「広報とよかわ」2021年10月号(特集)

更新日:2025年01月30日

ページID : 6125

はじめよう 人生会議 ~自分らしく生きる~

誰もが命に関わる大きな病気やけがをする恐れがあります。命の危険が迫った状態になると、約70パーセントの人が医療や介護について自分で決めたり、希望を人に伝えたりすることが難しくなると言われています。今回の特集では、もしものときに備える「人生会議(ACP)」について紹介し、人生の最期まで自分らしく生きることについて考えます。
詳しいことは、介護高齢課(電話:0533-89-3179)へ、お問い合わせください。

人生の最期を考える

あなたは人生の最期をどのように迎えたいかを考えたことはありますか。平成29年度厚生労働省の「人生の最終段階における意識調査」によると、6割以上の方が「自宅で最期を迎えたい」と回答しています。しかし、実際には8割近くの方が医療機関で亡くなっており、自宅で最期を迎えた方の割合は1割程度となっています。
この背景としては、在宅医療・介護への不安があったり、家族での話し合いが不十分であったりすることなどが考えられます。

平成29年度 死亡場所構成割合(厚生労働省「人口動態統計」より)

  • 病院 73.0パーセント
  • 診療所 1.8パーセント
  • 介護医療院・介護老人保健施設 2.5パーセント
  • 老人ホーム 7.5パーセント
  • 自宅 13.2パーセント
  • その他 2.1パーセント

(注記)数値は、少数点第2位を四捨五入しているため、合計が100.0パーセントにならない場合があります。

「もしも」に備えて

人生の最期を本人や家族の希望に沿ったものにしていくための方法として、最近では「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」という取り組みが注目されています。これは、「もしも」のときに備え、自分の大切にしていることやどのような医療・介護を望んでいるかについて考え、家族など自分の信頼する人たちと繰り返し話し合い、共有することをいいます。
人生会議を行うことで、自分の意思を伝えることが難しくなったときに、自分の気持ちを代弁してくれる人ができるという効果があります。また、家族にとっても難しい決断をしなければならなくなったときに重要な助けとなります。
会議といっても堅苦しく捉える必要はありません。始めは「自分はこんなことを大事にしている」という会話からでも良いと思います。誰にでも起こりうる「もしも」に備えて、人生会議をしてみませんか。

人生会議のはじめ方

人生会議といってもどんなことを考え、何を伝えればいいのでしょうか。次のようなことを参考にして、自分の思っていることを整理してみましょう。

1 自分のこと

  • 氏名や生年月日など基本的な情報の他、緊急連絡先、保険証の情報などを控えておく
  • 自分の生い立ちやこれまでの人生で印象に残っていることなどで自分の人生を振り返る

2 医療のこと

  • 病気になったとき、病名や余命の告知を希望するか
  • 延命治療を希望するか
  • 最期を迎えたい場所はどこか
  • 自分で意思表示できない場合、代わりに判断してほしい人は誰か

3 介護のこと

  • 介護が必要になったとき誰に介護してほしいか
  • 介護をしてもらいたい場所はどこか
  • 介護のための費用はどうするか
  • 介護が必要になったとき、または認知症などで自分の判断が難しくなったとき資産の管理を誰にお願いしたいか

4 財産のこと

  • 財産の状況について整理しておく
  • 貯金や不動産、保険など遺産のことだけでなく、公共料金やカードの支払について整理しておく

(注記)法的な効果を求める場合は公証役場で遺言書を作成する必要があります

5 葬儀・お墓のこと

  • 葬儀はどのようなかたちで行いたいか
  • 葬儀の場所についての希望はあるか
  • 遺影はどうするか
  • お墓についての希望はあるか

6 親戚・友人などのこと

  • 万が一のことが起こった場合に連絡してほしい親戚や仲の良い人は誰か
  • ペットを飼っている人は、何かあったときのためにペットの世話で必要なことをまとめておく

