「片付けられない小学校の先生」が、整理収納のプロになる
整理収納アドバイザー・かおるこさん

豊川市在住の、かおるこさん。SNSのフォロワーは約21万人、出版した書籍は累計1万部を超え、全国700人以上の整理収納アドバイザー2級認定講師の中から「優秀講師」に選ばれるなど、今や整理収納の分野で注目を集める存在だ。そんな彼女だが、実は数年前まで「片付けられない小学校教員」だった。
三つ子を含む4人の子育てに奮闘しながら、どのように人生を変えたのか。
三つ子の育児と、モノであふれた新居
広島生まれ、4歳から豊川で育った。当時人気だった学園ドラマの先生に憧れたことや、祖父が教員だったことなどがきっかけで、自分も教員を志すように。地元の中高を卒業し、関西の大学で歴史を学んで教職課程を取った。地元に戻ったものの、教員採用試験に苦戦し、学童保育の指導員や非常勤講師を経験したのち念願の小学校教諭となった。
その後、地元の同い年の男性と結婚。2013年12月に三つ子を授かった。「双子ならまだしも、自分にとって三つ子は物語の世界の出来事みたいに思っていたのでびっくり」。

三つ子妊娠中で安城更生病院に入院中
マイホームが完成したのは妊娠中。引っ越しの荷物整理もままならないまま2か月の管理入院になったが、安静に努めて無事出産した。ただ三つ子はみな未熟児だったため40日間の入院が必要となり、毎日片道1時間かけて母乳を届ける日々が始まった。晴れて手に入れた新居はといえば、ごちゃごちゃのまま。
2016年1月には4人目が誕生。乳幼児4人を抱えた家は、まるで保育所のようにおもちゃであふれ返っていた。


きっかけはSNSの一枚の写真
「子どもがいてもこんなにスッキリ暮らせるんだ!」
2016年夏、SNSで見かけた素敵なインテリアの投稿に衝撃を受けた。それまでの自分は、「とりあえずモノが見えなくなればいい」と引き出しに押し込むタイプ。子どもの時からズボラで、大学時代の一人暮らしも物でごちゃごちゃ、新婚時代も夫婦揃って片付けが苦手だった。「私もあんなふうにきれいにしたい」。
最初は形から入ってみた。カラフルな棚を白いものに変え、大量の収納ケースを購入。しかし2年間、リバウンドを繰り返すだけで解決しなかった。
転機になったのは2018年末の大掃除。一念発起で大量の服を手放してみた。するとクローゼットに余白ができ、心まで軽くなった。物を減らすこと(整理)の重要性に気づいた瞬間だった。

形から入った時に購入した大量の白色収納ケース

2018年の大掃除で処分した大量の服
片付いた家の写真をSNSに投稿し始めた、ある日、「昔はこんなに汚かったんです」とビフォー写真を載せたところ、共感のコメントが殺到し、フォロワーが一気に増えた。「同じ悩みを抱える人たちに、この経験を伝えたい」と思い始める。その矢先、子どもの長期入院、4人の育児と教員の両立の限界が重なり、2019年5月、教員を退職。教員の仕事が好きだったので悩んだが、SNSを軸に自宅で仕事をしていくことを考え、独立という道を選んだ。

SNSで反響のあったリビングのbefore写真

上の写真のafter写真
講師資格は合格率約15パーセントの難関
片付けのプロとして活動していきたいと思うようになり、2021年5月に整理収納アドバイザー1級を取得。自分流のやり方がブラッシュアップされ、どんどん自宅はあか抜けていった。
さらに元教員としての経験を活かし、「教える仕事」をしたいと考え、認定講師の資格に挑戦した。しかし合格率約15%の難関で、なかなか合格できない。「それでも諦められなかったんです。片付けられなくて悩んでいる人に、『大丈夫ですよ』と伝えたかったから」。
認定講師の資格を手に入れたのは4回目の挑戦だった。現在は毎月オンラインで整理収納アドバイザー2級の認定講座を講師として積極的に開催。全国700人以上の中から年間3人だけが選ばれる「優秀講師」に2度選出された。(2023年度、2025年度)集客数や受講生の満足度が評価されたことは、大きな自信になった。
認定講座で心がけているのは「相手に寄り添うこと」。片付けられない悩みは、時に人を深く追い詰める。「私も同じ経験をしたからこそ、共感しながら一歩を踏み出すお手伝いをしたいんです」。
今は、受講した生徒さんから、「ゴミ袋を何個も出せました!」などと報告をもらうのが何よりの喜びだ。

オンラインで講座を開催している様子
初の出版 片付け本がヒット!
2025年9月5日、サンクチュアリ出版から書籍『元小学校の先生が教える いちばんやさしい片づけの授業』を出版した。編集担当と半年以上かけて企画を練り上げ、元教員らしく「授業形式」で構成。写真だけでなく、論理的なメソッドを詰め込んだ。整理収納の本は写真メインのものが多いが、この本は文章が多め。だからこそ「根本から理解できた」という声が多く寄せられている。初版8,000部は3刷重版され、現在は累計1万4,000部を達成した。さらには、海外(台湾)での翻訳出版も決定した。
「ひとつだけみなさんへのアドバイスをするなら、収納よりまずはモノの整理をしっかり進めることですね。収納グッズを先に買って詰め込み、リバウンドする人は多いです。ですが、今の自分に必要なモノを選ぶ、整理を先に行うことで、収納が驚くほどラクになります」。

豊川市の書店に並ぶ書籍

イオンモール豊川の豊川堂で行った出版トークイベント
地元に恩返し 活動を広げたい
初出産の時、三つ子の子育ては苦労が絶えなかった。一人が泣くと連鎖して全員泣き出し、授乳とおむつ替えを3人分こなすだけで1時間半。それが終わって寝ようとすると、また次が泣き出す。出かけるときには双子用ベビーカーに2人、もう1人は抱っこ紐。スーパーのレジも通れず、買い物は母親が来た時に頼る生活だった。
そんな中で出会ったのは、豊川市社会福祉協議会「ウィズ豊川」で活動している多胎児サークル「ラブにこ」。「このサークルで同じ境遇のママたちとおしゃべりをして、子育ての励みになっていましたね」。
こうして育った我が家の三つ子も小学6年生、下の子は4年生。「片付けも毎日完璧とはいきませんが、どうすれば自分で片付けられるかを親子で試行錯誤しています。これからは家庭科の授業だけでは伝えきれない片づけの大切さを、地元の学校や企業のセミナーを通じて、一人でも多くの方へ届けていきたいと思っています」。

三つ子育児中に公園で遊ぶ様子

お子さんが片付けをする様子

片づけ後の子供部屋の写真
DATA

かおるこ(KAORUKO)
広島県生まれ、豊川市育ち。三つ子を含む4児の母。小学校教員を経て、2019年に独立。整理収納アドバイザー1級。認定講師(NPO法人ハウスキーピング協会)として毎月講座を開催し、全国700人以上の講師の中から3人の優秀講師のひとりに2度選出された(2023年度、2025年度)。
全国でのセミナーも行っている。
2025年に『元小学校の先生が教える いちばんやさしい片づけの授業』(サンクチュアリ出版)を出版。
累計1万4,000部を突破し、海外での翻訳出版も決まるなど、話題を呼んでいる。



更新日:2026年03月25日