「広報とよかわ」2016年11月号(MY COLOR)

更新日:2016年11月1日

MY COLOR

きらっと☆とよかわっ!輝くひとVol.20
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します

表現したいのは見る人の心に響く色

〈アニメ背景美術〉渡邊 洋一さん

渡邊洋一さんの写真1

いまや世界中にファンを広げる日本アニメ。ジブリ作品をはじめ、背景美術という分野で数々のアニメ作品に携わる渡邊さんにお話を伺いました。

宮崎駿監督作品「もののけ姫」が背景美術に興味を持つきっかけだったという渡邊さん。「山や川に囲まれて育ったせいか、映画のなかで描かれる自然の風景に強くひかれた。気づくと、内容よりも背景ばかりを目で追っていた」と話す。

高校を卒業後、一度は県内の企業に就職するも、アニメの背景を描きたいという気持ちが強くなり東京の美術学校へ進んだ。正確な模写と、同一の画風で色を塗り続けるという背景美術は、自分の得意な分野でもあった。学校を卒業し、都内のアニメ制作会社に就職する頃には、即戦力として通用するまでになっていた。

フリーランスでの活動を経て、スタジオジブリに入社したのは24歳のとき。当時の美術担当が自分の作品を評価してくれたことがきかっけだった。最初に携わった作品は「ハウルの動く城」。映画1本で必要となる約1500枚もの背景を、15人ほどのスタッフで1年かけて仕上げていった。ただ描くのではなく、気候や時間によって変わる色を常に分析しながら描くことが求められた。「ヨーロッパの町並のような複雑な構図は、1枚を描くのに半月ほどかかることもあった」と話す。

その後、背景美術の仕事が認められ、三鷹の森ジブリ美術館で放映する短編アニメ「水グモもんもん」の美術監督に抜擢される。水中で生息する水グモの出来事を描くこの作品。宮崎監督から直接の指示を受けることになるのだが、肝心な水中の絵が、監督の思い描くイメージとなかなか噛み合わなかった。「一枚描いては指摘を受け、何度も描き直した。半ば意地になって監督がイメージする背景を創り上げた」と振り返る。

その後、自分の力をさらに発揮できる環境に身を置こうとスタジオジブリを退社。現在、自ら会社を設立し、背景美術や映像制作を中心に、さまざまな仕事を手掛けている。「気持ちのいい色、見る人の心に響く色を追求したい」と話す渡邊さんの今後の活躍に注目したい。

渡邊洋一さん写真2

プロフィール

渡邊 洋一(わたなべ よういち)

1979年生まれ。御油小、西部中、豊川高校を卒業。光学メーカー、スタジオジブリを経て、2011年、映像技術開発・番組制作会社ヴェイサエンターテイメントを設立。「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」など、アニメ背景美術をはじめ、各種映像制作の分野で活躍中。

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