「広報とよかわ」2024年12月号(特集)
更新日:2024年11月29日
特集1 命を守る、災害医療の最前線
災害時の医療拠点・豊川市民病院
大規模な災害が発生した時、なくてはならない医療。命の危険に関わる重傷者が増加する中、1人でも多くの命を救うことが求められます。
東三河の地域中核災害拠点病院に指定されている豊川市民病院は、大規模災害によって甚大な被害が生じ、診療所や医療機関などが診療活動を十分に行えなくなった際に、この地域における医療活動の拠点となります。被災地で応急救護を行う救護所や救急病院などと連携し、重症患者への適切な医療を確保する他、全国からの医療支援をまとめ、支援が必要な場所へ提供したり、医療チームを派遣したりするなど、災害医療の中心となって発災直後の医療体制を構築する役割を果たします。
豊川市民病院は、災害時に医療提供をするため、医療材料の備蓄をはじめ、大規模災害を想定した訓練を行うなど、日頃から災害に備えています。また、災害派遣医療チームDMAT(ディーマット)の被災地派遣といった、重要な役割も担っています。
今回の特集では、DMAT(ディーマット)隊員の声を通して、災害医療について紹介します。詳しいことは、豊川市民病院庶務課(電話:0533-86-1111)へお問い合わせください。
災害に強い豊川市民病院
・震度7の揺れを震度4程度に軽減できる免震装置の他、地下水利用システムにより、自前で水の確保ができます。
・非常用発電機では、約3日間発電可能。また、燃料は地下の貯蓄タンクに備蓄しています。
・入院患者用、職員用ともに約3日分の食料・飲料水の他、一定量の薬品と医療材料を備蓄しています。
(注記)豊川市民病院は災害医療の拠点病院であり、避難所ではありません。大規模災害時は、重症者の治療を行っているため、避難者を受け入れることはできません。ご理解とご協力をお願いします。
Interview DMAT(ディーマット)隊員に聞く、災害医療のリアル
豊川市民病院 DMAT(ディーマット)隊員(統括DMAT(ディーマット))呼吸器外科医師 彦坂 雄
豊川市民病院 DMAT(ディーマット)隊員 診療放射線技師 加藤 敬之
豊川市民病院 DMAT(ディーマット)隊員 救急看護認定看護師 山本 裕美
災害派遣医療チームDMAT(ディーマット)とは
災害急性期(災害発生からおおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った医療チームのことで、災害派遣医療チーム“Disaster Medical Assistance Team(ディザスター メディカル アシスタンス チーム)”の頭文字から、「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています。地震や津波、台風などの大規模な災害や、テロなどで傷病者が出た際に、発生直後から被災地で医療・救護活動をするために資格を取得し、専門的な研修や訓練を受けています。令和6年能登半島地震の被災地にも、豊川市民病院から2隊を派遣し、医療・救護活動を行いました。
Q 災害時のDMAT(ディーマット)の活動内容について教えてください。
彦坂 職種によって業務は変わりますが、DMATは災害発生後、早期に被災地へ向かい、現地の災害本部の支援や医療活動、傷病者を安全な地域へ搬送することなどを行います。重傷者が増加する災害急性期は、医療の需要が高まる一方、現地で医療を提供することが難しいため、私たちDMAT(ディーマット)が派遣されます。被災地では医療を必要とする傷病者が多くいます。その方々に適切な医療を迅速に提供し、一人でも多くの命を助けることが使命です。
山本 看護師は、救急看護の知識などを活かし、医師の補助として診療活動をします。また、現地の状況によって、臨機応変な対応が求められます。
加藤 普段は放射線技師として勤務していますが、DMAT(ディーマット)では業務調整員の役割を担っています。業務調整員は、被災地の情報収集や連絡調整の他、現地での宿や食料の手配など、隊員が活動しやすくなるように後方支援を行います。
Q DMAT(ディーマット)隊員はどのような研修や訓練を行っていますか?
