「広報とよかわ」2020年8月号(特集)

更新日:2020年7月31日

特集 新型コロナウイルス感染症対策 今、わたしたちができること。

令和元年12月、中国において確認された新型コロナウイルス感染症。それから間もなく、国内においても感染者は急増し、私たちの暮らしは大きく変わりました。今回の特集では、新型コロナウイルス感染症の影響を振り返るとともに、新たな取り組みなどを始めた皆さんの思いを紹介し、今、私たち一人ひとりができることを考えます。
感染症に関することは、保健センター(電話:0533-89-0610)へ、お問い合わせください。

新型コロナウイルスとは

 新型コロナウイルスに感染すると、多くの人は咳や発熱などの軽症で治癒します。また、症状が出ないことも多いため、感染に気が付かないこともあります。一方で、およそ2割の人が呼吸困難などの肺炎症状を発症することが分かっています。高齢者や基礎疾患がある人は重症化するリスクが高く、特に注意が必要です。また、感染から発症までの潜伏期間は平均5、6日で、発症2日前から感染力が強くなる傾向にあります。感染経路は、くしゃみや咳などと一緒に放出されたウイルスを吸い込んで感染する「飛沫感染」と、ウイルスが付着した物を触れた手で目、鼻、口などに触れて感染する「接触感染」といわれています。

症状と経過

発症から1週間 軽症のまま治癒 80パーセント(風邪症状、味覚障害など)
1週間から10日 肺炎症状が増悪し入院 20パーセント(呼吸困難など)
10日以降 集中治療室へ 20パーセントのうち5パーセント(人工呼吸管理など)
出典:厚生労働省

一変した私たちの生活

 国内では、1月16日に初めて感染者を確認。その後、福祉施設や医療施設で集団感染が発生するなど、全国で急激に感染者が増加しました。命や健康に重大な影響を与える恐れがあることから、4月7日、国は緊急事態宣言を発令。国民に対し、外出自粛などを要請しました。市内の商業施設や飲食店は休業や短縮営業を行い、地域の祭りや催しなどは中止されました。市でも、公共施設の休館や小・中学校の休校を決定するなど、私たちの生活は一変。これまでに経験したことのない現実に直面し、大きな不安に覆われました。

感染症対策の必要性

 新規感染者が減少傾向にあり、また、医療体制が拡充したことから、5月25日、緊急事態宣言は解除されました。いまだ国内での感染者は確認されていますが、治療薬やワクチンはありません。命と健康を守り、安心して日常生活を送るためには、引き続き、感染症対策を行うことが重要となっています。

INTERVIEW 一人ひとりの行動が感染防止につながる

豊川保健所生活環境安全課課長齋藤寛史さん
生活環境安全課は薬事・環境衛生業務の他、感染症対策業務を担う。新型コロナウイルス感染症については、電話相談、検体の回収・搬送、検査結果の連絡や受入先病院の調整などの業務にあたる。

感染拡大による医療の逼迫

 県内で1月に初めて感染者が確認された後、相次いで感染者の発生が報告されました。豊川保健所管内においては2月末頃から相談が急増し、ピーク時は1日に約300件の電話が入りました。検査のできる医療機関が限られているため次々に待機者が増え、辛い症状のある方もお待たせしてしまう状況でした。さらに、陽性者が出た場合の入院先も、医療機関が逼迫した状態のためなかなか決まらず、その間のご本人やご家族への対応には細心の注意を払いながら、職員一体となり取り組んできました。

第2波を起こさないために

 5月以降、愛知県では感染報告数が減少し、状況が落ち着いてきました。これは、市民の皆さんや事業者の皆さんが、手洗い、マスクの着用、3密を避ける行動など感染予防対策を徹底してくださった結果です。本当に感謝しています。保健所としては、今後に備え、検査体制の拡充や皆さんが適切な医療を受けられるよう関係機関との調整を進めています。そして、ウイルスのまん延を防ぐために重要なのは、一人ひとりが適切な感染予防対策を実践することです。皆さまには、引き続きご協力をお願いします。
新型コロナウイルス感染症が心配なとき

いずれかにあてはまる
帰国者・接触者相談センターへ電話(電話:0533-86-3177(24時間対応))

あてはまらない
一般電話相談窓口へ電話(受付時間 9時00分から17時00分まで)
豊川保健所 電話:0533-86-3188(土曜・日曜、祝日を除く)
県感染症対策課 電話:052-954-6272(土曜・日曜、祝日を含む)

