとして、近年ではほぼ横ばいになっています。
・耐震診断の実施件数に対して耐震改修の実施件数は多くない(耐震診断から耐震改修に至る割合は決して大きくない)状況にあります。
・既に耐震化率が高い非木造住宅(耐震化率97.1パーセント)については、耐震診断・耐震改修ともに、積極的な活用がみられない状況にあります。
・旧耐震住宅は築40年以上が経過した建築物になっており、耐震改修ではなく建替を選択される所有者が少なくない状況になることが想定されます。
・耐震改修に係る所有者の費用負担軽減を図る木造住宅の段階的耐震改修費の補助を創設していますが、利用者は未だ多くない状況にあります。
・耐震シェルターの整備補助については、平成26年以降、継続的な活用がある状況です。
・住宅リフォームの補助については、耐震改修補助事業利用に対する活用割合が高い等、住宅の耐震化・減災化に資する活用が図られています。
・ブロック塀等撤去費補助金については、前年度に対して令和元年度の補助活用が増えており、今後も制度活用による減災化が期待できる状況です。
(2)普及啓発活動
1) 実施状況
「a.耐震ローラー作戦」
平成20年度から継続的に実施している耐震ローラー作戦では、これまでの計画で定めた重点的に耐震化を進める区域の中から順に対象となる住宅を戸別に訪問し、耐震改修の必要性を訴え耐震診断の受診を促しています。回数を経る中で実施方法の改善(実施前の事前調査、実施時間帯・曜日の工夫、町内会への説明や立会など)を図っています。また、耐震診断、改修に結びつかない場合であっても、耐震化施策について市民の生の声が聞ける貴重な場となっています。
「b.小学校向け耐震出前講座」
小学校向け耐震出前講座として、小学校での耐震化・減災化に関する授業を、平成25年度から毎年実施しています。
「c.耐震シェルターの実物展示」
市有施設において、耐震シェルターの実物展示、補助制度の案内を実施しています。
「d.その他の普及啓発活動」
市広報や地元FMラジオを通じた案内の他、市イベント等ではブースを出展し、耐震化・減災化の普及活動を行っています。
2) 現状・問題点
・継続的に実施してきた耐震ローラー作戦は、耐震改修の必要性に対する直接的な周知・啓発になっており、耐震診断・改修につながったケースもある等、一定の成果を得ています。
・但し、耐震診断の申込率は決して高い割合でないことが問題点であり、今後、前述の所有者の属性・事情等を踏まえ、減災化を含めて所有者の取組を促進することが重要と考えられます。
・その他の普及啓発活動として、小学校向けの耐震出前講座の開催、耐震シェルターの実物展示、市広報や地元FMラジオを通じた案内などを実施し、いずれも一定の成果を得ています。
3. 災害からの教訓
平成28年熊本地震では、国が設置した「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」の報告書によると、次の特徴があったとされています。
下記のことを踏まえた、取組の必要性があるといえます。
1 新耐震基準の建築物と比較して、旧耐震基準の木造建築物の倒壊率は顕著に高かった。
2 新耐震基準の建築物においても、接合部の仕様が不十分だったものについて、一定の被害がみられた。
3 防災拠点となる建築物において、構造部材の部分的な損傷、非構造部材の落下等により、地震後の継続実施が困難となった事例が多くみられた。
この報告結果を踏まえた、国の取組方針は、以下のようになっています。
1 旧耐震基準の木造建築物の耐震化を一層促進させる。
2 新耐震基準の木造建築物のうち、接合部の仕様を明確化していない平成12年以前の建築物について、接合部等の状況を確認することを推奨する。
3 防災拠点の機能継続にかかるガイドラインをとりまとめ、必要な対策が講じられるように周知・支援を行う。
4. 課題の整理と取組の方針
(1)課題の整理と対応策の方向性
施策評価の結果から、現状と問題点が明らかになりました。これらを整理し対応策の方向性を定めました。今後さらに耐震化・減災化を促進していくためには、市民のニーズや課題に合致した対応策の方向性に沿った施策の展開が必要です。
「現状の課題1」
・耐震診断、耐震改修ともに、平成15年をピークとして、近年ではほぼ横ばいになっています。大規模地震等から命を守るという視点等で、耐震化・減災化の重要性を再度認識してもらうことが重要といえます。
方向性1 所有者における耐震対策の必要性の意識を再度、高めることが有効です。
「現状の課題2」
・旧耐震住宅は、高齢世帯が多い傾向があり、このような所有者の状況に留意することも重要といえます。
方向性2 所有者の属性等を勘案した、効果的な取り組みを進めることが有効です。
「現状の課題3」
・耐震診断から耐震改修に至る割合は決して大きくない状況にあります。愛知県等との連携による低価格で耐震化・減災化ができる工法の周知等の他、建築士や工務店等の事業者との連携による耐震改修の促進等が有効と考えられます。
方向性3 県や事業者等との連携による取り組みを進めることが有効です。
「現状の課題4」
・旧耐震住宅は築40年以上の建築物であり、耐震改修ではなく建替を選択される所有者が少なくない状況になると想定されます。木造住宅の解体に対する補助の継続や情報発信を行う等、旧耐震住宅の建築経過年数を踏まえた取り組みが重要といえます。
方向性4 旧耐震住宅の解体・建替の促進を継続・強化することが有効です。
「現状の課題5」
・耐震改修費用が高額となることを踏まえた減災対策として、段階的耐震改修や耐震シェルターの補助制度を創設していますが、段階的耐震改修費の補助利用者は未だ多くない状況にあります。一方、耐震シェルターの整備補助については、平成26年以降、継続的な活用がみられている状況です。
・住宅リフォームの補助については、耐震改修補助事業利用に対する活用割合が高い等、住宅の耐震化・減災化に資する活用が図られています。
・ブロック塀等撤去費補助金については、今後も制度活用による減災化が期待できる状況です。
方向性5 減災化の促進に資する多様な制度を継続・強化することが有効です。
「現状の課題6」
・建築物については、公共施設は耐震化が進んでいることから、今後は特に民間建築物の耐震化を進めることが課題となっています。技術的な課題や費用の面、共同住宅の場合は合意形成等が障害となっていること等が考えられます。
方向性6 建築物の耐震化促進のための支援制度・体制の維持・構築を図ることが有効です。
「現状の課題7」
