「広報とよかわ」2022年5月号(特集)

更新日:2025年01月30日

ページID : 7757

特集 地域で見守る認知症

「認知症」とは、脳の病気や加齢など、さまざまな原因で脳の細胞の働きが悪くなり、記憶・判断力が低下することによって、日常生活に支障をきたす状態をいいます。今回の特集では、認知症の症状などについてお伝えするとともに、自分や家族が認知症になっても、住み慣れた地域で安心して暮らすことのできる地域づくりについて考えます。詳しいことは、介護高齢課(電話:0533-89-2105)へお問い合わせください。

誰もがなりうる認知症

令和7年には、65歳以上の5人に1人が発症すると言われている認知症。日本人の平均寿命は伸び続け、「人生100年時代」を迎える今後、認知症になる人の数はさらに増えることが予想されています。
年齢を重ねれば誰でも、人の名前など思い出したいことをすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが難しくなったりします。しかし、認知症は加齢に伴う単なる物忘れとは違い、朝食を取ったことを覚えていないなど自分の行動自体を忘れてしまったり、物忘れの自覚がなくなったりする症状が特徴です。また、認知症と聞くと高齢者の病気と思いがちですが、65歳未満の人が生活習慣病などによって「若年性認知症」を発症することも少なくありません。認知症は、発症しても早期に治療を開始することで、症状の進行を遅らせることができます。誰もがなりうる認知症を他人事と捉えず、自分や家族のこととして考えてみませんか。

一人ではなくみんなで

市の65歳以上の人口は4万8540人で、全体の26.2パーセントを占めています(令和4年2月末時点)。平成24年は21.5パーセントで、10年間で約5パーセント増加し、高齢化が進んでいることが分かります。また、40歳以上の要介護・要支援認定を受けている方のうち、66パーセントに日常生活に支障をきたす認知症状があります。認知症状には物忘れや幻視などがあり、中でも徘徊は、家族などがどれだけ注意していても防ぐことが困難です。認知症の方や家族、一人暮らしの方が安心して暮らすためには、多くの方に認知症の症状やサポートする制度について知っていただくとともに、地域で支え合える環境づくりが大切です。
要介護・要支援認定者7,870人のうち、生活に支障をきたすような認知症状がある方の割合(市内)は66パーセント、認知症状がない方の割合は34パーセントです(令和4年2月末時点)。

認知症について知ろう

認知症の主な種類と症状

  • 病名 アルツハイマー型認知症、症状 昔のことを覚えていても最近のことは忘れてしまう、徘徊、時間や場所が認識できないなど
  • 病名 血管性認知症、症状 物忘れ、手足のしびれ、感情のコントロールができないなど(脳梗塞などが引き金となり発症する)
  • 病名 レビー小体型認知症、症状 幻視、妄想、うつ症状、手足の小刻みな震え、筋肉のこわばりなど
  • 病名 前頭側頭型認知症、症状 身だしなみへの意欲喪失、人格の変化、自発性の低下、社会のルールを守れなくなるなど

家族がつくった「認知症」早期発見のめやす

【出典】公益社団法人 認知症の人と家族の会

  • もの忘れがひどい
    1. 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
    2. 同じことを何度も言う・問う・する
    3. しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
    4. 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う 判断・理解力が衰える
    5. 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
    6. 新しいことが覚えられない
    7. 話のつじつまが合わない
    8. テレビ番組の内容が理解できなくなった
  • 時間・場所がわからない
    1. 約束の日時や場所を間違えるようになった
    2. 慣れた道でも迷うことがある 人柄が変わる
    3. 些細なことで怒りっぽくなった
    4. 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
    5. 自分の失敗を人のせいにする
    6. 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた 不安感が強い
    7. ひとりになると怖がったり寂しがったりする
    8. 外出時、持ち物を何度も確かめる
    9. 「頭が変になった」と本人が訴える 意欲がなくなる
    10. 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
    11. 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
    12. ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる

(注記)日常の暮らしの中で、認知症の始まりではないかと思われる言動を、「認知症の人と家族の会」の会員の経験からまとめたものです。医学的な診断基準ではありませんが、暮らしの中での目安として参考にしてください。いくつか思い当たることがあれば、かかりつけ医などに相談してみましょう。

皆さんの声を集めました

認知症を受け入れ、支えることは簡単ではありません。家族などの大切な人が認知症になると、これまでの日常が日々変化していきます。実際に「認知症」に向き合う方たちの声を紹介します。

  • 子どもが大好きな母。公園に散歩に来ていた保育園児の列についていってしまい、保育園の先生に保護されました。母の服に名前と連絡先を縫い付けておいてよかったです。
  • 介護をしていると突然笑い出し「幸せやなあ…」と呟きます。認知症が進行して会話は成立しませんが、きっと何かが通じているのだと思います。
  • 近隣の方のお宅へ時間も構わず訪問してしまう父。近隣の方々は認知症に対して理解があり、毎回対応してくれています。地域で父を見守ってくれているので、大変助かっています。
  • 息子のことを「おやじ」と呼び、息子の妻を「おふくろ」と呼びます。
  • 初孫の名前だけは覚えていますが、その孫の顔はもう覚えていません。

