「広報とよかわ」2020年3月号(特集)

更新日:2020年2月28日

特集良い睡眠で、こころもからだも健康に

健康的な生活を送るために欠かすことのできない睡眠。現代の社会では、不規則な勤務、長時間の労働、家事や育児などにより適切な睡眠時間が取れず、良質な睡眠が得られない方が増えています。睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は、健康上の問題や生活に支障を来すだけでなく、生活習慣病のリスクにつながることが分かってきました。
今回の特集では、睡眠に関する正しい知識や良い睡眠を取るための方法をお伝えします。
詳しいことは、保健センター(電話:0533-89-0610)へお問い合わせください。

睡眠が担う大切な役割

睡眠が担う役割とメカニズム

睡眠は、体や脳を休ませて疲労を回復させる役割を持つほか、日中に溜まった脳の老廃物を排出したり、その日の情報を記憶として整理・定着させたりする働きがあります。また、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、傷ついた細胞を修復したり、免疫機能を高めたりするなど、新陳代謝や疲労回復に重要な役割を果たしています。
成長ホルモンの分泌を促すためには、一日周期でリズムを刻む体内時計を意識した、規則正しい睡眠が重要となります。この体内時計と連動し、睡眠へと導いているのがメラトニンという睡眠ホルモンです。メラトニンは、暗くなると分泌が始まるため、夜間にスマホなどの明るい光を浴びると睡眠を妨げてしまいます。また、メラトニンの分泌には、その材料であるセロトニンという物質が日中にしっかりと分泌される必要があります。セロトニンは日光を浴びることで分泌されるため、起床時には、カーテンを開けて朝日を取り入れたり、積極的に外に出て日光を浴びるようにしましょう。

低下する睡眠意識

日本人の平均的な睡眠時間は50年前に比べ、1時間ほど減少していると言われています。市民五千人を対象に行った市民意識調査では、「健康の維持・増進のための心掛け」という設問において、「睡眠を十分取るなど、規則正しい生活に努めている」と回答した人の割合は、48.5パーセントでした。平成25年の調査結果と比較すると、5.8パーセント減少しています。

「睡眠を十分取るなど、規則正しい生活に努めている」と回答した方の割合
平成25年 54.3パーセント
平成27年 51.0パーセント
平成29年 50.4パーセント
平成31年 48.5パーセント
(出典:豊川市市民意識調査)

睡眠不足による影響

慢性的な睡眠不足は、新陳代謝を阻害したり、集中力の低下や体調不良などを引き起こすだけでなく、ホルモンの分泌や自律神経機能にも影響を及ぼします。
また、睡眠不足に陥ると、食欲を増大させるホルモンの分泌量が多くなるため、肥満に起因する糖尿病や心筋梗塞、狭心症といった生活習慣病のリスクを高めることが分かっています。

睡眠力チェックリスト
昼間に眠くなることがない
毎日決まった時間に起きている
朝起きると朝日を浴びている
朝食は定時に食べている
週に5日以上、1回30分以上の運動をしている
寝酒に頼らない
ストレスはためない
いずれかに当てはまる方は、睡眠力が高いと言えます

睡眠を妨げる病

大竹内科クリニック 大竹 洋一郎 医師

睡眠の質の重要性

日常生活において必要不可欠な睡眠ですが、実際には社会の変化などの要因により、十分な睡眠を取ることができていない人が多くいます。しかし、睡眠を怠ると、日中の眠気によって注意力が散漫になったり、自律神経機能の不調により、うつ病などにかかるリスクを高めたりもします。日常生活と睡眠のバランスを保つためには、朝起きた時に熟睡感が感じられるような、質の良い睡眠を取ることが重要です。
十分に寝ているのに、熟睡感がなく、昼間の眠気が強い場合は、睡眠時無呼吸症候群などの病気が、睡眠を妨げている可能性があるため注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、眠ると呼吸が止まってしまう病気です。目が覚めると再び呼吸を始めますが、眠るとまた止まってしまいます。これを一晩の間に何度も繰り返すため、深い睡眠ができず、起きた時に熟睡感がなかったり、日中に強い眠気を感じたりします。また、呼吸が止まることで、不足した酸素を補おうと血圧が上がり、血管や心臓、脳に負担が掛かることになります。そのため、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの病気を発症するリスクが高まります。