・継続的に実施してきた耐震ローラー作戦においても、今後、前述の所有者の属性・事情等を踏まえた普及・啓発活動等が重要と考えられます。
方向性7 耐震ローラー作戦等による継続的な普及・啓発活動を実施することが有効です。
「現状の課題8」
・平成28年熊本地震では、1旧耐震建築物に甚大な被害があったこと、2新耐震建築物(住宅)にも被害が発生したことが確認されたとともに、3損傷等により、防災拠点となる建築物等が使用不可能になる事態が生じました。このような災害による教訓を踏まえた取り組みが重要といえます。
方向性8 災害の教訓を踏まえた取り組みを展開・強化することが有効です。
(2)課題を踏まえた主な取組の方針
本計画では、前述の課題を踏まえた取組を展開することとします。
方向性2所有者の属性等を勘案した効果的な取り組みの推進
方向性4旧耐震住宅の解体・建替の促進の継続・強化
方向性6建築物の耐震化促進のための支援制度・体制の維持・構築
主な取組の方針「耐震化の取組」
・耐震化施策の継続と地域等との連携「住宅」
これまで進めてきた耐震化促進のための取組を継続することを基本として、所有者の属性等を認識し、地域等と連携した取組を進めていきます。
・耐震化促進のための取組の継続と支援の検討「建築物」
これまで進めてきた耐震化促進のための取組を継続するとともに、県等と連携して、建築物の耐震化に障害となっている点の対応について検討します。
方向性5減災化の促進に資する多様な制度の継続・強化
方向性8災害の教訓を踏まえた取り組みの展開・強化
主な取組の方針「減災化の取組」
・減災化に資する多様な制度の継続・強化
減災化を促進するための取組として、多様な制度の継続・強化や、家具の転倒防止等の身近な取組の継続的な促進を行います。
・新耐震(平成12年以前)建築物の減災化の検討・啓発
平成28年熊本地震において、新耐震基準導入以降で倒壊した建築物の事例もあり、それらの建築物は接合部の仕様が不十分であったものに多くみられたことを踏まえた減災化の検討を必要に応じて行います。
方向性1耐震対策の必要性について、再度、普及・啓発の強化
方向性7耐震ローラー作戦等、継続的な普及・啓発活動の実施
方向性3県や事業者等との連携による取り組みの実施
主な取組の方針「普及・啓発」
・普及・啓発施策の継続と地域や事業者等との連携
近年、頻発する自然災害から「自身の生命と生活を守る」ことを再度、普及・啓発するために、これまで実施している普及・啓発の取組を継続するとともに、地域や事業者等とも連携して、普及・啓発体制の強化を図ります。
第5章 耐震化・減災化促進の施策
1. 耐震化・減災化に向けた役割分担
住宅・建築物の耐震化・減災化を促進するためには、なによりも住宅・建築物の「所有者等」が地域防災対策を自らの問題、地域の問題として認識し、対策を講じることが重要です。加えて「地域」ごとに建築物の耐震化・減災化向上による地震に強い地域づくりの推進も必要になってきます。各「地域」の現状に応じた地震に強い地域づくりには、町内会や各種まちづくり団体等の取組が重要になると考えます。また、建築士や工務店などの建築物の耐震化の「専門家」についてはその専門的な見地から「所有者等」への適切なアドバイスにより耐震化・減災化を支えることが求められます。
国や愛知県及び「本市」は、本計画で示している耐震化の目標を実現するため、こうした「所有者等」が住宅・建築物の耐震化・減災化を進めやすいよう各種施策により支援・指導等を行います。また、「所有者等」と連携して耐震化・減災化を進めていく「地域」や、「所有者等」にアドバイスを行っていく「専門家」と協働することで間接的にも「所有者等」を支援していきます。
東海・東南海地震に加え東海・東南海・南海地震の三連動地震の懸念がある中で、これまで以上に迅速に耐震化・減災化を進めていく必要があることから、「所有者等」にとって耐震化・減災化を行いやすい環境の整備や負担軽減のための制度の構築などに取り組み、耐震化・減災化の実施の阻害要因となっている課題を解決します。
PDF形式の資料では、「所有者等・地域・専門家・本市・愛知県・国の役割分担」のイメージ図を示していますが、ここでは省略します。
2. 促進体制
(1)耐震化促進の体制整備
円滑な住宅・建築物の耐震化・減災化の促進のためには、本市のまちづくりに関する関係課や地域、関連する機関や団体等と連携して指導を進めることが重要です。また、計画の進捗状況等の情報を共有して目標に向かって的確に取り組むことが求められます。
1) 所有者等への支援・指導等
建築物の所有者等は、自分自身や家族の生命を守るため、また建築物の居住者や利用者の生命を守るために建築物の耐震化に取り組む必要性があります。また、愛知県地震防災推進条例5条では、県民の責務として「建築物その他の工作物の耐震性の確保」、「家具の転倒防止」に努めるものとしています。このような中、これまで本市は、耐震化・減災化の補助制度を創設し、市のホームページやイベントでの周知、ダイレクトメールの送付や戸別訪問、出前講座等を活用した普及啓発活動を行ってきました。今後も所有者等が建築物の耐震化や減災化に取り組むための支援・指導を行っていきます。
2) 愛知県との連携
本市は、限定特定行政庁として特定既存耐震不適格建築物の一部(建築基準法第6条1項第4号に該当する建築物)に対して耐震改修促進のための指導等を実施します。
また、上記に該当する建築物以外の耐震化については、地域の状況を踏まえ、「愛知県建築物耐震改修促進計画(あいち建築減災プラン2030)」との整合を図りつつ本計画を策定しており、より的確に耐震化を推進するために、今後も継続的に愛知県との連絡、協議体制の整備による連携・協力体制の強化や情報の共有化を図ります。
3) 公共施設管理者間の連携
多数の者が利用する特定既存耐震不適格建築物のうち、災害応急活動に必要な建築物などには、公共機関が所有する建築物が含まれます。このため、本市においては、今後も継続して、上位機関からの通達等の情報提供の実施等による公共機関との協調・連携体制の維持や、災害時における避難所開設の適切な対応をするための職員向けの講習会開催等、災害時の適切な施設活用のための取り組み等を進めます。
4) 協議会の取組への参加
愛知県、本市を含む県内全市町村及び公益社団法人愛知建築士会を始め10の建築関係団体で構成される「愛知県建築物地震対策推進協議会」の取組に対して、啓発イベントへの参加等を行ってきました。今後も継続した協力を行います。
5) 専門家との連携