彦坂 実際の災害現場では、どの場面で活動することになるかが分からないため、あらゆる場面の対応方法を学びます。現場での診察シミュレーションや場面に応じた患者の処置方法・病院への振り分けなどの実技研修も行います。
加藤 資格の取得後も技能を維持するため、定期的に研修があります。また、国などが実施する訓練にも参加し、重傷患者を処置する訓練などを行っています。訓練当日に想定の被災地が知らされ、その場所へ駆けつける訓練もしています。
Q 能登半島地震での活動や現場で感じたことを教えてください。
彦坂 能登では主に被災者の搬送を行いました。豊川市民病院から搬送車に乗って被災地に向かい、被災した病院に取り残された患者を搬送しました。道路が崩れていたため渋滞がひどく、搬送に膨大な時間を要しました。
山本 災害が発生したことで何もなくなってしまうと感じました。道路が崩れ、水も出ない。今の時代とは思えない光景があり、災害の現実を目の当たりにしました。地理的な問題でボランティアなどの応援の到着が遅れていたため、通常行う医療活動以外のことも多くこなしました。土砂崩れによって孤立した集落に住む人々の安否と健康状態を確認するため、危険な道を通りながら現地調査に向かいました。
Q DMAT(ディーマット)の活動を経て、市民に伝えたいことはありますか?
山本 被災者から「家で揺れを感じ、備えていたヘルメットをかぶって外に出た途端、大きく揺れてアスファルトが割れた」と聞き、まずは身の安全を守る行動をとることが大切だと感じました。また、食料などは最低3日分準備しておくべきだと思います。食料や物資がすぐに届くとは限りません。南海トラフ地震臨時情報が発令された時、水を買うなどの備えをされた方も多いと思います。その備えを日頃からの習慣にしてほしいです。
加藤 能登半島では「トリアージ」と呼ばれる、重傷者を優先した治療を行っている病院もありました。この地域で大規模な災害が発生した場合、市民病院でもトリアージを行うことが想定されます。そのため、物資などを求めて負傷していない方なども市民病院に駆けつけてしまうと救急医療に影響が出てしまう可能性があります。災害時の市民病院は避難所ではなく、救急医療を行う場所となることを知っておいてほしいです。
彦坂 今この瞬間に災害が起こったらどうなるのか想像してみてください。食料・トイレはどうするか。備えだけでなく、家族と安否確認の方法を決めておくことも重要です。豊川市で災害が起きた場合も、他地域からDMAT(ディーマット)が派遣されますが、南海トラフ地震ではあらゆる地域で被害が出ると想定されるため、支援は限られてしまうかもしれません。市民病院だけでも十分な医療が提供できるように体制を整えていますが、皆さんも防災意識を高め、日頃からの備えに取り組んでほしいと思います。
災害派遣医療チーム DMAT(ディーマット)
3つの職種で構成(1チーム4・5人)
医師、看護師、看護師、業務調整員
DMAT(ディーマット)発足のきっかけ
平成7年に発生した阪神・淡路大震災では、医療提供が遅れ、救急医療を受けていれば助かった命が多くあったと考えられています。その経験から、被災地で救命活動を行う組織が必要であると認識され、平成17年、厚生労働省によって日本初のDMAT(ディーマット)が発足しました。豊川市民病院でも平成24年にDMAT(ディーマット)を発足し、平成28年熊本地震や令和6年能登半島地震などの被災地で活動しています。
災害時に行われるトリアージとは・・・
大規模な災害により多数の傷病者が発生した場合に、限られた医療スタッフ、医薬品を効率よく運用し、多数の傷病者を治療するため、重症度や緊急度に応じて治療の優先順位を決めることです。現場では、治療の優先度順に「トリアージタグ」と呼ばれる識別表で赤・黄・緑・黒の色分けを行います。
優先順位1
タグの色:赤
分類:最優先治療群(重傷群)
状態:生命に関わる重篤な状態で、直ちに処置を行えば救命が可能な状態。
優先順位2
タグの色:黄
分類:待機的治療群(中等症群)
