サーフィン・ロングボードでブリスベン五輪へ

更新日:2025年08月26日

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中学生プロサーファー 山口晴菜
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ハワイ発祥のスポーツ「サーフィン・ロングボード」。長い歴史を持ち、半世紀ほど前にはショートボードも生まれ、サーフィンは世界的に人気のスポーツとして、今も多くの人たちが波を求め、海を訪れている。
伝統あるロングボード競技で2025年6月、豊川市の中学3年生、山口晴菜さんがプロの称号を手にした。県内初、中学女子のプロ・ロングボーダーの誕生だ。

「目標は、2032年のブリスベンオリンピックへの出場!」。トレードマークのはじける笑顔と、負けん気の強さで山口さんは世界を目指す。

毎週末は海へ 。 最初は水嫌い!?

親が熱烈なサーフィン好きで、自分も物心がついた頃にはいつも海にいた。渥美半島の赤羽根周辺を中心に活動。当時は車で2時間かかる地域に住んでいたが、小学4年生になる時に豊川市内に引っ越してきた。

幼い頃は水が怖かった。海が大好きな3つ違いの姉は常に海の中にいて、そんな姉を横目に、自分はいつも砂浜で遊んでいた。そんな自分がサーフィンを始めたきっかけは、上手なサーファーを見て「あんな風にやれたら楽しいだろうなあ」と、すごくうらやましく感じたこと。気持ちのスイッチが入ると、水への恐怖も減ってきて、波に乗ることがどんどん楽しくなった。
 

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砂遊びが好きだった幼い頃。姉(右)と一緒に

どんどんサーフィンにのめり込む

豊川市立桜木小学校の高学年になると、より本気でサーフィンに打ち込むようになった。6年生で初めて全国大会に出場。しかし思ったような成績が出せず、とても悔しかった。「次は負けたくない」。そこからますますのめり込んだ。

技術を向上させるためにしたのは上手な人の技を見て真似ること。その点でYouTube動画は優秀な先生だ。迫力あるサーフィンが好きで、憧れの選手は男性サーファーが多い。その技を自分のサーフィンに取り込もうと練習し、それがアクティブに攻める自分のスタイルにつながっている。

練習は主に週末。大会前には平日の学校終わり、比較的海がすいている夕方に出かけ、日が暮れるまで波に乗ることもある。

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サーフィンがどんどん好きに(右)

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小学校の運動会で(前中)

中学はバレー部。 友だちと過ごす時間も楽しい

スポーツは得意で、豊川市立東部中学校ではバレー部に所属。走ることも好きで、リレーではアンカーを任されることが多い。握力はすごく強く、40キログラム(中学女子平均20キログラム台)。母からはよく「水筒をきつく締めすぎないでね。開かないから」と注意をされるくらいだ。海に出かける週末は部活動に参加できないが、友だちと過ごす時間が楽しくて、学校生活にも満足している。

大けがを乗り越えて 中2で全国優勝

中学1年の4月にプロ資格を取るトライアルに挑戦。ところが、競技中にボードの裏についているフィンが足に刺さって、8針縫うケガを負う。途中棄権に大号泣したが、落ち込まず前を向いた。ケガの回復とともに大小の大会を経験し、中学2年の7月には福島県で開催された「第41回全日本級別サーフィン選手権大会」のロングボード女子の上位クラスで優勝。その後の大会に弾みをつけた。

大一番で高熱。でもあきらめない! 2024年にランキング1位に

その勢いのまま、9月に宮崎県であった「第58回全日本サーフィン選手権大会」のLWウィメンクラスに出場。自分のクラスは2日間の日程で、1日目を順調に終えた時、激しい頭痛と高熱に襲われた。食事も喉を通らず、ただただ水分を取って安静にし、2日目に備えるしかなかった。自分の中ではリタイアという選択はなかった。以前にも熱で体調を崩し、優勝を逃した大会があったからだ。今度は絶対に負けたくないと思った。

大会2日目は3試合。結局体調が戻らないまま出場した。1試合ごとに横になりながら、気力と、積み上げたテクニックで勝ち上がり、ファイナルへ。満足できる内容ではなかったが、悔しさをバネに優勝をつかみ取ることができた。終わった後はふらふらだった。
2024年は大小11大会に出場し、そのうち9大会で優勝し、「日本サーフィン連盟(NSA)統合ポイントランキング」のLWオープンクラス(全世代の女性)で年間ランキング1位を獲得。実り多い1年だった。
 

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母と喜びを分かち合った(全日本サーフィン選手権大会、2024年)

ついにプロサーファーに! 高校生以下では県内初

2025年、中学3年生になった。それでも「海に通い、波に乗る」という生活は変わらない。そんな中、6月に出場した千葉県で開かれた国内リーグの2部に相当するS.TWO第1戦「井戸野浜オープン」に出場し、念願だったプロ公認を手に入れた。とても、うれしかった。

ロングボードサーフィン女子では、県内で歴代最年少のプロ入りだ。なによりも目標にしている2032年のブリスベン五輪出場への第一歩が踏み出せた。次のロス五輪では実現しなかったが、ブリスベンでは正式種目に「サーフィン・ロングボード」が選ばれると信じ、そうなったら必ず出場権を勝ち取りたい。日本代表は狭き門だけれど、どんどん上を目指していきたいと思っている。

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2025年6月 担がれてプロ公認を実感

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プロ公認のインタビュー

サーフィンも豊川も大好き

サーフィンの魅力は、自然を相手にする難しさと同時に、楽しさを実感できること。波を自分のものにする感覚は、まるで自然と一体になった瞬間のよう。すごく楽しいので、やめたいと思ったことは一度もない。

サーフィンのために東三河に引っ越してきて、親は住みやすさなどを考えて悩んだ末に豊川市を選んだそう。今も「その判断は間違っていなかった」と言っているほど。自分も、自転車でどこまでも行けて、自然も豊かで、学校の雰囲気も良いこの地域が大好き。クラスメイトたちも自分の状況を理解してくれ、大会前には「行ってらっしゃい。頑張って!」とエールを送ってくれるのが本当にうれしい。

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DATA

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山口 晴菜(やまぐち はな)

豊川市在住の中学3年生。サーフィンロングボードプロ選手

2024年のNSA統合ポイントランキングLWオープンクラス1位 

2025年6月県内初となる、18歳以下の女子プロサーファー公認を獲得