公益社団法人愛知建築士会豊川支部や、建築士登録制度などにより本市に所在する建築設計事務所と協働し、重点的に耐震化・減災化を進める区域において耐震診断や耐震改修を進める体制の構築を図るなど、今後も連携して耐震化・減災化を進めていきます。
6) 地域や市民組織との連携
住宅・建築物の耐震化・減災化への取組は、最終的にはそれぞれの所有者等が耐震改修や減災化対策を行うことにより実現します。個別の対応ではなかなか進まないことが予想される耐震化・減災化ですが、地域で耐震化に取り組むことで、効率的・効果的に耐震化・減災化を進めていくことが可能となると考えます。
このため、市では地域が主体となった取組を重視し、これに必要となる支援を行っていきます。特に重点的に耐震化・減災化を進める区域については、早期に市からも町内会等へ働きかけ説明会等を通して耐震化・減災化を後押ししていきます。また、地域の耐震化促進のリーダーとしての役割が「耐震化アドバイザー」に期待されています。今後も設計士との情報共有、指導を行うとともに、専門家を対象とした耐震診断・改修の講習会等の情報発信を行う等、専門家の育成に関する取り組みを進めます。
(2)耐震診断・耐震改修の相談窓口の充実
本市では、建築課において、住宅・建築物の耐震化・減災化をはじめ、建築全般について相談窓口を設置し、相談に応じています。その他、安価に整備可能な耐震シェルターについて、設置費補助制度を創設するとともに、実物展示等を行い、多種多様な地震対策相談に対応できるよう努めています。
また、愛知県及び関係団体と共同して市内で開催される地震防災講演会等において、耐震化をはじめとした住宅の相談に応じています。
これらの窓口については、地震防災マップやパンフレット「命を守る・まちを守る家づくり」に記載しており、今後さらに市民への周知を図ります。
今後も、既存の相談窓口を通して、耐震診断や耐震改修だけでなく減災化の相談にも応じるとともに、相談窓口を充実します。
(3)地震防災マップによる啓発
市民や建築物の所有者等に、地震に対する危険性を認識してもらい、防災対策が自らの問題・地域の問題として意識できるよう、地震による危険性の程度を示す地図(防災マップ)を作成し、市民に情報提供を行っています。
(4)パンフレット「命を守る・まちを守る家づくり」による啓発
パンフレット「命を守る・まちを守る家づくり」を作成し、耐震診断を受診した世帯に配布し、地震対策に係る啓発に努めています。パンフレットでは市民一人ひとりまたは世帯の状況や事情にあった耐震改修や減災対策が実施できるように、主な耐震化や減災化の取組を紹介しています。
3. 重点的に耐震化・減災化を進める区域
(1)重点的に耐震化・減災化を進める区域に対する取組方針
重点的に耐震化・減災化を進める区域に対しては、後述の耐震ローラー作戦など「第6章 住宅・建築物の耐震化・減災化の促進」を積極的に進めることで耐震化・減災化を図ります。
(2)重点的に耐震化・減災化を進める区域の設定基準
地震発生時に大きな被害が想定される区域や地震発生後の復興の基軸と想定される区域を重点的に耐震化・減災化を促進していくことで市全域として効果的に被害軽減を図ることとします。
重点的に耐震化・減災化を進める区域は、定量的な指標及び定性的な指標から総合的に設定しています。
重点的に耐震化・減災化を進める区域の設定基準
「定量的な指標」
基準1
建物倒壊率、木防建ぺい率、建物密度、耐震化率、最大計測震度、老朽割合が高い地域
「定性的な指標」
基準2
市街化区域のうち救援・復興に重要な緊急輸送道路及び、市が設定する地震発生時に通行を確保すべき道路の沿道
基準3
乗降者数の多い鉄道駅周辺において建物倒壊率、木防建ぺい率、建物密度、耐震化率、最大計測震度、老朽割合が高い地域
基準4
人が多く集まる観光地周辺
(3)重点的に耐震化・減災化を進める区域
前項の設定基準に従い、引き続き、以下の区域を「重点的に耐震化・減災化を進める区域」とします。
基準1
新青馬町周辺
基準2
第1次、第2次緊急輸送道路沿道及び市が設定する地震発生時に通行を確保すべき道路の沿道
基準3
名鉄名古屋本線「国府駅」周辺、名鉄豊川線「豊川稲荷駅」・JR飯田線「豊川駅」周辺、JR東海道本線「愛知御津駅」周辺、JR飯田線「牛久保駅」周辺、JR東海道本線「西小坂井駅」周辺、名鉄豊川線「諏訪町駅」周辺
基準4
豊川稲荷周辺
PDF形式の資料では、「重点的に耐震化・減災化を進める区域」を図示していますが、ここでは省略します。
第6章 住宅・建築物の耐震化・減災化の促進
1. 住宅の耐震化・減災化の促進
(1)耐震化・減災化の各取組について
「第4章 4.課題の整理と取組の方針」で示した耐震化・減災化の各取組について、その内容や関連する補助や助成、取組などを以下に示します。これらの支援施策を進め、耐震化・減災化の促進を図ります。
1) 耐震化の取組
新耐震基準で建築された建築物は、阪神淡路大震災等その後の大きな地震でも概ね耐震性を有するとされています。その一方で、旧耐震の基準で建築された建築物は阪神淡路大震災等の地震で大きな被害を受けたものが多く、その耐震性に疑問があるとされています。建築物が倒壊することで、居住者や利用者に被害がおよぶことに加え、避難路等が閉塞され避難行動や物資の輸送に支障をきたし、その後の復興にも大きな影響を与えます。耐震化の取組により住宅の倒壊を防ぐことが必要です。
耐震化の取組は、旧耐震の基準で建築された住宅を新耐震基準になるよう改修することまたは解体することをさしますが、まずは住宅の耐震性能を把握するために耐震診断を実施します。
・耐震診断
耐震診断とは、建築物が地震に対してどの程度耐えることができるかを診断するものです。その建築物の図面や実地調査で、柱、梁、壁等の形状、材料、劣化の度合いなどから地震に対する強さを把握し、対象建築物が耐震改修促進法で規定されている基準(新耐震基準と同等の基準)に照らし合わせてどの程度の耐震性能を持っているかを評価します。
・耐震改修
耐震改修とは、耐震診断の結果に基づいて、建築物の地震に耐える力を高めるための工事です。一般的に木造住宅では、金物補強や壁の量を増やしたり、屋根を軽量素材に葺き替えるような工事が行われています。
・解体
建築物を取り壊すことをいいます。ここでは、耐震性のない住宅を取り壊すことをさしています。
・関連する補助や助成など
本市では、耐震性の確保に関連する補助・助成制度として、耐震改修と解体工事に係る補助制度を創設し、支援しています。またそれらの補助・助成制度を受ける前に耐震診断を行っています。今後もこれらの支援を継続するとともに、国や愛知県の補助制度を活用して、住宅の耐震化の促進に努めます。
