注意書。

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第2次人権教育・啓発に関する豊川市行動計画(案)。

テキスト版。

れいわ4年 月。

豊川市。

目次。

第1章、計画策定の背景。

1、計画の概要。

1−1、計画策定の趣旨。

1−2、計画の期間。

1−3、計画の位置づけ。

2、人権せさくの動向。

2−1、国際社会の動き。

2−2、国の動き。

2−3、愛知県の動き。

2−4、豊川市の動き。

3、人権市民意識調査結果からみる市民の人権意識。

第2章、計画の基本的な考えかた。

1、基本的な考えかた。

1−1、計画の基本理念。

1−2、基本的な考えかたと姿勢。

2、計画の構成。

第3章、せさくの展開。

1、人権教育・啓発の推進。

1−1、家庭・地域社会における人権教育・啓発の推進。

1−2、学校等における人権教育の推進。

1−3、職場における人権教育・啓発の推進。

1−4、行政における人権啓発活動の推進。

2、重要課題。

2−1、女性。

2−2、子ども。

2−3、高齢者。

2−4、障害者。

2−5、同和問題(部落差別)。

2−6、外国人。

2−7、感染症患者等。

2−8、インターネットによる人権侵害。

2−9、性的マイノリティ。

2−10、刑を終えて出所した人等。

2−11、さまざまな人権。

第4章、計画の推進。

1、計画の推進。

1−1、計画の推進体制。

1−2、計画推進のための取組。

用語解説。

資料編。

1、日本国憲法()

2、世界人権宣言。

3、人権教育のための国連10年(国連総会決議)。

4、「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画。

5、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律

6、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律。

7、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律。

8、部落差別の解消の推進に関する法律。

9、豊川市人権せさく推進本部設置要綱。

10、人権教育・啓発に関する豊川市行動計画等策定審議会設置要綱及び審議会委員名簿。

11、人権関係年表。

第1章、計画策定の背景。

1、計画の概要。

1−1、計画策定の趣旨。

人権に関する問題は、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題(部落差別)、外国人、感染症患者等、性的マイノリティ、刑を終えて出所した人など多岐の分野にわたり、さらにインターネットによる差別的発言や個人情報等にかかわるプライバシーの侵害などの問題が発生しており、こうした問題について、正しい知識を身につけて理解を深めることが大切です。

平成24年(2012年)3月に策定した「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画」では、市民、事業者、行政が一体となって、家庭、地域、学校、職場などの市民がかかわるあらゆる場において、人権教育・啓発を進めてきました。

この計画期間満了に伴い、これまでの取組を引き継ぎながら、新たな課題の解決に向けて「第2次人権教育・啓発に関する豊川市行動計画(以下、「ほん計画」という。)」を策定します。

ほん計画は、人権が尊重され、一人ひとりの市民が明るく豊かな生活を営むことができることを目標として、国及び県の行動等の枠組みを踏まえて、人権せさくの総合的な展開の方向と、重要な課題とされているせさく分野についての指針を明らかにすることを目的としています。

1−2、計画の期間。

ほん計画の期間は、れいわ4年度(2022年度)かられいわ13年度(2031年度)までの10年間とします。

また、せさくの進捗状況や国・県のせさくの動向、社会構造の変化等を踏まえて、必要に応じて計画の見直しを行います。

1−3、計画の位置づけ。

ほん計画は、平成12年(2000年)にしこうされた「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき策定するものであり、第6次豊川市総合計画のもと、他の関連計画と整合を図り、人権教育及び人権啓発に関するせさくの総合的かつ計画的な推進を図るものです。

平成27年(2015年)の国連サミットにおいて、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。この2030アジェンダは、先進国と開発途上国が共に取り組むべき国際社会全体の普遍的な目標として採択され、その中に「持続可能な開発目標(エスディージーズ)」として、17のゴールと169のターゲットが設定されています。

エスディージーズは「誰一人として取り残さない」ことを理念として掲げており、17のゴールの中には、「ジェンダー平等を実現しよう」、「人や国の不平等をなくそう」、「平和と公正をすべての人に」といった人権に関わるものが多く、人権教育・啓発せさくの推進がエスディージーズの目標達成に向けた取組の推進に資するものと考えられます。ほん計画においても、この「持続可能な開発目標(エスディージーズ)」を意識して様々な取組を進めていきます。

PDF形式の資料では、持続可能な開発目標(エスディージーズ)を図示していますが、ここでは省略します。

2、人権せさくの動向。

2−1、国際社会の動き。

昭和23年(1948年)の国際連合(以下「国連」という。)において採択された「世界人権宣言」では、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」としています。

その後も国連は、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」をはじめ、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」、「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、「児童の権利に関する条約」など、人権に関する多くの条約・規約等を採択してきました。

また、「国際婦人年」、「国際障害者年」、「国際高齢者年」など、重要なテーマごとに国際年を定め、人権尊重と差別撤廃に向けた取組を展開しています。

平成6年(1994年)の国連総会では「人権教育のための国連10年」の決議とその行動計画が採択され、人権教育は国際社会が協力して進めるべき基本的課題であることが示されました。

このほか、平成18年(2006年)には「障害者の権利に関する条約」、平成19年(2007年)には「先住民の権利に関する国際連合宣言」など、多様な人権課題に対する国際法の整備が進められ、平成23年(2011年)には、国連総会において人権教育と研修に対するあらゆる取組を強化すべきというメッセージである「人権教育及び研修に関する国連宣言」が採択されました。

2−2、国の動き。

我が国では、日本国憲法が掲げる基本的人権の尊重と保障の理念に基づき、人権尊重への取組が進められてきました。国連加入後には、人権に関する数々の条約が締結され、平成7年(1995年)には「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)」が批准され、内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連10年推進本部」が設置されました。

平成9年(1997年)には「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」が策定され、人権教育の積極的推進を図り、国際的視野に立って、一人ひとりの人権が尊重される真に豊かでゆとりある人権国家の実現を目指すとしています。また、この計画では、人権教育の重要課題として女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV 感染者等、刑を終えて出所した人などが示されています。

平成12年(2000年)には「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」がせこうされ、平成14年(2002年)には同法に基づく「人権教育・啓発に関する基本計画」が策定されました。この計画では、「人権が尊重され相互に共存しうる平和で豊かな社会を実現するためには、国民一人一人の人権尊重の精神の涵養を図ることが不可欠である」とされ、人権教育・人権啓発を総合的かつ計画的に推進していくことが必要とされています。

平成25年(2013年)には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」が成立し、これをもって「障害者の権利に関する条約」が批准されました。

さらに、平成 28年(2016年)4月には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」、同年6月には「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)」、同年 12 月には「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」がせこうされました。

2−3、愛知県の動き。

平成7年(1995年)に県議会において「あらゆる差別の撤廃に関する請願」が採択されました。これを受け、県では、人権問題の解消のためには、行政をはじめ県民一人ひとりが人権について正しい認識を持ち、粘り強く努力していくことが必要であるとの認識から、平成9年(1997年)に「人権尊重の愛知県を目指して」と題した宣言を、全国の自治体に先駆けて行いました。

平成11年(1999年)に人権に関するせさくの総合的・効果的な推進を図るため、「愛知県人権せさく推進本部」を設置し、平成13年(2001年)には「人権教育・啓発に関する愛知県行動計画」を策定しました。また、平成14年(2002年)以降、5年ごとに、「人権に関する県民意識調査」を実施しています。平成29年(2017年)に実施した「人権に関する県民意識調査」の結果やこれまでの取組状況、社会情勢の変化などを踏まえ、平成31年(2019年)3月に改定を行いました。

2−4、豊川市の動き。

旧小坂井町においては「人権教育・啓発に関する小坂井町行動計画」(平成18年(2006年)6月改訂)を策定していました。

ほん市は、旧ほい郡4町との合併後、平成23年(2011年)に新市民憲章を制定し、「次代へつなぐ共生のまち」として人権の尊さをうたっています。

同年4月には「豊川市人権せさく推進本部」を設置し、同年7月に実施した「豊川市人権に関する市民意識調査」の結果や「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画等策定審議会」での審議を踏まえ、平成24年(2012年)に、“市民みんなの人権が尊重され、差別・偏見がなく暮らしやすい明るい豊川市”を基本理念とする「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画」を策定しました。

平成23年(2011年)以降、市民の人権に関する意識等を定期的に把握するため、「豊川市人権に関する市民意識調査」を継続して実施しています。

平成18年(2006年)、旧小坂井町「人権教育・啓発に関する小坂井町行動計画」改訂。

平成23年(2011年)、新市民憲章制定。「豊川市人権に関する市民意識調査」実施。

平成24年(2012年)、「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画」策定。

平成29年(2017年)、「豊川市人権に関する市民意識調査」実施。

れいわ2年(2020年)、「豊川市人権に関する市民意識調査」実施。

3、人権市民意識調査結果からみる市民の人権意識。

(1)調査の経緯。

ほん市では、すべての人の人権が尊重される豊かな社会づくりを目指し、人権教育・啓発の推進に取り組んでいます。そこで、市民の人権意識を把握し、人権教育・啓発に関するせさくを進めていくうえでの参考とするため、「豊川市人権に関する市民意識調査(以下「人権市民意識調査」という。)」を実施しています。

これまで、平成23年(2011年)に「人権市民意識調査」(以下「平成23年度調査」という。)を初めて実施し、平成24年(2012年)に「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画」を策定しました。また、市民の考えや意見を把握してさらなる人権教育・啓発に関するせさくを進めるため、平成29年(2017年)に2回目となる「人権市民意識調査」(以下「平成29年度調査」という。)を実施しました。

そして、「人権教育・啓発に関する豊川市行動計画」の10年間の期間満了に伴う新たな計画の策定の際の基礎資料とするため、れいわ2年(2020年)に3回目となる「人権市民意識調査」(以下「れいわ2年度調査」という。)を実施しました。

(2)人権意識についての調査結果。

1、日本の人権意識。

「今の日本は、基本的人権が尊重されている社会だと思いますか」という設問では、3調査とも「そう思う」が約40パーセント、「そう思わない」が14パーセント台となっており、大きな変化はみられません。

2、市民の人権意識。

「国民(市民)一人ひとりの人権意識は、10年前に比べて高くなっていると思いますか」という設問では、れいわ2年度調査では「高くなっている」が平成29年度調査よりも若干多くなっています。

3、人権侵害や差別の状況。

「日本社会における人権侵害や差別は、10年前に比べて減っていると思いますか」という設問では、「増えている」が若干上昇傾向にあり、「どちらともいえない」が約40パーセントみられます。

4、人権侵害の経験。

「あなたは、この10年程の間に、自分の人権が侵害されたと思ったことがありますか」という設問では、3調査とも「ある」が15パーセント前後、「ない」が約70パーセントとなっており、大きな変化はみられません。

5、人権侵害された内容。

「あなたが自分の人権を侵害されたと思ったのは、どのような場合であったかお聞かせください」という設問では、「あらぬうわさや悪口、落書きなどで名誉・信用を傷つけられたり侮辱されたりした」、「セクシュアル・ハラスメントやストーカー行為を受けた」が若干上昇傾向にあります。また、平成23年度調査かられいわ2年度調査にかけて、「個人情報やプライバシーを侵害された」は4.6ポイント低下し、「パワー・ハラスメント行為を受けた」は6.1ポイント上昇しています。

6、人権侵害への対応。

「もし自分の人権が侵害された場合、まずどのように対応しますか」という設問では、「黙って我慢する」、「身近な人に相談する」が若干上昇傾向にあり、「法務局又は人権擁護委員に相談する」が若干低下傾向にあります。「黙って我慢する」は、平成29年度調査・れいわ2年度調査では「市役所に相談する」、「弁護士に相談する」、「法務局又は人権擁護委員に相談する」より割合が高くなっています。

7、人権侵害にかかわる重要な問題。

「日本社会における人権にかかわる問題として、重要な問題は、どれだと思いますか」という設問では、「女性の人権」、「インターネットによる人権侵害」、「性同一性障害にかかる人権」、「性的指向にかかる人権」が上昇傾向にあり、「外国人の人権」も平成29年度調査かられいわ2年度調査にかけて10ポイント以上高くなっています。このうち、「インターネットによる人権侵害」の上昇が特に大きく、れいわ2年度調査では「障害のある人の人権」を上回って第1位となっています。一方、「高齢者の人権」は低下傾向にあります。

8、人権にかかわる宣言や条約の認知度。

「人権にかかわる宣言や条約、法律など、あなたが見聞きしたことのあるものはどれですか」という設問では、「男女共同参画社会基本法」、「障害者基本法」、「世界人権宣言」が上昇傾向にあり、「高齢者虐待防止法」が低下傾向にあります。

(3)今後の課題。

人権市民意識調査結果かられいわ2年度調査では、市民一人ひとりの人権意識が10年前より「高くなっている」と思う人の割合が「低くなっている」と思う人の割合の4倍以上となっています。しかしながら、今の日本の社会で基本的人権が尊重されているかどうかについて「そう思う」人の割合も、人権侵害の経験が「ない」人の割合も、この10年で大きく変化していません。むしろ日本社会における人権侵害や差別は、10年前に比べて「増えている」と思う人の割合が高くなってきており、人権問題が社会に根強く存在している現状がうかがえます。

人権侵害の内容としては、不当な中傷や侮辱、セクシュアル・ハラスメントやストーカー、パワー・ハラスメント行為などと回答する割合が高くなってきています。こうした人権侵害への対応として「黙って我慢する」人の割合が約20パーセントであるものの高くなってきており、市役所・弁護士などへ相談する割合を上回ってきていることから、人権にかかわる相談体制の一層の充実と周知が必要であると考えられます。

また、人権侵害にかかわる問題としては、女性の人権、インターネットによる人権侵害、性同一性障害にかかる人権、性的指向にかかる人権、外国人の人権などが重要視されてきています。社会情勢の様々な変化の中で、身近な人権侵害が表面化し、人権問題はより一層複雑化・多様化しています。

ほん市のせさくを進めるにあたっては、今後もあらゆる計画やせさくを人権尊重の視点を持って推進するとともに、人権意識の向上と人権せさくの体系的・総合的な取組を続けていくことが必要です。

第2章、計画の基本的な考えかた。

1、基本的な考えかた。

1−1、計画の基本理念。

ほん計画では基本理念を以下のように設定し、人権教育・啓発に取り組みます。

市民みんなの人権が尊重され、差別・偏見がなく、暮らしやすい明るい豊川市。

1−2、基本的な考えかたと姿勢。

1、人権を尊重する意識の向上。

人権の大切さとそれを尊重すること、人権の意義や重要性について、市民一人ひとりの心や考えかたに定着するよう、人権教育・啓発を通じて人権についての正しい理解を深め、人権を尊重する意識の向上を図ります。

また、市民一人ひとりが人権問題を誰かの問題ではなく、自分自身にかかわる身近な問題としてとらえ、気づき、考え、行動できるような人権感覚を身につけることを目指します。

2、個人の尊厳の確保と共生社会の実現。

市民一人ひとりが自立した人間として尊厳が保たれ、平等、平和な社会において個人が自由であり、かつ個性と能力が十分発揮できることが必要です。

また、市民が国籍、文化、習慣、性別、世代、考えかたなどのさまざまな違いを互いに認め合い、支え合うことができる共生社会の実現を目指します。

3、少数意見への配慮。

社会の持続性を高めるためには、多様な価値観を持つ市民が協力し、予想が困難な今日の社会環境の変化に対応していくことが求められます。人権の尊重の理念に沿って、多様な価値観を受け入れ、少数者を尊重し、少数意見などにも十分に配慮します。

4、協働による取組の推進。

人権尊重は、一人ひとりの人権意識の向上と行政をはじめとして、家庭、地域、職場、学校などさまざまな場での取組によって、時間をかけて達成されていくものです。このため、市民の人権が尊重され、差別・偏見がない暮らしやすい社会を目指すには、あらゆる人権問題に対してすべての市民が協力して取り組むべき課題であるとの認識に立って、市民、事業者、行政が「協働」の姿勢で取り組みます。

2、計画の構成。

基本理念。

市民みんなの人権が尊重され、差別・偏見がなく、暮らしやすい明るい豊川市。

基本的考えかた・姿勢。

人権を尊重する意識の向上。

個人の尊厳の確保と共生社会の実現。

少数意見への配慮。

協働による取組の推進。

取組。

人権教育・啓発の推進。

家庭・地域社会における人権教育・啓発の推進。

学校等における人権教育の推進。

職場における人権教育・啓発の推進。

行政における人権啓発活動の推進。

重要課題への対応。

女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題(部落差別)、外国人、感染症患者等、インターネットによる人権侵害、性的マイノリティ、刑を終えて出所した人等、さまざまな人権。

第3章、せさくの展開。

1、人権教育・啓発の推進。

1−1、家庭・地域社会における人権教育・啓発の推進。

現状と課題。

平成12年(2000年)の「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」において、人権教育とは、「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」とされています。また、人権啓発とは、「国民の間に人権尊重の理念を普及させ、及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)」とされています。生涯学習の視点に立ち、幼児期からの発達段階において、また、家庭や地域等のあらゆる場において、そうした場が連携しながら、人権教育・啓発が行われることが重要です。

人権市民意識調査では、市民一人ひとりの人権意識が「10年前に比べて高くなっている」と感じている人の割合は37.9パーセントを占めますが、「どちらともいえない」と答えた人も34.8パーセントを占めています。

市民全体の人権意識を高めるとともに、人権侵害が生じることのない社会の実現を目指して、今後もあらゆる場を通じて人権教育・啓発を進めていく必要があります。

取組の方向。

(1)家庭における人権教育の推進。

家庭における人権学習・教育が推進されるよう、家庭教育に関する情報提供を行い、家庭の教育機能が高められるよう支援します。

1、家庭における教育力を高めるための支援をします。

家庭における人権に関する啓発と教育力の向上を支援するために、子育て支援に関する各種事業の充実を図ります。また、子を持つ親を対象とした人権に関する学習機会や、父親の家庭教育参画の支援などを工夫します。