注意が必要な方

睡眠時無呼吸症候群の原因のほとんどが、眠っている間に喉が狭くなることで起こる閉塞性睡眠時無呼吸です。次の項目に該当する方で、周りから寝ている時のいびきや無呼吸を指摘されている方は要注意です。早めに医療機関へ相談しましょう。
喉が狭い
下顎が小さい、舌が大きい、へんとう肥大、肥満(首に脂肪がついて喉を圧迫する)など
鼻づまりがひどい
アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症など

睡眠時無呼吸症候群 要注意 チェックリスト
大きないびきをかく(睡眠時)
何度も目が覚める(睡眠時)
呼吸が止まっていることがある(睡眠時)
口の中が渇いている(起床時)
頭痛や体が重いと感じることがある(起床時)
熟睡できた満足感がない(起床時)
強い眠気を感じることが多い(日中)
集中力が続かず仕事などの効率が落ちる(日中)
なかなか疲労が取れない(日中)

教えて 睡眠Q&A

Q 高齢になり、睡眠時間が減っています。睡眠時間はどのくらい必要ですか
A 必要な睡眠時間は人によって異なります。また、季節によっても睡眠時間は変化します。睡眠時間にこだわらず、日中に眠気で困らない程度の自然な睡眠が大切です。

Q 寝床に入っても、なかなか寝付けません。不眠症ですか
A 寝つきの時間は季節や日中の活動量などにより変化します。寝る時間は目安にして、眠くなったら寝床につくことがスムーズな入眠への近道です。ただし、朝起きる時間は遅らせず、できるだけ一定時間に保ちましょう。

Q 普段なかなか睡眠を確保できないので、休日に多く眠るようにしています。寝だめはできますか
A 寝だめはできません。平日の睡眠不足を解消するために休日に遅くまで寝ていると、夜の寝つきが悪くなり、結果として生活リズムが乱れてしまいます。

Q 不眠症とはどのような症状ですか
A 不眠症は、ストレス、心や身体の病気などにより、眠れなくなる病気です。「長期間にわたり夜間の不眠が続く」「日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」この二つが認められると不眠症と診断されます。

質の良い睡眠のための10のポイント

健康を維持するために大切なのは時間ではなく質の高い眠りです。食事や運動、眠りやすい環境づくりを意識しながら、質の高い睡眠を心掛けましょう。

(1)体内時計を整える

朝、太陽の光を浴びることで、体内時計をリセットすることができます。起床直後の光が最も効果的なので、起きたらカーテンを開けて、自然の光を部屋の中に取り込みましょう。

(2)朝食は毎日食べる

規則正しい生活リズムを作るためにも、朝食は毎日食べるように心掛けましょう。また、睡眠を促すメラトニンの材料となる栄養素・トリプトファンを多く含む食材を食べるようにしましょう。
トリプトファンを多く含む食材
鮭 310ミリグラム
プロセスチーズ 291ミリグラム
ハム 280ミリグラム
納豆 242ミリグラム
卵 180ミリグラム
ヨーグルト 47ミリグラム
牛乳 42ミリグラム
バナナ 10ミリグラム
(食品100グラムあたりの含有量)

(3)日中の眠気で困らない程度の睡眠を

自分に合った睡眠時間を心掛けましょう。必要以上に長く眠っても、十分な効果が得られるわけではありません。日中に眠気が出る場合は、15分程度の昼寝で午後の眠気を解消できます。

(4)適度な運動

程よい肉体的疲労は、心地よい眠りを生み出してくれます。激しい運動よりも、負担にならない程度の有酸素運動を継続することが大切です。運動をする時間は、夕方から寝る3時間前までに軽く汗をかく程度が効果的です。