住宅耐震診断事業・住宅耐震改修費補助事業等
「住宅耐震診断事業」
・旧耐震に着工された木造住宅に対して専門家を派遣して耐震診断を行う。
対象 戸建て、長屋、併用住宅
金額 全額(所有者等負担なし)
・旧耐震に着工された非木造住宅に対して耐震診断の費用の一部を補助する。
対象 戸建て、長屋、併用住宅、及び共同住宅
金額 戸建て住宅=上限13万6千円
共同住宅等は上限120万円
「住宅耐震改修費補助事業」
・住宅耐震診断を受けた住宅で、判定値が1.0未満とされた住宅について耐震改修の費用の一部を補助する。
対象 戸建て、長屋、併用住宅
金額 上限120万円
・非木造住宅耐震診断補助事業の結果、安全でないと判断された建築物について、耐震改修計画認定を受けて行う改修工事費用の一部を補助する。
対象 戸建て、長屋、併用住宅、及び共同住宅
金額 一戸建て住宅=上限60万
「木造住宅解体工事費補助事業」
・住宅耐震診断を受けた住宅で、判定値が0.7未満とされた木造住宅について、解体工事の費用の一部を補助する。
対象 戸建て、長屋、併用住宅
金額 上限20万円
なお、各種事業の概要、補助率等は令和2年11月現在のものであり、今後変更する可能性があります。また、適用要件などがあり対象にならない場合もあります。詳しくは建築課にお問い合わせください。
2) 減災化の取組
1 住宅に対する安価で効果的な対応に関連する取組
旧耐震の基準で建築された建築物はその耐震性に疑問があるとされています。建築物が倒壊することで、居住者や利用者に被害がおよぶ可能性があることから、耐震化の取組を行い住宅の耐震性を確保することが最も求められる取組です。しかしながら、所有者等の個別の事情や住宅の状況により、耐震化の取組を行うことが困難な場合があります。
そこで、安価で効果的な対応として、住宅が倒壊しても住宅の中に安全な空間を確保することで倒壊による圧死を回避し、一時避難スペースを確保する取組を支援していきます。これは特に、高齢者や乳幼児等にとっては、震災時に迅速な対応をすることが難しいため、このような安全な空間を用意しておくことは非常に有効だと考えられます。
安価で効果的な対応に関連する取組は、段階的改修、簡易(部分)改修、耐震シェルターの整備、耐震ベッドの設置をさします。
なお、安価で効果的な対応に関連する補助・助成制度について、段階的耐震改修、耐震シェルターについては補助・助成制度を創設し、継続的に周知・活用促進を行っています。その他の補助・助成制度については必要に応じて検討し、新しく創設する補助・助成制度については市の広報等で広く案内します。
・段階的耐震改修
段階的耐震改修は、最終的に評点1.0以上となる改修を行うことを前提に、評点0.7以上1.0未満とする改修を行うことをいいます。段階的耐震改修は、工事を2回にわけて実施することで1回あたりの工事費用が抑えられるなどのメリットがあります。
・簡易(部分)耐震改修
簡易(部分)耐震改修は、在室時間の長い寝室や居間などを対象に部分的に耐震改修を行うことをいいます。一般的な耐震改修(評点1.0以上とする耐震改修)と比較して、費用が抑えられることや生活しながら工事が実施しやすいなどのメリットがあります。
・耐震シェルターの整備
耐震シェルターは、地震で住宅が倒壊しても寝室や居間などを守ってくれる装置です。救助が来るまで身を守る空間があれば、命が助かる確率は非常に高くなります。既存の住宅内に整備するため、住みながらの工事が可能であり、耐震改修工事に比べて短期間での整備も可能です。
・耐震ベッドの設置
耐震ベッドは、地震で住宅が倒壊しても睡眠スペースを守ってくれる装置です。救助が来るまで身を守る空間があれば、命が助かる確率は非常に高くなります。既存の住宅内に設置し、工事はほとんど不要です。
減災化に関する補助事業等
「木造住宅段階的改修費補助事業」
・住宅耐震診断を受けた住宅で、判定値が0.7未満とされた木造住宅について、解体工事の費用の一部を補助する。
対象 戸建て、長屋、併用住宅、及び共同住宅
金額 一段目耐震改修工事=上限60万円、二段目耐震改修工事=上限30万円
「木造住宅耐震シェルター等整備費補助事業」
・住宅耐震診断を受けた住宅で、判定値が0.7未満とされた住宅内における耐震シェルター等の整備費用の一部を補助する。
対象 木造住宅
金額 上限30万円
「住宅リフォーム工事費補助事業」
・木造住宅耐震改修、木造住宅段階的改修、耐震シェルター等整備、非木造住宅耐震改修等を同時に行う住宅リフォーム工事の費用の一部を補助する。
対象 戸建て、長屋、併用住宅、及び共同住宅
金額 上限20万円
なお、各種事業の概要、補助率等は令和2年11月現在のものであり、今後変更する可能性があります。また、適用要件などがあり対象にならない場合もあります。詳しくは建築課にお問い合わせください。
2 居住者自身で行うことができる住宅に対する容易で効果的な対応に関連する取組
地震から生命・財産を守るために、住宅及び建築物の構造を耐震化することは非常に有効ですが、その他にも、居住者自身で実施できる安価でかつ効果的な方法があります。家具等の転倒などの危険から身を守る対策は、誰もが講じておくべき対策であり、耐震性が確保された住宅においてもさらなる安全性の確保につながります。
居住者自身で行うことができる容易で効果的な対応に関連する取組は、家具等の転倒防止対策、窓ガラス・天井の落下防止対策をさします。
・家具等の転倒防止対策
大規模な地震時には、室内の家具の転倒により甚大な人的被害が発生する危険性があります。また、家具等の転倒は、住居からの避難時の障害にもなります。家具を固定するなど家具等の転倒防止対策が必要です。このようなことを踏まえて、本市では、ローラー作戦や小学校向け耐震出前講座の際に、家具の転倒防止策の必要性、有効性について啓発を実施しています。
・窓ガラス・天井の落下防止対策
窓ガラスや建築物内のつり下げ天井、看板類等は、落下等により、居住者だけでなく避難者など周辺への被害を発生させる危険性があります。窓ガラスの飛散防止フィルムの貼付などの安全対策が必要です。
・給湯設備の転倒防止対策
地震時における給湯設備の転倒等を防止するために、国が示す技術的基準に基づく、建築物における給湯設備の転倒防止対策やそれらに付随する配管等の落下防止対策等の安全対策が必要です。
3 避難路を確保することで地震に強いまちをつくることに関する取組
・ブロック塀等の倒壊防止対策
