パブリックコメント「豊川市建築物耐震改修促進計画(案)」テキスト版資料 第4章
更新日:2013年1月4日
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第4章耐震化促進の方策
1.耐震化に向けた役割分担
住宅・建築物の耐震化を促進するためには、住宅・建築物の所有者等が地域防災対策を自らの問題、地域の問題として認識することが重要です。
国や愛知県及び本市は、本計画で示している耐震化目標を実現するため、こうした所有者等が住宅・建築物の耐震化を進めやすいよう各種施策により支援を行います。
東海地震及び東南海地震の懸念がある中で、これまで以上に迅速に耐震化を進めていく必要があることから各主体の役割分担を明確化し、所有者等にとって耐震化を行いやすい環境の整備や負担軽減のための制度の構築などに取り組み、耐震化の実施の阻害要因となっている課題を解決します。
図 国・愛知県・本市・所有者等の役割分担
国は、耐震改修支援センター等と連携し「耐震改修等の促進を図るための基本的な方針の策定」「公共建築物の耐震化の促進」「所有者等の費用負担の軽減等」「専門家・事業者の育成及び技術開発」「地域における取り組みの推進」「その他の地震時の安全対策の支援」を進めます。
県は、愛知県建築物地震対策推進協議会、住宅供給公社、都市再生機構、特定有料賃貸住宅等公的賃貸住宅、耐震改修評定機関等及び所有者と連携し「県耐震改修促進計画の策定」「公共建築物の耐震化の促進」「法に基づく指導等の実施」「所有者等の費用負担の軽減等」「相談体制の整備及び情報提供の充実」「専門家・事業者の育成及び技術開発」「地域における取り組みの推進」「その他の地震時の安全対策」を進めます。
本市は、所有者や町内会等と連携し、「本計画の策定」「公共建築物の耐震化の促進」「法に基づく指導等の実施」「所有者等の費用負担の軽減等」「相談体制の整備及び情報提供の充実」「専門家との連携」「地域における取り組みの推進」「その他の地震時の安全対策」を進めます。
所有者等は、県や本市と連携し「耐震診断の実施」「耐震改修の実施」を進めます。
2.促進体制
(1)耐震化促進の体制整備
円滑な住宅・建築物の耐震化の促進のためには、関連する機関や団体等と連携して指導を進めるとともに、計画の進捗状況等の情報を共有して的確に取り組むことが重要です。
1)愛知県との連携
連絡、協議体制の整備による連携・協力体制の強化や情報の共有化
本市は、限定特定行政庁※として特定建築物の一部(建築基準法第6条1項第4号に該当する建築物)に対して耐震改修促進のための指導等を実施します。
また、上記に該当する建築物以外の耐震化については、地域の状況を踏まえ、愛知県耐震改修促進計画との整合を図りつつ本計画を策定しており、より的確に耐震化を推進するために、継続的に愛知県との連絡、協議体制の整備による連携・協力体制の強化や情報の共有化を図ります。
※限定特定行政庁
小規模な建築物(4号建築物)に限り、建築基準法に基づく事務を行う役所。
4号建築物とは次の条件に当てはまるものをいいます。
木造の場合(すべてに該当)
- 2階建て以下
- 延べ面積500平方メートル以下
- 高さ13m以下かつ軒の高さが9m以下
木造以外の場合(すべてに該当)
- 1階建て
- 延べ面積200平方メートル以下
※劇場など不特定多数の人が出入りするような用途の部分が100を越える場合には4号建築物になりません。
2)公共施設管理者間の連携
広域的な役割・優先性を考慮した耐震化を進めるための他の公共機関との協調・連携
多数の者が利用する特定建築物のうち、災害応急活動に必要な建築物など特に耐震化を優先すべき建築物には、公共機関が所有する建築物が多く含まれます。このため、本市においては、これらの公共機関と協調・連携して広域的な役割や優先性を精査し円滑・効率的に耐震化を推進します。
3)協議会の取り組みの拡充(愛知県)
愛知県建築物地震対策推進協議会への協力
愛知県、本市を含む県内全市町村及び(社)愛知建築士会を始め10の建築関係団体で構成される「愛知県建築物地震対策推進協議会※」の取り組みに対して協力を行います。
※愛知県建築物地震対策推進協議会
「建築物の総合的な地震対策の推進を図るため、耐震診断や耐震改修等の普及・啓発等、建築物の震前対策の推進と、地震により被災した建築物及び宅地の危険性を判定する被災建築物応急危険度判定制度及び被災宅地危険度判定制度の適正な運用と連携を図ることにより、県民生活の安全に資する」ことを目的として設立されています。
4)専門家との連携
建築士登録制度などにより、本市に所在する建築設計事務所と連携し、重点的に耐震化を進める区域において耐震診断を進める体制の構築を図ります。
また、これらの市内の専門家と市職員の連携により、重点的に耐震化を進める区域を中心として「耐震診断ローラー作戦」を実施します。
5)住民組織との連携
住宅・建築物の耐震化への取り組みは、最終的にはそれぞれの所有者が耐震改修を行うことにより実現します。個別の対応ではなかなか進まないことが予想される耐震化ですが、地域の住民組織を活用することで、効率的・効果的に耐震化を進めていくことが可能となると考えます。
