「広報とよかわ」2018年6月号(MY COLOR)
更新日:2018年6月1日
MY COLOR
きらっと☆とよかわっ!輝くひとVol.39
さまざまな分野で活躍する豊川市出身のトップランナーを紹介します
自分のスタイルは自然体でレースに臨むこと
〈ボートレーサー〉一色 雅昭さん
幼い頃から運動が好きだったと話す一色さん。競艇との出会いは小学生の時。競艇選手だった叔父のレースを見に行ったことがきっかけだった。厳しい世界であることは聞いていたが、競艇への思いは次第に強くなっていった。
高校卒業後、4年にわたる挑戦の末、倍率40倍にもなるボートレーサー養成所の試験に合格。競艇選手としての一歩を踏み出した。訓練生活では、厳しい規律の中、学科や実技が分刻みで決められており、ボートの操作やモーターの組み立て、プロペラの調整など、レースに必要な知識や技術を学ぶことになる。
訓練生活が10カ月を経過し、デビュー戦に向けて実践的な練習を積む最中、選手生命を左右する大きなアクシデントが起きる。コーナーで旋回中にボートが転覆し、後続のボートに体を直撃される事故に見舞われた。目の近くの神経を損傷し、一時はプロになるのは難しいと医師から宣告されるも、家族の支えもあり、事故から3カ月の入院生活を経て再び養成所に戻ることができた。「プロを目指した時点で怪我は覚悟していた。諦めることは考えていなかった」と話す。
そして、迎えたデビュー戦。蒲郡競艇での初戦は4着。ボートの上からは、観客席で応援する友人たちの顔が見えていたという。「結果よりも、レースに出場できたことが嬉しかった」。3年後、28歳で初優勝。さらに、1996年には成績上位者が争うG1レースに初出場、2014年には通算1千勝を達成する。「怪我を恐れて消極的になり過ぎてもダメですし、勝ちたい気持ちが先行し過ぎても怪我をしやすくなる。バランスを保ち、自然体でレースに臨むことが大事」と語る。
今年で52歳を迎え、レースに出場する傍ら、ベテラン選手として若手の指導に力を入れている。また、モーターボート選手会愛知支部の理事長を務め、ファン向けのイベントをはじめ、場外での清掃など地域貢献活動にも積極的に参加している。
この春、息子がボートレーサー養成所の試験に合格し、自分と同じ道を歩み始めた。「いつかは一緒にレースに出場したい」と話す一色さんの今後を応援したい。
プロフィール
一色 雅昭(いっしきまさあき)
1966年生まれ。平尾小、中部中、豊川工業高校を卒業し、本栖研修所に入所。1991年デビュー、1994年初優勝。1996年G1初出場、2014年には通算1,000勝を達成。2016年からは日本モーターボート選手会愛知支部の理事長を務める。