ブロック塀は、地震発生時に倒壊の危険性が高く、道路側に倒壊することで道路閉塞を発生させたり、またブロック塀の下敷きになり死傷者が発生することもあります。これらは、避難行動や救援・復旧活動を阻害する可能性があることから、地震防災パンフレット等において危険性を市民に周知するとともに、平成30年度に創設したブロック塀撤去の補助制度の活用を促進する他、地域単位での取組の中で危険な箇所を把握し、改善を図ります。
避難路確保に関する補助事業等
「ブロック塀等撤去費補助事業」
・道路又は公共施設の敷地からの高さが1m以上のブロック塀等(組積造塀)の撤去工事の一部を補助する。
対象:コンクリートブロック、レンガ、万年塀などの組積造塀
金額:上限10万円
なお、各種事業の概要、補助率等は令和2年11月現在のものであり、今後変更する可能性があります。また、適用要件などがあり対象にならない場合もあります。詳しくは建築課にお問い合わせください。
4 平成12年以前の新耐震基準の減災化の促進
平成28年熊本地震において、新耐震基準導入以降で倒壊した建築物の事例もあり、それらの建築物は接合部の仕様が不十分であったものに多くみられました。このような災害の教訓等を踏まえ、建築基準法で接合部の仕様が明確化された平成12年以前の建築物に対して、県等と連携して「人命と生活を守る」ための施策を検討し、啓発していきます。
(2)耐震化・減災化に関連する補助・助成制度
「耐震改修促進税制」
国の基本方針の目標に向けて、耐震性の確保された良質な住宅・建築物ストックの形成促進を図るため、平成18 年度税制改正において、以下の「住宅に係る耐震改修促進税制」が創設されました。
・既存住宅の耐震改修をした場合の所得税の税額控除とは、旧耐震基準により建築された住宅を新耐震基準に適合させる耐震改修を行った場合について、当該耐震改修に係る標準的な工事費用相当額の10パーセントを所得税額から控除する内容になります。
・既存住宅の耐震改修をした場合の固定資産税の減額措置とは、一定の耐震改修工事を行った場合、改修工事を完了した年の所得税額を一定額控除する内容になります。
これにより、住宅の耐震改修を行った場合、税制による一定の支援を受けることができます。これらの制度の周知を図るなど、所有者等が円滑に制度活用できるよう、引き続き取り組んでいきます。
(3)普及・啓発
耐震化・減災化のために関連する補助や助成を行っていきますが、それだけでは耐震化や減災化は促進されていきません。普及・啓発により広く市民や地域社会に耐震化や減災化の必要性を理解してもらい、行動に移してもらう必要があります。そのために、「第4章 今後の課題」で定めた対応策の方向性に沿って普及・啓発の実施方針を定め、確実に実施していきます。
「主な普及・啓発活動」
1 市民向けの普及・啓発活動
耐震ローラー作戦
これまで耐震ローラー作戦として実施していた地域を定めて行っていた戸別訪問を引き続き実施し、耐震診断・改修の普及・啓発に努めます。
「実施方法・改善点など」
・耐震化・減災化メニューの提示
・建築士会などとの協働による実施
耐震シェルターの実物展示
市民が多く集まる施設や、高齢者が利用する福祉施設内において、比較的安価に設置が可能で減災効果の期待できる耐震シェルターの実物展示を実施し、啓発活動を推進します。
「実施方法・改善点など」
・耐震化・減災化メニューの提示
・助成可能な各種シェルターの紹介
対象住宅へのダイレクトメールの発送
耐震性のない住宅に住む世帯に向けて、耐震化・減災化の案内を送付し対策を促します。また、信頼できる工務店の情報が求められていることから、これまでに本市の住宅耐震改修費補助事業を利用した耐震改修実績のある工務店のリストを公開します。
「実施方法・改善点など」
・耐震化・減災化メニューの提示
・工務店リストの公開
イベント時のブースの出展
市民が広く集まるイベント時に耐震化・減災化の案内のためのブースを出展します。個別に対応ができる場のため、これまでと同様に、一般的な情報提供に留めるのではなく具体的な相談に応じられる体制で対応します。
「実施方法・改善点など」
・ブース出展時での耐震化・減災化メニューの提示
・具体的な相談にのれる体制で実施
身近な場所での相談業務
市民にとって身近な場所であるショッピングセンター(プリオなど)などで耐震化・減災化対策の相談に応じます。相談の体制は、個別に対応ができる場のため、一般的な情報提供に留めるのではなく具体的な相談に応じられる体制で実施しており、今後もきめ細かい相談への対応ができる体制での対応を行います。
「実施方法・改善点など」
・相談に際しての耐震化・減災化メニューの提示
・具体的な相談にのれる体制で実施
広報・回覧板・ホームページでの案内
広報や回覧板、市のホームページを利用して耐震化・減災化の情報提供を行います。
「実施方法・改善点など」
・広報や回覧板、市のホームページでの耐震化・減災化メニューの提示
・工務店リストの公開
耐震出前講座の実施
東北地方太平洋沖地震をきっかけに国において「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」が平成24年5月から実施され、「防災教育の指導時間の確保」の必要性が示されています。
本市においても、児童・生徒向けの耐震出前講座を実施し防災教育を実施しており、今後も継続した出前講座の実施をしていきます。今後を担う次世代へ防災文化を伝承する効果や、児童・生徒を通じた家族への普及効果が期待されます。
2 専門家向けの普及・啓発活動
工務店・建築士に対して普及・啓発
市民と直接接する工務店・建築士が耐震化・減災化に対して高い意識を持つことが、耐震化・減災化の促進には欠かせません。そこで、耐震診断、耐震改修、解体に係る補助・助成制度など各種事業の周知及び、耐震化・減災化のプロであるという認識を持って顧客である市民への案内を行えるよう情報提供を行うとともに、市内建築士向けの勉強会を実施しました。今後も、工務店・建築士に対しての普及・啓発を行っていきます。
「実施方法・改善点など」
・工務店・建築士への教育(補助内容の周知、低コスト耐震化工法の普及支援)
・工務店・建築士から顧客への案内を依頼
(4)その他の関連する取組
1) 低コスト耐震化工法の普及
本市では愛知県と協力し、住宅の耐震診断事業や耐震改修費補助事業を行っていますが、住宅耐震改修費補助事業を利用しても所有者等の自己負担は高額になっています。このため、コストを下げ、低廉な費用負担で実施できるようにすることが重要であり、低コストの耐震改修工法の開発・普及が強く望まれます。