状態:多少治療時間が遅れても生命に危険はないが、何らかの治療、処置が必要な状態。
優先順位3
タグの色:緑
分類:保留群(軽症群)
状態:軽傷で、今すぐの治療や搬送は必要がない状態。
優先順位4
タグの色:黒
分類:不処置群(死亡群)
状態:死亡、もしくは回復の見込みがない状態。
特集2 令和5年度決算状況をお知らせします
市では、毎年、皆さんの納めたお金が、どのように使われているのかを知っていただくため、市の決算状況を公表しています。
詳しいことは、財政課(電話:0533-89-2127)へ、お問い合わせください。
なお、こちらでもご覧いただけます。
一般会計
【歳入】
802億4183万円
市税(37.7パーセント)302億5785万円
(市税内訳:個人市民税 109億839万円、法人市民税 14億3763万円、固定資産税 136億3234万円、軽自動車税 5億9960万円、市たばこ税 12億7026万円、入湯税 4704万円、都市計画税 23億6053万円、特別土地保有税 206万円)
国庫支出金(15.6パーセント)125億4475万円
地方交付税(10.5パーセント)84億3888万円
県支出金(7.6パーセント)60億6340万円
地方消費税交付金(5.7パーセント)45億4392万円
市債(5.6パーセント)45億190万円
繰越金(5.4パーセント)43億7851万円
諸収入(3.8パーセント)30億3500万円
その他(8.1パーセント)64億7762万円
【歳出】
755億4733万円
内人件費 118億9478万円
民生費(41.7パーセント)315億3931万円
障害者、高齢者、児童に関する福祉や生活保護などの社会保障
総務費(13.3パーセント)100億5277万円
企画政策、文化振興、交通安全、徴税、選挙など
衛生費(10.1パーセント)76億3866万円
保健衛生、清掃
教育費(8.6パーセント)64億7698万円
学校、社会教育、スポーツ振興
公債費(6.9パーセント)52億2879万円
市債の返済(元金、利子)
土木費(6.6パーセント)50億511万円
道路、橋りょう、河川、市営住宅、都市計画など
諸支出金(4.0パーセント)30億82万円
公営企業への繰出、普通財産の取得
消防費(3.1パーセント)23億3977万円
消防、救急活動、防災
その他(5.7パーセント)42億6512万円
特別会計
【会計別、歳入、歳出】
豊川西部土地区画整理事業、歳入 4億5539万円、歳出 1億3075万円
豊川駅東土地区画整理事業、歳入 1億5869万円、歳出 4617万円
公共駐車場事業、歳入 1億 799万円、歳出 9008万円
国民健康保険、歳入 160億 250万円、歳出 152億7399万円
後期高齢者医療、歳入 30億 777万円、歳出 29億8492万円
土地取得、歳入 1億5049万円、歳出 1億4894万円
一宮財産区管理事業、歳入 57万円、歳出 7万円
赤坂財産区管理事業、歳入 331万円、歳出 143万円
長沢財産区管理事業、歳入 447万円、歳出 217万円
萩財産区管理事業、歳入 1129万円、歳出 661万円
合計、歳入 199億247万円、歳出 186億8513万円
企業会計
【会計区分、収入、支出】
水道事業
収益的、収入 37 億3395万円、支出 31億9935万円
資本的、収入 2億4194万円、支出 17億8313万円
小計、収入 39億7589万円、支出 49億8248万円
下水道事業
収益的、収入 42億2753万円、支出 40億6137万円
資本的、収入 18億5678万円、支出 32億7493万円
小計、収入 60億8431万円、支出 73億3630万円
病院事業
収益的、収入 189億4684万円、支出 190億9115万円
資本的、収入 8億8901万円、支出 18億7791万円
小計、収入 198億3585万円、支出 209億6906万円
水道事業・下水道事業・病院事業の合計、収入 298億9605万円、支出 332億8784万円