家庭での男女共同参画を進めるために、家庭や地域、市民活動団体向けの出前講座、情報提供などを行います。

主な担当課、子育て支援課、人権交通防犯課、保健センター、生涯学習課。

2、家族がふれあう機会を充実します。

家族の絆を深めるとともに心が通う地域づくりのために、「家庭の日」や「食育の日」などの周知・啓発を図ります。

親子参加型講座の充実を図るとともに、地域における町内会行事、スポーツ行事などの各種イベント等への参加を促して、家族がふれあう機会や情報の提供に努めます。

家族みんなで読書をすることで家族のコミュニケーションを深めるための取組を推進します。

主な担当課、子育て支援課、農務課、生涯学習課、人権交通防犯課、スポーツ課、中央図書館。

(2)地域社会における人権尊重の環境づくり。

市民が地域でのふれあいと支え合いについて学ぶ意識を高め、地域、家庭、学校、行政などが連携して人権擁護を進めます。

1、みんなでふれあい地域福祉を学びます。

市民が地域でのふれあいと福祉を推進する担い手となるために、地域での支え合い意識の向上や、地域活動者の意識改革の推進を図ります。

子どもの時からの助け合いの意識を持つように福祉教育を進めるとともに、地域における世代間交流を促すことにより地域全体で人権尊重や子育て、支え合いの意識の向上を図ります。

主な担当課、福祉課、子育て支援課、学校教育課。

2、地域、家庭、学校、行政などの連携・協力の強化を図ります。

人権擁護委員の活動支援や関係団体の連携を図ります。

人権擁護委員、PTA町内会役員、民生委員・児童委員、保護司、更生保護女性会、地域、家庭、学校、行政が連携・協力して、人権擁護をめます。

人権擁護委員、PTA、町内会役員、民生委員・児童委員、保護司、更生保護女性会に対する研修機会を設けることにより、連携・協力の強化を図ります。

主な担当課、福祉課、人権交通防犯課、学校教育課、生涯学習課。

3、誰もが安全・安心、快適なまちづくりを進めます。

バリアフリー新法に基づく重点整備地区として八幡駅周辺、国府駅周辺の整備を図ります。また、誰もが安全・安心に利用できるように、歩行空間及び主要鉄道駅のバリアフリー化や、道路照明灯等の整備、公共交通機関の充実を図るとともに、市内全体での安全で快適に生活できる建物や屋外の環境づくりを促します。

市民による人にやさしいまちづくりを進めることを目指し心のバリアフリーへの意識向上のため啓発活動に努めます。

高齢者、障害者をはじめ誰もが住みなれた地域で快適に暮らせるよう、住宅改修支援などのせさくを展開します。

主な担当課、福祉課、介護高齢課人権交通防犯課道路河川管理課、道路建設課、建築課、都市計画課、八幡駅周辺地区まちづくり推進室、公園緑地課。

(3)学習機会の提供。

基本的人権の尊重についての考えかたの周知を図るとともに、虐待防止、男女共同参画などの人権にかかわる今日的な問題を学ぶ機会を提供するなど、市民の自主的な学習を支援します。

また、人権に対して正しく普及啓発を推進するために、指導者の養成を図ります。

1、人権に関する基本的な知識や考えかたの浸透を図ります。

人権に関する基本的な知識や考えかたの浸透を図るために、基本的人権の尊重について理解促進を啓発するとともに、世界人権宣言、児童の権利に関する条約など国際的な人権基準の周知を図ります。

主な担当課、保育課、人権交通防犯課、市民協働国際課。

2、身近で参加しやすい学習環境づくりに努めます。

人権尊重や明るい家庭・地域づくりについて学ぶ機会として、生涯学習ガイドブックなどにより地域・学習活動の情報を提供するとともに、生涯学習センターなどにおける各種学習・交流活動の充実を図ります。

市の施設において、人権啓発や生涯学習などに関する情報の提供を充実します。

主な担当課、人権交通防犯課、生涯学習課。

3、人権に関する多様な学習機会を提供します。

市民が人権について理解するために、啓発用パンフレットの提供や、講演会、体系的な学習講座、出前講座や参加・体験型学習など、人権について学ぶことができる幅広い機会を充実します。

暴力、子ども高齢者・障害者などの虐待防止、男女共同参画の推進、在日外国人との共生など人権にかかわる今日的な問題も学習のテーマとして、とりあげます

効果的な学習方法についての情報収集・研究を進めます

主な担当課、保育課、介護高齢課、福祉課、保健センター、人権交通防犯課市民協働国際課、学校教育課。

4、市民や団体の自主的な学習活動を支援します。

市民同士がふれあう機会を増やすために、人権に関する学習資材の提供や、コミュニティ、市民団体などへの人権に関する研修実施機会を充実します。また、団体の自主的な学習活動を支援します。

人権尊重について地域や市内で学びやすい機会を充実するために、ボランティア・市民活動団体に参加するための情報の提供、防災についての学習、地域のネットワークづくり、伝統文化の継承・学習を通じた世代間交流などを充実します。

主な担当課、市民協働国際課人権交通防犯課、防災対策課、生涯学習課。

5、人権教育・啓発を推進する指導者の養成を図ります。

人権に関する正しい学習や教育を行うことができるように、指導者養成のための学習機会を設けます。

主な担当課、人権交通防犯課、学校教育課。

1−2、学校等における人権教育の推進。

現状と課題。

学校・幼稚園・保育所等における教育は、幼児や児童生徒が、社会生活を営む上で必要な知識・技能・態度等を確実に身につけることを通じて、互いの人権を尊重する心が育まれるよう展開されることが必要です。

学校等の人権教育においては、児童生徒等がさまざまな人権問題を自らの問題として認識し、実践力を身に付けられるよう、効果的な学習・指導により、基本的人権に対する意識の自覚と高揚を図っていく必要があります。また、幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることから、保育士等の資質向上による指導の充実も重要です。

人権市民意識調査では、人権が尊重される社会を実現するために必要なこととして、「幼稚園・保育園、学校などにおいて人権教育(保育)を充実させる」と答えた人が約50パーセントと最も多く、生涯の早い段階における人権教育の実施が最も重要視されています。

学校等においては、あらゆる差別や偏見を許さない人権教育を推進していますが、現状では、いじめや不登校等の人権にかかわる問題が依然として起きています。これらの問題に対して、学校等が単独で解決に取り組むだけでなく、家庭や地域社会等と連携して取り組んでいくことが必要です。

取組の方向。

(1)あらゆる教育活動を通じた人権尊重の教育の充実。

学校教育においてはもちろん、就学前も含めて子どもや親を対象として、人権尊重意識を高める機会を提供します。

また、学校等が、人権教育についての情報収集を充実します。

1、就学前も含めて人権尊重の教育を推進します。

就学前も含めて子どもや親が人権尊重意識を高めるようにするために、交流や体験を通じた人権尊重精神の基礎を築く教育や保育を進めます。

学校教育などにおいては、各教科、特に道徳における教育活動を通じて、人権尊重の意識を高めるための教育を充実します。

主な担当課、保育課、学校教育課。

2、人権尊重教育の内容・方法などを充実します。

子どもの感性を大切にしながら豊かな心を育むために、学校教育においてボランティア活動や地域などとの交流機会や、総合的な学習などを通じた体験学習を充実します。

子どもが人権を自分で考えるための機会を充実していきます。また、職場体験学習、福祉実践教室体験・参加型の学習なども人権を考える機会として、活用します。

主な担当課、学校教育課。

3、人権尊重教育についての情報を提供します。

豊川市小中学校人権教育研究会において、各学校での取組を研究紀要まとめ、情報提供を図ります。

主な担当課、学校教育課。

2)教職員・保育士の指導力の向上。

教職員・保育士が子どもに人権教育を行うことができるように、情報収集や研修等の機会を充実します。

1、教職員・保育士の指導力の向上を図ります。

人権にかかわる的確な教育を行うことができるように、教職員・保育士の研修や学習機会の充実を図ります。

就学前から人権意識を養うために、人権保育について保育士と関係機関が十分に情報収集を行い学ぶように努めます。

小中学校教職員は豊川市小中学校人権教育研究会を活用し、人権尊重の意識を高めます。

主な担当課、保育課、学校教育課、人権交通防犯課。

(3)安心して楽しく学ぶための環境づくり。

子どもが安心して学校で学ぶことができるように、人権に配慮した教育指導を行うとともに、保護者なども対象にした相談の充実を図ります。

1、人権に配慮した教育指導と学校づくりを進めます。

子どもの人間性を育むために子どもに対する人権に配慮した教育指導を徹底します。

人権尊重及び男女共同参画の推進を図るために、保育及び学校教育において男女混合名簿の導入など多な方策の導入を図ります。

主な担当課、保育課、学校教育課。

2、児童・生徒に対する相談体制を整備します。

児童・生徒がしんしんともに健やかに学校生活をすごし育つように、スクールカウンセラーやハートフル相談員の設置など相談体制の充実を図ります。

保護者、児童・生徒、学校関係者に対する心理教育相談「ゆずりは」の活動を充実します。

主な担当課、学校教育課。

(4)家庭・地域・行政との連携強化。

保育所や学校と家庭・地域・行政との連携を強化して、人権にかかわる問題の解決と、人権教育・保育を進めます。

1、家庭・地域・行政との連携・協力の強化を図ります。

保育や学校教育について家庭・地域への情報提供を充実するとともに、民生委員・児童委員、学校評議員との連携を強化して、いじめなどの人権にかかわる問題を話し合う機会の充実に努めます。

保育や学校と家庭・地域・行政との連携を強化して人権保育・教育に取り組むために、子ども会への支援や、地域活動の充実を図ります。

主な担当課、子育て支援課、保育課、学校教育課、生涯学習課。

1−3、職場における人権教育・啓発の推進。

現状と課題。

企業等事業所は、地域社会において、雇用・経済・文化や生活に至るまでのさまざまな分野に対して大きな影響力を持っており、また、豊かな地域の創造に貢献する責任を担っています。しかし企業等事業所においては、賃金等の処遇の男女間格差の是正の問題、仕事と家庭の両立を可能とする環境整備の問題、高齢者や障害者の雇用の問題、パワー・ハラスメントやセクシュアル・ハラスメント、長時間労働や過労死の問題など、人権にかかわる課題が山積しています。

企業等事業所による人権尊重の必要性については国際的な関心が高まっており、平成23年(2011年)に国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されています。我が国では、この「指導原則」を支持しており、れいわ2年(2020年)に「ビジネスと人権」に関する行動計画(20202025)が策定され、同計画では今後国が取り組む各種せさくや人権デュー・ディリジェンス(企業活動における人権への影響の特定、予防・軽減、対処、情報提供を行うこと)の導入・促進への期待が表明されています。

人権市民意識調査では、人権を侵害されたと思った場面として、「パワー・ハラスメント行為を受けた」と答えた人が最も多く、次いで「あらぬうわさや悪口、落書きなどで名誉・信用を傷つけられたり侮辱されたりした」、「地域や職場などにおいて仲間はずれやいじめなど不当な扱いを受けた」と答えた人が多くなっています。特にパワー・ハラスメントの割合は前回調査より約10ポイント高くなっており、職場におけるパワー・ハラスメントが近年大きな人権問題として捉えられていることを示しています。

職場における人権に関する研修や、企業等事業所に対する啓発活動を充実させ、人権教育・啓発への企業等事業所の主体的な取組を促進することが必要です。

取組の方向。

(1)市の職場における人権教育・啓発の充実。

市は全庁的に人権尊重を基本として、職務を遂行します。

1、人権尊重を基本とした職務を遂行するための教育・啓発を充実します。

市職員が人権尊重を基本とし職務を遂行するために、職員研修を実施します。また、講演会などへの職員の参加促進や、研修指導者の養成を図ります。

市民が安心して行政サービスを利用することができるように、職務や事務において人権尊重を基本とする接遇、各種申請書類などの点検、個人情報の保護についての徹底を図ります。

主な担当課、人事課、人権交通防犯課。

特定の職業に従事する者に対する人権教育・啓発の充実。

人権教育・啓発の推進にあたっては、とりわけ人権にかかわりが深く、人権に対する正しい認識とより高い人権意識を持って職務に従事することが求められる特定の職業に従事する者に対して、研修等による人権教育・啓発を充実します。

1、教職員に対する人権教育・啓発を充実します。

学校において、教育内容や学校運営などに関して広く人権の視点を重視し、教師と児童生徒の信頼関係に立って、子ども一人ひとりの人権を大切にした教育活動の徹底を図るとともに、教職員の人権意識の高揚や人権教育を実施する指導者として必要な知識や指導力を高めるために、研修の充実を図ります。

子どもたちへの指導においては、発達段階に応じた指導内容を設定するとともに、指導方法に工夫を凝らし、人権教育の充実に努めます。

主な担当課、人権交通防犯課、学校教育課。

2、消防職員に対する人権教育・啓発を充実します。

消防職員に対しては、人権問題を正しく理解し人権を尊重した行動を取るために、消防学校において初任者の人権教育を受けるとともに、各職場において人権教育が継続的に実施されるように努めます。

主な担当課、人事課、人権交通防犯課、消防本部。

3、医療、保健関係者に対する人権教育・啓発を充実します。

医療、保健関係者に対し、人権意識の普及・向上を図るため、人権教育の推進及び職員研修を充実します。

病院施設などにおける人権教育・啓発の充実を働きかけて、人権の視点に立った業務の遂行を進めるとともに、医療、保健関係団体に対しても人権教育・啓発への積極的な取組が行われるよう促します。

主な担当課、人事課、保健センター、人権交通防犯課、市民病院。

4、福祉関係者に対する人権教育・啓発を充実します。

福祉関係従事者の人権意識の普及・高揚を図るため、人権教育・啓発の充実や、福祉関係団体等に対する人権教育・啓発への積極的な取組の促進などの働きかけを行っていきます。

主な担当課、人事課、福祉課、保育課、介護高齢課、人権交通防犯課。

(3)企業等事業所への啓発の充実。

職場における人権の尊重や男女共同参画を進めることについて、企業等事業所がさまざまな人権問題の解決に果たす社会的役割と責任として啓発していきます。

1、雇用や職場における均等な機会と待遇の確保を推進します。

誰もがいきいきと働くことができる環境づくりを目指して、事業所に対して男女雇用機会均等法労働基準法などの周知と、男女の均等な雇用機会と待遇の確保を図るため啓発を実施します

職場におけるセクシュアル・ハラスメントを始めとするさまざまなハラスメントや待遇等に関する相談を実施します。

男女同一待遇、正規・非正規労働者の格差解消の啓発、労働者の適正な労働環境の確保など、事業所の社会的責任についての意識の向上を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課、商工観光課、契約検査課。

2、就労の場における男女共同参画を推進します。

事業所における男女共同参画を推進するために、性差別のない職場づくりを啓発するとともに、事業所への出前講座、積極的改善措置のための情報提供を充実します。

自営業における男女共同参画の普及啓発を行います。

農家における家族経営協定の普及啓発を行います。

農家における男女共同参画を推進するため、農村生活アドバイザーの活用を図ります

主な担当課、人事課、人権交通防犯課、農務課、商工観光課。

3、個人のプライバシーに対する正しい理解を啓発します。

人権尊重の立場から、事業所や市民に対して、プライバシーの保護や個人情報保護に関する啓発を行います。

主な担当課、人権交通防犯課。

1−4、行政における人権啓発活動の推進。

現状と課題。

「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」において、人権啓発は、「国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう」にすることを旨としています。一人ひとりが人権を尊重することの重要性を正しく認識し、それを前提として他人の人権に十分配慮した態度や行動をとることができるようになることによって、人権侵害の生じない社会の実現を図ることが人権啓発の目的です。

我が国においては、毎年1210日(世界人権宣言が採択された「人権デー」)を最終日とする一週間を「人権週間」と定め、人権啓発活動を展開しています。また、人権擁護委員法がせこうされた6月1日を「人権擁護委員の日」と定め、人権擁護委員制度の周知を図るとともに、人権尊重の思想の普及に努めています。

ほん市においては、「人権週間」に合わせた啓発活動や、広報紙・ホームページによる啓発や情報提供を行っており、れいわ2年(2020年)には人権に関する市民意識調査を実施しました。また、各種相談窓口を通じた支援と相談支援制度の周知を実施しています。

人権市民意識調査では、人権が尊重される社会を実現するために必要なこととして、「幼稚園・保育園、学校などにおいて人権教育(保育)を充実させる」に次いで、「一人ひとりが自分の人権意識を高めるように努める」、「社会的に弱い立場にある人を救済、支援するとともに相談体制を充実させる」といった、人権意識の高揚や相談体制の充実に係る取組の回答が多くなっています。

今後も国や県の啓発活動等を活かしながら継続的に人権啓発活動を推進し、相談支援体制を充実させていくことが必要です。

取組の方向。

(1)啓発活動の充実。

人権を尊重することの大切さについて市民全体の理解を深めるために、広報紙などの媒体を活用するとともに、人権週間などの機会を生かして、啓発や情報発信を充実します

1、広報紙・ホームページ等を活用します。

人権尊重の大切さについて広く市民の理解を促進するために、市の広報・ホームページやその他メディアなどによる啓発を進めます。また同様に、多言語による広報紙やホームページでの啓発も進めます。

人権啓発用パンフレットやチラシを作成し、さまざまな人権に対する偏見や差別について、正しい知識の普及を図ります。

主な担当課、介護高齢課、人権交通防犯課、福祉課、市民協働国際課。

2、人権週間などの機会を捉えて啓発します。

人権週間、男女共同参画週間、児童福祉週間、児童虐待防止推進月間、老人週間、障害者週間などの機会を捉えて、人権尊重について広報紙などへの記事掲載し、啓発活動を充実します。

図書館、児童館、保健センター、文化センターなどの施設を利用し、啓発資料の掲示、配布を行うなど、啓発活動を充実します。

おいでん祭などのイベントに参加し、多くの市民に人権尊重についての啓発活動を充実します。

人権講演会を開催し、基本的人権の尊重や男女共同参画などについて広く市民への啓発活動を充実します。

主な担当課、福祉課、子育て支援課、保育課、介護高齢課、保健センター人権交通防犯課、市民協働国際課、生涯学習課。

(2)人権侵害に対する相談・支援体制などの充実。

人権に関する情報収集を行い、市民が問題を抱えた時には適切・迅速に相談ができる体制を整えます。

また、市民が互いに人権を尊重して、地域や事業所において支え合うこと促すとともに、ボランティア・市民活動団体と連携して支援を行う体制を充実します。

1、人権に関する情報収集と意識調査などを充実します。

人権に関する市民意識の把握に努めます。

市民意識、人権に関する国・県や他の市町村のせさく動向、市民・事業者の取組について把握して、今後の啓発や取組の推進のために生かします。

主な担当課、秘書課、人権交通防犯課。

2、人権侵害に対する相談・支援体制などを充実します。

人権侵害についての不安の解消や人権を侵害されたことに対して問題解決できるように、市民にとって身近で相談しやすい窓口づくりに努めます。

いじめや不登校、児童虐待ドメスティック・バイオレンス(以下「DV」という。)、暴力を受けた人の支援のためのカウンセリングやシェルター、外国人の生活支援、福祉サービス利用者等の権利擁護などについて関係機関や市民活動団体などと連携して対策を講じます。