このような状況において、名古屋大学・名古屋工業大学・豊橋技術科学大学及び、愛知県、名古屋市、建築関係団体等により、「愛知建築地震災害軽減システム研究協議会」が設立され、低コスト高耐震化工法の開発や耐震補強効果実証実験などの取組、また、これらの技術を広く普及することが進められています。
この協議会の活動として、住宅の耐震補強技術コンペ等を行い、耐震補強効果が定量的に確認できるものについては、協議会として「民間木造住宅耐震改修費補助事業」の対象工法として取り扱われるよう推薦することとされています。
愛知県では、これらの成果を受けて、今後このような工法を補助対象工法として認定し、普及・啓発を図り、低コストの耐震化を推進し、住宅の所有者等がより容易に取り組めるように図っていくとされています。
本市においても、これらの低コストの耐震改修工法について、普及・啓発に努めており、今後も継続して耐震化の促進を図ります。
PDF形式の資料では、「評価工法一覧(令和2年4月時点)」の表を示していますが、ここでは省略します。
2) 地域における耐震化の取組支援
耐震化の促進は、住宅・建築物の個々の所有者等が自主的・積極的に取り組む必要がありますが、建築物の倒壊や出火、延焼などによる二次災害を防止するためには地域が連携して地震対策に取り組むことが大切です。そのため、市では地域が主体となった取組を重視し、これに必要となる支援を行っていきます。町内会代表者会議や町内会等が自主的に実施する耐震化・減災化についての説明会や勉強会などの開催支援、情報提供などをしていきます。
3) 住宅の改修時の仮住居の提供
住宅の耐震改修を実施する際には、工事期間中に居住する仮住居が必要になることがあります。しかし、個人で仮住居を探す場合、なかなか確保できない場合があります。そのため、仮住居が見つからないことが、耐震改修が進まない原因のひとつになっています。
「愛知県建築物耐震改修促進計画(建築減災プラン2030)」では、住宅の所有者等が耐震改修を行う場合、仮住居の確保が必要となる場合に愛知県内にある特定優良賃貸住宅(平成19年度より地域優良賃貸住宅)・公的賃貸住宅を仮住居として活用を図ることとされています。
本市では、県と連携し、特定優良賃貸住宅・公的賃貸住宅を仮住居として活用できるよう支援体制を整えており、今後も必要に応じて、この仕組を活用します。
4) 建築物の敷地の安全対策
本市においては、北部・西部の山あいの地域において地震時の崩壊の危険性があるがけ地等が見られますので、土砂災害防止法に基づいて適切な規制・誘導を図ります。
また、一級河川豊川が市域の東部を流下し、他にも小河川が市内を流下しており、南側は海に面していることもあり、市域の東部及び海岸線、その他小河川沿岸において液状化の危険性が高い地域があります。液状化については、その危険性の周知に合わせ、住宅における対策方法に関する情報提供を推進します。
5) エレベータ及びエスカレーターの安全対策
地震発生時にエレベータは異常停止する可能性があります。地震時のエレベータの運行方法や閉じこめられた場合の対処方法について周知を図るとともに、愛知県や関係団体と協力して地震発生時における安全装置の設置を促進します。
また、東北地方太平洋沖地震では、エスカレーターが落下する事案も複数確認されており、平成26年4月施行の建築基準法施行令の改正では、エレベータ及びエスカレーターの脱落防止対策が明確に示されています。このことから、エレベータのみならず、エスカレーターにおいても、安全性が確保されていない所有者や管理者に対して、県と連携し、改善を促す取組を促進します。
2. 特定既存耐震不適格建築物・耐震診断義務付け対象建築物の耐震化・減災化の促進
(1)特定既存耐震不適格建築物の耐震化・減災化の基本方針
1) 多数の者が利用する建築物の耐震化
多数の者が利用する建築物に対して、今後も解消が進むように、耐震化の状況・件数を把握し、啓発に努めていきます。
また、耐震改修が進んでいない建築物の中には、常に稼働する必要がある工場等で、BCP(事業継続計画)の面からも防災意識はあるものの、耐震改修について技術的なハードルがある建築物が含まれていたり、複数の人が関わるため耐震化を進めていく上での合意形成が難しい建築物が含まれていたりします。このような課題に対する対応について、県等と連携して検討を進めます。
2) 危険物の貯蔵場または処理場の用途に供する建築物の耐震化
本市においては、残り1棟の耐震化が図られていない建築物に対して、計画中の建替えについて、その進捗の把握等に努めます。
3) 通行障害既存耐震不適格建築物の耐震化
通行障害既存耐震不適格建築物のうち、愛知県が指定する第1次、第2次緊急輸送道路沿道の特定既存耐震不適格建築物に該当するものは34棟となっています。これらの特定既存耐震不適格建築物の所有者等に対しては、所有する建築物が特定既存耐震不適格建築物であることがわかるように愛知県が情報発信することとされています。
これと連携し、本市が設定する通行障害既存耐震不適格建築物のうち、特定既存耐震不適格建築物に該当するものは10棟となっています。これらの特定既存耐震不適格建築物の所有者等に対しては、所有する建築物が特定既存耐震不適格建築物であることがわかるように本市が情報発信します。
また、これらの特定既存耐震不適格建築物の所有者等に対しては、耐震化の必要性や効果についての意識啓発を行うとともに、必要に応じて耐震診断、耐震改修、解体に係る補助・助成制度の創設を検討し、耐震化を促進します。
4) 特定既存耐震不適格建築物の減災化
特定既存耐震不適格建築物においても、今後も継続して、家具等の転倒防止対策や窓ガラス・天井の落下防止対策等の必要性について意識啓発を行って減災化を促進していきます。
(2)耐震診断義務付け対象建築物の耐震化・減災化の基本方針
耐震診断義務付け対象建築物に対して、今後も解消が進むように、耐震化の状況・件数を把握し、啓発に努めていきます。
(3)民間建築物の耐震化促進のための支援制度
民間建築物の所有者等に対し耐震化の必要性や効果についての意識啓発を行うとともに、災害時に重要な施設は平常時の利用者の安全確保だけでなく、災害時の機能確保の観点からも耐震性の確保が求められていることを考慮し、緊急性の高い病院・診療所やインフラに関する施設から優先的に耐震化を促進します。
また、耐震化を促進するためには、耐震診断、耐震改修に係る補助・助成制度が重要な役目を果たすことからこれらの制度について、今後、必要に応じて創設を検討します。
