「広報とよかわ」2016年5月号(MY COLOR)
更新日:2016年4月28日
MY COLOR
きらっと☆とよかわっ!輝くひとVol.14
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します
原点にあるのは楽しみながら書くこと
〈シナリオライター〉平松 正樹さん
幼い頃から、熱狂的な仮面ライダーのファンだったという平松さん。シナリオライターとしての歩みは、大学在学中、仮面ライダーの脚本を手掛けた作家・長坂秀佳氏と出会い、ゲームのシナリオ作りをやってみないかと声を掛けられたことに始まる。「それまでシナリオを書いたことはなかったが、初めて持ち込んだアイデアを褒められたことを覚えている」と話す。
大学卒業後、映像制作会社に就職をしたが、シナリオ作りに専念するため、フリーランスとなった。その後間もなくして、ゲーム会社から、シナリオの制作依頼が届く。タイトルは、「テイルズ オブ リバース」。昨年、シリーズ20周年を迎えた圧倒的人気を誇るロールプレイングゲーム(注記)である。制作当初は、A4一枚にまとめた企画案でさえ通らず、スタッフからは、ライターに向いてないとまで言われた。要求に応えられない焦りの中で口にしたのは、自身が旅先で目の当たりにした、紛争の中で生きる人々に着想を得た物語だった。これを機に、堰を切ったように制作が進み、累計約60万本を売り上げる大ヒットにつながった。
以降、アニメ「劇場版 空の境界」やドラマ「新・警視庁捜査一課9係」のシナリオを手掛ける一方、次第に、何が面白いのかわからないというスランプに陥ってしまった。そんな自分に呼応するかのように、仕事の依頼も減ることになる。
シナリオが書けない日々が続くなか、何気なく仮面ライダーのシナリオを書いてみると、すらすらと場面が浮かんだ。この時、「楽しみながら書くことのたいせつさを思い出した」という。6年のブランクを経た現在、手掛けているアニメは、メインライターとして、制作の中心を担うポジションにいる。「長い時間を掛けて原点に立ち返ることができた今、シナリオを書くことに幸せを感じている」
今の目標は、自分が育った豊川や東三河が舞台となる物語を書くこと。「自分の書いたシナリオで、生きる勇気を持ったり、元気になってもらえたら、書き続ける意味があると思う」と話す。創作を心から楽しむ平松さんの作品を楽しみにしたい。
注記 ロールプレイングゲームとは、ゲームジャンルの1つで、敵を倒したり謎解きを通して、キャラクターを成長させながら物語を進めるゲームのこと。
プロフィール
平松 正樹(ひらまつ まさき)
1971年生まれ。牛久保小、南部中、国府高校を卒業。中央大学在学中、同じく豊川市出身の作家・長坂秀佳氏に師事。フリーランスのシナリオライターとして、ゲーム、アニメ、ドラマ、ラジオなど多方面で活躍。