豊川市の家計簿
豊川市の財政状況を分かりやすくするために、令和5年度の市の一般会計決算額を市の人口186,066人(令和6年3月31日現在の住民基本台帳人口)で割り、市民1人当たりの金額に換算して、家計で使う項目に例えました。
家計と市の財政では、お金の使い方も規模も違うため単純に比べられないところもありますが、おおよそこのようになります。
収入
給料(市税など):22万5千円
親などからの援助(国・県支出金など):18万2千円
ローンで賄っている額(市債):2万4千円
合計:43万1千円
支出
食費(人件費):6万4千円
医療費(扶助費):10万円
ローン返済(公債費):2万8千円
自宅の増築(普通建設事業費・災害復旧費): 6万1千円
自宅の修繕(維持補修費):7千円
光熱水費(物件費): 5万6千円
お祝い金、町内会費(補助費等): 5万5千円
証券投資(貸付金、投資及び出資金):5千円
子どもへの仕送り(繰出金):9千円
貯金(積立金):2万1千円
来期に支払うお金(翌年度繰越すべき財源):3千円
繰越金(実質収支額):2万2千円
合計:43万1千円
財政の健全度
令和5年度決算に係る財政の健全度を表す健全化判断比率と、公営企業の経営健全度を表す資金不足比率は次のとおりです。いずれの値も基準を下回り、健全であることが分かります。
健全化判断比率
健全化判断比率における実質赤字比率や連結実質赤字比率など4つの指標のうち、確定値が1つでも早期健全化基準以上である場合には、早期健全化が求められます。
【区分、実質赤字比率、連結実質赤字比率 、実質公債費比率、将来負担比率】
確定値、実質赤字比率 ー(△ 9.87パーセント)、連結実質赤字比率 ー(△ 32.98パーセント)、実質公債費比率 △ 0.9パーセント、将来負担比率 ー(△ 89.8パーセント)
早期健全化基準、実質赤字比率 11.40パーセント、連結実質赤字比率 16.40パーセント、実質公債費比率 25.0パーセント、実質公債費比率 350.0パーセント
財政再生基準、実質赤字比率 20.00パーセント、連結実質赤字比率 30.00パーセント、実質公債費比率 35.0パーセント、実質公債費比率 なし
(注記)実質赤字額、連結実質赤字額および将来負担額がないため、「-」と表示しています。
(注記)( )内は参考として黒字の比率を△表記しています。
資金不足比率
資金不足比率とは、事業ごとの資金の不足額が、料金収入などに対してどの程度の比率になるかを示します。確定値が経営健全化基準以上である場合には、早期健全化が求められます。
豊川西部土地、確定値 ー、経営健全化基準 20.0パーセント
区画整理事業、確定値 ー、経営健全化基準 20.0パーセント
豊川駅東土地、確定値 ー、経営健全化基準 20.0パーセント
区画整理事業、確定値 ー、経営健全化基準 20.0パーセント
水道事業、確定値 ー、経営健全化基準 20.0パーセント
下水道事業、確定値 ー、経営健全化基準 20.0パーセント
病院事業、確定値 ー、経営健全化基準 20.0パーセント
(注記)資金不足額がない会計は、「-」で表示しています。
健全化判断比率の指標 用語解説
実質赤字比率
一般会計などの実質赤字の比率であり、これが発生している場合は、単年度の収支均衡が図られていない状態を示します。
連結実質赤字比率
全ての会計の実質赤字の比率であり、これが発生している場合は地方公共団体全体として単年度の収支均衡が図られていない状態を示します。
実質公債費比率
公債費および公債費に準じた経費の比重を示す比率であり、公債費による財政負担の程度を客観的に表します。
将来負担比率
地方債残高の他、一般会計などが将来負担すべき実質的な負債をとらえた比率であり、これが高いほど地方公共団体にとっての将来負担が多いことを示します。
この記事に関するお問い合わせ先
- この情報はお役に立ちましたか?
-
より良いホームページにするために皆様のご意見をお聞かせください。
更新日:2025年01月30日