(4)特定既存耐震不適格建築物の指導等
耐震改修促進法において、特定既存耐震不適格建築物の所有者は、特定既存耐震不適格建築物について耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うよう努めなければならないとされています。一方、所管行政庁等は、特定既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の的確な実施を確保するため必要があると認めるときは、所管行政庁が指導等を行うことが求められます。
このため、特定既存耐震不適格建築物のうち、建築基準法第6条第1項第4号建築物(注記1)については本市が、その他の建築物については、愛知県が担当し、これらの特定既存耐震不適格建築物に対して、耐震化を早期に推進するため、耐震化の状況について調査し、必要に応じて指導、助言、指示、公表を行います。
これら指導、助言、指示、公表を行った後、必要に応じて勧告及び命令を行います。
(注記1)建築基準法第6条第1項第4号建築物 住宅土地統計調査等の一般用途の建築物で、木造2階建て以下で延べ床面積500平方メートル以下または、木造以外の平屋建てで延べ床面積200平方メートル以下のもの
1) 指導等の対象建築物
指導及び助言の対象となる特定既存耐震不適格建築物は、すべての特定既存耐震不適格建築物であり、このうち本市は、4号建築物を対象とし、これ以外は愛知県が担当します。
指示、公表、勧告及び命令の対象となる特定既存耐震不適格建築物は、指導及び助言の対象となる特定既存耐震不適格建築物のうち、不特定かつ多数の者が利用する建築物や地震の際に避難の確保や多大な被害につながる建築物(耐震改修促進法第15条第2項に規定されたもの)です。
2) 指導等の実施について
1 特定既存耐震不適格建築物についての指導及び助言
指導及び助言については、本市及び愛知県がそれぞれの担当する建築物に対して実施します。
特定既存耐震不適格建築物の所有者に、特定既存耐震不適格建築物の基準を示し個別に周知するとともに、地震防災パンフレットの配布やホームページによる情報発信等により、所有者に対して、所有する建築物が特定既存耐震不適格建築物に該当することを認知してもらう必要があります。その上で巡回等を行い、耐震化の進捗についてフォローアップし、耐震診断及び耐震改修を個別に指導します。
2 地震に対する安全性の向上が特に必要な特定既存耐震不適格建築物についての指示、公表、勧告、命令
指示、公表、勧告及び命令については、一定規模以上の建築物となるため、愛知県が所管する建築物が対象となり、愛知県が指示、公表、勧告及び命令を行います。
ア)指示
愛知県が耐震改修促進法第15条第2項に該当する特定既存耐震不適格建築物について、安全性に関しての報告及び立入り検査の結果を踏まえて、耐震診断の受診について指示を行います。また、耐震診断の受診結果、十分な耐震性が確保されていない建築物については耐震改修を行うよう指示を行います。
指示の方法は、口頭により耐震診断及び耐震改修の実施を指示しますが、さらに相当な期間の経過を経ても実施されない場合は、文書により指示をします。
イ)公表
耐震診断や耐震改修を実施するよう指示している特定既存耐震不適格建築物について、重ねての指示にもかかわらず、「正当な理由」がなく、耐震診断や耐震改修の指示に従わない時は、「指示に従わない旨の公表」を行うことを通知し、公表することが妥当であると判断された場合は公表します。
この場合、耐震診断や耐震改修の指示に従わない特定既存耐震不適格建築物の所有者に対して、一定期間弁明の機会を付与します。「正当な理由」については、除却や機能廃止計画がある場合や、耐震診断及び耐震改修の実施計画を策定し計画的な改修が確実に行われる見込のある場合等やむを得ないと認められる場合とし、その計画等を勘案し判断します。
公表は、愛知県のホームページ等を通じて実施します。
PDF形式の資料では、「公表の手順」の図を示していますが、ここでは省略します。
ウ)勧告・命令
公表してもなお、耐震改修を行わない特定既存耐震不適格建築物のうち、倒壊の危険性が極めて高い特定既存耐震不適格建築物については、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを建築基準法第10条第3項に基づき命令します。また、そのまま放置すれば著しく保安上危険となる場合は、同条第1項及び第2項に基づき、勧告及び命令を行います。
PDF形式の資料では、「耐震改修促進法における規制対象一覧(法第16条を除く)」の表を示していますが、ここでは省略します。
第7章 計画の達成に向けて
1. 耐震化の進捗管理と計画の見直し
耐震化の進捗状況の確認については、愛知県においては所管行政庁や市町村及び公共施設管理者等との連絡・協議体制を利用して年度ごとに行うものとしています。
本市においても毎年度の進捗状況から耐震化の進捗度等を精査し、社会情勢等を鑑み必要に応じて適切に本計画を見直します。
2. 減災化の促進について
本計画では、減災化対策として段階的耐震改修や耐震シェルターの整備、家具等の転倒防止対策の実施などを掲げています。普及・啓発により減災化対策を促進させるとともに、新たに減災化対策を後押しする補助事業等の導入を検討していきます。その進捗については、段階的耐震改修や耐震シェルター等の補助事業の実績などにより随時確認し、減災化の促進を図ります。
3. 計画達成のための手法の拡充
現在、木造の戸建住宅については耐震診断、耐震改修、解体に係る補助・助成制度を実施しています。今後は、愛知県による耐震診断費補助及び耐震改修費補助等の拡充検討に対応し、本市においても、拡充の検討を進めます。助成等の活用については、町内会等と連携した啓発活動を実施し、市民への周知を進めることで、活用の増加を図ります。
巻末資料
1 アクションプラン
(1)アクションプランの考え方
本編で整理した取組を実施し「地震に強いまち」としていくために、取組種別ごとの事業をアクションプランとして整理します。アクションプランでは、「地震に強いまち」とするには、住宅・建築物の耐震化・減災化が有用であり、そのためには防災に対する市民意識の醸成や支援メニュー等の周知が必要であることを踏まえ、「耐震化の取組」・「減災化の取組」・「普及・啓発」を3つの柱として、それぞれの施策・事業を整理します。
PDF形式の資料では、「アクションプランのイメージ」を示していますが、ここでは省略します。
