「広報とよかわ」2024年10月号(特集)
更新日:2024年10月1日
特集 新規就農を応援します!
豊川市は、愛知県で3位の農業産出額を誇っています。本市を含む東三河地域は全国でもトップクラスの農業生産地で、魅力ある農産物が全国の市場へ出荷されている一方、農業を担う人が減少しています。
今回の特集では、市内で新たに就農した方の声を通して、新規就農者への支援体制などを紹介します。詳しいことは、農務課(電話:0533-89-2138)へお問い合わせください。
豊川市の農業
あゆみと特徴
明治から昭和初期にかけて、この地域で盛んであった養蚕業は、戦後の食糧難などにより、主に麦作に変化しました。その後、昭和43年に豊川用水が全面通水すると、年間を通して安定した用水が得られるようになりました。現在では、穏やかな気候と肥沃な土地、豊富な水などの条件を生かし、大葉やバラなどの施設園芸農業をはじめ、田畑で行う露地栽培・稲作など、多様で生産性の高い農業が営まれています。
豊川市の農業の中心である施設園芸農業は、ビニールハウスやガラス温室を利用して、野菜や花、果物などを栽培する農業のことです。天候や外気温の影響を減らし、比較的安定した生産ができることが特徴です。
豊川産の農産物は、いずれも市場で高い評価を得ており、関東や関西圏を中心に全国各地へ出荷されています。
主な農産物
大葉、バラ、スプレーマム、トマト・ミニトマト、イチゴ、シクラメン
農家戸数の減少
市内の農家戸数は、平成12年から令和2年までの20年間で約3割減少しており、農業従事者不足や空き農地の増加など、農業を取り巻く情勢が厳しくなっています。
空き農地などへの対策として、目指すべき将来の農地利用の姿を明確にする「地域計画」の策定に取り組んでおり、地域農業者をはじめとした関係者で地域の農地の守り方を話し合っています。農地利用者を明確にし、分散している農地の利用権を交換することなどにより、農作業を連続的に支障なく行う農地の集約化を推進しています。
市内の農家戸数推移(戸)
平成12年、4,661戸
平成17年、4,139戸
平成22年、3,920戸
平成27年、3,597戸
令和2年、2,990戸
【出典】農林業センサス
新規就農者への支援
過去5年間の新規就農者は、毎年14人程度と横ばいで、5年間での合計は67人となっています。農業の担い手を確保していくためには、既存農家への支援に加えて、農業の未来を支える新規就農者への支援が必要不可欠です。市では、新規就農者の更なる確保に向け、県や農協などの関係機関と協力し、相談窓口の設置や準備資金の補助など、新規就農希望者が安心して就農できるようサポート体制を整えています。
新規就農者数の推移(人)
新規就農者数(うち49歳以下)
令和元年、12(9) 人
令和2年、13(13) 人
令和3年、14(11) 人
令和4年、14(12) 人
令和5年、14(13) 人
【出典】豊川市地域サポート計画
Interview みんなを笑顔にする感動のイチゴを
鈴木 翔太 さん(33歳)
令和3年就農、栽培品目:イチゴ
Q 就農のきっかけとイチゴを選んだ理由は?
前職では、農家の方と話をする機会が多く、担い手不足の現状を知り、今後の農業には若い力が必要だと感じました。自分が若手農家として働くことで、この地域の農業に貢献したいと思うようになり、地元で就農することを決心しました。
イチゴを選んだ理由は、娘の大好物だからです。自分の作ったイチゴを笑顔で食べている姿が見たいという思いが決め手となりました。娘の笑顔が農業を頑張る原動力になっています。
Q 就農を決めた後、まずは何をしましたか?
まずは農協に相談し、就農インターン制度の紹介を受けました。同時に県へ補助金の関係で相談に行きました。相談開始から半年後にイチゴ農家のもとで研修が始まり、1年3カ月、農家の基本を学びました。研修を受けながら、農地を探し、同時に機材の確保や苗の準備に取り掛かりました。
Q 働く中で一番うれしかったことは?
人とのつながりが増えていくことです。就農してからたくさんの同業者と知り合いになりました。育てた苗が病気で枯れたときは、今年は出荷できないかもしれないと悩みましたが、知り合いから苗を分けてもらい、何とか出荷することができました。助け合える仲間がいることを、心強く感じています。
Q 今後の目標は?
豊川市の農業を引っ張っていける農家になることです。いつかは自分も研修者を受け入れてたくさんの若手を育て、豊川市の農業を盛り上げていきたいです。
鈴木さんの1日(収穫期)
6時~7時 朝食・準備
7時~13時 収穫・パック詰め
13時~14時 休憩など
14時~15時 出荷
15時~18時 イチゴの手入れなど
18時~23時 夕食・お風呂・自由時間
23時~6時 睡眠
研修先農家インタビュー
日惠野 克好さん(農業歴23年)
研修では、苗作りから出荷までの一連の作業を覚えてもらいました。イチゴはデリケートなので、温度や湿度の管理の他、水・肥料を与えるタイミングや量などが重要です。また、イチゴのパック詰めは色や形などをそろえるのにとても苦労するため、鈴木さんにはこの作業を重点的に取り組んでもらいました。
就農には決心が必要ですが、サポート体制もしっかりしているので、この機会にぜひ検討してみてください。熱意のある方のチャレンジを待っています。
Interview アスパラガスに夢を乗せて
山口 泰裕 さん(42歳)
令和6年就農、栽培品目:アスパラガス、ブドウ
Q 就農のきっかけとアスパラガスを選んだ理由は?