住民票の写し等の不正請求及び不正取得による個人の権利の侵害の防止を図るために、本人通知制度を実施します。

主な担当課、福祉課子育て支援課、介護高齢課、人権交通防犯課市民協働国際課、学校教育課、市民課。

3、みんなで助け合い支え合うしくみをつくります。

市民が互いに人権を尊重して、助け合い、支え合う明るい地域社会を築くために、地域組織の育成を図ります。

ボランティア・市民活動、地域福祉活動の活性化や、地域組織と民生委員・児童委員や福祉委員等との連携を強化し、支え合いのための支援を充実します。

主な担当課、福祉課、介護高齢課、子育て支援課、保育課、市民協働国際課。

4、高齢者、障害者やその家族等に対する各種相談を充実します。

高齢者、障害者やその家族に対する支援と人権の擁護を図るために、高齢者、障害者及び複合的な課題のある家庭への相談、成年後見制度の利用などの支援を行います。

障害者地域自立支援協議会、民生委員・児童委員などの活動の充実や、巡回訪問、介護・保健・福祉の相談窓口の充実など、相談・支援体制を整えます。

主な担当課、福祉課、介護高齢課、保健センター、子育て支援課。

5、子育て・介護など家庭への支援を充実します。

明るい家庭を築くために、悩み事を家庭で抱えすぎないように、子育て・介護・福祉などに関する相談体制の充実と、その利用促進のための周知を図ります。

主な担当課、福祉課、子育て支援、保育課、保健センター、介護高齢課。

6、協働で明るいまちづくりを進めます。

市民が、人権尊重のための活動に市や事業所と協働して取り組むことを促し、明るいまちづくりを進めます。

明るいまちづくりを進めるため、ボランティア・市民活動の人材発掘や育成、支援を実施します。

人権尊重のためのせさくを推進するため、関係各課が連携するとともに、市民と市が協働して取り組む体制づくりを充実します。

主な担当課、人権交通防犯、市民協働国際課。

2、重要課題。

2−1、女性。

現状と課題。

国連は創設当初から女性の地位向上に取り組み、我が国においても、昭和60年(1985年)に「女子差別撤廃条約」を批准し、平成8年(1996年)には「男女共同参画2000年プラン」の策定、平成11年(1999年)には「男女共同参画社会基本法」の制定を行うなど、総合的な取り組みを進めてきました。現在は、れいわ2年(2020年)に策定された「第5次男女共同参画基本計画」に基づき、男女共同参画社会の形成の促進に関する総合的かつ計画的な推進が図られています。

ほん市においては、平成13年(2001年)に男女共同参画せさくに関する最初の基本計画「とよかわ男女共同参画プラン」(第1次計画)を策定し、平成21年(2009年)にはせさくの総合的かつ計画的な推進を目的とした「豊川市男女共同参画推進条例」を制定しました。この条例に基づき、平成23年(2011年)に「豊川市男女共同参画基本計画」(第2次計画)、れいわ3年(2021年)に女性活躍推進計画とDV防止基本計画を内包した「豊川市男女共同参画基本計画」(第3次計画)を策定し、男女共同参画に向けた総合的な取組を進めています。

人権市民意識調査では、女性に関する人権の問題として、「結婚・出産などにより女性が仕事を続けにくい社会環境」、「働く場における差別待遇」をあげる意見が多く、職場における女性の人権問題への関心が高いことがわかります。また、「男女の固定的な役割分担意識」をあげる人も多くみられ、社会全般における啓発が必要であると考えられます。男女共同参画の視点に立ち、男女が共にそれぞれの生きかたを尊重して社会のあらゆる場面に参画でき、仕事や家庭生活、地域生活などにバランスよく参加できるワーク・ライフ・バランスの実現を目指しつつ、女性が活躍できる環境づくりに努めることが必要です。

また、DVやセクシュアル・ハラスメント、性犯罪・性暴力、ストーカー行為等の被害は女性が多く、それは重大な人権侵害であり、女性に対する人権侵害防止に向けたせさくの充実に努めていくことも必要です。

取組の方向。

)男女が互い人権を尊重できる人づくり。

学校や家庭、職場において男女共同参画意識の向上を図ります。

1、人権を尊重し男女共同参画意識の向上を図ります。

人権の尊重及び男女共同参画を着実に進めるために、男女共同参画社会基本法や豊川市男女共同参画推進条例などの周知、男女共同参画情報紙や各種パンフレットなどの活用講演会・研修会などにより啓発を図ります。

メディアや広報紙などにおいて人権及び男女共同参画に配慮した表示や表現をするよう働きかけるとともに、公的出版物、ホームページなどにおいてジェンダーの視点に配慮した取組を行います。

児童・生徒が人権尊重や男女共同参画について、学び、正しい情報を主体的に選択できる能力を養います。

主な担当課、秘書課、人権交通防犯課、学校教育課。

女性に対する暴力の根絶と被害者支援。

女性に対する暴力的行為の根絶に関する啓発活動を促進するとともに、被害者の支援や保護の充実を図ります。

1、女性に対する暴力の根絶に向けて周知啓発・被害者支援を充実します。

DVやセクシュアル・ハラスメントなどの暴力の根絶、被害者保護の促進のために、啓発・研修会などを実施します。

被害者の状況に応じて迅速に対応できるよう、関係機関とのネットワーク強化を図り、相談・支援体制の整備に努めます。

セクシュアル・ハラスメントを防止するために、事業所に対し、セクシュアル・ハラスメント対策を就業規則に設けることやガイドラインを作成することを啓発し、就業者に対しては労働相談窓口の周知を図ります。

主な担当課、人事課、福祉課、人権交通防犯課子育て支援課保育課、介護高齢課、商工観光課、市民病院。

)仕事と生活が調和する社会づくり。

男女が仕事と家庭生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)を実現することができるように啓発をするとともに、仕事を始めとする社会活動と子育てや介護との両立を可能とするため保育や福祉サービス等の支援を充実します。

1、仕事と生活の調和がとれた体制・環境をつくります。

ワーク・ライフ・バランスの実現を目指して、ファミリー・フレンドリー企業や育児・介護休業制度等の関係法制度などの啓発を行います。

家庭や地域活動に男性も積極的に参画する意識の醸成と、機会づくりなどの支援に取り組みます。

主な担当課、保育課、保健センター、人権交通防犯課、商工観光課、契約検査課、学校教育課、生涯学習課。

2、子育て及び介護を支援します。

市民ニーズに合った保育サービスや、子育て相談、子育て自主グループ、子育てボランティアの育成など子育て支援を充実します。

子どもの居場所づくり、子育てに悩んでいる親や青少年に対する相談、医療費助成制度の充実を図るとともに、子育て中の家族が安心して利用できる公共施設の整備を図ります。また、子どもや若者を健全育成するための啓発を充実します。

保健・医療・福祉・介護の連携を図り、総合的な窓口の整備、誰もが介護に携わることができる体制や介護に携わる者の健康管理支え合いのための環境整備を図ります。

主な担当課、福祉課、子育て支援、保育課、介護高齢課、保険年金課、保健センター、生涯学習課。

(4)女性の参画の促進。

社会における方針決定、計画立案の場への男女の対等な参画を実現するために、女性の登用を図るとともに、女性の能力を高めるための機会を充実します。

1、方針決定、計画立案等の場への女性の参画を促進します。

事業所及び団体、地域における方針決定、計画立案の場への男女の対等な参画を目指して、女性の登用を促します。

市の審議会等委員における女性委員の登用市民公募による登用促進します。

女性の能力発揮・スキルアップのため、講座の開催や女性のチャレンジ起業に関する情報提供、離職した者の能力開発など支援を実施します。また、地域における女性リーダーを発掘・育成するとともに女性人材リストを作成し、人材を活用します

主な担当課、人権交通防犯課、商工観光課。

2−2、子ども。

現状と課題。

出生率の低下、核家族化の進展、生活様式の多様化、地域のつながりの希薄化等、子どもと子育てを取り巻く環境は近年大きく変化しています。こうした中で、いじめ・不登校、児童虐待、児童買春、児童ポルノ、薬物乱用等、子どもに関して多くの問題が生じています。

我が国においては、昭和23年(1948年)に「児童福祉法」がせこう、昭和26年(1951年)に「児童憲章」が制定され、平成6年(1994年)には国連採択の「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」が批准されました。さらに、平成11年(1999年)に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」、平成12年(2000年)に「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」、平成22年(2010年)に「子ども・若者育成支援推進法」、平成25年(2013年)に「いじめ防止対策推進法」がせこうされ、子どもの人権を守るための法整備が進められています。

ほん市においては、平成27年(2015年)にせこうされた「子ども・子育て支援法」に基づき「豊川市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、次いでれいわ2年(2020年)に第2期計画を策定、児童虐待等の課題を始め子どもの貧困問題等の新たな課題への対応や、切れ目のない支援による子育て環境の充実を図っています。また、平成29年(2017年)にはいじめ防止対策推進法に基づき「豊川市いじめ防止基本方針」を策定し、子どもの人権の尊重に取り組んでいます。

人権市民意識調査では、子どもに関する人権の問題として、「保護者による子どもへの暴力や育児の放棄などの虐待」、「インターネットを使ってのいじめ、悪口、中傷」、「子ども同士による暴力、いじめ、無視などの仲間はずれ」などが多く見られます。

今後も子どもと子育て家庭を取り巻く環境の変化に的確に対応し、社会全体で支えるための取組を推進する必要があります。

取組の方向。

(1)子どもの人権を尊重する意識づくり。

子どもの人としての権利や自由を尊重するために、子どもの人権についての理解を深めるとともに、子どもが人権について理解しやすくなるように、交流や体験機会の充実を図ります。

1、教育・啓発活動や交流、体験を通じて子どもの人権に対する理解を促進します。

さまざまな機会を通じて、子どもの人権について啓発を図ります。

子どもが、家庭・地域や学校などにおいて人権について学び理解することができるように、参加・体験的な学習機会の提供や、世代間交流事業などふれあいの機会の充実を図ります。

主な担当課、保育課、子育て支援、保健センター、学校教育課、生涯学習課。

(2)豊かな人間性を育む教育の推進。

子どもの豊かな人間性を高めるために、家庭や地域、学校などにおけるふれあいと人権教育の機会を充実するとともに、障害のある子どもの教育・保育の支援を図ります。

1、家庭教育支援を充実します。

家族の絆を深めながら、家庭や地域、学校などにおける人間関係を築き人権尊重の心を養うことができるように、家族のふれあいを啓発するとともに、機会を充実します。

子どもに正しい人権教育を行うために、子育て中の親への情報提供や支援、就学中の子を持つ親を対象とした人権に関する学習機会の提供を図ります。

主な担当課、子育て支援課、人権交通防犯課、学校教育課、生涯学習課。

2、人権尊重の教育・人間性豊かな子どもを育む教育などを推進します。

学校等において人権尊重の教育を充実するとともに、豊かな人間性を育むために生命の尊重や他人への思いやりなど「心の教育」やボランティア・市民活動自然体験など体験活動の充実を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課、学校教育課、生涯学習課。

3、障害のある子どもの教育・保育の環境づくりに努めます。

家族の負担を軽減し健やかな子どもの成長を支援するために、特別支援教育や保育をはじめ、子育て支援を充実します。

主な担当課、福祉課、子育て支援、保育課、保健センター、学校教育課。

(3)人権保育の推進(子どもの人権を守る保育の推進)。

子どもの人権を守りながら保育を進めるために、情報収集や保育士の育成を充実し、家庭、地域の関係機関との連携を深めて、子どもの人権を尊重しながら子育てができる地域づくりを目指します。

1、保育士の育成と研修を実施します。

保育が人権の大切さを深く理解し、人権に対する正しい認識を身につけるために、保育の研修への参加などを図り、人権に対する基本的な考えかたを保育内容や施設運営に生かすように努めます。

人権に対する心を育てる保育の理念について、保育に携わるすべての人々保護者や子どもにも広く浸透していくように働きかけます。

主な担当課、保育課。

2、人権保育のための情報提供の充実と情報交換を促進します。

人権保育を進めるために、情報収集と保育所相互の情報交換を行い情報の共有を図ります。

人権保育の取組について保護者に知らせ、人権に対する意識を高めるように啓発します。

主な担当課、保育課。

3、家庭、地域の関係機関との連携による人権保育を進めます。

子どもの人権を大切にしながら家族が意欲的に子育てできるように、地域全体で子育て支援を充実するために、民生委員・児童委員、主任児童委員、幼稚園、学校など地域の関係機関との連携に努めます。

主な担当課、保育課。

(4)子どもが健やかに育つ環境づくりと子どもの参画促進。

子どもの健やかな成長を支援するために、子育て支援の充実や、家庭や地域における教育力の向上を図るとともに、虐待防止対策や障害のある子どもを持つ家庭の支援を充実します。また、青少年の社会参加の機会などを充実して、健全育成を図ります。

1、児童虐待防止対策の強化などきめ細かな取組を推進します。

要保護児童対策地域協議会とともに、児童虐待防止対策の強化を図ります。

母子・父子家庭等の自立支援や、発達に心配のある子どもへの支援対策、保育や教育における障害のある子どもへの支援について、ボランティアの協力を得て充実します。

主な担当課、子育て支援課、保健センター、学校教育課、福祉課。

2、青少年の健全育成に努めます。

青少年が健全なしんしんを養い、日常生活を明るく過ごすことができるように、ボランティア・市民活動などへの参加を促すとともに、薬物乱用の防止の徹底を図ります。

いじめ、不登校、児童虐待、性犯罪・性暴力など、様々な問題に対応するため、カウンセリングを行うなど、相談、支援体制の整備を図ります。

主な担当課、保健センター、市民協働国際課、生涯学習課、福祉課。

3、地域における子育て支援を充実します。

地域における子育て・子育ちを育む環境づくりを目指して、子育て支援センター、児童クラブ、児童館、子育て相談などについて、ボランティアなどの協力を得て充実します。

延長保育、一時保育、病後児保育、休日保育など、保育サービスの充実を図ります。

児童の健全育成のために、不登校・いじめ問題への対応、情報モラル教育や放課後子ども教室などを充実します。

妊娠期から未就園児までの親子に対し、絵本などを通して育児情報を提供します。

主な担当課、子育て支援、保育課、保健センター、学校教育課、生涯学習課、中央図書館。

4、子どものしんしんの健やかな成長に資する教育環境を整備します。

次代の親の育成を図るため小学生や中学生、高校生に対して乳幼児のふれあい体験の機会を提供して、男女が協力して家庭を築き子どもを産み育てる意識を養います。

学校教育において子どもの生きる力を養うために、体験活動の機会や地域文化や歴史・伝統を学ぶ機会を充実するとともに、地域に信頼される学校づくりを進めます。また、家庭や地域の教育力の向上を図るための支援を充実します。

主な担当課、保健センター、学校教育課。

2−3、高齢者。

現状と課題。

我が国においては、世界に例を見ない速さで高齢化が進んでおり、団塊の世代が高齢期を迎えた平成25年(2013年)に4人に1人が65歳以上となり、れいわ18年(2036年)には3人に1人が65歳以上になると見込まれています。

ほん市においても、高齢化の進行に伴い、寝たきりや認知症等の介護が必要な高齢者が大きく増加していくことが予想されます。

平成12年(2000年)に介護保険制度が開始され、また、平成18年(2006年)には高齢者に対する身体的・心理的・経済的虐待や、介護や世話の放棄等に対応するため、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」がせこうされました。

ほん市においては、「豊川市高齢者福祉計画」及び「介護保険事業計画」(第7期から東三河広域連合が策定)を策定し、高齢者相談センターを中心に、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を送れるよう支援するための取組を進めています。

人権市民意識調査では、高齢者に関する人権の問題として、「詐欺や悪徳商法の被害が多いこと」と回答した人が最も多く、高齢者の消費者被害が大きな問題として認識されています。次いで「働きたくても働ける場が少ないこと」と回答した人が多く、高齢者の就業機会の確保や生きがいづくりについても問題とされています。

今後も高齢者の人権について理解を深めるための取組や、健康で生きがいを持ち、安心して暮らしていけるよう、介護サービスの充実、世代間交流の機会の充実、高齢者の社会参加に対する支援、成年後見制度の利用促進、虐待の予防・早期発見など、高齢者の人権を尊重し権利を擁護するためのさまざまな取組を推進する必要があります。

取組の方向。

(1)高齢者の人権を尊重する意識づくり。

市民が高齢者の人権について理解を深めるとともに、地域における高齢者の見守りや虐待の防止に努めます。

1、高齢者の人権尊重についての理解を深めるための教育・啓発活動を推進します。

市民が高齢者の人権や高齢化について理解を深めるために、社会福祉協議会、ボランティア・市民活動団体とともにパンフレット等により啓発の充実を図ります。

介護予防教室、認知症サポーター養成講座などにおいて、高齢者の生活や健康、高齢者にかかわる問題について学ぶ機会をつくります。

主な担当課、介護高齢課、 人権交通防犯課、生涯学習課。

2、高齢者虐待の予防・早期発見に努めます。

敬老の精神を養、地域において高齢者を見守ることを促すとともに、高齢者の虐待に関する知識の普及を図り、高齢者の虐待の予防や早期発見に努めます。

虐待防止のため、高齢者虐待防止ネットワーク運営協議会を通じて関係機関との連携を図ります。

主な担当課、介護高齢課。

(2)安心して介護サービスを受けられる環境づくり。

安心して利用することができる介護サービスを提供するために、総合的にサービスの充実を図るとともに、介護施設の現場における人権尊重と緊急時を含めた環境整備を推進します。

1、介護サービスの充実を図ります。

安心して介護サービスを利用することができるように、地域密着型のサービス供給や包括的支援体制の充実とともに、介護予防や介護保険以外のサービスを総合的に進めます。

保険者である東三河広域連合と連携し、安定的な介護保険制度の運営に努め、介護サービスの充実を図ります。

主な担当課、介護高齢課。

2、介護サービスの充実を図るための環境整備を推進します。

介護サービス事業所に対して人権啓発、感染症対策や、災害時における事業継続計画の策定等を促進するとともに、災害等発生時の迅速な情報共有を図ります。

保険者である東三河広域連合と連携し、将来に向けて介護サービスを持続的に提供するため、介護サービス事業所の人材確保・定着や施設整備を推進します。

主な担当課、介護高齢課。

(3)高齢者の自立と生きがいづくりへの支援。

若い世代が高齢者について理解を深め、その人権を尊重することができるように、世代間交流を図るとともに、高齢者の自立と生きがいづくりを促すために、生涯学習機会の提供と就労や社会参加の支援を充実します。

