「広報とよかわ」2015年10月号(MY COLOR)

更新日:2015年9月30日

MY COLOR

きらっと☆とよかわっ!輝くひとVol.7
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します

落語界に「いてほしい存在」になりたい


落語家 三遊亭 萬橘さん

三遊亭 萬橘さんの写真

子どもの頃は、恥ずかしがり屋で、自分から人を笑わすタイプではなかったという萬橘師匠。落語との出会いは大学2年生のとき。留年を機に、大学での居場所を見つけようとサークルを回り、最後に訪れたのが落語研究会。「何も取り繕わない、ありのままの雰囲気が自分にしっくりきた。その空気が落語そのものだった」と、すぐに入会を決めた。

研究会では、それほど落語に打ち込んでいたわけではなかったが、大学のイベントで落語を披露したとき、観客にうけて、衝撃が走る瞬間があった。OBに誘われて定期的に参加していた口演会でも、笑い声が聞こえてくる感じ、観客が聞き入っている感じなど、新しい感覚を発見できた。もっといろいろと感じてみたいと病みつきになっていった。

落語家の道を進むと決めたのは大学を中退したとき。両親に「この先どうするんだ」と切り出され、とっさに出た言葉が「落語家になる」だった。落語を通じてしか世間と接点を持てない、落語家になるしかないという考えが根底にあった。

そして、三遊亭圓橘に入門。「圓橘師匠の高座を見たとき、この人だと直感で決めた。客観的な情報やアドバイスなどを手掛かりに進むと、自分の枠から出られない、予想外のことを起こせないと思ったから」

入門から10年ほどで真打昇進と、順風満帆に見える落語家人生だが、実は悩むことが多く、いつも一喜一憂している。今でも高座のたびに冷や汗をかいているという。そんな中、落語をやっていてよかったと感じるのは、自分の高座を見たお客さんから「元気をもらえました。明日もがんばれそうです」という言葉をもらったとき。その一言が大きな支えとなっている。

真打となり、四代目となる「萬橘」を襲名。圓橘師匠から、「落語家というものは脈々と続いているもの。自分の流れをしっかりと引き継いでほしい」という言葉をもらった。大きな名を継ぎ、今後、さらなる活躍が期待される萬橘師匠。「いずれは落語に恩返しをしたい。落語界に“いてもいい存在”から“いてほしい存在”になっていきたい」と、落語家としてのこれからのあり方を見据えている。

三遊亭 萬橘さんの写真

プロフィール

三遊亭 萬橘(さんゆうてい まんきつ)

一宮西部小学校、一宮中学校、国府高校を卒業。法政大学を中退し、三遊亭圓橘に入門。2009年に第6回伝統芸能祭りグランドチャンピオン大会でグランプリを受賞。2013年3月に真打に昇進し、四代目「三遊亭萬橘」を襲名。36歳。

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