取組の体系
本編で定めた対応策の方向性にそって実施します。
PDF形式の資料では、「取り組みの体系」を図示していますが、ここでは省略します。
2 用語・語句・制度等の紹介
(1)東日本大震災復興構想会議
東日本大震災の被災地域の復興に向けた指針策定のための復興構想について、内閣総理大臣の諮問に基づき審議を行うために設置された会議。震災からの単なる復旧ではなく、未来に向けた創造的復興を目指していくことが重要であるとし、様々な分野の有識者から構成されています。
(2)地震発生時に通行を確保すべき道路
「緊急輸送道路」
大規模な地震が発生した場合に、避難・救助をはじめ、物資の供給、諸施設の復旧等広範な応急対策活動を広域的に実施するため、非常事態に対応した交通の確保を図ることを目的に設定される道路です。
「避難路等」
地震等の災害発生時において、避難場所・避難所等への避難の際に使用される道路です。
(3)愛知県地震防災推進条例5条(抜粋)
県民は、地震が発生したとき及び地震津波が襲来したとき並びに東海地震に係る警戒宣言が発せられたときに備え、地震防災に関する知識の習得に努めると共に、自己の安全を確保するため、あらかじめ「建築物その他の工作物の耐震性の確保」、「家具の転倒防止」について対策を講ずるよう努めなければならない。
(4)限定特定行政庁
小規模な建築物(4号建築物)に限り、建築基準法に基づく事務を行う役所。4号建築物とは次の1)又は2)の条件に当てはまるものをいいます。
1)木造の場合(すべてに該当)
・2階建て以下
・延べ面積500平方メートル以下
・高さ13メートル以下かつ軒の高さが9メートル以下
2)木造以外の場合(すべてに該当)
・1階建て
・延べ面積200平方メートル以下
(注記)劇場など不特定多数の人が出入りするような用途の部分が200平方メートルを越える場合には、1や2に該当していても4号建築物になりません。
(5)愛知県建築物地震対策推進協議会
「建築物の総合的な地震対策の推進を図るため、耐震診断や耐震改修等の普及・啓発等、建築物の震前対策の推進と、地震により被災した建築物及び宅地の危険性を判定する被災建築物応急危険度判定制度及び被災宅地危険度判定制度の適正な運用と連携を図ることにより、県民生活の安全に資する」ことを目的として設立されています。
(6)耐震化アドバイザー
愛知建築地震災害軽減システム研究協議会が主催する「耐震化アドバイザー養成講座(4日間)」を修了した者のこと。来るべき地震災害に備え、安心して暮らせる住まいづくりを進めるため、住まいの耐震改修や家具の転倒予防に関し、中立的な立場で専門的なアドバイスを行います。
その具体的役割は、以下の通りです。
1)地域で、皆さんの耐震診断及び耐震改修に関する相談に乗ります。
2)各市町村が設置する耐震に関する相談窓口の相談員となります。
3)地域で、耐震化を進めるけん引役として独自の活動を展開します。
(7)建物倒壊率
全建築物棟数における全壊する建築物の棟数の割合で定義されます。木造建築物では、昭和34年以前、昭和35から55年、昭和56年以降の3区分、非木造建築物では、昭和45年以前、昭和46から55年、昭和56年以降の3区分のそれぞれで全壊する建物棟数を算出し、これらを集計することで地区の倒壊率を算出します。ここでは、市内の平均倒壊率2.3パーセント以上の地区を抽出しています。
(8)木防建ぺい率
火災による市街地の延焼危険度を示す代表的な指標の一つで、次のように定義されます。
木防建ぺい率=(木造(防火木造含む)建築物の建築面積)/(地区面積)
(注記)地区面積には幅員15メートル以上の道路、水面・河川及び大規模空地(概ね1ha以上)は含めない
市街地の焼失率と木防建ぺい率の関係については、既存の研究結果によれば、木防建ぺい率が40パーセントを超えると延焼が拡大する危険性が非常に高く、逆に木防建ぺい率が20パーセント未満であれば延焼拡大の面で安全であるということができます。このため、ここでは木防建ぺい率20パーセント以上の地区を抽出しています。
(9)耐震出前講座
小・中学生を中心とした青少年を対象に、地震から人命を守るための「家の耐震化」、「家具の転倒防
止」に主眼においた啓発を行う事業です。
小・中学生等の青少年を対象とし、将来に備えて今から耐震の重要性を理解することと、子供から親へ、祖父母へ、そして地域の人へと、波及効果を目的としています。
(10)愛知建築地震災害軽減システム研究協議会
大規模地震の発生に備え、愛知県、名古屋市、県内の3国立大学法人(名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学)及び建築関係団体が協力し、官・学・民の連携により運営されています。協議会では、建物の耐震化を促進するために低コストの耐震化工法の開発・評価やその成果を広く普及させる講習会の開催、一般県民向けに耐震化の必要性を訴えるための普及・啓発活動など、地震災害軽減に向けた様々な取組を行っています。
(11)所管行政庁が行う指導等(指導及び助言並びに指示等)
(建築物の耐震改修の促進に関する法律) (平成七年十月二十七日法律第百二十三号)(抜粋)
第十五条 所管行政庁は、特定既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、特定既存耐震不適格建築物の所有者に対し、技術指針事項を勘案して、特定既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言をすることができる。
2 所管行政庁は、次に掲げる特定既存耐震不適格建築物(第一号から第三号までに掲げる特定既存耐震不適格建築物にあっては、地震に対する安全性の向上を図ることが特に必要なものとして政令で定めるものであって政令で定める規模以上のものに限る。)について必要な耐震診断又は耐震改修が行われていないと認めるときは、特定既存耐震不適格建築物の所有者に対し、技術指針事項を勘案して、必要な指示をすることができる。
一 病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店その他不特定かつ多数の者が利用する特定既存耐震不適格建築物
二 小学校、老人ホームその他地震の際の避難確保上特に配慮を要する者が主として利用する特定既存耐震不適格建築物
三 前条第二号に掲げる建築物である特定既存耐震不適格建築物
四 前条第三号に掲げる建築物である特定既存耐震不適格建築物