「広報とよかわ」2024年5月号(特集)

更新日:2025年01月30日

ページID : 6313

特集 ~自分自身と大切な人のために~若い世代にも知ってほしい がんのハナシ

「がん(悪性新生物)」は日本人の死亡原因1位であり、男女ともに2人に1人はがんになるといわれています。高齢になるにつれて発症率が高いとされていますが、生活環境の変化などにより、最近では、10代や20代といった若い世代が がんにかかるケースも多くなっています。
今回の特集では、若い世代のがんや、がんの原因の一つであるHPV(ヒトパピローマウイルス)、また、その予防法などについてお伝えします。詳しいことは、保健センター(電話0533-95-4801)へお問い合わせください。

若い世代のがん

思春期・若年成人世代をAYA(アドレセント・アンド・ヤングアダルト)世代といい、主に15歳から39歳までの年代を指します。この世代は、がんにかかる率やがんによる死亡率が低いため、自分ががんだとは思わず、学業や仕事を優先し医療機関の受診が遅くなる傾向にあります。がん治療をすることとなった場合には、ライフステージが大きく変化する世代でもあるため、学業や就労などの遅れ・中断が発生し、生活へ大きな影響を与えてしまいます。
がんの発生状況を性別・年代別にみると、男性は40歳以上に比べて、39歳以下で白血病の割合が多く、女性は40歳以上と比べて、39歳以下で子宮頸がんの割合が多いことが分かっています(国立がん研究センター調べ)。このように、AYA世代の方がかかりやすいがんもあるため、性別・年代に合った予防法や対策を知っておくことが大切です。

原因と予防法

がんの原因には、生活習慣の乱れや、ウイルスの感染などがあります。予防法はさまざまで、生活習慣の乱れが原因のがんは、禁煙や節酒、適度な運動、適正体重の維持などに取り組むことが予防につながります。また、ウイルスなどの感染が原因のがんには、ワクチン接種によって予防できるものもあります。
ワクチン接種で予防できるがんとされる子宮頸がんの原因のほとんどは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の持続的な感染です。HPVワクチンの接種は予防接種法に基づいて行われます。その安全性は国が保障しており、接種による感染予防の有効性が、接種後の副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、接種が勧められています。
信頼できる情報源から最新の情報を取り入れ、自分で判断して予防に取り組みましょう。

がん教育を実施しています

がん対策基本法の下、国が策定した「がん対策推進基本計画」により、市においても、子どもに対するがん教育を推進しています。
豊川高校では1月下旬、男女約750人の生徒を対象に、ささき小児科院長・佐々木俊也医師による「大切な命を守るため 高校生のみんなに知ってほしい がんのはなし」と題した講演会が行われました。

講演を聞いた生徒の声

豊川高校2年・杉田 七海さん
がんは身近な病気だと感じました。定期的に検診を受け、早期発見・早期治療することが大切だと思います。生活習慣なども見直して、がん予防に取り組みたいと思いました。
豊川高校3年・渡辺 琉里さん
がんは大人がなる病気だと思っていましたが、自分もなる恐れがある年代だということを知りました。無関心にならず、家族ともがんについて話し合っていけたらと思います。

HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染するとどうなるの?

HPVは、性的接触のある女性であれば、その多くが「一生に一度は感染する」といわれているウイルスです。ほとんどの場合、感染してもウイルスは自然に消えていきますが、感染している状態が長く続くと、一部の人でがんになってしまうことがあります。また、感染した後にどのような人ががんになるのかまだ分かっていないため、感染を防ぐことががんにならないための手段とされています。
このウイルスは性的接触によって男性にも感染する恐れがあり、中咽頭がんなどのがんを引き起こすことがあります。HPVによる中咽頭がんは、喫煙や飲酒による場合と異なり、早期発見が困難ながんといわれています。「HPV=女性」というイメージを持たれてしまいがちですが、男性にも大いに関係のあるウイルスです。
HPVは、数年~数十年かかって進行し、感染は、一生のうちに何度も起こりえます。

