【豊川市文化財保存活用地域計画 概要版(案)/パブリックコメント応募HPテキスト版】

 

注意書

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豊川市文化財保存活用地域計画 概要版

令和6年 豊川市

 

計画作成の目的と背景

少子高齢化や価値観の多様化、新型コロナウイルス感染症拡大による祭礼行事の縮小化など、文化財を取り巻く周辺環境が大きく変わりました。その結果、先人たちから受け継いできた地域の文化財を未来に伝えていくための担い手不足が懸念されます。

こうした背景を踏まえ、地域の文化財の価値や大切さを知ることで市民一人ひとりが豊川市に誇りや愛着を感じ、様々な活動主体が手を取り合い、文化財を次世代へ継承していくことを目指し豊川市文化財保存活用地域計画を作成しました。

 

計画期間

本計画の計画期間を令和62024)年度から令和152033)年度までの10年間に設定し、改訂の必要が生じた場合は、令和102028)年度に中間見直しを行います。

 

文化財の定義

本計画では、文化財保護法に規定される文化財や埋蔵文化財、文化財の保存技術に加え、史話と伝承、近代化遺産なども「歴史文化資源」として位置付け、それら全体を広義の文化財として扱います。

 

豊川市の文化財の概要

本市には、277件の指定等文化財があります。加えて、旧市町史誌や既存の文化財関連調査、市民を対象に実施したアンケート調査等から、未指定文化財(歴史文化資源)398件を把握しました。

PDF形式の資料では、豊川市内の文化財の分布状況と一覧を掲載していますが、ここでは省略します。


 

豊川市の歴史文化の特性

1、 豊かな自然環境に育まれた歴史文化

本宮山、豊川、三河湾など地理的な変化に富んだ本市では、旧石器時代から人々の営みが続き、豊な自然環境との共生を経て歴史文化を育んできました。また、市域に数多く築造された多彩な古墳は様々な地域との交流を物語ります。

2、 古代三河国の中心として栄えた歴史文化

本市には三河国府、三河国分寺、国分尼寺が置かれ、古代三河国の中心として栄えた歴史文化が今に遺ります。また、「今昔物語集」の三河国司大江定基や三河国の特産品となった犬頭糸の説話は、市域の社寺や現在にも続く祭礼、地名の由来として伝承されています。

3、 交通の要衝として発展してきた歴史文化

市域は東海道や本坂通など幾筋もの街道による陸上交通のほか、三河湾を介した海上交通や豊川の河川交通により発展してきた歴史文化があります。そして、現在でも国道1号を始めとした主要な道路が交錯する本市は交通の要衝であり続けています。

4、 多様な支配の中で培われた歴史文化

戦国時代から江戸時代にかけての市域は様々な支配の変遷がありました。市域各所の祭礼は、支配者の保護を受けつつ地域独自の文化と伝統を育みながら、現在まで伝えられています。

5、 近現代の歩みを示す歴史文化

本市の近代化を支えた主な産業には海苔養殖と養蚕・製糸がありますが、農業振興も図られました。また、本市の近現代を物語る上で欠かせない豊川海軍工廠は、開廠に伴い整備されたインフラや昭和201945)年8月の空襲被害を免れた施設、跡地などが現在の本市のまちづくりに大きな影響を与えています。

 

文化財の保存と活用に関する将来像と方向性

将来像 歴史文化資源をみんなでつなぐ 輝くとよかわ

PDF形式の資料では、歴史文化資源をつなぐ概念図を掲載していますが、ここでは省略します。

文化財の保存と活用に関する課題・方針・措置

方向性1 みんなで調べる

主な課題は、

調査内容の統一、現況の整合性

庁内・庁外の連携強化

専門的知識を有する職員の不足

学校における地域調べの現状と要望の把握

市民の文化財への関心の向上

文化財活用拠点におけるボランティア活動の充実

方針は、

方針1 調査・把握の推進

既存文化財調査・情報の整理

調査体制の構築

方針2 学びの推進

学校教育への支援

生涯学習の推進

 

主な措置は、

措置1、既存文化財調査、情報の整理

文化財台帳の整理 

指定文化財等の評価の更新

市文化財保護審議会の開催

措置2、調査体制の構築

調査のための庁外連携 

調査のための庁内連携

専門職員の確保と人材育成

措置3、学校教育への支援

地域調べ学習の支援 

高等学校と連携した取組

措置4、生涯学習の推進

地域調べの手引きの作成 

地域調べの推進

ボランティアとの協同調査

 

方向性2 みんなで守る

主な課題は、

文化財の適切な保存

所有者や地域団体との協働体制の拡大

出土遺物などの保管場所の確保

未刊行の発掘調査報告書の刊行

防災意識の向上

災害時の初動体制や広域的な連携体制の構築

 