INTERVIEW 命を守る医療現場で思うこと

豊川市民病院診療局診療部長二宮茂光医師
豊川市民病院の感染対策を担当する院内感染対策委員会の委員長。週に1度行われる市民病院の新型コロナウイルス感染症対策会議でも、院内感染を防ぐための指揮を執っている。

病院・医師としての責務

市民病院には、新型コロナウイルスに感染したかもしれないという相談が多く寄せられ、中には、保健所に相談する前に来院される方もいました。他の病気の可能性もあるので、診察を行いましたが、医療スタッフが常に抱えていたのは「私たちも感染するかもしれない」という不安です。さらに、地域の中核を担う病院であるため、医療崩壊を起こしてはいけないという責任も感じ、緊迫した状況が続いていました。そんな時、私たちの励みになったのは、患者さんや市民の方の言葉です。病院に寄せられた感謝の手紙や、ありがとうの言葉を聞き、私たちがウイルスに気持ちで負けてはいられないと思いました。

市民の命を守るために

市民病院をはじめ地域の医療機関は、皆さんの命と健康を守るため、必要な医療を提供しています。院内感染などで病院が休止してしまうと、救命救急やウイルスと関係のない患者さんの治療にも影響が及びます。皆さんの命を守るためには、皆さんの協力が必要です。新型コロナウイルス感染症が疑われるときは、帰国者・接触者相談センターなどへ相談をしてください。

できることから、ひとつずつ。

新型コロナウイルス感染症が及ぼした大きな生活の変化。このような状況の中、これからのために、みんなのためにと、それぞれの立場で、「今できること」や「新しいこと」に取り組み始めた方々がいます。

「豊川テイクアウトナビ」開設

 ウェブサイト・広告・デザイン制作などを手掛ける会社を運営する牧野さん。「地域の飲食店と関わることが多く、店主の皆さんの一生懸命な姿を見ていた。自然と頑張っている人を応援したいと思うようになった」と話します。緊急事態宣言が発令されたことにより、飲食店の利用客は激減。状況を知った牧野さんは何か力になれないかと、4月10日、社内で検討を始めました。テイクアウトの需要が高まることを見据え、専用ウェブサイトの立ち上げを決意。この動きに、豊川商工会議所や観光協会なども協力し、発案から5日後、テイクアウト可能な飲食店を紹介するウェブサイト「豊川テイクアウトナビ」が立ち上がりました。

広がる応援の輪

 当初、25店舗だった掲載登録数は、現在、140店舗ほどに拡大。「お店から『ありがとう』『おかげで頑張れている』と声を掛けられた時は、本当にうれしかった」と笑顔を見せます。今後も、豊川テイクアウトナビの運営・管理を続けていくという牧野さん。「豊川市の『おいしい』を楽しむことが応援につながる。ぜひ多くの人に利用してもらいたい」と言います。誰かを応援したいという思いから生まれた取り組み。応援の輪は、今も広がっています。

幸せの花手紙

 新型コロナウイルス感染症の影響でイベントや式典の中止が相次ぎ、花の需要が落ち込みました。市内の農家や花屋を応援しようと、豊川青年会議所会員やOBの有志などがプロジェクト「バラのまち~TOYOKAWA~『幸せの花手紙』」を発足。市内の花屋を検索できるウェブサイト「豊川の花屋さん応援サイト」の運営と、「『幸せの花手紙』運動」の推奨活動を始めました。
「幸せの花手紙」運動とは
 「この花を受け取った人は幸せになります。あなたも他の大切な誰かに花を贈りましょう」と書かれたメッセージカードとともに、花束などを大切な人に贈る運動です。

INTERVIEW 大切なことに気付くきっかけをくれた

イタリアンダイニング花の庵(谷川町) 代表 中野 宏紀 さん
 緊急事態宣言直後から予約キャンセルが相次ぎ、どうしようかと悩んでいたところ、豊川テイクアウトナビ開設の話を聞き、テイクアウトを始めることに決めました。 お客さんから「待ってたよ」と声を掛けられた時、自分の仕事はお客さんが求めるサービスを提供することだと、はっと気付きました。そして、外出が難しい方がいればこちらから届けようと思い、デリバリーサービスも始めています。大変な状況の中ですが、できることは必ずあります。今後も、試行錯誤しながら頑張っていきたいと思っています。

