みんなに届け!茶葉から淹れた日本茶の魅力

更新日:2026年01月20日

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1_34cafe(いさしカフェ)オーナー 井指りか
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世界中で広がりをみせている日本茶ブーム。特に抹茶は、海外でも需要に供給が追いつかないほどの人気ぶりだ。しかし日本国内に目を向けると、近年はペットボトル飲料としてのお茶の消費が拡大し、急須や茶葉で淹れるお茶(リーフ茶)の消費は大きく減少。茶業界全体は危機的状態に直面しているという。そんな中、若年層にもリーフ茶の美味しさを知ってもらい、日本茶文化の魅力を残そうと、製茶問屋の娘たちが豊川市内に日本茶専門カフェをオープン。気軽に本格的な日本茶やスイーツを楽しめると、好評だ。その中心的存在となっている、店長の井指りかさんに開業のエピソードや想いを聞いた。

老舗製茶問屋 いさし園は生活の一部

我が家は曽祖父の代から続く創業79年の老舗製茶問屋「井指製茶株式会社」。現在は父が3代目を務めている。工場には、今では国内で3台しかないレンガ造りの「鉄釜砂煎り焙煎機」がある。その焙煎機で職人さんが作る麦茶は香ばしく風味豊かで、いさし園の看板商品になっている。
 

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レンガ造りの「鉄釜砂煎り焙煎機」


 

りかさんは長女で、次女のひかるさん、三女のかれんさんの3姉妹。物心がついた頃から「いさし園」が生活の中にあった。小学校低学年頃になると夏休みや繁忙期には、従妹の光音(みお)さんも合わせた4人がそれぞれ、パートさんのお茶詰めの仕事などを手伝った。小さな会社なので、従業員の方々はずっと家族のような存在だった。
性格は積極的。生徒会活動などに進んで参加した。さらに好奇心旺盛で、地元を離れて大阪の大学に行ったのは「外のものを見てみたい。いろいろ知りたい」という気持ちが強かったからだ。その一方で、小さい頃から「いずれは自分が井指製茶の跡を継ぐ」と自覚していて、大学では経営学を学んだ。商品開発のゼミに入ったり、ビジネスコンテストに出たりして、「この先、いさし園で自分ができることは何だろう」と常に考えていた。

幼いころの3姉妹と祖母

幼いころの長女・りかさん、次女・ひかるさん、従姉妹・光音さんとおばあ様

青天の霹靂!カジュアルな日本茶カフェを作ることに

製茶業を継ぐとしても、卒業したらまずは就職して色々な経験を積もうと考えていた大学時代。新型コロナウイルス感染症が発生し、お茶業界も大きな打撃を受けた。3年時の就職活動のタイミングで、家業の将来に危機感を持った父から、「日本茶カフェにチャレンジする。任していいか」と相談を持ちかけられた。突然のことで戸惑いはあったが、新しいことに挑戦するのは大好き。引き受ける決心をした。

社長のお父さん

井指製茶社長の父


 

そこから大学卒業時のオープンを目標に、急ピッチで準備を開始した。カフェづくりは父を含めて全くの素人。いろいろな分野の父の友人たちにも助けてもらって試行錯誤で進めた。在学中の自分は大阪からzoomで打ち合わせに参加し、現地のことは地元の学生だった妹たちや飲食店勤務の経験がある従妹などが大きな力になってくれた。

和の茶房をイメージしていた父と意見をぶつけあいながら、最後は姉妹で考えた「本格的な日本茶をカジュアルに楽しめるカフェ」にコンセプトが決まった。

「若者たちも気軽に立ち寄れる、日本茶を身近に感じられるカフェを作ろう!」

大学在学中は大阪からZOOMで会議に参加

大学在学中は大阪からZOOMで会議に参加

カフェオープンに向けたミーティング

カフェオープンに向けたミーティング

3姉妹で全国各地のカフェを視察

3姉妹で全国各地のカフェを視察

お茶の生産者さんを訪ねて、茶摘み体験

お茶の生産者さんを訪ねて、茶摘み体験

想いが詰まった1_34cafe(いさしカフェ)誕生

カフェの場所は、幼い頃から慣れ親しんだ製茶工場をリノベーションした。昔ながらの梁(はり)や壁を再利用。今も稼働している麦茶の焙煎機と職人さんの姿が、カフェ店内からいつでもガラスを通して見えるようにした。古き良きものと新しいスタイルのバランスが難しかったが、こだわりの素敵な空間が出来上がった。

