「菟足神社の風祭り」が豊川市指定無形民俗文化財に指定されました

更新日:2015年2月10日

「菟足神社の風祭り」が豊川市指定無形民俗文化財に指定

御車(山車)の曳き出し
御車(山車)の曳き出し

 豊川市教育委員会では、市文化財保護審議会の建議を受けて、新たに「菟足神社の風祭り」を豊川市指定文化財とすることとしました。これにより、市指定の無形民俗文化財の数は12件となります。
 また市内の市指定文化財件数は、「菟足神社の風祭り」を加えて合計214件となり、指定文化財の件数は国指定14件、県指定32件を合わせて合計260件になります。

新規に豊川市指定文化財となった物件と内容

種別 無形民俗文化財
名称 菟足神社の風祭り
指定年月日 平成27年2月10日
所在 豊川市小坂井町、平井町、宿町
保存団体等 菟足神社及び氏子

指定理由

 菟足神社の風祭りは、毎年4月第2金・土・日曜日に行われ、古来から人身御供(ひとみごくう)の由来伝承を持つ生贄(いけにえ)を供える祭りとして知られ、『今昔(こんじゃく)物語』や『宇治拾遺(うじしゅうい)物語』にある三河国の猪を生けながらおろす「風祭」が今に伝わるものとも言われる。山車(だし)が街中を練り、煙火が夜空を彩り、多くの人で賑わう祭礼は、当地域を代表する春の風物詩である。祭礼は神社及び小坂井・平井・宿(坂地・中島を含む)の各地区の氏子によって執り行われ、煙火は祭礼奉賛団体の晃煙社(小坂井)、志組(宿)、彩光社(坂地)が行う。
 神職らは3日間の祭礼の中で様々な神事を行い、浜下(はまおり)神事後の善福寺での海の贄(にえ)である蛤(はまぐり)による供応、山の贄である猪から雀に対象が変わったと伝えられる雀射初(すずめいそめ)神事と雀射収(すずめいおさめ)神事、雀献供、農耕儀礼の田植神事など、祭礼の前半で海と山の狩猟、後半では狩猟と農耕を一体化した形が現れているところに特色がある。
 氏子らは、小坂井と宿は山車を曳き、両者とも山車上で稚児舞・隠れ太鼓・獅子舞を行う。中島は巫女神楽の奉納、坂地は獅子舞(百足(むかで)獅子)を行い、平井は本祭りで御鉾を先頭に笹踊り・笠鉾(かさぼこ)などの行列を組み神社へ参進する。胸に小さな鞨鼓(かっこ)をつけて踊る稚児舞は、中世から近世初頭に流行した狂言などでも登場する八ツ撥(ばち)と呼ばれる芸能で、三河では唯一残されたものである。山車上で行われる隠れ太鼓・獅子舞・稚児舞はかつて吉田の祇園祭りでも行われていたと考えられており、また隠れ太鼓は近隣の牛久保八幡社や豊川進雄神社の祭礼で現在も行われている。笹踊りは大太鼓1人、小太鼓2人が踊る拍子(はやし)物風流の芸能で、県内では東三河のみに分布する。これらは、吉田・牛久保・豊川の祭礼と状況がよく似るが、菟足神社の風祭りは近世以来の当社周辺地域における祭礼芸能の姿を総体的に今によく留めているといえる。
 宵祭りに奉納される建物(立物)煙火は、江戸時代後期の文献によりかつて吉田で行われていたことが知られるなど、かつて三河地方の各所で行われた仕掛け煙火であるが、現在では新城市平井の八幡神社、額田郡幸田町荻の稲荷神社(中断中)、菟足神社の3箇所の祭礼に残されるのみである。
 以上のとおり、菟足神社の風祭りは神事において海と山の狩猟、狩猟と農耕を一体化した形が現れていること、祭礼芸能に多くの要素がみられ、かつ近隣地域に伝わる祭礼芸能の姿を今によく留めていること、かつて三河地方の各所で行われた建物煙火を今に伝えることなど、祭礼全体を通して地域の風土と民俗の特質がよく現れており、無形民俗文化財として保存する価値を有するものである。  

「菟足神社の風祭り」の風景写真

雀射初神事
雀射初神事

山車上での獅子舞
山車上での獅子舞

中島の巫女神楽
中島の巫女神楽

建物煙火
建物煙火

田植神事
田植神事

坂地の獅子舞
坂地の獅子舞

平井の行列
平井の行列

笹踊り
笹踊り

神輿渡御
神輿渡御

※菟足神社の正式な表記は、「菟」の草冠の下部「兔」の「ク」の部分を「刀」と記します。

お問い合わせ

教育委員会 生涯学習課
電話:0533-88-8035

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