(5)効果的な入浴

睡眠における入浴の効果は加温効果にあります。寝つきを良くするためには、就寝の2時間から3時間前の入浴が理想です。40度程度のお湯につかることで、副交感神経が優位となり、睡眠の質を向上させることができます。

(6)リラックス効果のある飲み物

癒しの作用や鎮静の効果があるカモミールなどのハーブティーや、生姜湯、ホットミルクを飲むと副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。就寝直前に、ティーカップ1杯をゆっくりと飲みましょう。

(7)眠りやすい環境づくり

ベッド、布団、枕、照明などは、自分に合ったものを選びましょう。青白い光は睡眠を妨げてしまうため、照明を選ぶ際は、暖色系の照明が理想的です。また、寝る前にスマホやパソコンを使うと、ディスプレイが発するブルーライトにより寝つきが悪くなるため、就寝前の使用は控えましょう。

(8)寝る前の飲食に気を付ける

眠れないからといってお酒を飲むのは、眠りの質を悪くするため控えましょう。また、コーヒーや緑茶、チョコレートなどに含まれるカフェインには、覚醒作用があります。敏感な人は就寝の5時間から6時間前から控えるようにしましょう。

カフェインを多く含む飲食物
玉露 120ミリグラム
ブラックチョコレート 120ミリグラム
コーヒー 60ミリグラム
栄養ドリンク 50ミリグラムから60ミリグラム
ココア 30ミリグラム
紅茶 30ミリグラム
ミルクチョコレート 30ミリグラム
烏龍茶 20ミリグラム
(100グラムあたりの含有量)

(9)寝返りで血行促進

一晩のうちに20回以上行っている寝返りには、睡眠中の体勢を変え、血行の滞り、腰痛、肩こり、寝違えを防ぐほか、布団の中の空気を入れ替え、布団内の温度や湿度を調整する役割があります。硬過ぎたり、柔らか過ぎるマットレスは寝返りがしにくくなるので、適度な硬さのものを選びましょう。

(10)専門家に相談

眠れないことを1人で考えこまないようにしましょう。眠れない日が続くのは心や身体の不調のサインかもしれません。睡眠に問題が生じたときは、早めに専門医に相談しましょう。

市の取組み

はじめる健康体操教室

身体を動かすきっかけ作りのため、初心者向けの教室を開催しています。
日時 3月25日(水)10時00分から11時30分まで
会場 保健センター
対象 運動に関心がある方、始めたいと思っている方
持ち物 室内靴、タオル、飲み物
申込 当日、会場へ

こころの健康相談

予約面接、専用電話にて、こころの相談を行っています。予約日などは、広報とよかわ、または市ホームページをご覧いただくか、こころの電話相談へお問い合わせください。
専用電話:0533-95-0783(年末年始・祝日を除く平日9時00分から12時00分まで、13時00分から16時30分まで)

自分の睡眠を見直してみましょう

適切な睡眠時間を確保するためには、幼少期から「早寝、早起き」の習慣を身につけることが大切です。そのためには、家族が協力して規則正しい生活リズムを築くことが重要です。睡眠不足は肥満を増長し、生活習慣病やうつ病、認知症などの病気に発展する恐れがあるため、適切な睡眠習慣と健康に関する知識の周知が求められています。
保健センターでは市民のみなさんの健幸(けんこう)づくりを応援するため、保健事業や園、学校、出前講座などで良い睡眠を取ることの大切さをお伝えしていきます。

3月18日は世界の睡眠の日

3月18日は、世界睡眠医学協会が定める世界の睡眠の日です。日本の精神・神経科学振興財団は、この3月と9月3日(グッドスリープ)を日本独自の睡眠の日として、睡眠に関する知識普及や啓発活動を行っています。

お問い合わせ

企画部 秘書課
電話:0533-89-2121

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