「広報とよかわ」2018年4月号（MY COLOR）

MY COLOR

きらっと☆とよかわっ！輝くひとVol．37
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します

声と笑顔で諦めない心を伝えたい

〈アーティスト〉佐野 有美さん

生まれつき手足がほとんどない佐野さん。小さな頃から明るく好奇心旺盛な性格で、唯一ある短い左足の3本の指を使いながら何事にも挑戦した。文字を書いたり、食事をしたりするなど、家族の支えの中、一人でできることが少しずつ増えていった。小中学校は通常学級に通い、周りからの協力を得ることで友人と変わらない生活を送る。

高校では、チアリーディング部に入部。「笑顔で踊る先輩たちに魅了され、何ができるか分からないけど、挑戦したいと思った」部活では、仲間の踊りを見てアドバイスするなどして取り組んだが、「踊れない私が意見していいのかな」という思いが徐々に膨んでいく。そんなとき、顧問の先生に「有美には声があるでしょ。思ったことをちゃんと伝えなさい」と激励された。その言葉をきっかけに、積極的に仲間へ意見を伝えることに加え、踊りを披露する前のMCを務めるなど、声でチームを支えるようになる。人の役に立てる喜びに気付くとともに、「いつか声を生かせる仕事をしたい」と夢を持つようになった。

高校卒業後は、一般企業に就職。事務として働いていたが、高校での活躍が取り上げられた新聞記事を見た出版社から連絡を受け、自叙伝や自身を励ますために書きつづってきた詩集を出版することになる。それを機に、マネジメント事務所に所属し、アーティストとして活動し始めた。そんな中、詩集がレコード会社の目に留まり、曲にしたいと声が掛かる。佐野さん自身が歌った曲は、多くの人の共感を呼び、その年の日本レコード大賞・企画賞を受賞した。「支えてくれた方々に感謝の気持ちでいっぱいだった」と振り返る。

その後、ドラマのヒロインや東京コレクションのモデルに起用されるなど、幅広い仕事に挑戦。現在は、声を生かし、全国各地で精力的に講演活動を行い、諦めないことのたいせつさや、誰にでも何かできることが必ずあるということを伝えている。「私の言葉が、少しでも誰かの力になってくれると本当にうれしい。出会いに感謝しながら、みなさんに諦めない心を伝えていきたい」と、笑顔を届け続ける佐野さんを応援したい。

プロフィール

佐野 有美（さの あみ）

桜町小、代田中、豊川高校を卒業。高校在学時、手足のないチアリーダーとして話題となる。2011年、自ら書いた詩をもとに作られたCDアルバム「あきらめないで」で第53回輝く！日本レコード大賞・企画賞を受賞。現在、全国各地で講演を行う他、歌手活動や執筆活動をするなど、車椅子のアーティストとして多方面で活躍中。