「広報とよかわ」2021年11月号(特集)

更新日:2021年11月1日

-禁煙のすすめ- やめられる。そのタバコ

喫煙は本人だけでなく、受動喫煙により非喫煙者の健康まで脅かしています。
こうした受動喫煙を防止するため、令和2年4月1日から健康増進法の一部が改正されました。今回の特集では、たばこによる害、周囲に及ぼす影響をお伝えするとともに、今年度から一部助成を始めた禁煙外来についてお知らせします。詳しいことは、保健センター(電話:0533-95-4803)へ、お問い合わせください。
 

豊川市の喫煙状況

豊川市の喫煙率は、男女ともに県の平均と比べて大きな差はありません。しかし、令和元年に行った調査では、男女ともに、子育て世代の喫煙率が県の平均値よりも高い傾向にあることが分かっています【図1参照】。
国内では、たばこが原因で毎年約12万人の方が亡くなっています。また、受動喫煙により、乳幼児突然死症候群、小児がんなどのリスクが高まるなど、子育て世代の喫煙率が高いことは子どもに与える影響も大きく、危険な状況といえます。
 
【図1】子育て世代の喫煙率
【子どもの年齢、愛知県男性、豊川市男性、愛知県女性、豊川市女性】
3・4カ月児、愛知県男性29.9パーセント、豊川市男性32.6パーセント、愛知県女性2.8パーセント、豊川市女性3.1パーセント
1歳6カ月児、愛知県男性30.7パーセント、豊川市男性33.5パーセント、愛知県女性4.7パーセント、豊川市女性4.3パーセント
3歳児、愛知県男性31.2パーセント、豊川市男性33.0パーセント、愛知県女性5.2パーセント、豊川市女性5.7パーセント
 

たばこによる影響

たばこには約70種類もの発がん性物質が含まれており、これらは喫煙者が吸い込む主流煙だけでなく、火元から立ち上る副流煙、喫煙者が吐く息にも含まれています。副流煙は、主流煙よりも有害物質の濃度が高く、これらの煙を吸い込む受動喫煙は、たばこを吸わない人の意思とは関係なく喫煙をしている状況といえます。また、喫煙後の30分は喫煙者が吐く息から有害物質が出ているため、分煙化が進んでも、喫煙者が減らない限り周囲への影響が懸念されます。
 

副流煙に含まれる有害物質

主流煙に含まれる有害物質の濃度を1とした場合の副流煙に含まれる有害物質の濃度を示しています。【出典】厚生労働省「最新たばこ情報」
ニコチン 2.8倍
強い依存性物質で、血流を悪くし心臓に負担をかける
タール 3.4倍
発がん性物質を多く含み、がんの発生、進行を加速させる
一酸化炭素 4.7倍
血液中の酸素の運搬を阻害するため酸素不足を招く
アンモニア 46倍
依存性があり、目や鼻の粘膜を刺激する
 

自分だけでなく、周囲に与える影響を考えましょう。

周囲への影響

妊婦・胎児への影響

子どもへの影響

本当に怖い COPD

喫煙が主な原因で引き起こされる病気には、がん、脳卒中など、さまざまな病気があります。中でもCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、これらの病気の重症化リスクを高めます。
喫煙によって肺の機能が低下してしまうと、たばこをやめたとしても元の健康な肺に回復することはありません。
 
COPD DATA
国内における40歳以上の推計患者数 530万人
国内における年間死亡者数 1万8523人
世界の死因 第3位

COPDとは
肺の中にある肺胞が破壊され、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下する病気です。空気の通り道である気管支も狭くなるため、呼吸がしにくく、息切れなどの症状が起こりやすい状態となります。
最大の原因はたばこ
有害物質を長期間吸入することで起こるCOPD。その原因の90パーセント以上がたばこの煙で、喫煙者のうち5人に1人がかかるといわれています。
肺以外の病気も引き起こす
喫煙者の中でもCOPDの人は、そうでない人に比べ、約10倍肺がんにかかりやすいといわれています。また、COPDが進行すると、糖尿病や骨粗しょう症など、肺だけでなく全身のさまざまな病気を引き起こします。
早めの検査と禁煙を
COPDは気付かないうちに進行する病気です。せきや痰、息切れなどを年齢や運動不足のせいだと考えず医療機関に相談しましょう。特に喫煙している方は、肺を出入りする空気の量を測定する呼吸機能検査や肺のレントゲン検査などを定期的に受けてください。

