「広報とよかわ」2016年2月号(MY COLOR)

更新日:2016年2月1日

MY COLOR

きらっと☆とよかわっ!輝くひとVol.11
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します

自分の使命はテルミンの魅力を広めること

〈テルミン奏者〉 竹内 正実さん

竹内 正実さんの写真

 2つのアンテナの間に手をかざし、音の高さと音量を操る、ロシアで発明された最古の電子楽器・テルミン。日本におけるテルミン演奏の第一人者・竹内正実さんにお話を聞きました。

 テルミンと出会ったのは、大学を卒業し、コンサートホールで録音技師として働いていた24歳のとき。もともと電子楽器に興味があったが、技術が進み、どんどん機械的になっていくことに抵抗を感じていた。そんな中、テルミン奏者のアルバムを聞き、衝撃を受けた。「コンサートホールで聞くクラシックの名演と同質の美しさを感じた。演奏や音色を通して演奏家の顔がはっきりと見えた」
 当時、奏者は世界でも極めて少なく、日本ではほとんど知られていない状況だったが、演奏する人間に表現のすべてが任されるテルミンは、自分の求める音楽の本質だと感じた。そのパイオニアになることを目指し、周囲が反対する中、演奏法を学ぶため、仕事をやめてロシアへ渡った。
 ロシアでは、テルミンの生みの親であるレフ・テルミン博士の血縁で愛弟子のリディア・カヴィナさんから指導を受けた。政情が不安定で生活もままならない中、テルミンの演奏は予想を上回る難しさで、習得するまで3年の月日がかかった。「なかなか技術が向上せず、とても辛かったが、奏者としての自分の素地を作った時期でもあった」と振り返る。
 帰国後の平成9年から、「テルミンの魅力を広めることが自分の使命」と、テルミン奏者として本格的に活動を開始。有名アーティストとの共演やテレビ・ラジオ番組への出演、映画「のだめカンタービレ」では、演奏の吹き替え・指導を務めた。また、多くの方にテルミンに触れてもらうため、演奏教室を開設したり、片手で演奏できるマトリョーシカ型テルミン「マトリョミン」の開発に取り組んだりした。
 4年後にはテルミン発明100周年を迎える。「今後は、自身のアーティスト性を高め、テルミン奏者を育てながら、質の高い楽器の製作も進める」と語る竹内さん。テルミンへの愛を胸に、これからも挑戦は続く。

竹内 正実さん写真

プロフィール

竹内 正実(たけうち まさみ)

小坂井西小、小坂井中、小坂井高校を卒業。大阪芸術大学を卒業後、ロシアへ渡る。テルミンを通じ、多方面で活躍中。48歳。

お問い合わせ

企画部 秘書課
電話:0533-89-2121

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