400年の歴史を守る

豊川進雄神社奉納綱火保存会・東本会所の岩原仁作郎さんと西本会所の藤井孝男さん。豊川進雄神社の煙火に携わってともに50年以上。現在は、綱火製作の指導にあたる。「綱火の準備は1年掛かり。体力的にとても大変だが、伝統継承を担わせてもらっていることを誇りに感じています」と話す

400年の伝統「綱火」

 毎年7月に行われ、多くの観客でにぎわう豊川進雄神社の祭礼・豊川夏まつり。今年は規模縮小のため、見どころの一つである愛知県指定無形民俗文化財・綱火の奉納は中止となりました。「400年の歴史をもつ綱火の技術は、秘伝として、代々口伝えで継承している。つないできた歴史を、ここで絶やしてはいけない」煙火責任者の一人である岩原さんは、観客を集めず綱火を行う方法を検討し始めました。通常、綱火は、地域を東西2組に分け、技や出来栄えを競い合います。西の藤井さんは、「東も西も、伝統を守りたい気持ちは同じ。東の岩原さんから話を聞いて、ぜひ一緒にやりたいと思った。結果、事前に開催告知をせず、日を改めて、綱火を行うことを決断した」と話します。

伝統をつなぐ、その先には

 「今年は皆さんに披露することはできませんが、綱火には『疫病退散』という意味がある。その願いも込めて火を付けたい」と藤井さん。岩原さんは続けます。「豊川夏まつりの煙火を楽しみにしている方々がいる。今後も、大切なまちの財産として、責任を持って守っていきたい」状況が変わっても、伝統を守ろうとする変わらない思い。この思いが、住民の誇りや希望につながっています。

INTERVIEW 「守りたい」思いがまちの元気につながる

豊川連区 連区長 鈴木 儀重 さん
 伝統ある豊川夏まつりの煙火を、毎年多くの方が楽しみにしています。今年は中止となりましたが、伝統を後代につなごうと行動された綱火保存会の皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。また、祭りは、地域の皆さんが顔を合わせる大事な役割を果たしています。祭りを大切に残していくことは、伝統だけでなく、地域のつながりも守っていくことになります。今年はみんなで集うことができず悔しい思いをしていますが、これからも、地域が誇る祭り・煙火を、地域一丸となって大事に守っていきたいと思っています。

自分のために、みんなのために、「新しい生活様式」を

 感染症のまん延を防ぐため、何より重要なのは、一人ひとりの心掛け。国の専門家会議で示された「新しい生活様式」は、新型コロナウイルスとの共存を前提にした行動・対応です。ここでは、主な具体例を紹介します。


 現在、200以上もの国・地域に広がる新型コロナウイルス感染症。軽症例が多く、無症状の場合もあるため、知らないうちに他の人にうつしてしまうことで、感染のまん延を招いてしまいました。 
 ワクチンや治療薬がなく、新たな感染者が報告されている今、誰もが「感染する可能性」と「周りの人に感染させる可能性」があります。この状況の中、重要なことは、「自分が感染しているかもしれない」という前提に立った、思いやりのある行動です。一人ひとりが「うつさない、うつらない」の意識を持ちながら行動することが、新型コロナウイルスの勢いを止めることにつながります。
今、わたしたちができること
 自分のために、大切な人のために、みんなのために。私たち一人ひとりが、これまでの生活を見直し、新しい生活様式を新たな習慣としていきましょう。

今後予定している豊川市の主な支援制度

保育所・認定こども園・幼稚園の給食費の無償化

子育て世帯の経済的負担軽減を図るため、保育所などに通う園児の給食費を無償とします。
対象 市内に在住で、保育所・認定こども園・幼稚園に通う3歳児から5歳児までの保護者
対象経費 令和2年8月から令和3年3月までの給食費(一部上限あり)
問合せ 保育課  電話:0533-89-2274

とよかわ元気応援券の配布

市民生活への支援や地元経済の振興を図るため、市内の登録店舗で使用できる応援券を市民1人当たり3,000円分配布します。
配布時期 9月下旬(利用期間は12月下旬まで)
配布方法 各世帯へ郵送で配布(申請不要)
問合せ 商工観光課  電話:0533-89-2140

お問い合わせ

企画部 秘書課
電話:0533-89-2121

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