店名は「1_34cafe(いさしカフェ)」。当て字の1_34には、数字の“2”がないことで“2つとない”唯一無二の意味を込めた。

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工場の梁などを活用したカフェ店内

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工場の一角をリノベしたカフェ。窓越しに作業場が見える

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麦茶の焙煎を担う職人さん


 

名前を知ってもらうのと什器の資金確保のため、クラウドファンディングにも挑戦。それをきっかけにメディアにも取り上げていただき話題になり、オープン時には県内外から多くのお客さんが訪れてくれた。

1_34cafeのオープン時の記念写真

オープン時にみんなで記念撮影

麦茶ラテやほうじ茶ラテ。こだわりの和洋スイーツも

ドリンクは、ティーカップで飲むこだわりの日本茶をはじめ、試作を繰り返して完成した、麦茶やほうじ茶のラテなど。スイーツは、お菓子作りが好きな次女が、当時学業のかたわらカフェなどで修業をして抹茶のバスクチーズケーキなどを用意した。自家製にこだわっているので、開店当初は、慣れない仕込み作業が夜中までかかることがしょっちゅうで、目が回りそうだった。それでもみんなで踏ん張った。

2年が経ち、次女と三女が就職や学業で店を離れるなど状況は変わったが、今では自分と従妹、アルバイトさんだけで要領よく店を回せるようになった。色々なことを考える余裕もできた。

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自家製のあんこを仕込んだり、忙しい厨房

一三四茶と抹茶のバスクチーズケーキ

1_34cafeのメニュー:一三四茶と抹茶のバスクチーズケーキ

加賀棒ほうじ茶と麦どら焼き

1_34cafeのメニュー:自家焙煎麦茶と麦どら焼き

リーフティーの美味しさ伝わり感動。もっと外へ

カフェに来てくれた若い人たちが「ペットボトルでしか飲んだことがなかった。リーフティーって美味しい。全然違う」などと驚いてくれるのがうれしい。友達同士で訪れた若者が、再び家族を連れて来てくれた時にも感動した。

さらに、そういう若い人たちの中には販売店にも立ち寄ってくれ、茶葉を買ってくれる人たちも。カフェができるまでは常連さんが主なお客さんだった。井指製茶全体としてもいい効果があったこと、ペットボトルでないお茶の魅力が少しずつでも伝わっていることを実感している。
営業は日中が中心だが、現在、週に1度は夜カフェを開いており、評判がいい。今後は、お茶を使ったアルコールやおつまみの提供もしていこうと思案中だ。さらにカフェの運営体制も整ってきたので、これからはイベント出店などをしてもっと外部に周知できるようにしたい。

4代目候補として、井指製茶全体の運営も知っていく時期なのかなと考えている。

夜カフェ営業日の外観

夜カフェ営業日

イベント出店

イベント出店でお茶の魅力を伝える

お茶を通じて豊川を盛り上げたい!

プライベートでは、休日には趣味のサウナを楽しんでいる。市内にある日帰り温泉施設「本宮の湯」に出かけて、ロウリュウサウナで身も心もリフレッシュだ。
豊川市で生まれ育ち、子どもの頃から「豊川市を盛り上げること」は、自分がやりたいことの一つ。現在はふるさと納税の返礼品をやらせてもらっているが、今後、もっと一緒にいろいろなことができたらいいなと思っている。

イベント出店時

DATA

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井指 りか (いさし りか)

豊川市出身。老舗お茶問屋の娘で、三姉妹の長女。

大阪の大学卒業後、井指製茶株式会社に入社した。

2023年に、姉妹+従妹で、日本茶カフェ「1_34cafe」をオープン。

カフェの経営をしながら、4代目井指製茶代表を目指して修行中。

1_34cafe外観

1_34cafe(いさしカフェ)

豊川市で80年続く製茶問屋“井指製茶株式会社”

井指製茶から生まれた日本茶カフェ