1、世代間交流の機会を提供します。

子どもや若い世代が高齢者との交流や体験を通じて、高齢者に対する理解を深められるよう支援します

高齢者が生きがいを持って経験や知識、地域文化などを若い世代に伝える機会を充実します。

主な担当課、介護高齢課、生涯学習課。

2、高齢者の学習と健康づくりを支援します。

高齢者が健康いきいきと暮らし続けることができるように、老人クラブの活動支援や高齢者大学、ボランティア・市民活動団体による支援などを充実して、介護予防や健康づくりの自主的な取組を促します。

主な担当課、介護高齢課、保健センター、市民協働国際課。

3、高齢者の就労機会や社会参加の機会を充実します。

高齢者の能力開発を支援するとともに、高齢者の雇用促進について啓発していきます。

シルバー人材センターの充実を図るとともに、誰もが社会の中で役割を担うように、身体などに困難を抱える高齢者の就労や社会参加の機会を充実します。

主な担当課、介護高齢課、商工観光課。

(4)高齢者やその家族が安心して暮らすための支援・環境整備。

高齢者が自宅で安心して暮らすことができるように、高齢者相談センターの充実と地域における支え合いなどを促します。

1、高齢者や家族に対する各種相談を充実します。

高齢者相談センターにおける介護や高齢者福祉サービスに関する相談窓口を充実します。

認知症の高齢者を介護する家族への相談を充実します。

コミュニティソーシャルワーカー等により、高齢者が安心して暮らせるように詐欺・悪徳商法などの消費生活関連や複合的な課題のある家族についての相談窓口の充実を図ります。

主な担当課、介護高齢課、保健センター、福祉課。

2、高齢者が住み慣れた地域で快適に暮らせることを支援します。

高齢者が住み慣れた地域で暮らすことができるように、高齢者相談センターの機能強化を図ります。

高齢者の見守りの強化と地域での交流・支え合いの創出を図るとともに、介護予防事業、医療と介護の連携を地域を中心にして進めることなど、高齢者向けサービスを地域や事業者とともに充実します。

高齢者が住み慣れた地域で快適に暮らせるよう、日常生活における支援や住宅改修支援を行います。

主な担当課、介護高齢課、保健センター、建築課、清掃事業課。

2−4、障害者。

現状と課題。

障害者については、誤った認識や理解不足による偏見や差別意識が生じたり、物理的・社会的障壁により不利益を被ったりするなど、自立や社会参加、社会復帰が困難な場合が生じています。また、差別や虐待等の人権問題も発生しています。

我が国においては、昭和45年(1970年)の「障害者基本法」のせこう以降、障害者の完全参加と平等を目指してさまざまな取組が展開されています。平成18年(2006年)には「障害者自立支援法」、平成24年(2012年)には「障害者虐待防止法」、平成25年(2013年)には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」がせこうされました。さらに、平成26年(2014年)に国連採択の「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」が批准され、平成28年(2016年)には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」がせこうされました。

ほん市においては、平成28年(2016年)に障害者差別解消法に基づき「豊川市障害者差別解消支援地域協議会」を設置し、障害を理由とする差別を解消するための取組について定期的な協議を行っています。また、れいわ3年(2021年)には「一人ひとりの人権を尊重し、誰もが自立し、共に生き、社会参加しやすいまちづくり」を理念とする「第4次豊川市障害者福祉基本計画」と「第6期豊川市障害福祉支援計画及び第2期豊川市障害児福祉支援計画」を策定し、障害者せさくの充実を図っています。

人権市民意識調査では、障害のある人に関する人権の問題として、「就職や仕事の内容、待遇で不利な取扱いを受けること」、「収入が少なく、経済的に自立できないこと」と回答した人が多くみられます。また、「障害者用駐車施設等に不適切な駐車がされていたり、視覚障害者誘導用標示上に物を置いているなど、障害のある人に対する市民の理解が足りないこと」も多く、障害者に対する理解不足が本人達にとって物理的な不利益となっている問題も示されています。

今後も障害者の人権を尊重し、偏見や差別意識を解消し、障害者の自立と社会参加を可能とする社会の実現を目指した取組を推進する必要があります。

取組の方向。

(障害者の人権を尊重する意識づくり。

障害のある人の人権尊重やノーマライゼーションの考えかたを啓発するとともに、交流や体験機会などを充実します。

1、障害者の人権尊重について理解を深めるための教育・啓発活動を推進します。

障害者の人権尊重について理解を深めるため、広報紙などを通じて、市民への啓発を充実します。

学校教育においては、「福祉読本」の活用などを通じて、児童生徒の障害者に対する理解を深めます。

障害者の人権に関する学習機会の充実や、障害者が自宅や地域で普通に生活できる社会が望ましいというノーマライゼーションの考えかたの普及を図ります。

主な担当課、福祉課、人権交通防犯課、学校教育課、人事課。

2、障害者虐待の予防・早期発見に努めます。

障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であるため、障害者虐待の予防や早期発見に努めます。

虐待防止や障害者虐待を受けた障害者の保護、養護者に対する支援を行うため、関係機関との連携を図ります。

主な担当課、福祉課。

3、交流や体験を通じて障害者に対する理解を促進します。

障害者に対する市民の理解を深めるために、生涯学習や地域において、ボランティアとともに車イス体験などの体験機会を提供します。

障害に対する子どもの理解を深めるために、幼稚園・保育において障害児と健常児とのふれあいや、学校教育において福祉実践教室の実施や福祉施設との交流の充実を図ります

主な担当課、福祉課、保育課、学校教育課、生涯学習課、人事課。

(2)障害者の自立と社会参加への支援。

障害者の自立と社会参加を促進するために、能力開発や参加機会の充実と、就労機会の確保を支援します。

1、障害者の地域・学習活動への参加を支援します。

障害者の生きがいの創出と社会で活躍することができる能力開発のために、障害者サークルや支援ボランティアの紹介、さまざまな分野で活躍する障害者による講座などを充実します

障害者が学習機会や行事などに参加しやすくなるように、障害者団体や支援ボランティアなどとの連携を強化します。

主な担当課、福祉課、市民協働国際課人権交通防犯課、生涯学習課。

2、障害者が働きやすい環境づくりや就労機会の確保に努めます。

障害者が自立することができるように、障害者の雇用、個々の能力について理解することや、障害者の雇用に伴う各種制度について事業者に周知・啓発を図ります。

障害者の就労に関する相談援助体制として、関係機関のジョブコーチによる人的支援や、就労後の職場定着支援などの充実を図ります。

働く意欲があるものの就労に結びつかない障害者をパートタイム会計年度任用職員として雇用し、市役所の軽易な作業を請け負う部署を設置することにより、就職の機会を得るための就労経験を積む場を確保します。

主な担当課、福祉課、契約検査課、人事課。

(3)障害者や家族の生活支援。

障害者や家族が安心して暮らすことができるように、福祉サービスの充実や、地域における支援の充実を図ります。

1、障害者やその家族が安心して暮らせるように支援します。

障害者やその家族の生活を支援するために、日常生活における支援や医療、保健、療育、教育、雇用、福祉の連携強化により福祉サービスなどの充実を図るとともに、的確な情報提供を充実します。

地域の実情に応じて障害者に創作や交流などの機会を提供する地域活動の支援を充実します。さらに、障害者や地域福祉を支えるボランティアの育成を図ります。

主な担当課、福祉課、清掃事業課、市民協働国際課。

2−5、同和問題(部落差別)。

現状と課題。

同和問題(部落差別)は我が国固有の人権問題であり、その定義については昭和40年(1965年)の同和対策審議会答申において、「日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保証されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である」とされています。この答申を受けて昭和44年(1969年)に「同和対策事業特別措置法」が制定され、同和問題(部落差別)の早期解決を図るため、同和地区の住環境の改善をはじめとする物的な基盤整備や、差別意識の解消に向けた教育・啓発等の事業が推進されました。さらに、昭和57年(1982年)に「地域改善対策特別措置法」、昭和62年(1987年)に「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(以下「地対財特法」という。)がせこうされ、総合的に事業が実施されてきました。

その後、地域改善対策協議会が平成8年(1996年)に提出した「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在りかたについて(意見具申)」を受けて、平成9年(1997年)に「地対財特法」の一部改正が行われ、同和対策事業の一般対策への円滑な移行のための経過措置として、特別対策事業を限定し再度5年間延長されることとなりました。この改正に伴い、従来、差別意識の解消のため特別対策事業として行ってきた教育関係事業や各種の啓発事業についても、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育・啓発の推進事業として発展的に再構成され、同和問題(部落差別)はその中の重要課題として取り組まれることとなりました。その後、平成14年(2002年)の「地対財特法」失効に伴い、特別対策事業はすべて終了し、一般対策に移行することとなりました。

平成11年(1999年)には、平成8年(1996年)制定の「人権擁護せさく推進法」に基づき国に設置された人権擁護推進審議会において、「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関するせさくの総合的な推進に関する基本的じこうについて」の答申が提出されました。この答申においては、我が国のさまざまな人権問題の存在が明らかにされ、同和問題(部落差別)に関する国民の差別意識は「着実に解消に向けて進んでいる」が「地域により程度の差はあるものの依然として根深く存在している」とされました。また、人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進のための諸せさく等についての提言がなされました。

この答申を受けて、平成12年(2000年)に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」がせこうされました。この法律は、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、さまざまな人権侵害の現状、その他人権擁護に関する内外の情勢にかんがみ、人権教育及び人権啓発に関するせさくの推進について、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定めています。

さらに、平成28年(2016年)には「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」がせこうされました。この法律は、部落差別の解消についての基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実や教育・啓発の推進等について規定しています。

ほん市においては、同和問題(部落差別)の解消に取り組んできましたが、人権市民意識調査の結果によると、同和問題や部落差別の認知度は55.6パーセントとなっており、前回調査より6ポイント低くなっています。また、結婚相手の家柄や血筋を問題にすること、結婚にあたり家柄などを調べること、企業が採用選考のとき身元調査をすることに対し、「当然だと思う」とする回答がそれぞれ13.1パーセント、26.6パーセント、36.6パーセントとなっており、いずれも前回調査より低くなっているものの、依然としてこのような考えかたを持つ人々が存在することを示しています。

また、同和問題や部落差別の解決に対する考えかたについては、「基本的人権にかかる問題だから、自分も市民の一人として、この問題の解決に努力すべきだと思う」との回答が26.9パーセントと前回調査より低くなった一方、「自分ではどうしようもない問題だから、なりゆきにまかせるよりしかたがないと思う」が18.5パーセント、「自分ではどうしようもない問題だが、誰かしかるべき人が解決してくれると思う」が14.5パーセント、「わからない」が28.9パーセントといったように、前回調査と同様、問題の解消に向けて自分が何をしてよいのかがわからない旨の回答が多くなっています。

このため、同和問題(部落差別)について、市民一人ひとりが正しく理解し、差別意識の解消に向けて人権教育及び人権啓発に関するせさくを一層積極的に推進していく必要があります。

取組の方向。

1)人権教育及び啓発活動の推進。

同和問題(部落差別)について、市民に正しく周知するために、家庭、学校、企業、地域など、あらゆる場を通じて、人権教育及び啓発活動を推進します。

1、差別意識の解消に向け人権教育及び啓発活動を一層推進します。

同和問題(部落差別)についての正しい認識と理解を深め、差別意識を解消することを目指して、啓発資料の作成情報提供を充実します。

人権週間の周知や、同和問題(部落差別)などについての学習機会の提供を充実します。

主な担当課、人権交通防犯課。

2、家庭や学校などあらゆる場を通じた人権教育及び啓発活動を推進します。

学校教育において人権教育を進めるために、教職員等を対象とした研修を充実するとともに、子どもを持つ親を対象とした講座等の実施を図ります。

人権尊重の教育に関する研究・指導資料や、市民向けの啓発用資料を作成して、ボランティアとともに市民や企業、団体などの学習活動の支援を図ります。

市職員を対象とした研修を実施します。

民生委員・児童委員、主任児童委員を対象とした研修や啓発を実施します。

主な担当課、人事課、人権交通防犯課、学校教育課、福祉課。

3、関係機関と連携し、教育・啓発を推進します。

国や県、他市町村と連携して人権尊重や同和問題(部落差別)についての情報収集と正しい周知を図ります。

学校、企業、関係団体、地域などが行う啓発活動について、関係機関と連携しその支援を図ります。

主な担当課、保育課、人権交通防犯課、学校教育課。

小坂井文化センターの有効活用。

人権意識を高めるための学習や活動の場として、小坂井文化センターの活用を図ります。

1、啓発・交流などの拠点となる取組を推進します。

人権意識の高揚と啓発を図るため、人権に関する調査・研究を進めるとともに、各種講座の開催と情報発信を充実します。

人権に関する啓発・交流や学習活動の場として、小坂井文化センターの利用促進を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課。

2、地域住民の福祉や文化の向上を図ります。

地域住民の福祉や地域文化の向上を図り人生の豊かさを創出するために、教養・文化講座の開催や自己学習や啓発の場の充実を図ります。

生活相談を行う場や、地域福祉の推進を図るための催しなどの場として、小坂井文化センターの利用促進を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課。

(3)自立支援による地域での生活の安定向上。

意欲がある子どもや若者が自立した生活を送ることができるように、就学・就労支援のための能力開発や、雇用の場の開拓などの支援を充実します。

1、就学や就労支援などの取組を充実します。

学ぶ意欲のある子どもや若者に就学機会を提供することができるように、奨学金制度通信教育や資格取得に関する情報を提供します。

若者の就労意欲の向上や働く意欲がある女性、高齢者などの市民の能力開発や就労支援を行うために、パソコン教室を始めとした各種セミナー開催するとともに、ハローワークなどの利用を促します。

市内で雇用の場を開拓するために、雇用主に対して公正な採用を啓発します。あわせて、雇用主に対する経営相談等の経営基盤強化のための支援を商工会議所等と連携して充実します。

主な担当課、商工観光課、学校教育課。

(4)えせ同和行為の排除。

同和問題(部落差別)に対して市民や事業者が正しく対処することができるように、えせ同和行為について排除を図ります。

えせ同和行為排除のための啓発及び相談を推進します。

同和問題(部落差別)に対する誤った意識を持つことや誤った対応をなくすために、えせ同和行為についての周知を図るとともに、市民や事業者からの相談を的確に行い、えせ同和行為の排除を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課。

2−6、外国人。

現状と課題。

ほん市の外国人市民の人口は、れいわ2年(2020年)度末現在で6,921人となっており、市の総人口の3.76パーセントを占めています。国籍別では、ブラジルが約4割で最も多く、次いでベトナム、フィリピン、中国、韓国が多くなっています。ほん市は製造業の集積が高く、労働者として、さらには永住希望者としての外国人の受け入れにより、外国人市民が増加しています。

外国人の増加に伴い、地域、就労や教育の場において、言語・習慣・価値観などが異なることによる誤解などから、周囲とのトラブルが生じたり、相互理解が不十分であることによる外国人に対する差別や偏見などの人権問題が発生しています。

我が国においては、平成7年(1995年)に「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)」を批准し、人種・民族等を理由とするあらゆる差別の撤廃について定めていますが、ヘイトスピーチを解消するために、平成28年(2016年)に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)」がせこうされました。

ほん市においては、れいわ2年(2020年)に「第3次豊川市多文化共生推進プラン(2020-2024)」を策定し、国籍を問わず、誰にとっても暮らしやすい多文化共生社会の実現を目指しています。

人権市民意識調査結果によると、ヘイトスピーチについて「絶対にやめるべき」との回答は33.6パーセントで、「よくないことだと思う」と合わせて75.2パーセントである一方、「共感する」、「何とも思わない」といった回答も数パーセント見られる現状となっています。また、外国人に関する人権の問題として、「就職や仕事の内容、待遇で不利な取扱いを受けること」、「保険・医療、防災、教育などの生活に必要な情報が十分に手に入れられないこと」、「地域社会での受け入れが十分でないこと」と答える人が多くみられました。

外国人に対する偏見や差別意識を解消し、外国人の文化や多様性を受け入れ、国籍を問わず、一人ひとりの人権を尊重するための取組を推進し、外国人市民同士や外国人市民と日本人市民が互いに理解し合い、ともに安心して生活することができる多文化共生社会を築いていく必要があります。

取組の方向。

(1)共生社会の形成。

多文化共生社会の実現を目指して、外国人の人権尊重について啓発を図るとともに、外国人が日本人とともに地域社会を支えていくことを促します。

また、外国人の子どもたちが、日本や母国において自立した生活を過ごすことができるように、就学の支援や日本語学習支援を図ります。

1、外国人の人権尊重について理解を深めます。

外国人の人権尊重について市民の理解を深めるために、啓発パンフレット、外国語版広報、ホームページ、窓口の外国語表記などにより、周知を図ります。

国際交流協会と連携し、交流会・講座の開催、語学・教育支援などを通して相互理解を深めます。

国際交流ボランティアと連携し、外国人を支援することで、互いが安心して暮らしやすいまちづくりを進めます。

主な担当課、人権交通防犯課、市民協働国際課。

2、日本人及び外国人市民の多文化共生意識を高め社会への参加を促進します。

日本人及び外国人が互いの文化的背景や考えかたを理解し、暮らせる地域社会を目指すため日本語学習機会の提供に努めます。

外国人の地域社会への参加を促すための事業を実施し、外国人を応援する市民活動団体を支援します。

やさしい日本語に関する情報の周知や活用を促進し、市民の多文化共生意識の啓発を図ります。

関係機関と連携して外国人の就労環境の向上を事業者に促します。また、就労に必要な知識や技術の習得を支援する国などの事業に協力します。

主な担当課、市民協働国際課、商工観光課。

3、外国人が学ぶことができる教育環境を充実します。

外国人の子どもたちの就学を支援するための教室を運営します。教室では、就学前指導なども実施し対象となる子どもの幅を広げます。また、定期的に就学状況を把握し、不就学児童の解消を目指します。

