「広報とよかわ」2020年8月号(モノ、ヒト、シゴト)
更新日:2020年7月31日
モノ、ヒト、シゴト TOYOKAWA PRODUCE
産業が盛んな豊川市。「モノ、ヒト、シゴト」では、豊川市が誇るモノづくりと、それに携わるヒトを紹介します。
vol.15
一打を支える職人技
株式会社白惣 製造部長・岩瀬 崇典さん
木製バット専門メーカー
昭和29年創業以来、木製バットの生産を手掛ける白惣。年間約10万本に上る出荷量は業界の6割を占め、国内トップシェアを誇る。
「一本のバットに、木材の選別、切削、塗装など、各工程を極めた職人技が凝縮されている」と、製造を統括する岩瀬さんは話す。
理想を叶える技術
バットの製造は機械化が主流となり、量産が可能となった。しかし、プロ用のバットは選手が求める形状やバランスを実現するため、現在も職人の手で作られている。
使用される木材は、メイプル、ホワイトアッシュ、アオタモなどの約10種類。硬さ、密度、しなり具合といった性質が異なるため、選手のプレースタイルや好みに合った木材を選別する。その後、選手の要望を細かく聞き取りながら、最適な形状に削り出していく。要望の中には、「飛距離を出したい」「振り抜きやすくしたい」など感覚的なものも多い。それらを形にするためには、長年の経験で得られるバット作りの知識が必要となる。極めて緻密な切削と試打を繰り返し、選手が思い描く理想のバットへと近付けていく。「0.1ミリメートルの違いが選手の活躍に直結する。試行錯誤の末に出来上がったバットで選手が活躍した時、職人たちは達成感を感じている」と語る。
職人一人ひとりによって支えられる、理想を形にする技術。この技術により生み出されるバットを求め、多くの選手が訪れる。
自社ブランドで世界へ
平成30年から、アメリカを拠点として、オリジナルブランドを展開している白惣。「世界一バットメーカーが多い、野球の本場での挑戦。自社が持つ『精密さと美しさ』の強みを世界中の方に知ってもらいたい」と岩瀬さんは話す。世界で認められるバットメーカーを目指し、職人たちの技術探究はこれからも続く。
株式会社白惣 牛久保町常磐69
1954年創業。野球、ソフトボール用の木製バットを製造。年間約10万本に上る出荷量は国内トップシェアを誇る。2018年からアメリカを拠点に、オリジナルブランドを展開している。