方針は、

方針3 確実な保存、保管

保存の推進

保管、記録保存の実施

方針4 防災、防犯への備え

防災、防火対策への支援

防犯対策への支援

 

主な措置は、

措置5、保存の推進

文化財の新規指定 

文化財保護用地などの公有地化

協働による維持管理 

維持管理に対する支援

措置6、保管、記録保存の実施

資料の適切な保管 

映像記録の作成と収集 

発掘調査報告書の刊行 

保管に関する庁内情報の共有化

措置7、防災、防火対策への支援

文化財の防災意識の向上 

防火、防災体制の構築

防火設備設置の推進 

文化財のアーカイブ化

文化財レスキュー台帳の作成 

広域的な連携体制の構築

措置8、防犯対策への支援

防犯体制の構築 

防犯設備への補助制度の新設 

定期的な巡視活動の実施 

寄託制度の継続

 

方向性3、みんなで伝える

主な課題は、

次世代へ伝えるための担い手不足

伝統芸能に接する機会の減少

若者世代への働きかけの拡充

伝統芸能などの現状把握と支援

文化財活用拠点のボランティアの高齢化

文化財への関心の向上

 

方針は、

方針5 伝えるための人づくり

次世代の担い手の育成

伝える機会と体制の強化

方針6 情報発信の充実

情報発信ツールの活用

 

主な措置は、

措置9、次世代の担い手の育成

小学6年生見学事業

小中高生向け出前講座の開催

伝統芸能などの体験事業

若者ボランティア体験講座の開催

措置10、伝える機会と体制の強化

文化財の公開、展示 

伝統芸能公演の実施

ボランティア養成講座の開催、連携体制の構築

公有地化した史跡の整備

継承に関する補助の実施

措置11、情報発信ツールの活用

市広報への掲載 

町内会電子回覧板の活用

SNS、広報大使の活用 

パンフレットなどの作成

現地説明会などの開催 

ホームページの充実

 

方向性4、みんなで活かす

主な課題は、

文化財活用拠点の維持管理

文化財を身近に感じてもらえる取組の拡大

文化財を楽しむための活用

観光資源としての魅力の向上

 

方針は、

方針7、あらゆる機会に文化財を活かす

活用の機会の創出

観光資源として活かす

 

主な措置は、

措置12、活用の機会の創出

シンボルマークの活用推進 

歴史的建造物などの活用

ウォーキングイベントの開催 

史跡公園でのイベントの実施

文化財を活かしたオリジナル商品の開発

措置13、観光資源として活かす

文化財活用拠点の魅力の向上 ・各種イベントの開催

周遊ルート観光の促進 

豊川稲荷門前の活性化

年間を通じた観光資源の収集と発信 

自転車道の整備

 

文化財資源の保存と活用の推進体制

本計画の将来像「歴史文化資源をみんなでつなぐ 輝くとよかわ」の推進に向けて、豊川市に愛着を感じている市民一人ひとりが中心となって、所有者・保存団体・地域・ボランティア・学校・企業等・観光協会・文化協会等が連携し、今後も継続的な活動を行っていけるよう、豊川市が協力・支援しながら本計画に示した各種措置を実行していきます。

PDF形式の資料では、推進体制イメージ図を掲載していますが、ここでは省略します。

 

関連文化財群

市域に点在する多種多様な文化財を地域の歴史文化の特性と関連付け、一定のまとまりとして捉えて関連文化財群を設定し、文化財の多面的な価値や魅力を見つけます。

 

関連文化財群1、本宮山や豊川を始めとした自然環境と風土

ストーリーは、

本宮山は市域最高峰で、この山麓の広大な山林原野は人々の生活を支えてきました。本宮山の眼下には豊川が流れ、肥沃な土壌や豊かな生物相の形成という恩恵を受けるとともに、地域住民にとっては水害が生活を脅かす存在でもありました。また、豊川右岸の湧水地には市域を代表する社寺が建立され、縄文時代以来の人々の営みもありました。

関連文化財群の主な構成要素は、

砥鹿神社奥宮の社叢・粥占祭、牛の滝とその付近の自然、宝円寺のシダレザクラ、霞堤、牛久保のナギ、菟足神社貝塚 

関連文化財群に関する措置は、

説明板の整備、菟足神社貝塚公園の周知と活用、とよかわ御朱印巡りの実施、ふるさと樹木診断の実施、ウォーキングイベントの開催、出土遺物の活用

 

関連文化財群2 数多く築造された多彩な古墳

ストーリーは、

市域には本宮山麓を中心に430基以上の古墳が造られ、この中でも八幡町に所在する前方後円の船山古墳(船山第1号墳)は三河地域最大級の規模を誇ります。このほかには積石塚古墳もあり、市域の古墳から出土した遺物は様々な地域との交流を物語ります。