主な担当課、市民協働国際課、学校教育課。

(2)外国人の円滑なコミュニケーション環境づくり。

外国人市民の日本語学習支援を行うとともに、多言語による情報提供などコミュニケーション環境を充実します。

1、外国人のコミュニケーション能力を高めるとともに情報提供を充実します。

外国人市民が、日本で生活する上で必要な日本語を学習する機会を充実します。また、子どもたちに対して母国語教育や伝統文化を知るための機会の充実を図ります。

外国人の生活がより快適になるように、多言語による情報提供を行います。

外国人の子育てと教育を支援するために、ガイドブックの作成や、外国人児童生徒の進路説明会の開催や外国人の意見を聞く機会づくりに努めます。

外国人が地域社会で生活するために多言語によるごみの出しかたや分けかたのルールの啓発を図ります。

外国人による119番通報を円滑に受信するため、外国人通報者、消防指令センター、電話通訳センターの三者間同時通訳を行い、多言語対応を図ります。

外国人傷病者に対する救急現場活動を円滑に実施するため、救急車へ多言語音声翻訳アプリを導入し、多言語対応を図ります。

主な担当課、市民協働国際課、清掃事業課、消防本部。

2−7、感染症患者等。

現状と課題。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症は、感染経路が特定し、感染力もそれほど強いものでないことがわかっており、いたずらに感染を恐れる必要もなく、治療薬によって発症を抑えることも可能ですが、正しい知識や理解の不足から、HIV感染者やエイズ患者に対してはこれまで多くの偏見や差別意識が生じています。

ハンセン病についても、らい菌による感染症であるものの、伝染力が非常に低く、現在では治療法が確立しており、2012年以降は我が国においても患者数が年間0から1人と非常に少ない病気となっていますが、過去のハンセン病患者に対する療養所への強制隔離政策により、患者に対する偏見・差別などが生じています。平成8年(1996年)に「らい予防法」が廃止され強制隔離政策は終結しましたが、入所者の多くが長期間の隔離により家族等との関係を絶たれたり、高齢化等により療養所に残らざるを得ない人がいたりするなど、社会復帰が困難な状況も起こっています。

また、れいわ元年末から新型コロナウイルスが世界的に感染拡大したことで、感染したかたやその家族、治療に当たった医療従事者に対する不当な差別、偏見、いじめ、誹謗中傷などが問題となっています。

我が国においては、平成11年(1999年)に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」がせこうされ、感染症患者等の人権を尊重しつつ、感染症対策を総合的に推進することが目指されています。この法律は、れいわ3年(2021年)に、新型コロナウイルス感染症を同法の対象である「新型インフルエンザ等」に含まれるものとするよう改正されました。

人権市民意識調査では、エイズ患者・HIV感染者に関する人権の問題として、「就職や職場で不利な取扱いを受けること」、「学校で不利な扱いを受けること」、「家族への差別的な言動を受けること」といった回答が多く見られました。また、ハンセン病患者・元患者に関する人権の問題としては、「病気に対する正しい理解なしに、怖い病気といった偏見や誤解があること」、「じろじろ見られたり、避けられたりすること」、「就職や職場で不利な取扱いを受けること」といった回答が多くなっています。また、いずれの問も「わからない」が約40パーセントと多く、これらを人権問題として認識していない人が多いことが示されています。

また、HIV感染者やハンセン病患者等の人権問題の解決手法としては、「学校におけるエイズ教育やハンセン病の正しい理解の推進」、「エイズ患者・HIV感染者やハンセン病患者・元患者などのプライバシー保護の徹底」といった回答が多くなっています。

このため、感染症について正しく理解するための普及啓発を推進し、関係機関と連携して感染者や発症者に対する支援を進める必要があります。また、新しい感染症に関する人権問題が発生することのないよう、感染症に対する正しい理解と人権意識の向上のための取組を進める必要があります。

取組の方向。

(1)感染症患者などの人権を尊重する意識づくり。

感染症患者等に対する正しい情報を提供するとともに、人権の尊重について啓発します。

1、感染症に対する正しい理解を促進し人権に配慮した対策を進めます。

感染症患者に対する偏見や差別解消感染症に対して正しい知識の普及を図るためにパンフレットなどによる情報提供を充実します。

「世界エイズデー」「ハンセン病を正しく理解する週間」などをPRして、感染症に対する意識を啓発します。

主な担当課、保健センタ、人権交通防犯課。

(2)感染症患者などの自立と社会参加の支援。

感染症患者等の自立と社会参加を進めるために、健康づくりを支援するとともに、就労機会の確保を支援します。

1、心と体の健康づくりを支援します。

誰もが健やかに明るい人生を楽しむことができるように、健康づくりや感染症予防に対する意識を高めるとともに、健康相談を充実します。

主な担当課、保健センター。

2、感染症患者などが働きやすい環境づくりや就労機会の確保に努めます。

感染症や患者の働く能力についての理解を促進して就労機会を確保するために、事業所への啓発を図ります。

働くことができる患者が就労機会を得るために、ハローワークなどの利用促進や職業や雇用についての情報提供を図ります。

主な担当課、商工観光課。

2−8、インターネットによる人権侵害。

現状と課題。

インターネットの普及は、多くの人々が豊かな社会生活を享受することができる一方、SNSなどの特性を悪用した個人や団体への誹謗中傷やネットいじめ、差別を助長する表現、有害情報の掲載、個人情報の流出、犯罪への巻き込み等、人権に関わるさまざまな問題が発生しています。

インターネットにおける人権問題に対応するため、国は、平成14年(2002年)の「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)のせこう、平成17年(2005年)の「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)の全面せこうなど、個人情報を取り扱う事業者が遵守すべき義務などを定めています。また、平成21年(2009年)には「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(青少年ネット規制法)をせこうし、インターネット上の有害情報から青少年の権利を擁護するための取組について定めています。

人権市民意識調査では、インターネットによる人権侵害の問題として、「他人の身元を暴いたり、誹謗中傷する表現を掲載すること」や「個人情報などが流出していること」などが上位をしめています。

インターネットにおける人権侵害をなくすためには、市民一人ひとりがインターネットの問題点や適切な利用方法を理解し、自身も加害者となり得ることを認識するとともに、インターネットを新たに使い始めた人に対する情報提供や啓発などを充実し、インターネットにおける人権侵害の未然防止に努めることが必要です。

取組の方向。

(1)インターネットによる人権侵害の防止対策。

インターネットの正しい利用など情報モラルについての情報や学習機会を提供し、インターネット上での人権侵害の危険性の理解を促進します。

1、インターネットの正しい利用のため教育・啓発活動を推進します。

個人のプライバシーや名誉について正しく理解し、インターネットを正しく利用することができるよう教育・啓発を行います。

主な担当課、人権交通防犯課、学校教育課。

(2)インターネット上での人権侵害に対する相談・支援体制。

インターネットに関する人権問題に対応するため、相談窓口の周知などの情報提供を充実します。

1、インターネット上での人権侵害への相談・支援体制の周知。

インターネット上で人権侵害があった場合、適切かつ迅速な対応を図るため、相談窓口や救済制度、支援機関の情報提供を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課。

2−9、性的マイノリティ。

現状と課題。

性的マイノリティとは、心の性が女性で恋愛対象も女性という人(レズビアン)、心の性が男性で恋愛対象も男性という人(ゲイ)、恋愛対象が女性にも男性にも向いている人(バイセクシャル)、身体の性と心の性が一致しない人(トランスジェンダー)の総称で、頭文字をとってLGBTとも呼ばれています。こうした人々の性自認(性の自己認識)や性的指向(好きになる性別)に関する多様性は尊重されるべきですが、少数派であるが故に、職場や学校等のさまざまな場における偏見や差別の対象となる等の人権侵害が生じています。

我が国では、平成16年(2004年)に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」がせこうされ、一定の条件を満たせば戸籍上の性別の変更ができるようになりました。また、平成27年(2015年)には、文部科学省が「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を全国の国公私立の小中学校に通知する等、学校教育の場においてもきめ細かな配慮をすることを求めています。

人権市民意識調査では、性的マイノリティの人権上の問題として「性同一性障害、性的指向に対する理解がないこと」、「偏見により差別的な言動を受けること」など、問題への理解を示す意見が上位を占める一方、「わからない」と答えた人が4人に1人程度見られます。人権教育や啓発を通じて、性的指向・性自認に関する知識を持つ人を増やし、適切な理解を広めていくことが大切です。また、性的マイノリティの人の中には、差別や偏見を恐れて自身のことを他者に知られたくないと考える人もいるため、相談・支援の充実についても検討することが必要です。

取組の方向。

(1)性的マイノリティへの理解の促進。

性的マイノリティへの偏見・差別をなくし、正しい理解の浸透を図るための啓発を行います。

1、性的マイノリティへの正しい理解を促進します。

性的マイノリティに関する情報提供や学習機会を通じて意識啓発を図ります。

性的指向や性自認についての理解を含めた人権教育の促進に努めます。

主な担当課、人権交通防犯課、学校教育課、保健センター。

(2)多様性を認める生活環境づくり。

多様な生きかたをお互いに認め合い、誰もが心豊かに暮らせる生活環境づくりを目指します。

1、性の多様性を認める環境づくりに努めます。

誰もが安心していきいきと生活し、個性を発揮できるように、性的マイノリティの様々な不安や困難を少しでも解消するためのせさくを行います。

主な担当課、人権交通防犯課。

誰もが相談できる体制づくり。

性的マイノリティの人権問題に対応するため、相談窓口の周知などを図るとともに、相談・支援体制の充実を図ります。

1、性的マイノリティの人権問題への相談・支援体制の周知。

性別に関係なく誰もが相談できるよう、相談窓口や制度、支援機関についての情報提供の充実を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課。

2−10、刑を終えて出所した人等。

現状と課題。

刑を終えて出所した人等に対しては、再犯の可能性があるのではないかなどの偏見や差別意識などにより、本人に更生の意欲があっても、就職、就学、住居の確保、保健医療・福祉サービスの受給等の際において不当な差別を受けるといった人権問題が発生しています。

我が国では、刑を終えて出所した人等の円滑な社会復帰を促進することを通じて再犯を防止するため、平成28年(2016年)に「再犯の防止等の推進に関する法律」(再犯防止推進法)をせこうしました。この法律では、「再犯防止推進計画」の策定に関すること、7月を「再犯防止推進月間」とすることなどが定められ、国民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全で安心して暮らせる社会の実現をめざすとされています。

人権市民意識調査では、刑を終えて出所した人の人権問題として「刑を終えて出所した人への誤った認識や偏見が存在していること」、「就職や職場で不利な扱いを受けること」、「社会復帰に向けた相談・支援体制の不足」などが多くみられます。

ほん市においても、法律の趣旨を踏まえて、刑を終えて出所した人等が孤立することなく、社会の一員として円滑な生活を営むことができるよう、必要な支援策を充実することが必要です。

取組の方向。

(1)再犯防止対策についての理解の促進。

再犯防止に関する正しい理解を深めるための啓発を行います。

1、犯罪や非行をした人に対する市民の理解と関心を深めます。

社会を明るくする運動強調月間・再犯防止啓発月間(7月)において、保護司会をはじめとした更生保護団体との協働により啓発活動を実施します。

刑を終えて出所した人等の人権や再犯防止に関して、正しい情報を提供し理解促進に努めます。

主な担当課、福祉課、生涯学習課、人権交通防犯課。

(2)犯罪や非行をした人の住居・就労の確保、修学支援。

犯罪や非行をした人に対する周囲の偏見をなくし、住居・就労の確保や修学ができるよう支援します。

1、犯罪や非行をした人の住居・就労確保の支援に取り組みます。

犯罪や非行をした人の社会復帰に向けて、住居・就労確保を支援するなど、再犯の防止等の取組を行います。

主な担当課、福祉課、建築課、生涯学習課、商工観光課、契約検査課。

2、非行をした人の修学支援に取り組みます。

修学支援が必要な非行をした少年に対して、学校と関係機関が連携し、学校等における再非行の防止の観点も含めた相談・支援の充実を図ります。

主な担当課、学校教育課、生涯学習課。

(3保健・福祉サービスの利用促進。

保健・福祉サービスの支援を必要とする犯罪や非行をした人に対して必要な支援を実施します。

1、犯罪や非行をした人が必要とする保健・福祉サービスの提供・支援を行います。

犯罪や非行をした人が必要な保健・福祉サービスを受けられるように、関係機関と協働し、支援を行います。

主な担当課、福祉課、介護高齢課。

2−11、さまざまな人権。

現状と課題。

これまでとりあげてきた人権問題以外にも、アイヌの人々、犯罪被害者、婚外子、ホームレス、北朝鮮当局による拉致問題、災害被災者の人権など、さまざまな人権問題が生じています。

人権市民意識調査では、犯罪被害者に関する人権の問題として、「報道によってプライバシーに関することが公表されたり、取材によって私生活の平穏が保てなくなること」、「犯罪行為による精神的なショックにより、日常生活に支障をきたすようになること」、「事件のことについて周囲にうわさ話をされること」などへの関心が高いことが分かります。

また、ホームレスに関する人権の問題としては、「経済的な自立が困難なこと」への関心が最も高く、次いで「通行人など、周囲の人からの嫌がらせや暴力があること」、「ホームレスに対する誤解や偏見があること」が多くあげられています。

これら以外にも、今後の社会情勢の変化に伴い、新たな人権問題が発生、あるいは出現する可能性があります。本行動計画の趣旨に沿って、それぞれの問題の状況に応じて、問題解決のためのせさくを検討していく必要があります。

取組の方向。

(1)個人情報保護に関する意識の向上。

市民の個人情報を適切に保護するため、市職員の意識の向上を図ります。

1、市職員の個人情報保護に関する意識の向上を図ります。

情報セキュリティや個人情報保護に関する研修などにより、市職員の個人情報保護に関する意識の向上を図ります

主な担当課、人事課、情報システム課、行政課、教育委員会庶務課。

)さまざまな人権問題に対する人権意識の高揚。

新たに発生するさまざまな人権問題について市民が理解することができるように、情報を把握するとともに、啓発等を図ります。

1、さまざまな人権問題に対する人権意識を高揚するための教育・啓発を推進します。

さまざまな人権問題について市民が理解を深めるために、広報紙やパンフレットなどによる啓発活動の充実を図ります。

主な担当課、人権交通防犯課。

2、新たな人権問題の把握に努め情報提供を充実します。

新たな人権問題やその対処について、関係機関と連携して情報収集を行います。

市民の人権に対する感覚や意識について、調査を行い把握します。

主な担当課、人権交通防犯課。

第4章、計画の推進。

1、計画の推進。

1−1、計画の推進体制。

(1)庁内推進体制。

ほん計画を総合的かつ効果的に推進するため、「豊川市人権せさく推進本部」及びその下部の「幹事会」を中心とした全庁的な取組を進めます。行動計画の実施にあたっては、推進本部のもと、関係各課相互の緊密な連絡調整を図り、総合的かつ効果的な関係せさくの推進に努めるとともほん計画の趣旨を踏まえたうえで実施します。

また、国・県をはじめとした関係機関などとの連携に努めます。

PDF形式の資料では、計画の推進体制図を図示していますが、ここでは省略します。

(2)市民、事業者、行政の協力・連携。

市民、事業者、行政が協力・連携して一体となって、家庭、地域、職場、学校などの市民がかかわるあらゆる場において、人権教育・啓発を推進します。

1−2、計画推進のための取組。

(1)相談事業の実施。

人権教育・啓発の推進には、市民生活を支援し、市民のニーズの的確な対応が必要となるため、相談窓口等の情報提供を行うとともに、各種相談事業における利便性の向上、相談機能や体制の充実化を図り、相談員の資質向上に努めながら相談事業を実施します。

(2)市民意識調査の実施。

市民の人権に対する考えかたや意見を把握して、人権教育・啓発に関するせさくを推進していくため、人権教育・啓発に関する市民意識調査を継続的に実施します。

(3)計画に基づくせさくの実施状況の公表と進行管理。

計画を推進するため、「豊川市人権せさく推進本部」及び「幹事会」において、適切な進行管理を行います。年度ごとにせさくの実施状況の点検や計画(チェック)し、公表を行うとともに、定期的(5年をめど)に行う市民意識調査などを活用しながら、課題や取組内容を見直し改善(アクション)を行い、事業実績報告及び実施計画(プラン)を策定し、実施(ドゥー)へとピーディーシーエーサイクルに基づき計画の充実を図ります。

用語解説。

あ行。

えせ同和行為。

いかにも同和問題の解決に努力しているかのように装って、不当な寄附を募ったり、高額な書籍を売りつけたりすること。

エンパワーメント。

一人ひとりの女性が自らの意識と能力を高め、自立した個人として社会的な責任を分担できる力をつけること。

SNS。

ソーシャルネットワーキングサービスの略で、登録された利用者同士が交流できるウェブサイトの会員制サービスのこと。代表的なものには、フェイスブック、ツイッター、ライン、インスタグラムなどがある。

か行。

協働。

異なる環境にあるものや、異なる考えかたを持ったものが共通の目的に対して活動することで、今までにないものをつくりあげていくこと。また、市民や企業との協働とは、市民、企業及び行政がそれぞれの特性を生かし、共通する目的のため、対等なパートナーであることを認識しながら活動すること。

高齢者相談センター。

高齢者が住み慣れた地域で健やかに安心した生活をするために、保健師、社会福祉士及び主任ケアマネジャーの3職種が連携しながら、介護予防ケアマネジメント業務、総合相談支援事業、権利擁護業務、包括的・継続的ケアマネジメント業務などの業務を、一体的に担う中核拠点のこと。豊川市では、平成24年4月1日から「地域包括支援センター」を「高齢者相談センター」と呼称。市内にはセンターが4か所と出張所が6か所置かれている。

コミュニティーソーシャルワーカー。

地域のつながりや人間関係等、支援を必要とする人を取り巻く環境に配慮し、支援に結びつけるパイプ役として、専門的知識を生かして活動する人のこと。市内の高齢者相談センター及び出張所に配置されている。

さ行。

ジェンダー。

生まれついての生物学的性別に対し、社会通念や慣習の中にある男性像または女性像のような、社会によって作られた社会的性別のこと。男女ともに、この社会的性別で縛られ、個性と能力が活かせない状況からの解放をジェンダー・フリーといい、世界共通のキーワードとなっている。

事業継続計画。

自然災害等の緊急事態が発生した場合において、企業や団体が損害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を可能とするために、平常時の活動や緊急時の事業継続の方法等について取り決めておく計画のこと。

持続可能な開発目標(エスディージーズ)。

2001年に策定されたミレニアム開発目標(エムディージーズ)の後継として2015年9月に国連で採択された、2030年までの国際目標をいい、ここでは17のゴール(目標)と169のターゲットが掲げられている。

情報モラル教育。

「情報社会で適正な活動を行うための基になる考えかたと態度」を身につけさせること。具体的には、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解することなどをいう。