まずは 地域でできることから

異変のサインを見逃さない

家の中で動けない状態になっていたり、認知症が進行して生活に支障をきたしていたりするなど、高齢者などが救助や支援を必要としている場合があります。異変を感じ取ったときは、介護高齢課や近くの高齢者相談センターなどに連絡してください。連絡することで、早期発見・早期対応につながります。

家に表れるサイン
  • 郵便物や新聞がたまっている
  • 同じ洗濯物が何日も干されている
  • 夜でも明かりがつかない、または昼夜を問わず明かりがついている
  • 窓・カーテン・雨戸に開閉された様子がない
  • 家の中や庭が荒れている
  • ごみが放置されている、異臭がする
人に表れるサイン
  • 訪問しても顔を出してくれない
  • 最近姿を見ない、または行事に出ていない
  • 顔色が悪い、元気がなさそう、やせてきた
  • 「物が盗まれた」「お金を貸してほしい」と言う
  • 急に泣き出すなど情緒が不安定
  • いつも同じ服や季節に合わない服、汚れたり、破れたりした服を着ている

「認知症の人が困っているのかな?」と思ったら

同じ道を何度も通りかかるなど道に迷っている様子が見受けられたり、見かけない人が座り込んでいたりするなど、異変に気付いたときは、3つの「ない」を意識して声を掛けてください。

  • 驚かせない
    相手の視野に入ってから話し掛けましょう。穏やかな優しい口調を心掛けましょう。
  • 急がせない
    最初はごく普通の挨拶から。返事がなくても、答えをゆっくり待ちましょう。
  • 自尊心を傷つけない
    不可解な言動をしても否定せず、困った顔や厳しい顔は避け、笑顔で接しましょう。

「認知症サポーター養成講座」を受講してみませんか

認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」。養成講座には、地域や仲間同士など、10人以上集まれば申し込みができます。開催日の1カ月前までに介護高齢課へ相談してください。

行方不明高齢者捜索模擬訓練を実施しています

認知症に関する地域の支援力向上を図るため、平成25年から実施しています。警察や介護保険事業所の協力のもと、地域の活動団体などが実際に行方不明者役を捜索することで、認知症の方と接する際に必要な配慮などを学びます。

訓練参加者の声

地域で支え合うことの大切さを実感 平尾 和義さん(美和通)
行方不明者役を捜索し声掛けを行いました。問い掛けに思うように反応してくれず、難しさを痛感しました。今後、行方不明になる方が増えていくと、市や警察だけでは手が回らなくなると思います。市民一人一人が認知症を正しく理解し、支え合いの意識を持つことが大切だと感じました。

広げよう 見守りの輪

高齢者地域見守りネットワークをご利用ください

高齢者地域見守りネットワークとは、認知症の方や一人暮らしの方などが、住み慣れた町で安心・安全に暮らし続けられるようにするため、行政・地域・協力機関が連携して、日常的に高齢者などを見守る仕組みです。行方不明者の情報をとよかわ安心メール「高齢者地域見守りネットワーク」登録者へ配信したり、協力機関へファックス で提供したりすることで早期発見を図ります。また、行方不明になる恐れがある高齢者などの緊急連絡先や身体的特徴を事前登録しておくと、万が一行方不明となった場合、地域の方や協力機関への迅速な情報提供につながります。

高齢者見守りキーホルダー

65歳以上の認知症の方や一人暮らしの高齢者に配布しています。キーホルダーには登録番号が記載され、緊急時の身元確認などに役立ちます。希望する方は、直接、介護高齢課(本庁舎1階)へお越しください。

とよかわ安心メールの登録

行方不明高齢者の情報などを、登録した携帯電話やパソコンに電子メールでお知らせします。以下のリンクからも登録できます。

協力機関を募集しています

日々の業務の中で、できる範囲で声掛けや見守りを行っていただく協力機関を募集しています。協力機関は令和4年2月末時点で186団体。詳しいことは、介護高齢課へお問い合わせください。

協力機関 ワタミの宅食

配達スタッフ山口 佳代さん
18軒のお宅に食事を届けています。毎日顔を合わせる方も多いので、元気がないなど普段と違う様子があればすぐに気付きます。

みんなで見守り安心な暮らしを 介護高齢課 課長 石黒 泰基

認知症は高齢者だけでなく、誰もがなりうる病気です。家族や周囲の人たちがどれだけ気を付けていても、行方不明になってしまう方が後を絶ちません。認知症予防と同じくらい、自分や家族などが認知症になったときの対応について考えることが大切です。
今回の特集でお伝えした内容を通して、認知症に対する正しい知識を持ち、他人事ではなく地域全体の問題として考えましょう。誰もが、住み慣れた町で安心して暮らすことができるよう、地域で助け合うことの大切さについて考え、見守りの輪を広げていきましょう。

関連リンク

この記事に関するお問い合わせ先

企画部 秘書課
所在地:442-8601
愛知県豊川市諏訪1丁目1番地
電話番号:0533-89-2121
ファックス番号:0533-89-2124
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