  • (0)正常
  • (1)HPVの感染
    正常な細胞にHPVが感染する(ほとんどは自然に消えて正常に戻ります)
  • (2)こちらHPVの持続感染
    一部の人でHPVがなくならず、ずっと感染した状態になる
  • (3)前がん病変(異形成)
    がんになる手前の状態になる(一部は自然に正常に戻ることがあります)
  • (4)がん
    前がん病変からがんになる(手術などの治療が必要になります)

子宮頸がんを数字で見ると…

子宮頸がんが増える年代は20代

子宮頸がんと診断される人の数は20代前半から増え始めます。また、一生のうち、子宮頸がんになる人は76人に1人で、日本では毎年、約1.1万人が子宮頸がんになっています。

子宮頸がん罹患数(上皮内がんを含む)(2019年)
  • 0~19歳 19人
  • 20~29歳 2,843人
  • 30~39歳 10,406人
  • 40~49歳 10,568人
  • 50~59歳 4,510人
  • 60~69歳 2,928人
  • 70~79歳 2,330人
  • 80~89歳 1,099人
  • 90~99歳 280人
  • 100歳以上 7人

【出典】国立がん研究センター がん情報サービス

HPVワクチン接種率は1.9パーセント

日本におけるHPVワクチンを接種した女性の割合は、世界的にみると特に低く、約1.9パーセント。接種率の高い国では、2028年までに、HPVによる子宮頸がん患者がほぼいなくなるといわれています。

世界各国のHPVワクチンを接種した女の子の割合(2019年)
  • カナダ 83パーセント
  • イギリス 82パーセント
  • オーストラリア 79パーセント
  • イタリア 52パーセント
  • アメリカ 49パーセント
  • ドイツ 43パーセント
  • フランス 3パーセント
  • 日本 1.9パーセント

【出典】厚生労働省「定期の予防接種実施者数」

インタビュー 男女関係なく全ての人に知ってほしいヒトパピローマウイルス

日頃から多くの若い世代を診察している婦人科と小児科の医師2人に、予防接種やがん検診の必要性、ヒトパピローマウイルスについて話を聞きました。

  • 総合青山病院 婦人科 宮本由記医師
  • 総合青山病院 小児科 鈴木久美子医師
  • 鈴木医師 がんの原因についてはまだ分かっていないことが多くありますが、ウイルスなどの感染が原因でかかるがんの場合、感染を防ぐことで身を守ることができるのを知らない方が多いように感じます。
  • 宮本医師 そうですね。がんの種類によって対策は異なりますが、ワクチン接種で予防できるものがあるということを知ってほしいですね。
  • 鈴木医師 がんに限らないことですが、ワクチンを接種すると、その病気に対する免疫が作られ、感染症の発症や重症化を予防できます。接種の時期は、病気にかかりやすい年齢や重症化しやすい年齢などに応じて決められているので、病気にかかりやすく重症化しやすい乳児は多くの種類の予防接種を打っているんです。
  • 宮本医師 ウイルスの感染を防ぎ、がんを予防するための予防接種の一つに、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンがあります。HPVは男性も女性も持っている可能性のあるウイルスです。現在、豊川市では、一部の年齢の女子を対象に無料の予防接種が行われていますよね。この機会に、ワクチン接種を検討してみてはいかがでしょうか。
  • 鈴木医師 予防接種は、病原性や活性をなくしたウイルスや細菌の一部、毒素をワクチンとして接種します。診察していると「本当に接種しても大丈夫か」、「痛いから嫌だ」、「副作用が心配」といった声をよく聞きます。健康な体にウイルスや毒素を入れると聞いて心配になったり、痛いのを嫌がったりする気持ちはよく分かります。接種するワクチンについて気になることがあれば、「診察以外のことを聞いてもいいのかな」などと遠慮せず、かかりつけ医にぜひ相談してください。予防接種は強制ではありませんので、メリットとデメリットをよく理解していただいた上で、接種する本人が保護者と相談して決めてください。
  • 宮本医師 HPVワクチンを接種する場合も接種しない場合も、20歳を過ぎたら、2年に1回は、ぜひがん検診を受けていただきたいです。もしHPVに感染して細胞に異変があっても、早期発見・治療ができれば、子宮頸がんは治る可能性の高いがんです。インターネットにはたくさんの情報があふれていますが、信頼できる情報源かどうかを見極めて判断することが大切です。また、かかりつけ医はもちろん、家族や学校の先生など、周りに相談できる人をつくっておきましょう。医学は日々、進歩しています。新しい情報を取り入れ、自分のために、大切な人のために、今できることを考えられるといいですね。