ジョブコーチ。

障害者が職場に適応でき、定着できるよう、就職の前後を通じて職場等に出向いて直接支援を行うほか、事業主等に対しても必要な助言をする職場適応援助者のこと。

心理教育相談「ゆずりは」。

こころの専門家、臨床心理士による「こころの相談室」のこと。相談対象者は、豊川市内在住の小中学生、保護者及び市内小中学校に勤務する教師で、市内には、勤労福祉会館、音羽庁舎、小坂井庁舎にある。

スクールカウンセラー。

いじめや不登校などの心の悩みに専門的立場から助言・援助を行うために小・中・高の学校に配置された、臨床心理士、精神科医、大学教授などカウンセリングの専門家のこと。

成年後見制度。

判断能力の不十分な成年者を保護するため、一定の場合に、本人の行為能力を制限するとともに、本人のために法律行為を行い、または本人による法律行為を助ける者を選任する制度のこと。

セクシュアル・ハラスメント。

性的な言動により相手かたを不快にさせたり、相手かたの生活環境を害することや、性的な言動に対する相手かたの対応によってその者に不利益を与えること。

た行。

特別支援教育。

障害児の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善・克服するため、適切な指導及び必要な支援を行う教育のこと。

ドメスティック・バイオレンス(DV)。

配偶者等に対する暴力やしんしんに有害な影響を及ぼす言動のこと。

な行。

ノーマライゼーション。

高齢者や障害者などを施設に隔離せず、健常者と一緒に助け合いながら暮らしていくのが正常な社会のありかたであるとする考えかたをいう。

は行。

ハートフル相談員。

いじめや不登校などの問題行動に対して、児童生徒へのカウンセリング、教員・保護者への助言などを行う心理相談員のこと。豊川市教育委員会が任用している。

バリアフリー。

英語の「バリア(障壁)」と「フリー(自由な・からのがれる)」を一緒にした言葉で、障壁となるものを取り除き生活しやすくなること。

パワー・ハラスメント。

職務上の権限や地位等を背景に、業務や指導などの適正なレベルを超えて、他の職員の人格や尊厳を傷つけるような言動のこと。

東三河広域連合。

東三河8市町村(豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市、設楽町、東栄町、豊根村)が一体となって広域課題の解決に取り組むため、平成27年1月に設立された特別地方公共団体のこと。8市町村の介護保険の保険者となっている。

ファミリー・フレンドリー企業。

仕事と育児・介護とが両立できるような様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働きかたを労働者が選択できるような取組を行う企業のこと。

ヘイトスピーチ。

特定の国の出身者であることまたはその子孫であることのみを理由に、日本社会から追い出そうとしたり危害を加えようとしたりするなどの一方的な内容の言動のこと。

わ行。

ワーク・ライフ・バランス。

働く人が仕事とそれ以外の生活を自身が望む調和のとれた状態にできること。

資料編。

1、日本国憲法(抄)。

昭和21年(1946年)11月3日公布。

昭和22年(1947年)5月3日せこう。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

第3章、国民の権利及び義務。

11条、国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。

12条、この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

13条、すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

14条、すべて国民は、法のもとに平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

2、華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

3、栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

19条、思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

20条、信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

2、何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3、国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

21条、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2、検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

22条、何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

2、何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

23条、学問の自由は、これを保障する。

24条、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2、配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他のじこうに関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

25条、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

26条、すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2、すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。

27条、すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。

2、賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

3、児童は、これを酷使してはならない。

28条、勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

29条、財産権は、これを侵してはならない。

2、財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

3、私有財産は、正当な補償のもとに、これを公共のために用いることができる。

30条、国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。

31条、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

32条、何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。

33条、何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

34条、何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

35条、何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基づいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

2、捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行う。

36条、公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

37条、すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

2、刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

3、刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

38条、何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

2、強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

3、何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

39条、何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。

40条、何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

10章、最高法規。

97条、この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

2、世界人権宣言。

昭和23年(1948年)1210日。

第3回国際連合総会採択。

前文。

人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、

人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、

人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要であるので、

諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、

国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、

加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、

これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、

よって、ここに、国際連合総会は、

社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。

第1条。

すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。

第2条。

1、すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなるじゆうによる差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。

2、さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限のもとにあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。

第3条。

すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。

第4条。

何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。

第5条。

何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。

第6条。

すべて人は、いかなる場所においても、法のもとにおいて、人として認められる権利を有する。

第7条。

すべての人は、法のもとにおいて平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。

第8条。

すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。

第9条。

何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。

10条。

すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当っては、独立の公平な裁判所による公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有する。

11条。

1、犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、無罪と推定される権利を有する。

2、何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為のために有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。

12条。

何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有する。

13条。

1、すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。

2、すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。

14条。

1、すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。

2、この権利は、もっぱら非政治犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因とする訴追の場合には、援用することはできない。

15条。

1、すべて人は、国籍をもつ権利を有する。

2、何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。

16条。

1、成年の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、かつ家庭をつくる権利を有する。成年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻に関し平等の権利を有する。

2、婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によってのみ成立する。

3、家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する。

17条。

1、すべて人は、単独で又は他の者と共同して財産を所有する権利を有する。

2、何人も、ほしいままに自己の財産を奪われることはない。

18条。

すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗教又は信念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼拝及び儀式によって宗教又は信念を表明する自由を含む。

19条。

すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。

20条。

1、すべての人は、平和的集会及び結社の自由に対する権利を有する。

2、何人も、結社に属することを強制されない。

21条。

1、すべて人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。

2、すべて人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。

3、人民の意思は、統治の権力を基礎とならなければならない。この意思は、定期のかつ真正な選挙によって表明されなければならない。この選挙は、平等の普通選挙によるものでなければならず、また、秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続によって行われなければならない。

22条。

すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する。

23条。

1、すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。

2、すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。

3、勤労する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を受けることができる。

4、すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに参加する権利を有する。

24条。

すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇をもつ権利を有する。

25条。

1、すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、しんしん障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。

2、母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。

26条。

1、すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。

2、教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければならない。教育は、すべての国又は人種的若しくは宗教的集団の相互間の理解、寛容及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動を促進するものでなければならない。

3、親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。

27条。

1、すべて人は、自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とにあずかる権利を有する。

2、すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質的利益を保護される権利を有する。

28条。

すべて人は、この宣言に掲げる権利及び自由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に対する権利を有する。

29条。

1、すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社会に対して義務を負う。

2、すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当っては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する。

3、これらの権利及び自由は、いかなる場合にも、国際連合の目的及び原則に反して行使してはならない。

30条。

この宣言のいかなる規定も、いずれかの国、集団又は個人に対して、この宣言に掲げる権利及び自由の破壊を目的とする活動に従事し、又はそのような目的を有する行為を行う権利を認めるものと解釈してはならない。

3、人権教育のための国連10年(国連総会決議)。

平成6年(1994年)1223日。

公益財団法人人権教育啓発推進センター仮訳。

国際連合総会は、

国連憲章及び世界人権宣言に込められた基本的かつ普遍的理念に導かれ、

世界人権宣言第26条が述べる「教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければならない。」を再確認し、

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条、児童の権利に関する条約第28条など、先に述べた条項の目的を反映する、他の人権諸条約の規定を想起し、

人権委員会が、理論的次元と実際の応用面、両面についての、人権の知識を教育政策における優先じこうとして確立されねばならないことを勧告した、1993年3月9日付決議199356を考慮し、

人権委員会が国連人権高等弁務官に対し、その特別目的のうちに「人権教育のための国連10年」のための行動計画を含め、事務総長に対しては、国際連合総会第49会期において、経済社会理事会を通じ人権教育のための国連10年行動計画を提出を促すよう奨励した、1994年3月4日付人権委員会決議199451を考慮し、

人権教育は情報の供給以上の関与を行い、また開発のあらゆる段階、及び社会のあらゆる階層にある人々が、あらゆる社会において、他者の尊厳の尊重、及びその尊重を保証するための手段と手法を学ぶための、生涯を通じての総合的なプロセスを構成すべきであることを確信し、

また、人権教育は、子供、先住民、少数者及び障害者など、社会の多様な部分を評価する、あらゆる年齢層の女性と男性の尊厳に矛盾しない、開発の概念に貢献することをも、確信し、

世界のあらゆる部分において、教育者及び非政府機関、並びに国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)、国際労働機関(アイエルオー)、及び国際連合児童基金(ユニセフ)を含む、政府間機関が行う人権教育の振興の努力を評価し、

女性、男性、子供はそれぞれ、人間として十分な可能性を実現するため、市民的、文化的、経済的、政治的、及び社会的人権のすべてについて、知らしめらるべきであることを確信し、

人権教育は、女性の人権の振興と保護を通じ、性差別の撤廃、及び機会の平等の保証のための、重要な手段を構成すると信頼し、

国際連合教育科学文化機関が、1993年3月8日から11日まで、モントリオールで開催した、人権と民主主義のための国際会議が採択した、「人権及び民主主義のための教育の世界行動計画」、及び「人権教育と民主主義はそれ自身人権であり、人権の実現のための必要条件である」とする会議のステートメントを考慮し、

関連する国際連合教育及び広報プログラムの調整は、人権高等弁務官の責任であることを想起し、

国際連合人権高等弁務官の報告書において、弁務官が調和ある地域社会間の関係の奨励、相互的寛容と理解、及び究極的には平和のために、人権教育が必須であると明言したことに注目し、

国連エルサルバドル監視団(オーエヌユーエスエーエル)や、国連カンボジア暫定統治機構(アンタック)を含む、国連平和維持活動における人権教育についての経験を意識し、

1993年6月25日、「世界人権会議」で採択された、「ウィーン宣言及び行動計画」、特にそのセクション2、第78節から82節までに注意を払い、

1、19931220日付総会決議に含まれた要望に従って提出された、人権教育に関する事務総長報告に、感謝をもって注目する。

2、1995年1月1日に始まる「人権教育のための国連10年」の10年間の期間を宣言する。

3、事務総長報告に盛り込まれた19952005の、「人権教育のための国連10年行動計画」を歓迎する。併せて、各国政府の「10年行動計画」の補遺に関するコメントを要請する。

4、事務総長には、第3節に掲げた目的のため、各国が示した見解を考慮して、提案を提出するように要請する。

5、すべての政府に対し、この行動計画の実施に貢献し、非識字者をなくし、及び人格の完全な開発を目指した、教育の方向付け、並びに人権と基本的自由の尊重の強化のための、努力を促進するよう、表明する。

6、政府、及び非政府の教育機関に対し、行動計画のなかで勧告された、人権教育プログラムの、確立と実施へむけた努力、特に人権教育のための、各国計画の取りまとめと実施を強化するよう、強く求める。

7、国際連合人権高等弁務官が、「行動計画」実施の調整を行うよう、求める。

8、国際連合事務局の人権センター及び人権委員会に対し、加盟各国、人権条約監視団体、その他適切な団体、及び権限をもつ非政府機関と協力して、国際連合人権高等弁務官が行う、行動計画の調整努力を支援するよう、求める。

9、事務総長に対し、非政府機関が行う人権教育を特別に支援するため、国際連合事務局人権センターが管理する、人権教育ボランティア基金の設立を考慮するよう、求める。

10、特別機関及び国際連合プログラムが、その権限範囲において、行動計画の実施を行うよう、要請する。

11、事務総長は、この決議について、国際社会のすべてのメンバー、並びに人権教育に関与する政府間機関、非政府機関の関心を喚起するよう、求める。

12、国際機関、地域機関及び各国非政府機関、とりわけ女性、労働、開発と環境並びにその他すべての社会正義集団、人権唱道者、教育者、宗教団体及びメディアに関わる者に対し、人権に関する公式及び非公式教育への関与の増加と、「人権教育のための国連10年」の実施のための、人権センターとの協力を、訴える。

13、現在ある人権監視団体に対し、加盟各国による、その国際的な義務である人権教育の振興の実施について、強調するよう、求める。

14、このことについては、国際連合総会第50会期において「人権質問」の標題のもとで、考慮することを、決定する。

4、「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画。

平成9年(1997年)7月4日。

人権教育のための国連10年推進本部。

平成6年(1994年)12月の国連総会において、平成7年(1995年)から平成16年(2004年)までの10年間を「人権教育のための国連10年」とすることが決議された。

これを受けて、政府は「人権教育のための国連10年」に係るせさくについて、関係行政機関相互の緊密な連携・協力を確保し、総合的かつ効果的な推進を図るため、平成7年(1995年)1215日、閣議決定により、内閣に人権教育のための国連10年推進本部を設置した。

推進本部は平成8年(1996年)3月18日、第1回会合を開催し、政府として積極的な取組を推進していくことを確認した後、国内行動計画の策定作業を進め、平成8年(1996年)12月6日に、「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画(中間まとめ)を公表した。

その後、推進本部においては、中間まとめに対して各方面から寄せられた意見等に十分配慮しつつ検討を進め、このたび「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画を取りまとめた。

人権教育のための国連10年推進本部は、この国内行動計画に掲げられた諸せさくの着実な実施等を通じて、人権教育の積極的推進を図り、もって、国際的視野に立って一人一人の人権が尊重される、真に豊かでゆとりのある人権国家の実現を期するものである。

(注)「人権教育」とは、「知識と技術の伝達及び態度の形成を通じ、人権という普遍的文化を構築するために行う研修、普及及び広報努力」と「人権教育のための国連10年行動計画」において定義されている。

1、基本的考えかた。

(1)冷戦終了後、東西対立の崩壊とともに、世界各地で地域紛争やこれに伴う顕著な人権侵害、難民発生など、深刻な問題が表面化した。しかし、一方で東西対立の崩壊は、国際社会全体での議論を可能とする環境を創り出し、人権に取り組む気運が高まった。

平成5年(1993年)には、世界人権宣言採択45周年を機に、これまでの人権活動の成果を検証し、現在直面している問題、今後進むべき方向を協議することを目的としてウィーンにおいて世界人権会議が開催された。この会議は全ての人権が普遍的であり、人権が正当な国際的関心事であることを確認し、人権教育の重要性を強調した点で重要な出来事であった。以後、国連としての人権に対する取組も強化され、平成6年(1994年)には人権問題を総合的に調整する役割を担う国連人権高等弁務官が創設されたほか、第49回国連総会(平成6年(1994)年12月)では「人権教育のための国連10年」を決定する決議が採択された。また、平成7年(1995年)9月に北京で開催された第4回世界女性会議においては、女性の権利は人権であることが明確に謳われるとともに、人権教育の重要性が指摘された。こうした動きは、人権に対する国際的関心が結晶化したものである。

人権の擁護・促進のためには、そもそも人権とは何かということを各人が理解し、人権尊重の意識を高めることが重要であり、人権教育は、国際社会が協力して進めるべき基本的課題である。

(2)人権教育の推進に当たっては、このような国際的潮流とともに、平成8年(1996年)5月17日の地域改善対策協議会意見具申に述べられている次のような認識を踏まえることが重要である。

今世紀、人類は、二度にわたる世界大戦の惨禍を経験し、平和が如何にかけがえのないものであるかを学んだ。しかし、世界の人々の平和への願いにもかかわらず、冷戦構造の崩壊後も、依然として各地で地域紛争が多発し、多くの犠牲者を出している。紛争の背景は一概には言えないが、人種、民族間の対立や偏見、そして差別の存在が大きな原因の一つであると思われる。こうした中で、人類は、「平和のないところに人権は存在し得ない」、「人権のないところに平和は存在し得ない」という大きな教訓を得た。今や、人権の尊重が平和の基礎であるということが世界の共通認識になりつつある。このような意味において、21世紀は「人権の世紀」と呼ぶことができよう。

我が国は、国際社会の一員として、国際人権規約をはじめとする人権に関する多くの条約に加入している。懸案となっていた「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(人種差別撤廃条約)にも加入した。世界の平和を願う我が国が、世界各国との連携・協力のもとに、全ての人の人権が尊重され、あらゆる差別の解消を目指す国際社会の重要な一員として、その役割を積極的に果たしていくことは、「人権の世紀」である21世紀に向けた我が国の枢要な責務というべきである。

(3)翻って我が国社会を見ると、依然として、様々な人権問題が存在してる。また、近年、著しく国際化、ボーダーレス化が進展している状況下において、広く国民の間に多元的文化、多様性を容認する「共生の心」を醸成することが何よりも要請される。このため、各種の啓発と相まって、人権に関する教育の一層の充実を図る必要がある。さらに社会の複雑化、個々人の権利意識の高揚、価値観の多様化等に伴い、従来あまり問題視されなかった分野においても各人の人権が強く認識されるようになってきたことから、新たな視点に立った人権教育・啓発の必要性も生じてきている。このような我が国の現状に鑑みると、「人権教育のための国連10年」は、全ての人権の不可分性と相互依存性を認識し、人権尊重の意識の高揚を図り、もって「人権」という普遍的文化の創造を目指すものであって、その意義は極めて重要である。

(4)この国内行動計画は、憲法の定める基本的人権の尊重の原則及び世界人権宣言などの人権関係国際文書の趣旨に基づき、人権の概念及び価値が広く理解され、我が国において人権という普遍的文化を構築することを目的に、あらゆる場を通じて訓練・研修、広報、情報提供努力を積極的に行うことを目標とする。

また、人権教育を進めるに当たっては、人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する取組を強化するとともに、本10年の展開において、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、刑を終えて出所した人などの重要課題に積極的に取り組むこととする。

(5)さらに、我が国は人権分野でも国際社会において積極的な役割を果たして行くべきであり、特に国連を始めとする人権関係の国際的フォーラムは重要である。そのためにも、我が国の国民の生活が深く他国の国民の生活と結びついていることを認識しつつ、人権教育の推進を通じ、他国・他地域の人権状況についても関心を深め、国内外の人権意識の高揚を図っていくことが必要である。また、本10年の実施に当たっては、国内的実施措置とともに、国際社会、なかんずくアジア太平洋地域の国々と協力・協調して人権教育を促進していくとの視点が必要である。

(6)また、人権の問題は、国民一人一人が人権の意識を高め、他者の価値を尊重する意識、態度の涵養が重要である。このためには、政府の果たす役割とともに、地方公共団体、民間団体等に期待される役割も大きい。

このため、地方公共団体、民間団体等がそれぞれの分野において、この行動計画の趣旨に沿った様々な取組を展開することを期待する。政府としては、この計画を実施するに当たっては、これらの団体等の取組、意見に配慮する。また、人権教育を広く国民各層に浸透させるため、様々な機会をとらえて「人権教育のための国連10年」の趣旨等を広める必要がある。

