「広報とよかわ」2016年8月号(MY COLOR)
更新日:2016年8月1日
MY COLOR
きらっと☆とよかわっ!輝くひとVol.17
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します
東京五輪を生かして日本全国を活性化したい
〈JOC広報・企画部長〉中森 康弘さん
日本中が喜びに沸いた2020年開催の東京五輪決定。その陰で、五輪招致に尽力したJOC(日本オリンピック委員会)の中森さんにお話を聞きました。
小学生の頃からスポーツが好きで、中学・高校では陸上競技に打ち込んだという中森さん。将来は、体育の教員を目指そうと、大学へ進学した。そこでスポーツが国際社会に与える影響を学ぶにつれ、「視野を世界に広げ、日本や世界のスポーツ振興に貢献したい」と思うようになり、卒業後は、日本のスポーツ団体を統括する日本体育協会に就職。その後、国際交流や選手の派遣・強化を行うJOCが新たに独立したことを機に、志願して移籍した。
東京が2016年五輪の招致に名乗り出ると、招致委員会の事務局次長に抜擢。招致のため、組織・資金・大会計画を整え、国内外での理解を求めた。しかし結果は、リオデジャネイロの半分以下の得票で落選。「投票権を持つIOC(国際オリンピック委員会)委員へ、日本開催の優れた点をアピールするだけでなく、委員との人間関係を築くことがたいせつだと痛感した」
落胆する間もなく、次の五輪へ向けて戦いが始まる。世界各国に散らばる104人の委員との人間関係を構築するため、彼らの経歴、家族構成など徹底的に調査。夫婦で面会したり、ときには民俗衣装を着たりするなど、家族ぐるみの付き合いをした。皇室・王族の委員にも会うことができ、多くの委員と肩を組んで写真を撮るまでの関係となった。さらには、委員の4割が欧州出身のため、IOC本部があるスイスのローザンヌに1年間滞在し、活動の体制も強化した。
こうした骨身を削る活動が実を結び、最終投票で、「トーキョー」の声を聞いた瞬間は、喜び以上に、「やっと報われた」と、肩の力が抜ける思いだったという。
現在、2020年開催の東京五輪に向けて、広報やマーケティング業務などに力を注ぐ。「この五輪を機に、東京だけでなく、日本全国で、さまざまな分野が活性化してほしい」と語る。五輪にかける中森さんの思いに触れ、歴史的な東京五輪を一緒に盛り上げたい。
プロフィール
中森 康弘(なかもり やすひろ)
御油小、西部中、国府高校を卒業し、筑波大学大学院を修了。日本体育協会に就職し、後にJOCへ移籍。東京五輪招致の業務に携わる。現在、JOC広報・企画部長、東京五輪開催準備室長を務める。