「広報とよかわ」2025年11月号(特集)
社会を明るくする運動 犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ
全ての人が望む平穏な暮らし。「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行の防止と、犯罪や非行をした人の更生について理解を深め、安全で安心な地域社会を築こうとする全国的な運動です。犯罪や非行をなくすためには、青少年の健全な育成や社会全体で罪を犯してしまった人に寄り添うことが必要不可欠です。
今回の特集では、再犯に関するデータや市内で活動を行う団体の取り組み内容・活動への思いなどを紹介します。詳しいことは、地域福祉課(電話:0533-95-0231)へお問い合わせください。
社会を明るくする運動
「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行のない明るい社会をみんなで目指す運動として、昭和26年に誕生しました。戦後、社会全体が混乱状態にあった日本では、戦争の影響による経済的困難から、犯罪や非行が激増。こうした社会問題への対処として、青少年の健全育成と犯罪をした人の立ち直りを支援する目的で、社会を明るくする運動が提唱されるようになりました。
犯罪や非行のない明るい社会をつくるには、罪を犯した人への直接的な関わり合いだけでなく、更生について知り、理解する人が増えていくことも重要です。犯罪や非行をした人を社会から孤立させない環境をつくることで、犯罪の抑制や更生の促進が期待されます。
市の取り組み
豊川市では、犯罪をした人の立ち直りを支える各種団体が協力して、社会を明るくする運動に取り組んでいます。おいでん祭などでの啓発活動に加え、毎年7月は、社会を明るくする運動の強調月間として、市内各地で啓発活動や中央図書館で関連図書のコラボ展示をしています。また、市内の小学5・6年生と中学生を対象に「社会を明るくする運動」の作文コンテストを行い、若い世代へ、この運動についての理解を深めてもらえるよう、取り組んでいます。
豊川市社明運動推進委員会構成団体
豊川市、豊川警察署、豊川商工会議所、豊川信用金庫、ひまわり農業協同組合、豊川市連区長会、豊川市民生委員児童委員協議会、豊川市社会福祉協議会、豊川少年補導委員会、豊川市青少年育成市民会議、豊川市小中学校PTA連絡協議会、豊川市子ども会連絡協議会、豊川市教育委員会、豊川市小中学校長会、豊川市少年愛護センター、豊川保護区保護司会、豊川市更生保護女性会、豊川保護区協力雇用主会
更生保護を知っていますか?
犯罪や非行をした人を社会の中で適切に処遇し、地域社会の理解・協力を得て、自立や改善更生することを助けることにより、安全安心な地域社会をつくることを更生保護といいます。刑務所や少年院を出ると、通常の社会生活を営んでいくことになりますが、地域社会の中で孤立すると再び犯罪や非行をしてしまうことも少なくありません。立ち直ろうと決意した人を、地域社会で受け入れていくことが重要です。
統計から見る支援の必要性
令和6年版犯罪白書によると全国の「刑法犯検挙人員」は、検挙された人の約半数が、過去に罪を犯した人であることが分かります。
次に、再犯をした人の就職状況を表す「入所受刑者のうち再入者の就労状況別構成比」では、無職の人は有職の人と比較すると男性は約2.4倍、女性は約6.4倍いることが読み取れます。また、仮釈放された人は、保護司などの支援を受けることになりますが、「令和元年出所受刑者の出所事由別再入率(5年以内)」を見ると、保護観察による支援を受ける仮釈放は、保護観察が義務付けられていない「満期釈放など」と比較すると、再犯率が低いことが分かります。
犯罪や非行をした過去を持つことで、社会の中で孤立し、再び罪を犯してしまうというケースが深刻な問題となっています。立ち直ろうとする人たちへの理解を深め、支援していくことで犯罪の減少につながると考えられています。
令和元年出所受刑者の出所事由別再入率(5年以内)
満期釈放など43.6%
仮釈放27.4%
入所受刑者のうち再入者の就労状況別構成比(令和5年)
男性無職率29.5%
男性有職率70.5%
女性無職率86.5%
女性有職率13.5%
刑法犯検挙人員(令和5年)
初犯97,170人
再犯86,099人
【出典】令和6年版犯罪白書
立ち直りを支援する人々
市内には、犯罪や非行をした人の立ち直りを支援する更生保護団体があります。
これらの団体は、地域社会の安全・安心と、未来を支える子どもたちの健やかな成長のために、少しでも役に立ちたいという気持ちから、相互に連携・協働して活動に取り組んでいます。
保護司
