「広報とよかわ」2017年10月号(特集)

更新日:2017年9月29日

特集 みんなで考えよう家のこと 空き家問題

近年、適切に管理されていない空き家が全国的に増加し、社会問題になっています。市でも、トタンが剥がれていたり、瓦が落ちたりして放置されている空き家が周囲に悪影響を与える事例が増えてきています。
今回の特集では、平成28年6月から平成29年3月にかけて実施した空き家調査の結果と合わせ、空き家問題の解決に向けた市の取り組みをご紹介します。
詳しいことは、建築課(0533-89-2144)へ、お問い合わせください。

空き家の現状

近年、少子高齢化や人口の減少などを背景に、全国的に空き家が増加しています。その中でも、居住者が亡くなるなどの理由で管理されていない空き家では、庭木が伸びて近隣の住宅の敷地に入ったり、風の強い日に屋根や外壁が飛んで通行人に怪我をさせたりするなど、周辺の生活環境へ悪影響を及ぼす状況となっています。
空き家が管理されず放置される大きな原因の一つとして、固定資産税の問題が挙げられます。居住用の家屋が建つ住宅用地の固定資産税は、面積に応じて土地評価額の最大6分の1まで軽減されます。空き家を取り壊すと、この措置が受けられなくなるため、そのまま放置し、老朽化により危険な状態になっている事例が多く見られます。
これを受け、平成27年に空家対策特別措置法が施行されました。倒壊の恐れがある、もしくは衛生上著しく有害といった要件にあてはまる物件を「特定空家」と認定し、自治体の改善指導などに従わない場合は、住宅用地の固定資産税の軽減措置から外せることとなりました。

全国の空き家数及び空き家率の推移(総務省統計局「住宅・土地統計調査」)

平成5年 448万戸、平成10年 576万戸、平成15年 659万戸、平成20年 757万戸、平成25年 820万戸

平成5年 9.8パーセント、平成10年 11.5パーセント、平成15年 12.2パーセント、平成20年 13.1パーセント、平成25年 13.5パーセント

豊川市空家等対策協議会を設置
平成28年4月に市民や有識者などで構成された豊川市空家等対策協議会を設置しました。空き家対策の基本方針をまとめ、空き家バンクや空き家の解体費用に対する補助金などの施策を盛り込んだ空家等対策計画の策定を進めています。

空き家を放置することによる周辺への悪影響

空き家を放置することにより、下記の問題が発生することが懸念されます。

所有者等意向調査の結果と分析

市では、空き家などの実態を把握するため、平成28年度に市内全域の利用されていないと思われる家屋を調査しました。調査の結果1,069棟の空き家を確認しました。
ここでは、1,069棟の空き家の所有者を対象に、空き家の管理状況や今後の利活用に関する意向などを伺った所有者等意向調査(有効回答数 1,069件のうち588件)の結果を紹介します。

空き家等の発生要因

発生要因は、「住んでいた人が死亡した」「住んでいた人が入院・施設入所した」によるものが半数を占めています。
住んでいた人の高齢化が進み、やむを得ない理由などにより空き家になるケースが多いことが分かってきました。

空き家を活用する上での問題点(上位6項目)

「解体して更地になることで、固定資産税が上がるため解体できない」とする人が最も多くなっています。
空き家を活用していく際に、費用の負担が大きいことが問題となっていることが分かりました。 

今後の活用意向

「売却したい、または売却してもよい」が25.3パーセントで最も多く、次いで「特に利用の予定はなく、現状のまま維持したい」が17.9パーセントとなっています。
半数もの人が売却や活用をしていきたいと考えていることが分かりました。