2、あらゆる場を通じた人権教育の推進。

(1)学校教育における人権教育の推進。

学校教育においては、日本国憲法及び教育基本法並びに国際人権規約、児童の権利に関する条約等の精神にのっとり、人権教育を推進する。その際、依然として様々な人権問題が存在していることを踏まえ、初等中等教育においては、幼児児童生徒がすべての人の人権を尊重する意識を高める教育を一層充実する。また、大学教育においては、それまでの教育の成果を確実なものとし、人権意識を更に高揚させるよう配慮する。

特に、以下の諸せさくを積極的に推進する。

1、初等中等教育において、児童生徒の発達段階に即し、各教科、道徳、特別活動等の特質に応じながら、各学校の教育活動全体を通じて人権尊重の意識を高め、一人一人を大切にした教育を推進する。なお、幼児期の教育においては、幼児の発達の特性を踏まえ、人権尊重の精神の芽生えを育むことに努める。

2、研究指定校等による実践的調査研究や各種資料の作成等により、人権教育に関する指導内容・方法を充実させる。また、このような趣旨を実現するため、地方公共団体や学校による、地域や学校の実態に即した取組を一層促進する。さらに、教員等を対象とする各種研修や情報の提供等により学校における人権教育を支援する。

3、各大学における人権に関する教育・啓発活動について、一層の取組に配慮する。

(2)社会教育における人権教育の推進。

社会教育においても、日本国憲法及び教育基本法の精神にのっとり、人権尊重の意識を高める教育が推進されてきており、今後とも、人権を現代的学習課題の一つとして示した生涯学習審議会答申(平成4年(1992年)7月)等を踏まえ、生涯学習の振興のための各種のせさくを通じて、人権に関する学習を一層推進していく。

特に、以下の諸せさくを積極的に推進する。

1、公民館を始めとする社会教育施設を拠点とした学級・講座の開設、ボランティア活動の推進を図るとともに、大学の公開講座の実施等により、人権に関する学習機会を充実させる。

2、人権に関する学習活動を総合的に推進するための事業を実施する。

3、非識字問題の解消を図る識字教育を充実するとともに、障害者等の学習機会を充実させる。

4、人権に関する学習活動のための指導者養成、資料の作成、学習情報提供・学習相談体制の整備・充実を図る。

(3)企業その他一般社会における人権教育等の推進。

企業その他一般社会においても、人権思想の普及・高揚のための人権教育・啓発を推進しているところであるが、人権尊重の意識のさらなる高揚を図るため、特に以下のせさくを推進する。

1、人権が侵害された場合における被害者の救済に関するせさくについて調査研究する。

2、一般社会における人権教育の手法等に関する調査研究、人権教育に関するプログラムの開発及び人権擁護に関するマニュアル、パンフレット、教材、資料等の作成を行い、これによる効果的な啓発活動を推進する。

3、世界人権宣言を始めとする国連人権関係文書の趣旨の普及・広報及びマスメディアの活用を図る。特に世界人権宣言採択50周年に当たる平成10年(1998年)には、記念式典を始めとする各種記念事業を実施する。

4、人権擁護委員を始めとする人権教育の指導者の育成及びボランティアの積極的活用を図る。

5、人権に関する情報の整備・充実を行い、一般市民が利用しやすい環境を整備する。

6、人権相談体制の充実により人権思想を普及・高揚させる。

7、財団法人人権教育啓発推進センターにおける、人権教育及び人権啓発を推進し、支援するための活動に対して、関係省庁はこれを積極的に支援する。

8、企業等に対して就職の機会均等を確保するための公正な採用選考システムの確立が図られるよう指導・啓発を行う。

(4)特定の職業に従事する者に対する人権教育の推進。

人権教育の推進に当たっては、人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対して、人権教育に関する取組を強化する必要がある。

そこで、以下のとおり特定の職業に従事する者に対する研修等における人権教育の充実に努める。

1、検察職員。

人権を尊重した検察活動を徹底するため、検察官及び検察事務官に対する各種研修における人権教育を充実させる。

2、矯正施設・更生保護関係職員等。

ア、刑務所、拘置所、少年院及び少年鑑別所等の矯正施設における被収容者の人権の尊重を図る観点から、矯正施設の職員の各種研修における人権教育を充実させ、施設の監督職員に対する指導を行う。

イ、保護観察対象者並びに刑務所や少年院等矯正施設に在所中の者及び引受人等関係者の人権の尊重を図る観点から、保護司研修及び更生保護関係職員に対する各種研修における人権教育を充実・徹底する。

3、入国管理関係職員。

出入国審査、在留資格審査等の対象たる外国人及び入国者収容所等の収容施設における被収容者の人権の尊重を図る観点から、入国審査官、入国警備官等に対する各種研修における人権教育を充実させる。

4、教員・社会教育関係職員。

学校の教員や社会教育主事などの社会教育関係職員については、各種研修、資料 の作成等を通じ、人権に関する理解・認識を一層向上させる。

5、医療関係者。

医師・歯科医師・薬剤師・看護婦・理学療法士・作業療法士等医療関係者を育成する学校や養成所における人権教育を拡充する。

6、福祉関係職員。

ア、民生委員・児童委員に対する人権に関する研修を充実させる。

イ、ホームヘルパーや福祉施設職員に対する子ども、高齢者、障害者等の人権に関する研修を充実させる。

ウ、社会福祉施設職員及び介護福祉士等の養成・研修に対し、人権意識の普及・高揚が図られるようその教育研修の内容を充実させる。

エ、保母養成施設など児童福祉関係職員養成所における子どもの人権についての教育を充実させる。 

7、海上保安官。

法の励行に携わる海上保安官の人権を尊重する知識の涵養を図るため、海上保安大学校等の教育機関の学生に対する人権教育、海上保安官に対する階層別研修における人権教育を充実し、質の向上に努める。

8、労働行政関係職員。

労働基準監督署職員及び公共職業安定所職員については、各種研修の場を通じ、 人権に関する理解・認識を一層向上させる。

9、消防職員。

消防大学校において、消防職員に対し、人権教育を実施する。

10、警察職員。

人権を尊重した警察活動を徹底するため、「警察職員の信条」に基づく職業倫理教養の推進、適切な市民応接活動の強化を始めとする被疑者、被留置者、被害者その他関係者の人権への配慮に重点を置いた職場及び各級警察学校における教育訓練を充実させる。

11、自衛官。

防衛大学校・各自衛隊の幹部候補生学校等における各教育課程での人権教育を推進する。

12、公務員。

すべての公務員が人権問題を正しく認識し、それぞれの行政において適切な対応が行えるよう各研修における人権教育を充実させる。

13、マスメディア関係者。

人権問題に関してマスメディアが大きな影響力を有していることに鑑み、マスメディアに従事する関係者において人権教育のための自主的取組が行われることを促す。

3、重要課題への対応。

人権教育の推進に当たっては、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、刑を終えて出所した人等の重要課題に関して、それぞれの固有の問題点についてのアプローチとともに、法のもとの平等、個人の尊重という普遍的な視点からのアプローチにも留意する。

(1)女性。

女性の人権に関しては、昭和54年(1979年)12月、第34回国連総会で 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」が採択され、近年の国際会議においてもその重要性が大きく取り上げられている。

平成5年(1993年)6月にウィーンで開催された世界人権会議で採択された「ウィーン宣言及び行動計画」において、男女の平等な地位及び女性の人権、特に女性に対する暴力の根絶が打ち出され、同年12月には第48回国連総会において、「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」が採択された。さらに、国連環境開発会議や国際人口・開発会議、社会開発サミットでも女性の人権の重要性が強調された。

平成7年(1995年)9月に北京で開催された第4回世界女性会議で採択された「北京宣言」において「女性の権利は人権である」と謳われ、「行動綱領」では、「女性と健康」、「女性に対する暴力」、「女性の人権」、「女性とメディア」、「女児」等12の重大問題領域が設定され、具体的な行動が提案された。

国内的には、平成8年(1996年)7月、男女共同参画審議会から「男女共同参画ビジョン、21世紀の新たな価値の創造」が答申され、同年12月には、男女共同参画推進本部において、「男女共同参画2000年プラン、男女共同参画社会の形成の促進に関する平成12年(西暦2000年)度までの国内行動計画」が策定された。

これらの動向及び「男女共同参画2000年プラン」を踏まえ、以下の取組を進める。

1、男女共同参画推進本部を中心に、男女共同参画社会の形成に向けて政府一体となった取組の一層の推進を図る。

2、政策・方針決定過程への女性の参画を拡大するため、政府が率先垂範して取組を進めるとともに、企業、各種団体等に対し協力要請を行い、社会的気運の醸成を図る。

3、男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革を図るため、人権週間、婦人週間等多様な機会、多様な媒体を通じ、国民的広がりを持った啓発・広報活動を展開する。また、女性の権利に関連の深い国内法令や、女子差別撤廃条約、第4回世界女性会議「行動綱領」等の国際文書の内容の周知に努める。

4、雇用における男女の均等な機会と待遇の確保等のため、啓発等を行うとともに、働くことを中心に女性の社会参加を積極的に支援するための事業やその拠点施設の整備を実施する。

5、農山漁村の女性が農林漁業・農山漁村の発展に対し、男性とともに積極的に参画できる社会を実現するため、農林漁業や農山漁村社会でのパートナーである男性を含めた家庭及び地域社会において農山漁村の女性の地位向上・方針決定への参画促進のための啓発等を実施する。

6、性犯罪、売買春、家庭内暴力等女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて、厳正な取締りはもとより、被害女性の人権を守る観点から、事情聴取等を被害者の希望に応じた性別の警察官が行えるようにするなど、必要な体制を整備するとともに、事情聴取、相談等に携わる職員の教育訓練を充実する。

7、外国人女性の人権を守る観点から、入国管理等に携わる職員に対する人権教育の充実を図る。

8、性の商品化や暴力表現が女性の人権を侵害している現状を改善し、女性の人権を尊重した表現を行うよう、また、方針決定の場に女性を積極的に登用するよう、メディアの自主的取組を促す。

9、家庭、学校、地域など社会のあらゆる分野における男女平等を推進する教育・学習を充実させる。また、女性の学習・実践活動を通じた社会参加を促進する。

10、我が国のイニシアティブにより国連婦人開発基金(ユニフェム)内に設置された「女性に対する暴力撤廃のための信託基金」に対して協力する。

11、女性に対する人権侵害の発生を防止するため、人権尊重の意識の普及・高揚を図るための啓発活動を充実・強化するとともに、人権相談体制を充実させる。

(2)子ども。

基本的人権の尊重を基本理念に掲げる日本国憲法及びこれに基づく教育基本法、児童福祉法等の法令並びに国際人権規約、児童の権利に関する条約等の国際条約の趣旨に沿って、政府のみならず、地方公共団体、民間団体、学校、家庭等、社会全体が一体となって相互に連携を図りながら幼児児童生徒の人権の尊重及び保護に向けた取組を推進する。

特に、以下の諸せさくを積極的に推進する。

1、学校教育において、幼児児童生徒の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育指導や学校運営が行われるよう、児童の権利に関する条約の趣旨・内容を周知する。また、社会教育においても、同条約の内容・理念が広く理解され、定着されるよう、公民館等における各種学級・講座等を開設し、学習機会を充実させる。

2、いじめは、児童生徒の人権に関わる重大な問題であり、その解決のための真剣な取組を一層推進する。また、児童生徒一人一人を大切にした個性を生かす教育、教員に対する研修の充実、教育相談体制の整備、家庭・学校・地域社会の連携、学校外の様々な体験活動の促進など各種せさくを推進する。

3、いじめ問題、虐待の防止など児童の健全育成上重大な問題についての総合的な取組を推進するとともに、児童の権利に関する啓発活動を推進する。

4、犯罪等の被害に遭った少年に対し、カウンセリング等による支援を行うとともに、少年の福祉を害する犯罪の取締りを推進し、被害少年の救出・保護を図る。

5、児童買春、児童ポルノ、児童売買といった児童の商業的性的搾取の問題が国際社会の共通の課題となっており、我が国としても、児童の商業的性的搾取の防止等について、積極的に取り組む。

6、子どもの人権を守るための「子どもの人権専門委員」制度を充実・強化するとともに、電話相談を含めた人権相談体制を充実させる。

7、保育所保育指針における「人権を大切にする心を育てる」ため、この指針を参考として児童のしんしんの発達、家庭や地域の実情に応じた適切な保育を実施する。

(3)高齢者。

高齢者が安心して自立した生活を送れるよう支援するとともに、高齢者がそれぞれの経験と能力を生かし、高齢社会を支える重要な一員として各種の社会的な活動に積極的に参加できるための条件の整備を図る。

1、学校教育においては、高齢化社会の進展を踏まえ、主に社会科や道徳、特別活動において福祉教育を推進する。

2、高齢者の学習機会の体系的整備並びに高齢者の持つ優れた知識・経験等を生かして社会参加してもらうための条件整備を促進する。

3、高齢者と他の世代との相互理解や連帯感を深めるため、世代間交流の機会を充実させる。

4、「敬老の日」の行事を通じ、広く国民が高齢者の福祉について関心と理解を深める。

5、高齢化が急速に進行している農山漁村において、高齢者が精神的、身体的、経済的、社会的な面において生涯現役を目指し、安心して住み続けられるよう支援する。

6、高齢者が長年にわたり培ってきた知識、経験等を活用し、65歳まで現役として働くことができる社会を実現するため、60歳定年の完全定着、継続雇用の推進、多様な形態による雇用・就業機会の確保のための啓発活動に取り組む。

7、虐待その他高齢者に対する人権侵害の発生を防止するため、人権尊重の意識の高揚を図るための啓発を行い、人権相談体制を充実させる。

(4)障害者。

障害者のライフステージの全ての段階において全人間的復権を目指すリハビリテーションの理念と、障害者が障害のない人と同等に生活し活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念のもとに、特に次のようなせさくの推進を図る。

1、障害者の自立と社会参加をより一層推進し、障害者の「完全参加と平等」の目標に向けて「ノーマライゼーション」の理念を実現するための啓発・広報活動を推進する(障害者の日及び週間を中心とする啓発・広報活動等)。

2、障害のある子どもに対する理解と認識を促進するため、小・中学校等や地域における交流教育の実施及び講習会の開催、小・中学校の教員等のための指導資料の作成・配布、並びに学校教育関係者及び保護者等に対する啓発事業を推進する。

3、精神障害者に対する差別、偏見の是正のため、地域精神保健福祉対策促進事業等に基づきノーマライゼーションの理念の普及・啓発活動を推進し、精神障害者の人権擁護のため、精神保健指定医、精神保健福祉相談員等に対する研修を実施する。

4、障害者の社会参加と職業的自立を促進するため、障害者雇用促進月間を推進し、全国障害者雇用促進大会及び身体障害者技能競技大会を開催するとともに、情報誌の発行等事業主を始めとする国民全般に対する啓発活動を推進する。

5、障害者に対する差別や偏見を解消するため、人権尊重の意識の普及・高揚を図るための啓発活動を充実・強化するとともに、人権相談体制を充実させる。

(5)同和問題。

同和問題に関する差別意識の解消を図るに当たっては、地域改善対策協議会意見具申(平成8年(1996年)5月17日)を尊重し、これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果等を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築し、その中で同和問題を人権問題の重要な柱として捉え、今後とも、この問題に固有の経緯等を十分に認識しつつ、国際的な潮流とその取組を踏まえて以下のせさくを積極的に推進する。

1、同和問題に関する差別意識の解消に向けた教育及び啓発に関する事業については、「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について(平成8年(1996年)7月26日閣議決定)」に基づき、 次の人権教育・人権啓発の事業に再構成して推進する。特に教育に関する事業については、学校、家庭及び地域社会が一体となって進学意欲と学力の向上を促進する内容をも含むものとして推進する。

ア、人権問題啓発推進事業。

イ、小規模事業者等啓発事業。

ウ、雇用主に対する指導・啓発事業。

エ、教育総合推進地域事業。

オ、人権教育研究指定校事業。

カ、人権教育総合推進事業。

キ、人権思想の普及高揚事業。

2、隣保館において、地域改善対策協議会意見具申(平成8年(1996年)5月17日)に基づき、周辺地域を含めた地域社会全体の中で、福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、総合的な活動を推進する。

3、今後の教育及び啓発の中で同和関係者の自立向上という目標を重視するとともに、えせ同和行為の排除を徹底する。また、同和問題についての自由な意見交換のできる環境づくりを推進する。さらに、教育の中立性を確保する。

(6)アイヌの人々。

アイヌの人々に対する取組に当たっては、国民一般が、アイヌの人々の民族としての歴史、文化、伝統及び現状についての理解と認識を深め、その人権を尊重していくことが重要であり、その観点から特に以下のせさくに取り組む。

1、平成8年(1996年)4月の「ウタリ対策のありかたに関する有識者懇談会」報告書の趣旨を尊重して、「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」に基づき、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化(以下「アイヌの伝統等」という。)が置かれている状況等に鑑み、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する国民に対する知識の普及及び啓発を図るためのせさくを推進する。

2、学校教育におけるアイヌの人々の人権についての教育は、社会科等において取り上げられており、今後とも引き続き、基本的人権尊重の観点に立った教育推進のための教員の研修を充実させる。

3、各高等教育機関等におけるアイヌ語やアイヌ文化に関する教育研究について、取組に配慮する。

4、生活館において、アイヌの人々の生活の改善向上・啓発等の活動を推進する。

5、アイヌの人々に対する人権侵害の発生を防止するため、人権尊重の意識の普及・高揚を図るための啓発活動を充実・強化するとともに、人権相談体制を充実させる。

(7)外国人。

今日、我が国社会は、諸外国との人的・物的交流の増大に伴い、外国人をめぐって様々な人権問題が生じている。

そこで、外国人に対する偏見・差別を除去するため、特に以下のせさくを推進する。

1、外国人に対する人権問題の解決を図るため、外国人のための人権相談体制を充実させる。

2、外国人に対する差別意識解消のための啓発活動を推進する。

3、定住外国人に対する嫌がらせや差別事象の発生を根絶するための啓発活動を推進する。

(8)HIV感染者等。

1、HIV感染者。

ア、世界エイズデーの開催や、エイズに関するパンフレットの配布、各種の広報活動等を通じて、エイズ患者やHIV感染者に対する偏見・差別を除去し、エイズ及びその感染者への理解を深めるための教育・啓発活動を推進する。

イ、学校教育においては、発達段階に応じて正しい知識を身に付けさせることにより、エイズ患者やHIV感染者に対する偏見や差別をなくすため、エイズ教育を推進し、教材作成及び教職員の研修を充実させる。

