「広報とよかわ」2016年7月号(MY COLOR)
更新日:2016年7月1日
MY COLOR
きらっと☆とよかわっ!輝くひとVol.16
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します
読者と真剣に向き合い面白い絵本を描き続けたい
〈絵本作家〉壁谷 芙扶さん
小さい頃から絵を描くことが大好きだったという壁谷さん。親戚のおばさんに「絵が上手だから、絵を描く仕事をしたらいい」と言われたことがずっと心に残り、将来は絵の仕事をしようと、美術系の短大に進んだ。
卒業後、地元では希望にかなう絵の仕事が無かったため、やむなく服飾関係の会社に就職した。5年が過ぎた頃、やはり絵の仕事を諦めきれず、仕事の傍らイラストレーターの学校に通い始めるも、その矢先に、会社をリストラ。これを機に、自宅で精力的に絵を描く日々を過ごした。そして、憧れだった子ども向けファッション誌「VOGUE bambini(ヴォーグ・バンビーニ)」に当たって砕けろの精神で絵を送ったところ、まさかの採用。念願だったイラストレーターとしての仕事が始まった。
その後、両親の後押しもあり、本格的に絵の仕事をするため上京を果たすものの、仕事の当てがあるわけではなかった。ひたすら出版社に絵を売り込む中で、「絵を描くためには、どんなことでも体験したほうがよい」という先輩からのアドバイスもあり、何でも前向きに取り組んだ。この結果、少しずつ仕事の依頼が増え、大手スーパーの広告デザインを任されるまでになる。しかし、「実力不足だった」というように、相手の高度な要望に応えることができず、気が付くと仕事がまったく無くなっていた。
そんな折、展覧会の作品を見た出版社から絵本の依頼を受ける。全力で取り組んだデビュー作が、国際的な絵本原画展で入選し、名前が知られることとなった。
絵本作家となり数年が経った頃、ベテラン編集者から「君は本を買ってもらうということが分かっていない」とプロ意識の甘さを指摘された。このことで、絵本を作ることの責任を強く感じるようになったという。「読者と誠心誠意向き合うことをたいせつにし、自分が面白いと思う作品を作っていきたい」と思いを込める。
「将来は、豊川にアトリエを建てて、子どもの頃の出来事を題材にした絵本をつくりたい」と語る壁谷さん。これからも、楽しい絵本を送り出してくれる彼女を応援したい。
プロフィール
壁谷 芙扶(かべや ふよう)
国府保育園、国府小、西部中、光ヶ丘女子高校、名古屋造形芸術短期大学を卒業。民間企業を経てイラストレーターとして独立。処女作「だったらいいな」がボローニャ国際絵本原画展で入賞。2016年には国府保育園を舞台に絵を描いた「へそのかくれが(文時中西 翠、出版社時アリス館)」を出版