専門家に聞く 「管理されていない空き家をこれ以上増やさないために」

豊川市空家等対策協議会会長・愛知大学地域政策学部 駒木伸比古 准教

豊川市の空き家調査によると、空き家を「売却したい、または売却してもよい」、「賃貸したい、または賃貸してもよい」、「地域のために、有効活用してもらいたい」と回答した方が約30パーセントもいることが分かりました。この結果を踏まえ、空き家の所有者と買い手を結び付ける、空き家バンクなどについても検討していく必要があります。空き家を、地域の方が集うコミュニティ施設や高齢者向けの住宅などに転用している事例もあります。空き家を壊すのではなく、資源として活用していくことも有効です。
また、解体をしたいが費用が無いという方や、解体をすると固定資産税があがってしまうのでそのままにしておきたい方が、次への一歩を踏み出せる仕組みづくりも重要です。
豊川市は、空き家が特定の地域に集中するのではなく、市内各地に点在しているため、一部の地域だけでなく、市全体で課題に取り組まなければなりません。
空き家問題は、家を持っていれば誰もがいつかは直面する問題です。自分には関係ないと思わず、将来、住んでいる家をどうしていきたいのかを、早めに考えて対応していくことがたいせつです。

できることからはじめよう!空き家の適正な管理方法

諸事情により空き家になってしまった場合、周辺に悪影響を及ぼさないために適切に管理していくことがたいせつです。

チラシやダイレクトメールなどが郵便受けにたまると、空き家であることが知られてしまい、不審者の侵入や放火などの危険があります。郵便の転送の手続きをとったり、定期的に片付けたりしましょう。

排水管などからの悪臭を防ぐために、台所や洗面所、トイレなどの水を流しましょう。

空き家は湿気がたまりやすく、カビなどが発生しやすいため、部屋だけでなく、浴室やトイレ、押入れなども定期的に窓を開けて換気をしましょう。

草木を放置しておくと、枝が近隣の家の敷地に入ったり、害虫が発生する原因になったりします。特に草木の成長が早い夏場はこまめに処理をしましょう。

空き家でお困りの方へ

市では、空き家を適切に管理・活用していくため、さまざまな取り組みを行っています。

相談窓口の一本化

空き家の問題は「隣の空き家から庭木の枝が伸びてきているのでなんとかしてほしい」「相続した建物を解体したいがどこに相談すれば良いか」など、多岐にわたります。
こうした問題をスムーズに解決するために、空き家に関する相談窓口を建築課住宅係に一本化しました。建築課が空き家に関する困りごとを集約し、適切な部署へ引き継ぎ、対応します。
問い合わせ先 空き家相談窓口 0533-89-2144

豊川市シルバー人材センターとの協力

平成29年4月11日に豊川市シルバー人材センターと「空家等の適正な管理の推進に関する協定」を結びました。これまで行ってきた草刈りや剪定の他、空き家の様子を見に行けない方のために見回り業務も行っています。多くの空き家が適正に管理されていくことが期待されます。
【シルバー人材センターの業務内容】

(注記)費用は業務内容・時間などにより異なります。

活用への道を探す!空き家見学ツアー

中心市街地活性化の一環として、豊川市開発ビルや中部大学が連携し、区域内の空き家を巡るツアーを開催しています。
空き家の有効利用を図るため、住みたい人と貸したい人のマッチングなどに取り組んでいます。

市民のニーズに合わせて空き家対策を進めていきます

建築課主幹 近藤慎一

全国的に空き家の問題が深刻化している中、市でも、適切に管理されずに放置された空き家が、老朽化で倒壊したり、敷地の草木が伸び放題となり周辺に迷惑をかけたりするなど、防災・防犯・衛生・景観などのさまざまな面で問題となっています。
こうした中、市では、本格的に空き家対策に取り組み、相談窓口の一本化、空き家の実態調査の実施、空家等対策協議会の設置と事業を進めてきました。また、今年度は、空き家の適正な管理や利活用などに関する取組方針や具体的な施策などを示す、「豊川市空家等対策計画」を策定します。
空き家を適切に管理するのは所有者の責務です。使える空き家をそのままにしておくことは資産活用の点からも望ましくありません。地域の資源として有効に活用し、転入者を受け入れたり、交流の場としたりして利用することによって、地域の活性化につなげることも可能です。
空き家を放置しない、増やさない対策を今後も進めていきますので、ご理解とご協力をお願いします。

お問い合わせ

企画部 秘書課
電話:0533-89-2121

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