このため、地域単位を基本とし、町内会等と協力することで耐震化を促進します。特に重点的に耐震化を進める区域については、早期に町内会等との連携を図り、説明会等を通して耐震化を促進します。
(2)耐震診断・耐震改修の相談窓口の充実
本市では、建築課において、住宅・建築物の耐震化をはじめ、建築全般について相談窓口を設置し、相談に応じています。
また、愛知県及び関係団体と共同して市内で開催される地震防災講演会等において、耐震化をはじめとした住宅の相談に応じています。
これらの窓口については、地震防災マップや地震防災パンフレットに記載し、戸別配布により、今後さらに住民への周知を図ります。また、今後も、既存の相談窓口を通して、耐震診断・耐震改修の相談に応じるとともに、相談窓口を充実します。
(3)耐震改修の認定体制の整備
耐震改修促進法第8条に基づく耐震改修計画の認定については、所管行政庁が適切かつ速やかに行う必要があります。このため、本市は、限定特定行政庁※1として小規模な建築物(4号建築物)について計画を認定※2します。その他の建築物については、所管行政庁である愛知県が計画を認定します。
今後は本計画の周知に伴い所有者の意識が向上し、耐震改修計画の認定申請が数多く出されることが想定されることから、多様な建築物についての耐震診断の審査や耐震改修計画の評定の技術水準を確保し、耐震改修計画の迅速な認定に繋げるため、建築構造専門家の協力を得て地域の総力を挙げ、耐震診断の審査や耐震改修計画を評定する体制を整備することとします。
※1 「※限定特定行政庁」参照
※2 計画の認定
(建築物の耐震改修の促進に関する法律)(平成七年十月二十七日法律第百二十三号)(抜粋)
第八条 建築物の耐震改修をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
2 前項の計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 建築物の位置
二 建築物の階数、延べ面積、構造方法及び用途
三 建築物の耐震改修の事業の内容
四 建築物の耐震改修の事業に関する資金計画
五 その他国土交通省令で定める事項
(4)地震防災マップの作成
市民や建築物の所有者等に地震災害に対する危険性を認識してもらい、地震防災対策が自らの問題・地域の問題として意識できるよう、地震による危険性の程度を示す地図(地震防災マップ)を作成し、住民に情報提供を行います。
図 地震防災マップの例
住民の皆さんに配布する地震防災マップの作成事例を図で示しています。
(5)地震防災パンフレットの作成
市民や建築物の所有者等に本計画の内容を知ってもらい、耐震化を促進するために、本計画を簡易に表現した地震防災パンフレットを作成し、全戸に配布します。
3.重点的に耐震化を進める区域の設定
(1)重点的に耐震化を進める区域の設定基準
重点的に耐震化を進める区域は、定量的及び定性的な指標から設定しています。
定量的な指標・・・
建物倒壊率※1(2.3%以上)及び木防建ぺい率(20%以上)※2
定性的な指標・・・
市街化区域のうち救援・復興に重要な緊急輸送路及び市が設定する地震発生時に通行を確保すべき道路の沿道
鉄道駅周辺(鉄道駅及び周辺において建物倒壊率・木防建ぺい率が高い区域)
人が多く集まる観光地周辺
※1建物倒壊率・・・全建築物棟数における全壊する建築物の棟数の割合で定義されます。木造建築物では、昭和34年以前、昭和35~55年、昭和56年以降の3区分、非木造建築物では、昭和45年以前、昭和46~55年、昭和56年以降の3区分のそれぞれで全壊する建物棟数を算出し、これらを集計することで地区の倒壊率を算出します。ここでは、市内の平均倒壊率2.3%以上の地区を抽出しています。
※2木防建ぺい率・・・火災による市街地の延焼危険度を示す代表的な指標の一つで、次のように定義されます。
木防建ぺい率=(木造(防火木造含む)建築物の建築面積)/(地区面積)
※地区面積には幅員15m以上の道路、水面・河川及び大規模空地(概ね1ha以上)は含めない
市街地の焼失率と木防建ぺい率の関係については、下図のような研究結果がある。これによれば、木防建ぺい率が40%を超えると延焼が拡大する危険性が非常に高く、逆に木防建ぺい率が20%未満であれば延焼拡大の面で安全であるということができます。
図 木防建ぺい率と焼失率の関係
木防建ぺい率と焼失率の関係を図で示しています。木防建ぺい率が20%を超えると急激に焼失率が上昇しています。
出典:建設省建築研究所 安全・安心住宅市街地ネットワーク会議報告書(平成15年3月 愛知県建設部)
(2)重点的に耐震化を進める区域
前項の設定基準に従い、以下の区域を「重点的に耐震化を進める区域」とします。
新青馬町周辺
第1次、第2次緊急輸送路沿道及び市が設定する地震発生時に通行を確保すべき道路の沿道
名鉄名古屋本線「国府駅」周辺、名鉄豊川線「豊川稲荷駅」・JR飯田線「豊川駅」周辺、JR東海道線「愛知御津駅」周辺、JR飯田線「牛久保駅」周辺
豊川稲荷周辺
(3)重点的に耐震化を進める区域に対する取組方針
重点的に耐震化を進める区域に対しては、後述の「第5章 建築物の耐震化の促進」を積極的に進めることで耐震化を図るとともに、特定建築物の耐震化についても優先的に実施します。