エンディングノートをご活用ください

自分の考えや思いを整理するため、上記の項目などについて記入できるエンディングノートを配布しています。
配布場所 介護高齢課(本庁舎1階)、各高齢者相談センター

思いを伝えることは残される人への思いやり 清水 サチ子さん(平尾町)

6年程前に義母をみとりました。認知症状があったため、家族と相談しながらショートステイなどの介護サービスを利用しました。義母とはずっと一緒に暮らしてきて性格や好みなどもわかっていたので、本人が望んでいた自宅での生活を穏やかに送れるように努めてきました。私も介護ばかりにならないよう息抜きをしながら自分なりに義母の希望に沿ってできるだけのことはしてこられたかなと思っています。
人生会議と聞くと構えてしまいますが、日頃から話し合っておくことは、残される人への思いやりでもあると思います。いざというときに判断を求められるのは家族です。夫や子どもたちには機会を捉えて自分の思いや希望を伝えていければと思います。

Interview 医療・介護の現場から

「良い人生だった」と思えるように 安形医院 院長 安形 俊久 医師

医療現場では、患者さん自身の意思決定が困難になった場合、治療方針についての判断を家族に委ねます。また、高齢者施設などの入居時に医療や介護について本人の意向を確認しますが、その段階では認知症などの症状が進んでいる場合が多く、本人の意思を確認することはなかなか難しい現状があります。本人が元気なうちに家族との話し合いができていると、最期まで自分らしく過ごせるように私たちも可能な限り協力できます。
人生会議のメリットは、本人の意思が尊重された医療や介護が実践されることで本人と家族の満足度が高くなることです。また、亡くなった後の遺族の後悔などが減少することもあります。その一方で、人生会議を行うタイミングは難しい場合があります。病気になった時に突然話し始めると、本人の将来への希望を失ってしまうことにつながりかねません。
自分の思いを代弁してほしい人は誰なのか。まずは信頼できる大切な人と何気ない会話から始めてみてはどうでしょうか。自分の体調や考え、家族の状況も変わっていくので、一度だけではなく繰り返し話し合うことが大切です。
人生会議というと最期をどう迎えるかということに意識がいってしまいがちですが、自分はどうしたいか、生きがいや自分らしさとは何かを考えながら前向きな気持ちで人生会議を始めていただければと思います。

人生会議は生活の中にある ケアサポートセンター ウェルネス 主任介護支援専門員 志田 昌代さん

私たちケアマネジャーは、利用者本人と家族の声をよく聴きながら、本人が望む生活に近付けられるよう支援していく役割を担っています。本人と家族、それぞれの考えは少なからず差があります。お互いがその差を理解し、縮められるような支援を心掛けています。コミュニケーションを重ねるうちに本人が大事にしているものに気付くこともあり、人生会議は生活の中にあると実感しています。本人が発する少しの変化に気付き、機会を逃さず助言や調整ができるよう努めています。

良い人間関係を築くお手伝いを 東部高齢者相談センター 一宮出張所 コミュニティソーシャルワーカー 三島 安理さん

高齢者相談センターで地域の交流活動などを通して高齢者の方たちが自分らしく生き生きと暮らしていける地域づくりに携わっています。皆さんが仲間同士の会話の中で自分を見つめ直したり、これからのことを考えたりする機会が持てればそれを自分の大切な人と共有することにもつなげられると思います。
元気なうちから良い人間関係を築き、自分の意思表示をしておくことは、自分のためにも家族のためにも大切なことです。そのお手伝いができればと思っています。

「自分らしく生きる」のヒントに

「今から始めるACP(人生会議)」出前講座をご活用ください

町内会や市内のサークルなどを対象に、生涯学習まちづくり出前講座を開催しています。人生会議について、一緒に考えてみませんか。
申込 申込書を、直接、またはファックス(0533-89-2137)で、介護高齢課へ。申込書は、介護高齢課(本庁舎1階)にあります(以下のリンクからもダウンロード可)

講座受講者の声 渡辺 明さん(国府町)