一番の予防は禁煙すること たけもとクリニック 院長 竹本 正興 医師

COPDの初期症状は、せきや痰、運動時の息切れがみられる程度で放置してしまいがちです。しかし、重症になると安静時でも息切れしたり、日常生活を送るために酸素吸入器が必要になったりします。
傷ついた肺を元に戻すことはできませんが、禁煙することで肺機能の低下を抑えることができます。まずは、検査を受けて自分の肺の状態を知ることが大切です。そして、症状が出る前に、禁煙に踏み出しましょう。
 

それでもやめられない理由

やめられないのは意志が弱いからではない

禁煙したくてもやめられないのは、意志が弱いからではなく、ニコチン依存症になっているからかもしれません。まずは、下記のニコチン依存症テストで依存度を確認しましょう。禁煙を思いたったら、自分だけで頑張らず、かかりつけ医や薬局の薬剤師に相談しましょう。

禁煙後に引き起こるニコチン離脱症状を知る

禁煙直後は、たばこを吸いたい、イライラする、集中できない、眠たいなどのニコチン切れ症状(ニコチン離脱症状)が起こります。症状は3日をピークに次第に軽くなり、数週間たつと落ち着きます。
その後も、長年喫煙を続けていた方は、たばこが日常生活の中で習慣化しており、食後や仕事の区切りなどで反射的に吸いたい衝動が生じます。

ニコチン依存症テスト【以下の項目に5つ以上当てはまるとニコチン依存症です】

 

自力で禁煙にチャレンジする方へ -吸いたくなったら試してみましょう-

イライラするとき

だるい、頭が痛いとき

口寂しいとき

タバコをやめるメリットはいろいろ

10年長生きできる
禁煙後10から15年で、がんによる死亡リスクが非喫煙者と同じレベルまで下がります。
お金がたまる
例えば1日1箱(20本)、1箱500円として、1年で18万円。禁煙すれば貯金などにまわすことができます。
食事がおいしくなる
低下していた味覚、嗅覚が回復するため、食べ物の味わいや香りを楽しめるようになります。
 

禁煙外来でタバコを断ち切る

禁煙外来は医療機関で行われている、禁煙をサポートするための医療システムです。禁煙成功率が高く、条件を満たせば健康保険を使って禁煙治療を受けることができます。自己負担が3割の方は、1万3千円から2万円程度で受けることができます。

高い禁煙成功率

自力で禁煙に取り組む場合、禁煙成功率は10パーセントほどですが、禁煙外来で治療を受けた場合の成功率は70から80パーセントです。そのため、禁煙したい方にとって、禁煙外来は最短で楽にやめられる手段といえます。

禁煙補助薬で楽にやめる あすなろ薬局 薬剤師 小原 博一さん

禁煙治療は、禁煙の指導と禁煙補助薬を用いた薬物治療が一般的です。禁煙補助薬を飲むことで「たばこが吸いたい」「たばこがないとイライラする」という症状が緩和され、たばこを吸わなくてもある程度の満足感があります。また服用中はたばこを吸ってもおいしいと感じることがなくなります。治療期間は12週間で、1日1箱喫煙するよりも安く禁煙治療を受けることができます。

禁煙外来治療費を一部助成します!
次のすべてに該当する方は、治療費の一部に助成を受けることができます

  1. 禁煙外来治療開始日から助成金の申請までの間、豊川市の住民基本台帳に登録されている
  2. 禁煙外来治療開始日に20歳以上
  3. 健康保険を適用し、禁煙外来の治療過程を完了している
  4. 加入する健康保険などから同種(禁煙外来治療費助成)の助成を受けていない

助成額 自己負担額の2分の1で上限1万円(1人1回だけ)
申込 禁煙治療終了日(最終診療の領収書の日付)の翌日から60日以内に申込書に必要書類を添えて、直接、保健センターへ
その他 詳しいことは、保健センターへお問い合わせいただくか、こちらを確認してください
(注記)禁煙補助薬は一部使用できなくなっているものがあり、現在診療できない病院もありますのでご了承ください

吸いたい気持ちも気付いたら忘れています 加藤 秀哉さん(31歳) 喫煙期間10年 禁煙前1日40本喫煙

トレーニング中に息切れを感じ、禁煙を決意しました。自力でやめようにも吸いたい衝動が抑えきれず、禁煙外来を受診。投薬治療で、気付けばたばこを忘れられるようになり、禁煙することができました。
 

お問い合わせ

企画部 秘書課
電話:0533-89-2121

AIチャットボット
閉じる