ウ、エイズ患者やHIV感染者に対する誤解・偏見や差別意識を持つことのないよう、エイズに関する理解の促進のための学習機会を充実させる。

エ、職場におけるエイズ患者やHIV感染者に対する誤解等から生じる差別の除去等のためのエイズに関する正しい知識を普及する。

2、ハンセン病。

ハンセン病については、平成8年(1996年)に「らい予防法」が廃止されたところであるが、ハンセン病に対する差別や偏見の解消に向けて、ハンセン病資料館の運営、啓発資料の作成・配布等を通じて、ハンセン病に関する正しい知識の普及を推進する。

(9)刑を終えて出所した人。

刑を終えて出所した人に対する偏見・差別を除去し、これらの者の社会復帰に資するための啓発活動を実施する。

10)その他。

以上のほか、人権に関するその他の課題についても引き続き、偏見・差別を除去し、人権が尊重されるためのせさくを推進する。

4、国際協力の推進。

我が国は人権教育の分野での国際協力においても積極的な役割を果たしていくべきであり、その推進に当たっては、必要に応じ国連人権高等弁務官、国連人権センター等とも連携していくこととする。

1、国連総会、国連人権委員会における「人権教育のための国連10年」に関する取組に貢献する。

2、国連に設けられた「人権分野における諮問サービス及び技術的援助のための自発的基金」等の人権関係基金に協力し、これらの基金を用いて国連人権センター等が開発途上国に対して実施する人権教育関連のプロジェクトに寄与する。

3、我が国からの開発途上国に対する人権教育関連の協力を引き続き推進する。

4、我が国において国際的な人権シンポジウムを開催する。特に人権教育をテーマとすること、世界人権宣言採択50周年に当たる平成10年(1998年)には同宣言をテーマとすることを検討する。

5、本国内行動計画については、国連人権高等弁務官に報告する。

5、計画の推進

(1)この計画を実施するため、政府においては、人権教育のための国連10年推進本部を軸として、行政機関相互の密接な連携を図りつつ、総合的なせさくを推進するとともに、各省庁のせさくの実施に当たっては、本行動計画の趣旨を十分踏まえることとする。また、「人権教育のための国連10年」の趣旨等について様々な機会をとらえ周知を図る。さらに、本行動計画のせさくの積極的な推進等を通じ、人権教育・啓発を総合的かつ効果的に推進するための体制の在りかたについて検討する。政府全体の取組における連絡調整体制の在りかたについても併せて検討する。

(2)本行動計画の実施に当たっては、人権擁護せさく推進法に基づき法務省に設置された、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関するせさくの総合的な推進に関する基本的じこう等を調査・審議する人権擁護推進審議会における検討結果を反映させる。

(3)様々な差別意識の解消を図り、すべての人の人権尊重の意識を高めていくためには、地方公共団体その他の公的機関、民間団体等の果たす役割が大きい。このことに鑑み、これらの団体等が、それぞれの分野において、本行動計画の趣旨に沿った自主的な取組を展開することを期待するとともに、本行動計画の実施に当たっては、これらの団体等の取組や意見に配慮する。

(4)この計画の推進状況について、定期的にフォローアップを行い、その結果をせさくの推進に反映するとともに、この計画自体を必要に応じ見直す。

5、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律。

平成12年(2000年)法律第147号。

平成12年(2000年)12月6日公布・せこう。

(目的)。

第1条、この法律は、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみ、人権教育及び人権啓発に関するせさくの推進について、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定め、もって人権の擁護に資することを目的とする。

(定義)。

第2条、この法律において、人権教育とは、人権尊重の精神の涵かん養を目的とする教育活動をいい、人権啓発とは、国民の間に人権尊重の理念を普及させ、及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)をいう。

(基本理念)。

第3条、国及び地方公共団体が行う人権教育及び人権啓発は、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう、多様な機会の提供、効果的な手法の採用、国民の自主性の尊重及び実施機関の中立性の確保を旨として行われなければならない。

(国の責務)。

第4条、国は、ぜんじょうに定める人権教育及び人権啓発の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、人権教育及び人権啓発に関するせさくを策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)。

第5条、地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、人権教育及び人権啓発に関するせさくを策定し、及び実施する責務を有する。

(国民の責務)。

第6条、国民は、人権尊重の精神の涵養に努めるとともに、人権が尊重される社会の実現に寄与するよう努めなければならない。

(基本計画の策定)。

第7条、国は、人権教育及び人権啓発に関するせさくの総合的かつ計画的な推進を図るため、人権教育及び人権啓発に関する基本的な計画を策定しなければならない。

(年次報告)。

第8条、政府は、毎年、国会に、政府が講じた人権教育及び人権啓発に関するせさくについての報告を提出しなければならない。

(財政上の措置)。

第9条、国は、人権教育及び人権啓発に関するせさくを実施する地方公共団体に対し、当該せさくに係る事業の委託その他の方法により、財政上の措置を講ずることができる。

附則。

(せこう期日)。

第1条、この法律は、公布の日からせこうする。ただし、第8条の規定は、この法律のせこうの日の属する年度の翌年度以後に講じる人権教育及び人権啓発に関するせさくについて適用する。

(見直し)。

第2条、この法律は、この法律のせこうの日から3年以内に、人権擁護せさく推進法(平成8年法律第120号)第3条第2項に基づく人権が侵害された場合における被害者の救済に関するせさくの充実に関する基本的じこうについての人権擁護推進審議会の調査審議の結果をも踏まえ、見直しを行うものとする。

6、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律。

平成25年(2013年)法律第65号。

平成25年(2013年)6月26日公布。

平成28年(2016年)4月1日せこう。

第1章、総則。

(目的)。

第1条、この法律は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的なじこう、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

(定義)。

第2条、この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

1、障害者。

身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他のしんしんの機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

2、社会的障壁。

障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

3、行政機関等。

国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第3章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。第7号、第10条及び附則第4条第1項において同じ。)及び地方独立行政法人をいう。

4、国の行政機関。

次に掲げる機関をいう。

イ、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄のもとに置かれる機関。

ロ、内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第1項及び第2項に規定する機関(これらの機関のうちニの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)。

ハ、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する機関(ホの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)。

ニ、内閣府設置法第39条及び第55条並びに宮内庁法(昭和22年法律第70号)第16条第2項の機関並びに内閣府設置法第40条及び第56条(宮内庁法第18条第1項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの。

ホ、国家行政組織法第8条の2の施設等機関及び同法第8条の3の特別の機関で、政令で定めるもの。

ヘ、会計検査院。

5、独立行政法人等。

次に掲げる法人をいう。

イ、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。ロにおいて同じ。)。

ロ、法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの。

6、地方独立行政法人。

地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人(同法第21条第3号に掲げる業務を行うものを除く。)をいう。

7、事業者。

商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。

(国及び地方公共団体の責務)。

第3条、国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要なせさくを策定し、及びこれを実施しなければならない。

(国民の責務)。

第4条、国民は、第1条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。

(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)。

第5条、行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。

第2章、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針。

第6条、政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関するせさくを総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2、基本方針は、次に掲げるじこうについて定めるものとする。

一、障害を理由とする差別の解消の推進に関するせさくに関する基本的な方向。

二、行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的なじこう。

三、事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的なじこう。

四、その他障害を理由とする差別の解消の推進に関するせさくに関する重要じこう。

3、内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4、内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。

5、内閣総理大臣は、第3項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。

6、前3項の規定は、基本方針の変更について準用する。

第3章、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置。

(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)。

第7条、行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2、行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

(事業者における障害を理由とする差別の禁止)。

第8条、事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2、事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

(国等職員対応要領)。

第9条、国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第7条に規定するじこうに関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第3条において「国等職員対応要領」という。)を定めるものとする。

2、国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

3、国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4、前2項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。

(地方公共団体等職員対応要領)。

10条、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第7条に規定するじこうに関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第4条において「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。

2、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

3、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

4、国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。

5、前3項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。

(事業者のための対応指針)。

11条、主務大臣は、基本方針に即して、第8条に規定するじこうに関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。

2、第9条第2項から第4項までの規定は、対応指針について準用する。

(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)。

12条、主務大臣は、第8条の規定のせこうに関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定めるじこうについて、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。

(事業主による措置に関する特例)。

13条、行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによる。

第4章、障害を理由とする差別を解消するための支援措置。

(相談及び紛争の防止等のための体制の整備)。

14条、国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。

(啓発活動)。

15条、国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。

(情報の収集、整理及び提供)。

16条、国は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、国内外における障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。

(障害者差別解消支援地域協議会)。

17条、国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(以下この項及びじじょう第2項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。

2、ぜんこうの規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。

一、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人その他の団体。

二、学識経験者。

三、その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認める者。

(協議会の事務等)。

18条、協議会は、ぜんじょう第1項の目的を達するため、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関する協議を行うものとする。

2、関係機関及びぜんじょう第2項の構成員(じこうにおいて「構成機関等」という。)は、ぜんこうの協議の結果に基づき、当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を行うものとする。

3、協議会は、第1項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等が行う相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関し他の構成機関等から要請があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等に対し、相談を行った障害者及び差別に係る事案に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。

4、協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。

5、協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

(秘密保持義務)。

19条、協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(協議会の定めるじこう)。

20条、前3条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要なじこうは、協議会が定める。

第5章、雑則。

(主務大臣)。

21条、この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。

(地方公共団体が処理する事務)。

22条、第12条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることができる。

(権限の委任)。

23条、この法律の規定により主務大臣の権限に属するじこうは、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。

(政令への委任)。

24条、この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要なじこうは、政令で定める。

第6章、罰則。

25条、第19条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

26条、第12条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処する。

附則、抄。

(せこう期日)。

第1条、この法律は、平成28年4月1日からせこうする。ただし、じじょうから附則第6条までの規定は、公布の日からせこうする。

(基本方針に関する経過措置)。

第2条、政府は、この法律のせこう前においても、第6条の規定の例により、基本方針を定めることができる。この場合において、内閣総理大臣は、この法律のせこう前においても、どうじょうの規定の例により、これを公表することができる。

2、ぜんこうの規定により定められた基本方針は、この法律のせこうの日において第6条の規定により定められたものとみなす。

(国等職員対応要領に関する経過措置)。

第3条、国の行政機関の長及び独立行政法人等は、この法律のせこう前においても、第9条の規定の例により、国等職員対応要領を定め、これを公表することができる。

2、ぜんこうの規定により定められた国等職員対応要領は、この法律のせこうの日において第9条の規定により定められたものとみなす。

(地方公共団体等職員対応要領に関する経過措置)。

第4条、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、この法律のせこう前においても、第10条の規定の例により、地方公共団体等職員対応要領を定め、これを公表することができる。

2、ぜんこうの規定により定められた地方公共団体等職員対応要領は、この法律のせこうの日において第10条の規定により定められたものとみなす。

(対応指針に関する経過措置)。

第5条、主務大臣は、この法律のせこう前においても、第11条の規定の例により、対応指針を定め、これを公表することができる。

2、ぜんこうの規定により定められた対応指針は、この法律のせこうの日において第11条の規定により定められたものとみなす。

(政令への委任)。

第6条、この附則に規定するもののほか、この法律のせこうに関し必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)。

第7条、政府は、この法律のせこう後3年を経過した場合において、第8条第2項に規定する社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の在りかたその他この法律のせこうの状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。

7、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律。

平成28年(2016年)法律第68号。

平成28年(2016年)6月3日公布・せこう。

前文。

我が国においては、近年、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている。

もとより、このような不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものではない。

ここに、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、更なる人権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進すべく、この法律を制定する。

第1章、総則。

(目的)。

第1条、この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的せさくを定め、これを推進することを目的とする。

(定義)。

第2条、この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。

(基本理念)。

第3条、国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)。

第4条、国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関するせさくを実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関するせさくを推進するために必要な助言その他の措置を講ずる責務を有する。

2、地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じたせさくを講ずるよう努めるものとする。

第2章、基本的せさく。

(相談体制の整備)。

第5条、国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するものとする。

2、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するよう努めるものとする。

(教育の充実等)。

第6条、国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする。

2、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うよう努めるものとする。

(啓発活動等)。

第7条、国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする。

2、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、住民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うよう努めるものとする。

附則。

(せこう期日)。

1、この法律は、公布の日からせこうする。

(不当な差別的言動に係る取組についての検討)。

2、不当な差別的言動に係る取組については、この法律のせこう後における本邦外出身者に対する不当な差別的言動の実態等を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする。

8、部落差別の解消の推進に関する法律。

平成28年(2016年)法律第109号。

平成28年(2016年)1216日公布・せこう。

(目的)。

第1条、この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識のもとにこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする。

(基本理念)。

第2条、部落差別の解消に関するせさくは、全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行われなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)。

第3条、国は、ぜんじょうの基本理念にのっとり、部落差別の解消に関するせさくを講ずるとともに、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関するせさくを推進するために必要な情報の提供、指導及び助言を行う責務を有する。

2、地方公共団体は、ぜんじょうの基本理念にのっとり、部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じたせさくを講ずるよう努めるものとする。

(相談体制の充実)。

第4条、国は、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとする。

2、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るよう努めるものとする。

(教育及び啓発)。

第5条、国は、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うものとする。

2、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとする。

(部落差別の実態に係る調査)。

第6条、国は、部落差別の解消に関するせさくの実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとする。

附則。

この法律は、公布の日からせこうする。

9、豊川市人権せさく推進本部設置要綱。

(目的)。

第1条、豊川市における人権に関するせさくを総合的かつ効果的に推進するため、豊川市人権せさく推進本部(以下「推進本部」という。)を設置する。

(所掌事務)。

第2条、推進本部は、次に掲げる事務を行う。

1)人権教育・啓発に関する行動計画の策定に関すること。

2)人権教育・啓発に関する行動計画の推進に関すること。

3)その他本部長が必要と認めるじこうに関すること。

(組織)。

第3条、推進本部は、本部長、副本部長及び本部員を持って構成し、別表1に掲げる者をもって充てる。

(会議)。

第4条、推進本部の会議(以下「会議」という。)は、本部長が招集し、議長となる。

2、会議は、本部員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3、会議の議事は、出席本部員の総意をもって決定する。

(幹事会)。

第5条、推進本部に幹事会を置く。

2、幹事会は、別表2に掲げるものを持って構成し、幹事長は市民部人権交通防犯課長をもって充てる。

3、幹事会は、幹事長が招集し、議長となる。

4、幹事会には、必要に応じて関係課室長に出席を求めることができる。

(庶務)。

第6条、推進本部に関する庶務は、市民部人権交通防犯課において処理する。

(雑則)。

第7条、この要綱に定めるもののほか、推進本部の運営に関して必要なじこうは、本部長が定める。

附則。

この要綱は、平成23年4月25日から実施する。

附則。

この要綱は、平成23年5月19日から実施する。

附則。

この要綱は、平成23年9月15日から実施する。

附則。

この要綱は、平成25年4月1日から実施する。

附則。

この要綱は、平成27年4月1日から実施する。

附則。

この要綱は、平成28年4月1日から実施する。

附則。

この要綱は、平成29年4月1日から実施する。

附則。

この要綱は、平成31年4月1日から実施する。

別表1。

豊川市人権せさく推進本部員。

本部長、市長。

副本部長、副市長、教育長、病院事業管理者。

本部員、企画部長、防災対策監、総務部長、財産管理監、福祉部長、子ども健康部長、市民部長、産業環境部長、建設部長、都市整備部長、上下水道部長、消防長、市民病院事務局長、教育部長、議会事務局長。

別表2。

豊川市人権せさく推進本部幹事会、幹事。

幹事長、市民部人権交通防犯課長。

幹事、総務部行政課長、福祉部福祉課長、福祉部介護高齢課長、子ども健康部子育て支援課長、子ども健康部保育課長、子ども健康部保健センター主幹、市民部市民協働国際課長、市民部人権交通防犯課主幹(小坂井文化センター)、産業環境部商工観光課長、都市整備部都市計画課長、教育委員会生涯学習課長、教育委員会学校教育課長。

10、人権教育・啓発に関する豊川市行動計画等策定審議会設置要綱及び審議会委員名簿。

(設置)。

第1条、豊川市における人権に関するせさくを総合的かつ効果的に推進するため、人権教育・啓発に関する豊川市行動計画等の策定に関し、市長の諮問に応じて、当該計画のありかたを審議するため、人権教育・啓発に関する豊川市行動計画策定審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(委員)。

第2条、審議会の委員は、別表に掲げる者をもって充てる。

2、委員は、市長が委嘱する。

(任期)。

第3条、委員の任期は、委嘱をした日かられいわ4年3月31日までとする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)。

第4条、審議会に会長及び副会長を置く。

2、会長及び副会長は、委員の互選により定めるものとする。

3、会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

4、副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。

(会議)。

第5条、審議会は、会長が招集し、会議の議長を務めるものとする。

2、会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3、審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは会長の決するところによる。

4、審議会は、必要があると認めるときは、委員以外の専門的知識を有する者を会議に出席させ、その意見又は説明を求めることができる。

(庶務)。

第6条、審議会の庶務は、市民部人権交通防犯課において行う。

(その他)。

第7条、この要綱に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要なじこうは、会長が審議会に諮って定める。

附則。

この要綱は、平成23年4月25日から実施する。

附則。

この要綱は、平成25年4月1日から実施する。

附則。

この要綱は、れいわ3年4月28日から実施する。

別表。

人権教育・啓発に関する豊川市行動計画等策定審議会委員名簿。

(れいわ3年度)。

委員、会長、ほそのぶんじ、人権擁護委員。

委員、副会長、しまだいつこ、豊川市小坂井文化センター運営審議会。

委員、さくらいよしゆき、豊川市老人クラブ連合会。

委員、すずきのりまさ、豊川市子ども・若者支援地域協議会。

委員、はしくらまさふみ、豊川保護区保護司会。

委員、おおたかひろつぐ、豊川市障害者(児)団体連絡協議会。

委員、おうぎせつこ、豊川共生ネットみらい(男女共同参画)。

委員、よしおかまりえら、公益財団法人豊川市国際交流協会。

委員、おんだやすえ、公募委員。

11、人権関係年表。

PDF形式の資料では、人権関係年表を記載していますが、ここでは省略します。

第2次人権教育・啓発に関する豊川市行動計画。

れいわ4(2022)年  月発行。

豊川市市民部人権交通防犯課。

郵便番号、442-8601、愛知県豊川市諏訪1丁目1番地。

電話、0533-89-2149

ファクス、0533-89-2125

Eメール、jinkenkotsu@city.toyokawa.lg.jp

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