関連文化財群の主な構成要素は、

船山古墳(船山第1号墳)、穴観音古墳、旗頭山尾根古墳群、炭焼()古墳群、念仏塚1号墳、鳥鈕蓋付台付壺

関連文化財群に関する措置は、

船山古墳公園(仮称)の保存・活用、関連文化財群の活用、公有地における未調査古墳の活用、説明板の整備、ウォーキングイベントの開催

 

関連文化財群3 市域で形成された大江定基伝承

ストーリーは、

平安時代中期に三河国司であった大江定基について、「今昔物語集」には風祭りに関係した説話があります。そして、江戸時代中期の地誌には定基と市域にまつわる伝承がみられ、いくつかの社寺の由来や文化財の伝来と結び付けられて、現在まで伝わっています。

関連文化財群の主な構成要素は

三河国二葉松、財賀寺文殊堂、木造聖観音立像(長福寺)、上臈石(力寿姫の墓)、三明寺の弁財天像、菟足神社の風祭り

関連文化財群に関する措置は、

大江定基伝承の情報発信、とよかわ御朱印巡りの実施、文化財所有者間の連携、周遊ルート設定やイベントの検討

 

関連文化財群4、 近世東海道を中心とした街道交通

ストーリーは

江戸時代、市域には東海道と本坂通が通じ、またこれらと交差して海と内陸部を結ぶ幾筋もの街道もありました。街道は隣接するマチやムラ、さらにそこから先へとつながり、人の交流が文化を育み、物流が富をもたらしました。庶民の旅が盛んになると豊川稲荷への参詣者も増え、門前町としての活気がもたらされました。

関連文化財群の主な構成要素は、

白井家住宅主屋、御油宿交通資料、御油のマツ並木、大橋屋(旧旅籠鯉屋)、豊川稲荷(妙厳寺)と門前、牛久保の若葉祭

関連文化財群に関する措置は、

観光資源としての磨き上げ、御油・赤坂宿の連携、御油のマツ並木の維持管理、街道の文化財調査、伝統芸能などの支援

 

 

関連文化財群5、 戦国時代から江戸時代までの支配の変遷を物語る文化財

ストーリーは、

戦国時代、市域では牧野氏、本田(多)氏、長沢松平氏などが台頭しましたが、後に今川氏についで松平(徳川)氏の領国支配に組み込まれました。その後、吉田城主の酒井忠次、そして池田照政(輝政)の支配を受けました。江戸時代には一大名による一元的な支配を受けない非領国地域となりましたが、赤坂には三河の幕府領の大半を治めた代官所(陣屋)が置かれていました。

関連文化財群の主な構成要素は、

八幡宮、財賀寺、三明寺、牧野城跡、伊奈城跡、岩略寺城跡

関連文化財群に関する措置は、

伊奈城趾、花ケ池公園の活用、岩略寺城跡の整備、古文書や村絵図の整理、城情報の発信、とよかわ御城印巡りの実施

 

関連文化財群6、 豊川海軍工廠と豊川市

ストーリーは、

本市は、豊川海軍工廠の建設を契機として市制を施行しました。そして、現在でも使用している道路や鉄道路線、水道施設などのインフラは海軍工廠の設置に伴い整備されたものです。戦後は空襲被害を免れた工廠関係の施設や広大な敷地を利用したまちづくりに取り組み、現在の本市の姿があります。

関連文化財群の主な構成要素は、

豊川海軍工廠平和公園、平和の像、ケヤキ並木、桜トンネル、砥鹿神社西参道石鳥居、桜ヶ丘ミュージアム収蔵資料一式

 

関連文化財群に関する措置は、

ボランティアとの協同調査、説明板の整備、あいち県民の日等に伴う事業、民間企業と連携した取組、「折り鶴に平和の祈りを」の充実、豊川海軍工廠平和公園の維持管理、残存遺構の維持

PDF形式の資料では、関連文化財群の主な分布を掲載していますが、ここでは省略します。

 

文化財保存活用区域

文化財保存活用区域とは、文化財が特定の地域に集中する場合、周辺の環境も含めて文化財を核とした文化的な空間を創出するための区域のことをいいます。区域内の様々な文化財の保存・活用を通し、総体的なかたちで文化財の魅力向上を図ることを目的とし、八幡町周辺を「古代三河国の首府」として文化財保存活用区域に設定します。

PDF形式の資料では、文化財保存活用区域に所在する文化財等の分布図を掲載していますが、ここでは省略します。

 

豊川市文化財保存活用地域計画 概要版

令和6年(2024)〇月

豊川市教育委員会 生涯学習課 発行