法務大臣の委嘱を受け、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える活動を行う、民間のボランティア。保護観察に当たるほか、犯罪や非行をした人が刑事施設や少年院から社会復帰を果たしたとき、スムーズに社会生活を営めるよう、釈放後の住居や就業先などの帰住環境の調整や相談を行う。豊川保護区保護司会では、現在、57名の保護司が在籍。
更生保護女性会
地域社会の犯罪・非行の未然防止のための啓発活動を行うとともに、青少年の健全な育成を助け、犯罪をした人や非行のある少年の改善更生に協力することを目的とするボランティア団体。豊川市更生保護女性会では、現在、291名の会員が在籍。
協力雇用主
犯罪や非行の前歴のために、定職に就くことが容易でない刑務所出所者などを、その事情を理解した上で雇用し、改善更生に協力する民間の事業主。豊川保護区では、協力雇用主会を組織しており、現在、20社の雇用主が在籍。
インタビュー
皆が明るく笑顔で過ごせる社会に向けて
豊川保護区保護司会 会長 稲垣 考俊さん
平成28年に町内会からの推薦を受けたことがきっかけで、保護司になりました。当初は保護司という存在をまったく知らず、任命を受けてから、保護観察所が主体となる研修を受講し、徐々に保護司としての仕事を知りました。保護司の仕事は、保護観察対象者と面談を行い、出所後の生活状況や働き先などの環境を調整すること。なかなか心を開いてくれないことが多いですが、面談を重ねるうちに、その人の人間性が分かってきます。立ち直るために、一緒に決めた約束事をきちんと守ってくれたとき、お互い信じ合って良かったと、とてもうれしく思います。また、担当した人が、再犯に手を染めず、社会に出て働き続けてくれることが何よりの喜びです。皆が笑顔で過ごせる社会にするため、保護観察対象者が再犯をしないよう、一番身近な理解者であり続けたいと思います。
大人と子どもが通じ合う地域に
豊川市更生保護女性会 会長 内藤 幸子さん
平成26年から会長として活動を始めました。更生保護女性会は、更生保護活動、青少年健全育成活動、子育て支援活動の3つの柱を基本に活動しています。出所後に帰る場所がない人などを対象に、宿泊場所を提供する更生保護施設で、定期的に昼食作りのボランティアをしています。
また、子どもの栄養不足解消や地域の交流の場になってほしいという思いから、平成30年に市内で子ども食堂を立ち上げました。子ども食堂では、レクリエーションを一緒に楽しんだり、食事を囲んで会話をしたりすることを大切にしています。大人と子どもが顔見知りの関係であれば、犯罪のない明るい地域になると信じています。未成年の犯罪も多い今、子どもたちの笑顔を地域全体で守っていくために、これからも地道に活動を続けていきたいです。
就労を通して新たな一歩を
豊川保護区協力雇用主会 会長 倉橋 智さん
地域のためにボランティアをしたいと考えていたとき、先代の協力雇用主会長から、誘われたことがきっかけで入会しました。協力雇用主会は、過去に犯罪や非行をしてしまった人を、保護司から紹介を受け雇用し、更生の支援をする団体です。職場での人との関わりは再犯を減らすために重要であると考えています。現在は、建設業の会員が多いため、職種を選択できるよう、他業種も増やしていきたいです。
また、「社会を明るくする運動」の啓発活動にも力を入れています。活動の認知度を上げるため、11月29日の「社会を明るくする運動推進大会」では、更生保護女性会と一緒に子ども向けイベントを開催し、多くの方に来てもらうよう準備をしています。更生保護に対する社会全体の理解を得るため、今後も啓発や雇用を通した活動を続けていきたいです。
豊川更生保護サポートセンターってどんなところ?
更生保護サポートセンターは、地域に根ざした犯罪・非行防止活動を推進するため、市内で活動する更生保護団体の活動拠点です。センターには経験豊富な「企画調整保護司」が常駐し、保護司活動の支援や、保護観察対象者との面談、犯罪・非行に関する相談などに応じています。
社会を明るくする運動作文コンテスト受賞者決定
市内の小学5・6年生と中学生を対象とした「犯罪・非行のない地域づくりや犯罪・非行をした人の立ち直りについて考えたこと、感じたこと」をテーマにした作文の募集に対して、67点の応募があり、選考の結果、次の方が優秀賞に決まりました。
小学生の部 浅見 奏さん(国府小学校6年生)
中学生の部 渡邉 煌さん(南部中学校2年生)
社会を明るくする運動推進大会
日時 11月29日(土曜日) 9:30から
会場 文化会館中ホール
内容 作文コンテスト受賞者の表彰と受賞作品の朗読、デカトワルによる「食と心が未来を変えるから非行・再犯防止への新しい視点から」と題した講演
その他 9:00から9:30・10:00から10:30、文化会館ロビーで、更生保護をテーマにしたクイズ、牛乳パック笛作り、輪投げなどを行います
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更新日:2025年10月31日