工場で仕事をしていましたが、農業をやりたいという夢をずっと持っていました。農業は自分のやりたいことを追求でき、こだわりを持って仕事をしたい私の性格に合っていると思います。子どもが自立するタイミングで、就農に向けた活動を始めました。
栽培品目には、私の大好きなアスパラガスを選びました。自分の好きな野菜だからこそ、気持ちを込めて育てることができるので、全力で農作業に取り組んでいます。
Q 就農を決めた後、まずは何をしましたか?
就農を決意した約2年前、県へ相談に行き、国の制度などを活用しました。就農インターン中は所得がなくなってしまうため、その間の生活費や農業準備資金などの補助を受けました。この制度のおかげで、安心して就農を目指すことができました。
Q 働き始めて大変なことは?
来年の植え付けに向けて行っている、農業の基礎となる土作りです。アスパラガスの魅力の一つに、一度植え付けると約20年同じ株から収穫できるという特徴があります。土の良し悪しが生育に影響するため、土作りは、今後20年間に関わる大切な作業です。根がしっかり張るよう、土壌改良や堆肥投入を重点的に行っています。
Q 就農を考えている方へメッセージを
農業をやりたいという気持ちが大切です。その気持ちがあれば、サポートしてくれる人や協力してくれる仲間が増えてきます。夢を持っている人は、ぜひチャレンジしてみてください。
山口さんの1日(就農直後)
6時~7時 朝食・準備
7時~12時 苗の水やり・土作り
12時~13時 休憩
13時~16時 堆肥投入
16時~17時 休憩
17時~22時 アルバイト
22時~0時 夕食・お風呂・自由時間
0時~6時 睡眠
研修先農家インタビュー
林 隆雄さん(農業歴14年)
農業は自然を相手にしているので、災害や病害虫の発生など、毎年違うトラブルが発生します。研修では、私が今まで経験したことを一つでも多く伝えるようにしました。一朝一夕で安定した農業はできませんが、地道に作物を見てあげることで、育て方や特徴が分かってくると思います。
山口さんのような若手農家が増え、良い仲間とともに楽しく農業に取り組むことで、豊川市の農業がますます発展していくことを願っています。
新規就農サポートチーム
一丸となって支援します!
農務課(サポートチーム事務局)
問合せ 電話:0533-89-2138
新たに就農を考えている方を対象に、専門の知識を持った相談員が個別に相談に応じる「新規就農希望者相談窓口」を設置しています。また、各種支援制度や二次相談先の案内も行っています。相談先に悩んでいる方は、お問い合わせください。
県農業改良普及課
問合せ 電話:0532-35-6550
栽培品目や営農地が決まった就農希望者に、就農実現性の確認や就農までのスケジュールの相談、農業経営に関する収支計画の作成支援を行っています。また、栽培品目に応じた普及指導員が在籍しており、栽培指導を受けることができます。
農業委員会
問合せ 電話:0533-95-0262(農務課内事務局)
農地の売買や賃借に関する窓口です。手続きの案内の他、買いたい・借りたい農地を探している方に向けて、「農地情報バンク」を公開しています。また、各地区の農業委員などは、農地確保を円滑にするため、優良農地情報の相談にも応じています。
ひまわり農業協同組合
問合せ 電話:0533-85-1234(営農企画課)
化学肥料などを使用する栽培方法で農協への出荷を希望する方に、先進農業者のもとで研修を受けることができる「就農インターン制度」を案内しています。制度の利用には要件がありますので、詳しいことは、営農企画課へお問い合わせください。
新規就農サポートチームを利用した就農研修中の方にお話を聞きました
情熱あふれるバラ農家となるために
浦野 光市さん(24歳)
私は中学まで豊川市に住んでいましたが、県外の高校に進学するため地元を離れました。幼い頃から花に興味があり、特に一輪でも美しく咲くバラが大好きでした。「自分でバラを育てたら楽しそうだな」という漠然とした思いを持っていた中、地元の友人から「豊川はバラの出荷量が日本一」ということを聞きました。地元がバラの名産地ということに運命を感じ、バラ農家への思いが強くなりました。やりたいことが見つかるとすぐに行動を起こす性格なので、東京で勤めていた会社をすぐに退職。豊川市で就農に向け活動を始めました。
就農の仕方が分からなかった私は、まず農協へ相談に行きました。そこで就農インターン制度を紹介してもらい、現在はバラ農家で研修を受けています。
研修では、週に5日、収穫作業や農薬の散布などを教えてもらっています。農薬の散布は一本一本手作業で行うため大変ですが、きれいに咲いてほしいという思いで丁寧に行っています。研修先の皆さんは、農業のことを全く知らなかった自分にも分かりやすいように説明してくれます。農業の経験がないため、環境に慣れる難しさはありますが、全国各地に出荷できるバラ農家になれるよう、これからも情熱を持って取り組んでいきたいです。
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更新日:2025年01月30日