きっかけがないと難しい話題ですが、この講座で学ぶことができて良かったです。

地域のささえあいフォーラム「想いをつなぐACP(人生会議)~わたし(あなた)らしさを伝えよう」

人それぞれ違って良いACPの取り組み、あなたらしいACPのヒントが、ここにあります。後日、こちらから動画配信を行いますので、当日参加できない方もぜひご覧ください。

  • 日時 11月21日(日曜)14時00分から15時30分まで
  • 内容 オンラインで配信するパネルディスカッションを通してACPの効果的な実践のポイントについて学ぶ
  • 対象 市内に在住、または在勤の方
  • 定員 100人(先着順)
  • 費用 無料
  • 申込 10月1日(金曜)から、電話(0533-89-3179)で介護高齢課へ
パネリストの皆さん

安形医院院長・安形俊久医師、ケアサポートセンター・ウェルネス主任介護支援専門員・志田昌代さん、東部高齢者相談センター 一宮出張所コミュニティソーシャルワーカー・三島安理さん、在宅介護経験者・清水サチ子さん

高齢者相談センターをご利用ください

高齢者相談センターは、保健・福祉・介護の専門職が常駐し、さまざまな相談を受け付けています。お気軽に近くの高齢者相談センターに相談してください。

主な相談内容
  • 高齢者の生活相談
  • 高齢者が地域で活躍できる場や地域とのつながりに関すること
  • 介護保険・福祉サービスの申請援助について
  • 認知症、施設入所の相談
  • 高齢者虐待や消費者被害に関すること

【名称、所在地、問合せ先】

  • 東部高齢者相談センター、所在地 東新町33-1、問合せ先 0533-85-6110
  • 東部高齢者相談センター 一宮出張所、所在地 上長山町本宮下1-1685、問合せ先 0533-93-0801
  • 西部高齢者相談センター、所在地 国府町下河原61-2、問合せ先 0533-88-8005
  • 西部高齢者相談センター音羽出張所、所在地 赤坂町狭石1、問合せ先 0533-88-5940
  • 西部高齢者相談センター御津出張所、所在地 御津町広石枋ケ坪88、問合せ先 0533-77-1502
  • 南部高齢者相談センター、所在地 山道町2丁目49、問合せ先 0533-89-8820
  • 南部高齢者相談センター小坂井出張所、所在地 小坂井町大堀10、問合せ先 0533-78-4584
  • 北部高齢者相談センター、所在地 平尾町親坂36、問合せ先 0533-88-7260
  • 北部高齢者相談センター代田出張所、所在地 諏訪西町2丁目158-1、問合せ先 0533-89-8070
  • 北部高齢者相談センター金屋出張所、所在地 金屋元町2丁目53-1、問合せ先 0533-85-6258

人生をより良く生きるために

人生の最期について考えたり、家族などと話し合ったりすることは、多くの人にとって初めての経験だと思います。誰もがいつ、病気や事故などによって命が危険な状態になるか分かりません。縁起でもないと避けてしまいがちな話題で、中には知りたくない、考えたくないという人もいるため、配慮も必要です。
ただ、思い立ったときこそ人生会議を始めるタイミングです。話すきっかけがなかなかない場合は、年末年始や法事などで顔を合わせたときに切り出してみてはどうでしょうか。これからの人生をより良く生きるために、今から少しずつお互いの思いを話してみませんか。

関連リンク

この記事に関するお問い合わせ先

企画部 秘書課
所在地:442-8601
愛知県豊川市諏訪1丁目1番地
電話番号:0533-89-2121
ファックス番号:0533-89-2124
お問い合わせフォーム(メールフォームへリンクします)
この情報はお役に立ちましたか?

より良いホームページにするために皆様のご意見をお聞かせください。

このページの内容はわかりやすかったですか。
このページに対してご意見がありましたらご記入ください。
ご質問や個人情報が含まれるご意見は、このページのお問い合わせ先へご連絡ください。この欄に入力されてもお答えできません。