自分でできる予防を考えよう

HPVワクチン接種

ワクチン接種と、ワクチン接種後に報告されたさまざまな症状などの間に因果関係がないとされたことや、ワクチンの効果と安全性に関する多くの知見を得られたことにより、令和4年度から接種の勧奨を再開しています。
無料接種期間を過ぎると、接種費用が有料(約10万円)となります。

  • 接種対象 (1)小学6年生~高校1年生相当の女子(定期接種)(2)平成9年4月2日~平成20年4月1日生まれの女子(キャッチアップ接種)
  • 接種回数 3回(年齢やワクチンの種類によっては2回)
  • 費用 無料
  • その他 (1)に該当する高校1年生相当の方と(2)に該当する方が、無料接種期間内に3回の接種を完了させるためには、9月30日(月曜)までに1回目を接種する必要があります

(注記)キャッチアップ接種とは、HPVワクチン接種の積極的勧奨の差し控えにより、接種機会を逃した方を対象に実施する予防接種のことです。この制度は、令和7年3月31日(月曜)までです。

ワンコインがん検診

  • 期間 5月7日から令和7年2月10日まで
  • 対象 市内に在住で、令和7年4月1日時点に各検診の対象年齢となる方(勤務先などで受診する機会のある方を除く)
  • 申込 電話で、以下のリンクに掲載の委託医療機関へ
  • その他 子宮頸がん・乳がん検診のクーポン券、40健診の受診券のある方は、無料で受診できます。また、検診車によるがん検診(無料)については、広報とよかわ7月号でお知らせする予定です。なお、子宮頸がん検診を初めて受ける方は、医療機関での検診をお勧めします

【検診名など、対象年齢、自己負担額】

  • 子宮頸がん検診、対象年齢 20歳以上の女性、自己負担額 500円
  • 乳がん検診 超音波(エコー)、対象年齢 30歳以上の女性、自己負担額 500円
  • 乳がん検診 X線撮影(マンモグラフィ)、対象年齢 40歳以上の女性、自己負担額 500円
  • 結核・肺がん検診 X線撮影、対象年齢 16歳以上、自己負担額 500円
  • 結核・肺がん検診 X線撮影と喀痰(かくたん)検査、対象年齢 16歳以上(喀痰検査は50歳以上の方で喫煙状況による)、自己負担額 1000円
  • 大腸がん検診、対象年齢 40歳以上、自己負担額 500円
  • 胃がん検診 X線撮影(バリウム)、対象年齢 44歳以上、自己負担額 500円
  • 胃がん検診 内視鏡検査(カメラ)、対象年齢 50歳以上、自己負担額 500円
  • 前立腺がん検診、対象年齢 50歳から70歳までの男性、自己負担額 500円

(注記)子宮頸がん検診、胃がん検診、前立腺がん検診の受診間隔は2年に1回(偶数年齢)です。

めちゃ大事な 講演会のお知らせ

日時 5月18日(土曜)午前10時30分から正午まで
会場 中央図書館多目的ホール
講師 総合青山病院婦人科・宮本由記医師
内容 「私のからだは私のもの 産婦人科医宮本先生の #めちゃ大事な性のおはなし」と題した思春期の性に関する講演
定員 90人(先着順)
費用 無料
申込 5月1日(水曜)から、以下のリンク、または電話で、保健センター(電話0533-95-4801)へ

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愛知県豊川市諏訪1丁目1番地
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ファックス番号:0533-89-2124
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