「広報とよかわ」2020年11月号(モノ、ヒト、シゴト)
更新日:2020年10月30日
モノ、ヒト、シゴト TOYOKAWA PRODUCE
産業が盛んな豊川市。「モノ、ヒト、シゴト」では、豊川市が誇るモノづくりと、それに携わるヒトを紹介します。
vol.19
「前例のない」への挑戦
シンニチ工業株式会社 普通鋼管課・飯田 知史さん
無二の大径薄肉鉄パイプ
創業以来、金属パイプを製造するシンニチ工業。特に、独自技術により生み出される鉄パイプは、直径の大きさと板厚の薄さで他の追随を許さない。製造を担当する飯田さんは、「重要なのは、パイプを使う人にとって使い勝手のいいものを作ること。難しい要望にも、培ってきた技術力で応えている」と話す。
実現した薄さと柔らかさ
農業・建設機械や工事現場の分野で使われる直径の大きな鉄パイプ。厚く重量があるため、軽量化や省資源化などが各分野から求められてきた。シンニチ工業は思いに応えようと、創業当時から前例のない薄いパイプ製造に挑戦している。鉄パイプは、板状の鉄に力を加え、徐々に丸めて溶接し製造される。板厚が薄いと接着面積が小さく溶接が難しくなるため、厚みのないパイプ製造は困難とされていた。「重要なのは成型・溶接時の力の加え方。細かな調整を施すことで、ズレのない美しいパイプが出来上がる」。職人の技術により、一般的な板厚の3分の1以下となる薄い鉄パイプを実現させた。また、シンニチ工業の鉄パイプは柔らかく、多くのパイプ加工業者から支持を集めている。鉄は、繰り返し力を加えると硬くなる性質を持つ。硬い鉄で作られたパイプを曲げたり拡げたりすると、割れが発生しやすい。そのため、力を加える工程を少なくすることで、柔らかさを残している。「少ない工程での成型は容易ではないが、使いやすいパイプを提供するためには不可欠」と語る。
寄り添ったモノづくり
常に顧客に寄り添い、ニーズに合わせたパイプを作り出してきたシンニチ工業。「受け継がれてきた技術力を生かし、これからも当社にしか製造できないパイプを作っていきたい」と話す飯田さん。世に役立つパイプメーカーを目指し、職人のモノづくりは続く。
シンニチ工業株式会社 平尾町天間48
1970年創業。大径薄肉パイプ(鉄・ステンレス・チタン)の専業メーカー。中でも鉄パイプは、独自技術により、他社では真似できない大径で薄肉のパイプを製造している。